2018/07/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2」にシュネルさんが現れました。
シュネル > (軍議、会議に同席する機会が増えた。
しかも、唯聴衆としてではなく。僅かながら発言の機会も与えられて。
端から見れば小さな。だが、最初としては充分に大きな変化だ。
最大限利用せねばならないと。考えるのは当然の事であり)

 …以上の金額を。我がマルクト家より、第七師団の再編に供与いたします。
 その他にも幾つかの家々よりも、約束を頂いています。
 我が兄含め。国庫への圧迫を避け、斯様な額を捻出して下さる方々には、感謝の念もございません。

 ――もっとも。第八師団長からの要望に有った額には、未だ及ばないのですが……

(一旦。言葉を切って、議会の場を見回した。
以前、自らの主張と暴論ばかりを繰り返していた貴族達の表情から。
精彩が失われる様を眺めるのは。…悪い気がしなかった)

シュネル > (目論見は単純だ。

自分を含めた、第一師団の貴族家、王家に連なるそれなりの人数が、第七師団への合流を定めたのに合わせ。
家を継ぐ兄と示し合わせ、金を出した。
同じ子を持つ複数の貴族家も、或いは我が子可愛さを、或いは前線での功名を謳い焚き付けた。

これによって幾つかの前例が出来てしまえば。
戦場に出る事の無い代わり、金という持ち得る力を供与した者と。
そうでない者と。どちらが発言力を増すかは分かりきった事。
国の為、民の為、等という事は考えられずとも、自分達の栄誉栄達には、敏感に反応する事だろう。
第七師団の再編に、良い顔をしなかった者達も。流れを無視する事は出来無くなる。

事の序でに、後ろからこっそり囁いてやるのだ――前師団長戦死の際、救援を行わなかったからこそ、副師団長たる彼女は疑われたと。
今此処で、他の者達に倣わず、身を切る決意を示してみせねば…次は自分達が疑われるぞ、と。
…無論それが根も葉もない暴論であろうとも。口実を得れば、他の貴族達は悦んで飛びつくぞ…と。

これで。後は彼等の自尊心と、猜疑心とが。
勝手に篤志家の数を増やし、総額を吊り上げてくれる事だろう)

シュネル > (人の心など、簡単には変わらない。
格差も其処に胡座を掻く輩も、今直ぐ消せる物ではない。

…有るなら有るで、適切に、利用してやれば良いのだ。
それこそ。貴族王族の中で優位を求める兄と、軍属の中で居所を求める弟とが。
こんな時だけ手を組む、お互いを利用する――などという、自分達のように。

…会議は、長引く事なく終了する。
金という力を誇示する、それを他の者より少しでも先んじる…
そんな、ある種の争いが透けて見える、忙しない解散。
多くの者が部屋を去った、もう聞かれる心配もあるまい…という所で。
凝りに凝った首を、肩を回し。唾棄と嘆息が半々に口をつく)

 ――解り易い、奴等。
 とてもじゃないけど…任せたくない、な。

(あんな手合いの相手など。
目に見えない首輪を填められ、それでも尚再起した女騎士にも。
口ではさんざ愚痴りつつも、裏での苦労を自ら背負い込む男にも。
…彼等、新たな師団長だけではない。
今迄も、この先も。前を向き、前に向かうべき、数多の者達にとって。
手を患わせるべき事ではない。…そう思う)

シュネル > (古き物。いい加減、草臥れ果てた物。
全て消えろとは言わないが、形を変える位は、有るべきだ。
――叶うなら。無駄な部分を削ぎ落とす、という形等で。

その辺りの方法は。
…どうせ、一生掛かるかもしれない、掛かっても終わらない公算が高い。
ゆっくりと考えていけば良いだろう。

差し当たって今は、自分自身の足場から)

 あぁ――疲れ、る。

(立ち上がり、歩き出す。
誰にも聞かせられそうにない愚痴も。この部屋を出たら、呑み込んだ)

ご案内:「王都マグメール 王城2」からシュネルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2」にゲイゼリクさんが現れました。
ゲイゼリク > 「――ありゃま、どうやら会議は終わってたらしいねぇ」

そんな呟きと共に、がらんどうになった会議室に顔を出し…まぁ、いいかとあっさり諦める。
どのみち、あの議会の連中と会話をするのはしんどいというか時間の無駄だ。
それならまだ、地道に溜まっている書類仕事を片付けた方が全然有意義だろう。

(…まーどっちもやりたくないんだけどねぇ)

と、本音は心の中で呟きつつ、欠伸をかみ殺しながら王城内をブラつく。
途中、すれ違う貴族には形だけの会釈をしたり部下には笑顔でヒラリと手を振ったり。
他師団の見知った連中にも気軽に挨拶したりと自由気儘。この”魔窟”ではこのくらい肩の力を抜いた方が逆に楽なのだ。
まぁ、隙を見せたら蹴落とされる心配もあるにはあるが…そういうのは上で勝手にやってればいい。

「…って、まぁそのとばっちりで俺の所の師団は何時まで経っても増員されないんだけどねぇ」

新しい副官だって候補すら決まっていない。こんなので退魔戦線の一角を構築しろというのが無理だ。

ゲイゼリク > 「――ん。丁度良かった」

フと顔を一度あらぬ方角へと向けた後、偶然通りかかった第六の数少ない部下に声を掛ける。

『ゲイゼリク師団長?見てのとおり私は今忙しいのですが…。』
「あー、うんゴメンゴメン。悪いけど、ちょっと手の空いてる…あー至急の任務じゃない連中以外を偵察に出してくんない?」
『偵察?何処にですか?』

そう、怪訝そうに聞き返してくる書類の束を抱えた部下の一人に、青年は肩を竦めて笑う。

「そりゃあ――タナール砦だよ。今からだと遅いかもしれないけどねぇ」
『…分かりました。あくまで”偵察”でよろしいんですね?』
「うん、深入りは禁物ね。そもそもウチ、人員少ないから無茶出来ないしさぁ」
『……全く、師団長は毎回そんな感じですよね…少しは他の師団長を見習っては如何ですか?』
「…やー、ほら。ウチの師団長クラスの連中って割と変態…もとい、変人…もとい超人ばかりだし、見習うのはとてもとても」
『つまり、師団長も変態なんですね…知ってましたけど』

部下の一言にちょっと傷ついた。俺って変態なのか…と、一瞬遠い目になりつつ。

「ともあれ頼んだよーー」

と、部下に手をヒラヒラと振りつつまた王城の廊下を歩き出して。
部下の文句は勿論聞かなかった事にしておこう。唐突な指令は何時もの事だ。

「――さてさて、他の師団の連中や…あちらさん陣営はどうするのかねぇ」

そろそろこっち陣営は誰か過労で倒れるんじゃなかろうか、と割と本気でそう思う。
青年は、適度に肩の力を抜いたりサボったりしているのでそういう負担は少ない方だが…。

ゲイゼリク > 「どーしたもんかねぇ。そもそもポジション的に俺って端役だからなぁ。そんな出張らなくてもいーと思うんだけど」

主役になりそうなのはさて誰か。新たな第七師団長は当然として…第五、第八も食い込んでくるだろうか。

(…第九は…まぁ、戦闘能力は論外だから…何時もの情報操作とかそっち方面かなぁ)

そもそも、人と魔とどちらかに過剰に肩入れする気も無い日和見ポジション大好きな男な訳で。
双方に戦禍が無駄に広がりそうなら流石に動くが、それ以外では正直動きたくない…もとい働きたくない。

「あとはーー議会連中とか王族さんとか、その他勢力とか色々動きもあったり無かったりかなぁ」

ニンゲンは難しい。思わず”中身”がほんの一瞬だけ吐息を零した。
やっぱりもうちょっと魔族の国でエンジョイしてくるべきだったか…息抜き的な意味で。

ご案内:「王都マグメール 王城2」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 王城内に構えた組合の派出所は、普段ならこの時間はひっそりと夜を過ごすだけに終わる。
しかし、何処かから情報が流れ込んだのか、砦での戦いに噂の男の姿があれば、話は別だった。
普段の事務仕事を終えて、緊急時の連絡役としてそこに残っていたところへ、貴族たちが押しかける。
彼から見える廊下の光景としては、やたらと煩く騒ぎ散らす彼等の背中で、開かれた扉の向こうが見えない様な状態だろう。

「――ですので、現時点では出撃しません。これは組合長、もとい……アーヴァイン・グラウ・カルネテルの意向です」

彼等が求めたのは、砦の戦闘への加入だった。
しかし、遠巻きに戦場を偵察した仲間から入った情報が組合長に伝わると、出撃するなというお達しが出たのだ。
その理由を説明しようにも、無茶苦茶に重なり合う罵詈雑言で、切り出す暇もない。
落ち着いた様子で答えようとするも、取り乱した彼等に内申呆れてため息を付きたい心地のまま対処に追われる。

ゲイゼリク > 「…おや、なーんか騒がしいねぇ?」

火の点いていない葉巻を口の端に咥えてノンビリと王城内を歩いていたが、前方に見える騒ぎに一度足を止めて。
見れば、廊下の一角を占拠する程の人数の貴族達が何やら喚き散らしたり叫んでいる。
…正直煩い。別の方へと方向転換しようとしたが、フと思い直して改めてその喧騒の方を観察する。

「…ありゃ?あの場所って確か――…。」

と、おぼろげな記憶を頼りに、正直嫌だがその喧騒へと近づいていく。と、そこで聞こえてきた冷静な声が一つ。

「…組合長…アーヴァイン・グラウ・カルネテル…ねぇ」

フム、と一人頷きながらもう少し様子を眺める。どうやら…こちらの”予想”が当たったらしい。

「はーーい、皆さん落ち着いた落ち着いた!そっちのお嬢さんが折角説明しようとしてくれてるんですから、一度落ち着きましょうって」

と、暢気な笑顔で手をパンパン!と、叩いて意図的にこちらに注目させてからそう貴族連中に呼び掛ける。
そうして、彼らの間を強引に掻き分けて少女の傍に控えるようにしておこう。まぁ少しは貴族連中の騒音の楯くらいにはなる。
ついでに、対応に追われていた少女に軽く目線で「説明よろしく」、という意図を送っておこうか。

レナーテ > 今回のような時のための増員だろう。
占拠されたままなら、そちらの集落にも影響を及ぼすだろうと、言葉をまくしたてられながらも、自身の感情は一旦胸の奥へ。
正直、言うんだけの彼等にグーパンの一発や百発見舞ってヤリたいところだが、そうも行かぬと今はこらえるのみ。
僅かにこめかみがピクピクと痙攣し始めてきたところで、彼のハンドクラップに声は遮られる。
第六師団の師団長の言葉に逆らうものはおらず、渋々と減らず口を閉ざしていく中、視線で促される面食らったように少し慌てながらも口を開いた。

「っと……現時点では、砦は交戦中です。また、周辺地域は敵にとっても常時警戒状態となります。こちらの特性上、正面衝突の戦闘では、被害が多く、それ以降の業務に差し支えます」

一方的に魔族を退けてきたのも、一様に全て奇襲が成立するからである。
戦闘状態のど真ん中に加わって戦えるほど、人員は多くなく、たかだか500人増えたところで戦況を変える頭数にはならない。
不意をついて一気に押しつぶすからこそであり、剣ではなく短剣の名を冠すのもそのせいだ。

(「それもありますけどね」)

もう一つ、出撃を許可しない大きな理由があった。
狐のような少女がいるという報告を聞いた時に、組合長は念話で詳細にその姿を確かめている。
それが誰かと一致すると、その存在が去るまで戦闘要員が近づくことを一切禁止したのだ。
その理由は自身も聞かされている、師の友人でありながら、大切な弟子達を弄んだ存在と。
ただ、師が責めないであげてほしいというから、敵対行動は行っていないだけ。
そういった点でいうなら、あそこにはこちらが助ける義理のある相手は誰もいないと言える。
一通りの作戦事由での答えで、貴族たちをある程度納得させていけば、ほっと小さく安堵の吐息を零す。