2022/05/18 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中宿 湯屋」にセラサス・セルラータさんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中宿 湯屋」にレサードさんが現れました。
セラサス・セルラータ > 山脈山中 湯屋にて。

セラサスはその日、湯屋にいた。
といっても、寝泊まりの場所としてよりも、体を定期的に洗いに来るためと言っていい。

山の中の戦いは、常に綺麗にいられるわけではない。
厄介な獣 反抗的な山賊 樵から落ちぶれてしまった者 傭兵としてやっていけなかった半端者
中には最近、コクマー学院から退学してしまったような、勘当されてしまったような者だって
山賊という立場に身を落ち着けてしまえている。

広い海と対を成す高い山々なのだから、そんな者達と常にぶつかり合うのならば
泥 血 体液 それらは川だけではぬぐえないものである。
病にかかることを避けるため 傷口の具合を確かめる為にも こういった湯屋は山中にあることは
利用率としては当然のことだろう。

鎧を清め 体を清め 髪の頭皮の隙間の匂いも消していく。
人虎といえども、風呂嫌いなどということもなく、筋肉質な体 太い四肢の先
獣と人の間にいる体は 造形も毛並みも人のままであれど
獣のふとましさを残しているだろう。

「―――余り長湯もしていられないな。」

綺麗に清め、傷口の具合を見ながらその内寝床に潜り込まないといけない。
虎耳は雫の音を拾い、虎の尾は湯舟の中で放り出す四肢の代わりに、肩や首筋に湯を纏ってこすりつけられる。

レサード > 元々多種多様なものが集う国であり、大きな町が存在する大陸である。
腕に覚えがないものが迂闊に踏み込めば身ぐるみをはがされる。
そんなことが往々にしてある場所であっても、たくましく商売を展開するものはちゃっかりと存在するのだ。

当然そんな場所にある湯屋に足を運ぶのは、旅慣れしたものや腕に覚えがあるもの。
または何かしら護衛などがついている者たちになるのは半ば必然といえるだろうか。
そんな者たちが多い湯屋の中、女も一人そそくさと脱衣所で衣服を脱ぎすて。
かけ湯もそこそこに湯船につかって一休みしようとしていれば、当然そこにあるもう一つの気配に気づくことになったのだろう。

「こんな場所にもあるってのがいいねぇ…。
やっぱり温泉ってのは…っと?先客かぃ?」

異種族に対する視線というものは存在している国である。
けれどもここは街中ではないのだ。
多少なりとも人と違う、いや、多少どころではなくても無闇に危害を振りまき暴れる。
なんてことをしなければ細かいことを気にするものの方が少ないだろう。
獣頭人身といったいで立ちの女だが、人の気配がしたからといって気にすることもなく。
逆にこんな場所の湯での気配に興味を惹かれるように、湯を浴びても黒く艶を残す体毛を月明かりに揺らめかせながらひたひたと歩みを進めていくが。

「んっ…誰かと思ったらその姿…セスか?
こりゃ奇遇のタイミングだねぇ…相変わらず生傷絶えないってところかい?」

湯煙の中に見える人影は、どこか見知ったシルエットを描くもの。
鼻を聞かせれば当然硫黄の香りなどがしようものだが。
それでも十分にそのシルエットの正体を見ることはできたようだ。

見知った相手、ある程度気安い相手。
そんな相手であるとわかれば女はさらに気安く声をかけ。
そのまま同じ湯へと入り込んでいこうと足を薦め。
湯に足から順に身を沈めながらその温かさに軽く体を震わせながら顔を緩めていくだろう。

セラサス・セルラータ > シニヨンを解いた金茶色のミディアム
頬に走る黒い筋
190㎝という体格と戦士の筋肉

なにより、唇から覗く太く、本数が少ない代わりに逞しい歯列
その鋭い先端が唇からわずかばかり覗くような面貌。

蒼い瞳に黒い縦筋の、白毛が本来なら持つような瞳の色で向けるのはセラサス。


普段の、特異な鎧に身を纏う姿では、その体は貌に奔る傷以外は
切り傷よりも痣や内出血だろうか。

そんな大柄に過ぎる女の体に対し、傍に愛称で呼びながら静かに身を震わせて入った黒毛
同じ科に属するものの、互いに正反対。
獣の力を宿しながら人に寄り過ぎたセラサスに対し、獣の力を表側に押し出すような獣貌
そして人型実体を持つそれは―――

「レサード……。」

表情を特に変えることもない
貌には汗が浮かび上がり、雫が伝っていく。
入浴中のセラサスの隣で、その体以上の体格をした獣の人型は気さくに話しかけながら
セラサスという顔見知りに対し、世間話混じりに体を漬けている。

虎の水浴びなんて見かけそうなものながら、黒い豹が湯水に浸かっているというのは
中々にシュールに見えるだろうか。

「出会わなかったのが不思議だな。
 ただの寝泊まりでも、ないだろうに。」


声をかけてきて奇遇と言い、最近の具合を聞くようにするのは
互いが山の中で出会わず 雇われず だったということになる。
湯浴みだけが目的なら、王都でも十分に対応できる。

この場所に来るのなら、山の中で護衛勤めか 山の中でなにかしらの狩りにでも参加しているくらいだろう。
一々採取のようなクエストに参加する賜でもないのは知っている。
セラサスはそう言って、汗がたまった表情を、掬い取った湯水で洗い流して すっきりとさせる。

体格だけで言えば、互いに異質なもの。
見上げる相手が少ない二人 ほかの入浴客がいたなら 二人の存在に牝を感じる前に
慄かれても仕方ないような雰囲気である。

「何の仕事だ?」

山の中で行動する、戦場とは違う反抗的な山羊を一匹ずつ 確実に仕留めていく作業
それがセラサスが所属する山の騎士の役目である。
賊との取引や増長させるようなものではないよな? と釘どころか杭を差すような探り方。

逆に何事もないのなら、互いに顔見知りとして隣り合っても
問題はない むしろ、一仕事終えた後の体は性欲のムラが際立っている。
一回付き合えという流れだって、気安く言うだろうか。それもセラサスから。

レサード > 毛並みに守られているからもあるだろう。
彼女に比べたらどこも傷を負っていないようにしか見えず。
傍から見ればわざわざこんな所へと、町では驚かれるから湯を楽しみに来た。
そんな風にも見えるだろうか。

「まあ、このあたりは物騒だからねぇ…。
生傷の絶えないアンタみたいにここに湯治に…なんてことはないさね」

戦いを重ねた肉体を魅せる彼女でも、分かるほどに傷を刻んでいるのである。
ただただ温泉を楽しむためだけにここまでくる。
なんてものは中々に酔狂なもの以外では早々いないだろう。
だからこそ、彼女がそんな風に疑問を呈すように言葉を返すことはむしろ当然と言えたかもしれない。

190である彼女を超えて更に200を優に超える女である。
その上獣が人間によった体躯を得て歩いている。
そんな魔物とすら言われそうな姿を持っているのだから、色気を持った物として、視線を送られるということはあまりなく。
二人が静かに湯に身を並べれば、あたりを静かに圧してしまう様な光景となってしまうのは仕方がないだろう。

「ただの逃げ込んだネズミの処理。
態々こんな場所に逃げ込むなんて…自殺行為なネズミだったから、楽だったけどねぇ」

罪を犯して逃げ込んで、とりあえず山賊にでも取り入って。
なんて迂闊なことをやらかした小物がいたようである。
当然、それを追いかけて仕留めれば生死問わず仕事完了と相成ったのだろう。
彼女の言葉の意味を理解してか、邪魔をしておらず。
もっといえば、むしろ駆除として彼女の仕事が増えるどころか減ったともいえる仕事内容を明かすのだ。
勿論依頼先を明かすことはない。
けれども、山林に小物が逃げ込めば、この獣に追われて逃げ切れることなど早々ないというのは、彼女が理解しており。
誇張なく仕事は簡単に済んだことは事実であることを伺わせるには十分であっただろう。

「セスの方は…一休みって感じのようだけど…。
その様子じゃあ、あたしと会えたのは仕事抜きでは僥倖ってかんじかぃ?」

蕩けるとばかりに、一度湯に肩までつかり。
すっかりと顔を緩める豹という様子は、遠くから見れば本当の動物が入浴しているようにも見えるかもしれないだろう。
何処か少し間の抜けた様子にも見える様を見せつつ、改めて腰を湯舟へとかければ、彼女の方へと視線をもう一度滑らせてから、笑み交じり女はそんなことを零すのだ。

知らぬ中ではない。
だからこそ彼女の性質や、こんな湯でゆっくりしているときの状況をおおよそ予測もできるのだろう。
湯によって体に毛並みがより張り付けば、明かりに照らされて、毛並みから顔を覗かせるピンクの色を持つ乳首も、陰唇もちらつき。
締まった筋肉も程よく浮かびあがれば、中々に獣ということを除けば、戦う雌としては絵になる肉体が浮かび上がってみえるかもしれない。

レサード > そのまま湯あみからのひと時へと、楽しんでいったようだ。
ご案内:「九頭龍山脈 山中宿 湯屋」からレサードさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中宿 湯屋」からセラサス・セルラータさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──ほう……」

ぱらぱらと雨が降る夜。
山中をランタンを携え散策していた金髪の男は、その道中で山小屋を発見して足を止めた。
男は顎に手を当て思案するような仕草をしながら、その小屋をジロジロと眺め。

「ほむ……ちょうどいいから今日はココに泊まるとしようかのう。雨もこの後強くなりそうだしな」

そう独り言ちておもむろに近づけば、一応軽くノックをした後扉を開け、中へ。
明かりの灯っていない小屋の中を、ランタンを掲げて照らして眺め回す。
中には木製のテーブルが一つに椅子が2脚。
壁沿いに設置された木製の幅広のベンチのようなものは、布団のような寝具こそないが、おそらく寝床だろう。

「──ふーむ……ちょっと埃っぽいがたまに利用されてはいるといったところかな……ウム、上等上等」

などと満足気にウンウンと頷き、テーブルの上のホコリを軽く払うと、ランタンとバッグをその上に置く。
椅子のホコリも払ってから、ゆっくりと腰を下ろし。

「ふぃー……──うおっ。何だ急に強まってきた雨脚」

一息ついた所で、ざざ、と急に雨音が大きくなって軽く驚きに目を丸める。
まさにすんでのところで屋根のあるところに入れた自分のタイミングの良さに
さすが俺、などと内心で自賛しつつ、タオルを取り出すと濡れた髪や顔をわしわしと拭い始め。
ゴロゴロと雷も鳴り始めたのが耳に届くと、こりゃ今夜中には止まない奴かな……と呟きを漏らす。