2022/08/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区『公園』」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 生垣の迷路から、不意に最近見た顔が覗く。
にっと笑い、手を挙げて挨拶を。
「やぁ、マーシュさん。この迷路に入っていくのを見かけたから、追いかけてきた。今日はお休みかい?それとも、サボリ?」
毎度のことながらフランクな物言いで近づいてくる。男は大きめの重そうな鞄を背負っており、どこかに行ってきた帰りのようだ。
男は植物に詳しくないのか、周囲を物珍しそうに眺めている。
女の困惑した表情にはまだ気づいていないようだ。
■マーシュ > 「…っひゃ!?」
知り合いがいるとは思ってもいなかった状況で。進んだ先か、背後かはわからないがかけられた声音に、小さく悲鳴を上げた。
覗いた顔が見知りのそれだとわかれば慌てて口を噤んだが、すでに口から出た悲鳴は呑み込むこともできない。
じわ、と目元が羞恥で染まるのを日陰によることで隠しつつ。
「───────……いえ、使いの帰りに、余暇を戴きましたので」
平素の声音は、けれど今更取り繕ったようにも聞こえるが、男の身支度に多少の違和感を覚え、首を傾げた。
「ヴァン様は───、お勤めの最中、ですか?」
しかしであれば己を追いかけてきた、というのはそぐわないのだろうか。
周囲はちょうど人の背丈の生垣で作られた壁で仕切られた迷路。
今は夏薔薇のそれは、所々で花が咲き、香しい芳香を放っている。
各種行き止まりには四阿やベンチが設えられて、憩いの場となっている。
同時に恋人たちの密会場所としても最適なため、そこから逃げ惑っている事実はまだ気づかれていないのならば口を噤んだままだろう。
■ヴァン > 「……っと、驚かせたか?すまない。あぁ……お城に戻る帰りか。
俺は本を仕入れにいった帰り。結構富裕地区の古書店に掘り出し物があったりしてね」
公園を横断する途中に見かけたと補足する。確かに富裕地区と神殿図書館の間にこの公園はある。
鞄を開いてみせると、何冊かの本が顔を覗かせる。どれも紙は古そうな色をしている。
仕草からするとただ声をかけただけではなく、しばらくサボる気でいるようだ。
男は視界の先にあるベンチの背中を指さした。小さな行き止まりになっており、花壇を眺められる設えになっている。
「まぁ、立ち話もなんだ。そこで話さないか?
そうそう。先日話した代価について、うやむやになってたからね。折角見かけたから、話を詰めようかと」
にこやかな笑み。何も知らない者にとってはただの笑みでも、女にとってはどう映るだろうか。
■マーシュ > 「古書店ですか………、なるほど」
此方の悲鳴に向けられた謝罪に小さく首を横に振って。
それから────彼が背負っていた鞄の中身を少しだけ見せてもらうと、納得したように頷いた。
それから示されたベンチに視線を向ける。そこも───行き止まりだったんですね、と。迷っている身としてはわずかな落胆はあったが、少し歩き疲れていたのもあったし頷いた、が。
「───代価、……、畏まりました」
続いた言葉と、男に浮かんだ笑みに僅かに細めた目許。
先ほどからひかない熱を隠すように一度指で隠してから、歩き出した。
己が言い出したこと、とたしかに前回のそれがうやむやになっているのは事実だったからだ。
■ヴァン > 【移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区『公園』」からヴァンさんが去りました。
■マーシュ > 【移動いたします】
ご案内:「王都マグメール 平民地区『公園』」からマーシュさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロイスさんが現れました。
■ロイス > 夜。王都のとある広場の脇で、細身な男が一人、食事をしていた。
ハムと野菜一枚のサンドイッチとエールといった、如何にも侘しい食事。
肉体労働者か、或いは質の悪い商人の下で、安く使われるどこぞの従業員かと言う風体。
だが――
「(体内時計じゃ、もうすぐ仕事終わり。
……今日も異常なしだな)」
彼は、冒険者としてこの広場の警護をしている。
普段は、武装しての警護だが、今日に限っては少しばかり違い、敢えて非武装で犯罪者を油断させる作戦。
わざわざ、髪型や衣服まで変え、顔も多少ではあるが化粧で顔色を悪くしている。
遠くから、かあん、かあんと鐘が鳴る。
夜の二十二時を知らせるもので、同時に男の終業時刻を知らせるものでもあった。
「さて、報酬は明日ギルドに取りに行くとして……。
折角だから、広場の出店で何か食べようかな」
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からロイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 街の大通り」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 休みの日は王都をぶらつこうと、男は一週間前から決めていた。
服こそ普段の闘牛士服を着ているが、気分はラフに散歩の気分。
様々な店の並ぶ大通りを、男は一人歩いていた。
「流石に、この辺りは店の回転早いなー。もう新しい店が出来たんだ」
などと呟きつつ、時折本やちょっとした小物を見ながら歩く。
金はあるが、馬車を使って帰る事を考えると、あまり大きな買い物はできない。
だが、それが逆に程よい制限となって、長くショッピングが楽しめている。
「(制限ってのは、悪いことばかりじゃないね)」
闘技場で、強いマジックアイテムを使わないのと同じ理由。
何でもできるということは、最短距離で正解に辿り着いてしまうという事。
命がかかっている時にはそれも良いが、興行や、こうした遊びにおいてはまず何よりも楽しいが大事だ。
「さて、のんびり楽しみますか」
今日は一日ショッピング。
そのつもりで、街を歩く。
尤も、トラブルが起きたら、それはそれ。余程酷くない限りは、それも"楽しい"の一つだろうが。