国王として擁立しようとする動きがある、国王即位を狙っている、などの設定は何ら問題はありませんが、実際に即位することはできません。
即位形態についてはフレーバーとしてお考えください。当サイトの利用のために必須の情報というわけではありません。
マグメール国王の即位については、肇国の際に、初代国王によってその基本が作られたと伝承される『プレーローマ法典』の「即位令」に規定が存在する。また国史にも古代のマグメール王の即位式が記されているため、(古代の王の実在性などは別として)古代の王の即位についてうかがい知ることができる。
現在でもその「即位令」の内容は古代のものと大きく変わってはいない。王位継承権を持つのは当然のことながら「王族」※1 に限られる。マグメール王国の国王の即位は、王族・群臣(古代語でマヘツキミなどと読む)による推戴という形を取る。有徳の王族の者が、群臣たちによって推戴され、王位につくのである。
「推戴」という形は、初代国王の即位神話がその元とされ、その形を当代まで踏襲し続けてきたということになる。
マグメール初代国王は“諸王”(諸説あるが、八名であったといわれる)の中の一人であり、マグメール王国建国の際にもっとも突出した働きをし、“諸王”の中心的存在となったため、“諸王”や臣下たちからマグメール王国の王となることを望まれ、群臣からの「推戴」という形で、神から“諸王”に授けられたといわれるレガリア(王位の証)である「オグドアスの剣」※2を奉られることによって初代国王へと即位した。
初代国王は子を残すことなく崩御したため、初代国王の末裔は存在せず、これに連なる「王家」も当然存在しない。初代国王の末裔を詐称することはマグメール王国では最も重い罪となる。初代国王は“諸王”の中で唯一、創造神たる「ヤルダバオート」(ナルラート朝以前の神話では「アイオーン」とされる)の子とされ、「肇国の聖王」などと呼ばれ、特別な尊崇を国民から受けており、一種の神・聖人として扱われている。
この初代国王は自らの血縁を後継者とせず、『プレーローマ法典』の原型を作った際に、マグメール国王は群臣の推戴によって王位につくと規定した。その為、二代目の王も初代国王の縁者からは選ばれず、“諸王”の中の一人が群臣より推戴され、レガリアを奉られ、国王へと即位した。この伝承と規定が今でも受け継がれ、マグメール国王は群臣の推戴を受け、群臣からレガリアを奉じられる事によって、初めて国王へと即位できるのである。
これら即位の規定や伝承についてはナルラート朝以前までは固く守られてきたものの、ナルラート王による国史の改竄などの影響があり、現在では理念上のものとして存在するのみとなっている。群臣の合議による王の選定、推戴などは形式上のものへとなりつつある。
注釈
※1 王族この「王族」については、マグメール王国を建国した“諸王”に連なる伝統ある「王家」出身の王族のことである。現在ではその実際はどうであれ、形式上「王家」のほぼ全ては「諸王」に連なる末裔ということになっているため、基本的に「王族」であれば王位継承権を有しているということになる。
"黒の王”ナルラートが、その由来なども明確ではない「カルネテル王家」の出身でありながら王位についたこともその一例である。“諸王”に連なる系譜は力があれば改変は可能という状況になってしまっている。もとは臣下でありながら、軍功を挙げて「王族」になった例も存在し、その場合であっても“諸王”の末裔と称することは平然と行われた。
もちろん、王位継承権があるからといって王族の誰でもが王位につけるわけではない。群臣や他の王族の「推戴」が必要である。高貴な家柄かつ、有徳の者であるという条件も存在する。少なくとも、理念上はそうなっている。当然、前代の王の意向なども汲まれることになる。
「推戴」も、理念上は王族や群臣の合議の上、有徳の王族を「王」として選び、「王」としての即位を請うという形になっているものの、ナルラート朝以降はこれも形式上のものとなり、王位継承の争いが、それぞれの時代において巻き起こっていくこととなった。本来は前代の王と次代の王の血縁関係はシステム上重要視されないのだが、それぞれの「王家」の力の増大のため、王位の相続はその時代の王の直系の子息に継がせようという動きが当然となり、次代の王を決めるために王城内での権力闘争、陰謀は今となっては珍しくもない。
最終的に王位につくのは、強大な力を有し、力ある群臣を取り入れ、他の臣下や王族に「推戴」という形を強制的に取らせることのできる者ということになる。なお、特に力のない王族であっても、それを王に即位させ、傀儡として扱おうと画策する貴族も存在する。
マグメール王国における王族とは、伝説上の“諸王”の末裔を祖先とする歴史と伝統ある家に所属するもののことである。実際に末裔であるかどうかは別であり、擬制的な祖先と末裔の関係であるといえる。
※2 オグドアスの剣
オグドアスの剣は、マグメール王国の王の象徴である神剣。ヤルダバオート(本来の神名はアイオーン)から“諸王”に授けられたものであり、マグメール王国建国に当たり、様々な力を発揮し、“諸王”を助けたとする逸話が数多く残る。かつてマグメール王国建国以前に、この地に存在したといわれる邪悪な神を葬り去った剣とも伝えられる。神から“諸王”に与えられた後、“諸王”たちによって鍛えられ、剣身には八つの刻印が施されている。一説には“諸王”は八人おり、それぞれの名を記したとも伝えられる。
もともとは“諸王”が共有する剣という扱いであったが、初代国王即位の際に、王の証として“諸王”と群臣から奉られたことにより、レガリアとして扱われることとなった。「肇国の剣」と呼ばれ、代々の国王即位の際に、群臣から奉られることとなった所以はこれによる。王城守護、国家の安寧の象徴としても扱われた。
初代国王から連綿と代々の国王に伝えられていたが、ナルラート朝に到り、ナルラート王に奉られた後にオグドアスの剣は忽然と姿を消したとの風説が流れる。ミレー族の一部では、ヤルダバオートの化身である“黒の王”が剣を破壊した、あるいはどこかへと隠したと語られているが、国民の間では信じられていない。しかし、ナルラート王の御代にオグドアスの剣が消えたのは事実であり、現在レガリアとして扱われているオグドアスの剣はレプリカである。一部の王族や貴族は、本物のオグドアスの剣を国内外にて探し求めている。
また、本来レガリアはオグドアスの剣だけではなく、「盟約の璽」と呼ばれる玉璽も存在し、オグドアスの剣と「盟約の璽」の二つが王権の証であった。この「盟約の璽」とは、初代国王がマグメールの先住民であったミレー族を束ねる伝説上の長(チァベ・コィキ・ミレヱ)と盟約を結んだという神話に由来するものである。初代国王が、マグメールを侵していた邪神をミレー族の長と協力して滅ぼした際に、マグメールの一部をミレー族の長から譲られ、その土地をマグメール王国とし、その際に結んだ盟約の証として、ミレー族の王から奉られた玉璽が「盟約の璽」である。その盟約とは、互いにそれぞれの国を侵さぬこと、そして再び悪しき神が現れたときに民族の壁を越えて共闘することである。
オグドアスの剣とともに、肇国にまつわる重要な証として、代々マグメール王にレガリアとして「盟約の璽」は受け継がれてきた。 ただし、この「盟約の璽」にまつわる神話は、現在マグメール王国のいかなる書物を紐解いても発見することはできない。「盟約の璽」も既に存在せず、レガリアとして扱われることはない。これは、ナルラート朝のミレー族奴隷化政策の一貫として、この「盟約の璽」についての一切の記述が国史の改竄により削除され、「盟約の璽」も破壊されたためである。現在は、ミレー族は建国の際からマグメール王国に隷属する存在であったと語られている。この国史の改竄は非常に徹底され、マグメール王国民はいうまでもなく、ミレー族であってもこの伝えを知る者は多くない。
マグメール王とミレー族の族長の盟約は既に歴史の闇へと消えた。それとともに、「盟約の璽」も存在を抹消されたのである。