北方帝国「シェンヤン」 詳細設定


※北方帝国「シェンヤン」の詳細設定になります。


マグメール王国の周辺諸国の中で、現在もっとも権勢を誇る国家。
「シェンヤン」という国号は帝国の首都の名前から取られている。
専制君主制であり、国家の元首はかつては「王」とされていたが、
現在の王が即位するとともに、「皇帝」と君主号が変わり、強大な政治権力と武力を保持する。
その「皇帝」が治める「帝国」が「シェンヤン」である。

マグメール王国の北方に位置し、周辺諸国を吸収合併しながらその版図を日に日に広げている。
周辺諸国や魔族との戦争に明け暮れ、政治も腐敗しつつあるマグメール王国を圧倒しつつあったが、現在は圧倒的な力を持つ君主である「始皇」の病臥により、国内は徐々に乱れつつある。
貴族制度が敷かれ、身分の区別、上下関係は厳しい。この点は王国と同様といえる。

皇帝の下に「大政官」※と「大祭官」が置かれ、「大政官」は皇帝の政治を輔弼し、「大祭官」は皇帝の祭祀を輔弼する。
この二官のもとに多くの省庁が存在し、百官を擁する。
基本的に政治は「皇帝」自身が行うものとされているため、臣下はそれを「輔弼」することになる。
しかし、「皇帝」が行う政務は国家規模のものであり、都市規模などのものは臣下に一任される。

軍権も皇帝が掌握しており、軍の長は当然皇帝である。
ただし、高官の多くは私兵を持っており、軍閥も存在する。

皇帝の武と徳によって世界の「徳化」、統一を行うことが国是とされ、国家を支える思想にもなっている。
マグメール王国のことを蔑んで「南蛮」と呼ぶこともある。
帝国領内も広大であるため場所によって気候は様々である。
国土の特徴として深山幽谷が多く存在しており、そのために帝国は攻められにくく、帝国の者たちは安全なルートを熟知しているために、帝国内の移動には支障は生じない。

通過単位は「金」。価値は王国の「ゴルド」とほぼ同様。

※「太」政官ではない。読みはダイセイカン。


帝政


現在の皇帝は「始皇」と呼ばれ、名前で呼ぶことは不敬であるとされて、強く禁じられているため、皇帝の名前を知るものは殆どいない。姓は「シン(秦)」といわれる。
「始皇」たる所以は、君主号を「王」から「皇帝」に変え、「シェンヤン」の歴史の中で最も巨大な領土を有す「帝国」を築いたためである。
強烈な武断政治であり、皇帝の命令は絶対とされる。帝国の歴史の中で最大の繁栄を築き上げたために、臣民から神のごとき扱いを受けている。
後宮を設けて、非常に多くの后を抱えている。後宮には男性器を切除した男性文官(宦官)が仕える。

皇帝に恭順するものには寛容を見せるが、逆らう場合には容赦がされることはなく、皇帝の軍隊は非常に強力な忠誠心で主と結ばれている。
「始皇」自身も超人的な力を持っているとされ、既に齢は100を越えているはずであるが、未だに壮健であり、壮年の容姿を保ち続けている。

他国からの刺客を自ら打ち倒し、国内にどれほど巨大であれ、魔族の類の影響を一切及ぼさせていないという事実もまた彼の伝説を強化するものとなっている。
帝国が魔族の国と接していないためでもあるが、国境の警備や、不審な人物への対処が徹底しているためでもある。
さらには、帝国内の神性は今だ健在であり、マグメール王国とはその点で状況が大いに異なる。魔族が帝国領内に入れたとしても、その力は普通の人間程度に落ちてしまうだろう

王位継承は近代以降安定しており、これまでの歴史で一つの王家のみが王を輩出してきた。
王位継承争いも当然発生したが、最も強い力を持つものが国の主となってきたため、長期間に及ぶ継承争いは行われていなかった。
しかし、現在の「始皇」があまりに強大な力を有し、帝王の資質に長けているため、次代の皇帝について、皇帝周辺では不安の声が上がっている。

「始皇」は継嗣を定めておらず、自らの死後に最も力のある皇子・皇女が皇帝の座に着くべきであると公言しており、激烈な皇位継承争いが勃発するのは既に目に見えているからである。
「始皇」には多くの子・孫がおり、その才能の程度は様々であるが、皇位を狙う者は多く、既に次代の帝位をめぐっての争いが起こりつつある。というより現に発生している。

「始皇」は未だ壮健な姿を保ち、精力にも満ちているといわれるが、近年は病臥することが増えている。
皇帝の権威と武力による強烈な武断政治のもとでは、官人の腐敗も進むことはなかったものの、「始皇」の病臥により彼の目が届かなくなりはじめたため、腐敗や権力闘争も勃発し始めている。
皇位継承の争いも表面化し、既に帝国はその争いを抑えることができなくなりつつある。


戦争


これまでの歴史の中で王国と幾度と無く衝突し、互いに強いライバル意識を持っている。
王国とは互いに不干渉を貫いた時期もあったが、200年前のナルラート朝に大規模な戦争が勃発し、両国に多大な被害が出、双方ともに軍を引いたために決着はつかないままであった。
その後は以前のように互いに不干渉、あるいは比較的友好的な関係を築き上げてきた。国境付近での小競り合いはあったものの、ナルラート朝のときのような大規模な戦争に発展することはなかった。

しかし、マグメール王国の先代の王が即位するとともに状況は一変した。
「ナルラート王」を理想と仰ぐ先代の王は、「シェンヤン帝国」を強く敵視し、彼の国を征服することを宣言した。
こうして始まった「蓋天戦争」(開戦直後に両軍の魔術部隊が激しい魔術合戦を繰り広げた結果、主戦場となったハテグの丘の空が粉塵と暗雲に満ちて、
天を覆う蓋のようになり、主戦場付近が数日間闇に満ちたことから「蓋天戦争」と呼称されることとなった。)は、現在も続いており、既に10年以上の時が流れている。
マグメール王国の先代王が崩御した後も戦いは終結を迎えることなく、今もハテグの主戦場を中心として、戦闘が続けられている。講和などを結ぶ機運も殆ど見られない。

開戦当時は王国/帝国ともに多くの都市が戦乱に巻き込まれたが、現在はハテグの主戦場を主な舞台としての戦闘に終始しており、互いの領内が侵されることは殆どなくなっている。
すでに開戦から10年以上の時を経ているため、半ば惰性で戦っている場合が多く、先述した「始皇」の病臥のこともあり、帝国軍は現在大規模な攻勢を以て王国領や王都に攻め入ることはできかねている。また、王国も次代の王が決まっていないという状況のため、無為に戦争が長続きしてしまっている。
ただし、主戦場にて突如大規模な戦闘が勃発することもあり、余談を許さない状況である。

未だ戦争状態にあり、両国の軍人が領内に入ることは困難なことが多いが、すでに10年以上の戦争状態のため、開戦当初のような強い敵対観念を持つ者は一部を覗いて少なくなってきており、商人や旅人としてならば、王国人が帝国に赴くことも、またその逆も可能となっている。
王国人が帝都へ入ることも可能だが、敵対行為を取れば当然捕縛される可能性は大である。現在は帝国内の腐敗した役人、軍人なども増えてきているため、王国の民・将・王侯貴族を捕らえて奴隷とすることなども増えている。


王国でも帝国の民や将、皇族・貴族を捕らえて奴隷とすることも多い。主戦場での戦闘では毎回両軍に捕虜が発生しているためである。
軍司令部の指揮下を離れた王国軍/帝国軍が傭兵化するケースも増えており、略奪行為も珍しくなくなっている。
公式には認められていないものの、両国間での交易も密かに行われている。

帝国は武勇に優れた将兵が多く、一騎当千とも呼ばれる将も存在し、戦闘を有利にすすめることが開戦当初は多かったが、王国側が「魔導機械」を持ち出すと、その快進撃も止まり、泥沼の戦いが続くようになった。
帝国では「魔術鉱石」も「魔導機械」も自国では産出されず、魔術などは一部の専門的な知識・技術を持つものでなければ行使できないが、王国のもつ「魔導機械」は、魔力さえ供給されれば魔術を行使することが可能であり、この点において帝国は不利であった。


「始皇」の真意


なお、開戦の理由としては、マグメール王国の先代王の帝国征服の表明にあったが、すでにマグメール王国は、軍の総力を用いて帝国領土に攻め入るという軍事行動に出る力は存在していない。
そのため、帝国側からすれば戦う理由は最早存在しないともいえる。帝国の版図は巨大であり、今王国を征服したとしても、次に待つのは魔族との戦争となり、現時点で王国を征服する意義は乏しい。

しかしながら、「始皇」は自らの病臥の後、王国への軍事行動を強める傾向がある。これは王国領土の「九頭龍山脈」で産出される「あるもの」を求めているためであると噂される。
「あるもの」とは九頭龍山脈の奥深くで掘り出す事のできる非常に貴重な「辰金」「朱金」と呼ばれる魔術鉱石のことである。とはいえ、実際に掘り出されたことがあるかどうかは不明。

それは帝国内に伝わる煉丹術の書である『天君本草経』に記載された窮極の「仙丹」の材料とされ、「九頭龍山脈」でしか産出されないものであるとされる。
これを帝国の煉丹術の奥義を用いて精製することによって「不老不死の仙丹」を得ることができるといわれる。
「始皇」は自らを不老不死とするためにこの「辰金」「朱金」を求め、今なお王国への侵攻をやめないのだと密かに噂されており、これは事実である。
「始皇」は病臥する身を危惧して、窮極の仙丹の材料が産出する「九頭龍山脈」を得ようとしている。さらに、王国内に人員を密かに派遣して、「辰金」「朱金」を手に入れさせようとしている。

帝国側が王国との戦いを喜んで受けたのはこのためだとも言われる。王国内には「始皇」の勅命を受けた者たちが九頭龍山脈に向かっているが、「辰金」「朱金」は今だ発見されていない。


文化/宗教


文化としては東洋的。ただし、周辺諸国との文化交流もそれなりにあるため、西洋的な文化も混交したような文化を形成している。
オリエンタルな雰囲気を持っている「オリアーブ島」の「千年の女王の都ティルヒア」と近似した文化を持ち、「黄龍」が国家のシンボルとなっている。代々の王(現在の呼称は皇帝)もまた龍の化身とされた。
そのため、「龍」は非常に大事にされている。

主な宗教は帝国内の民族宗教の「天教」であり、王国の「ノーシス主教」の影響は帝国内にほぼ存在しない。
「天教」は「天君」「地君」「人君」のいわゆる「三聖」「三君」を主神とした多神教である。民間に信仰される神は非常にその数が多い。それこそが、魔族の流入を阻む要因となっている。マグメール王国は既に「真の主神」は王国の地を去っており、そのために魔族の流入を許しているが、帝国内の主神は帝国の地を去ってはいない。
「天教」の聖職者は「道士」などと呼ばれ、神祭を行い、天文を占い、風水などの乱れを正す術を心得ている。さらには様々な効果を持つ薬の作成も行うことができるという。

「道士」と一言で表現しても内実は様々であり、魔術師的な役割を担うもの、医師のうな役割を担うもの、「天教」の術を戦闘に用いるもの、あるいは自らを「道士」と偽る詐欺師などが存在する。
宮廷に登用された「道士」は「道官」と呼ばれ、厚く遇される。
後述する「大妖」「妖怪」「妖仙」などと呼ばれる存在と戦う役目を担うものも存在する。
「道士」の窮極の目的は「大道」と呼ばれる「天君」「地君」「人君」を生み出した原初・太素のものと合一し、不老長生を得ることであるが、現在そのための修行を行っている者は少なく、「道士」は職業の一つとなっている。
近年、王国内にも「妖怪」や「妖仙」が現れるようになったため、同時に「道士」の姿も王国内で見かけられることが増えてきている。

「天教」の奥義を極めると、天と地に住む「仙人」や、九万里の彼方を自在に駆ける「真人」(仙人と同義の概念である)になることができると「天教」の『天地真経』には記されているが、現在はそれを真に信じるものはまれである。
民間の「道士」も存在しており、彼らは王国で言う冒険者のような仕事を請け負ったりもする。
なお、王国にいるような魔術師がいないわけではない。

帝国内の魔術体系は王国と共通している点も多いが、特徴的なのは「道士」の用いる術である。
天地の神々に祈ることで力を得ることもあれば、万物を構成する「陰陽」のバランスを操ることにより、天地に変異を齎すことも可能。ただし、大規模なものはよほど術に卓越したものでなければ、自らの破滅を招く。
この術は「道術」「仙術」と呼ばれ、魔術の一種であるが、王国内で基本とされるものとは一線を画すものである。
「道術」にも様々な種類があるが、札を用いたり、銭や桃の木を剣とするものがよく見られる。
陰陽の理をよく知るものならば、天変を起こすことも可能だが、派手にそのようなことを行えば、皇帝を脅かすものとして命を狙われることもある。

魔術の体系からいえば、帝国のものは王国よりも発展しているといえる。しかし、帝国では王国で産出される「魔術鉱石」が一切産出されない。
また、王国で発掘されるような「魔導機械」も一切発掘されることがない。
王国では「魔術鉱石」と「魔導機械」を組み合わせることにより、魔術の素養がない一般人でも多少の魔術を用いることができるが、帝国では「魔術鉱石」も「魔導機械」も自国で手に入れることができないため、
魔術を用いるためには専門的な知識や技術の習得が必要となる。

帝国の神話も当然王国とは異なるものであり、天を作り上げた「天君」、地上世界を作り上げた「地君」、そして人の世界を作り上げた「人君」の神話が伝えられ、「人君」は初代の帝国の王(現在では「皇帝」と呼ばれる)とされる。「人君」は龍体であったとも言われる。
その他、官民問わず、神々に纏わる神話や伝説が広く帝国内には残されている。


仙人・真人/大妖・妖怪・妖仙


帝国には、王国に存在しないいくつかの存在がある。
それが「仙人」や「真人」と呼ばれるものと、「大妖」「妖怪」「妖仙」などと呼ばれる存在である。

「仙人・真人」は「天教」の奥義に通じ、修行を完遂し、陰陽の理を知ったものであるとされる。
「仙人」には天に住む「天仙」と地に住む「地仙」がいるとされる。ただ、これはあくまで伝承でそう区分されているだけである。
「真人」もほぼ同様の存在であり、仙人の異称である。「大道」と合一することによって、天地を駆ける超人的な力を得ているとされる。様々な仙術も用いるとされ、その伝説は非常に多い。
不老長生であると伝えられ、非常に長い時を生きる。その容姿は老若男女様々である。

修行の他にも、「仙丹」と呼ばれる仙薬を飲むことで「仙人」「真人」になれるとも言われ、かつてはそれを求めて煉丹術が帝国内で盛んに行われた。
俗世と縁を絶つことが基本であり、「仙人」や「真人」は深山幽谷にて遊ぶと伝えられる。
「道士」の理想であり、多くの王や人民が仙人となることを求めたが、現在では眉唾ものとされている。
神話に伝えられる伝説的な「仙人」は、神代の時代に「天君」「地君」「人君」と共に、「妖仙」と争いを繰り広げ、地上に秩序を齎したという。

人界に降りて生活するものもいないわけではないが、派手に自らの力を見せつけるようなことは、静かに暮らす仙人からは疎まれる。
仙人が住むような場所は「仙界」「仙境」と呼ばれ、代表的な「仙界」は「蓬山郷」である。
「仙人」は陰と陽を共に兼ね備え、その理を知るが、それゆえに「妖仙」へと転ずる可能性も存在している。

「仙人」や「真人」とまではいかなくても、「天経」の「道術」を極めたり、「仙丹」を飲むことより、超人的な力や長生を得る「道士」は存在しており、
彼らは「始皇」の側に控え、彼を守護していると噂される。彼らは「半仙」と呼ばれる。
しかしこれもまた、一般には噂の類として扱われている。

「大妖」「妖怪」「妖鬼」「妖仙」は、帝国内に存在する怪異的な存在である。
上述したとおり、帝国内には魔族の影響は殆ど及んでいない。しかし、魔物や魔族のようなものが存在していないわけではない。
それが「大妖」「妖怪」「妖仙」と呼ばれる存在である。帝国内部を悩ませる悪しき存在である。
その発生原因などはよくわかっておらず、地上の陰気が高まった際に現れるなどと言われているが、それも確証があるわけではない。

王国で言う「魔物」が「妖怪」であり、その力が大なるものを「大妖」や「妖鬼」という。その姿形は様々であり、恐ろしい怪物のようであることもあれば、人間の姿であることもある。これらの存在によって引き起こされた怪異譚が帝国内には数多く存在する。
「道士」の仕事の一つに、これらの存在の討伐がある。一般の兵器では勝利することが困難であることが多いため、「道士」の「道術」によってこれらを討つのである。
「妖怪」などの多くは「妖仙」に率いられているが、必ずしもそれだけではなく、独自に活動する「妖怪」も存在する。

「妖仙」はこれら「妖怪」とは一線を画す存在である。「悪仙」とも呼ばれる。
その名の通り「妖怪」はすなわち「仙人」である。陰陽の理を知りながら、自ら闇の道を選んだ「仙人」である。
「仙人」とほぼ同じ力を持ち、それを悪しきことに用いる。人間を操ったり、誑かして悪しき道に誘うなど、基本的に己の「享楽」のために活動する者が多い。

かつて神代の時代に「天仙」「地仙」と、天上界地上界を交えて大規模な戦争を行った「大妖仙」もいるが、その多くは滅ぼされ、あるいは封印されている。仮に現世に復活を遂げたとしても、その力は大きく制限されている。
そのため、かつて自分たちを封じたものに恨みを抱くものもいるが、そうした激しい感情は「仙人」としての力を損なうこともある。

「妖仙」は「妖怪」などを率いており、「妖仙」こそが「妖怪」を作り上げているとも言われる。
ただ、この「妖仙」も表の世界に派手に出てくることは殆どないため、一般には伝説の存在としか思われていないが、「始皇」の周辺や、一部の高位の「道士」、「高官」などはその存在を知っている。
また、宮廷内にも「妖仙」や「妖怪」が入り込むことがあり、かつての王を誑かし、誘惑し、帝国を傾かせた「妖狐」の伝説なども伝えられている。

「妖怪」や「妖仙」は王国の「魔物」「魔族」と似ている点もあるが、別の存在である。
魔族は「魔族の国」を作り、自らの領土などを定め、魔王を自称するものも存在するが、「妖仙」や「妖怪」は基本的にそういったことは行わない。
「妖仙」などの一部の強大な存在を代表とした幾つかのグループは存在するものの、大所帯で群れることは少ない。
深山幽谷に拠点を設け、そこで暮らすものがほとんどである。一部の「妖仙」や「妖怪」は都市に潜むこともある。「妖仙」「妖怪」のための国家は形成されていない。

ただし、ある「妖仙」の大規模な集団は存在している。
それは「封仙宮」と呼ばれる集団であり、幾人かの「妖仙」が集まって作られた。
その長は「渾沌道人」とされ、神話にも登場する「妖仙」と言われる。神話上では「渾沌」「帝江」とも呼ばれるが、神話に登場したそれそのものであるかどうかは不明である。
非常に強力な力を持つとされるが、謎が多い。姿を自由に変えることができる、無貌である、歌舞に通じる、などとも神話には記されるが、現在は幼い童女の姿を取っているといわれる。

帝国を「妖仙」にとって楽しき場所とするために活動し、帝国の転覆、「封仙」(仙人を封じること)を画策する。
同じ目的の為に集まった集団であるが、「妖仙」同士が仲が良いとは限らず、内部で争うこともある。「渾沌道人」は基本的に「妖仙」たちの好きなようにさせ、全ての結果を楽しんでおり、自らを「大道の体現」と称する。「妖仙」は「渾沌道人」にある種の畏れを抱いている。
帝国を作った三神である「三君」は未だ帝国で健在であり、神々も帝国を守護している。そのため、「妖仙」も本来の力を出し切ることはできず、一気に帝国を転覆させることができない理由の一つとなっている。ただし、神々の直接的な介入はよほどの事がない限りは発生しない。

「封仙宮」は帝国の道士たちと争いを繰り広げており、その争いについては秘匿されているが、「始皇」の病臥のためにその情報統制が取れなくなってきている。
「封仙宮」が拠点とする「八卦山」(八つの山が八角形の形のように連なっている)は帝国の東の果てに存在している。その周辺は異界と化している。

近年、マグメール王国の領内にも「妖怪」や「妖仙」と思しき存在が現れている。


ミレー族/ティルヒア残党


帝国内にもミレー族が存在するものの、王国とは立場が大きく異なる。帝国内では「神獣族」と呼ばれる。
王国ではミレー族は奴隷階級、差別対象とされているが、帝国内ではそもそもミレー族への差別感情が一般に存在しない。

ミレー族は少数民族の一つとして扱われ、本人の努力次第で将軍や高官に上り詰めることさえ可能である。
王国のミレー族と帝国のミレー族は互いに積極的に交流を持っているわけではなく、祖を同じくする部族というような関係である。
むしろ、力を是とする帝国のミレー族内においては、奴隷階級に甘んじている王国のミレー族を蔑視する傾向すら見られる。

王国のミレー族が帝国へと逃げ込めば差別の対象となることはないが、帝国では弱者は虐げられる傾向にあるため、自ら力をつけなければ虐げられる対象となる可能性は高い。
また、王国のミレー族が帝国へ逃げることは非常に難しい。

帝国のミレー族も独自の神話を持っており、「封仙宮」の「渾沌道人」の神話も語り継がれている。
「渾沌道人」は神代の時代の「渾沌の子」の化身であり、もともとは他国の邪悪な神仙、「蕃神」であったというものである。あくまで帝国のミレー族の内部に伝わるものであって、一般的ではない。

帝国のミレー族は、「神獣族」は、ある種の畏敬すら一般の臣民から抱かれている。
それは彼らの超人的な身体能力と、魔術・道術の素養によるものである。帝国内では力あるものが羨望の的となる。
「神獣族」という名は、帝国のミレー族が「神獣」と呼ばれる神の使いの獣の子孫であるとされることから来ている。この「神の使い」は、王国にかつて存在したと言われるチァベ・コィキ・ミレヱと同じ存在であるとも言われていたが、その言説を知るものはもうほとんど存在しない。
神獣族は原則として「妖仙」や「封仙宮」とは強い敵対関係にある。。

帝国には、王国で発生した「ティルヒア動乱」で女王ティルヒアに従った者たちの残党が多く逃げ延びている。
「始皇」は、王国との戦争で「ティルヒア残党」が戦果を上げれば、帝国内に「ティルヒア自治領」を設立することを誓約している。さらには帝国が王国を支配した際には、オリアーブ島をティルヒア残党に返すとも成約している。
そのため、帝国には「ティルヒア残党」が兵士として仕えていることがある。ただし、上記の誓約が果たして本当に履行されるかどうかは不明である。


PL向け情報


マグメール王国周辺国家の中でも最大の権勢を誇る北方帝国「シェンヤン」の設定になります。
基本的なイメージとしては中国古代王朝(「秦王朝」「唐王朝」など)ですが、「中華神仙ファンタジー」的な国家と考えていただければ結構です。
あまり複雑に考える必要はありません。王国と同じく、帝国内の「臣民」や「皇族」、「軍人」、「道士」などをPCとして登録することができます。
帝国の都市や施設の作成もご自由にどうぞ。ただし、規約には反しないようお願いします。

服装や名前の一般的なイメージは中華風のものが多い設定になりますが、それもそういう雰囲気という程度のもので考えていただければ結構です。
西洋的・王国的な文化も混交しつつあるような文化になります。
マグメール王国と敵対しているため、王国人と敵対関係を行うのも構いませんし、戦闘やなどもご自由に。皇位を狙うPCや「仙人」「妖怪」「妖仙」などの登録も可能です。
帝国/王国の「奴隷」となった「将兵」「一般市民」として登録するのもご自由に。

ただし、以下のPCの登録、行為は禁じます。NPCとして喋らせるというのもご遠慮いただければと思います。
あくまで存在することに意味がある設定になります。ロール中に言及するなどはもちろん歓迎です。

・「始皇」「皇帝の正妻」(皇后の登録を禁じます。「始皇」の后の一人、妾であるならば登録可能です)「天君・地君・人君」「渾沌道人」「大政官の長官」「大祭官の長官」の登録

皇太子(皇位の継承が決定した皇子・皇女を指す。次代の皇帝はまだ決まっていない設定です)の登録

・「帝国の国家体制を転覆させるような行為(「させようとする/した」「未遂」「失敗した」「計画している」などは問題ありません。確定で世界観をひっくり返してしまうような行為、PCの登録を禁じます)

・「PC・NPCが皇帝に即位すること」、「PC・NPCが「始皇」を弑逆すること」、「PC・NPCが「始皇」を無力化すること」

「天君・地君・人君」を越える絶対神の登録。また、あまり高位すぎる神性の登録は推奨しません。

・その他利用規約に反すること、他の利用者の迷惑になるような行為など。

基本的なルールは王国と全く同様になります。規約的に問題と考えられる場合は管理者がメッセージを送る場合があります。
ご理解いただければとお思います。