2018/09/19 のログ
織機セラフィナ >  
――っは、はぁ、はぁ……。

(正規ルートに戻って、塀に背中を預ける。
 いつの間にか足早どころか駆け足ほどの速さで走ってしまっていた。
 このぐらいで息が上がる鍛え方はしていないつもりだったが、身体への負荷より心への負荷の方が強い。
 先が見えない恐怖と言うか、言ってしまえば暗闇からいきなり襲われないか、と言う恐怖。)

……っ、くそ。

(涙が浮かびそうになって、それを堪えた。
 こんなザマで騎士とは、聞いて呆れる。
 そう誰かに笑われないように、パシンと頬を両手で叩き、気合を入れた。)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 住宅街」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 王都の夜を、青い闘牛士服の男が歩いていた。
休暇を貰って色々な所で食べ歩きをして、さてそろそろ戻ろうかと宿に帰る道を歩いていたのだが……

「―-―うぉっと」

丁度自分が曲がる角から、女の子が凄い勢いで曲がってきた。
それだけなら急いでるのだなと思うのだが、どうにも様子がおかしい。
放っておくべきかとも思うが、この男は可愛い女の子には弱かった。

「大丈夫?お嬢さん」

これで悲鳴あげられたら嫌だなと思いつつ、まずはそう声をかけてみた。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 住宅街」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 住宅街」にクレス・ローベルクさんが現れました。
織機セラフィナ >  
――っ、

(声が聞こえた。
 そちらを見ると男性の姿。
 あまり見られたくない姿を見られたと思い、ぐしぐしと顔を擦って姿勢を正す。)

いえ、大丈夫です。
――もしかして、ぶつかりましたか。

(そう答えて、先ほど角を曲がったときに近くに誰かいたような気がしたことを思い出した。
 もしぶつかって大事なものを壊してしまっていたりしたら大変だ。
 申し訳なさそうな顔で尋ねてみる。)

クレス・ローベルク > 「ん?ああいや、そういう訳ではないよ。ただ、何だか尋常じゃない勢いで走ってきたと思ったら、怖がってるような表情が見えたからね。心配になったのさ」

自分自身、女の子を性的に食い物にする様な人間でもあるのだが、最初に見た彼女の表情に恐怖の色が差していたのが、彼のその気をそいでいた。

「服装からするに、君、騎士の人だよね。それがこんな所まで全速力で走ってきたとなると……ただ事じゃあ無いよね。俺も腕に覚えはあるし……トラブルなら力になるよ?」

とはいえ、はみ出し者の彼にとって、騎士とは強い者という印象が強く、その気遣いは何とも的を外してはいたが。

織機セラフィナ >  
あー……。

(どうしたものか。
 正直に言うのは恥ずかしいし、かと言って騎士である自分がそうではない彼を不安に思わせるのも間違っていると思う。
 しばらくどういうべきか迷っていたが、)

――いえ。
恥ずかしながら、暗闇が少し怖くなってしまいまして。
トラブルだとか、何か事件だとか、そう言った事はありませんので、ご安心を。

(正直に話すことにした。
 つまらない意地を張って要らぬトラブルを引き起こすのは騎士としてはやはり間違っている。
 自分の恥を晒してでもそれは回避すべきだろう、と判断。)

クレス・ローベルク > 「あらま。そりゃ要らない気遣いをしちゃったね。ごめんごめん。まあ、確かにこの暗闇だと、怖くはなるよなあ」

流石に一寸先は闇とまでは言わないが、見通しは悪い。
自分とて、昼間と同じ警戒度で、この辺りを歩こうとは思えない。
騎士としてそれで良いのかとは思うが、しかし彼女はまだ若い。
経験が足りないのかもしれないと、そう思う。
だから、一応聞いてみる。

「でも、大丈夫かい?今は良いけど、暗闇の中でならず者にあったら、普通にやばいんじゃない?今の精神状態だと」

織機セラフィナ >  
いえ、むしろお気遣いありがとうございます。

(彼のような協力的な民衆はこちらとしてもありがたい存在だ。
 人によってはお飾り騎士だの税金泥棒だの好き勝手に言ってくるのだから。)

う……い、いえ、これも精神修行の一環と思えば。
それに先ほどよりは落ち着いていますので、大丈夫です。

(たぶん。)

クレス・ローベルク > 「……ふうむ」

確かに、この娘には精神修行というか、大胆さが足りない。
騎士服を着ているということは、それだけである程度強いのだから、警戒しておけば奇襲されても大丈夫、とか。
そういういい意味での傲慢さが、彼女には欠けている様に感じる。
どうした物か、と考えて、

「(ま、自己満足も満足の内、か)」

「そっか。でもまあ、此処まできて君を一人にするのも何だし、夜の散歩がてら、君の仕事に付き合わせてもらってもいいかな?こうやって足を止めてお喋りしてるってことは、多分犯罪者を追ってるとかじゃなくて、見張りか見回りでしょ?」

まあ、勿論こういう可愛い女の子に恩を売っておこうという下心もあるが、何よりこのまま別れるのでは寝覚めが悪い。せめて今晩だけでも、彼女を無事に家に帰しておくのが、精神衛生としても良いと、そう思った。

織機セラフィナ >  
……あの、なにか?

(何やら考え込んでいる彼。
 何か困らせることでも言っただろうかと、首を傾げる。)

え?
あ、いえ、それは、構いませんが……。

(どうやら一緒に歩いてくれるらしい。
 一般人に同行してもらう騎士など聞いたこともないが、こちらも彼が余計なトラブルに巻き込まれることのないように同行している、と考えることにした。)

――ところで、あなたはここで何を?
一応、お名前窺ってもよろしいでしょうか?
私はマグメール王国聖騎士団所属の織機セラフィナ、と申します。

(ふと彼がこんな時間にふらふら出歩いていることに気が付いた。
 今更ではあるが、一応目的と名前を尋ねておこう。
 本当に今更ではあるが。)

クレス・ローベルク > 「そうかい?それは助かる。俺も、一人は暇だったんだよ。君みたいな可愛い子と街を歩けるなら僥倖さ」

とにこりと笑う。実際、彼女は普通に可愛らしい。
違う出会い方をしていたら、もしかしたら騙して犯していたかもしれないと、自覚できるほどに。

とはいえ、もう此処まで会話を交わしてしまえば、情欲より純粋な情の方が先に立つ。難儀な性格だなあと我ながら思うが、性分だ。

「っと、名前か。俺はクレス・ローベルク。元は貴族の出だけど今は家出して、今はダイラスの闘技場で職業剣闘士をやってる。あ、実家には連絡しないでね!連れ戻されちゃうから!」

と、最後は少し慌てて言う。
実際今のは失言だった。身分確認のために此処で連絡を取られたら、最悪追っ手がかかって連れ戻されるかその場で殺されてしまう。
頼む、頼むよーと情けない目でセラフィナを見た。

織機セラフィナ >  
……それは、どうも。

(可愛い、と言われて表情が曇る。
 容姿を褒められること自体は悪い気はしないのだけれど、自分は騎士だ。
 頼りがいがある、と言って欲しかったと言う思いが先に立って、どうしても面白くない。)

ローベルク……と言うと、あの?
それは、しかし……。

(自身も貴族だ。
 ローベルクと言う名前は知っている。
 なんでも教育係を半殺しにして出奔した長男がいるとは聞いたことがあったが、まさか彼だとは。
 だが一応規則では身元確認をすると言うことになっている。
 どうしたものか、と悩む。)

クレス・ローベルク > 表情が曇ったのを見て、あっちゃーと思う。
前も騎士の女性と会話をして、女性の騎士というのはどいらかというと実力を褒められたいものなのだと理解はしていた。のだが。

「お、っと。失言と言うならこれこそ失言だったか。ごめんごめん。男というのは全ての女性に対して可愛いというのが褒め言葉と思ってしまう、哀れな生き物なんだよ。本能みたいな物なんだ」

と、そんな事を言うが、恐らくあちらが自分をどう扱うものかと感がているのを察すると、一転顔が青くなった。

「頼むよ。此処で連絡を取るって事になったら、俺ももうなりふり構わず逃げないといけない。君は職務だからそれを止める立場だろうし……。流石に君みたいな良い子と戦いたくはない。なんとか、見逃して、ね?」

お願い、と手を合わせて拝む様に頼み込む。

織機セラフィナ >  
別に、気にしてはいません。

(むすっとした顔。
 明らかに気にしている。)

――ふう。
わかりました。
別に捜索願の類が出ているわけでも無いようですし、出ていたとしても私はあなたを見つけ次第捕まえろと言われているわけでもありませんし。

(溜息。
 そうまで必死に頼まれてはこちらが折れるしかない。
 実際彼の首根っこをひっ捕まえてローベルグ家に引きずっていく必要もないわけだし。)

しかし、ローベルク家ですか。
幼少の頃どこかのパーティか何かで会っていたかもしれないですね。

(幼い頃の話なので記憶は定かではないが、何となく親に連れられて行ったパーティかなにかでその名前を耳にしたような記憶がある。
 誰かが話していたのか、直接あったのかは覚えていないが。)

クレス・ローベルク > 「(あ、これはやってしまったよ、気にしてるよ絶対)」

最悪気絶なり薬で再起不能なまでに発情させてでも……等と思ったが、何とか許してもらえたと思うとホッと気を緩めて

「そうか、それは良かった。ん、パーティで、か。可能性はあったかもしれないね。ただ、ローベルクは武闘派だけど、織機って成り立ちとしては商家に近かった筈だから、家同士はそこまで交流は無かった筈……あれ、でもセラフィナさんが騎士やってるってことは、今はそうでもないのかな?」

と、首を捻る。
この辺のデリカシーのなさは、家出したがゆえの貴族的なセンスの無さである。

織機セラフィナ >  
(とは言え基本的にはお人好し。
 会話しているうちに眉間の皺はすぐになくなる。)

いえ、今もどちらかと言えば貴族らしい貴族ですよ。
私が個人的に騎士団へ修行に出ているだけです。
家は継ぐつもりではいますが、弱きものを助けるのは貴族の務めだと思っていますから。

(だから騎士団に入って民を守ろうと修行している、と。
 ただ理由はそれだけではなく、本人が割とおてんばだと言うこともあったりするが、知らぬは本人ばかりなり。)

クレス・ローベルク > 「ああ、そうか。それは立派な心がけだ。俺はそういう世のため人のためみたいなのは苦手で逃げ出したからね。うん、前も君のような女騎士に出会った事はあるけど、女性の騎士というのはそういう意思が強いから、ちょっと眩しいや」

と、心の底からの本音を。
しかし、そのてれを隠すように

「でも、まあ、修行、か。何なら、闘技場に出てみる?負ければ酷い目に遭うけど、だからこそ修業の場としては最適だと思うよ?」

と冗談半分で勧誘してみる。
勿論、彼女が負けて、"酷い目"に遭う事を期待する下心もあるにはあるが、自分が実力をつけたのもそこだし、全く間違えたことを言っているわけでもない。単に、ハイリスクハイリターンであるだけで。

織機セラフィナ >  
別に女性だから男性だから、と言うことはないとは思いますが……。
今からでもそう言う気持ちを持ちたい、と言うことでしたら、遅くはないと思いますけれど。

(結局は気の持ちようだし、世のため人のために尽くすことはそう難しいことではないはずだと、当然のことのように。
 首を傾げて、遅くはないと。)

闘技場、ですか。
ああ言う見世物のようなものは、あまり好きじゃありません。
真っ当な剣も育たないように思いますし……。

(健全な心は健全な剣に、と考えるタイプだ。
 人の見世物にされるような剣は自分の目指すものではないと。)

クレス・ローベルク > 「ん、まあ、どっちかっていうと、性別と言うよりなる過程の問題かなあ。女性を騎士にしたがる家って少ないからさ。そのハンデを前にして尚騎士になりたがるっていうのはさ、それだけで立派な物だよ。……俺はちょっと無理だなあ。そうなるには、色々とやりすぎちゃったし」

まあこのへんは若い子には解らんかもなあと思いつつ、闘技場の話に映ると、残念そうに

「あー、まあそうだろうね。提案しといてなんだけど、剣闘士と騎士って割と相反してる部分も多いし。俺の戦い方も邪道だからなあ……。君の性格的にも、そういうのは似合わなさそうだ」

そう言うと、思い出したように

「そういえば、だいぶ話し込んでしまったけど、見回りの方はそろそろ行かなくて大丈夫かい?あんまり遅くなると君の同僚とか心配すると思うけど」

織機セラフィナ >  
そういう、ものでしょうか。
……?

(色々やり過ぎた、と言う彼に首を傾げて。
 やり過ぎたのであればやり直せばいいのではないか、と思うあたりまだまだ子供である。)

やはり私は騎士として正しく強くなりたいと思います。
あ、し、しかし貴方のやり方が邪道だとは思わないですよ。
強さと言うのも人それぞれだとは理解していますから。

(彼が邪道だと言うので慌ててフォロー。
 そうして彼からの言葉を聞いて思い出したように、)

――あぁ、そうでした。
詰所で先輩が体調を崩しているんです。
早く戻らないと……。

クレス・ローベルク > 「(あー、やっぱ分からないかあ。まあ解っちゃったら解っちゃったで厄介だしなあ)」

こうして会話をしているが、こちらは本来、騎士道とは相容れない悪の側の人間である。それ自体を騙して良い人ぶっているだけで、そういう意味ではこの穏やかな会話自体、彼の悪性の為せる業と言えた。

「うん、フォローありがと。ぶっちゃけ俺の戦い方って仲間内でも結構エロ……じゃなかった酷いって言われてるから、然程気にしてはなかったけど」

何せ女性に媚薬打ち込んで発情させて無力化というやり方である。
邪道という言い方をされても仕方ないとは思うが、フォローする彼女の優しさは嬉しかった。

「でもまあ、強さが人それぞれだというのが解ってるなら、問題ない。君は強くなるよ。多分ね」

そして、先輩が体調を崩していると言われると、

「おっと、そうなのか。それは大変だ。急いで詰め所まで行かんばきゃね。えーと、場所は何処かな?」

織機セラフィナ >  
いえ、――えろ?

(えろって言いかけた。
 なんだろう。
 エロい、に結びつかずに疑問符が大量に浮かぶ。)

――あ、はい、ありがとう、ございます。

(しかし強くなると言われて反射的にお礼を。
 疑問符は吹き飛び、ついでにえろ某のことも吹き飛んだ。)

こっちです、――クレスさんが来ちゃうと色々不味いのではないでしょうか?

(そう言って歩き始めるが、そういえば彼が詰所まで来るとローベルク家の関係で面倒なことになりそうな気がする。
 見回りをしつつ彼と話し、かつ急ぎ過ぎない程度に急がなければならない。
 全部やらなくちゃあならないってところが、騎士の辛いところだな。
 そんなこんなで夜の見回りをこなしていく――)

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 住宅街」から織機セラフィナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 住宅街」からクレス・ローベルクさんが去りました。