2015/11/08 のログ
ケイシー(少年) > (籠からはみ出している物はどうやら海藻のようだ。プラセルにその知識が有れば、ローションの材料だと解るかもしれない。)俺は…おっかない。バカみたいにでっかい魚とかヘビとか居て泳ぎ回ってんだぜ?(フスー、と鼻から息を吹き出し)…でも確かに面白いよな。穏やかな時もありゃ荒れ狂う時もあってさ。ずっと遠くまで続いてるクセして、ただの船じゃそう簡単に渡らせてくれねぇ。なんていうか、不思議で、面白くて、やっぱおっかないわ。(ちょろちょろと寄ってきたフナムシか何かを、脚でシッシと追い払う。)…あ、あのさ…もし、答えるの辛かったら別にいいんだけど…一つ、聞いていいかな?
プラセル > (あんまり明るくない、と言うのもあるだろうが未加工状態の海藻は見た事がなかった。その上、それがローションになるなんて更に思いもしない。)おっかない。(思わず、少年の言葉を繰り返す。続けられる言葉に、ああ、と納得したような相槌を打ちつ)海の向こうにはなにがあるのかしら。…ね、(見渡す限りに広がる水面は果てがないようにも思える。微かに笑う声で嘯きつつ、再びゆるりと傾ぐ頭。視線を少年へと移し)なあに。
ケイシー(少年) > (なあにと聞き返され、それでも少し迷っているようだったが。)…そのさ、翼の里に、『クレイ』って女の子…あ、いや!女の人、居なかったかな。『クレイア』とか『クレイディア』とか、そんな名前かもしれない。黒髪でさ、翼の先端だけちょっと黒くてさ…多分、40?50はいってないと思うんだけど…それぐらいの女の人。知らないかな…?(先程までの、どこか笑っているような表情から打って変わって、すがるような目つきがプラセルに向けられている。)
プラセル > (少年が言いよどんでいた意味を察して、またひとつ相槌めいた吐息を逃がす。それから)―――…いなかった。と、思う。…私の里のひとはね、みんなこの色だったから。(言いながら自分の髪を軽く引いて見せた。他の部族とは殆ど交流が無かったが故に、生まれてくる里のものは皆同じ色をしていた。黒髪であれば、相当目立っただろう。然し、)…ごめんなさい。私、里にいた時の記憶、まばらで。でも、…私たちがこっちに来た時にはいなかったわ。これは絶対。(今の己が持つ記憶は、所々隙間がある。成長からの忘却と言った類ではない隙間が。申し訳なさそうに眉尻を下げながら告げ)…そのひとは、ケイシーの大事なひと?
ケイシー(少年) > そ…(ゴクリ、唾を飲み込んで続く言葉に耳を傾ける。)っか。いや、有難う。こっちこそ何ていうか、ごめん。…じゃあ、他の隠れ里だったのかもしれないな…(安堵とも不安ともつかないため息をゆっくりと吐き出す。)大事な、というか…恩人の一人、かな。昔、拾われてさ。暫く飼われてたんだ、その子に。(三角帽子を脱ぐ。プラセルの視線から一度顏が隠れ、次に覗いた顏は猫のそれだった。帽子を被り直せばまたそばかす顏の少年の顏に戻っている。)…無事だといいよな、プラセルちゃんの大事なひと達もさ。
プラセル > ううん。私も力になれなくてごめんなさい。(頭を左右に振って気にしていない、と意思表示。寧ろ、大した情報にならなくて申し訳ないと言う気持ちの方が多い。続く言葉に、きっとそうよ、と確証はないながらも常よりも些か強い調子で同意しつつ)そう…、―――(めくるめく、そんな風に変化を見せた少年の顔。暗喩でなく、少年から猫の顔へと移ろったのを見て『飼われていた』との言葉に納得した。ねこである。色々な種がいるものだ、なんて少数部族の出の癖思ったり。それから、そろりと息を吐き出し)…うん、…きっと、大丈―――…ところでケイシー、あなたもしかしてお仕事の途中…?(少年の言葉に、相変わらず感情の乗り切らない表情の儘頷きかけ、ふと思い出したのは少年が降ろしていた籠の存在。少々不安そうに眉尻が下がり)
ケイシー(少年) > いや、いいんだいいんだ。何せ、昔の事だからさ。(なにしろ、プラセルの生まれるよりもずっと昔の事だ。実際に別の集落だったのかもしれないし、あるいは閉鎖的な村社会での「忌み子」だったのかもしれない。それはこの場に居る二人には知ることは出来なかった。)ん?ああ、今から帰るトコ。暫くコイツ干して、煮込んで…ははは、『潤滑剤』になるんだぜ、これ。(よっ、と声をかけまた籠を肩にかける。)プラセルちゃんは今夜はこの辺で明かすのかい?もうちょっと行ったトコに抜け道作ってあるから、なんだったら「首輪いらず」の近くまで送れるケド…(どうする?といった風に首を傾げて答えを待つ。その表情はやはりどこか猫っぽいかもしれない。)
プラセル > (昔。己よりも年若く見えるのに。然し、見た目通りの年齢であるとは限らないと言う事は百も承知だ)何か思い出したら、教えるわね。(空いた隙間に当てはまる記憶がそれであれば良いけれど。決意を新たに、とまではいかないが、一人で納得して頭を幾度か縦に揺らした)―――…うそ。…本当に?(それから、少年の台詞に大きく目が見開いて、籠と少年を交互に見返した。これが…だと…?そんな顔で。信じられないものを見てしまった表情のまま、鈍、と立ち上がり)私も戻るわ。(流石に一夜を明かす気概はなかった。服に付いた砂埃を軽く払ったら、お願いします、だなんて浅く頭を下げて少年と共にこの場を離れる事に――)
ケイシー(少年) > 天然物だから口に入っても大丈夫だし、ここだけの話美肌効果も期待出来るんですよ奥様。(だんだんと、陽気におちゃらけた口調に戻っていく。一緒に戻るとの返答を聞き)OK、んじゃま大幅に近道して帰りますかー。あ、魔法の近道なんだけどアレだぜ、あんま派手なの期待しちゃ駄目だぞ、オレっちんとこの魔法は師匠の代から地味でだな…(海辺から二人の姿が遠ざかっていく。もしもその場で見ていた者が居たならば、気がつけば二人を突然見失ったように感じただろう)
ご案内:「王都マグメール 平民地区の漁港近く」からプラセルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区の漁港近く」からケイシー(少年)さんが去りました。
ご案内:「酒場”トルラント”」にスーさんが現れました。
ご案内:「酒場”トルラント”」にルカさんが現れました。
スー > 平民地区にある、安さと速さと、店主の気前の良さが売りの酒場。
今日も賑わい、人が多く。酒を呑み、飯を食い活気あふれる。
若者たちが集い、楽しむそこで、ひとり若干浮いた老婆がカウンターに一人。
店主だけがたまに声をかける

「いつもので。おかわり」

なんて、言いながら。ひとり静かに酒を呑む。
すごく強いというわけではないが、たまにはいいだろう。

今日は久々の休み。酒に明かす日だって、ある

ルカ > からんからんと扉のベルが鳴る。新たな客の入店の合図だ。
客はカウンターへ歩み寄って、ふわりと座って。

「いつもの。……って、あれ。おばあちゃん。」
にょこ、と視界の端から顔を出したのは、見知った人物。
仕事帰りのルカであった。

「へぇ、奇遇だね。この店、よく使うの?」

スー >  
一目散。ほんとなら見向きもしないであろう、老婆に声をかけた若者に
店主はちょっと不思議そうな顔をして、だがすぐ気を取り直して
”なにか飲むかい? それとも食べる?”
なんて、声をかけ。

そして、呼ばれた本人としてみれば――

「やぁ、この前はわざわざ護衛ありがとうね。泊まりにまでしちまって――」

柔らかく微笑む――。
しかし、目の前の女にはどう見えているのか。
しわしわの、魅力の無い枯れた老婆か――
それとも……

ルカ > 「あ、うん。……オムライス、可能な限り大盛りで。」
非常にアバウトな注文である。この女の胃袋なら詮なきことだが。
なにせ、店の食料の殆どを胃袋に収めて八分目とか宣うやつである。

「あー、あはは……いいよ。その、なんだかんだ楽しかったし。」
少しバツが悪そうに頬をポリポリ。
その瞳に映るのは……一体どちらの姿だろうか。
スーからは、それを判別する手段はない。

スー >  
はいよ、なんて言えば店主は厨房でがちゃがちゃと音を鳴らし始める。

「……ん? どうした。なんだか、あんまりはっきりしない物言いだね?」

首を傾げて、わずかに金色の瞳を覗かせて。
ちょっと、顔が近づく。息がかかる距離。
ほんの少し、酒の香りが漂い、そこそこ飲んでいたのが伺える。

「楽しんでもらえたならなによりだが――社交辞令、お世辞なら要らないよ?」

ルカ > がしゃがしゃという音とともに、ふわりとチキンライスの香りが漂い始める。

「……恥ずかしいんだよ、あんなに乱れた手前。っていうか、結構飲んでるね?」
ごにょごにょ。顔がほんのり赤くなっている。
酒の匂いには特に顔をしかめることもなく、冷静だ。そこそこに強いのだろう。

「…お世辞なんて言ってるつもり無いよ。ぜんぶ本心さ。
 嘘は嫌い、でしょ?」
ふふん、と少し得意気に笑って。

スー >  
ほんの少しすれば
”スーばあちゃんの知り合いか。ここで会うなんて珍しいな。大盛りはサービスだよ”
どんっと、大きいオムライスがやってくる。
自分で割るタイプのオムレツがチキンライスの上に乗っている。
これは店主の拘りだ。割るところからオムライスという――

「そうかい? 二回目だからなれたと思ったけれど――そうでもないかい?」

くつくつと、喉を鳴らせば。くいっと口に酒を運ぶ。
どうやら葡萄酒の一種のようで――

「そんなに飲んでないさ。まだ――いくつくらいだったかな……」

なんて老婆が首を傾げれば、店主が4だよ、4と指を出した。

「……大分、私好みに調教されてきたかい?」

冗談交じりに、その笑みに返してきた

ルカ > 「おぉ~……いいねぇ……」
目の前に広がる黄金と赤、そしてパセリの緑の色彩に目を細め、うっとり。
ぱしんと手を合わせてきちんといただきますをしたあと、ゆっくりオムレツを割り広げ始める。
中はとろりととろけ、ほわっと湯気が立ち上った。

「何回やっても慣れないよ。」
もさもさとオムライスを口に運びながら一言。
食べるペースが結構早い。

「結構飲んでるじゃん…あれ、でも見た目しか変わってないから飲んでも問題はないのかな?
 ……む"ッ!?んぐ、げほっ、ごほっ!……そ、そういう事は外で言うモンじゃないって……!
 あー死ぬかと思った……げほっ、げほ……」

スー >  
「あはは、まだ最初だからかもしれないよ。いつか慣れるさ」

くつくつと笑って、つまみの野菜の酢漬けをぽりっと口に運ぶ。
よく見れば、その食べっぷりにか。それとも眼帯という特徴からか
白銀の髪に蒼の眼差しという美貌故か、いくつかの視線がルカに注がれていた。

「見た目、変わってないかい? ふふ、人は見かけによらないから、もしかしたら問題かもしれないよ」

ことりと樽をカウンターにおいて。またおかわりが出てくる

「別に誰も聞いちゃいないさ。それに、婆さんがこんな美人とだなんて、与太話と思うよ――あんたの今の反応がなければ……」

最後に付け足せば、びっくりしたような表情をした露出が多めの金髪の女が、視界の端に入って……

ルカ > 「……何時になっても慣れる気がしないけどね、私は。」
周囲の視線には慣れっこなのだろう、気にせずひたすら食べ続ける。
もう既に3分の1ほどなくなっていた。人間の頭ほどはあろうかという巨大なオムライスがである。

「そうやって言えるうちはまだ大丈夫だろうね。酔い潰れたら看護してあげようか?なんて。」
口直しに水を一息に飲み干して、また食べる。
今、残り半分を切った。

「……誰が聞いてるとか、そういう問題じゃなくてさ。
 ………。むぐむぐ。」
流石にバツが悪そうになった。

スー >  
静かに、口に含む。
いろごとに、そういう感覚がなくなったのは何年前だったろうか。
いつからか、そうしてくれるだけで満足していて。
そこに恥ずかしさなんてなくて、ただ心地よくて。今の目の前の女性のほうがよっぽど魅力的に見える。
悪友の言った、阿婆擦れ――案外間違ってないかもしれない。

「……おや、それじゃ。そうしてもらおうかな……?」

ゆっくりと、となりに体重を預ける。
老婆がしてもそそられない、ただ看護してるような
そんなものだが――さて……

ちなみに、さっとHENTAIを見るように金髪は目をそらした

ルカ > 「………。」
手を止め、黙ってしまったその姿を横目で見つめて。
何かを考えこむように少しそのままになって、また手を動かし始めて。

「………あー、うん。」
特に、変わった様子は見られない。
しかし、もし聞き逃さないなら……胸の拍が、少しだけ跳ねたのが聞こえるかもしれない。
あと金髪女性は睨んでおいた。男っぽい見た目のせいか迫力が結構強い。

スー >  
見えない位置。
寄りかかったそこで、老婆は少し呆然とした。
冗談も、なにも返ってこない。
それに少し、熱い――ということはつまり、今の目の前の少女には自分はどう見えているのか。
錯覚も、なにも使ってない――使ってないのに……

驚いたように、身体を離して。
酔が覚めたように、顔色が。悪い……
蒼白――枯れた肌では分からない、色になりながら

「……あんた……」

ルカ > 「………?何?」
いつの間にか食べ終わっていたのか、からん、とスプーンが皿に落ちる音が聞こえる。
それだけだった。胸の音もいつもどおりで、体温は元から高い。
それだけ、なのだが。

「どうしたのさ、『おばあちゃん』。」

スー >  
「……いいや、なんでもないさ」

気のせい。そうだ、自分がどう視えてるかなんて
わからない。気のせいなら、それでいい。
まさかと思ったが、そんなはずはないのだ。
そう、自分を好きになるなんて。あの一夜の夢の様なもので――
あぁ、できる。雰囲気があればしてくれるだけで好いのだ。
お互いのためにも。

「少し、寒気がしてね。飲み過ぎて体温上がりすぎたかな」

だのに、どこか。気持ちが少し沈んだ気がしたのは――
いや、それもまたきっと――

ぐいっと酒を飲み干して、胃の中に全て落としていく

ルカ > 「……そっか。」
そう言って、その軽い体を受け止め続けて。
どう見えているかなんてわからない。確かに、その通りで。
目を奪わないかぎり、その見えている世界を共有する術はないのだ。

「そっか。気をつけてね?体は大事だよ。」
ぽんぽん、と肩を優しく叩いて。
その目は優しくて、少しだけ寂しげにも見える深い青。

スー >  
これが年頃の女なら――甘えて。今日は一人になりたくないなんて
そんな、甘いセリフとともに一夜に誘えるのだろうが
生憎と、自分はそうはいかない。そのまま、一緒になんて口が裂けても言えない
だから――

「……店主。いつものを、隣の人にも」

おかわりをしながら、グラスがもう一つ運ばれて。

「まだ、時間はあるだろ? もう少し付き合いなよ、騎士様」

おごるからさ――……

なんていいながら。ふわりと―ぎこちなく―笑って

ルカ > 自分の元に届けられた酒のグラスを見て、少しだけ驚く。
しかし、すぐにスーの方へと向き直って。

「……もう少し、なんて言わずにさ。
 一人で飲むのは寂しいんだ。どうせ、今日はもう仕事もないし。
 今日は終わりまで一緒に飲まない?」
にへ、と少し締りのない顔で笑って。
そのぎこちない笑顔を見れば、少しだけ不思議そうに首を傾げて。

スー >  
「そこまで酒は強くないよ……」

コツンと、グラスを鳴らせば少しずつ飲む。
特別、なにか話があったわけではないが。
ゆったりと時間を過ごせば――

いつのまにか……

「……すー……――」

顔をほんのり赤くして、カウンターで寝息が響く。
店の場所は知っている。彼女がそこに住んでいるのも護衛任務で知っている――

送るのもいいが、店主はあとで起こしておくからなんて朗らかに笑う。
こんなに飲むなんて珍しいとかいいながら毛布をかけて

ルカ > 「ふふん、私は強いよ?」
妙にドヤ顔を飛ばして、楽しい時間を過ごして。
それが過ぎるのは早いもので……

「……おーい?……あらら、寝ちゃったよ。」
少し考えこんで、店主に声をかける。

「マスター、この毛布借りてっていい?後日洗って返すからさ。」

了承を得て、毛布を老婆にかけたままおぶり、店へと歩き出す。
何も担いでいないような気軽さで、しかしあまり揺らさないように優しく。

スー >  
「おや、そうか。ならお任せしようかな。また来なよ。酔いつぶれをどうにかしてくれたお礼くらいはするさ」

いいよいいよ、やるよ。もってけ泥棒、というように手をひらひらふって。
店主はちょび髭を撫でる。

小さな / 大きな
軽いくて
すぐにも折れそうな / ふわりと包み込むような
背中におぶれば、どの感覚がルカを襲ったのか――

「気をつけてな」

ルカ > 「さーんきゅ。また来るよ。」

その体に感じるのは、一体どんな物か。
それは、他ならぬルカだけが知っていることで……

「……ふふ。」
その感触へか、それとも別の何かか。
優しく笑って、影の国へと送っていくのであった。

ご案内:「酒場”トルラント”」からスーさんが去りました。
ご案内:「酒場”トルラント”」からルカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール とある酒場」にアルバニアさんが現れました。
アルバニア > (真昼間から酒場でアルコールを煽る事のなんと贅沢な事か。杯に並々注がれた麦酒煽り、それこそゴッゴッと音のしそうな勢いで飲み干していく女が一人。)…っぷはー!(数十秒前まで溢れんばかりの嵩だったそれは既に無く、其処に幾許かの雫を残すのみとなっていた。ご機嫌な様子で酒を干していく女を窘める者は今この場にはいないようで、箍が外れたように新しい酒を忙しそうに店内を歩き回る少女へと注文した。少女が去っていくのを眺め)―――…ああー…あたし、毎日飲んだくれたあい…お酒おいしいよお…ううっ…!(酔っぱらいである。)
ご案内:「王都マグメール とある酒場」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──むぅ…ここも人が多い感(この昼飯時、料理店はどこも満席御礼のところが多く、男は食事にありつけずにいた。空腹を訴える腹を擦りつつ、ここらヘンでいいや、と適当に選んだ酒場に足を踏み入れたものの、やはり席が概ね埋まっている様子なのが見えれば眉を下げ。そんな折、目の前を通りかかった、麦酒の杯を運ぶ給仕の少女を呼び止め)…キミちょっといいかな? どっか空いてる席とかあるかね?(と、訊ねてみる。少女は少しの躊躇の後、男を席に案内する。…呑んだくれた様子の女が居座る、その席に。少女は女の前にどん、と麦酒の杯を置くと、一歩引いて)………。(ずーん、とか効果音が聞こえてきそうな表情になった。ああ、そりゃ空いてるわなあ…とか心のなかで一人納得し、どうしようかなあ…と多少躊躇してから)……そのう。相席いいですかねぇ? よかったらでいいのだが…(眉下げた笑みを浮かべ、女に相席の可否を問いかけてみた)
アルバニア > (他のテーブルには前菜やら主食やらが並んでいるのに、女のテーブルの上には空になった杯と肉――それも干した物やナッツやら。所謂、酒の肴しかない。それを摘みながら、まだかなまだかな、と新しい酒が運ばれてくるのを待っていれば、どん、と勢い良く置かれた杯)お嬢さんありがとー―――…うん?(酔っぱらいはご機嫌に少女に礼を告げた。それから、一緒にやってきた青年へと顔を向け、周りを見渡して)どうぞどうぞお!座って座ってぇ!(青年にとって幸か不幸か、明るく快諾した。)
エレイ > ──お、おう…かたじけのうござる(相席を快諾されれば、その明るさから出来上がりっぷりが見て取れて軽く引きながらも妙な口調で礼を言うと、テーブルの向かいの椅子を引いて腰を下ろし。佇んでいた少女に肉料理と果実ジュースを注文する。オーダーを受けた少女が去ってゆくのを見送ってから、女の方に向き直り)…しかし昼間っからゴキゲンですなあキミ。いったいどんだけ飲んでんだよ?(テーブルの上、酒の肴と空の杯ばかりが並んでいるのを改めて眺めると、顔に視線を戻して訝しげに問い)
アルバニア > うむうむ、よきにはからいたまえよ~!(釣られて妙な返答をした。早速とばかり、再び並々入れられた杯を手に取り、ぐびぐびと飲んでいき)ええ?…えっとー…はち、くー、じゅー……じゅー…?(不意、青年に投げかけられた問いに杯を傾ける手が止まる。ゴッ、とテーブルに戻して指折り数えて行くものの、折る指が無くなった所で数えるのが止まった。典型的な酔っ払いの知能指数の低下状態がありありと現れている。それに、ある程度溜まった杯は片づけられてしまうから、もうどれだけ飲んだかなんて覚えてはいないのだ。自分の手へと落としていた視線を青年へと向ければ、にっこー!と相変わらずなご機嫌な笑顔を向け)覚えてなあい!あっはっは!
エレイ > そうですかありがとうウワバミすごいですね(めっちゃゴキゲンな笑顔を向けられれば、こちらは対照的にゲンナリした顔しながらため息混じりに呟いて。料理が来るまでの間、勝手におつまみのナッツを一つ拝借してポリ、と齧り)…しかしそんなに飲んで大丈夫なのかという顔になる。ちゃんと自分で帰れるんですかねぇ? 目の前で潰れたりしたら俺様がお持ち帰りしちゃうぞ?(彼女に普通のヒトのそれとは違う気配をなんとなく感じながらも、今はどう見てもただの酔っ払いのお姉ちゃんなので、軽い冗談めかした台詞を交えながらも一応心配してみたり。少しして、よく焼かれた骨付きの肉が数個にフライドポテトが添えられた皿、そしてジュースを汲んだ杯が届けば、肉を一つ手にしてむしゃむしゃと齧り始め)
アルバニア > あはは褒められたあ!(青年のゲンナリ顔など何のその。全く、微塵も気にしちゃいない。ご機嫌な酔っ払いはナッツが食べられてしまった事にも気付いているやらいないやら、である。続けられた言葉にはきょとん、と少しばかり間の抜けた顔を晒し)やだー!お持ち帰りされちゃうのお?(両手を頬に当ててきゃっきゃとはしゃぐ素振り。頬から手を離して杯へと伸ばしつつ、逆手を軽くひらつかせ)大丈夫よお。あたし、強いからあ。(うふふ、とうっそり笑う女。強い、とは酒にか、はたまた別の何かか。敢えて言にはせぬ儘、運ばれてきた料理を食べる青年をじいっと見詰め)おにいさんはお酒、飲まないの?
エレイ > ハハハ…まああきっとそんなベロベロ状態でも生半可な野郎が手を出せば即死で瞬殺されるんだろうけどな(テンション高くはしゃぐ女を半目で見つめつつ、強い、と言う台詞には少し乾いた笑いを漏らし)だが俺も結構強いからよ、少なくとも酔っぱらいには負けませんよ?(などと、ビシリと立てた親指で自分を指し示しながらドヤ顔。じっと見つめられながらの問いかけには、ん? と眉を持ち上げ)あー…飲もうと思えば飲めなくはないのだが、俺は実は体質的に酔っぱらえなくてな。俺にとっては味の微妙な飲み物ということにしかならないのであもり酒は嗜まない系の話があるのだよ(ぬぅ、と少し唸りながらそんな答えを返す。ぐび、とジュースで肉を流し込みつつ、すぐに1本食い終えるともう一本の肉に取り掛かり)
アルバニア > んんー?んふふふふ。(にっこり。だなんて音が響きそうな、何処か悪戯っぽい笑みを瞳に湛えはするものの、女は笑う吐息を洩らすだけで言葉にはしない。が、)――あらあ。あらあら、へえ、ふうん、そう。あたし、強い男だあいすき。(先の台詞といい、何処にでもいそうな人間、と言う訳ではなさそうだ。それを察すれば、酔っ払いには負けない、だなんて台詞も捨て置けない。興味深そうに、瞳の弧型を一層深め、つよいひと、と嘯いた。それも束の間――)ええっ!?な、なにそれ…っ!そんな、そんなの…そんなのもったいない…信じらんなあい…。(酔えないのも勿体ないが、酒が味の微妙な飲み物だなんて称されて精神的な大ダメージを負った女はあからさまに意気消沈して)
エレイ > あー…やっぱなんかそういう事を言い出すタイポだと思ってた(強い男が好き、と笑みを浮かべて言い放つ彼女に、そう呟くとニヤリと不敵な笑みで応えてみせる。が、酒の話で大きくショックを受けた様子には少し目を丸めて、それから眉下げて笑う)ハハハ…すまにいな。酒好きらしいキミにはちょっと理解できないかもしれんが、そういう奴もいるってことを頭の片隅にでも置いといてくれぃ(等と言いながら、席をずらして彼女から向かって斜め前辺りまで近づくと、意気消沈状態の彼女の肩を慰めるようにポンポンと叩き)…ああ、ところで俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが呼ぶときは気軽にさん付けで良い。そっちは?(それからふと、思い出したように妙な自己紹介を。それから彼女の名も訊ねてみて)
アルバニア > 血沸き肉躍る、ってやつよねえ。(守られたい、だとかそんな理由でなく、強さへの純粋な熱望。無論、男でなくとも強いひとは好きではあるが。そんな事を酒を煽る合間に呟いた。それから、受けたショックを癒すべく、残る麦酒をちびちびと飲み)悲しいけれど…これも現実よねえ…。(再び勿体ない、そう呻きながら肩を叩く手に同意を示すように幾度か頷き)エレイちゃんねえ。分かったわ。あたしはアルバニアよ、よろしくねえ~!(謙虚な旅人はそんなに太々しくないものだ。さらりと聞き流した上にちゃん付けで呼んで、名乗り返す。もし青年が傭兵やらに詳しければ、女が率いる部隊の名前やら何処の誰が呼んだかも分からない二つ名付きの名称やらが思い浮かぶやも)
エレイ > 俺もケンカは好きなので気持ちは判らなくはないだろうな。だが俺的には女性とはもっと色気のある展開のほうが好きなのだが…(ウンウンと理解を示すように頷きながらも、そんな一言を付け足すと角度が変わった事でよく見えるようになった彼女の肢体をジロジロと眺めてみたりして)仕方ないね。──って、おいィ…よりにもよってちゃん付けかよ。まあいいんだが俺は心が広大だからなその程度は気にはしない。アルバニアか、おうヨロシクだぜ。俺はこの国にやってきて間もないからよ、色々教えてくれると嬉しいです(さん付けを無視されるのは慣れっこではあるが、ちゃん付けにはぬぅ、と唇3の字に尖らせて不満気な表情を作り。しかしそれ以上の文句はつける気はないのか、またドヤ顔。彼女の名も聞けば、またビシっとサムズアップしてみせ。自分が異邦人であることも伝えておく。彼女の傭兵としての名声やらは、この先いずれ知ることにもなるかもしれない)
アルバニア > ええー?…んふふ、―――えっち。(ちょっとばかり認識の相違があるようだ。が、然して気にした様子も無く、小さく笑った後、吐息混じりに甘ったるく窘めた。)謙虚なエレイちゃんだもんねえ!あっはっは!―――あたし、王都にいる時はこの辺り拠点にしてるからあ、酒場とかで言付けしてくれれば多分話も伝わると思うわあ。アルバちゃんにまっかせーなさあい!(不服そうではあったものの、最終的には受け入れてくれたらしい青年に朗らかな笑い声を上げる。それから、応えるように青年のサムズアプを真似して見せた。間を空けず、騒々しく開かれた酒場の扉。外からばたばたと慌ただしく入って来るのはいかにも、な風体の男が2人。ざわめいた店内はすぐに昼食時の喧騒に戻って)――ああんもう!折角楽しんでたのにい…エレイちゃん、またね。(2人組を見た途端、不機嫌を露に文句を宣って杯を荒々しくテーブルに置いて立ち上がる。如何やら女の顔見知りらしかった。立ち上がった女を見つけた男が駆け寄ろうとするのを片手をひらつかせる事で制してはその手を返して青年の顎先へ、避けられなければ頬へと軽く口付けて離れよう。さっきまでの酔っ払いの風体は何処へと、うっそりと笑んで見せればテーブルを離れて酒場の外へ――)
ご案内:「王都マグメール とある酒場」からアルバニアさんが去りました。
エレイ > (頬へのキスに少し目を丸めてから、二人組の男とともに慌ただしく酒場を出てゆく女を見送り)お、おう……またなー。──はー…中々忙しそうですなあ…大変そうだ(などと呑気な感想を呟くと、のんびりと残りの食事を済ませて自分も酒場を後にした)
ご案内:「王都マグメール とある酒場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「平民地区 夜の酒場」にテアさんが現れました。
テア > 蛮人達の宴亭。
入り口に掲げられた真鍮造りの絵看板が示す通りの、雑多で品のない酒場兼食堂である。
貧民地区にほど近い、治安のあまりよろしくない立地。
安さと量を売りにしたメニューもあって利用者はむくつけき肉体労働者ばかり。
仕事を終えたばかりの労働者の汗臭い体臭と安物の酒精が充満する店内には、娼婦じみた商売を兼ねて働く給仕以外に女子供の姿は見当たらない。

周りの迷惑など考えぬ酔客の下品な笑い声が響く中、入り口のスイングドアをそっと開いて店内に入る小柄な人影があった。
人いきれによる熱気を孕んだ店内においてもマントフードを目深に被ったその人物は、出入りする客の邪魔にならぬよう入り口脇に身を引いた上で踵を持ち上げ、キョロリ、キョロリと空席を探す。
―――見つけた。
店内奥の壁際、ランタンの明かりもほとんど届かぬ薄暗がりに、二人掛けの空きテーブル。

野暮ったくて鈍臭そうな服装とは裏腹に、するすると人波を縫う様に進んだ小柄な人影は、狭苦しい店内で大柄な酔客の誰にぶつかることも無く辿り着いた空席に腰を下ろした。
フードの作る影のせいで表情こそ伺えぬものの、分厚いマントに覆われた頼りない細肩が安堵の吐息で少し下がった。

テア > 目聡くこちらに気付いた給仕に、小声で、数度聞き返されながら注文を告げる。
最後、ようやく注文を聞き届けてもらった際、その声音に給仕が目を丸くしていたけれど、何、別に悪い事をしているわけではない。
別にこの店だって若い娘が訪れていけないわけではないはずだ。

この小柄なマントフードの正体はまだ年若い人間の娘。
テアという名の女狩人であり、一応は冒険者稼業を主の生業としている駆け出しである。
今も、2巡りに近い日数を野外での冒険者仕事に勤しんで、つい先程、街門の閉まる寸前に戻ってきた所だった。

本来なら一刻も早く湯浴みをしてベッドに潜り込み、くたくたの身体を休めたい所なのだけれど、こんなタイミングでも無ければ中々この店には紛れ込めない。
生来、臆病で人見知りも強い少女がこんな危険地帯とも言える酒場に来ているのには、理由があるのだ。
この店、安さと量が自慢なれど、味も悪くないのである。
確かに上品さなど欠片もない、大雑把で適当な味付けなのだけれど、2週間近くに渡る冒険者仕事を終えて戻ってきた少女―――育ち盛りの年頃で、なおかつ野外生活による味気ない質素な食事で空きっ腹になっている少女にとっては堪らない物があるのだ。

そして何故このタイミングが適切なのかと言えば、薄汚れてくたびれたこの外見と、何より匂い。
冒険者仕事の合間は基本的に着の身着のまま。
下着くらいはたまに小川で水洗いしたし、濡らしたタオルで身体を軽く拭くくらいの事もしたけれど、汗と垢のこびりついた、自分でも少し気恥ずかしくなるくらいの匂いが彼女の周りから人を遠ざけてくれるのだ。

実際の所、周りの男達の汗臭さと少女の身体が醸す香りには違いがある。
清潔とは言いがたい匂いもあるものの、若い娘の身体からは濃密なフェロモンとも言える香りも放ってしまっているのだ。
異性を引き付けるその匂いも、本人にとっては単なる汗臭い匂い。
こんな匂いのする相手に声を掛けてくる者はいまい。そんな短絡による行動なのだが、幸い、今日までトラブルには見舞われていない。

ご案内:「平民地区 夜の酒場」にハナビさんが現れました。
ハナビ > 「っ…んっ…ふぅ…」
夜の酒場にて、マントフードの少女と同じく少女がひとり歩くには厳しい時間帯の酒場の夜。酔ってるのか熱っぽいのか少々ぽーっとした様子で頬を赤らめながら歩く少女がひとり。

白髪白毛の耳と狐尾を揺らし、露出高めの軽装防具に肩掛けの外套。レザーブーツにナックルガード。背丈は150cmくらいで少々華奢に見えるミレー族の少女が周囲の視線をよそに部屋を確保すべく受付へと向かう。

そんな中、酒と汗と男の匂いに混じってスン、と鼻につく濃厚な牝の香り。同時に宿るのは強烈な性への誘惑。ズシンッ、と子宮に響くものを感じ、異物が入りっぱなしの菊座がキュンと高鳴る。周囲を見渡しそのニオイの発生源を見つければ行動に移すのは早かった。

「ねぇ、君いい匂いがするね……よければ、ご一緒していい?」
周囲は生憎の混雑。相席を申し出ること自体は不思議ではないだろうか。下心は持ちつつも持ち前の人懐っこい仕草で相談してみるのであった。

テア > 身動ぎ一つみせること無く、店内片隅の置物となっているモブ少女。
しかし、その心は注文した肉料理の到着を今か今かと待ち望んでいた。そわそわ。

そんな最中に聞こえて来た声音。
臆病者の肉体反射がビクンッと肩を跳ねさせるものの、聞こえて来たのは自分と同じく年若い少女の声。
恐らくは店員の物であり、きっと料理が届いたのだと喜色の覗く顔をガバッと上げた。

ふわりと浮き上がったフードの暗がりの奥、澄み切った森の中の湖水の如き双眸が、傍らから声を掛けてきた狐娘の視線と絡む。

慌ててフードを引き下ろしながら、彼女の手元を覗き込むも料理は無い。
小首を傾げ、先ほどの掛けられた声を脳内にてリピートしてみる。

「………………………。」

しょぼん…と肩を落としつつ、こくんと小さく一つ頷いた。

料理で無かった事には心落ちしたものの、むさ苦しい男だらけの店内で、自分と同じくらいの相席相手を得られたのはむしろ幸運。
しかも先ほどちらっと見たその顔は、非常に愛らしく整っていた様に思えた。

少し遅れて胸の奥がドキドキしてくる。
男避けのつもりの体臭が、同性の、しかも非常に可愛らしい少女を前に猛烈に恥ずかしくなってきた。
無愛想な無言を貫くフードの奥、土埃と垢に汚れた娘の頬がじわりじわりと赤みを増していく。

ハナビ > 自分を目の前にした途端、カクンと肩を落としてしまった少女。
悪いことをしたのかな、と不安が一瞬頭をよぎるが-こくん、と同意を得られたことでとりあえず着席し。

「え、えっと、誰か待ってる人がいた…?」
おそるおそる声をかけてみるも、どうやら様子を見てる限りそのような感じはなさそう。ほっと胸をなで下ろせば運ばれてくるのは目の前の少女が注文していた肉料理。
芳ばしい香りが空腹のお腹に突き刺さり自分の食欲も増していく。
去ろうとする店員を呼び止めて、自分もプルコギとドリンクを二人分注文するのであった。

「はい、これ一緒に付き合ってくれるお礼。よかったらどうぞ」
少女が肉料理に目が行ってる隙を狙って、ちょぴっとスポイトのようなものからドリンクに薬液を垂らし、少女へと差し出す。
軽度の効果を持つ催眠と媚薬の混じった混合液。弱いゆえに効果があるかわからないが、疲れきってる少女の意識に訴えることはできるかもしれず。……そもそも飲んでくれるのか、という心配は当然あるが。

テア > 黒狼のファーに縁取りされたフードで目元を隠した狩人少女は、狐の問に無言で首を振る。
今の自分には待ち合わせるような友人も仲間もいない。
じくりと痛む胸の傷。
しかし、近づいてくる気配と匂い立つ肉料理の香ばしさが、再び少女の顔を持ち上げさせた。

「…………っ!」

キターーーーーッ!
そんな顔。
大きな翠瞳をきらきらに輝かせ、おちょぼ口を笑みの形で広げ、スライスした豚のバラ肉とてんこ盛りのキャベツに特性ソースをぶっかけた豪快な料理を出迎える。
給仕娘に料理の代金である数枚の銅貨を渡して薄汚れた手を延ばす。
火傷しそうなくらいに熱い肉の切れ端を口元に運び、がぶりと食いつく。
口腔に広がるスパイシーでほの甘い味わいとたっぷりの肉汁。
感動で華奢な身体がぷるぷる震えた。

「――っ、………?」

一瞬、対面の狐娘の事も己の匂いに対する気恥ずかしさも忘れていた。
お礼と称して差し出されるシードルの甘い匂いに目を丸くする。
数度の瞬きとしばしの懊悩の後、マントフードは手元に引き寄せていた肉料理の皿をそっとテーブル中央へと押し出した。
良かったら二人で食べましょうという意思表示。
たったそれだけのアクションでも人見知りの気恥ずかしさがあるのか、フードの奥の頬が赤い。

テアは人間にしてはかなり鋭い五感を持っているものの、雑多な匂いの渦巻く酒場の中、しかもジョッキになみなみと注がれたシードルにほんの数滴垂らされた薬液に気付ける程ではない。
無言で俯いたまま受け取ったジョッキを軽く掲げ、両手で持ち上げ唇につける。
桜色の唇が濡れて、頼りない細首がこく、こく、と嚥下の小音を漏らす。

ハナビ > 首を振る姿にそっか、と納得するも、ふと表情を曇らせた様子を見つけてふーむ、と何かを考える仕草。しばしそのままでいたが、届いた肉料理に飛びつく姿を見れば、いろいろ思案してた様子も吹き飛びくすっと笑って。
「ふふっ、よっぽどお腹すいてたんだね…」
分け目も降らず肉にかぶりつく少女。さっきまでおとなしくしてたのが嘘みたい。そんな姿を微笑ましく眺めながら、届いたプルコギをあむりと口に運ぶ。
そんな中、ドリンクと交換するように肉料理を差し出してくれた相手には笑顔を向けて。
「いいの? ありがとう♪ じゃあ、これもどうぞ」
小皿に乗せて差し出すプルコギ。ピリ辛な味付けで食欲を増進させていくだろうか。そしてくぴっとシードルに口をつけた少女を見て、もっと仲良くなりたい、もっとそばにいさせたい、と欲望が渦巻いていく。

「ボクはハナビ。冒険者だよ。よろしくね…ねぇ、こっち来て一緒に座らない?」
ポンポンと示すのは自分の隣。相席で要求するには高すぎるハードルだが、催眠の薬が効いていればそのことに疑問を思うことはないだろうか。位置は酒場の隅で周りからはあまり見えない席で、小悪魔のような笑みを浮かべながら誘ってみて。

テア > 狐娘の漏らした忍び笑いと続く問いかけに、テアは少し気恥ずかしげに俯きつつも再び頷く。
その間も薄汚れた小さな手は、肉の切れ端とザク切りにされたキャベツを交互に口元に運んでいる。

彼女からも料理のおすそ分けをいただけば、嬉しそうな表情をフードで隠したまま頭を下げる。
プルコギの乗った小皿を口元に寄せ、伸ばした指先をフォークの様に使って口腔に掻き込む。
もむもむもむもむ…。
咀嚼と嚥下の後にテアの口元が浮かべたのは、軽い驚きと喜びの表情。
異国情緒ただようその味わいは、テアの好みに合うものだったらしい。

量を売りにした店なだけあって、普通の娘であれば一皿平らげるのにも苦労するはず。
しかし冒険帰りの腹ペコ娘にとっては手こずるほどの相手では無かったようで、それらの料理は瞬く間に狩人の腹に消えた。
狐娘からの隣席の誘いが届いたのは、食後のシードルにちびちびと口を付け始めた所。
ジョッキいっぱいのリンゴ酒も、今では残り1/3程度になっている。

「…………………。」

俯いたままの無言の時間がしばらく過ぎて――――意を決した様子のマントフードがガコガコガコと腰掛けた木椅子を彼女の隣へと移動させた。
互いの身体が触れ合う事はない、しかしテーブル越しよりも余程に近い微妙な距離に改めて腰を落ち着けた女狩人は

「―――……テア。」

酒場の喧騒にあっさりとかき消される小声でぽつんと零した。
普段のテアなら臆して応じなかったであろう誘いに乗ったのは、ともに食事をした安心感故なのか、リンゴ酒に垂らされた薬剤がまわりはじめているからなのか。

ハナビ > 隣にやってきてくれた少女。まだ僅かな距離があるがそれでも隣に来てくれたのは柄にもなくドキドキする。香るフェロモンの匂い。動物の嗅覚に突き刺さるそれは欲望を次々と加速させていく。

「ふふっ、ありがとうテア。今日は一緒にいれて楽しいよ♪」
にこやかに隣にきた少女に笑みを向ける。お酒を勧め媚毒と催眠の薬を酒とともに体内で回していき、意識を虚ろなものへと変えていくだろうか。

「ねぇ、テア。ボクと友達になってくれない? ボク友達あまり多くないからさ。それにテアともっとお話とかしてみたいし」
ふふっと人懐っこい笑みを向けながら、肌から香らせるのは甘い女性の香りと、性欲を刺激する淫らな香り。二つが絡み合い酒の中に混ぜた薬と混合し、テアの頭の中にふしだらな妄想を浮かべさせていくだろう。

「ねぇ、だめ?」
甘ったるい声で誘うように話しかけながら、そっとその手を取って撫でていく。相手の様子を見ながら撫でる手は徐々に体をだくように伸びていき。合間合間を見て、薬を飲み残しのシードルに足しつつ思考を絡めとっていこうと。

テア > 野生生物やモンスター、山賊達の徘徊する街の外には比ぶるべくもないとはいえ、この酒場もテアにとっては危険地帯に変わりない。
死と隣りあわせの生活を刹那的に送る冒険者よりはましといっても、酒の入った肉体労働者達はちょっとしたきっかけて暴挙に及ぶものだ。
にも関わらず、どうにも感覚が鈍っている気がする。
危機感がぼやけている。

すぐ隣にいる人懐っこい狐娘の影響なのか、普段は金銭的な理由で口をつける事のないアルコールによるものなのか。
どちらにせよ、このままここにいたらまずいことになりそうだという小動物的な直感を覚えていた。

「――――ど……どうして……?」

ハナビは何故、私みたいな薄汚れた相手に関わろうとするのか。
何故、友達になろうなんて言ってくれるのか。
そんな疑問を言葉足らずに問いかける。

ファー付きのフードの奥、臆病者ならではの警戒心を滲ませた上目遣いの翠瞳が狐娘の表情を盗み見ている。

緊張を少しでもほぐそうとして、気詰まりな沈黙を誤魔化そうとして手を延ばすシードルが、危機感を更にぼやけさせている事にはまだ気付いていない。
一瞬、フラッシュバックの様に浮かんだ妄想。
眼前の狐娘と自分、ベッドの中で互いの裸身を絡ませ合う淫らなイメージ。

慌てて頭を振るものの、触れる彼女の手指の感触にビクリとする。
怯んで身を縮こませたテアは再びジョッキを口元に運び、それが空になってしまっていた事にようやく気付く。

伸びてきた細腕から逃れようと仰け反るも、狭い壁際。
退路はあっさりと絶たれてしまう。
不意に気付いて周囲を見れば、愛らしい狐娘が小柄な浮浪者にしか見えないテアに迫る様子を、嫉妬混じりの好奇心と下卑た欲望を滲ませた無数の目が盗み見ていた。

ハナビ > 壁際に逃げる少女。まるで狩りでウサギを追い詰めてるような気分に、自然と気分が高揚していく。
欲しい欲しい欲しい。
この怯えながらも直ぐにこの場を立ち去ろうとはしない少女に、狩人のような目を向けて。

「ボクね、テアの匂いが好きなの。それにドギマギしてて可愛いし…ね?”一緒に来てくれない”?」
強く、言葉に魔力を乗せて問いかける。正常に薬が回ってればこの言葉に抗うことはできないだろう。警戒心を向ける少女に、こちらは変わらず笑みを浮かべて。仲良くなりたい本音半分。淫らな欲望半分といった具合にそのことを隠そうともせず見つめ返す。この可愛い少女を周囲の視線に晒すのも一興だが、今はこの哀れな小動物を独り占めしたい気分。うまく言霊に乗れば少女の手を引いて薄暗い個室へと連れ去ろうとするだろうか。

テア > 「…………っ!?」

問いかけに対する答えは全く予想外の物だった。
まさか男避けの為のきつい体臭を好きだなんて、しかも愛らしい容姿の同性に言われるなんて思ってもみなかったのだ。
困惑に丸くなった双眸を瞬かせ、真意を問う様に向けた瞳が、どこか妖艶さを滲ませる彼女の視線に捉えられた。
と、同時に耳朶に滑り込み、脳裏を侵食する魔力含みの声音。

ふらりと上体が傾いた様な気がした。
『そっか、私、お酒で酔っちゃってるんだ……。』
己の異常をそう結論付けたテアは、周囲の視線による居心地の悪さから逃れるためもあって、ひとまず彼女の誘いに小さく頷いた。
己よりも小柄な狐少女に手を引かれるまま立ち上がり、妙にふわふわとして定まらない足取りで彼女を追う。
どこに連れて行かれるのかもわからないまま、ただただ転んでしまわぬように足元だけを見つめて。

ハナビ > 同意を得た少女を薄暗い個室へと連れ込む。ベッドが1つある以外は何も変哲のない部屋。周囲からの怨念のこもってそうな視線を軽く流しつつ、部屋へと連れ込めば、ランプ1つに明かりを灯し、互の様子がかろうじて見えるくらいに調整していく。

「ふふっ、びっくりした? テアが匂いが気になるならお風呂借りてもいいけど…そのまえに、ちょっと酔ってるよね。”口開けて”」
くすり、と笑いながら取り出すのは酔い止めと称した錠剤。貧民街の一角にある怪しい薬屋で手に入れた禁薬。それをテアの口へと乗せて、水の入ったコップから水を流していく。

「ふふっ、知ってる?テア…女の子ってね、”濡れたところがすっごく敏感になって、とっても気持ちよくなる”んだよ」
薬を流し込ませながら、口から溢れるほどに水をいれていく。口元からこぼれた水がテアの前半身を濡らし、そしてその暗示通りに濡れた場所がむき出しの性感帯のように変わっていくだろう。
飲ませた錠剤はさっきシードルに混ぜた薬の素。薄めたものじゃなく原型を飲み込ませた今、催眠のちからはより強く深くなるだろうか。
そしてひとたび性感を感じれば、必然と女の子の場所から愛液が滲み”濡れて”いくはずで。
「テア、どこが濡れちゃった…?”言ってみて”」
くすりと笑いながら耳元で囁いて、その両手首を掴み自由に体を触れることができないように束縛していく。