2019/01/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 茶店。」にイスラさんが現れました。
イスラ > (店の奥、ソファの一つを占領していた。はらはらと指先が捲る頁は、近頃人気の推理小説。
時折。違和感が気になってしまうのだと言う如く。鼻筋に掛かった眼鏡の縁を、指先で押し上げ位置調整を図りつつ)

「 って、ん…?いやこれは伊達だよ、伊達。度なんて入ってない、飾り物だね。
…どうだろう。似合うかい?」

(…最近。唯でさえ自覚していた目付きが、ますます、気になってしまったから。
こんな小道具を準備してみたのだが。
知人なのだろう、別の客から声を掛けられれば。顔だけ其方に向けてみせた後。
一体どんな評価が返ってきたやら。苦笑じみて唇の箸を上げ、また視線は文章を辿りだす。
普通の会話。普通の仕草。なのだが…声を掛けてきた知人は隣のソファで、しどけなく裸体を晒し横たわっている。
背靠れを挟んだ別の席では、女同士の嬌声が弾け、粘付いた水音が、交わり真っ最中だと訴えてくるようで。
気兼ねする必要の無い、馴染み達、同好の士達が集う場所…即ち、其処では。
似たような女性達や、同じような両性の者達が。平気で膚を重ね、一夜の相手を求め合う。
そんな、繰り広げられる他人の痴態など、慣れっこだと言わんばかりに。
変わらず頁を捲りつつ。時折、温度の下がりはじめたティーカップを口に運んで)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 茶店。」にグライドさんが現れました。
グライド > (今夜の依頼は、荒事に関わる事では無い。
そも、依頼、と言うよりも其れは、おつかい、の様な物だ
期限を設けない、己が稼業で旅をする中で、「手に入ったら教えてくれ」と託けられた品
其れがつい先日手に入ったのだと、その当人に届けるつもり、だったのだが

何せ、其れ以来顔を見て居ない物だから、何処に居るのか見当もつかぬ
知人を辿り、漸く足取りがつかめたと思えば、こんな所に辿り着いた訳で――)

――――……やれやれ、”そう言う奴”だとは知ってたがよ。

(――まさか、「最中」に声を掛ける程野暮でも無いが
聞けば此処数日入り浸りだと言うでは無いか、溜息モノである。
さて、何時向こうの都合が付くとも知れぬが故に、少しばかり考える

別に急ぎでは無い、だが、折角手に入れた物だ、早く渡してやるのが良かろう
けれど、のんびり腰を据えて待つ、と言うには少々、己にとっては場違いなのだ
フードを被るのは、己のような風貌が、余り此処では歓迎されない…様な、気がしたからだ。
故に、店の端、己が如何見ても男である体躯が、余り目立たぬ様な位置を通りながら
店の奥、「そういう事には使われて居ない」一角へと滑り込むだろう。
読書中らしき誰かの、邪魔はせぬ程度の位置で、暫しの待機、だ)。

イスラ > 「 ――おや…?」

(顔を上げる。確かに、「そういう事」をしている真っ最中ではないものの。「そういう者達」の一人なのだから。
違和感に気が付くな、という方が無理だった。
…というかだ。何処かのお話に無かっただろうか。「お前のような女が居るか」、という無理無謀極まる女装。
そんな話を思い出すような、明らかに女性のそれではない巨躯と体格を包み込んだ布の塊が。ひっそりと、店内程近くに滑り込んでいた。
真っ先に娘が、その不審人物に気が付いたのは。
先程の知人は、事後の気怠さに身を委ねていた為と。近場の…知る由も無いが、その人物が訪ねてきた相手は、お楽しみの真っ直中。
その他の客は、ある程度距離が離れているか…同じように、相手を得て「そういう事」へとしけ込んでいたから、だろうか)

「 何処の誰だか知らないけれど。いけないな、例え一夜限定とはいえ彼女達は、恋し愛し合う仲なんだから。
間に入るのは野暮極まると思わないのかい?まして、君のような男が……」

(ぱたん。音を立てて文庫本を閉じたのは。不審者の注意を音の源、此方へと向かせる為。
相手が此方に振り向いたなら、ちょいと眼鏡の蔓に指を掛けつつ。小首を傾げる仕草を見せて)

「 いや。いや、うん、男性……だよね?」

(念の為。本当に念の為。フードに隠れたその巨躯へと確認を。
十中八九。否、99パーセント、この店の客層、ではないと確信出来てしまうものの。
世の中、1パーセントでも可能性が有るのなら。0と1との間には、絶対の境界線が横たわっているのだ。
在り得ない、そう言い切れない以上。万が一、億が一の失礼を働く事がないように。恐る恐る問い掛けてみる。
今正に辺りで。半陰陽に突き上げられた女性が、歓喜に噎び悦びを歌い上げている、その直ぐ側で。何とも間の抜けた様)

グライド > (――嗚呼、矢張り、待つと言う判断は間違いだったのでは無いか、とも思わなくも無い。
いや、己自身は別に全く気にも留めぬ――今更そう言う事に羞恥心も何も無い――のだが
そう、要するに「何で御前が居るんだ」と言う空気は多少なりとも感じるものだ
今の所は余り注目を浴びずに済んで居る訳だが、いっそのこと、浴びる前に退散するべきなのでは、と――)

――――――……。

(声を出すと、余計に男の気配が伝わりそう故に、黙った儘で暫し考えた、が
――結論を出すよりも早く、駆けられた声に、僅かに片眉を跳ね上げて其方に視線を向ければ
フードの下、少なくとも相手へと僅かに見えて、顎の辺りだけだろうが
まぁ、女性では無いだろう骨格が、万が一、と言う確率も無さそうな雰囲気を相手に感じさせるやも知れない。)

――――………悪ぃ、ちょいと野暮用なんだが…俺様も正直、ちと失敗したと思ってるトコでな…。

(――一応、事を荒立てたりする様子では無い、此方へと声を掛けてきた相手に
余り周囲へは響かぬ様に、抑えた声音で反省の弁を口にしては
――ひょい、と指差す席の向こう。 今、正に誰かも知らぬ半陰陽の相手を抱き
突き上げて居る黒髪の姿を示して、アレに用事が在るのだと伝えよう。)

――――……まぁ、あの感じだと、出直した方が良さそうって気がして来たがな…。

(――果たして、何時まで待つ羽目になるだろうか、と。
何せ享楽にふけって居る其の様子は、まだ、まだ、止まりそうに無かったのだし)。

イスラ > (だが、彼が…彼と確定して良かったらしい、その人物が。失策を感じるのは仕方ないだろう。
女性下着売り場に一人で取り残されるより、更にいかがわしく。
人妻同士の井戸端会議に強制参加させられるより、更に更に生々しく。
つまる所、男性にとっては、足を踏み入れる事も躊躇われるであろう…そんな、女の聖域。もとい、魔窟。
浴びる前に退散は、心底同意する。寧ろ、よしんば彼が注目を浴びてしまったなら。
言い分も何も無く、不法侵入者扱いされて、袋叩きで追い出される可能性すら有るだろう…少なくとも、彼の性別を誤るより、ずっと高い確率で。
勿論此方も、仮に、今夜のパートナーが定まっていたのなら。まして、そんな誰かと睦み合っていたのなら。
有無を言わさず、闖入者を排除する側に回っていた筈で。
そういう意味では…一人でも、未だ暇していた人間が残っていた事は。きっと彼にとって幸運だ)

「 …なるほどね。それは確かにご愁傷様。…彼女はお得意様だし…ご存じの通り、お盛んだから。
驚くなかれ、今夜、三人目のお相手をしているんだ。」

(他人の性事情を、審らかにしてしまって良いのか、という懸念が無いでもないが。
逐一気にするような人物なのなら。こんな店で、見られる事すら興奮の材料にするような行為に耽ってなどいないだろう。
…三人目と。そう称してみせた、ソファに座る半陰陽…両性少女の震える姿。同時に、彼の目的である女性が仰け反り、高い高い声を上げて…
それでも。二人の離れる気配は無かった。両性少女の方が、いっそ苦しげに切なげに、吐息を震わせるものの。
殊更に粘りを増した水音が、尚ひっきりなしに聞こえてくる。交わり、吐き出させ、それでも尚。止まらないし終わらない、らしい。
いっそ怖い者を見たとでも言わんばかりに。彼と顔を見合わせ、肩を竦めてみせ)

「 しかし、そうか。…ふむ。危急でないなら、出直すのも良いけれど。
何なら僕が。預かってあげようか。後で渡す分には問題もないだろうし。」

(彼が、何か荷物も持っているようだから。それが、来店理由なのだろうと……推理した。
その上で。妥協案だか解決策だかを。さも妙案を思い付いたと言いたげに。ふふんと軽く息を吐きながら。
……何せ、こちとら。今夜は名探偵になりたい気分だった。丁度、そんな本を読んでいたのだから)

グライド > (間違い無くこの場所に、自分が歓迎されないだろう事は判り切って居る訳で
それでも、と考えた先刻までの自分に反省を促したい今では在った。
遊び半分で訪れた訳では無いのだが、とは言え周囲にとってはそんな事は無関係だろうし

実際、独りだったらしい彼――なのか、彼女なのかは判別しづらい
この場所で、「此方側」ではない物言いから鑑みて、恐らくは同類なのだろうが――兎も角
眼鏡をかけた、探偵然とした姿の相手だからこそ、こうして話になる物の
今、此れ以上周囲にバレて居たら、会話なぞ通じようも無い訳で。)

―――……ああ、それじゃダメだな…。
3人目じゃ終わらねぇだろうさ、昔からそういう奴だったからなぁ、アイツはよ。
昔部屋に乗りこんだら、部屋の絨毯に何人も取り替えた相手が転がってたぜ。

(――そう言えばそう言う奴だった、と、昔の記憶を引っ張り出しては
やれやれ、と溜息を零して、少なくとも今宵渡すのは、ほぼ諦めの境地
どうせ、向こうも性事情なぞ知られて困る訳では無い筈だし、そもそも自分も知って居る。
絶頂に達した筈の、女の其の身体を尚も突き上げ、愛でる姿に、フードの上から後頭部を軽く掻いて。)

――――……うん? ……なんだ、察しが良いじゃねぇか、嬢ちゃん。
ってもな、モノがモノだ、うかつに渡すのもな。 其れに、嬢ちゃんが袖の下にくすねちまうとも限らねぇ、だろう?

(――渡す物が在る、と、推測されたことに片眉跳ね上げ、ふ、と笑う。
其の洞察力には素直に感心を告げ、けれど、預けるか否かについては、緩く肩を竦めた。
後半の物言いは、流石に半ば戯言交じりでは在るけれども。
腰に下がる布袋を示して見せれば、其の中に、小さな瓶の様な形が二つ程見えるだろう
要するに、多少なりと「扱い注意」な品であると、教えようか)。

イスラ > (それでも、感謝して欲しいくらいだ。
退屈を持て余していた、他人のまぐわいを見せ付けられて、少々物寂しかった、という理由こそあれ。
直ぐ様黄色い悲鳴の一つでも張り上げて、店の者を飛んで来させたりはしなかった、という事を。
逆を言えば。お目当てになりそうな、女性なり両性なりを見付けるまでの、暇潰しという事でもある。
その為にも、出来るなら早期解決を図りたいのだろう。
だからこそ自らに任せろと。親指を立ててやらんばかりの有様で、言い出してみた訳で)

「 だろうね。僕も以前お相手願った訳だけど。
――足腰が立たなくなるっていうのを。産まれて始めて実際に体験したよ。
実は淫魔の類で、この街に紛れ込んでいるんじゃぁないかとすら思えるね。」

(心底からの同意を示して頷いてみせる。
…白状してみせた通り、かの女性には。自身も嫌という程搾り取られた記憶が有る。
三人目と称された両性少女も。明日の朝日を拝む事なく、心底涸れ果て、疲れ果て倒れてしまいそうだった。
好い加減悲鳴すら聞こえてきそうな、搾りに搾り取られているらしい後ろ姿に。何となく、祈るように両手を合わせ)

「 そんなに、特別高価な品物という事かい?
…珍しいとなると興味は有るけど、金額だけが理由なのなら、心配する事はないよ。
……薬、かな。彼女が使うんだとなると………正直。あまり良い予感はしないかもしれない。」

(別に。日銭に困るような身分でもない、趣味人、或いは臑齧りの身だ。
気にする事はない、と軽く掌を左右に揺らしつつ。彼が指しだしてみせた袋の中身。
液体が入っているらしいそれが、要注意対象であるというのなら…薬品、もしくは毒物、なのだろうと。
眼鏡越しの瞳を瞬かせ……聞いても?、とその効能を気にしてみせるのは。
言葉通り、男が訪ねてきた相手…当の女性が、この場で手にしても。早速使おうとしても。
周囲の、主に客である自分達に、被害の及ぶ可能性は無いのだろうかと……我が身に関わる事だからこそだろう)

グライド > (このやり取りが、相手にとって何らかの迷惑であると言う可能性は勿論考えている
早期解決が叶うのならば、己としても願ったり適ったり、と言う訳では在るのだが
少なくとも、最も手間の無い「とっとと渡してずらかる」と言う選択肢は取れそうに無かった。

目の前の彼女もまた、向こうで愉しんで居る知己に「食べられた」事が在るらしい。
其れを聞けば、そうかい、と口端吊り上げて小さく笑い。)

――割と在り得ない話じゃねぇってのが、恐ろしいトコだぜ。
ま、御前さんも確かに、アイツの好みそうだしな。
つーか、可愛がり方に容赦がねぇだろ、アレはよ?

(一応は、笑い話にする心算では在るのだが。
腰に下げて居た袋に片掌を突っ込み、中から取り出した瓶
其の中に、たぷりと揺れる液体の中、漬け込まれて居る様にも見える球形が見えるか。
僅かに、瓶を揺らしただけでも、微かでは在るが甘い香りが漂う其れを彼女の前に示してやれば。)

……まぁ、媚薬みてぇなモンだ、その代わり、合成じゃない天然のな。
コイツは植物の実なんだが、女が齧るのと、男が齧るのとで違う影響が出るらしい。
んで、そんな物をアイツが御所望なんだ、使い道何ざ…なぁ?

(それは、其の植物が自生する地域では、動物が一気に繁殖する…なんて曰くの代物。
勿論、人間だって例外では無い其の効果は、時折錬金術や薬学の素材として取引されて居たりもするが
何せ、流通量が少なく、研究も然程進んで居ない珍品で在る事には違いなく。
――少なくとも、純粋な学問だとか、で求めた訳では無いだろう事は、間違いない。
果たして、其れを誰に使う心算なのか、何に使う心算なのかまでは、肖り知らぬ事だが)。

イスラ > (どちらかと言えば。事態収束だの、早期解決だの。そんな事柄に執心しているだけだ。
…丁度今、お相手が居ないから、というのが。最大の理由だろうが。
とはいえ。にわか探偵に任せて、後はトンズラを決め込める程。簡単な代物、という訳ではないらしい。
商品の取引であるのなら。彼としても、代金と交換しなければならないから…という理由も。有りそうではあるが。
お陰で袋の中身が引っ張り出されるまでの間。もう少しばかり言葉が続く)

「 美食家ぶっているけれど、その実、暴食家だ。うっかりすると、馴染みが全員喰い尽くされかねないね…
既知という事は君も、もしかして。……君くらいでないと、どれだけ危ういのやら。
…「そして誰も居なくなった」、という結末は。出来れば勘弁して貰いたい物だよ。」

(有名な。古典推理の表題だ。余所からネタを拾ってくる以上、此方も、冗談として口にしたつもりだが。
やや有って彼が取り出した小瓶と。其処に着け込まれた何かについて。
ある意味で想像通りの…同時に、間違いなく予想以上の。効能を聞かされてしまうと。目に見えて表情が白く、色を失った。
……在り得ると。冗談が冗談で済まなくなると。全滅の憂き目も、可能性として在り得るのだと。考えてしまったから)

「 そんな物を使われて、彼女が際限という物を失ったら。唯でさえ常識外れの限界から、ますます箍が外れてしまったら。
誰かに一服盛るつもりならともあれ……いや。いやそれも、何だろうか、嫌な予感しかしない……」

(思わず。じりと腰を浮かせてしまう。
二人からあれこれと、悪評じみた武勇伝を語られている件の女性はといえば…やっと。三人目の犠牲者を、解放するようだが。
繋がりが解かれたその瞬間。たちまち辺りを満たす、強すぎる程に強い精臭が。
どれだけ夥しく吐き出されたか。搾り取られて溢れたか。誰の目にも疑いようのない証拠。
精根尽き果てる両性少女の、今夜の冥福を。目を伏せて祈りつつ。彼女が此方に。訪れた彼に気が付く前に)

「 願わくば。共に明日を迎えられますように。……健闘を祈るよ、君。」

(速やかに。戦術的撤退を決め込む事にしよう。微かに香る、何より危険な毒の薫りは気になるが。それよりは生命が惜しい。
脚を伸ばして立ち上がれば。彼の傍らをすり抜けるように歩き出しながら。耳元へと囁きかける)

「 それとも。交渉成立、任務達成後、速やかに戦線離脱。そういう心積もりならご一緒しよう。
退却ルートは任せたまえ、此処は僕の庭のような物だから。」

(…せめてもの慈悲という奴だ。
どうやら気が付いたらしい、此方へ歩み寄ってくる女性が。荒淫の果て、あまりに艶帯びたそのままに、次なる獲物として。彼や自分を見定める前に。
彼、という存在が第三者に気が付かれてしまい、事が騒ぎにならない内にと)

グライド > ――――……俺も大概アレな自覚はあるが、アイツは一度始まると酔っぱらう性質だからな…。
俺の時は精々相打ち程度にゃなるが、コイツが在ったら如何だか。
まさか、俺相手に使うなんて阿呆はしねぇだろうが…。

(其れは其れで、順当に此処の女達に使われる、と言う事でも在るのだけれど
当然そうなった場合、標的としては目の前の彼女も勿論、其の一覧には入って居るだろうから。
まぁ、嫌な予感を感じて当然では在ろう。 何せ、こうして話をしている最中に
解放されたらしき三人目の力尽きた気配に加え、漂う強烈な精臭と
此方に気付いたらしき「彼女」の、用件を忘れて居ない、陶酔した笑みに気付いて仕舞ったが故に。)

―――……俺も仕事だからな、代金は後払いでも、依頼は完遂するのが流儀さ。
……とは言え、流石にサバトはご遠慮願いてぇからよ、此処は共同戦線、と行こうじゃねぇか。

(彼女にとっても、この提案ばかりは悪い話では無い筈だ。
まぁ、別に、此れを渡して使われたからと言って、死人が出る訳では無いだろう、が…
手にしていた瓶の中身を、「彼女」へと向けて揺らして見せる。
そうして、其れを再び袋の中へと仕舞っては、ひょい、と、其の露わな胸元目掛けて放り投げ。
――隣の、彼女の背中を、ぽむ、と叩こう。 彼女が、其の瓶の中身を確かめて居る其の隙に。
周囲が、彼女が放つ其の強烈な精臭に当てられて居る内に――逃走経路、宜しく、と)。

イスラ > 「 相打ちか。素直に尊敬せざるを得ないね。
それこそ僕等じゃ、その薬を使っても……使われても?
間違いなく勝ち目はなさそうだ。」

(言ってから。きっと想像してしまったのだろう…身を震わせた。
どんな媚薬だの精力剤だの使っても。結局、搾られる量が。快楽という名の拷問が。増えるだけになりそうだと。
まして、彼も対象なのだという事が、証言を以て確定したからには。今日此処に安全な者など、誰1人いないという事だ。
淫魔もかくや、という先程の言葉そのまま。両性少女達の精をたらふく抱え込んで、尚、陶酔と陶然にまみれたような。
踊るような足取りの女傑が、一歩、また一歩此方へと。
強すぎる精臭、性臭が一面を満たし、その濃さだけで、まだまだ初心な者などはめまいを起こしへたり込む。
…おかげで。野次馬の視線、という包囲網が。いささかでも崩れてくれたのが好機とみれば)

「 全く以て同意するよ、次なる生贄に見立てられるのはこりごりだ。
さぁ…それじゃぁ洒落込むとしよう。生存への脱出口という奴へと!}

(大袈裟?いや、本気も本気。大真面目だ。
放物線を描く小瓶が、狙い違わず、女性の胸元に飛び込むか否か。着弾地点を確認する事すら怠って、彼と二人して、脱兎。
……後日きちんと彼が、代金を受け取る事が出来たのか。その際、第四の犠牲者とならずに済んだのか。
娘には知る由もないかもしれないが…無事を願う事くらいはしただろうか)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 茶店。」からイスラさんが去りました。
グライド > 俺にとっちゃあ、相討ちって事実が可也クるんだがな…。
ま、兎も角そういう訳だ、綺麗な朝日を拝みたきゃ、気張って此処からずらかるぜ…!

(生憎と文学的表現と言う奴がすらりと出て来る頭では無いが
兎も角、渡す物は渡した、と言う事実だけを確かめては、元気な内に脱兎しよう。
後はもう、「彼女」が瓶をどう使うかなんて知った事では無い、後に残された女たちが、或いはとばっちり被害者と為るやも知れないが
其れは其れで、多分彼女達も大なり小なり望んで居た事のはずだから、良しとしよう。 取り敢えず。

そうして、先導者の後に続いてこの場を脱出――出来た、と思いたい
後日の代金受け取りだとか、今は考えて居る余裕も無く
もし、また縁が在って邂逅する事が在れば、きっと、其の時に後日談として語られるやも知れず――)

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 茶店。」からグライドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にアルブムさんが現れました。
アルブム > 昼下がりの王都。
治安の良い地区は人の往来も多く賑やかだが、路地裏となればそれほどでもない。
寒さに負けず外で遊び回る子供たちは街路や公園に多数見受けられるが、王都の路地に入ってまで遊ぶ子供は滅多にいない。
……陽も傾き始めて翳りがちな路地裏を、縫うようにすたすたと歩く小さな人影は、その例外の1人といえようか。

「……うーん。猫さん自体そんなに見掛けませんね。この辺にはいないのでしょうか」

片手には身の丈を超す巨大な木の杖。1歩歩くたびに、その先端についた大きな鈴がシャンシャンと鳴る。
もう片方の手には羊皮紙。何やら絵が描かれているが……その絵の示す物が何なのか、初見で当てられる者は少ないだろう。
アルブムは、ただ今『猫探し』の真っ最中。失踪した飼い猫を探してくれという依頼を請けたのだ。
子供の小遣い程度の報酬で、冒険者の宿の掲示板に張られてもまず誰も気を引かれないであろう依頼。
だが、善行を積むことを日課としているアルブムにとっては、報酬の多寡は二の次である。

空色の瞳をきょろきょろと周囲に配りながら、路地裏から路地裏へと歩みを進める少年。

アルブム > 「……あっ! 猫さんいました!」

幅1m程度の細まった路地を覗き込むと、地面に座り込んで昼寝していたのであろう1匹の猫を見つける。
少年は変声期前の声色で歓喜の声をあげると、スタスタとその猫に歩み寄る。
猫は微睡みから目覚め、首を曲げて接近者に注意を向けるが、逃げようとはしない。
少年はしゃがみ込み、手に持った絵と目の前の猫とを比べ、検分するが。

「うーん。毛は茶色ですが、尻尾に黒ぶちがありませんね。というか首輪もしてないです。野良猫さんですね」

羊皮紙に描かれたヤギとも牛ともつかぬ物体を再三確認し、その猫は捜索対象でないと悟るアルブム。
ふぅ、と一つ深い溜め息をつくと、蹲踞めいた姿勢でしゃがんだまま、ぺろりとその紙を裏返す。

「ねぇ、猫さん猫さん。ぼく、この飼い猫探してるんですけど、見ませんでしたか?」

にこやかな笑みを作り、絵を見せつけて指をさし、首を傾げながら獣に問いかける。
《かみさま》に見初められし少年アルブムには獣と会話する能力が……無い。宛のない捜索に疲れての気晴らしである。
当然、野良猫は彼の質問や雑な絵など理解できるわけもなく、しばし興味なさげな視線で少年を睨んでいたが。

「………ひゃっ…♥」

突然その四足で立ち上がると、地面を蹴って駆け出し、アルブムの股下をくぐって走り去ってしまった。
フサフサの背中で股間をタイツ越しに撫でられたアルブムは、そのくすぐったさに思わず少女めいた嬌声をあげてしまう。

アルブム > 「はぁ……この広い王都から猫1匹探し出すなんて、一人でやる仕事じゃない気がしてきました」

掻痒感が背筋を駆け抜け終えると、アルブムはローブの裾を払いながら立ち上がる。
さっきの猫を追いかけてみても良かったが、すでに角を曲がって視界の外。それよりも。

「……《かみさま》。どうすれば良いと思いますか?」

呆然と立ち尽くすように路地の壁を見上げたまま、隣に会話する相手が居るかのように明瞭な声で語りかける。
当然返答はない……が。しばらく間を置いたのち、アルブムは視線を路地の奥へと向ける。

「こっち、ですか? ええぇ……たしかこの辺、この前野良犬に囲まれたところですよ……?
 治安の悪い地区に足突っ込んでるはずですし……ほんとにこっちですか?」

アルブムは《かみさま》からの指示に、渋面で反論する。
以前、同じように路地裏でモノ探しをしていたとき、飢えた野良犬数匹に目をつけられ追い立てられたことがあるのだ。
その時の恐怖と敗北感は今でもちょっとしたトラウマであり、治安の悪い地区にはできるだけ近づかないと心に決めていたが。

「……は、はい……そうですよね。次にまた野良犬に囲まれたら、今度こそぼくの力で切り抜けなきゃ。
 …こ、怖がってなんかいませんっ! 大丈夫、だいじょうぶですっ!」

叫ぶように気を張るが、その声から震えは隠せない。
杖を強く地面に突き、鈴の音を1つ響かせると、アルブムは意を決したように路地のさらに奥へと歩みを進める。

アルブム > ……その後。
アルブムは結局、陽の落ち切る頃まで路地裏をさまよい歩き、件の飼い猫は探し出せぬまま帰途に着くのであった。
野良犬に囲まれるようなハプニングも今回はなかったが、単純に1日歩き通しの骨折り損である。
そして翌日知るのだが、探していた猫はこの日の昼過ぎには飼い主の元に自ら戻っていたようである。

「……ま、まぁ、見つかったならそれで万々歳ですよね!! よかったです、ぼくも嬉しいですっ!」

自分よりも小さな依頼主から、依頼を達成できてもいないのにお金をもらうことなど《かみさま》が許すハズもなく。
依頼者と飼い猫の笑顔を見てちょっぴり充足感を得ながら、それでも隠し難い苦笑いと共に去るアルブムであった。
……小さな聖職者アルブムの日常は、いつもだいたいこんな感じ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からアルブムさんが去りました。