【イベント『王都から騎士団・冒険者等への緊急要請 「血の旅団」討伐依頼』開催中】
現在、王城の地下では「血の旅団」が占拠する城塞都市アスピダ攻略のため、大出力の魔導機械の改造や開発が研究されている。
また、魔導機械開発のための魔力を補うために、秘密裏にミレー族を王城地下に集めての魔力の吸収が行われている。魔力の吸収のためには性的な絶頂をさせるのが効率的であるとされ、そのために魔導機械に拘束されているミレー族の姿も見える。
王都マグメールの“王城”
その名の通り、王族が住む城であり、増築を繰り返しているためかなりの巨大さを誇る。
城内には王族のための謁見室や私室、浴場などが完備されている。
城外やその周辺には王族のための邸宅が庭園、様々な施設が存在する。
最も安全に思われがちだが、実際には王城内で、王位継承権をめぐる様々な争いや陰謀が起きている。
王位を狙う王族はもちろん、王位を狙っていない王族であっても、政争に巻き込まれることはあるだろう。
か弱い姫を狙って、毒牙にかけるような大臣や役人も最早珍しくはない。
罠にはめられて奴隷に落とされる王族とて存在している。
城の中とて、安全ではないのである。
地下牢や調教室など、歴代の王族の悪趣味な私設もここには存在している。

※王城やその周辺として様々なシチュエーションや施設を考えてお入りください。
 王城ですが、理由さえあればどのような身分の者でも入ることができることとします。

●フリー設定ルームです。最初に入室する人が部屋の設定を自由に設定できます。
ルーム名
部屋説明
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参加者(0):ROM(1)
Time:00:01:09 更新


ご案内:「王都マグメール 王城 宴席のバルコニー」からアイシャさんが去りました。 (03/30-00:13:24)
アイシャ > 【お部屋移動します】 (03/30-00:13:22)
ご案内:「王都マグメール 王城 宴席のバルコニー」からカミュさんが去りました。 (03/30-00:12:08)
カミュ > <<移動します>> (03/30-00:11:56)
アイシャ > 冗談かと確認した言葉の内容が示されたことにより混乱した思考は一時の平穏を得る。

けれどそれも束の間のこと。
気づいた時には、王女の思考を奪っているのは視線だけではなくなっていた。
頬の上をすべるその掌も、眦を撫で、髪に絡む指先も、問いかける言葉も。
まるで、ゆっくり獲物を絡め取っていく張り巡らされた糸に囚われたかのような錯覚。

「わたし、わたし……っ」

ぐるぐると思考が再び混乱し始める。
医師の体を突っ張ねて逃げなくては。
このまま、こうしていたらいけないのだから。

そう思うのに、体が動かない。
金の瞳に、絡めとられて、動けない。

名前を呼ばわる声に、霞めるように重ねられる熱に、だめ、と小さく唇を戦慄せたのに声もならない。

「っん」

唇を喰まれる感触に、せめて男を押しやろうとしていたはずの指先が縋る形に変わってしまう。
自分には、既に全てをささげたひとが居るのに。
解っているのに。

密やかな情事は、現実ではないから物語の中だけで都合よく終わるのだ。
決して現実に起こしていいことではない。
性にひどく寛容な血筋に生まれた娘ではあるけれど、倫理ぐらいは持ち合わせている。
なのに、それなのに、現実と閨物語の合間を行き交うような現状に踊らされて、絡めとられるまま。

「カミュさま、わたし───」

断らなくては。
頭でははっきりと理解しながら、男の掌に逆らうことが、もう───叶わない。
(03/30-00:10:54)
カミュ > 「傷ついた騎士を抱えて後ろに下がったり、怪我をして移動するのを難儀な相手を抱えて移動したり。 まれにあるので、魔法で身体を強化するにも、1を10倍と10を10倍では変わってきますからね。」

等と男の腕をまじまじと見つめる相手に語り掛けながら嘘か真か男は楽しげに笑いながら応えつつも、降りたいと意思を表示した相手、それまでの様にすんなりと下ろさずに、むしろ言葉を重ね温もりで少女を混乱させていく。

さらりと白磁のような、磨かれなめらかな斥候の様な頬を包み込み柔らかく撫でながら指先は惑う目尻を擽ったり、さらりと流れた顔の横の艶やかな銀糸に指を絡ませながら蟀谷から頬のラインを擽る様に撫でていく。

「でも…?」

流されてはいけないと頭でわかっていても、揺らぐその心に翻弄される少女
覗き込む銀の瞳は揺らぎながらも男の瞳から目を反らせない様子を笑うでもなく穏やかな笑みのまま、その銀の瞳の視線を男の金の瞳の視線で縛るかのように真っすぐに見つめながらゆっくりと顔を近づけていく。

垂らされた前髪を指に絡めながら頬をなぞった指先は少女の形のいい顎先に添えられ、言葉をうまく紡げずにいる唇に男の親指が触れ、その唇を撫でてからその手はするりと滑り、頭と首の付け根に指先を添え、横顔に掌を添えるように包み込み、背に回した腕で包み込む様に抱きしめ、鼻先が触れあう程の距離で一度止まり。

「アイシャ…」

ぽつりと、ただ相手を求めるように名前を甘く熱を孕ませながら囁きかけてから、少女の小さな唇に自身の唇を先ずは触れさせるように重ねてから、その下唇を甘く啄んでしまおうとする。

夜の庭園、初めて出会い言葉を交わした男と身分を知らせず王女であることを隠している女、2人を包むのは周囲で咲き誇り乱れ、香り立つ春花と、四阿の天窓から差し込む月光、互いの作る深い影、そして、遠くの邸宅から漏れ聞こえてくる賑やかな喧騒と音楽が物語の様に少女の現実感を奪っていくが、互いの感じる熱や呼吸が、これが現実だとより強く意識させ、その相反する感覚がまた少女を惑わす事となるか…。
(03/29-23:40:17)
アイシャ > 「騎士を…?
抱える……?

……冗談で、仰っているのよね?」

羽のような軽さというのはきっと世辞だと思うが、流石にその前の言葉に首を捻る。
頭の中で、医師の言葉をもう一度反芻して、今度は反対側に首を傾げた。

筋骨隆々の騎士を抱える、と聞けば流石に驚きで目を瞠るだろう。
王女の頭の中では、目の前の医師が己の父を軽々と姫抱きにするという想像が過り、慌ててぷるぷると首を横に振った。
だが、男が今の状況と比べようとしているのは想像したような状況。
本当に力があるのだと、思わずまじまじと男の腕を見てしまった。
バランスが取れているように見える腕は、どう見ても剛腕には見えづらい。

「…カミュさまがそう仰るのなら、構わないけれど、……でも…」

こちらを覗き込むような金色があまりに美しくて、頬に触れようとする男の掌を見過ごしてしまった。
確かに頬をなぞる掌から、目元に触れられる男の指先から伝わるぬくもりは温かい。

けれど、心地いいからといってこのまま流されるままにしていいのだろうか。
きっと、良くないはずなのだ。
王女が秘かに書庫で隠れて読んでいるような本の小節がいくつも頭をよぎる。
それの文章たちが、警告するかのように繰り返されているのに。

「でも、わ、わたし…」

戸惑いのあまり、薄っぺらく取り繕った社交の顔が脆くも剥離していく。
金色から目を逸らして、膝の上からおろしてもらって、連れてきてもらった礼を伝えたら宴に戻らずに今日はもう帰ってしまえばいいのだ。

それなのに、どうしても見上げる男の金色から目を逸らすことが出来ない。
(03/29-23:14:22)
カミュ > 「ふふ、名も知れぬ相手との夜の散策も楽しいかと。
アイシャ様。」

腕の中緊張や疲れがほどけ次第に朗らかな表情へと変わっていく相手を男も楽しむ様に眺めながら、2人で夜の庭園の散策を楽しんでいる。
相手の視線の先を追いつつ二人で花を眺め。

四阿へと誘えば相手の軽やかな言葉にクスリと小さく笑みを零して。

「ふふ。 鎧を身に着けた筋骨たくましい騎士を抱えるのに比べれば羽毛のような軽さですよ。 軽すぎて風に攫われない様にしっかりと抱きしめていなければいけないと思う程にね。」

等と言葉を軽く返しながら四阿の中の白いベンチへと腰下ろせば夜の庭園に浮かぶ美しい庭園。
腰を下ろし、相手の体を冷えぬように摩ってしまえば降ろしても大丈夫という言葉に小さく頷き。

「確かにいつまでも抱き上げていては失礼でしたね。
実は私も少し肌寒かったのでアイシャ様の温もりと抱き心地が心地よかったのと、庭園を眺めるアイシャ様の横顔もお綺麗だったのでして失念しておりました。
アイシャ様がお嫌でなければこのままでいて頂きたいのですが…。」

男の膝の上に座る相手自然と近くなる距離、男の金の瞳が相手の銀の瞳をのぞき込む様に真っすぐに見つめ、そんな事を囁きながら、酒精により春花めいた淡い色のさす頬に手のひらを添えようとする。
相手が拒否をすればその手は宙を泳ぎ、元の場所へと戻り相手を抱えて隣へと下ろすように動く事になるが、
相手がその手を受け入れれば、一度頬を掌で包み込んでから夜風に晒された春の花のように淡く色づく頬を撫で、細くしなやかな指先で目尻を擽る様に撫で男の熱を伝えていくだろう。
そして、そんな光景は男は少女がそのような本を読んでいるとは知らないが、男女の甘やかなそういったシチュエーションをも思い浮かべさせてしまうかもしれない。
(03/29-22:57:46)
アイシャ > 「まあ、面白いことを仰るのね?
でもお医者様とお呼びするのはちょっと長いんだもの。

…そう、カミュさま。わたくしはアイシャよ」

あくまで公の場の延長線だから、普段よりも少しだけ畏まった一人称を選ぶ。
職業柄なのか緊張をほぐしてくれるのが上手いらしい男に丁寧に抱えられて進む名残のように医師の銀髪が夜風に流れるのが時折垣間見えてその様も物語のように美しく王女の目に映った。

「ええ、夜でこの美しさなら、昼もきっと素敵なんでしょうね。
いつかまた伺ってみたいわ……あ、でも、宴のお誘いはちょっと遠慮したいけれど」

社交慣れしていないこともあるが、今回はことのほか人の多さに辟易してしまったから。
こじんまりとした少人数での茶会のお誘いなら歓迎できそうだと思う。
自分の視線の先を追ってくれるのか、依頼するよりも先に近くでじっくり見たい花の近くへと誘ってくれる様には素直に感心すると同時に、機嫌がよくなる心のあたりを程よく擽ってくれるかのような配慮が有難く、緊張していた最初から比べたらその表情は随分と朗らかになっていただろう。

「まぁ、カミュ様は御上手だわ。
勿論構わなくてよ、ずっと抱き上げて貰っていたんだもの。
それにカミュさまだって、流石にお疲れでしょう」

視線の先にやがて現れるのは綺麗に整えられた四阿の姿。
これも古い本の中で称賛の言葉と共に描写されるものの一つだ。
成程白いベンチからは、より一層庭園を広く、そして庭師たちが丹精込めて手入れしてきたのだろう傑作の姿が視界一杯に広がって見える。
その美しさは夢のようだと描写される庭。
目線が低く、そして一定の高さになったことでまるで花の海のなかに揺蕩うかのような錯覚すら覚えるほど。

「そうね、少し…肌寒い気はするわ。
…あの、でも、もう降ろしていただいても大丈夫よ?重たいでしょう?」

庭に興味が向いていた時には少しも寒さは感じなかったけれど、確かに今となっては少し肌寒さがあった。
確かに布越しに伝わる医師の体温は温かいのだけれど、だからと言って大人の膝の上に座っているのが嬉しい年頃はとっくに過ぎている。
耳元近くに落ちてくる、まるで含めるかのような低い声に背筋が僅かに泡立つのを感じた王女の表情は僅かな戸惑いを含んでいた。
(03/29-22:30:07)
カミュ > 何処までも穏やかに、ゆっくりと声を掛けながら男は少女の体を抱き上げる男。
相手のトラウマまでは知らぬ画素の穏やかさと丁寧さは人酔いだけではなく、男の登場に僅かに見せた緊張から、見て取ったもので。

「ふふ。えぇ中々に便利なものです。 そうですね、名を知らぬままも面白いかと思いましたが、カミュと申します。 御嬢様はなんとお呼びすれば?」

等と穏やかに問いかけながら安定した足取りで少女をお姫様抱っこのまま庭園へと運ぶ男。
歩く度に柔らかく動く胸を持っていても、いざとなれば鎧を着けた騎士でも運べる男にとっては負担にもならず、少女の体を男の腕ががっちりと支え包み込んでいる。

そして、庭園へと差し掛かれば来い貼る花の香りに包まれる二人、邸から離れたため窓から零れる庭園を照らす明かりも月明かりを邪魔せぬ柔らかなものとなり、庭園を闇から浮き上がらせる。


間近に見る春の花々に見惚れるように大きな瞳を向ける相手に男は穏やかな笑みを向け。

「夜の庭園というのもまた花を引き立てるようで美しいものですね。」

高い場所の鼻をよく見たそうにすれば相手を持ち上げ。
逆に低い鼻に興味が惹かれたように舌へと向けば、膝を降り、視線の高さを相手の望むままに変えていく。
男の腕の中でうれしそうにする相手と、本物はという言葉に小さく頷き。

「喜んでいただいたようで私も嬉しいですよ。
それに、出会ったときよりも柔らかく微笑む御嬢様の笑顔もとてもお綺麗ですよ。さて、近くから見るのもいいですが、少し離れた所からも眺めて見ましょうか。」

等と注げると男は相手を抱えたまま庭園の片隅に立てられた六本の彫刻が施された緑の蔦と小さな花で飾られた柱が屋根を支えている四阿へと進んでいく。
薄い蒼にも見える月明りに映し出されたその四阿は長いことそこにあったことを示す様な風格や歴史を感じさせるもので、少女が読んだ幾つもの本の作者がそこにいて眺めていたと容易に想像できてしまうだろう。

白磁のベンチに腰を下ろせば先程まで間近で見ていた草花も少し離れ個々の美しさから全体の調和された美しさへと視点が変わる。
ベンチに腰を下ろせば自然と少女のお尻は男の太腿の上に、自由になった腕は夜風に晒されていた相手の肩や腕を摩る様に優しく撫で始めて。

「寒くはありませんか?」

等と抱き上げていた時よりも近づいた距離、相手の耳元を擽る様にどこか甘やかに男の低い声が響いた。
(03/29-21:53:02)
アイシャ > 宮廷医がきちんと抱き上げることを宣言してくれたことで、王女はちゃんとその事象を受け入れることが出来た。
これが、前置きもなく急に抱き上げられるようなことでもあればきっと半狂乱になって泣き叫ぶところだったに違いない。
幼い頃のトラウマというものは、深ければ深いほどいつまでも残るものだ。

「便利、ええ、お医者様なら猶更でしょうね。
………ええと、そうだわ、何とお呼びしたらいいのかしら」

漸く気が付いたように、先程よりも随分と距離が縮まった端正な男の顔を見上げながら問いかける。
いつまでも職業名で呼ぶのは流石に失礼だろうと思ったからだ。

話している間にも物語の登場人物のように王女を抱き上げて庭園へと進みゆく足取りは安定していた。
抱き上げられた体は確かに彼よりも小さいけれど、その実持て余すような質量を胸に抱えるているのだからあまり軽くもないだろう。
それでも何の不安もなく抱えられているし、男を見上げる限りでは王女の重みに耐えるような気配もない。抱き上げられていることで結果的に男の胸に寄りかかるような体勢になっているのだけれど、しっかりとした胸板の厚みのようなものを感じてただただ控えめに驚いてしまうばかり。

「凄いわ……なんて綺麗なの…」

庭園に差し掛かれば噎せるような春花の香りに迎えられる。
咲き誇る春咲きの大輪、零れるような紫。
甘く濃厚な香りを放つ真っ白い花々、春らしい柔らかい色合いの中に淡い青が可憐な姿で趣を添える。
中でも地に零れ落ちたかのような黄金色の小花がたわわに咲き誇る枝が夜の風に揺らめけば、なんともいえない幻想的な美しさを醸し出していた。
歩いているときには背伸びをしないと届かないような高さの花も、背の高い男に抱えてもらうことで間近にじっくりと楽しむことが出来るのが有難い。

「嬉しいわ。
古い本で読んでから、ずうっと見てみたかったの。
…本物は、こんなに綺麗なのね」

様々な本の中で称賛される程美しい庭園。
かつての姿ではないのかもしれないけれど、それは王女にしてみれば十分胸を打つに値した。
嬉しさと酒精で頬を染める様はまだ少女と呼ぶに十分な年頃そのもの。
(03/29-21:29:10)
カミュ > 酒精と人酔いからの解放によってリラックスし始めた事が濃くなる菫の香りによって男にも伝わる。

恭しくも丁寧に、古い物語や少女達が読むような小説の様にエスコートを申し出る男、空になったガラスを受け取ればそのグラスに宙を舞わせ相手を楽しませて。

「ふふ。使えると便利なものですから。」

等とさらりと答えながらバルコニーを進む二人。
階段に差し掛かったところで一段降りてから振り返り告げた言葉に少女の頬が僅かに膨れれば男は小さく悪戯を楽しむような笑みを向けるが、やや長くデザインされたドレスの裾を踏み体勢を崩しそうになれば、男はさっと相手の体を支え、落ち着きを取り戻すのを待ち。

「畏まりました。それでは御嬢様触れる事をお許しくださいませ。」

等と囁いてから相手の手に僅かに男の熱を残しながらも手を離し、かわりに相手の細い足の膝裏に腕を添え、背中にもう片手を添えて相手を抱き上げれば其れはお姫様抱っこ。
自然と近づく二人の距離、手だけで感じていた互いの熱も今は服越しながらも触れ合う面積を増し、じんわりと互いの体を温めて。

お姫様抱っこをすれば自然と相手の足は地面から離れ、長くデザインされた裾ももちろん地面から離れていく。
相手を抱く男の身体、優男のようにも見えるが以外にも鍛えられており、服ごしにやや硬い感触を相手に与えるだろう。

「それでは、お嬢様、庭園へお連れ致します。」

等と相手を見下ろしながら穏やかな笑みを相手に向け囁きかけてからゆっくりと歩き始める。
それは階段を降りても、尚相手を下ろすことはなく、バルコニーから庭園へと続く道をゆっくりと歩きはじめる。
抱きかかえる男の腕はその中の小さな体を包み、がっちりと支えており不安定感等も一切あたえず、歩く度の振動が緩やかに相手に伝わりまるで雲の上か先程のグラスのように宙を舞う感覚を相手に与えるかもしれない。
(03/29-20:58:32)
アイシャ > 酒精で体が少し温まったことで、少女の肌から控えめに香っていた菫香がほんの少しだけその爽やかで澄んだ甘い花の香りを濃くしてゆく。
それと同時に、人酔いで疲労を濃くしていた思考を少しだけ朗らかにしたのか、随分と背の高い男が差し出した指先を恭しく取ってくれる様がまるで古い物語の一説を思い起こさせて王女の機嫌を取るのにも一役買うことになった。
自邸で顔を合わせる家族達が世に比べて顔立ちが整っているのはわかっているけれど、今目の前に膝を折ってくれている宮廷医もよく見れば随分と端正な顔だち。
そんな男からエスコートを申し出を受けているのだから、その顔立ちに色めき立つつもりはないけれど、少女向けの宮廷小説を片っ端から読み耽っているような王女には効果覿面といったところ。

「…すごいわ、魔法が使えるお医者様なのね?」

王女自身には一般的な魔法の素養は殆どない。
だから、まるで羽が生えたように軽やかに踊りながら宙を舞って見事に着地するグラスの軌跡を興味深そうに見上げ、やがて見送ることになった。

足元が不安なら、と聞こえた言葉に少しばっかり頬を膨らませ、自分で歩けると主張するために一歩踏み出そうとしたものの

「ひゃんっ?!」

裾が床の上を撫でるように少しばかり長くデザインされたドレスの裾を見事に銀色の細い踵が踏み絡めてしまい、あとは推して知るべしとばかりにショールの白が描く軌跡と共にも連れて転びかける。
顔や膝を打たずに済んだものの、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら姿勢を正すと同時、小さく咳払い一つして落ち着きを取り返す。

「んん。
……よろしくてよ」

もう一つ咳払い。
別に足元が不安なわけではない、そんな顔をいまさらながら取り繕って医師の提案を受け入れ、任せることにした。
(03/29-20:40:55)
カミュ > ゆるりと相手の身体全体を視界に納める男。
会話しながらも相手の様子を見る事は辞めない為に、落ち着き払ったような顔をしながらも不安や恐れを感じている気がしていたが、それは近づいた拍子にはっきりとしてくる。
細くしなやかな指先はさらに白く緊張の色を男に見せ。
相手と自分の今の距離の限界の場所で足を止め、かわりにグラスを差し出して見せる男。

緊張して男以外への注意が散漫となっていたのであろうか、面食らい、取り繕った表情に生まれたほころびを眺めつつ相手の反応をマテバそろりと上がる指とグラスに近づいてくるその手、相手がグラスを持てば男はそのグラスの首から指を離し相手が飲むのを急かすわけでもなく、待っていて…。

それでも小さな唇、グラスの縁を寄せくいくいと中々の勢いで飲み干す様には、お酒入りであった事を告げ忘れていたことに思い至るも、緊張のせいかもともとか、染み一つない斥候めいた頬に春めいた色が昇れば小さく頷き悪戯なお誘い。

相手が男の提案を受け入れたと示す様に開いている指先を差し出されれば男は一度相手の前で膝を折り、その小さな手に自身の手を添えるように柔らかく包み込めば、緊張と夜風で冷えていたであろう指先を男の穏やかな熱が包み込んでいく。

「それでは、エスコートを務めさせていただきます。 なにかあれば何なりとお申し付けくださいませ、お嬢様。」

相手の前で屈んでいれば低くなる男の頭、戯れを楽しむかのように穏やかな笑みで相手を見上げながら小さく頷き、相手の手の中で遊ぶ空になったグラスを受け取ればそれをバルコニーの片隅に置かれたテーブルへと魔法によって宙を浮かし移動させれば、ふわふわと漂う空のグラスは宴席の会場から差し込む光の中で踊りを踊るかのようにキラキラとした光の雫を残しながら緩やかにテーブルの上に着地した。

「それでは参りましょうか、お嬢様。」

等と囁きながら男はゆったりと立ち上がり、相手をエスコートしながらゆっくりと歩き始める。

「もし夜の階段、足元が不安でしたら、私がお運びいたしますが、任せて頂いても?」

庭園へと続く低い階段、しかしながら会場から差し込む明かりによってその階段を隠すかのように闇が濃くなってしまっており、一段降りたところで足を止め、振り返ってから穏やかな表情のままそんな提案をしてみて…。
(03/29-20:17:05)
アイシャ > 初見の相手には、どうしても身構えてしまう。
それは見知らぬ相手に慣れていないということも事実だし、王女の過去に起因するトラウマに寄るのもまた事実。
だから、落ち着き払ったような顔をどうにか整えはするものの若干の不安げな気配も纏っていたか。

「お医者様?
そう、それなら仰ることも尤もだわ」

だからバルコニーの手摺についていた肘を持ち上げた後はずっと鳩尾の上で組み合わせていた掌は、長身の男が近づいてくるほどに少しずつ指先が白くなっていく。
ある程度近づいたところで震えそうになった呼吸を抑えたのとちょうど同じ頃合。
宮廷医と、王女のちょうど真ん中に現れるグラスの存在に、緊張していた表情は少しばかり面食らって、瞬きを二度、三度。
ちらりと、髪と対比するような色の男の眼を近しい色のグラス越しに見上げてからそろりとグラスに指を伸ばす。

「ありがとう、頂きます」

グラスを口元に近づければ、憂鬱が解けていくような爽やかでほのかに甘い香りがする。
そして、少しだけ口に含めば甘い香りが先に広がり、ふんわりと柑橘の軽やかな香りが抜けていく。
何よりその冷たさが心地よくて、もう一口、更にもう一口と飲み進めてしまった。
酒を飲みなれていない王女には、その口当たりがよい甘味が酒であることもわからなかったのだけれど。

疲れもあったし、やはり逆上せてもいたのだろう。
勢い任せにグラスの中を空にする頃には、石膏の頬にふんわりと春めいた色がのぼっていた。

「……まぁ、それは、素敵なお誘いだわ?
宜しくてよ、連れて行って下さるかしら」

空になったグラスの細い首を持たないほうの指先を、悪戯っぽい表情で提案してくれる医師へと差し出すのはエスコートする権利を与える証。
(03/29-19:55:24)