2020/07/14 のログ
ご案内:「ハプニングバー」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > (今日のバイト先はとんでもないところだった。酒を作ったり運んだり、つまみを作ったりする程度だと聞いていたから引き受けたけれど。確かに仕事内容自体は聞いていたとおり、自分にもできる程度の仕事だったけれど。状況がすさまじかった。男女男女男女男男女女。ともかくところ構わず繰り広げられるまぐわいをなるべく見ないようにして、給仕をしている少年が一人。)

酒を飲むかヤるかどっちかにしろよな…
(小さく言葉を漏らしながら、なぜだか床に転がる空き瓶を片付けたり、情事の最中の客からオーダーを受けたり、客に尻を触られながらも無視をしてやり過ごしたりと、とにかく忙しく働いている奴隷)

あー、何か飲まれます?
(たくさんのグラスや空き瓶を片付けにカウンターの中に戻る最中に、手持ち無沙汰なのだろうか、一人、高い椅子に座って足を揺らしている女性に声をかけて。少しでも酒が売れれば自分の稼ぎも良くなるだろうと、営業スマイルも付け加えた)

ムラサキ > (ふわりと漂う情事と精の香り。こんな場所に来ているのだから、鬼としてもある程度 溜まっている のは事実で、酒は飲みたい。けど、悶々としているのもある。だから、新鮮な出会いと刺激と酒を求めてこんな場所へと訪れた。ただ、手を出してみたい、と思うような相手は未だ見つけておらず、盃に口をつけながらも退屈そうに。)

・・・んぅ?

(赤くなった顔はすでに出来上がっているように見える。けれどその力強い視線はしっかりと、強い意思を感じさせるだろう。童顔で小柄ながらもこんな店に平気な顔で出入りする様からは 慣れ というものを感じさせるか。)

ふぅん、あなた丁稚奉公?こんな場所でご苦労なことね。

(利用する分としてはまぁまぁ刺激的で楽しいところだけれど働く、となるといろんな人間の体液がぽたぽたとたれているし、酔っぱらいに追加して発情しているような人間も多いのだから、それの相手もめんどくさいだろう。
机に肘をつき、手を組み合わせ、そこに顎を乗せながらその狼耳のミレーを見つめて。)

酒は今に来るわ。ますたぁにおすすめを頼んだの。

(その言葉を境にしげしげと少年の身体を無遠慮に見つめ)

あんた、ちょっとこっちおいで。

(ちょいちょい、と手招きを。応じるも応じないも少年の自由であるが、相手は鬼。少々危険な香りのする女である。その手招きに危険を感じるか、それとも興味本位で近づいてみるか さて。)

ジーゴ > あ、もうご注文はお済みでしたか。しつれいしました
(もう酒を頼んでいるのに、お伺いしようとした無礼を詫びた。赤くなった顔を見るに、もういくらか飲んでいるようだから、マスターが運んでくる分以上は勧めない方がいいなと内心思いながら)

ここ給料いいから
(ここで働いている理由は単に賃金の高さ。ちょうど暇なときに求人を見かけたと言うのもあるが。実際に働いてみれば、そりゃ給料も高いだろうと思うくらい、普通の酒場ではないような厄介ごとが多いけれど)

なぁに?
(相手の視線が相手の体に移るのに首を傾げるも、奴隷として生まれ育った少年はひどく素直。命令やそれに似たものに対して抵抗するという発想はない)

しょうしょうおまちください
(ぎこちなく使う敬語。手に持った空き瓶を手近なカウンターの中にとりあえず置いてから、相手に近寄った。恐らく、高い椅子に座った相手の目線の方が少し高い。何ですか?とばかりに少し傾げられた首。相手が何で自分のことを呼んだのだろうと考えている目つきはきょとんとした獣の瞳が目立つ)

ムラサキ > そう。まぁ、給料くらい良くないと奉公人なんて来なそうなものだしね。

(少なくとも自分はまっぴらごめん。そも奉公という事自体めんどくさいと思うのだけれど。適当に遊んで、お金がなくなったら適当に獲物を狩って、そのお金でまた遊んで。それを繰り返す。
好きになった人の為、奉仕するならまだしも有象無象の為に働く気はあまりしなかった。それで困っていないのは恵まれている立場の証であるか。)

もっと。そう、もっとよ。
(そう告げれば相手が手を伸ばせば届く程の距離にまで酔ってくれば無遠慮に手を伸ばす。むに、むにとその痩せこけた頬を触って。)

ねぇ、あんた肉とか食べてるの?背格好見たときから思ってたけど痩せすぎなのよね、あんた。痩せてる子供なんて今どき流行らないわ。もっと肉食べなさいよね、肉。折角将来いけめんになりそうなかいらしい顔してるのに肉付きよくない男なんて美味しくないわ。

(顔立ちは割と可愛らしくそれなりに好み。けれど体つきがダメだ。痩せぎすの男よりも私はちゃんと肉ついている男の方が、なんならちょっとくらい筋肉質な男の方が好き。そんな自分勝手な理想を少年に押し付ける。相手がどう思っているかなんて知らない。ただ私がそうしたいからそうするの。)

ちょっとますたぁ。あんたのところの丁稚どうなってるのよぉ、折角将来いけめんになりそうな美味しそうな子なのにこんな痩せさせてたら勿体無いでしょぉ!

(ばんばんばん!と机を叩きながらマスターに絡む酔っ払いの鬼。相手の奴隷という立場なんて知ったことではない。もっと太れ、肉つけろ、とただただ主張し、適当にメニューからカロリーと栄養価の高そうなメニューを選び、注文し・・・それが届けば)

食べて。

(ただ一言。仕事中とかそんなことどうでもいい。食え、と少年にそう告げた。ついでとばかりに横に え?酒くらい飲めるでしょ? という顔をしながらそれなりに度数の高い酒がワイングラスに注がれて当たり前の顔をして置かれたのは酔っ払いで、酒好きの鬼の愛嬌というものだろう。

おごり、なんてあまりしないけれどただ懐にある程度余裕があり、少しばかり退屈で・・・そんな色々な理由が重なって、鬼の少女は突然少年に善意を押し付けていく。 それを気味が悪いと避けるのも彼の自由であるが。)

ジーゴ > なに…
(相手の手が頬に伸びれば、一瞬目を丸くするも。痛くするわけでも、襲われるわけでもないようで。ますますきょとんと)

肉…?最近はちゃんと食べてるよ。顔?おいしそう?
(なぜ相手がいきなり肉の話をし始めたのかわからなくて、なにがおいしそうなのかと目をしばたかせる。最近はようやく食事をまともに摂れる状況になったから、以前よりはちゃんと栄養も摂れているけれど。筋肉がつくまでの成長はできていない。すこし背が伸びた程度で)


(「そいつ、単発バイト…」
マスターの小さな声が微かに聞こえるけれど。本来バイトである少年が作るべき料理をマスターが作ることしばらく。机の上に並べられたのはトマトベースのミートボールパスタ、チーズのかかったサラダ。そしてワイングラスにつがれた酒)

いただきます…?
(雇い主であるマスターの顔を見ると、顎でしゃくられた。客の要求であれば、ご飯を食べるのも仕事らしい。彼女の隣の席。少し高い椅子に背伸びをして座るとおずとずと食事に手をのばした)

おいしい!
(ようやく零れる笑み。食欲旺盛な少年はがっつくようにミートボールを口に運ぶ。サラダも一応。酒だって勿論頂戴する。しばらくすると、満腹で顔の赤らんだ満足そうな笑顔の少年ができあがって)

ありがとうございました。
(好意の理由はそれでも謎だから、おずおずとお礼を言った)

ムラサキ > 足りないの。もっと食べて。運動して。筋肉つけて。

(そうして自分の欲望をただひたすらに叩きつける。もっと肉つけて。筋肉つけて。いけめんに育って。そうしたら――食べに、いくから。そう、いうなればこれは先行投資なのである。鬼、というものは長命種である。このムラサキ、という鬼も見た目こそ幼いもののすでに長い時を生きており、この少年が大人になるまでの10年や20年、それを見越して先行投資をするくらいなんてことはなく。ムラサキにとってはそのような時間一瞬なのである。)

・・・なつかしいわね。

(美味しそうにぱくぱくと食べる少年の姿を見ればぽつりと呟きつつ遠くを見る童女の姿があった。少年の姿を見るその様子は年の離れた姉か、母のようにさえ見えたかもしれない。鬼が彼を通して何を見ていたか、それはきっと話すことはないけれどただ昔を懐かしむようなその表情は見た目相応ではなく成熟した大人のように見えただろう。)

いいのよ。ただの気まぐれだもの。 ・・・昔を思い出せたし、ね。
いい?ちゃんとこれからもいいもの食べて、身体を鍛えて、いい男に育つのよ。今日の私は将来のあなたを期待して投資したのだから、私の期待を超えるようないい男になって頂戴ね。 
そうしたら・・・ふふ。収穫に行ってあげる。

(母のような、姉のような。そんな慈しむような視線の奥に獰猛な獣のような、そんな獣性を滲ませて少年と語る。いい男に育つのよ、いけめんになるのよ。そうしたら・・・いつの日か、あなたを食べに行く。美味しく育ったあなたという果実をもぎ取って、ごくりと飲み干すの。)

・・・あぁ、でも。

(がっつくように食事をしていたからか、少年の口元には食べ物の汁などが付着していることだろう。彼の口元に手を伸ばし、指ですくい取るようにその汚れを取り・・・その指を自分の口元に寄せればぺろりと舐め取って)

先に、味見をしておくのも悪くないかもしれないわね・・・?

ジーゴ > 食べて?運動して筋肉?んーわかった!
(口角を上げて小さく笑った。なにがわかったのかは定かではないが、とにかく相手が自分に大きくなるように求めていることはわかった。確かに未だ声は幼くて、体の線の細さは完全に子どものそれ。相手が求めるものにはまだ遠い)

味見するの?
(あまりにがっついて食べていたから、自分が食べている間の相手の表情には気がつかなかったけれど。口元に着いたパスタソースを指で拭われて、それがすっかり相手の口に運ばれてしまうのを見ると。色の気配には聡い子どもは、椅子から降りて、一歩相手の方に近寄った。相手が嫌がりさえしなければ、少し背伸びをして相手の口元に小さくキスを落とそうと)

またね
(少し艶っぽい笑みと共に。「ガキ、そろそろ仕事しろ」たまりかねたマスターの言葉に、相手から離れると自分が食べ終わったばかりの皿を持ってカウンターの中に入っていく。引き続き自分の仕事を。皿洗い、注文を受ける、床の掃除、カクテルを混ぜるなどなど。周囲の狂乱な痴態が繰り広げられる中でも淡々と仕事をこなして、夜が白むまで)

ムラサキ > そうよ。大きくなっていい男になるのよ。

(ふふ、と小さく笑って少年の姿を見送って。
そのさり際に背伸びしてキスをされれば、驚いたように口元に指を当てて)

・・・してやられたわね。私がしようと思ってたのに。

(むぅ、と少しばかり唇を尖らせつつ。相手が仕事に戻るのならば、少女はその様子を少しばかり見守って、いい感じに酔が周ってきた頃に椅子から降りてふらり、とその店をあとにするだろう。面白い刺激的な事はなかったけど・・・将来が楽しみな、一人の男の子と出会えたのは僥倖と言えるだろう。)

ご案内:「ハプニングバー」からムラサキさんが去りました。
ご案内:「ハプニングバー」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「夜の廃墟」にチマキアさんが現れました。
チマキア > 月の光が明るい石造りの廃墟、何時もの娼館からは離れ、相変わらず人の流れについていけずに
自分以外に誰もいない殆ど自然に取り込まれた廃墟の柱を、貰った僅かな金を手に眺めている男が
眠たげに、怠そうにして腰かけていた。久々に快楽を得ようとしても、久々すぎて
それが求めている者になるかも分からないと思うと、だんだんと面倒になっていき
僅かな金ですら使い道に困り、ただうろついている内にこの何も無い廃墟にたどり着いたという所である。

「…………」

まさか自分もそういう求めがあるとは思わなかった、乳尻が豊かなのが良い等、ふと考えると
それだけで自分が今を生きているような気がして思わず楽しくなり、一人なんでも無い場所で
思わず口角が上がってしまう。

ご案内:「夜の廃墟」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 月の明るい廃墟の夜道、誰も居ない(と思っている)道をいやに上機嫌に、足取り軽く歩く男。
小柄で、どこか艶っぽい雰囲気をまとった隻腕の男は、酒でも入っているのか舌で唇を湿らせると、鼻歌…というには少々大きな声量で歌を紡ぎ出す。

『眠り過ぎたような 夢の中に居るような 目玉が溶け落ちてしまうような…♪』
弾むような、童謡めいたフレーズの鼻歌は、誰に聞かせるためのものではないとは言え、歌唄いの紡ぐ音は耳に心地よく響いて。
月と異界について綴られたその歌に反応して、廃屋に差し込む月光自体が、ほんのりと魔力を帯びて輝くような変化は、ただそれだけで何の害もない。
月光に水飛沫を撒いたように、キラキラと煌めいて周囲に漂うだけである。
『今年今夜八番目の 満月の影を踏まないで ステップにほら気をつけて お月さま隠れてしまうよ…♪』

チマキア > 崩れた石の上に腰かけ、ウトウトとしていると歌が聞こえる。ゆっくりと眠たげな瞼が開いた。
歌が聞こえるだけであれば特に気にする事は無いが、眉間に響く感覚は魔気の揺れだった。
シワを寄せる程の衝撃ではないが魔力の揺れは男にとってかなり鼻の骨を響かせたらしく
揺すり起されたぐらいの強さに感じた為、ふと眉間を押さえて辺りを見回した。

「………………?」

石造りの廃墟の外に誰かがいる、という事だけは分かった。声色的には女性でないが
かなり作り込まれた声量と音質をしていた。
いい仕事があった何処かの詩人が通り過ぎるのだろうと、腰を上げる事は無く
また眠い目で月を見ていた

ヴェルソート > 「『くたくたにつかれても やめちゃだめだよ』…ぉ?」
適度に低く、適度に甘い、良く通るテノールが響いていたそれが、歌も佳境に入ったあたりで不自然に跳ね上がって歌が止まるのは…月明かりから生まれたきらめきが…廃墟の中に居る誰かに触れてパチン、と弾けたから。
別に痛みも衝撃もなく、ほんとうに害なくただ光りが泡のような音を立てて弾けただけだが…その音が歌唄いの耳に届いたらしい。

「……誰か居るのか?」
耳が音を捉えた咆哮には、一見の廃墟…月の明かりが良く差し込む…悪く言えばボロボロのそこに誰かが居るとわかれば…恐怖より好奇心が勝って……そっと、中を覗きに行こうか。

チマキア > 暫く月を眺めていたが空気中の魔力の揺れが気になったのか、男はふいに手を月に向かって
控えめに伸ばすと、親指に付けた人差し指を僅かに離して、虚空に向かって驚く程鋭く右から左へを
空気を撫でた、するとあらゆる方向にあった糸の束が真っすぐ均等になる様に
魔力の流れがピッと、カミソリで切り裂かれるように止まり、暗闇の雪の中のように辺りが静まり返る。
魔力の揺れがすっかりなくなった空間の月を眺めると、男はちょっと満足した様に再び
柱に身体を持たれさせて月を眺めた。

「…………」
男性が覗き込めば、年寄りのように枯れ切った雰囲気の後ろ姿が見えるかもしれない

ヴェルソート > 「……っうおわ!?」
自分の歌は、周囲のマナ…魔力ごと震わせて周囲に変化を及ぼすが……それがブツッ、と無理やり断ち切られるような魔力の変化を音として感じ取った男は、耳元で盛大に何かを切り裂かれたような音の錯覚にビクッと体を竦ませた。

「え、今…俺の音が切られた…のか?」
なにそれこわい、とか思いつつも…そっと中を覗けば…何やら、なぜかひどく枯れたように見える男の後ろ姿。
多少歳を経た程度なら感じるはずの哀愁すら枯れきったようなそれは…まるで達観しきった老人のよう。

「……今、俺の歌をぶつ切りにしたの…アンタか?」
しかし、やはり好奇心が先に勝ち…後ろから近づきながら、そっと問いかけるように声を投げようか。

チマキア > 声を掛けられると、ゆっくりと後ろを振り返る。その横顔は若く、かなり整っていた。
しかしその若い外見を見てもなお、その雰囲気は老いた老人のようで、月明かりがあるというのに
全く静かな闇の静寂の中に驚く程男の雰囲気は馴染んでいた。

「じゃぁ、歌っていたのは……君か」

男は横顔が僅かに見えるよりも振り返る事は無く、枯れも枯れて風化した様に見える男からは
魔力は感じられない、のではなく。存在する魔力に全く揺れが無い。凪の海よりも真っすぐに
静寂な、存在が信じられない程静かな、そういう雰囲気だった。

「……通り過ぎるだけだと…思ってた。だから静かになってもらった」
「…居続けるつもりなら……悪かった」

ヴェルソート > ゆっくりと振り返った男の顔は…想像よりずっと…というより、雰囲気にかなりそぐわない美青年。
まるで周囲の闇と静寂を人の形に仕立てたような…しかしそれを不自然に思わせないほど馴染んだそれは…じわりと、暑さではない汗が浮かんだ気がして隻腕の袖で首を拭う。

「あー、そうだな…そりゃ俺だ。
 いや、俺も通り過ぎるだけのつもりだったが…誰か居る気配がしてな。
 …もしかして、寝てたりしてたか?それなら悪かった。」
静かに、という言葉に…もしかして眠っていたのだろうか、と思い当たる。
それなら流石に悪いことをしたと謝罪すれば、相手からも謝罪がかえってきて。

「しかし、すごいな…アンタ程『静か』な奴なんて、初めて見た。」
彼が自分の存在を知覚すれば…声や体に魅了や、彼とはまた別の魔族にかけられた呪いの力が籠もっていることに気づくだろうが……彼にとっては些事だろう、歌唄いがただ紡ぐだけの声では、彼の凪を揺さぶるだけの力はない。

チマキア > 「いや、寝てはいなかった…月と、この場所を眺めてただけだった」
男はすっと背を伸ばすと、目をこすったままの手を至極僅かに回した。それだけで
月の明かりが元に戻り、風が吹き葉を撫でる音がまたココにいる者達に舞い込んでくる。
夏と言うのにかなり冷えた風が男の白い髪を僅かに揺らしていた。

「私も……【胎動】が聞こえる男と会うのは初めてだ。」
ただそれだけ呟くと、また静かに石の上に持たれる格好に戻った。
魔族が枯れ切っているほど老いているのである。どれだけの年月かは小並感でも相当長いと感じるかもしれない。
男は再び月を眺めていても、今度は闇のような静寂は無く。其処に月明かりに見合うだけの
灯りのある静けさへと戻っていた。

ヴェルソート > 「…月?」
言われて、背を伸ばした彼の視線を追うように見上げると…崩れた屋根から除く月の青白い光は、たしかに…。

「なるほど…綺麗だな。」
これは絵画にでもできそうな絵面であった。物悲しい雰囲気は漂っているが、それはそれで味がある。
この絵には確かに…自分の先の歌は不釣り合いだと素直に思える。

「……ぁ?……あー、わかるのか。」
胎動、と言われると…無意識に抑えてしまう下腹部…女性ならちょうど子宮がある辺り。
よく平気だな、と自分の呪いをある程度は知っている男はそう問いかけようかと思ったが、この枯れきった雰囲気の男ならたしかに平気そうだと言及をやめる。

「昔ちょーっとヘマしてな、泣くほど虐められたんだよな。……そういや、アンタ名前は?俺は、ヴェルソートってんだけど。」
微妙な長さだろ?ヴェルで良い、なんて自分で言いながら、視線は月に向いたまま、のんびりと問いかけてみる。

チマキア > 「君の歌も然るべき所では、きっと良いんだろう」
ココで男は、ふわりと黒いマントを浮かせて立ち上がる。風が吹けば僅かになびくとその中で
眼が眩むほど強い光が一瞬だけ見える。男の腰には白金の剣が差してあり、ソレが月の光を反射した。

「………チマキア」

名前を聞かれればやはり静かに、男性とすれ違う時にそう呟いた。
男はこの場を去るようで廃墟の中、音を避けて通っているのかというほど、静かな
遅いものの軽い足取りで去っていこうとする

ヴェルソート > 「おや、ありがとう?そうだな、酒場でもベットの上でも、概ね好評だ。…あと戦場とかも。」
褒められればそこは素直に嬉しそうに、軽口なぞ叩きながらも…マントを翻す一瞬の反射、月明かりが照らす白金の剣に目を細め。

「…OK、覚えとく。」
もし縁があればまた今度、とひらひら…彼に手を振ってから…自分はもう少し、彼に聞いたこの月見の穴場を堪能してから…ここを去るとしよう。

ご案内:「夜の廃墟」からチマキアさんが去りました。
ご案内:「夜の廃墟」からヴェルソートさんが去りました。