2017/10/06 のログ
■マティアス > 生まれこそ貴族の部類だが、だからこそかえって苦労することがある。
市井で安直に思われるような贅沢な暮らしはしていないが、少しは裕福な生活ではあったのだろう。
人間は慣れる生き物だが、いっぱしの冒険者と言える暮らしに慣れるまで少なからず時間はかかった。
「そうかな? この位は普通だよ思うけど。……嗚呼、ミルクではなくよく分からない薬湯とか出たねぇ」
舌の上に想像するだけで浮かび上がる、えも知れない不味い味を思い返して顔を顰める。
体質改善、強化と言った名目の品だったが、実際はどうだったか。
考えても考えても仕方がない話である。育ち盛りは兎も角、大人となれば限度と分別を弁える。
このジョッキ1~2杯程度が、きっとおいしくいただける分量であろう。そう考えつつ、杯を呷ろう。
「――あそこまで羽目を外す気にはなれないけど、愉しそうだ」
やりすぎとも言えなくもないが、遠目にする程度であれば言うことはない。
土地によっては、薄衣を纏った女性が舞を遣るとも聞くが、此処はそうではないらしい。
丁度、通りかかったこの会場の給仕に空にした杯を渡し、銅貨と引き換えに新たな杯を受け取って。
■エアルナ > まぁ、最初からすぐに冒険者の暮らしになじんだとは言えない面もあるのは確かだ。
馬車の移動や徒歩での移動はともかく、野宿の類は…いろいろ面倒なのだと何度実感したやらで。
とくにその、女性ならではの苦労というのはーーしかたないとはいえ、いまだに続いている。
具体的にどうこう、とはいわないで微妙な表情に紛らせ。
「普通…ですか?いえ、薬湯は、病気の時にはでましたが…」
普段は普通のミルクだったが、と。
そんなあたりは、家の生活スタイルの違いというのだろう。
あるいは、その地方の習慣の違いか。
だからか、こちらは小さめのジョッキ一杯で十分と笑って。
「…あそこまではずしたら、強制的に服、着せますから」
さすがにあれは、と肩をすくめてぼそり。
若い娘には、目の毒である。
あれ以上続くようなら、魔法でイリュージョン(幻影)でもかけてやろうか、などと不穏なこともつい考えてしまう。
まぁ、そのへんも…青年にはあっさり読まれているだろうけど。
■マティアス > 野宿もかまわず遣る。だが、独り旅と比べて楽なことは確かにあるのだ。
移動手段として、馬車が使えるということである。
けして買えないわけではないが、余計な財産等は持たないことを信条としていると、これが悩ましい。
色事云々については、語らぬが華か。言うまでもないという意味としては、語るまでもない。
「多少なりとも呑めるというのは、身体が捌ききれる枠内であるということだからだよ。
酒其のものじゃあなかったけど鍛えさせられたよ。子供の頃から、ね」
赤子の頃は、どうだったのだろう。明瞭な記憶までは抱いていない。
ただ、その後は今さらになって思うのだ。自分が抱いていた当然が、他者にとっては異常ということを。
泥のようなもの、草木の煎じ汁を煮込んだもの、等々、口にした物の味は、後に美食に凝り出す位に――不味かった。
「しないとも。僕は寧ろ、脱がせる方だよ?」
分かっていると思うけど、と。頬杖を突きながら相手の仕草を眺め、口の端を釣り上げよう。
自分で飛び込むよりも、誰かをそうさせる方が愉しい。もちろん、脱がすならば男よりも女であろう。
かの集団については、遠巻きにしておけば縁も害もあるまい。万一の際は? 眠りの魔法でも使おう。
■エアルナ > 馬車は商いの副業にも使うので、それなりに設備の整ったものを馬付きでもっているが。
品物を運ぶ依頼などにも、いろいろと役立つのでありがたい。
一人や二人乗るものが増えたところで、さほど問題もない。
いざとなれば、白狼や召喚獣も馬車をひいてくれる裏技もある。
「子供のころは…お酒はだめっていわれませんでした?」
思わず聞き返すのは、子供のころからどういう鍛えられ方をしたのかという疑問。
なんだかかなりその、味には不運だったようなのは、気のせいではあるまいと…そっと同情のまなざしで。
「…マティアスさんっ!」
思わず飲み物を吹きそうになり、じとっと余裕な表情の青年をにらむ真似をする。
その、脱がされる対象は…こちらだろう、と。
それはもうわかっている、もちろん、充分に。
「…せめて、部屋の中でお願いします」
ぼそり、白旗をあげながら、そんなこたえを返して。
■マティアス > 自分で馬車も持つとすれば、どうなることか。
運用に伴う費用も捻出できる位に稼ぐことが出来るのだろうか?
悩ましいものである。これでも魔法使いで通っているのだ。ついつい、貴重な触媒等の購入に散在することもある。
「――嗚呼、遠回しだと分かりづらいね。それ以外のきっとろくでもないものを飲まされたよ」
さらり、と。気負う気配も何もなく、酒杯を傾けて述べる。
大人になってみれば、やはり分かるものがある。きっと、ろくでもないものだったのだろう、と。
「はっはっは。……分かってるよ。後で、ね?」
響かす笑い声は十分に余裕のある、如何にも楽しんでいるという風情が滲むもの。
今、酒を呑み交わす相手となればこれはもう、選択するまでもないことである。
見える表情を肴代わりに酒は進む。夜が深まれば、自ずと皆部屋に籠ろう。自分達はその後、どうしたか。
それはまた、別の語られぬ話にて――。
ご案内:「設定自由部屋2」からエアルナさんが去りました。
ご案内:「設定自由部屋2」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏通り」にジードさんが現れました。
■ジード > 貧民地区の路地裏の一つ。普段はあまり人が寄り付かない用事のある人間や迷い込んだ人間がふと訪れるその場所で、
ふらりと一人の男が無造作に姿を現す。路地の中でも少し広くなった場所を探し当て陣取り、
手にしたカバンを地面に置く。すると機械仕掛けの玩具の様に
パタンパタンとカバンが開いて大小二つの陳列棚を持つ小さな露店が姿を現した。
棚の上に薬瓶やアクセサリーなど商品を陳列し店としての体裁を整えれば胡坐をかいて店の奥に座り込む。
「よし、それじゃあ開店だ。場所の選択が間違って無きゃいいが」
露天の常として場所選びが悪ければ商品以前に目に留まらないのはよくある事だ。
そうでないことを祈りながら正面の路地を静かに見据えるのだった。