2019/02/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にイスラさんが現れました。
イスラ > (富裕地区から、こういった辺りまで足を伸ばしてくる理由は。大まかに二つ。
先ず一つ。元々はといえば母方の出身地であり、娘にとっても馴染みが深い…こんな界隈の方が、幼い頃から知っている。
もう一つは。どうせ夜遊びをするのなら、お行儀の良い富裕層の住まいより。雑多な地域の方が。気が楽だ)

「 やぁ。どぅだぃ?今の時分。誰か、手空きの人が居てくれると。僕としては嬉しぃんだがね?」

(時折顔を出すこの店も。そんな、貴賤で言えば後者寄り、だがその分気兼ねする必要の無い…半ば連れ込み宿のような物だ。
一夜の無聊を慰めたい、そんな者達が。茶や酒にて管を巻き。誰ぞを見初めれば、共に二階へとしけ込む――といった。ありきたりの。
彼等、彼女等の内に溶け込むべく。店に入って開口一番、無愛想に客を見守る受付嬢へと掛ける声。

…残念ながら。彼女の場合、本当に愛想が無い。あくまでもビジネスライクに、客数と儲けだけを数えている。
幾度か彼女自身にも誘いを掛けてみたものの、良い返事どころか、返答すら無い事も多々。
どうやら今宵も同じらしく。ジト目で見上げてきたと思えば、良いから入れ、と言わんばかりに手を振られ。
少し大袈裟に肩を竦めてやってから、大人しく彼女の言い分に従う事にした)

イスラ > (カウンター脇を巡り。一歩、中に入れば。首を竦めた。
甘ったるい香りに満ちる店の中。とっくにそれなりの「お楽しみ」に突入しつつあるらしい、男と女の息遣い。
どうやら。片隅の一席にて、一組、事に至っているようだ。
ソファの高い背靠れに遮られて。此方からは、高く上へと伸びた、女の足先しか見えないが。
乱れた吐息と、潜めきれない女の声と。何より、誤魔化しようのない淫臭が。
店の空気を浸食し、他の客達へと蔓延している。

本来なら、待合の場で盛るのは御法度なのだが。今日の受付は、かの無愛想嬢であり、多少の事にはノータッチ。
お陰で都合良く解釈し、狼藉に及ぶ客も居るという事か。
…まぁ、他人のソレを意識させられてしまうなら。余波に煽られる者、肌の寂しさにつまされる者、も居るのだろう。
そのせいか。普段なら、多少遠慮がちに。相性の好さそうな者を探して行き交う、客達の視線も。
既にねっとりとした熱を孕みつつある気がしてしまう。
必然、新たに入店してきた娘にも。幾つか、視線は向いてくるだろうか。

苦笑混じりに、スツールに腰掛けて脚を組む。…別段焦る必要はない。獲物の見定めはじっくりと。
或いは、今夜のボルテージを鑑みるのなら。逆に此方が獲物となる可能性も。決して低くはなさそうだ)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にクロステスさんが現れました。
クロステス > (店の奥、二階の階段を一人降りて来る白の布服姿は
普段ならば多少なりと目立つのやも知れぬ、が、このような中では
暇を持て余して居る者くらいしか、そもそも目を向ける者も居ないだろう
受付へと向かうのは、宿代を払う為では無い。 無愛想な受付嬢へと声を掛ければ
のんびりとビジネススマイルを浮かべながら「お仕事の終了」を伝えるのだ。)

「いやぁ、此処は消費が多いからね。 また様子は見に来るけれど、足りなくなる前に声は掛けてくれるかい?」

(割と友好的に話しかけた心算では在るが、受付嬢の対応はと言えば、一度頷いた位である
相変わらずだ、と微苦笑を零しつつに肩を竦めては
手にしていた、既に中身の無いバッグを掴んで、再び店の中に戻って行く
オシゴト、はもう終わりだ。 今宵はもう、他に用件も無い。
少しくらい、愉しむ機会を伺った所で文句は言われまい。
無論、既に宴が熱を帯びて随分と立っている今、同じ独り身が居る保証は無いのだけれども)。

イスラ > 「 おや。ぁの人は――」

(ぴんとひらめく物が有った。
今、嬌声尽きぬ二階から下りてきた人影は――知っている。
個人的な面識という訳ではないのだが。こんな店に足繁く通う常連客の一人として。

…彼は、こういった店に卸される、種々の薬を扱っていた筈。
そんな人物が、お仕事終了の報告をしたという事は。種々雑多な「お楽しみ」に使える品が、今夜は豊富という事だ。
同じように。事を察し、同時にパートナーの決まっていない、別の客達の中にも。色めきだつ者達が現れる。
好きな薬品を楽しみたいなら、さっさとお相手を見付けて、部屋へとしけ込まなければいけない訳だ。
――此方も。そんな紳士淑女達に倣うとしよう。ひょいと脚を下ろしスツールから跳び下りれば。)

「 っふふ。丁度良ぃ、其処の あなた は――――」

(声を向けた相手は。男、女、どちらだったろう。
こんな時、どちらとも楽しめる娘は、相手を探す段階で一手間省ける。
お陰で他の者達より一足先に。お目当て求め、階上へと向かう事が出来るのだ。
声を上げたか上げさせたか。何れにせよ、今宵のそれは。常々よりも艶めかしく、そして淫らがましく続いた筈だ)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からイスラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からクロステスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 木製の羽を並べたシーリングファンが回る天井には、魔石で灯る明かりが吊り下げられていた。
仄かな明かりが室内を照らす酒場は、騒がしい貧民地区にしては静かなもので、大体は商談に使われたり、如何わしい相談事に使われたりと、何かを隠す場所にされることも多い。
とはいえ、全てがそういうわけでもなく、カウンター席で飲んだっくれる者もいるわけで。

「……」

最初は商談でここに訪れ、相手を送り出した後、カウンター席に座ってから動けなくなっていた。
というよりは、動きたくないぐらいに飲み込む酒と入れ違いに溢れ出していく。
ほんのりと頬を赤くしながら、少し据わった瞳がぼんやりと丸い氷が収まるグラスを見つめ、白い手が緩やかに左右に傾けていった。
カラコロと氷の転がる音と共に、物憂つげに瞳を伏せながら、小さく溜息を吐き出す。
――最近、彼氏とちゃんと時間をとって会えていない。
――最近、仕事ばかりで遊んだ記憶が定かでない。
――挙げ句、こんなところで酒に逃げている情けなさ。
自分しかいないからと飲み込み続けてきた苦労の数々のツケが、喉元から溢れないように飲み込んでいた。
けれど、そろそろ目を背けるのも辛くなるほどに苦悩は重なる。

「……同じのください」

ぼそっと呟きながら、店主にグラスを差し出す。
止めといたほうがいいと言いたげな視線に、無言の金色がジト目で見上げ、早くと急かすように何度もグラスを突き出した。
呆れたような吐息とともに注がれる酒は、ウィスキーの水割りだが…割合からすればかなりアルコール度は高い。
やけ酒には過ぎるそれを渋々差し出すマスターだが、当の本人はグラスを両手で受け取ると、何を言うわけでも思うわけでもなく、唇に当てて傾けた。
接待で覚えた酒の味が、一層胸を締め付ける事も忘れるように。