世界観設定WORLD

ストーリー

——「まれびとの国」
そう呼ばれる国があった。
それは、様々な国と繋がり、多くの 客人まれびとが訪れる国であるためか。
それとも、この土地に先住していた者たちによって称されたためか。
いつしかその国は「まれびとの国」と呼ばれるようになっていた。
その正しき名は、「マグメール王国」といった。

妖精たちが歌い、永遠の若さと豊かさを保つという理想郷、その名が「マグメール」であった。
神代の昔に彼方の地からこの土地を訪れ、国を建国した"諸王"とそれに随従した人々は、土地の豊かさゆえにこの地を彼の「マグメール」であると呼んだ。
そして、自らの国を「マグメール王国」と称したのであった。
楽しき都、喜びヶ原——それが、この国に冠せられた名であった。
人間だけではなく、様々な種族もこの国に住み、この地上の楽園が築かれた。

しかし、それも遥か神代の昔のことである。
この地は、神に見放されたのだ。

剣と魔法。
人と魔物。
民と王。
戦争と平和。

このマグメール王国は、乱れていた。
王城では、王族による王位継承権の争いが繰り広げられていた。
そのために、政治はおろそかになり、役人たちも腐敗した者が増えて行った。
都の治安は一部を除いて悪化しつつあった。
国境付近では先王が起こした他国との戦争が今も続く。
さらには、北方の大地より「魔族」の軍団が現れ、王国に迫りつつあった。
これらの戦火に巻き込まれ、略奪などに遭う村々も数多い。

先祖代々この土地に住み続けていた先住民の「ミレー族」は王国の奴隷として扱われていた。
労働力としてだけではなく、性的な奴隷として扱われる者も少なくなかった。
先住民だけではない。冒険者、一般市民、さらには王族までもが奴隷となることもある。

王族や貴族であれば、政治闘争での敗北や、政敵の策略によって。
騎士や戦士は、戦争に負け、捕虜となったことによって。
一般市民や冒険者などであれば、暴漢や魔物、腐敗した役人によって。
都や村、郊外に広がる遺跡や迷宮にて、様々な身分の男や魔族、魔物によって、
凌辱され、辱められることは、決してありえないことではないのである。

これらの倫理の崩壊は、「魔族」と呼ばれる者たちの到来によるものであった。
彼らの邪気は、この国を静かに狂わせていた。
しかし、それを知るものは多くない。

かつて理想郷と呼ばれたこの国は、名ばかりのものとなってしまっていた。
それでもなお、「まれびとの国」らしく、この国を訪れるものは未だ多い。
この国はこの有様に成り果てても、巨大な国の力はかろうじて保てていたためだ。
それでも、この国を訪れる客たちは、かつての姿との違いに驚く事だろう。

今日もまた、この王国で、様々な存在の思惑が交差していく――


「まれびとの国」

マグメール王国の基本的な情報です。
基本的なことを抑えていただければ大丈夫です。神経質になる必要はありません。
「信仰」や「闇の歴史」などについては興味のある方はご覧いただければと思います。
規約、世界観に反さない限り、村や都市、種族などはご自由に考えてくださって構いません。
皆様の設定により、世界観も広がりを見せていくでしょう。
もちろん、当サイトの用意した設定を使っていただけると嬉しく思います。


国の歴史・現状

マグメール王国、いわゆる「まれびとの国」は遥か昔に、現在のマグメール王国の王族の祖とされる“諸王”が築いた国です。
黄金期には様々な国と交易を行う大国でした。
先住民である「ミレー族」とは不干渉の期間が長く、場合によっては友好関係となることもあったものの、ここ200年ほどで状況は変わりました。
「ミレー族」は王国の奴隷とされたのです。そのため、多くの「ミレー族」が捕えられ、
労働力や、性的な目的のために奴隷とされています。

先王は対外戦争に力を注ぎ、死後もその戦争は続けられています。
王位の継承者が決まっていない為、王族による王位継承争いが行われ、
近年は「魔族」と呼ばれる統率された魔物の軍勢も現れ、王国を脅かしています。
それらの影響により、国は狂いはじめ、都や村で様々な問題が起こっています。
皆さんにプレイしていただくのはこのような暗雲が垂れ込め始めている時代になります。
危険な時代ではあるものの、人々はそれぞれの日常を送っています。


国土・風土

マグメール王国、いわゆる「まれびとの国」は大陸の大部分を占める国です。
様々な海や川が広がり、土地も肥沃で、かつて理想郷と呼ばれていたのに恥じないものです。
四季が存在し、気候などもよほど北に行かなければ過ごしやすいものとなります。
都である「マグメール」は海の傍に存在しています。
その他、都の周りには小さな村や都市が点在しています。
街道は整備されていますが、そこから少し離れれば魔物に会うことは珍しくありません。
さらには先史文明の遺した遺跡や、魔物の潜む洞窟や、魔族によって作られたダンジョンなども国中に存在しています。


文明・文化

文明・文化レベルはオーソドックスな「西洋ファンタジー」のようなものになります。
あまり厳密には定めませんが、いわゆる「中世(近世)ヨーロッパ」ぐらいの文化レベルになります。
深く考える必要はありません。「西洋ファンタジー」的な文化レベルぐらいにお考えください。
中世ヨーロッパなどは、衛生面云々の話は有名ではありますが、「まれびとの国」については、そのようなものではないと考えてください。
魔法などによってある程度の衛生は保たれていることになります。
言語などは共通語が存在します。

政治の形としては王制になります。身分制度は厳しめで、王族・貴族・平民・奴隷などに分けられます。
「まれびとの国」にはいくつかの王族・王家があり、それらの中から「国王」を選び出します。
現在は王位には誰もついておらず、王位継承の争いが王城などで行われています。
都は王族や貴族が統治し、そのほかの都市や村は役人・地方官・領主・貴族や、住民の代表が治めています。
都以外の都市は、統治の仕方などはその場所それぞれということになります。

経済としては貨幣経済になります。
都市や場合によっては物々交換になることもあるでしょう。
通貨単位は「ゴルド」です。
目安として、中流階級の平民たちが一日暮らすためには「200ゴルド」あれば十分です。

この国には魔導機械というものが存在します。魔力で動く機械のようなものです。
この機械は国土に点在する先史文明の遺跡から発掘されました。
これの発掘・改良により「まれびとの国」は勢力を拡大していきました。
魔導機械は日常世界遂においても様々な場面で使われていますが、基本的には高価なものです。
兵器に使われていますが、基本的に魔術の補助のためのものとなります。
「機械」としておりますが、あまりにも未来的なものはご遠慮ください。
あくまでライトなファンタジーもので使われるようなものをイメージしてください。
「現代的な」巨大なロボットや、「現代的な」戦車、「現代的な」戦闘機などの機械は存在していません。
魔導機械を設定に組み込む場合はそれが 「ファンタジー的」なものとなるよう設定してください。
極端に世界観を破壊するものはご遠慮いただき、「ファンタジー的」な色合いをもたせるようお願いします。

「ファンタジー」の定義は人それぞれでありますので、その点もご理解ください。
定義が一定していない以上、「ファンタジー的である」/「ファンタジー的でない」というような論争はサイト運営者としてはあまり意味がないものと考えています。
決着がつくことのない問題だからです。
他者と楽しむための「ファンタジー的なもの」を利用者ご自身でお考えいただければ十分です。
「ファンタジー的なもの」のラインが利用者同士で合わない場合もあるでしょう。
その際は大人な対応をお願いします。これも好みの違いの範疇と言えるでしょう。
なお、R18のファンタジー世界観ゲーム等に登場するようなエロティックな魔導機械も全く問題ございません。
お相手から拒否された場合は、相手の意見を尊重し、それを用いない/趣味の違いということで中断するなどのご対応をお願いします。

また、魔導機械で可能なことは「魔術」でも基本的に可能であり、 魔導機械が魔術に強く優越するというわけではありません。
魔導機械の重要性は、魔術の素養がない者が魔術を行使することを可能する点や、自動性などの点にあります。
本世界観における銃は魔導機械としての銃が主となりますが、仮に火薬を用いる銃が存在するとして(特にそういったものを禁止する意図はありません。規約的にも問題ありません)、それが魔術的なものを圧倒するわけではありません。
剣が銃に圧倒されなければならないという道理も特にございません。
ライトファンタジーにおける「銃」などを念頭に置くとイメージしやすいと思われます。
当サイトの「ファンタジー」の定義については、規約第7条をご覧ください。


種族・生物

基本的には人間が多く住んでいますが、エルフやドワーフ、妖精、獣人などの多種多様な民族・種族も存在しています。
住む地域によっては肌の色なども違うことがあるでしょう。
これらをまとめて人間といい、権利などは平等ですが、中には差別的な扱いを受ける種族も存在します。
その代表が、「ミレー族」と呼ばれる先住民です。ミレー族は主に猫のような耳や尻尾をもつ人間になります。
また、あまりに私たち人間からかけ離れた種族も、都の中などでは快くは思われないでしょう。
生物などは私達の地球に存在する動物などと基本的に同じです。中にはこの国にしかいない生物もいるでしょう。
もちろん、全ての人間が「ミレー族」などに対して差別的というわけではありません。
中には彼らを秘かに保護したりする一般市民や王侯貴族などもいるでしょう。

人間には友好的ではない生物のことを「魔物」とこの国では呼んでいます。
触手など非人間型のものから人間に近いものまで様々です。
それらは街の外に潜んだり、洞窟やダンジョンの中にも潜んでいます。
小さな村の場合は魔物が攻めてくることもあるでしょう。
国の北には魔族の国があり、そこでは統率された「魔物」の軍勢が存在しています。
これらの魔物を従える高度な知性を持った魔物を、「魔族」と呼びます。


魔法

この世界には「魔法(魔術)」が存在します。魔法には様々な体系があり、種類も膨大です。
人間や魔物がもつ魔力を用いて使う術の事を総称して「魔法」と呼んでいます。
基本的に魔術師など専門的に学んだものが使いますが、簡単なものならば一般人でも学ぶことができます。
魔術に関しては、世界観に反しない、他者に迷惑をかけないのであればどのようなものでも構いません。
東洋から伝わったものということで日本的なものでも構いません。
基本的には、西洋ファンタジー的な魔法がこの国では主流です。


信仰

多種多様な民族・種族がいるため、その信仰の形は様々です。
教会などの施設も様々な形態が存在します。もちろん、特に信仰の無い者もいるでしょう。
国教としては「ノーシス主教」という宗教が定められています。
「ヤルダバオート」という神を主神とし、その他精霊を崇める多神教です。
各地にそれぞれの神や精霊を祀る教会が存在します。
本来は「アイオーン」という創世の神を祀るものでしたが、今から200年ほど前に在位していた、
“黒の王”ナルラート・カルネテル王の治世に主祭神の名が、王の命により「ヤルダバオート」に変更されました。
そして奇妙にも、これと同時期に魔族が王国への侵攻を始めるようになります。
この事件は国の歴史書からは抹消され、「ヤルダバオート」が初めから「主教」の主神であったと改竄されています。
歴史への修正は徹底され、そのため、今を生きる普通の国民はこの事実を知りません。
清貧を尊ぶ宗教ですが、国状の悪化により教会内も腐敗が進みつつあります。

なお、王族を含めたほとんどの国民は知らないことですが、魔族の国の神の名も「ヤルダバオート」と呼ばれています。

主神は人の前に姿を現すことはありませんが、既にこの世界からは去っているという伝えがあります。
既にこの地は神の加護を失い、「ヤルダバオート」という邪神がこの世界に影響を与えているという神話を「ミレー族」は持っています。
このために国が乱れているのだと、ミレー族の一部は説きました。
主にこの伝承を保持していることから、王国側はミレー族を奴隷にしているとも噂されています。
ミレー族の伝承について「ノーシス主教」はこれを否定しています。


外国

基本的に当サイトをご利用になる際には「マグメール王国」国内にてお遊びいただきます。
しかし、設定上、この国は様々な国と接しています。
その中にはいわゆる和風な「日本」のような国も存在するでしょう。
これらの諸外国出身のキャラクターなども登録可能です。
また、外国には「異次元・異世界」も含みます。
ただ、これらの諸外国も、「ファンタジー」の域は出ないようにお願いします。
未来人や高度に発達した文明を持ち込むということはご遠慮願います。


先史文明

マグメール王国には古代の遺跡がいくつか存在しています。
それは今よりも高度な文明を持った先住者が存在していたことを示しています。
「ミレー族」はこの遺跡を「神の遺したもの」として神聖視し、近づくことが少ないようです。
この先史文明の遺跡からは高度な機械や魔導機械が発掘され、王国にて使われています。
遺跡の解明などはまだまだといった感じになります。これらの遺跡などを利用したダンジョンなどもあっていいと考えております。


闇の歴史

王国の現在の歴史には記されていない闇の歴史が存在しています。
それは200年ほど前に在位した“黒の王”ナルラート・カルネテル朝の時代を指します。
ナルラートは謎の多い王で、どの王家出身であったか不明瞭なところがあります。
彼が“黒の王”と呼ばれるのはその肌の色が濃い褐色であるとともに、黒い衣装を好んだためといわれます。
その王城は黒曜石で作られていたとも言われています。

ナルラート王の時代はいわゆる「暗黒時代」であり、圧政と戦争の渾沌とした時代でした。
力で民は支配され、国の領土を広げるために対外戦争が繰り広げられました。
この時代に「ノーシス主教」の主神が「ヤルダバオート」という神に変更されました。
それと同時に、かつての創造神「アイオーン」を信仰する「ミレー族」への迫害が始まり、ミレー族は奴隷とされました。
ミレー族は「ヤルダバオート」を「偽なる神」と呼び、ナルラート王を魔の王と呼んだためです。
ナルラート王が、ミレー族特有の能力を危険視したためとも言われますが真偽は不明です。
また、この王の即位とともに北の「魔族の国」からの侵攻が始まりました。
国内にも魔族の影が現れはじめ、国の治安の悪化などはこの時代に端を発しています。

結果的に対外戦争などはある程度の成功をおさめ、国力は増大しました。
しかしそれは多くの苦役や犠牲によるものでした。
国教の主神の変更など様々な改革により国は大きく乱れました。
ナルラート王の没後、反乱の兆しが見え始めたため次代の王はナルラート朝を否定し、
ナルラート朝の記録は闇に葬られることとなりました。
焚書や歴史書の改竄が行われ、現在ナルラート朝の名残りと言えば「主教」の主神が「ヤルダバオート」とされているところぐらいになります。
主神を「アイオーン」に戻さなかったのは、さらなる混乱を避けるためでした。
ナルラート王の歴史は大幅に書き換えられ、国の中興の祖という扱いに変わりました。

その王たちはナルラート朝を否定し、国の再建に努めましたが、
王族や貴族、役人そのものが腐敗を始めており、それが現在まで続くこととなります。
ナルラート王が開いたカルネテル王家はその後長きにわたり「王」を輩出しませんでしたが、
先代の王はカルネテル王家から選ばれ、ナルラート王を自らの理想としました。
そのために再び対外戦争を先王は繰り返し、再び混沌が国を覆い始めました。
先王は自らの直系であるカルネテル王家から次代の王を選ぼうとしていましたが、
はっきりと次代の王を指名する前に没したため、現在でも王族による王位争奪の争いが続いています。

カルネテル王家は先代の王の家であるため、現在最も力がある王家になります。
しかし、彼らも、ナルラート王朝の真実は知らないものがほとんどです。


王都周辺の地理


※画像はクリックすると拡大されます。

ここでは王都「マグメール」周辺の地理などを紹介します。
運営者が提供するチャットルームの部屋は主にこの範囲のものとなります。
ですが、これらは「まれびとの国」の一部に過ぎません。
規約や世界観に違反しない限り、上記の都市の内部の施設や、その他の都市、村、ダンジョンなどを
ご自由に考えて頂いて構いません。
チャットルームの設定自由部屋などで、ご自身の考えた施設や都市を作成してくださればと思います。


メグ・メール(喜びヶ原)

王国に広がる巨大な平野がこのメグ・メールである。喜びヶ原という異名を持つ。
豊かな自然が広がり、平地のため旅にも丁度良い「まれびとの道」という街道が敷かれている。
妖精や動物などにも会うことができるだろう。
いくつもの都市や村、遺跡やダンジョンなどが点在している。
王都や神聖都市もその一つである。
表街道を歩いている分には治安は悪くないものの、少し道を外れたりすれば魔物や野盗に襲われかねない。
ダンジョンなどには魔物や魔族が潜んでいることも珍しくないのである。


王都マグ・メール

その名の通り「マグメール王国」の都。
広大な城壁に囲まれた都市であり、王国最大の都市。
代々「王」が治めているものの、現在の王位継承者は決まっていない。
多くの人間・種族が住んでおり、毎日人の行き来が絶えない。
街の北部に「王城」や貴族の屋敷などの存在する富裕地区があり、
街の中央部に、通常の市民が住む平民地区がある。
それらの周縁部には治安の悪い貧民地区、「スラム」が広がっている。
宿や冒険者のギルド、酒場、娼館に奴隷市場など、多くの施設がこの都市に集まっている。

スラム地区を除けば基本的に治安は良い街。
しかしながら、最近はならず者や傭兵も増えてきており、路地裏などに近づくのは危険。
奴隷や反逆者への罰として、街の中央などを舞台に衛兵などによる凌辱が行われることもある。
また、王国との戦争で敗北し、捕虜となった者たちもこのような辱めを受けることがある。
王族であっても、王位継承のための政争に破れたり、計略にはめられた場合などはこのような辱めを受けることが増えている。
王位継承の争いが続いているため、都全体の政治は乱れており、役人や衛兵も腐敗しはじめている。
それらの罠にはまり、悲惨な目に遭う者も最近は少なくない。
犯罪を取り締まるべき者たちがこのような有様なのである。

それでもなお、この都市は崩壊せずに栄えている。
まだ心ある王族や役人、市民が残っているためだ。
しかしその数も今は少ない。


神聖都市ヤルダバオート

「ノーシス主教」の総本山であり、主神である「ヤルダバオート」の名を冠する都市。
都市そのものが一つの巨大な修道院のようになっており、中で暮らす者たちのほとんどが神官や修道女などである。
「ノーシス主教」以外の信仰の施設も多くあり、まさに宗教都市である。
この国の中で、最も治安がよい都市と言えるだろう――表向きは。
既にこの神聖都市の中にも、腐敗は広がっている。
一部の神官が修道女を襲ったり、街の地下には修道女たちによる売春施設なども存在している。
戦場が近いため、最近では兵士や傭兵が訪れることも多く、治安は下がりつつある。
なお、かつては神聖都市「アイオーン」という名前であった。


奴隷市場都市バフート

港湾都市ダイラスの少し北にある半島に位置する悪名高い都市。山賊街道と接続している。
その名の通り、主な産業は「奴隷交易」である。マグメール王国だけでなく、周辺国家、シェンヤン帝国なども含めて、様々な存在によって様々な奴隷が連れて来られる。
労働のための奴隷なども扱うが、その商品の大多数は所謂「性奴隷」であることが多い。特にミレー族の性奴隷は需要が高い。
商品として並ぶ奴隷の性別、身分や種族は多種多様で、マグメール王国の王族や貴族、シェンヤン帝国の皇族、魔族や魔王でさえも時に奴隷として売りに出されることがある。
個人所有の奴隷だけでなく、街そのものに従属する奴隷も存在し、その場合公共の奴隷として扱われることとなる。

様々な思惑や陰謀渦巻く悪徳の都市であり、一応はマグメール王国の領内に位置しているものの、その特殊性や王族さえも奴隷として並ぶことがあることから、
マグメール王国側はその存在を無視し、特に対策は行っていない。ある意味での治外法権の場所である。闇社会の組織も多く存在する。
ただし、内外からの客は多く、訪れる王族なども珍しくない。
一部の憂国の者たちにとっては我慢ならない都市であり、私兵を以てこの都市を取り締まろうとした騎士や貴族なども居るが、悉く失敗し、それを企画した者達は皆奴隷となってしまうことが殆ど。

悪徳の街らしく、街中でも公然と奴隷への陵辱や調教が行われ、一種の見世物としても機能している。
様々な施設が存在し、奴隷たちを見世物とする小屋や、奴隷同士、あるいは魔物と奴隷を戦わせる闘技場、調教施設、大衆浴場、娼館などなどが軒を連ねる。
特にミレー族の娼婦、男娼のみで構成された娼館街が有名である。マグメール国内に存する都市であるため、ミレー族は奴隷として扱われるのが基本。
あまりはっきりとした区画整備などはされていないため、家屋や施設などは雑然としているが、街の中央にある「奴隷市場」では毎日取引が行われ、昼夜問わず人で溢れる。

新たな奴隷を獲得すべく奴隷商人たちが街中で手ぐすねを引いており、たとえ街に来た時は奴隷でなくとも、様々な罠や策略にハマり、奴隷の身分に落とされてしまう者も少なくない。
見目の良い女性などは特に気をつけるべきであろう。
武力財力知力問わず、弱ければ虐げられ、陵辱される。強ければ奴隷を自由にでき、街を謳歌できる。そのような単純な図式が成り立つ都市である。
ミレー族は基本的には奴隷の扱いだが、その力を示すことができれば一定以上の地位を得ることもこの都市では可能である。

都市事態が崩壊しては意味が無いため、大規模な抗争などはまず起こらないが、決して安全な都市ではない。
油断をしていれば、当然のように襲われる可能性もある。この都市に悪徳を取り締まる機関は存在しない。

このような悪徳の栄える都市であるが、国内外から多くの者が集まるため、色々な情報や物品も集まり、冒険者には有用な情報やアイテムが仕入れられることもある。
そのため、多少の危険を冒してでもこの都市に来る者は少なくないのである。

表向きには「神聖都市ヤルダバオート」と真逆の都市だが、実際にはつながっており、「神聖都市ヤルダバオート」の地下売春施設と関係が深い。
そこのシスターたちがバフートに奴隷として送られることもあれば、その逆も存在する。


ハテグの主戦場

かつてはハテグの丘と言って、妖精などが住む平和な場所であったが、今は見る影もない。
王国が他国と戦争を行う場合の主戦場となっているため、兵士の野営地、娼館などが点在している。
現在は大規模な戦闘はあまり起こらなくなったものの、小競り合いは続いている。
勝利と敗北が繰り返され、敵の兵士や女騎士、姫騎士などが捕えられ、凌辱されるのも珍しくはない。
さらには捕虜として王都などに送られることもある。
もちろん、王国の兵士が敵国に捕えられることもある。


ゾス村

郊外にいくつも存在する小さな村の一つ。
かつては豊かであったものの、戦闘などに巻き込まれることが多く、荒れ始めている。
何もなければ穏やかな村であるのだが、最近では欲望のタガを外し始めている村人も存在する。
時折傭兵団による略奪や、魔物の襲撃などに遭うこともあり、その場合被害に遭うのは女性などが多い。
村人全てがそうではないものの、よそ者には警戒心を抱く村人が多い。
宿やなどの基本的な施設は旅人のために設けられている。


セレネルの海

王城などの南に広がる大海。
穏やかな海だが、海棲の魔物も存在し、注意が必要である。
海底には遺跡が存在し、魔法などで潜ることができれば探索も可能。


港湾都市ダイラス

王国でも特に有名な港街が、この港湾都市ダイラスである。
その名の通り湾の内側に作られ、毎日数多くの船が来航する。
そのために、海の男や荒くれ者などが数多く暮らしている。
住んでいる男達の気性ゆえに治安や柄は良くない街である。
酒に酔った男なども多いため、女性の一人歩きなどは危険である。

ダイラスで何より有名なのが、その娯楽施設の多さである。
賭博場、娼館などが特に多く、王都の比ではない。
賭博に負けて身ぐるみを剥がれる男女も少ない。そしてその多くの場合、ディーラーによるイカサマである。
賭博などで借金を背負った客が働くことも珍しくない。
一部の娯楽施設では、賭博場のほかにいわゆるストリップ劇場や、娼館などはもちろんのこと、
闘技場のようなものも存在する。参加する理由は人それぞれだが、負ければ辱めを受けることは間違いないだろう。


九頭龍山脈

王都の東部に広がる険しい山脈。
九つの尾根があり、それぞれが龍の首のように見えるために「九頭龍山脈」と呼ばれるようになった。
山賊の隠れ家などが多くあり、「山賊街道」と呼ばれる、山の麓の街道を移動する際には注意が必要である。
洞窟や古代の遺跡なども数多く存在し、財宝なども眠っているためか、この財宝を狙う者も少なくない。
現在は奴隷として扱われているミレー族の隠れ里もこの山脈の何処かに存在する。
温泉地帯であり、温泉宿がいくつか存在している。


ミレーの隠れ里

この国の先住民であるミレー族が済む隠れ里が九頭龍山脈に幾つか存在する。
そこではミレー族が仲間とともに暮らしており、この国でミレー族が唯一公然と安らげる場所である。
しかし、これらの隠れ里も王国の人間や魔物に見つけられることがある。
そうなれば、ミレーの者たちは奴隷としての扱いを受けてしまうことになるだろう。


無名遺跡

遥か古代、有史以前より存在すると言われる名もなき遺跡。九頭龍山脈の麓に存在している。
中は迷宮のようになっており、魔物も潜んでおり危険である。
しかしながら、古代の財宝や「魔導機械」なども大量に存在するため、遺跡を潜る者たちが後を立たない。
実は古くから魔族がこの遺跡に住みついており、遺跡を改造している。
そのため、卑猥な仕掛けの罠などが大量に存在し、触手などの魔物も数多く放たれている。
これらのトラップにハマってしまえば、散々な凌辱を受けることは間違いないだろう。


タナール砦

タナール丘陵に築かれたいくつもの砦の一つ。
魔族の国との国境近くに位置しており、魔族の侵入を防ぐ国防の要の砦である。
何度も人間と魔族の間で奪い奪われを繰り返しており、ある時は人間の砦、ある時は魔族の砦という風に一進一退が続いている。
魔族に奪われた場合などは、中にいる女騎士や兵士などは彼らに囚われることとなるだろう。
人間に敗北した魔族も同様である。


魔族の国

王国の北方に存在する「魔族」の国。
王国とは険しく長い山脈で隔たれており、それらの山を越えない限り魔族の国へ行くことはできない。
多くが謎に包まれており、詳細を記録した書物などはほとんど存在しない。
囚われた人間などが奴隷として扱われたり、繁殖のために使われたりしているようである。
魔物の中でも、知能が高く、貴族的な身分の者たちが多く住んでいるらしい。
まだ王国への本格的な侵攻は行っていないものの、既に王国内には多くの魔族が潜んでいるとの噂もある。
王城にさえ、その手は伸びつつあるとか。


「まれびとの国」に住む人々

ここでは、「まれびとの国」に存在している人々について書いていきます。
PC作成の参考にしてください。
なお、あくで一例です。必ずこれらの内からキャラクターを選ばなければならないというわけでもありません。
職業、種族、身分など、ご自由に考えてくださって構いません。
あくまでこの世界で「一般的」とされている説明になりますので、それから逸脱しているようなキャラクターでも問題はありません。
もちろん、規約や世界観を大きく無視したようなものはご遠慮いただきます。


平民

マグメール王国の様々な都市や村に住む、爵位・官位を持たない人々。
その貧富の差は様々だが、その身分は等しく「平民」となる。
ただしこれもあくまで表面上のもので、その貧富の度合いによって生活のレベルは大きく違う。
普通に暮らす平民もいれば、腐敗した役人や衛兵に虐げられる平民も存在する。
金を積んで王族や貴族に取り入り、爵位を貰う平民出身の商人などもいる。
手段や金さえあれば別の身分になることもできるため、平民から貴族、兵士などになる者も今の時世少なくない。
一攫千金などを夢見て冒険者になる者もいるようだ。
結局のところ、身分は金で買えてしまうのである。


貴族

基本設定
その言葉通り、爵位などを持つ人々の事である。
基本的に平民よりも良い暮らしをしており、いわゆる上流階級に属する者たちである
中には没落寸前の家なども存在するため、一概には全ての貴族が裕福であるとは言えない。
先代王の崩御以降は王位継承争いが続いており、政争に敗れて没落する貴族家も増加している。

名家と呼ばれる家は長い歴史を持つことが多いが、貴族の身分は金などで買うこともできる。
後述するように、近年では金でなりあがった貴族なども増えてきている。
王国における身分制度は厳格であるため、貴族は平民より「偉い」存在である。
統治者・支配者としての自覚を生まれながらに持つ者が一般的である。
そのために横柄にふるまう貴族もいるが、全ての貴族がそうであるというわけではない。
庶民にも優しく、慈悲深い貴族もおり、貴族といっても様々だといえよう。

貴族は大きく二つの形態に分類が可能である(詳細は後述)。
特定の領地を持たず、王都などの都市に在住する「都市貴族」。
そして、歴代の国王や王族から分封された土地を治める領主としての性格を持つ「封建貴族」(領主貴族などとも)である。
その他、兵士や騎士になる者もいる。変わり者であれば、冒険者になることもあるだろう。
一芸が学術に秀でているが故に貴族に名を連ねる家/物も存在する。特に、高名な魔術師などがその例である。
貴族と言えど、政敵の罠などにはめられ、反逆者などとして仕立てあげられたりすれば、その身分ははく奪される。
無実ながら、一気に奴隷の身分に叩き落されることもあるのである。

※貴族に関して、サイト利用上はここまでを理解していれば問題ありません。
 以下は貴族の詳細な説明になります。

爵位
貴族の身分を示す称号が「爵位」である。
爵位は世襲的に受け継がれることが一般的だが、王国や王族に大して特に功績を残したもの、軍功を挙げたもの、名士として名を馳せたものなどに対して与えられることもある。
新興貴族の多くはこのような形で爵位を得ているため、古くからの世襲貴族からは「成り上がり者」扱いされたり、軽んじられることもある。
しかし、「成り上がり者」であっても貴族は貴族であり、世襲貴族との間に法的な差は存在しない。
爵位は階級の低い順に「男爵」「子爵」「伯爵」「侯爵」「公爵」の五つが存在し、貴族の中でも身分の差が存在する。
「公爵」は大領地や重要都市の統治権を有するなどの決まりはあれど、没落した公爵家も存在するため、必ずしもその爵位に見合った力を持つとは限らない。
最下位の「男爵」であろうと、王国に対して大きな功績を残したのであれば、王族や他の貴族から一目置かれることもある。
王位継承争いが続く動乱の時期故に、その政治的手腕で大きな功績を上げることも可能である。
爵位の序列はあくまで形式的・儀礼的なものであり、実際の力関係とは必ずしも一致しないというのが現状である。

上の爵位の他に、「辺境伯」(国境防衛の責任を伴う特殊な爵位。侯爵相当の地位とされるが、王族が任ぜられるなど例外もあり)などの特別な爵位も存在し、特定の重要な職務を世襲する家などには独自の爵位が与えられる場合がある。
王族は爵位の序列を超越しており、貴族より上位に位置する。故に爵位を持たないが、権限などは公爵に準ずるという慣例になっている。
国王の在位中は、国王の意志によって爵位が与えられることが多い。現在のマグメール王国の国王は空位であるため、爵位の授与は王族会議の決定、あるいは力ある王族によって行われる。

なお、貴族の中にも「諸王」の末裔を称する家も存在するが、歴史的に「王族」として認められていないのであれば「王族」としては扱われない。
ただし、多くの王族の支持や承認を得たのであれば、「諸王」の末裔としての「王族」が新たに誕生することもあり得る。
その最たる例が「ナルラート王」であり、彼は「諸王」の末裔を自称し、彼の家である「カルネテル」家は王族として認められた。
「ナルラート王」の例は極めて特殊なものであり、「諸王」の末裔にふさわしい歴史や家格を有することが本来は必要である。

貴族の種類
貴族は大きく「封建貴族」(領主貴族/地方貴族などとも)と「都市貴族」に分けることができる(これ以外の貴族も存在するであろう)。
実態に即しての分類であって、国法でこの分類が定められているわけではない。故に必ずしもこの二つに明確に分けられるとは限らない。
「封建貴族」であろうと「都市貴族」であろうと貴族は貴族であり、地位の差はない。世襲・官職・家職やそれぞれの功績などに応じて爵位が与えられる。
ただし、「封建貴族」と「都市貴族」がそれぞれの基盤としている力の源泉は異なる。

「封建貴族」は王族から封土を分封され(あるいはその封土を親などから分譲され)、地方の領地を統治する貴族である。
小さな村ひとつを治める小領主から、複数の地方・都市を支配下に置く大領主まで存在する。
農地からの年貢や鉱山や魔術鉱石の権益、街道の通行税などが主な収入源となっており、領民の治安維持や税収確保、災害対応などの統治責任を負う。
戦時には私兵を率いて王国・王族に軍事奉仕を行うこともある。自ら「騎士」として戦い、軍功を上げる封建貴族もいる。
しかし、現在は魔物の増加による領地の荒廃や魔族への対応、長期化する戦争による税収の減少に悩まされている領主も多い。
なお、領地を持つとは言え、必ずしもその領地に居住しているとは限らない。
領地の経営を親族や代官、執事などに任せて領主本人は王都に居住する例は決して珍しいことではない。一般的であるとも言えるだろう。
故に、王都・王城に影響力を持つ「封建貴族」も存在する。
王位継承争いに伴う政争が激化する現在の王都にあって、様々な理由/思惑から領地に戻らない/戻れない領主も少なくないのである。
また、王都での政争に巻き込まれないようにあえて領地に引きこもり、王城への出仕を積極的に行わない領主も存在する。

「都市貴族」は主に王都や大都市に居住する貴族である。
王城周辺や王城内に屋敷・居室を構え政治的影響力を持つ宮廷貴族、貿易や金融業で富を築き王国のために貢献した商業貴族、代々行政職を世襲する官僚的貴族、騎士団や衛兵隊を率いる軍事貴族(貴族としての騎士)などが存在する。
この分類はあくまで便宜的なものであり、例えば商業貴族であっても王族からの分封を受けて領地を封建領主となることは可能である。
宮廷貴族・官僚貴族でありつつ軍事貴族としての性格を持つ者もいるだろう。
とはいえ、都市貴族は封建貴族と異なり、直接的な領地経営よりも政治力・経済力、軍事力を基盤として影響力を保持しているのが一般的であると言える。
領民からの税収などがない以上、経済力を蓄える手法は多種多様である。
親から領地を継承せず、都市貴族を選ぶ者もいる。その理由は様々であるが、当主になる見込みのないものなどが多い。
領地は持たずとも私兵等を持つことも可能であり、都市貴族であっても王国・王族に軍事奉仕を行うこともある。
古くから王城に仕える家系なども存在するため、必ずしも新興貴族ばかりではないが、比較的新しい貴族家が多いのも事実である。

現在の王位継承争いにより、これらの貴族間でも複雑な派閥争いが生まれており、封建貴族は各王家への軍事支援によって功績を上げる一方、軍務によって領地収入を圧迫されている家もあり(全ての封建領主がそうだというわけではない)、都市貴族は政治的立場により栄達と没落を繰り返している(全ての都市貴族がそうだというわけではない)。

封建貴族と都市貴族の間には、しばしば利害の対立や感情的な軋轢が生じることもある。
封建貴族は都市貴族を「実際の統治を知らない机上の空論者」や「成り上がりの守銭奴」と見下すことがあり(都市貴族にも長く続く伝統的な名家は少なくない)、都市貴族は封建貴族を「時代遅れの田舎者」や「非効率な古い体制の象徴」と軽んじることがある。
特に税制や軍事政策、王都の統治方針などを巡って両者の意見が対立することは珍しくない。
ただし、全ての封建貴族・都市貴族がこのような対立関係にあるわけではなく、むしろ協調している例も多い。

また、上述の区分に当てはまらない貴族の形態も存在し、爵位を世襲しつつも領地や官職を持たず、冒険者として遍歴的な活動する貴族なども存在する。

貴族に関する注意点
爵位の設定は存在しますが、あくまで「設定上」のものであって、PC間での厳密な序列などを設けるものではありません。
キャラクターの背景やロールプレイを行うためのインスピレーションを高めるための要素であり、サイト利用を困難にするものではありません。
爵位を設定することは必須ではありません。爵位に関して明言しないということはルール上全く問題ありません。
爵位を設定することが、サイト利用に際して不利益になるのであれば無理に設定する必要はありません。
高い爵位を得ていたとしても、家としては没落している場合もありますし、逆に爵位は低いが家としては豊かで力を持っている場合もあります。
こういった濃淡は利用者の発想が反映されるべき場所だと思いますので、あくまで爵位というのはフレーバーとして捉えてください。
現実世界における爵位に関する知識を持っている必要はまったくなく、そういった知識を持たないと貴族PCを作成できないというのはサイトとしてあってはならないことと考えております。
仮に爵位に関する豊富な知識をお持ちな利用者がいらっしゃった場合も、個々人の知識には違いがあることを理解し、柔軟に対応していただければと思います。

また「封建貴族」と「都市貴族」の区別も必ずしも必須ではありません。
貴族の分類に関して明言しないということはルール上全く問題ありません。
設定に深みを出したい場合などに言及するようなことを想定しておりますので、うまく利用できないと言った場合はぼかしていただくいても構いません。
現実の貴族制度について熟知している必要はないということです。現実の貴族制度をモデルにはしていますが、あくまでファンタジー世界の一要素として捉えてください。
利用しやすいように、あえて厳密に設定していない要素などもございますので、その点もご了解いただければ幸いです。
上の設定も全てを網羅できているわけではありません。抜けている点もあると思いますが、その場合は良きようにご対応いただければと思います。


王族

マグメール王国における「王族」とは、かつてマグメール王国を建国したと言われる“諸王”(諸王の「王」は国王のことではないが、建国の重要な寄与をした者たちとして尊崇の念を込めて「王」号が伝統的に用いられている。諸説あるが、八名であったとも伝えられる。)の末裔のことを言い、「国王」となる権利を有する。
実際に“諸王”との血縁的なつながりがあるかは別として、原則マグメール王国の「王族」「王家」は“諸王”の末裔とされており、多くは“諸王”との擬制的な祖先/子孫関係となる。
歴史の中で“諸王”の末裔として多く家が分化したとされているため、王族の数は多く、必ずしもそれぞれの王家が血縁関係にあるとは限らない。
現実に“諸王”と直接的につながる王家がどれほど存在するかは不明であるが、その正当性の根拠は“諸王”の末裔であるということ。真偽は別にして、血縁上にあると認められることが必要となる。
歴史の中では、もともとは王家出身でなかった者が、戦争などにおいて軍功を上げた後に“諸王”の末裔であることを自称し、王族となった例も存在し、後世になればなるほど系譜の造作は当然のように行われ、王家も増え、国の乱れの表れとも言える。ただ、そうであっても「王族」と称するには“諸王”の末裔であることを宣言しなければならない。

「王族」は貴族よりもさらに上位の身分であり、この国の最高統治者である「国王」となる権利を有し、国王を除けばこの国でもっとも強い権力を持つ。
また、「国王」は「王族」の中から選ばれるが、その即位は前代の王との血縁関係による嫡子相続・兄弟での相続などではなく、王族・群臣による「推戴」(レガリアの奉献も付随する)という形式をとる。
王位につくことのできる性別は決まっておらず、男の王族でも女の王族でも即位は可能。国を治めるべき徳と能力を持った王族が「国王」となるべきであるとされる。
先代の王の意向を中心に、王家・群臣が合議して次代の王を決めるのが、初代国王以来この国の伝統的かつ法典によって定められた王位継承の方法であったが、
“黒の王”ナルラート王の御代以降、国王は自らの家の者に次代の王位を譲ろうと画策することが多くなり、王家間、また貴族層も巻き込んでので争いになることが常態化している。
本来は王族や群臣による合議を経た「推戴」によって、有徳の王族の者が「国王」として位につくという形だったものが、王族間の権力闘争の結果の即位という形へと変化した。
王族・群臣による「推戴」は形骸化したものの、「推戴」という形を内外に示す行為はたとえ形式上のものであっても必ず行われている。
現在もっとも力を持つ王族は先王の家である「カルネテル王家」(ナルラート王の出身王家とされるが出自に不明な点が多い)である。
なお、国王の即位に関する設定などは「マグメール国王の即位形態」を参照。

その王族といってもその勢力は様々で、巨大な勢力を持つものもあれば、かなり小さな王家もある。
騎士団、魔術協会などの武力を持つ家もあれば、政治的な計略に長けた家など様々である。
また、近年は王位継承の争いにより、様々な陰謀などが王城などでは飛び交っている。
計略にはめられてしまった結果、王族から一気に奴隷へと落ちてしまう姫なども存在している。
騎士として戦争に向かう王族も少なくなく、変わり者は冒険者などにもなることがある。
基本的に平民などに対しては、身分の差を示した態度を取ることが多いが、そのような王族だけではない。
王国に逗留する外国の王族も「王族」に準ずる待遇を受けることになるが、国賓のようなものであって当然ながら王位継承権は有さない。

王族は基本的に王都の王城などに住むことが多いが、中には辺境の地に領土を持つ王族もいる。
そのような王族の場、王位継承の争いなどからは遠い存在であることが多い。地方領主のようなものとなる。
権力闘争などを忌む王族は王都から離れ、地方にて領土を持つ例が多い。ただし、そう言った王族であっても王位の継承権は当然存在するため、
王位継承の争いに担ぎ出される可能性も十二分に存在する。

※カルネテル王家に所属する場合は、そのPCは同じ所属のPCと親子、兄弟など血縁関係になります。
 他の王家でも血縁関係の設定などは可能です。個々人でご相談ください。
 様々な王家が存在する設定なので、王家についてはご自由に考えてくださって構いません。


冒険者

ギルドや個人から依頼を請け負い、それを解決して金銭などの報酬を貰い、生活をしている人々のこと。
財宝などを求めてダンジョンに潜る者たちも冒険者と呼ばれる。
冒険者という身分があるわけではなく、職業のようなものである。時代に要請されたなんでも屋。
そのため、どのような身分でも冒険者になることは可能。ただし奴隷の場合は色々と困難があるだろう。
依頼については魔物退治から子守りまで様々である。
王国民、外国人ともに冒険者になることは可能だが、全ては自己責任であり、冒険者などのギルドを除けば、依頼中に起こった出来事は全て自己責任となる。


兵士/騎士/傭兵

諸外国や野盗、山賊、魔物や魔族などと戦う者たちのことを言う。
冒険者と異なるのは戦いを専業としている点である。王立の騎士団から私設の兵士団など官民は問わない。
それぞれの都市などに兵士や騎士はおり、その場所によっても性格は異なる。衛兵として街や村を守ることも使命の一つ。
将軍などの階級も存在することが多い。
しかし、王都の兵士や騎士団は腐敗しつつある。
身分も様々で、平民から貴族、王族、奴隷まで様々な者がこの職務に従事している。
傭兵は金を支払えば仕事をこなすものの、略奪なども行うことがあり、治安の悪化に一役買っている。


奴隷

言葉通りの奴隷。様々な理由により人々に金銭で売り買いされる者のことをいう。
基本的な都市には奴隷市場などが存在していることが多い。
代表的な奴隷は「ミレー族」であり、そのほかにも。罪を犯したとされるもの、政争に負けた王族・貴族、
野盗に囚われた平民など様々である。
基本的に労働力や性の奴隷とし不当な扱いをされることが多いが、全ては雇い主次第である。
心ある者に買われ、不当な扱いを受けずに過ごす奴隷などもまれに存在する。
ある程度自由に外を歩ける奴隷などもいるため、奴隷と一言にいってもその状況は様々。


ミレー族

マグメール王国が建国されるより前からこの国の地に住んでいた先住民。少数民族。
基本的な生活様式は遊牧民のようなもの。かつては王国と比較的友好関係を保っていた。
この地域の創世神とされる「アイオーン」を信仰しているものが多い。
山や荒野などに住むことが多く、身体能力は高い者が多い。
寿命は人間とあまり変わらないが、中にはかなり高齢の者も存在する。
外見は人間とほぼ同じだが、特徴としては動物的な要素を体に持っている。
基本的には猫の耳や尻尾のようなものを有している。部族によっては違う動物であることもだるだろう。
これらの特徴を晒せばミレー族だと王国民に知られるものの、服や魔術などでこの特徴を隠すことも可能。
特殊な能力を民族全体で有しており、土地の精霊、妖精などと言葉を交わすことができる。
かつては「神の声」を聴くとされ、予知能力なども有していたが、この国で祀られる主神が「ヤルダバオート」に変化すると、「神の声」は聞こえることがなくなった。

200年前のナルラート朝より以降、王国の奴隷とされている。
労働力としてはもちろん、性的な奴隷として個人や娼館に売られることもある。
元来強い魔力を保持しており、魔術を自在に操る者が多い。
そのため、奴隷となった場合にはその魔力を封じられることも少なくない。
予知能力、強大な魔力を危険視したナルラート王により迫害され、奴隷とされる。
さらには、ナルラート王が信仰した「ヤルダバオート」という神を「偽なる神」と呼び、忌み嫌ったためであるとも言われる。
「アイオーン」という神は既にこの国から去り、今は邪神「ヤルダバオート」がこの国に悪影響を与えているという伝承を持つ。
奴隷にならずに住んでいるミレー族は、山などに小さな集落を幾つか作って、ひそやかに暮らしている事が多い。

奴隷として虐げられることが普通であるが、王国民の全てがそうというわけではない。
平民、貴族、王族問わず心ある者は存在し、それらに拾われた場合は、普通に暮らしていくことも可能である。
ただし、ミレー族と公言して生きることは難しい。自分の出自は偽ることが多くなる。
王族の中には、ミレー族を妻や夫とした者もいる。その場合、その子供は王国民と混血となるが、ひとたびそれが知れれば双方から忌み嫌われる存在となる。
なお、奴隷は王国の立派な労働力・財産であり、虐殺などは堅く禁じられている。

いつしか「アイオーン」がこの地に帰還し、 救世主ソーテールを使わして「ヤルダバオート」を倒すという伝承も持っている。
ミレー族の中にはこの伝承を強く信じているものもいるだろう。だが、これらの伝承を信じていないものも同様に存在する。
本来「まれびとの国」とは、先住民であるミレー族が王国を指して呼んだものである。


妖精/精霊/小さき神々

土地土地に存在する不思議な存在である。その姿形は多種多様。
普通の人間には見えないものから、見えるものまで様々である。
人間の味方をすることもあれば、そうでないこともあるだろう。現れる場所も様々だ。
精霊はいわゆる土地神のようなもので、人型から龍の姿までこれまた様々。
しかし、魔族の侵攻の影響などから、かつてのような強い力を発揮できる精霊はほとんどいない。
一地方のみに力を及ぼす土地の神などは「小さき神々」と呼ばれることがある。


魔族

北の「魔族の国」からやってくる者たちを指す。
普通の魔物なら王国内に数多くいるが、魔族はそれらとは一線を画している。
人間と同じ、あるいはそれ以上の智慧を持ち、強大な力と魔力を有す魔物。
それが「魔族」である。
彼らはナルラート朝が始まるのと同時期に王国に侵攻し、今でも国境付近で王国軍と戦闘を続けている。
魔族の姿は様々であり、人に似ているものから全くの異形など、統一された姿は存在しない。
彼らは伝説の中に謳われる吸血鬼や悪魔、魔王のようなものと言える。
王国内にも潜んでおり、ダンジョンなどの中で人間を待ち構えていることもあるだろう。
王都の役人の中にも魔族はいると言われている。
しかし、「アイオーン」の加護がかすかに残る王国内では魔族は真の力を発揮できない。
人間にとって強大な存在には違いないが、王都を壊滅させたり、都市を崩壊させることは未だできない。
また、あまりに派手に暴れていると討伐隊が王都から派遣されることもある。

人間を捕えて弄ぶ者も多いが、逆に人間に捕らわれる魔族も存在する。
その場合、力を奪われて奴隷にされることが多い。


帝国公主

シェンヤン帝国よりマグメール王国の王族や貴族に降嫁させられた皇女や皇族の女を「公主」と呼ぶ。
いわゆる「和蕃公主」であり、公主たちはマグメール王国の王族と同様の待遇を与えられている。
公主たちの中には本物の皇女・皇族の女もいるが、偽の皇女・皇族の女であることも少なくない。身分を偽って公主として潜入した者たちは、間者としても機能している、
王国の混沌を加速するために送られた公主たちであるが、腐敗した貴族の玩弄の対象となる者もいれば、王国側に寝返るような公主も現れており、一様ではない。

帝国公主 詳細設定

マグメール王国は、かつての黄金期から一転し、王位空位の混乱期を迎えている。
ナルラート朝の暗黒時代以降、政治腐敗が進み、王族間の権力争いが激化し、魔族の国との戦闘が続く中、シェンヤン帝国との国境付近でも小競り合いが絶えない。
このような状況下で、帝国側から皇帝の娘、あるいは皇族の女である「公主」※1たちをマグメール王国の主要な王族(一部有力貴族も含む)たちへ降嫁させたいという申し入れがなされた。
いわゆる「和蕃公主」 ※2であり、これまでの王国と帝国の歴史の中で前例は数例存在した。しかし、その数は先例の比ではなく、これほどの大規模な公主の降嫁は異例である。

武断政治を旨とし、王国への強い敵対の姿勢を見せる始皇の政策としては異例・不自然なものであり、王国側としても唐突なこの申し入れには困惑を見せ、何かしらの策略を疑うものも少なくなかった。
依然として国境付近では王国と帝国の戦闘は続いており、戦争が終結したわけではないのである。互いに一進一退の攻防を繰り返しており、帝国が王国を懐柔する必要性は薄い。
理由として考察されたのは、両国の亀裂による破滅的で大規模な戦闘の発生を防ぐため、あるいは始皇が病臥したために時間を稼ぐためなどであった。

唐突な申し入れであり、王国内には混乱が巻き起こり、受け入れの可否について日夜議論が続けられた。
受け入れを許可すれば何かしらの罠や間者の流入を招く可能性があり、拒否すれば帝国との大規模な戦闘の発生が予感されたのである。
先代の王による大規模な戦争による傷跡は完全に癒えたわけではなく、王国には帝国との大規模な戦闘を行う余裕は存在しない。
結論がでないまま議論は続けられたが、遂にカルネテル王家の当主の働きかけにより主要な王族を中心とした王族会議が行われ、公主達の受け入れが決定された。
カルネテル王家の当主が、実質的な帝国側の恭順の態度の表れであるなどと称したことが王国内の王侯貴族内に伝わっている。
こうして、王国への帝国公主の受け入れは決定した。

すぐに公主受け入れ決定の返答は帝国側に伝えられ、数日後には公主達やその侍女・付き人達を王国へと送る大規模な一団が王都入りすることとなった。
帝国風の玉輦・輦車が王都内に列をなし、王城内での大規模な迎賓の宴が行われ、王城や富裕地区では結婚が決まった王侯貴族と公主のための婚礼の儀が連日のように開かれている。
公主受け入れの当初は、唐突な申し入れとであったために王国側ではどの王族(あるいは有力貴族)と公主を嫁がせるかという準備も十分にできていなかった。
そのため、王城内では王族と公主を婚姻させるための宴が毎日開かれている。
公主は誰もが高い器量・美貌を備えており、それを品定めする王族や有力貴族たちの姿をその宴の中で見ることができる。
公主の護衛や監視のために王国軍や騎士団の人員も一部割かれることが決定した。

その美貌によって内外に名の高い「秦昭君」はカルネテル王家の当主の妻の一人として迎えられた。その美貌・色香に惑わされたカルネテル王家当主は長く閨に籠もる日々が続いている。
これによりカルネテル王家の力は若干弱まり、対抗王侯貴族にとってはチャンスとも言える状況が発生した。同時に、カルネテル王家内の力学も変化が生じ、内部での権力争いも激化の様相を呈し始めている。
王国の王侯貴族の中でも良識のあるものたちは警戒を強めつつある状況だが、腐敗した王侯貴族たちは公主降嫁を政争の道具として積極的に利用しようと画策を始めている。
帝国側から実質的な生贄として差し出された公主もおり、そういった弱い立場の公主は王城内でも腐敗した王侯貴族たちの玩弄の対象となっている。
帝国としても帝国の益につながらない皇族を処理できる良い機会であったと言えるだろう。

公主降嫁によって帝国側に密かに利権を持つ親帝国派の王侯貴族達の影響力が増し、彼らによる帝国との宥和政策が論じられるようになり始めており、国民の間でも厭戦的な空気が広がりつつある。
もともとシェンヤン帝国との戦争は先代の王の強権により強行されたようなものであり、十年以上に渡る戦争は王都の国民達を疲弊させていたのである。厭戦論はそういった国民たちに受け入れられた。
こういった動きに対し、公主降嫁は親帝国派の手引きではないかという指摘も広がりつつあり、王国内での政争の火種がここに落とされた。
王国の国境に住まう国民や戦いを続ける王国軍や騎士団の中には降嫁受け入れの決定に不満を持つものも少なくない。
帝国と境を接する辺境を領する王族や貴族の一部には王都のこの決定に強い不服を唱える者もあり、王都との亀裂が発生しつつある。

降嫁先がまだ決まっていない公主たちも王城にて王国の王女と同等の待遇を受けて過ごしている。そのような公主たちと王侯貴族との交流も行われつつある。
国境付近における散発的な戦闘は未だ続けられてはいるものの、両国の緊張は一時的に緩まり、帝国との戦闘は収まりつつある。

城下や周辺都市においても公主降嫁の影響が現れている。
公主の侍女や付き人、すなわちシェンヤン人が多く王国内を闊歩することとなったのである。
それらに対する監視の衛兵も多く配置されているが、在王国のシェンヤン人の全てを監視することは現実的ではない。
侍女や付き人に扮した道士や間者が王国のために諜報活動を行い、始皇の求める仙薬の材料などを九頭龍山脈に求めに向かうということも行われている。
その活動は一部王国側に察知され、捕らえられた侍女や付き人への尋問も行われている。
ただし、貴人の従者たちであるため極刑が下されることはない。暗殺などの直接的な行動に出た場合は勿論別であるが、そういった行動を起こす従者はまず存在しない。
公にはされていないものの、立場の弱い公主への尋問も一部では行われている。

王都の王国民とシェンヤン人の文化的な交流が盛んになりつつあり、王都内では一種のシェンヤンムーブメントというべき現象が発生している。
シェンヤン風の衣服や音楽、料理が流行しはじめており、商人たちにとっては大規模な商売の機会が訪れたとも言えるだろう。
公主やその付き人への監視の目はあるものの、上記の厭戦論によって王国民と在留シェンヤン人との交流は深まりつつある。
帝国から王国へと降嫁させられた「秦昭君」を悲劇の美女として描いた演劇や詩がいくつか作られ、それによって国民の一部には「秦昭君」を悲劇のヒロインとして祭り上げる動きさえ見られる。
ただし、帝国との戦争で家族を喪った者も少なくはないため、厭戦派の国民と継戦派の国民の間でも溝が生まれつつある状況である。

なお、マグメール王国ではその例は少ないものの女王の即位も認められている。
そのため、マグメール王国の女性王族の婿として帝国の男性皇族も今回の公主降嫁に合わせて王国へと送られた。
ただしその数は公主と比べるとかなり少なく、彼らが公主と呼ばれることもない。
単に「皇子」と呼ばれるのが基本である。

現在は公主の受け入れからある程度の時間が経っているおり、大規模な公主の受け入れも今は落ち着いている。
しかし、今もなお時折帝国から公主が降嫁することがあり、その際には受け入れのための式典やパレード、祝賀の儀などが行われる。
王国の王族や貴族たちも公主を政争の具として扱うようになり、あるいは公主に誑かされての陰謀を巡らせる者もいる。完全に帝国側にしてやられているという状況というわけでもないが、宮廷の混沌は加速した。
公主のあり方も様々であり、帝国への忠誠を保って帝国側に情報を流し間者を手引する者もいれば、王国側につき帝国の情報を流す者もいる。このため、公主間でも暗闘が繰り広げられていると見られている。
また、帝国内でのミレー族こと「神獣族」も王国や王都内に公主の護衛や侍従などとして入ることとなった。王国内ではミレー族は奴隷としての扱いを受けるが、公主の付き人である「神獣族」を王国側が「表向き」そのように扱うわけにも当然いかず、ミレー族を奴隷視する傾向のある王族や貴族の間では、屈辱感や不満が高まっている。
これまで帝国は、王国の感情を逆撫でしないため、使節に「神獣族」を送ることは極力避けていたが、此度の公主降嫁はその流れとは逆行するものである。ある種の挑発とも言えるだろう。

※1公主……皇帝の娘すなわち皇女のことを指すが、皇族の女も公主と呼ばれることがある(モデルは中国の歴史上存在した「公主」ですが、これについての知識は必要ありません。ここに書いたことが全てとなります。漢代の公主は皇帝の娘だけでなく諸侯王の娘も「公主」と称されたため、ここでは皇族の女も「公主」として扱われるということにしています)。

※2和蕃公主……帝国周辺諸国の異民族(蕃)を懐柔(和)するために異民族の君主に降嫁させられた公主のこと。本来は君主に嫁ぐが現在のマグメール王国の王位は空位であるため、諸王族(場合によっては有力な貴族にも)に嫁がされることとなった。人質の一種とも言えるだろう。帝国の皇族たちであるためその扱いは基本的に鄭重であり、帝国風の装いや生活も保障されている。取り扱いを間違えれば帝国との大規模な戦争にもなりかねないためだ。ただし、現在の腐敗しつつある王国では必ずしもこれが守られるとは限らない。

帝国から王国に送られた公主たちの多くは、実際には皇帝の娘や皇族の女ではなく帝国貴族の娘や間者の類です。一部本当の皇女あるいは皇族の女なども送られているという設定になります。
シェンヤン帝国より送られた公主やその付き人として王都の王城などで生活して頂いて構いません。帝国側の新規PCの登録も勿論可能です。
嫁ぎ先の王族についてはNPCで設定して頂いても構いませんし、募集していただいても構いません。
王国側の王族や有力貴族もNPCとしての公主を娶ったと設定することも問題ありません。PC同士でそのような関係を築く場合の相談などについてはご自由にどうぞ。

公主やその付き人は間者としての活動や工作員として活動していただいて構いませんし、異民族に嫁がされた悲劇的な公主を演じて頂いても構いません。王都の城下などを移動することも可能とします。
不穏な働きがあったとして王国側よりの尋問などを受けることも問題ないものとします。それらの点については自らの希望に合わせご調整ください。
ただし、王国の権力全てを掌握したり、秘匿されているであろう情報の全てを帝国に送ったりなどの王国の存立を大きく揺るがすような行動についてはご遠慮ください。基本的なルールについては通常と同じです。
一部の公主や侍女・付き人は帝国の間者であることを暴くというのも可能ですが、公主全体の陰謀を暴くなどの動きはご遠慮ください。

◆公主の姓について◆
形式上、公主は皇帝の娘、皇族の女となりますので姓は「秦」となります。
公主としてPCを登録する場合は姓は「秦」とするか、名前のみの登録をお願いします。
公主に扮する帝国貴族の娘や間者を登録された場合は姓については「秦」である必要はもちろんありません。


その他

これらの人々の他にも、王国には娼婦や盗賊、魔術師などが存在する。
その他にも耳長の種族など、多種多様な種族、民族が王国内に存在している。


マグメール国王の即位形態について

PC/NPCがマグメール国王として即位することはできません。あくまで世界観の広がりの一つとしてお捉えください。
国王として擁立しようとする動きがある、国王即位を狙っている、などの設定は何ら問題はありませんが、実際に即位することはできません。
即位形態についてはフレーバーとしてお考えください。当サイトの利用のために必須の情報というわけではありません。


国王の即位

 マグメール国王の即位については、肇国の際に、初代国王によってその基本が作られたと伝承される『プレーローマ法典』の「即位令」に規定が存在する。また国史にも古代のマグメール王の即位式が記されているため、(古代の王の実在性などは別として)古代の王の即位についてうかがい知ることができる。
 現在でもその「即位令」の内容は古代のものと大きく変わってはいない。王位継承権を持つのは当然のことながら「王族」※1 に限られる。マグメール王国の国王の即位は、王族・群臣(古代語でマヘツキミなどと読む)による推戴という形を取る。有徳の王族の者が、群臣たちによって推戴され、王位につくのである。
 「推戴」という形は、初代国王の即位神話がその元とされ、その形を当代まで踏襲し続けてきたということになる。
 マグメール初代国王は“諸王”(諸説あるが、八名であったといわれる)の中の一人であり、マグメール王国建国の際にもっとも突出した働きをし、“諸王”の中心的存在となったため、“諸王”や臣下たちからマグメール王国の王となることを望まれ、群臣からの「推戴」という形で、神から“諸王”に授けられたといわれるレガリア(王位の証)である「オグドアスの剣」※2を奉られることによって初代国王へと即位した。
 初代国王は子を残すことなく崩御したため、初代国王の末裔は存在せず、これに連なる「王家」も当然存在しない。初代国王の末裔を詐称することはマグメール王国では最も重い罪となる。初代国王は“諸王”の中で唯一、創造神たる「ヤルダバオート」(ナルラート朝以前の神話では「アイオーン」とされる)の子とされ、「肇国の聖王」などと呼ばれ、特別な尊崇を国民から受けており、一種の神・聖人として扱われている。
 この初代国王は自らの血縁を後継者とせず、『プレーローマ法典』の原型を作った際に、マグメール国王は群臣の推戴によって王位につくと規定した。その為、二代目の王も初代国王の縁者からは選ばれず、“諸王”の中の一人が群臣より推戴され、レガリアを奉られ、国王へと即位した。この伝承と規定が今でも受け継がれ、マグメール国王は群臣の推戴を受け、群臣からレガリアを奉じられる事によって、初めて国王へと即位できるのである。
 これら即位の規定や伝承についてはナルラート朝以前までは固く守られてきたものの、ナルラート王による国史の改竄などの影響があり、現在では理念上のものとして存在するのみとなっている。群臣の合議による王の選定、推戴などは形式上のものへとなりつつある。


王国における「王族」

 この「王族」については、マグメール王国を建国した“諸王”に連なる伝統ある「王家」出身の王族のことである。現在ではその実際はどうであれ、形式上「王家」のほぼ全ては「諸王」に連なる末裔ということになっているため、基本的に「王族」であれば王位継承権を有しているということになる。
 "黒の王”ナルラートが、その由来なども明確ではない「カルネテル王家」の出身でありながら王位についたこともその一例である。“諸王”に連なる系譜は力があれば改変は可能という状況になってしまっている。もとは臣下でありながら、軍功を挙げて「王族」になった例も存在し、その場合であっても“諸王”の末裔と称することは平然と行われた。
 もちろん、王位継承権があるからといって王族の誰でもが王位につけるわけではない。群臣や他の王族の「推戴」が必要である。高貴な家柄かつ、有徳の者であるという条件も存在する。少なくとも、理念上はそうなっている。当然、前代の王の意向なども汲まれることになる。
 「推戴」も、理念上は王族や群臣の合議の上、有徳の王族を「王」として選び、「王」としての即位を請うという形になっているものの、ナルラート朝以降はこれも形式上のものとなり、王位継承の争いが、それぞれの時代において巻き起こっていくこととなった。本来は前代の王と次代の王の血縁関係はシステム上重要視されないのだが、それぞれの「王家」の力の増大のため、王位の相続はその時代の王の直系の子息に継がせようという動きが当然となり、次代の王を決めるために王城内での権力闘争、陰謀は今となっては珍しくもない。
 最終的に王位につくのは、強大な力を有し、力ある群臣を取り入れ、他の臣下や王族に「推戴」という形を強制的に取らせることのできる者ということになる。なお、特に力のない王族であっても、それを王に即位させ、傀儡として扱おうと画策する貴族も存在する。
 マグメール王国における王族とは、伝説上の“諸王”の末裔を祖先とする歴史と伝統ある家に所属するもののことである。実際に末裔であるかどうかは別であり、擬制的な祖先と末裔の関係であるといえる。


オグドアスの剣

 オグドアスの剣は、マグメール王国の王の象徴である神剣。ヤルダバオート(本来の神名はアイオーン)から“諸王”に授けられたものであり、マグメール王国建国に当たり、様々な力を発揮し、“諸王”を助けたとする逸話が数多く残る。かつてマグメール王国建国以前に、この地に存在したといわれる邪悪な神を葬り去った剣とも伝えられる。神から“諸王”に与えられた後、“諸王”たちによって鍛えられ、剣身には八つの刻印が施されている。一説には“諸王”は八人おり、それぞれの名を記したとも伝えられる。
 もともとは“諸王”が共有する剣という扱いであったが、初代国王即位の際に、王の証として“諸王”と群臣から奉られたことにより、レガリアとして扱われることとなった。「肇国の剣」と呼ばれ、代々の国王即位の際に、群臣から奉られることとなった所以はこれによる。王城守護、国家の安寧の象徴としても扱われた。
 初代国王から連綿と代々の国王に伝えられていたが、ナルラート朝に到り、ナルラート王に奉られた後にオグドアスの剣は忽然と姿を消したとの風説が流れる。ミレー族の一部では、ヤルダバオートの化身である“黒の王”が剣を破壊した、あるいはどこかへと隠したと語られているが、国民の間では信じられていない。しかし、ナルラート王の御代にオグドアスの剣が消えたのは事実であり、現在レガリアとして扱われているオグドアスの剣はレプリカである。一部の王族や貴族は、本物のオグドアスの剣を国内外にて探し求めている。

 また、本来レガリアはオグドアスの剣だけではなく、「盟約の璽」と呼ばれる玉璽も存在し、オグドアスの剣と「盟約の璽」の二つが王権の証であった。この「盟約の璽」とは、初代国王がマグメールの先住民であったミレー族を束ねる伝説上の長(チァベ・コィキ・ミレヱ)と盟約を結んだという神話に由来するものである。初代国王が、マグメールを侵していた邪神をミレー族の長と協力して滅ぼした際に、マグメールの一部をミレー族の長から譲られ、その土地をマグメール王国とし、その際に結んだ盟約の証として、ミレー族の王から奉られた玉璽が「盟約の璽」である。その盟約とは、互いにそれぞれの国を侵さぬこと、そして再び悪しき神が現れたときに民族の壁を越えて共闘することである。
 オグドアスの剣とともに、肇国にまつわる重要な証として、代々マグメール王にレガリアとして「盟約の璽」は受け継がれてきた。  ただし、この「盟約の璽」にまつわる神話は、現在マグメール王国のいかなる書物を紐解いても発見することはできない。「盟約の璽」も既に存在せず、レガリアとして扱われることはない。これは、ナルラート朝のミレー族奴隷化政策の一貫として、この「盟約の璽」についての一切の記述が国史の改竄により削除され、「盟約の璽」も破壊されたためである。現在は、ミレー族は建国の際からマグメール王国に隷属する存在であったと語られている。この国史の改竄は非常に徹底され、マグメール王国民はいうまでもなく、ミレー族であってもこの伝えを知る者は多くない。
 マグメール王とミレー族の族長の盟約は既に歴史の闇へと消えた。それとともに、「盟約の璽」も存在を抹消されたのである。


周辺諸国

北方帝国シェンヤン

シェンヤン帝国は、マグメール王国の北方に位置する強大な専制君主制国家である。
現在の皇帝「始皇」の統治下で史上最大の版図を築き上げ、周辺諸国を圧倒する力を誇っていた。
しかし、齢100を超える超人的な存在である始皇の病臥により、国内の政情は徐々に不安定化している。

帝国の政治体制は皇帝による強烈な武断政治であり、始皇の権威と武力によって長らく官人の腐敗も抑制されてきた。
だが始皇が継嗣を定めないまま病に臥すようになると、多くの皇子・皇女による激烈な皇位継承争いが表面化し、権力闘争と腐敗が帝国内に広がり始めている。

文化的には「地球」で言うところの「東洋」的な特色を持ち、黄龍を国家のシンボルとしている。
宗教面では「天教」が主流で、天君・地君・人君の三聖を崇拝する多神教である。
魔術体系も独特で、道術や仙術と呼ばれる術が発達している一方、王国で産出される魔導機械や魔術鉱石は帝国内では一切手に入らない。
また、帝国には仙人・真人と呼ばれる超越的存在や、大妖・妖怪・妖仙といった怪異的な存在が潜んでおり、特に「封仙宮」と呼ばれる妖仙集団が帝国転覆を画策している。

マグメール王国とは10年以上にわたる「蓋天戦争」を継続中である。
この戦争は王国の先代王による帝国征服宣言に端を発したが、現在では始皇が九頭龍山脈で産出される「辰金」「朱金」を求める不老不死への執念が戦争継続の真の理由となっている。
戦争状態にありながらも、商人や旅人としての交流は存在し、両国民が相互に捕虜として奴隷化される状況も生まれている。

なお、帝国内のミレー族は王国とは対照的に「神獣族」と呼ばれ、奴隷階級としての扱いを受けていない。
故に、差別を受けることなく本人の努力次第で高位に就くことも可能である。

シェンヤン帝国 詳細設定

溥天の下、皇土に非ざる莫く、率土の濱、皇臣に非ざる莫し
マグメール王国の周辺諸国の中で、現在もっとも権勢を誇る国家。
「シェンヤン」という国号は帝国の首都の名前から取られている。
専制君主制であり、国家の元首はかつては「王」とされていたが、
現在の王が即位するとともに、「皇帝」と君主号が変わり、強大な政治権力と武力を保持する。
その「皇帝」が治める「帝国」が「シェンヤン」である。

マグメール王国の北方に位置し、周辺諸国を吸収合併しながらその版図を日に日に広げている。
周辺諸国や魔族との戦争に明け暮れ、政治も腐敗しつつあるマグメール王国を圧倒しつつあったが、現在は圧倒的な力を持つ君主である「始皇」の病臥により、国内は徐々に乱れつつある。
貴族制度が敷かれ、身分の区別、上下関係は厳しい。この点は王国と同様といえる。

皇帝の下に「大政官」※と「大祭官」が置かれ、「大政官」は皇帝の政治を輔弼し、「大祭官」は皇帝の祭祀を輔弼する。
この二官のもとに多くの省庁が存在し、百官を擁する。
基本的に政治は「皇帝」自身が行うものとされているため、臣下はそれを「輔弼」することになる。
しかし、「皇帝」が行う政務は国家規模のものであり、都市規模などのものは臣下に一任される。

軍権も皇帝が掌握しており、軍の長は当然皇帝である。
ただし、高官の多くは私兵を持っており、軍閥も存在する。

皇帝の武と徳によって世界の「徳化」、統一を行うことが国是とされ、国家を支える思想にもなっている。
マグメール王国のことを蔑んで「南蛮」と呼ぶこともある。
「地球」における「中華思想」/「王土王民思想」に近しい「皇土皇民思想」という統治観念を帝国は有しており、「溥天の下、皇土に非ざる莫く、率土の濱、皇臣に非ざる莫し」※という、帝国で有名な詩集に登場する言葉にその思想が表れている。地上の全ての事物、人民は皇帝の支配下にあるという考えである。
故に、「皇帝」と帝国にとっては、理念的にはマグメール王国も帝国の支配下にあるべき存在であり、帝国の臣民であるべき存在である。当然、マグメール王国側はこういった歴史観を帝国と共有していない。
※『詩経』小雅「北山」に見える「溥天の下、王土に非ざる莫く、率土の濱、王臣に非ざる莫し」という句を改変したものです。

帝国領内も広大であるため場所によって気候は様々である。
国土の特徴として深山幽谷が多く存在しており、そのために帝国は攻められにくく、帝国の者たちは安全なルートを熟知しているために、帝国内の移動には支障は生じない。

通過単位は「金」。価値は王国の「ゴルド」とほぼ同様。
※「太」政官ではない。読みはダイセイカン。

帝政
現在の皇帝は「始皇」と呼ばれ、名前で呼ぶことは不敬であるとされて、強く禁じられているため、皇帝の名前を知るものは殆どいない。姓は「シン(秦)」といわれる。
「始皇」たる所以は、君主号を「王」から「皇帝」に変え、「シェンヤン」の歴史の中で最も巨大な領土を有す「帝国」を築いたためである。
強烈な武断政治であり、皇帝の命令は絶対とされる。帝国の歴史の中で最大の繁栄を築き上げたために、臣民から神のごとき扱いを受けている。
後宮を設けて、非常に多くの后を抱えている。後宮には男性器を切除した男性文官(宦官)が仕える。

皇帝に恭順するものには寛容を見せるが、逆らう場合には容赦がされることはなく、皇帝の軍隊は非常に強力な忠誠心で主と結ばれている。
「始皇」自身も超人的な力を持っているとされ、既に齢は100を越えているはずであるが、未だに壮健であり、壮年の容姿を保ち続けている。

他国からの刺客を自ら打ち倒し、国内にどれほど巨大であれ、魔族の類の影響を一切及ぼさせていないという事実もまた彼の伝説を強化するものとなっている。
帝国が魔族の国と接していないためでもあるが、国境の警備や、不審な人物への対処が徹底しているためでもある。
さらには、帝国内の神性は今だ健在であり、マグメール王国とはその点で状況が大いに異なる。魔族が帝国領内に入れたとしても、その力は普通の人間程度に落ちてしまうだろう

王位継承は近代以降安定しており、これまでの歴史で一つの王家のみが王を輩出してきた。
王位継承争いも当然発生したが、最も強い力を持つものが国の主となってきたため、長期間に及ぶ継承争いは行われていなかった。
しかし、現在の「始皇」があまりに強大な力を有し、帝王の資質に長けているため、次代の皇帝について、皇帝周辺では不安の声が上がっている。

「始皇」は継嗣を定めておらず、自らの死後に最も力のある皇子・皇女が皇帝の座に着くべきであると公言しており、激烈な皇位継承争いが勃発するのは既に目に見えているからである。
「始皇」には多くの子・孫がおり、その才能の程度は様々であるが、皇位を狙う者は多く、既に次代の帝位をめぐっての争いが起こりつつある。というより現に発生している。

「始皇」は未だ壮健な姿を保ち、精力にも満ちているといわれるが、近年は病臥することが増えている。
皇帝の権威と武力による強烈な武断政治のもとでは、官人の腐敗も進むことはなかったものの、「始皇」の病臥により彼の目が届かなくなりはじめたため、腐敗や権力闘争も勃発し始めている。
皇位継承の争いも表面化し、既に帝国はその争いを抑えることができなくなりつつある。

戦争
これまでの歴史の中で王国と幾度と無く衝突し、互いに強いライバル意識を持っている。
王国とは互いに不干渉を貫いた時期もあったが、200年前のナルラート朝に大規模な戦争が勃発し、両国に多大な被害が出、双方ともに軍を引いたために決着はつかないままであった。
その後は以前のように互いに不干渉、あるいは比較的友好的な関係を築き上げてきた。国境付近での小競り合いはあったものの、ナルラート朝のときのような大規模な戦争に発展することはなかった。

しかし、マグメール王国の先代の王が即位するとともに状況は一変した。
「ナルラート王」を理想と仰ぐ先代の王は、「シェンヤン帝国」を強く敵視し、彼の国を征服することを宣言した。
こうして始まった「蓋天戦争」(開戦直後に両軍の魔術部隊が激しい魔術合戦を繰り広げた結果、主戦場となったハテグの丘の空が粉塵と暗雲に満ちて、
天を覆う蓋のようになり、主戦場付近が数日間闇に満ちたことから「蓋天戦争」と呼称されることとなった。)は、現在も続いており、既に10年以上の時が流れている。
マグメール王国の先代王が崩御した後も戦いは終結を迎えることなく、今もハテグの主戦場を中心として、戦闘が続けられている。講和などを結ぶ機運も殆ど見られない。

開戦当時は王国/帝国ともに多くの都市が戦乱に巻き込まれたが、現在はハテグの主戦場を主な舞台としての戦闘に終始しており、互いの領内が侵されることは殆どなくなっている。
すでに開戦から10年以上の時を経ているため、半ば惰性で戦っている場合が多く、先述した「始皇」の病臥のこともあり、帝国軍は現在大規模な攻勢を以て王国領や王都に攻め入ることはできかねている。また、王国も次代の王が決まっていないという状況のため、無為に戦争が長続きしてしまっている。
ただし、主戦場にて突如大規模な戦闘が勃発することもあり、余談を許さない状況である。

未だ戦争状態にあり、両国の軍人が領内に入ることは困難なことが多いが、すでに10年以上の戦争状態のため、開戦当初のような強い敵対観念を持つ者は一部を覗いて少なくなってきており、商人や旅人としてならば、王国人が帝国に赴くことも、またその逆も可能となっている。
王国人が帝都へ入ることも可能だが、敵対行為を取れば当然捕縛される可能性は大である。現在は帝国内の腐敗した役人、軍人なども増えてきているため、王国の民・将・王侯貴族を捕らえて奴隷とすることなども増えている。


王国でも帝国の民や将、皇族・貴族を捕らえて奴隷とすることも多い。主戦場での戦闘では毎回両軍に捕虜が発生しているためである。
軍司令部の指揮下を離れた王国軍/帝国軍が傭兵化するケースも増えており、略奪行為も珍しくなくなっている。
公式には認められていないものの、両国間での交易も密かに行われている。

帝国は武勇に優れた将兵が多く、一騎当千とも呼ばれる将も存在し、戦闘を有利にすすめることが開戦当初は多かったが、王国側が「魔導機械」を持ち出すと、その快進撃も止まり、泥沼の戦いが続くようになった。
帝国では「魔術鉱石」も「魔導機械」も自国では産出されず、魔術などは一部の専門的な知識・技術を持つものでなければ行使できないが、王国のもつ「魔導機械」は、魔力さえ供給されれば魔術を行使することが可能であり、この点において帝国は不利であった。

「始皇」の真意
なお、開戦の理由としては、マグメール王国の先代王の帝国征服の表明にあったが、すでにマグメール王国は、軍の総力を用いて帝国領土に攻め入るという軍事行動に出る力は存在していない。
そのため、帝国側からすれば戦う理由は最早存在しないともいえる。帝国の版図は巨大であり、今王国を征服したとしても、次に待つのは魔族との戦争となり、現時点で王国を征服する意義は乏しい。

しかしながら、「始皇」は自らの病臥の後、王国への軍事行動を強める傾向がある。これは王国領土の「九頭龍山脈」で産出される「あるもの」を求めているためであると噂される。
「あるもの」とは九頭龍山脈の奥深くで掘り出す事のできる非常に貴重な「辰金」「朱金」と呼ばれる魔術鉱石のことである。とはいえ、実際に掘り出されたことがあるかどうかは不明。

それは帝国内に伝わる煉丹術の書である『天君本草経』に記載された窮極の「仙丹」の材料とされ、「九頭龍山脈」でしか産出されないものであるとされる。
これを帝国の煉丹術の奥義を用いて精製することによって「不老不死の仙丹」を得ることができるといわれる。
「始皇」は自らを不老不死とするためにこの「辰金」「朱金」を求め、今なお王国への侵攻をやめないのだと密かに噂されており、これは事実である。
「始皇」は病臥する身を危惧して、窮極の仙丹の材料が産出する「九頭龍山脈」を得ようとしている。さらに、王国内に人員を密かに派遣して、「辰金」「朱金」を手に入れさせようとしている。

帝国側が王国との戦いを喜んで受けたのはこのためだとも言われる。王国内には「始皇」の勅命を受けた者たちが九頭龍山脈に向かっているが、「辰金」「朱金」は今だ発見されていない。

文化・宗教
文化としては「地球」でいうところの東洋的。ただし、周辺諸国との文化交流もそれなりにあるため、西洋的な文化も混交したような文化を形成している。
オリエンタルな雰囲気を持っている「オリアーブ島」の「千年の女王の都ティルヒア」と近似した文化を持ち、「黄龍」が国家のシンボルとなっている。代々の王(現在の呼称は皇帝)もまた龍の化身とされた。
そのため、「龍」は非常に大事にされている。

主な宗教は帝国内の民族宗教の「天教」であり、王国の「ノーシス主教」の影響は帝国内にほぼ存在しない。
「天教」は「天君」「地君」「人君」のいわゆる「三聖」「三君」を主神とした多神教である。民間に信仰される神は非常にその数が多い。それこそが、魔族の流入を阻む要因となっている。マグメール王国は既に「真の主神」は王国の地を去っており、そのために魔族の流入を許しているが、帝国内の主神は帝国の地を去ってはいない。
「天教」の聖職者は「道士」などと呼ばれ、神祭を行い、天文を占い、風水などの乱れを正す術を心得ている。さらには様々な効果を持つ薬の作成も行うことができるという。

「道士」と一言で表現しても内実は様々であり、魔術師的な役割を担うもの、医師のうな役割を担うもの、「天教」の術を戦闘に用いるもの、あるいは自らを「道士」と偽る詐欺師などが存在する。
宮廷に登用された「道士」は「道官」と呼ばれ、厚く遇される。
後述する「大妖」「妖怪」「妖仙」などと呼ばれる存在と戦う役目を担うものも存在する。
「道士」の窮極の目的は「大道」と呼ばれる「天君」「地君」「人君」を生み出した原初・太素のものと合一し、不老長生を得ることであるが、現在そのための修行を行っている者は少なく、「道士」は職業の一つとなっている。
近年、王国内にも「妖怪」や「妖仙」が現れるようになったため、同時に「道士」の姿も王国内で見かけられることが増えてきている。

「天教」の奥義を極めると、天と地に住む「仙人」や、九万里の彼方を自在に駆ける「真人」(仙人と同義の概念である)になることができると「天教」の『天地真経』には記されているが、現在はそれを真に信じるものはまれである。
民間の「道士」も存在しており、彼らは王国で言う冒険者のような仕事を請け負ったりもする。
なお、王国にいるような魔術師がいないわけではない。

帝国内の魔術体系は王国と共通している点も多いが、特徴的なのは「道士」の用いる術である。
天地の神々に祈ることで力を得ることもあれば、万物を構成する「陰陽」のバランスを操ることにより、天地に変異を齎すことも可能。ただし、大規模なものはよほど術に卓越したものでなければ、自らの破滅を招く。
この術は「道術」「仙術」と呼ばれ、魔術の一種であるが、王国内で基本とされるものとは一線を画すものである。
「道術」にも様々な種類があるが、札を用いたり、銭や桃の木を剣とするものがよく見られる。
陰陽の理をよく知るものならば、天変を起こすことも可能だが、派手にそのようなことを行えば、皇帝を脅かすものとして命を狙われることもある。

魔術の体系からいえば、帝国のものは王国よりも発展しているといえる。しかし、帝国では王国で産出される「魔術鉱石」が一切産出されない。
また、王国で発掘されるような「魔導機械」も一切発掘されることがない。
王国では「魔術鉱石」と「魔導機械」を組み合わせることにより、魔術の素養がない一般人でも多少の魔術を用いることができるが、帝国では「魔術鉱石」も「魔導機械」も自国で手に入れることができないため、
魔術を用いるためには専門的な知識や技術の習得が必要となる。

帝国の神話も当然王国とは異なるものであり、天を作り上げた「天君」、地上世界を作り上げた「地君」、そして人の世界を作り上げた「人君」の神話が伝えられ、「人君」は初代の帝国の王(現在では「皇帝」と呼ばれる)とされる。「人君」は龍体であったとも言われる。
その他、官民問わず、神々に纏わる神話や伝説が広く帝国内には残されている。

仙人・真人・大妖・妖怪・妖仙
帝国には、王国に存在しないいくつかの存在がある。
それが「仙人」や「真人」と呼ばれるものと、「大妖」「妖怪」「妖仙」などと呼ばれる存在である。

「仙人・真人」は「天教」の奥義に通じ、修行を完遂し、陰陽の理を知ったものであるとされる。
「仙人」には天に住む「天仙」と地に住む「地仙」がいるとされる。ただ、これはあくまで伝承でそう区分されているだけである。
「真人」もほぼ同様の存在であり、仙人の異称である。「大道」と合一することによって、天地を駆ける超人的な力を得ているとされる。様々な仙術も用いるとされ、その伝説は非常に多い。
不老長生であると伝えられ、非常に長い時を生きる。その容姿は老若男女様々である。

修行の他にも、「仙丹」と呼ばれる仙薬を飲むことで「仙人」「真人」になれるとも言われ、かつてはそれを求めて煉丹術が帝国内で盛んに行われた。
俗世と縁を絶つことが基本であり、「仙人」や「真人」は深山幽谷にて遊ぶと伝えられる。
「道士」の理想であり、多くの王や人民が仙人となることを求めたが、現在では眉唾ものとされている。
神話に伝えられる伝説的な「仙人」は、神代の時代に「天君」「地君」「人君」と共に、「妖仙」と争いを繰り広げ、地上に秩序を齎したという。

人界に降りて生活するものもいないわけではないが、派手に自らの力を見せつけるようなことは、静かに暮らす仙人からは疎まれる。
仙人が住むような場所は「仙界」「仙境」と呼ばれ、代表的な「仙界」は「蓬山郷」である。
「仙人」は陰と陽を共に兼ね備え、その理を知るが、それゆえに「妖仙」へと転ずる可能性も存在している。

「仙人」や「真人」とまではいかなくても、「天経」の「道術」を極めたり、「仙丹」を飲むことより、超人的な力や長生を得る「道士」は存在しており、
彼らは「始皇」の側に控え、彼を守護していると噂される。彼らは「半仙」と呼ばれる。
しかしこれもまた、一般には噂の類として扱われている。

「大妖」「妖怪」「妖鬼」「妖仙」は、帝国内に存在する怪異的な存在である。
上述したとおり、帝国内には魔族の影響は殆ど及んでいない。しかし、魔物や魔族のようなものが存在していないわけではない。
それが「大妖」「妖怪」「妖仙」と呼ばれる存在である。帝国内部を悩ませる悪しき存在である。
その発生原因などはよくわかっておらず、地上の陰気が高まった際に現れるなどと言われているが、それも確証があるわけではない。

王国で言う「魔物」が「妖怪」であり、その力が大なるものを「大妖」や「妖鬼」という。その姿形は様々であり、恐ろしい怪物のようであることもあれば、人間の姿であることもある。これらの存在によって引き起こされた怪異譚が帝国内には数多く存在する。
「道士」の仕事の一つに、これらの存在の討伐がある。一般の兵器では勝利することが困難であることが多いため、「道士」の「道術」によってこれらを討つのである。
「妖怪」などの多くは「妖仙」に率いられているが、必ずしもそれだけではなく、独自に活動する「妖怪」も存在する。

「妖仙」はこれら「妖怪」とは一線を画す存在である。「悪仙」とも呼ばれる。
その名の通り「妖怪」はすなわち「仙人」である。陰陽の理を知りながら、自ら闇の道を選んだ「仙人」である。
「仙人」とほぼ同じ力を持ち、それを悪しきことに用いる。人間を操ったり、誑かして悪しき道に誘うなど、基本的に己の「享楽」のために活動する者が多い。

かつて神代の時代に「天仙」「地仙」と、天上界地上界を交えて大規模な戦争を行った「大妖仙」もいるが、その多くは滅ぼされ、あるいは封印されている。仮に現世に復活を遂げたとしても、その力は大きく制限されている。
そのため、かつて自分たちを封じたものに恨みを抱くものもいるが、そうした激しい感情は「仙人」としての力を損なうこともある。

「妖仙」は「妖怪」などを率いており、「妖仙」こそが「妖怪」を作り上げているとも言われる。
ただ、この「妖仙」も表の世界に派手に出てくることは殆どないため、一般には伝説の存在としか思われていないが、「始皇」の周辺や、一部の高位の「道士」、「高官」などはその存在を知っている。
また、宮廷内にも「妖仙」や「妖怪」が入り込むことがあり、かつての王を誑かし、誘惑し、帝国を傾かせた「妖狐」の伝説なども伝えられている。

「妖怪」や「妖仙」は王国の「魔物」「魔族」と似ている点もあるが、別の存在である。
魔族は「魔族の国」を作り、自らの領土などを定め、魔王を自称するものも存在するが、「妖仙」や「妖怪」は基本的にそういったことは行わない。
「妖仙」などの一部の強大な存在を代表とした幾つかのグループは存在するものの、大所帯で群れることは少ない。
深山幽谷に拠点を設け、そこで暮らすものがほとんどである。一部の「妖仙」や「妖怪」は都市に潜むこともある。「妖仙」「妖怪」のための国家は形成されていない。

ただし、ある「妖仙」の大規模な集団は存在している。
それは「封仙宮」と呼ばれる集団であり、幾人かの「妖仙」が集まって作られた。
その長は「渾沌道人」とされ、神話にも登場する「妖仙」と言われる。神話上では「渾沌」「帝江」とも呼ばれるが、神話に登場したそれそのものであるかどうかは不明である。
非常に強力な力を持つとされるが、謎が多い。姿を自由に変えることができる、無貌である、歌舞に通じる、などとも神話には記されるが、現在は幼い童女の姿を取っているといわれる。

帝国を「妖仙」にとって楽しき場所とするために活動し、帝国の転覆、「封仙」(仙人を封じること)を画策する。
同じ目的の為に集まった集団であるが、「妖仙」同士が仲が良いとは限らず、内部で争うこともある。「渾沌道人」は基本的に「妖仙」たちの好きなようにさせ、全ての結果を楽しんでおり、自らを「大道の体現」と称する。「妖仙」は「渾沌道人」にある種の畏れを抱いている。
帝国を作った三神である「三君」は未だ帝国で健在であり、神々も帝国を守護している。そのため、「妖仙」も本来の力を出し切ることはできず、一気に帝国を転覆させることができない理由の一つとなっている。ただし、神々の直接的な介入はよほどの事がない限りは発生しない。

「封仙宮」は帝国の道士たちと争いを繰り広げており、その争いについては秘匿されているが、「始皇」の病臥のためにその情報統制が取れなくなってきている。
「封仙宮」が拠点とする「八卦山」(八つの山が八角形の形のように連なっている)は帝国の東の果てに存在している。その周辺は異界と化している。

近年、マグメール王国の領内にも「妖怪」や「妖仙」と思しき存在が現れている。

ミレー族/ティルヒア残党
帝国内にもミレー族が存在するものの、王国とは立場が大きく異なる。帝国内では「神獣族」と呼ばれる。
王国ではミレー族は奴隷階級、差別対象とされているが、帝国内ではそもそもミレー族への差別感情が一般に存在しない。

ミレー族は少数民族の一つとして扱われ、本人の努力次第で将軍や高官に上り詰めることさえ可能である。
王国のミレー族と帝国のミレー族は互いに積極的に交流を持っているわけではなく、祖を同じくする部族というような関係である。
むしろ、力を是とする帝国のミレー族内においては、奴隷階級に甘んじている王国のミレー族を蔑視する傾向すら見られる。

王国のミレー族が帝国へと逃げ込めば差別の対象となることはないが、帝国では弱者は虐げられる傾向にあるため、自ら力をつけなければ虐げられる対象となる可能性は高い。
また、王国のミレー族が帝国へ逃げることは非常に難しい。

帝国のミレー族も独自の神話を持っており、「封仙宮」の「渾沌道人」の神話も語り継がれている。
「渾沌道人」は神代の時代の「渾沌の子」の化身であり、もともとは他国の邪悪な神仙、「蕃神」であったというものである。あくまで帝国のミレー族の内部に伝わるものであって、一般的ではない。

帝国のミレー族は、「神獣族」は、ある種の畏敬すら一般の臣民から抱かれている。
それは彼らの超人的な身体能力と、魔術・道術の素養によるものである。帝国内では力あるものが羨望の的となる。
「神獣族」という名は、帝国のミレー族が「神獣」と呼ばれる神の使いの獣の子孫であるとされることから来ている。この「神の使い」は、王国にかつて存在したと言われるチァベ・コィキ・ミレヱと同じ存在であるとも言われていたが、その言説を知るものはもうほとんど存在しない。
神獣族は原則として「妖仙」や「封仙宮」とは強い敵対関係にある。。

帝国には、王国で発生した「ティルヒア動乱」で女王ティルヒアに従った者たちの残党が多く逃げ延びている。
「始皇」は、王国との戦争で「ティルヒア残党」が戦果を上げれば、帝国内に「ティルヒア自治領」を設立することを誓約している。さらには帝国が王国を支配した際には、オリアーブ島をティルヒア残党に返すとも成約している。
そのため、帝国には「ティルヒア残党」が兵士として仕えていることがある。ただし、上記の誓約が果たして本当に履行されるかどうかは不明である。

PL向け情報
マグメール王国周辺国家の中でも最大の権勢を誇る北方帝国「シェンヤン」の設定になります。
基本的なイメージとしては中国古代王朝(「秦王朝」「唐王朝」など)ですが、「中華神仙ファンタジー」的な国家と考えていただければ結構です。
あまり複雑に考える必要はありません。王国と同じく、帝国内の「臣民」や「皇族」、「軍人」、「道士」などをPCとして登録することができます。
帝国の都市や施設の作成もご自由にどうぞ。ただし、規約には反しないようお願いします。

服装や名前の一般的なイメージは中華風のものが多い設定になりますが、それもそういう雰囲気という程度のもので考えていただければ結構です。
西洋的・王国的な文化も混交しつつあるような文化になります。
マグメール王国と敵対しているため、王国人と敵対関係を行うのも構いませんし、戦闘やなどもご自由に。皇位を狙うPCや「仙人」「妖怪」「妖仙」などの登録も可能です。
帝国/王国の「奴隷」となった「将兵」「一般市民」として登録するのもご自由に。

ただし、以下のPCの登録、行為は禁じます。NPCとして喋らせるというのもご遠慮いただければと思います。
あくまで存在することに意味がある設定になります。ロール中に言及するなどはもちろん歓迎です。

  • 「始皇」「皇帝の正妻」(皇后の登録を禁じます。「始皇」の后の一人、妾であるならば登録可能です)「天君・地君・人君」「渾沌道人」「大政官の長官」「大祭官の長官」の登録
  • 皇太子(皇位の継承が決定した皇子・皇女を指す。次代の皇帝はまだ決まっていない設定です)の登録
  • 「帝国の国家体制を転覆させるような行為(「させようとする/した」「未遂」「失敗した」「計画している」などは問題ありません。確定で世界観をひっくり返してしまうような行為、PCの登録を禁じます)
  • 「PC・NPCが皇帝に即位すること」、「PC・NPCが「始皇」を弑逆すること」、「PC・NPCが「始皇」を無力化すること」
  • 「天君・地君・人君」を越える絶対神の登録。また、あまり高位すぎる神性の登録は推奨しません。
  • その他利用規約に反すること、他の利用者の迷惑になるような行為など。

基本的なルールは王国と全く同様になります。規約的に問題と考えられる場合は管理者がメッセージを送る場合があります。
ご理解いただければと思います。


NPC

“天猫”、“星猫”、“盟約の猫王”、“ウルタール” 「チァベ・コィキ・ミレヱ」

基本的に(その正しい姿や伝承は)普通の王国民ではまず知りえません。また、知ったとしても慎重な扱いが必要になることでしょう。
チァベ・コィキ・ミレヱについて言及する際はこのような前提があるということをご理解いただければと思います。
また、チァベ・コィキ・ミレヱやその分身などの存在をPCとして登録すること、またロールプレイ内でNPCとして登場させることは禁止です。

 チァベ・コィキ・ミレヱは、マグメール王国建国の際にマグメール初代国王(プロアルケー・ビュトス・プロパトール)と“盟約”を結んだとされるミレー族の伝説上の首長である。“天猫”、“盟約の猫王”などの異称を持ち、ナルラート朝以前のミレー族(特に猫の特徴を持つ種族)の間では祖神として信仰され、非常な尊崇を集めていた。
 容貌は非常に美しく、幼い少女の姿であったとされているが、その齢は数百を超えていたとも、天地草昧のときから生きていたともいう。星の光のような煌めきを持つ瞳と、絹のごとき白雪の毛並み(白い髪のこと)を持つと神話中で表現されている。猫のような耳と尻尾を持ち、は非常に立派なものであったことから、当時のミレー族の憧れであった。
 神話の登場人物らしく、非常に優れた身体能力を持ち、魔力は非常に強く、あらゆる奇跡を成したという伝承も存在する。絶世の美しさでありながらも武勇に優れ、マグメールの地に現れた様々な邪悪と戦ったことを伝える歌がナルラート朝以前のミレー族の間には広く伝わっていた。特に“暗黒星雲の猫”と呼ばれる邪悪の存在との戦いが有名である。
 ミレー族はマグメール王国のような王政を敷いたことはないものの、チァベ・コィキ・ミレヱは実質的にはミレー族の王であったと言えるだろう。なお、チァベ・コィキ・ミレヱの神話は“天猫”、“星猫”の神話としてシェンヤン帝国にも伝わっている。

 主にナルラート朝において改変される以前のマグメール王国の建国神話に登場する。マグメールに国となるべき地を求めてやってきた“諸王”とマグメール初代国王と協力し、マグメールの地を侵していた邪神を打ち破ると、マグメール初代国王と“盟約”を結び、“盟約の璽”をマグメール初代国王に奉り、マグメールの地の一部を譲り渡した。これが現在のマグメール王国の起源となる。そして、融和の証としてマグメール初代国王とチァベ・コィキ・ミレヱは婚姻したとされるが、初代国王との間には子孫を残さなかった。また、チァベ・コィキ・ミレヱが初代国王の后となったわけでもなかったという。
 チァベ・コィキ・ミレヱとマグメール初代国王が結んだ“盟約”の内容は、「互いにそれぞれの国を侵さぬこと、そして再び悪しき神が現れたときに民族の壁を越えて共闘すること」というものである。王国側では時代を経るごとにこの“盟約”は意識されなくなってきたものの、建国神話の中の“盟約”であることからないがしろにはされず、ミレー族の国を侵さぬようにと伝統的に不干渉が続いた。そして、この“盟約”はナルラート王によって破壊されることになる。チァベ・コィキ・ミレヱの神話は後述するように徹底的に隠滅されることとなった。

 現在、この伝説上のミレーの名を知るものは、ミレー族・王国民含め王国内にほとんど存在しない。ナルラート朝における国史の改竄の際に、チァベ・コィキ・ミレヱの存在は抹消されたためである。この改竄の有り様は非常に徹底しており、現在では王国内の如何なる書物を紐解いてもこの名を見ることは不可能であると言っても過言ではない。かつてマグメール王国とミレー族の神話を語り継いできた王城の語り部の古老たちは、異端の手先であるとのことで捕縛され、ほぼ例外なく処刑された。
 チァベ・コィキ・ミレヱに纏わる記述の改竄に加わった史官たちも、一人の例外もなくナルラート王によって生き埋めの刑に処されている。故に、この改竄の事実を知るものは国民内からほぼ一掃された。初代マグメール国王がミレー族の首長と“盟約”を結び、更には婚姻していたなどという歴史(あるいは神話)は、ミレー族奴隷化政策を実行するナルラート朝において許されるものではなかったのである。上記のような処刑の記録は残されていない。
 ナルラート朝において改変された神話では、ミレー族はマグメールの地にて邪神を信仰し、悪逆の限りを尽くしていた邪なる民である。ミレー族は初代マグメール王により邪神が討伐されると共に降伏し、初代マグメール王の大いなる慈悲により赦され、永久にマグメール王国に服属し、奴隷となることとなったと伝えられる。そこにチァベ・コィキ・ミレヱの名はない。かつて存在した神話は捏造され、王国の国土全体への「精神制御」「記憶改変」の魔術さえも行使されてチァベ・コィキ・ミレヱの神話は闇へと葬られた。
 ナルラート朝以後の王国においても、ナルラート朝ほどの苛烈なものではなかったもののミレー族奴隷化政策は続行され、ナルラート朝の神話はまさしく王国の正統なる神話となったのであった。そして、先代王の御世よりミレー族奴隷化政策は苛烈さを再び取り戻すこととなる。
 ミレー族の側でも、チァベ・コィキ・ミレヱの名を出すことはナルラート王による処刑という非常な危険を招くこととなったため、ナルラート王の崩御以後もその名は自然と語られなくなり、奴隷化政策が推し進められると共にその名はミレー族の間でも忘れさられることとなった。現在もこの伝説上のミレーの名を知るものはごく少数のミレー族のみである。

 しかし、近年ではこの状況が変わりつつある。ここ5年ほど前から“星の聖猫派”と呼ばれるミレー族の過激派集団が王国内に出没し、王国への反抗と称して、主に貴族や王族を対象とするテロ行為を繰り返している。その“星の聖猫派”が主神としてチァベ・コィキ・ミレヱの名を声高に叫んでいるため、その名は王国内でも再び認知され始めている。ただし、過激派の祭る異端の神として。
 このミレー族の過激派は、チァベ・コィキ・ミレヱの名を守り続けたためにナルラート朝において非常に迫害された支族の末裔で構成されている。幾多の迫害と王国への恩讐の念により、チァベ・コィキ・ミレヱの神話は著しく変貌を遂げており、“星の聖猫派”の中では、星辰の正しき日にチァベ・コィキ・ミレヱは星より来臨し、“黒の王”の国を白光によって焼き尽くし、チァベ・コィキ・ミレヱの子(“星の聖猫派”のミレー族のこと)の魂を肉体の牢獄から解放し、アイオーンの住まう真なる世界プレーローマに引き上げると信じられている。“星の聖猫派”がミレー族終末派と呼ばれる所以である。
 既に王国民はもちろんのこと、ミレー族でもその名と存在は忘れ去られていたため、チァベ・コィキ・ミレヱは双方から過激派の尊崇する異端の神の名として蔑まれている。
 “星の聖猫派”の存在はミレー族の立場を更に悪くする存在だと言えるだろう。ただし、一部のミレー族の間では彼らの行動と信仰を評価する向きもある。

 なお、かつて存在した神話中において、初代マグメール王の崩御を看取った後のチァベ・コィキ・ミレヱは深き森に去ったとされ、その消息を明らかにしない。マグメール王国建国語も、ミレー族に冥助を与え続け、旧き邪神が甦った際に再び姿を現すと予言されていたものの、ナルラート朝以後はその予言も忘却の彼方へと消えた。“星の聖猫派”はその予言を曲解する者たちである。
 ナルラート朝の知られざる記録として、とある“聖猫の精霊”がナルラート王の率いる魔人たちによって捕らえられ、星の彼方へと連れ去られた。そして、渾沌の化身に犯され続け、闇に転じ、“ウルタール”と呼ばれる闇の猫になったというものがある。“星の聖猫派”はどのような経緯からかこの記録を知っており、“ウルタール”こそがチァベ・コィキ・ミレヱその人であるとする。今は闇の者に穢されているものの、星辰が正しき時にアイオーンと共に地上に帰還し、悪しき王国を滅亡させると“星の聖猫派”の間では信じられている。

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