王国北方、タナール丘陵地帯に築かれた、魔族の国と最も近い砦の一つ。
魔族の侵入を防ぐ国防の要の砦である。
何度も人間と魔族の間で奪い奪われを繰り返しており、ある時は人間の砦、ある時は魔族の砦という風に一進一退が続いている。
魔族に奪われた場合などは、中にいる女騎士や兵士などは彼らに囚われることとなるだろう。
人間に敗北した魔族も同様である。魔族とて無敵というわけではない。
人間が奪い返した時や、魔族に奪われた際などはその内装や罠の仕掛けなどが変わることが多い。
※魔族との戦いの主戦場になります。戦闘ロールなどをしたい場合はここでどうぞ。
奪い奪われ、という砦なので、入室者が現在、砦はどちらのものになっているのかその都度決めて構いません。
敗北して敵に捕らわれるなどの展開もご自由にどうぞ。
参加者(0):ROM(1)
Time:21:59:18 更新
ご案内:「タナール砦」からネヴェドさんが去りました。
■ネヴェド >
戦火の煙烟る砦の戦場。
大型の魔物がその重圧で砦を守る人間の兵を押し退ける中、黒髪を棚引かせる女魔族が一人、その先端にて。
「──ふっ」
視覚で確認できるほどに凝縮された魔力を纏った大鎌の一撃。
薙ぎ払われた軌跡から発生する暗黒の衝撃波が石畳を破砕しながら突き進み、守りの一団を吹き飛ばす。
「今宵も雑兵ばかりか……一度、グレイゼルの精鋭で砦の守りを固めてみるのも良いか…?」
奪い、奪われの立場にある国境の砦。
奪い返すことに苦労をした記憶は、女にはない。
時おり粒ぞろいの精鋭が守っていることはあるが…それでも統率の取れた強力な魔物の侵攻を許している。
国境から先に攻め込むことが難しい以上砦を保持していても意味が薄い。
魔族の国に侵攻する危険分子を定期的に追い払うといった趣の強い、砦の攻防ではあるが…。
「(此れでは我が主の欲求不満が募るばかりだな…)」
地に鎌を突き立て、敵が撤退を始めた戦場を眺める。
「(……いや、それはそれで、我が主の欲求を私がこの身で……
いやいや、しかし飽くまでも代替であって、我が主の求めるは矢張り第一に闘争であるべき……)」
怒号と剣戟の響く中、砦は徐々に魔物の群れに侵略されてゆく。
ご案内:「タナール砦」にネヴェドさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からソワナ・エディソンさんが去りました。
■ソワナ・エディソン >
その日、砦は煙を上げていた。
砦が燃えているのではない。
過剰魔力に反応した皮膚表面が焦げ蒸す煙 まだほんの少し冷える夜
その熱は煙となって薄く辺りに漂い、火とはどこか違う匂いを漂わせている。
亜人 魔族 そして―――人間
混ざり合った魔族側の勢が砦を侵攻し、取り返しかけている現状。
杖と布地が主の軽装と言える魔導士の主な姿で歩くソワナ。
雰囲気に威圧はない。 茶髪のミディアム ニコ目の瞳が映らない糸目
雰囲気自体が、どこか丸いものの眉をひそめている姿で見つめられる人間勢。
それには、嫌悪 むしろ、汚いものを見るような目で見ている。
見つめられているとははっきり言えないニコ目でもわかる、その視線。
それに対し、剣を持つ者らは一種の畏怖がある。
そして、近接戦闘に対する驕りをぶら下げる。
魔導士が無遠慮に近づいてきている中で、剣速一刀
自信のある者が繰り出す一歩の間合い詰めで起こる衝突に対し、象牙色よりも少し赤みが掛かる色合いの魔力光
それをソワナは滲ませると、左手を広げ、五指の革に包まれた指先。
視界に入った目の前の突き出されたそれは一歩が始まる前。
その腕を超えて切り裂く前に、目の前に出現する地面を彩るのではない。
目の前に対して彩った魔力円による防御の盾が阻むようにし、刃とぶつかり合った。
砦内の場がそう広くはない空間だ。
回り込むこともできやしない盾の出現は、剣の足を鈍らせる。
「邪魔しないで。」
腹の其処から嫌がるような低い声。
その魔力円が、紋様を回すようにして半径を縮ませ、周囲に四つの光球が生まれる。
四つの起動 角を描くジグザグ軌道と共に、剣との応酬。
どこかで見たコーヒーキャンディの暴虐のように、口を突き破って喉を超えた一球が成立するまでの嬲りがそこにはあった。
「…、…。」
赤と泡 せき込むそれに対し一瞥すると、他がさっさと“済ませて”しまった。
「―――。」
その表情は、どこか清々したと言わんばかり。
ご案内:「タナール砦」にソワナ・エディソンさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からネヴェドさんが去りました。
■ネヴェド >
「(だが、しかし……)」
「(飽くなき闘争と強者を渇望される主様はさぞ落胆なさるだろう…きっと戦いに飢えているに違いない…)」
「(その渇望をもって、私をその滾る剛槍で魔獣の如く求められるのでは…?♡)」
「(ああっ、そんな主様をこのネヴェドが全身を以て埋めて差し上げます…♡♡♡)」
──妙に身体をくねらせながら帰路につく総指揮官を眺め、魔物達は一様に頭上に"?"を浮かべているのだった
■ネヴェド >
程なくして砦内での怒号や喧騒は消え失せ、
魔物が各々の"戦利品"を手に帰還する。
此方の言うことは聞くものの、知性に関しては高くはない連中のこと。
それらは捕虜としての待遇を受けるではなく、ただただ凌辱される運命にある。
──人間とて魔族を捕らえれば同じことをするのだ。同情の余地も何もそこにはない。
「──グレイゼルに帰還する」
そう言って踵を返す。
──今宵も強者が現れなかったことに、あの方は落胆を覚えるだろうか。
「(──であれば、褥にて私が主様の虚無を埋めて差し上げなければ)」
胸元に手をあて、深く瞳を閉じ、そう決意する。
■ネヴェド >
突き向けられた長剣の刃は、女の刃鎌の一振りで砕け宙を舞う。
そしてそのまま…掌から放たれた凝縮された魔力をその胴体に受け、木っ端の如く吹き飛ばされる。
「──雌であれば、魔物の軍を束ねる者が弱いとでも思ったのか。思慮の浅い種族だ」
人間を絶命させることにはなんの躊躇も感情も湧くことはない。
下劣で穢れた欲望の化身。
自らのことしか考えることが出来ない救いようのない種。
人間の雄とはそのようなものであると、百年の時を王城の地下で過ごし、女はそう理解している。
「──陥落も時間の問題か」
地上に降り立った女は巨大な刃鎌を肩掛けに、戦火燃える砦を悠然と見上げていた。
■ネヴェド > 事実。人間という資材を獲得する以外に然程この砦が重要だとは思えない。
砦を得たとてその先に進軍できるでもなく、魔族領への侵攻を未然に防ぐ価値がある程度だろう。
もっともこの女にとっては別の…自らを頂く王が求める強者を炙り出すという意図があるが。
時折に、人間達の中でも魔族に対しての精鋭と見られる軍がやってくるが、あれは個の力ではない。
「──魔王を打倒する勇者など、やはり古の絵物語だけのものか」
過去は…どうだったか。
自身を集中に収めてきた歴代の魔王達を思えば、やはりこの地にて人間に討たれた者は殆どいない。
一つ前…先代の持ち主である魔王くらいだろう。
とある人間に討たれ、自らもまたあの忌まわしい王城の地下で百年以上囚われることとなった。
その間に人間によって行われた仕打ちを思えば──あのような下劣な種族に英雄が必要とは思えない。
「……む」
過去を思い返し、僅かに人間に対する憎悪の炎が胸中に燻る。
運悪くその視界に入ったのは──逃げ遅れたか、隠れながらに近づき、せめて一太刀でもと女に向け走る人間の兵の姿。
力だけの集団では、こういった周辺の警戒といったことに疎いのが欠点か、と内心吐露しながら、女は地上へと降り立つ。
その手にはいつの間にか漆黒の刃鎌が握られ、凍るような視線を、人間の兵へと向ける──。
■ネヴェド >
大勢の決したこの戦場で、これを己の力のみで押し返す…あるいは突き破る。
そんな猛者がいれば、それはまさに我が王、魔王ラストの求める強者に違いない。
向こうにとれば英雄、こちらにとってみれば死神か。
「(それほどの逸材には、随分と出会っていないが)」
灼けゆく戦場を見下ろしながら、そんなことを思えば。
視界の端には更に砦へと踏み入ってゆく魔物や魔族達の姿も見える。
向こうの敗色が濃厚と知りやってきたか、あるいは機に乗る形でいずれかの魔王が派兵したか…。
■ネヴェド >
鎧都市グレイゼルから派兵された軍勢は普段は獣人や夜魔などが多い。
此度の攻略にはあえてそうではない、力のみに戦力を集約させた編成となっていた。
ある意味で試験的な意味合いを持つ侵攻だったが──。
「大規模な魔術を展開する用意でもなければ、この物量を止める力はない、か…」
そもそものフィジカルが違うのであれば、同等以上の装備をさせることでそれは自明の理となる。
女の言葉通りの蹂躙が起こり、砦のあちこちでは一方的な戦いと、逃げ遅れた女騎士などへの凌辱が起こり始めていた。
それらを視界に収め、僅かその瞼を細める。
魔王ラストの名の下に統率された軍勢だけではない。
それ以外にも野の魔物か、あるいは別の指揮系統の軍勢か。
「───。品性のないことだ」
そんなものは、戦場には不要なものなのかもしれないが。
■ネヴェド >
「蹂躙しろ」
黒髪を棚引かせた長身の女がそう一言発すれば、
オーガやミノタウロスといった巨躯の魔物の軍勢が咆哮と共に砦へと雪崩込んでゆく。
十分以上に武装された大型の魔物の戦力は、一つ一つがただの人間と比肩できるものではない。
魔法による足止めにすら手間取ってしまえば、その圧倒的な体力と侵攻の力に押し切られる。
実に力任せの突破術──しかしこの軍勢にとっては、それが理に適う。
程なくして配色濃厚となった砦の守りを中空に足を組み浮遊する女が見下ろし、小さく溜息を吐く。
「脆い。…軍や隊としては及第点なのだろうが、
我が王の求める様な強者はやはりそういない、か…」
そう呟く女の翠玉の瞳には、紅く戦火があがりはじめた戦場が映っていた。
ご案内:「タナール砦」にネヴェドさんが現れました。