2017/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/娼館通り」にジグリアさんが現れました。
ジグリア > あちこちで娼婦が客を呼ぶ、全体的にちょっと暗い雰囲気の通りを歩くエルフの女冒険者。

またお金に余裕がなくなってしまった。仕事を続ける傍ら、暇を見つけての自慰ではどうにも発散しきれない溜まり具合。女性と行為に及んで溜まりきったものを発散したいが、娼館もタダではない。 まして、ふたなりなんて特異体質だ。金さえ払えば対応はしてもらえるだろうが、女が娼館に客として現れるなんて変な目で見られるだろう。

「……はぁ……」

あれこれ気にする臆病な女は、ため息をついて辺りを羨ましそうな目で見て背筋を伸ばし歩いていた。

ジグリア > 「……。…堂々としてる人……すごい」

世の中には異形でありながらそれを堂々とカミングアウトするような人もいる。何故だろう、何故そのようになれたのか。

レザーで抑え込み、今も過剰に抑え込まれた陰茎がピッタリ押し当てられた下腹部をそっと擦り、物足りなさや歯がゆさに表情を曇らせて娼館通りを歩いていく。

……もともと人目を避けるようにして歩いていたので、速い。速い。しばらく歩くと、娼館通りを離れてしまうので、本人は自然なつもりで繰り返し往復を続ける。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/娼館通り」にエレミアさんが現れました。
エレミア > 悩みを抱えながら、女が通りを知らず往復していると…
先ほどまではいつもの賑やかさだった通りに、少しざわめきが起こるだろう
見れば、近くの娼館の一つが原因のようで
そこに何やら野次馬が集まりはじめ…

「ここに来るな馬鹿傭兵!、オンナが使いものにならなくなんだよ!!」

もし野次馬に遠くからでも混ざるなら…その娼館の主らしい者の非常に大きな怒号と共に、ふてくされた様子の女性が娼館から出てくるだろうか

「あーもう、うっさいなー!、ちょーっと虐めただけでへたれたのはそっちの女でしょー!
出ていくから怒鳴るな!耳が痛いー!」

わざとらしく耳を抑えつつ
ぱちん、ぱちん、と先ほどまで脱いでいたらしい軽鎧を再びつけながら通りに降り立ち
野次馬に不機嫌な視線を向ける

「何よ。…燃やされたいの?」

ごう、と火柱がその女の掌から突き立ち、野次馬を脅して
蜘蛛の子を散らすようにわらわらと…彼女を知るものは一際慌てて去っていく
そうして、根性のある、あるいは彼女のことを知らない先ほどの光景に呆けた者の集まりにずんずん、と進み始め
奇しくも…もしあなたが、野次馬に混じっていたなら、あなたに近づくように、まだ気づいてはいないが…歩いているか

ジグリア > 一部の人には、奇異に映るかもしれない、うろうろし続けるエルフの女。だが、そんな彼女をも差し置いて一瞬で注目をかき集める程のざわめきが通りで発生する。
突如聞こえる怒鳴り声には、びく!! と反応して思わず振り向く。怒鳴る男性と……、女性?

「……使い物…ならない??」

何の事だ と背伸びしたり、彼女にしては大胆に人込みをかき分けて入っていこうとする。すると、野次馬に対して機嫌悪そうに火を起こして脅す女の姿が。

辺りは恐怖し、あるいは忌避して恐る恐る離れていくが

「あ、あ、あの、…えっと」

貴方の力に怯える人たちを尻目に、一人何かを思い出したように恐る恐る近づいていく一人の女。

「……また、会えた。……覚えて…る…??」

そういうと、少し自信なさげに貴方の顔やら身体やら眺めるだろう。暗に示すように、自分の下腹部に目を遣って自身の特異体質を思い出させようとする。

エレミア > 非常にいらいらとした様子で近づいてくる。傍目には近寄りたくないオーラが出ているが
そろそろと近づいてくる姿があれば視線をやって

「んー…?…お?」

姿を認めれば、すぐに表情が変わっていき
誰も寄せ付けないような表情から、相手もよく知る、気さくなお姉さんといったような表情に

「おー!あの時の!覚えてる覚えてる!相変わらずうじうじしてるねえ!ジグリア!」

破顔しながら、ぐしぐし、と頭を撫でようと
女も男も相手にしてきたが、自分と同じ体質の相手はそうそう彼女でも忘れないのかしっかりと覚えているようで

「ん?ここらへんにいるってことは、あなたもお相手探し?」

このあたりは娼館が多い通り
なので、自分と同じく相手も誰か今夜のお相手を探しているのか、と気になって
彼女の性格では捗っていなさそうだなあ、とか思いながら

ジグリア > 様々な危機的状況をかいくぐってきたことと、人を異様に意識する性格から放っておくのはまずいと、飛び出て止めに行く…というより関心をこっちに寄せてもらう事だけが目当てだった。根底にある下心は、とっくに看破されてるだろうが。
周りの観衆は「え?知り合いなの?」みたいな顔だが、全く興味ないのかスルー。

「…うじうじ…。…仕方ない…。…性格…」

うじうじ と言われればちょっと傷ついたような顔はするが、頭を撫でられればそんな事も気にならなくなる、暖かいようなくすぐったいような、穏やかな気持ちになり笑みを浮かべる。

「…エレミア…元気そう。…じゃなくて実際、元気」

小さく控えめな声ながら、久々に会えた理解者とも呼べる存在に喜びを見せた。

「…そう。お金、また…減ってしまった。…困ってたから。…エレミア…止められた?遊び…すぎて??」

自分はこんなのだから、見知らぬ人を頼って何かをするというのが凄い苦手だ。
自分の状況を聞かれれば、少々無神経ではあるが先ほどまでの出来事を確認しようと控えめに問う。

エレミア > 下心があろうとなかろうと、エレミアにとってはどちらでも、むしろあった方がいい、と考えていて
周りの…一部の良心的な翁などは、止めようとするが近づくことはできず

「ま、それは仕方ない。可愛ければいいの。可愛ければ。」

気にすんなー、とか明るい声で言いながら気安くなで続けて
一緒に可愛い、なんて言葉を以前と同じように投げて

「私がへこんでたらそれは世界の終わりだね!、明るいのが私の取柄!」

あっはっはっ、と快活に笑いながらまた会えたことに喜びを示しつつ
傭兵なんてやっていると、前あった人と会うことはなかなかない、というのはエレミアもわかっていて

「あー。この辺結構取るからなー。私?私は―…ジグリアと会った時と一緒よ一緒。
ちょっとオンナノコいじめすぎちゃって。体力なかったのかなー…あれは3日は腰立たなさそうだねー」

娼館の女が音をあげるほどいじめてきた後にしてはあまりにも元気で
に、と…相手の状況を聞けば…先ほどとは違う笑みを浮かべ

「前に会った時に結構気に入ったからさ、ジグリアのこと。……今夜、遊ぶ?」

顔を近づけ、耳元で囁いて。甘い香りがふわ、と相手に届くだろうか

ジグリア > 流石は彼女である。相手のダメな点も全く意に介さず、気に入るところがあればどこまでも懐の大きい一面を見せて受け入れる。その豪胆さには、圧倒されこそするが、心地よさを感じていた。

「それは……恥ずかしい。けど……嬉しい」

撫でられながら、にっこりと笑って静かに告げた、微かだが大きい自己主張。

「…エライ人、見向きしない場所……そんなもの。…エレミアは…体力、たくさんあるから…普通の人じゃ…物足りない」

そうでしょ と言いたげに、顔を見れば本人が困ってるであろう事を小さく笑って指摘する。

そして、それを踏まえたうえで

「…うん。私も…。…たくさん、溜まってる。……立てなくなるまで、したい」

漂う甘い香りに、鼻を小さく鳴らしながら、「遊ぶ」なんて言葉が聞こえてくれば、「今にも始めたい」と言わんばかりに訴えるような視線を向ける。

口に出すことはしなかったが、抑えつけている陰茎は既に自分の意識に反して勝手にうずき始めていた。

エレミア > 逆に言えば誰かの悪い点に干渉したり良くしようとする動きは性格的にできないのだが…
気に入るところがあればとことん褒める、という単純さは美徳と言える…のだろうか

「そうそう。そうやって笑いな。笑えばたいていなんとなくいいこと起こるからね」

うん、と頷いて手を下ろし、合わせてにか、と笑みを絶やさず

「その分ちょっといいコは多いんだけどねぇ
あー、薄々感じてたけどやっぱりそうか。私にはジグリアみたいな子が一番いいのかもね?」

今気づいた、という風に手を叩いて
同時にからかうように体を寄せながら軽口を

「…。いいね♪…いいよ、ジグリア。いっぱいしよう…」

可愛らしい視線を向けられればもともとその気だったエレミアもまたうず、と…
常に燃えている発情の火が大きくなって
軽鎧の下で、彼女のモノもまたびく、と反応しており

「じゃ、どうしようか。前のところ、また使う?」

寄せた体を軽くこすりつけながら耳元で囁き続け
前に使った宿をまた利用しようか、と

ジグリア > 「頑張る…エレミアいると…楽しいから」

大きくはないが、そこそこ自信は感じられる声調で頷きながら返した。

「……さっきの、怒鳴り声で…だいたい、分かった。…私も、楽しくて、気持ちいいからお互い、相性良い」

自分が一番合う なんて言われればやっぱり恥ずかしさで頬を赤らめるが、一方で彼女と特異体質を共有する間柄ゆえに謎の自信や驕りも含まれていた。

「やる…。…空っぽ、なるまで…たくさんするから…」

ごくり そっと唾をのんで喉を鳴らしながら、鼻で笑って今か今かと楽しみにする。

「そう、する。…前より、私の……濃い。……エレミア、頑張って…」

なんて意味深な事を小声で零す。歩くだけでも窮屈さを感じるこの違和感は、長らく発散出来ていないが故のもの。

身体的にも、精神的にも、これを機にすっきりしたい。彼女がその申し出を断る謂れはなかった。

エレミア > 「そ?それは嬉しい。変えられないけど、こういう性格だからこうやって話せる人は少ないんだよねー」

わかってるけど変えられないーなんて言いながら

「察しがいいね。そういうことだよ。…ふっふー。そうだね。相性ばっちり、だ」

頬を赤らめながら…前より少し自信ありげに返してくる相手にまた可愛い、なんて感情が湧きあがり
またよしよし、と手を伸ばして撫でつつ

「おー。いいよいいよ。…しばらく出せないくらい、絞ってあげる♡」

この後を更に期待させるような言葉で返しながら…

「頑張る?私はいつも全力だよ…、ジグリアの濃ーいの…いっぱい出させてあげるのも、全力♪」

耳ざとく聞きつけ、更に紅くなった顔で笑みを深める
相手が承諾すれば…、こっち、と…歩きづらそうな相手の手を緩く引いて、歩き出すだろうか

ジグリア > 「少ない……?…エレミア…誰とでも…仲良く、出来そう」

少し驚いたような顔で。何分、明るく勢いのある人物だ。躊躇なくストレートな人付き合いが出来るのだろう。

彼女がそれでもそういうのは、どこかでアウトオブコントロールな一面を自覚してのものか。

「あの日、してから……。…しばらく、調子よかった。……でも、すぐ、またしたくなったから…」

俯きながら、恥ずかしそうにそっと語る。お互い、口には出さないがもうとっくに装備の下で怒張を始めるイチモツは本番を望んでみなぎり始めている。

「…うん。溜まってるから…エレミア、立てなくなるんじゃないか ってぐらい…張り切る…。…一緒に、楽しも…」

小さくそういえば、手を取り、二人でお楽しみの舞台へ歩き出す。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/娼館通り」からジグリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/娼館通り」からエレミアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」にチェシャ=ベルベットさんが現れました。
チェシャ=ベルベット > 日が暮れれば貧民地区の娼館通りはにわかに活気づく。
稼ぎ時なのだ、客引きの男や娼婦たちが通りに出てきては
道行く人々に声をかけていく。
ごみごみして汚らしい貧民地区ではあるが、チェシャはこの活気が嫌いではなかった。

昼間に大方の仕事を済ませたチェシャは帰りの道すがらここに来て
男娼の真似事をするのが時々あった。
今日もそんな感じで、顔なじみの娼婦たちが通りすがりにチェシャに挨拶していく。
その声に片手をあげて答えると、程よい空きスペースに置かれた木箱の上へ座り込んだ。

じっと通りを見る、何か事件や噂話、あるいは自分を買ってくれる誰かが現れないかとぼんやりしながら。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 夜ともなれば酒に女と欲望を求めて男達が、娼館通りに集まってくる。
そこらの宿からは賑やかな宴の声が響き、時折グラスが砕ける音が交じるのは、酔っぱらいが転んだか喧嘩でも始まったか。
そんな中、明らかに違う音が紛れ込んだ。
怒声、野太い声が耳障りに周囲の空気を震わせた先には、酔いの回った大柄な男達と、それに向かい合った状態で物怖じせず見上げる小柄な少女。
その後ろには、少し青さの残る年下の少女が二人。
どちらも猫のような、犬のような耳を生やした奴隷と揶揄される種族の娘だ。

「ですから、この子達は外では客を取りません。酔いが抜けたら、宿までお越し下さい。中に入れたら、誰を選ぶかはご自由ですから」

後ろに隠れる少女達には、ここらでは珍しいふわふわとしたピンク色の首輪を緩く嵌められている。
首輪要らずの宿と呼ばれる、客を選ぶ妙な娼館の少女達。
彼女達が外で出歩く時の、飼い主がいるという手付きの印だ。
買い出しの帰りに酔っ払ったゴロツキ達に絡まれているところを見つけ、こうして間に割入ったのはいいものの、むすっとした表情のまま困り果てる。
酔っぱらいに正論は通じない、酒がなくても変わらないかもしれないが、正気でないのは面倒なことだ。
不慣れな対応に苦慮しながらも、広がるように囲もうとする彼等を確かめつつ、じりじりと後ろへと下がる。
ならお前が相手しろよと男の一人が手を伸ばしたところで、パシッとその手を打ち払う。

「嫌です。この子達の保護者……正確には違いますが、そんな感じではありますが、娼婦でないです」

真面目な返答を返すほどに何故か憤る様子に、小さく溜息を零しつつ、目配せしつつ、二人をかばっていた。

チェシャ=ベルベット > 怒声と、何やら言い合う声が聞こえてくれば通りを渡る人々が
なんだなんだとその声の方に注目していく。
チェシャもそれを目で追ってみる。
ここらじゃよくある酔っぱらいの絡みの喧嘩だろう。
なんとはなしに成り行きを見守っていると、酔っぱらいたちに相対する少女は随分と生真面目な調子で断りを入れている。

あれじゃあ酔っぱらいには逆効果だな、と内心つぶやく。
正常な判断力がないものには正論は通じないのだ。
厄介事はごめんだとばかりに野次の一人に徹しようとしていたが
少女の後ろに控えている娼婦たちがミレーだとわかるとなんとなくそわそわと腰を浮かし。

止せばいいのに、木箱から立ち上がり酔っ払いと少女たちの間に割り込んでしまった。

「ちょっと、おじさんたち。その宿には宿ごとのルールがあるんだってば。
 ここは治安は悪いけど、それなりのルールってものがあるんだよ、
 それに従えないって言うならどんな目にあっても構わないってことだよね」

対峙する少女に負けず劣らず不機嫌な表情で酔っ払い達に話しかける。
ある意味、彼らを挑発するような言い草である。

レナーテ > 商人や城内の役人、時折王族や貴族といった者の対応はあれど、酔っぱらいの相手などしたことがない。
普段通りの真面目な返答にガンを飛ばしながら迫る男達に、後ろにいる少女達のほうが怯え始める。
娼婦で無いなら邪魔だと、突き出された太い腕が乱暴にこちらを押しのけようとする。
体が揺れ、後ろにつんのめるものの、それでも彼女達の前から離れない。
身体が大きく揺れたことで、頭にかぶっていたベレー帽がこぼれ落ちると、少女達と同じ猫のような耳が晒された。

「……」

不意に割り込んでくる声に、ぴくっと耳が跳ねる。
音の元へ視線を向ければ、同じ年頃ぐらいに見える少年の姿。
少しだけ目を丸くしながらそちらを見やるものの、ぶっきらぼうな言い方と、不機嫌そうな視線から、野良猫の様な印象を覚えると、僅かに表情が和らいだ。
しかし男達は、更に割入る彼に青筋浮かべるような勢いで憤りを晒す。
今度は彼を囲むように広がっていくのが見えると、後手で逃げるように少女達にハンドサインを送る。
狼狽えながらも、逃げ去っていく様は子猫の様に素早かった。
だが、指示を送った本人は残ったまま。
面倒事を押し付けたまま自分が逃げることは、気質が許さなかったらしい。

『じゃかしいぞ糞ガキ』『奴隷商に蹴り転がしてやろうか?』『女の前だからって生言ってんじゃねぇぞコラ』

チンピラらしい言葉を浴びせながら、睨みつける男達。
それこそ一触即発といった様子で彼に近づいていくだろう。

チェシャ=ベルベット > 生真面目そうな様子の少女が男たちにどつかれてベレー帽が落ちるさまを横目で見る。
そこに現れたのがミレーの証である猫耳であると、やや驚くもやれやれとため息を吐いた。
別に同族だから同情したわけではないし、困っているから親切心で、なんてことでもなかった。
なんとなく、虫の居所が悪くて。その程度の理由だ。

娼婦の少女たちが一斉に逃げ出すと、生真面目そうな相手も逃げ出すかと思っていたが予想に反してその場に居残る。
さっさと逃げてくれたほうがこちらとしてはやりやすかったのだが。
酔っ払いたちの聞き苦しい悪態に、眉をひそめ自分を取り囲もうとしてくるのを察して
チェシャの手が閃いた。同時にその手に手甲が生まれる。

ヒュン、と風をきる音。空気が一瞬切り裂かれたような気配とともに
自分へ近づいてくる男たちが急にぎくしゃくと歪な動きになって固まった。
男たちに絡みついているのは魔術によって生まれた鉄よりも硬い糸。
手足から喉笛までを一瞬で絡み取り、その場に歪なポーズを取らせて押しとどめた。
男たちがいくらもがいてもその糸は解けることがない。

再びヒュン、と音がして男たちのベルトやズボンの留め金が切り裂かれズボンが次々にずり落ち、下半身を露出させる。
娼婦や野次たちがあっけにとられついでその様子にどっと笑ってしまった。

「おじさんたちの粗末な逸物、切り裂かれて永遠に玉無しになりたくなかったらさっさとどっか行ってよ。迷惑だ。」

そう言って脅すように彼らの性器に糸を絡みつかせ、軽く引き絞る。

レナーテ > 彼がどんな思いで助け舟を出してくれたのかはわからない。
けれど、こんな面倒に手を差し伸べてくれた人に背を向けるのは礼儀に反する。
それに、全てが終わったならしなければならない事もある。
そんな、頑なに固い思考で男達と彼の様子を見ていると、彼の動きを見逃さなかった。
手甲、先程まではなかったそれが鈍い金属の光と共に生まれれば、仕事柄、僅かに膝が沈む。
当の男達と言えば、まだオラついて文句を垂れていたが、風切る音ともに、声が不自然なほどにぷつりと途絶えた。
壊れた操り人形のように縫い付けらた姿は、回りの客や娼婦達には手品のように見えるのだろうか。
暗闇に解ける細い糸、それを金色の瞳を細めながらどうにか捉える。

(「魔術……でしょうか? それにしても一瞬でこんな動きを」)

離せと言わんばかりにもがこうとする男達だが、芋虫の様に身体が揺れるばかり。
そして、悪戯にさらされていく下肢に、丸まっていた耳がピンと一瞬伸びると、あわあわとしながらとりあえず視線をそらした。
見たことがないわけではないが、不意討ちに見せられて平然とはしていられなかったらしい。

『わ、分かったっ、悪かった……!そいつは勘弁してくれっ』

流石に大切なイチモツに刃を突きつけられては、メンツが云々というどころではない。
失ったら一生の恥、それなら一時の恥のほうがマシだ。
赦されたなら、男達はズボンを引き上げながら一目散に逃げ出すだろう。
その合間も、レナーテは見ないようにそっぽを向いたまま、事が過ぎ去るのを待っているわけだが。

チェシャ=ベルベット > 「あっそ」

男たちが酔いを覚まし平謝りに謝るのを聞けば糸を手元に戻す。
自由になった男たちが一斉に路地へと倒れ込むだろう。

「これに懲りたらここのルールはきちんと守って」

それだけを言うと、逃げ出す男たちなど気にもとめずふいとそっぽを向いた。
変に目立ってしまったのが気恥ずかしくて、なんとなくまだ居残っている少女に声をかけた。

「あんたも、ああいう酔っぱらいに理論は通じないし
 危ないことにもなりかねないから喧嘩する時はちゃんと相手を見なよ」

貧民街の娼館通りだというのに、相手の少女は男たちの下半身を見てあわあわと慌てていた。
その初心な様子になんとなく自分にはないものを感じてちくりと胸が痛む。

「それじゃあね」

ことが過ぎ去ったなら足早にここを去ろうと少女に背を向けた。

レナーテ > 掛けられた声にそろりと彼の方へと振り返る。
男たちの姿はなく、彼と変わらぬ娼婦通りの光景に安堵したように吐息を零すと、厳しい一言に目を伏せていく。

「そういうモノなんですね……ご面倒おかけしました」

彼が不機嫌になるのも無理はないと、その言葉を素直に受け止める他なかった。
彼が間に入ってくれなければ、銃を抜くか、もっと大事になっていた可能性もある。
まだまだ未熟だと思い知りながら、深々と頭を下げて謝罪するも、足早に去ろうとする彼の様子に、慌てて顔を上げた。

「ぇ、あ……! あの、ありがとうございました。ご迷惑でなければ、ちゃんとお礼がしたいのですが」

このまま何もしないまま彼を見送るには気が引けて、矢継ぎ早に言葉をつなげて申し出る。

チェシャ=ベルベット > こちらの小言をいちいち素直に受け取る少女。
よほど生真面目なのだろう、なんとなく居心地が悪くなってしまう。
こういう相手は苦手だと心のなかでため息を吐いた。

「……? お礼って何が? あんたがほっぺにちゅーでもしてくれるの?」

そむけかけた背を戻して、やや乱暴な口調でからかってみる。
実際大したことはしていないし、貧民地区での善意には大抵裏があることが常識だ。
彼女がいくら生真面目でも、すぐには礼など受け取れず警戒心を露わにする。

レナーテ > 何となく、呼び止めた彼の後ろ姿に苛立ちの様な気配を感じる。
確証とまでは言えず、淡く彼の心情を気配や雰囲気から感づくのだが、それが何を指し示すかまでは分からない。
ただ、棘を感じるそれが冷たい高鳴りを感じさせ、息を呑む。

「……私だけでは、血を流さず、大きな害もなく収めることは出来なかったと…思いますから――っ」

淡い不安は的中し、振り返った彼の言葉が荒くなる。
身体が跳ね、視線が不安げに彷徨う中、問いかける言葉に変わらぬ真面目な返答を紡いでいたが……からかう言葉に言葉をつまらせる。
驚きに瞳を少し丸くしつつ彼を見やり、答えに困る。
からかっているのか、それとも試されているのか。
ただ、自分の誠意が疑われているのだけは確かだった。
数秒ほど無言のまま俯くものの、改めて顔を上げれば小さく震える瞳孔が彼を見つめる。
そのまま数歩前へ出れば、彼が試すように掛けた言葉に適う距離へ近づこうとする。

「……それがお望みなら。お礼になるかは、わかりませんが」

唇同士に比べれば軽いことだが、出会ったばかりの彼にするには憚れることだ。
だが、断れば自分の気持ちが嘘にされてしまう。
馬鹿なほどに真面目な部分が災いしつつ、誠意の証明というよりに言葉を返し、じっと見つめる。