2015/10/26 のログ
ルーキ > やって来て間も無く地に沈む魔物には、一瞥を向けるのみ。
加速する剣戟にも身体がついて来れるのは、もって生まれた才のお陰か。

「――…なに、偵察だよ。魔物のな」

散々覚えこまされた動作は、再び戦場に火花を散らす。
宙を舞う短剣から意識を相手に戻すのも束の間、無手が打ち込むカウンターに目を瞠って。

「―――…っ、く!」

間に合わない。奪取されないまでも、剣はその手を離れ地に転がった。
――拾いに行く間はない。此方も無手に移行し、組み合う。

キスカ > 「上に同じく。偶然だね!!」

わずかな隙をついて打ち下ろした短剣は、ルーキの髪を幾筋か切り落として大地に突き立った。
きりきりと筋繊維が軋むような力比べに突入する。

白く鋭利な牙をあらわに、暗殺者は双剣士の喉笛を喰い破ろうと肉薄する。
例えて言うなら、新鮮な肉を前に涎を垂らした猛獣に組み伏せられているようなものだ。
目が回るような交替劇。一瞬で均衡が崩れ、今度はこちらが木の根に肩を押し付けられる。

「ふふふ。鍛えてますなー」

ルーキの顔へと迫る左腕。その袖口から隠し刃が突き出て、人外の膂力にものを言わせて喉元へと近づいていく。

ルーキ > 髪を切り落とされる感触にも何ら気に留めることなし、純粋な腕力を比べ合う。
鋭利な牙には笑むように瞳を細めて――しかし、喉笛を食い千切られるのは勘弁願うとばかりに押し返す。
幹に肩を押し付ける体制に移ったのも束の間―――

「………っ、は。流石、持っていると思ったよ……!」

眼前に晒された隠し刃。人外の膂力には流石に及ばず、じりじりと距離を詰められる。
切り裂かれては大事と、後方に飛んで一旦距離を取る。
ことによると彼女に絶好の機会を与えてしまったかもしれないが。

キスカ > 「――――けっこう粘るね!!」

お遊びの剣術しか知らない並みの王侯貴族であれば三回は死んでいたはず。
世の中の王族がみんなこんな風だったらと思うと気が遠くなりそうで。

獲物は十分な距離を取って虎口を抜けたつもりでいるらしい。
低重心のまま最高速で進発し、影を縫って飛び掛っていく。

隠し刃を収め、接触の瞬間に全体重を乗せて――――殺気を解き、唇を奪いにいった。
慣性に抗うことなく滑り込みながら、首元に抱きつき頬ずりをして。

「わぁいルーキの匂いだ!! おつかれっすー!」
「ね、一緒にしようよ。偵察の仕事。今いる分の頭数とかさ、知りたくない?」

ルーキ > 曲りなりにも冒険者をやっている。
己が身を守る術は実に便利だった。こうした強者とやり合う際も十分役立っている。

距離を取ったせいもあるのか、飛び掛ってくる相手に対する反応が遅れた。
やられた、と理解するように目を見開くも束の間、抱きつかれ地面に転がりながら殺気が解かれたのを感じ取る。
重なった唇の感触は久々で、笑いながらその身を抱きしめるように。

「……あぁ、お疲れ。だな。勝てなかったかー」
「そうだな。此処からは砦の中も見えないし……うん。キスカも一緒の方が心強い」

キスカ > 「殺せなかったから私の負けだよ。こんなにもたもたしてたら人が来ちゃうしさー」
「任しといて! 私はNINJAだからさっ。潜入とかもいける口なんだよニンニン」

暗殺者とはすなわち忍ぶ者と見つけたり。
だいたいあってるから嘘を言ってることにはならないはず。

「いま散らかした分を片付けて、今日のお仕事が終わったらさ――――続き、しよ?」

ルーキとのじゃれあいはこれにて一旦おあずけ。
笑って、離れて、あっちこっちにばら撒いた道具を拾いにいって。
ほんの少しだけ名残りを惜しみながら、冷徹非情の仕事人モードに戻るのだった。

ご案内:「タナール砦」からキスカさんが去りました。
ルーキ > 「そんなものか。殺し屋ってのも難儀なものだな」
「……ふふ。頼もしい」

暗殺者、すなわち忍ぶ者。
偵察斥候という立場において、これ程頼りになる者もいるまいと。

「―――そうだな。さっさと終わらせてしまおう」

続きという言葉に笑みを深めるのも束の間、道具拾いに一先ずは戻る。
剣を元通り収めれば、仕事へと意識を傾ける。
この後行うことに、微か胸を昂らせながら―――

ご案内:「タナール砦」からルーキさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にレティシアさんが現れました。
レティシア > (夜が更けても人間と魔族の砦の取り合いは続いている。今日は人間側が占拠している砦を魔族の軍が攻めているらしい。時折、聞こえるのは魔族の咆哮と剣や槍がぶつかり合う音と、絶命した断末魔の叫び…。そんな血生臭い光景が繰り広げられている地より上、鳥が飛ぶ程の上空に、突然、数百の瑠璃色の蝶が現れる。不意に、蝶が跡形なく霧散すると、戦場に不釣り合いなドレス姿の女が現れる。背中の蝙蝠の翼をはためかせ、空中に留まれば、瞳を細めて、眼下の光景を見つめていて)
レティシア > (時折、己の姿に気が付いたらしいどちらかの軍から、矢が飛んでくるも、女が指先をくぃっと動かせば、一瞬で、ここまで届く途中で矢は凍り、そのまま地へと落下してゆく。地上からは、矢を放った者に凍った矢が当たったのかは、判らぬが、悲鳴のような声も聞こえ。女は眉間に皺をよせながら) 自業自得だわ…(自分に攻撃をしかけてきた者に同情はしない。女は、眼下の光景を菫色の瞳に映して、素早く今宵の戦況を分析する。今宵は魔族の猛攻がすさまじく、人間が占拠している砦はそろそろ落ちるであろうと判断すれば、小さく溜息を零して) もう少し、頑張りなさいな…。(まるで面白くないとばかりの独り言も漏らして)
ご案内:「タナール砦」に アーヴァイン・ルグゼンブルグさんが現れました。
アーヴァイン・ルグゼンブルグ > (人間側の戦力追加として雇った仲間と共に戦地に赴いているのだが、魔族側の猛攻がとどまるところを知らない。アラタに現れた不釣り合いなドレス姿を視野に収めつつ、息を殺す。)『…あの女を捕まえれば』(流れを変えて敵を引っ込められるかもしれないと心の中で呟く。どこかのタイミングで不意打ちを仕掛けようとこの男は何時からか隠れていた。気配を消し、死体に埋もれ、血の匂いで存在を隠したままこの男は弓を片手に、女が射程に収まるのをじぃっと待ちわびる。獲物を狙う獣の様に、慎重に慎重に…タイミングを図る)
レティシア > …本当に面白くない……めぼしい獲物もいないみたい…(呟きながら、大仰に肩を竦ませる姿はまるで芝居がかっていて。ゆるりと周囲を見回していた女の柳眉の片方が上がり) ――なぁに?どなた?…気配は殺せても、殺気は消せてなくてよ?(己へと向けられる獣のような殺気を感じれば、辺りによく通る女の声を響かせる。口元に片手の拳を引き寄せて、息を吹きかける。そのまま、拳をゆっくりと開いてゆけば、無数の瑠璃色の蝶が生まれ…こちらへ殺気を放つ相手を探せとばかりに、解き放つ。そのまま、ヒラヒラと飛んでゆく蝶は、暫くして隠れる相手の元へと飛んでゆくはずで――)
アーヴァイン・ルグゼンブルグ > (静かにタイミングを待っていたのだが…どうやらバレてしまったようだ。掛かる声がタダの探りにしては、タイミングが的確過ぎる。何かをしているのが見えるが、瑠璃色の蝶が毒蛾の様に男にとっては脅威と思えてしまう。ゆっくりと一呼吸、それから立ち上がると、被さっていた死体を背負投げの様に宙へ放る)…っ!(青白い光を宿した大きな矢をつがえ、死体を撃ちぬく。死体ごと彼女へと向かう矢は、力のある彼女には避けるに容易いだろう。本命は別、すぐさま魔力の矢を二本準備すると、ぐっとしゃがみ込んで素早く二射目、カーブする矢が左右から囲い込むように飛来するだろう。実力差を理解しつつも、なりふり構わぬ先手必勝を狙う)