魔族の国にある『ナグアル』という城壁に囲まれた大都市
Otherlist209(https://mag-mell.undo.jp/otherlist/list.cgi?id=209mode=show)
◆中央エリア
宿屋『安息の宿』//至って普通の旅宿。連れ込み部屋在り
酒場『叡智の闇』//大衆酒場。魔族でも異形でもモンスターでも酒が飲めます
総合市場//物品食品嗜好品、あらゆるものが流通する場。人間の国からの流通品も
中央広場//魔力を芳醇に含む噴水を忠心とした、生活を営む魔族達の憩いの場
魔王教会//住人らが各々信望する魔王へと祈りを捧げる教会
・ナグアル祭
週に一度ある、住民が己の欲望のままに過ごしてよい日
それの大規模版、一週間以上続く大ナグアル祭も年に一度ある
参加者(1):ROM(4)
Time:14:29:07 更新
■サウロ > (魔族の街、欲望の街。
序列十二位の統治者たる魔族の招きに応じて拠点を中央エリアから、彼のエリア、通称医療街へと移すことになった。
彼からの歓待の証としての香り袋も身に着けつつ、移動する前に最後に一度興味を持ったところへと足を運ぶことに。
――――【魔王教会】。
王国の教会が白亜と金、神々の威光を示すような荘厳な造りをしている建造物が多い中、
魔王教会とよばれるそこも荘厳で巨大な建物だった。
そこではどうやら神を崇め、祈りを捧げるというよりは、個々の魔王を信奉するための施設らしい。
魔王、という存在。
並み居る魔族達の中で頂点に立つ存在と漠然と考えていたが、どうやらそうではないようで。
魔王と魔族の違いは何なのか。
この街を興したのが魔王ナグアルだということは聞いたが、力ある魔族達を統括している、というわけでもなく。
調和と秩序の下に、それぞれの統治エリアを持っているという。)
「……人間の理屈では、やはり推し量りきれないな……」
(教会というからには礼拝堂があるのだろうが、人間社会の教会と比べた時には首を傾げたくなるだろう。
唯一の魔王を信奉するわけではないようだから、像の安置も行われてはない。
何に向かって、何処に向かって祈るのかもわからず、しかしそこそこの出入りはあるらしい。
併設されている資料館らしき施設なら、魔王と魔族に関連するものがわかるだろうか。
白いフードを被った青年は、教会の中を興味深そうに眺めて歩いていく。)
ご案内:「魔族の国・欲望の街『ナグアル』◆中央エリア」にサウロさんが現れました。
ご案内:「魔族の国・欲望の街『ナグアル』◆中央エリア」からタルフさんが去りました。
ご案内:「魔族の国・欲望の街『ナグアル』◆中央エリア」からサウロさんが去りました。
■サウロ > (雰囲気だけでも見に行くかという誘いには、う゛っ、と眉を寄せて葛藤の顔。
一人で歩くよりは、彼がいれば巻き込まれないか、いやしかし、と諸々考えながら答えはその時は出せなかっただろう。
しかし祭り当日になって誘われたなら、拒みきれないのは目に見えていそうだ。
――――それからも会話を重ね、彼の意見を聞き、己の意見を述べ、交わし、魔族というものに理解を深めていく。
種族の違いか、サウロの理解の及ばぬ部分もあっただろうが、きっと彼は懇切丁寧に理解が及ぶまで意見を述べてくれただろう。
それに対して何を思うか。
未だ人の理から外れる気はない理性の騎士は、ただただその言葉たちを己の中に刻んで、思考の糧としていった。
そんな話の一方で、竜肉について食べてみたいという欲に関しては、どうやら彼の気を引いたらしく。
植物系であるが故にあまり食事に関しては欲が傾かないのだろうかと不思議そうな表情をしていただろう。
そしてさらりと妹、と告げる内容に、妹がいたのかと、なんとなく彼に似た風体の少女か女性を思い浮かべたかもしれない。)
「竜肉、食べられるんですか……!?」
(衝撃の表情を浮かべながら、是非、と力強くうなずいた。今までで一番目が爛々と輝いていたかもしれない。
性欲には少しばかり歪みや偏りが出ているので制しがちだが、食に関しては相変わらず旺盛である。
串焼きを食べつつ、市場のあれやこれやと見て回る時間となっていっただろう。
遠からず彼の区画に、客人として招かれることになるはずだ――――。)
■タルフ > ご同輩の旨、貴方の旨を伺えば、良ければ随伴の上で雰囲気だけでも見て行かれますか、と。
身の危険を、貞操を含めて感じているのだろうが、それも含めて後学の為にもなろうかという提案でもあって。
その一方で串焼きを食べている貴方を伺い、想定とは違う反応を見て。
……なるほど、コルボの評価は当てにならぬのだと情報を修正して。
「清廉潔白、でなくとも良いのですよ。
ですが人は欲望に建前という衣を被せたがる……。
なんと評すべきか、私はそれを、往生際が悪いと感じるのです。
そう言う意味では、アレグリア殿の欲求に基づく願いを見ることが出来なかったのは、
正確に人を知る機会を失ったと言えるのかもしれませんが。
暗黒と仰いますがサウロ殿。宵闇は、人も植物も安寧の眠りに浸る時間なのですよ。」
かじ取りの不安要素は、人の欲望の未熟さ故と、俯瞰する植物は語る。
むしろ、暗黒の時代はかの王が統べていた頃は却って統率が取れていたことは口にせず。
「……私が、貴殿をこの街にご招待したのは、単純にこの街が魔族の代表と幻想を抱いているわけではありません。
魔族にも、下賤の輩は数多くいる。それこそ、植物の滋養にもならぬ下衆の類が。
ですが、この街はルールを理解したならば比較的治安が良く、人の世から足を踏み出すには丁度良い橋頭保であると判断してのことです。
……貴殿の表情の変化から、必ずしも楽観的ではないと伺えて幸いです」
この街を理想郷とするわけではない。
だが、序列一位とその弟君、そして母の存在はそれだけで大きな庇護となる。
その中で、己の思惑を、欲を、真に評価されるべきものを人も魔も問わず高みに押し上げる狂気を孕んだまま、貴方を招いて。
「……食、ですか。なるほど。妹も、2月には様々なお菓子を振舞ってくれました。
この街ではどうしても色欲に偏りがちですし、我等も食事の概念が薄いので。
……確かにそれは、深い宿業の一つにも挙げられる。」
貴方の言葉に、岩のような顔立ちがきょとんとしたものに変わって、
静かに頷く。
まして竜肉。生態系の絶対強者を弱者が喰らうと言う摂理への冒涜。
それは植物系からすれば感銘にも近い提案でもあって。
「……サウロ殿。その話、一端十二区画に来ていただいた際に詳しく議論をさせていただければ。
最初から銘持ち、とまではいきませんが、サウロ殿ご自身が獲得する算段も含めて検討させていただければ」
いたく、欲望を刺激されたようでそんなことを提案しながら、
貴方と共に、ゆったりと中央エリアを歩んでいき―
■サウロ > (そんな大特権を得られる品とはつゆ知らず好い香りがするなぁと呑気に考えていた。
内容まで聞かされれば真顔になり、葛藤と困惑に数分程度唸っていたかもしれない。
さておき、祭、と改めて言い直されればかの淫魔の女王が言っていた内容を思い出し、じわりと眦が朱に色づく。
これでも、それなりに性について触れてきたが、奔放な性質に傾くことはない。
「魔族のセックスってどんな感じかすげー興味ある」と乗り気を見せる相棒と違って、確かに刺激が強いかもしれないと思っている。
祭りの当日は表に出ないようにします、と彼にも事前に伝えておいただろう。
歩きながら、購入した串焼きを恐る恐る一口齧る。
かり、としたよく焼いた鶏皮めいた触感に味わったことのないスパイスが味蕾を刺激して、噛みちぎる。
もきゅ…もきゅ…と何とも言えない触感ではあるが、食べられない味ではない。
何か似ている食材の味を思い出そうとしている傍らで、一応ちゃんと彼の話も聞いている。
知性を得た魔物。あるいは人間より多くの魔素を取り込むことが出来る器を持つ者。
頑健な肉体を持ち、長命であり、人間とは異なった外見を持つ者が多い。
人間は、異形を恐れるものだ。理解できないもの、悍ましい姿かたち、奇妙な存在。
それらに命の危機を覚え、拒絶し、否定し、悪とする。
"そんなものがあってはならない"――――自分たちが、安全に、平和に暮らす為に、悪しきものは排除する。)
「貴方の言う通り、すべての人間が清廉潔白である、とは言い切れないですね。
暗黒の時代から、王国のかじ取りは不安定な要素が多く、また多くの真実も闇に葬られた。
僕の先祖……アレグリアのように、人のために生きて戦った英雄さえ、なかったことにされる。
この街は確かに、絶対的な統治者たちの下で安寧を得て、平和に暮らしているように思えます。
けれど……」
(彼の言いたいことはわからなくもない。
一つの価値観で統治することが出来るという魔族の言葉も、"一部"であると思えるのだ。
この街は比較的、争いを拒み平穏に過ごしたいという者たちが集って、ナグアルという魔王の庇護の下で安寧を享受している。
けれどその外は――。
魔族は確かに統治できるが、すべての魔族が統治されているわけではない。
今もなお人間の国に侵攻し、人を殺して愉しむ魔族もいれば、人間に交じりながら王国で権力を得て欲望を満たしている悪魔もいる。
魔族の国、という広大な形態に対して、この大都市だけは特別なのだと思えるのだ。
だから、欲しかった答えとは、少しばかり違うだろう。
この都市に安住する魔族たちは、きっと人間の国と平和的な交流も持てるのではと、思いもするが。
定住を直接勧められているわけではないが、街を賛美する言葉に、サウロは曖昧な微笑を浮かべて濁す。)
「……傑物とは、高く評価されていますね。僕はまだ、何も成せていない、一介の騎士です。
欲……、定められた法律に縛られなければ、何をするか……?」
(考えたこともなかったと、自身の欲について難しい顔で考え込む。
うーん、とうなる表情は、心底難しいという様子だった。
あるとすれば……サウロの趣味である食欲、だが。)
「――――…食べたことのないものを、食べる?」
(竜肉とか? と、串をくるりと回しながら、ぽつりとつぶやいた。
魔物食は、したことがある。)
■タルフ > 「呪具、お守りの一つ程度にお考えくだされば。
かの宴……、祭と称されていますが、サウロ殿にはいささか刺激が強いかと。」
正確には、安らぎを覚えるポプリの中に同胞の種子を潜ませたもの。
その所有者は序列十二位のみが決めることはでき、
また、奪われた際にもその旨が一瞬で同胞に伝達し、
所有する者をどこまでもつけ狙い殲滅する。
此度のポプリは同胞の氏族七種より種子を集めた最上級の歓待。
それを与えられた貴方達は医療街に限っては統治者に匹敵する権限を持ち、
同時に、それを貴方から奪った者は決して殺されることなく、
未来永劫に苦痛を与えて弄ばれる宿業にある代物。
「魔族とは、ですか。
……聞けば人間は、魔族に対し、知性を得た魔物、程度の定義だとか。
それは我等植物系統には当てはまるかもしれませんが、他の魔族に適応するにはいささか浅慮と言わざるを得ません。」
串焼きを召し上がってもらいながら、ゆったりと街並みを歩みつつそんなことを言い、貴方を一瞥して。
「人間の定義に限らず、魔族は多様な種で構成されています。
にも関わらず、統治されている。それは一つの価値観に統合されているが故です。
対して人は、殊更大義名分にすがりつき、己を偽り、己の欲を偽り、
しかし欲望を満たそうとする。
故に他者の欲望の敬意を示すことなく糾弾する。非難する。
……貴殿のように、二本の足で真っ直ぐ立つ人間がどれだけいるのか。
そんな貴方にお伺いしますが、貴殿から見てこの街と、人間の王都。
どちらが安寧に満ちているとお考えですか?」
確かに統率する上位存在は存在する。だが一様に己の意志で従っている。
それは掲げられた欲望を、嘘偽りない在り方を良しとしているからだ。
「……一度序列二位の街を見るといいでしょう。
あそこの統治者はとても粗暴で、野蛮で、品性もなく、ただ力があるのみの下賤の輩です。
ですが、彼は、嘘を吐かない。あるがままに生きている。
拳を、角を研ぎ澄ませ、絶対の力を掲げている。
そんな蛮族でさえ、この街のルールに従っているのです。
人間の貴方からすれば、野蛮と思えるかもしれない。
けれど、この街には確かに、良しとして住んでいる魔族も、人さえもいるのです。」
まるでこの街の案内と共に魅力を伝えるかのような物言いで語り掛ける。
まるで、貴方へこの街に定住を提案するような口ぶりで。
「……そうですね。まずは、人間の中の可能性の一つを、
傑物に至る可能性を持つ貴方を観察させていただければ、私はこの上ない利益となりましょう。
ですから、貴方の欲を……、言い方を変えれば、法律に縛られなければ何をしたいかを見せていただければ。」
微笑を構築する。そんな感情に連動した機能は寄生した体にはない。
だが、彼には見せるべき心境の変化で、貴殿に敬意を示すようにそう告げて。
■サウロ > (宴……? と聞きなれない単語に首を傾げる。
それは週に一度開かれるナグアル祭とは違うものなのだろうかという疑問。
わざわざ迎えに来てくれた彼の言葉も、いくつか引っかかる部分はある。
しかしその引っかかりを口にすることはなく、差し出された香り袋を受け取った。
これが何を意味するかは分からないが、現状において騙したり陥れる為に渡してきたということは、
おそらくないだろうと判断し、ポーチの中へとしまう。
この街に来て、人の話を聞いているが、やはり出て来るのは『欲望』という単語。
欲望――。あらゆる欲が生きとし生ける者、みな持っているものだろう。
この大都市の二つ名。欲望の街。
その意味をまだ正しく理解しきれていないのは、訪れて日が浅いからだ。
得られた情報と、滔々と語る彼の言葉を聞きながら、広がる市場を眺める。
絶対的な力を持つ統治者が十二人、それぞれの区域を管理して、街を運営していると。
おそらくは人間社会でいう魔王級の魔族も含まれるのだろう。
この都市が外敵に襲われる、という心配はないというのは分かったが、
十二人もいて仲違いを起こさないものなのかというのも、疑問の一つではあった。
以前遭遇したネクロマリアという淫魔の女王の雰囲気を鑑みるに、不思議な秩序がこの都市にはあると思える。)
「個人的な所感ではありますが、魔族とはいったい何なのか……ということを、改めて考えさせられます」
(人の国に魔族が侵攻を始めて、マグメール王国は断固として屈せず日々魔族討伐を掲げ、
戦場に兵士や騎士を送り続けている。
現状においてマグメール王国の秩序は乱れ切っている。腐敗が止まらず、王侯貴族の中に魔族の侵入支配を許し、
新たな王が即位することもなく、諸王の一族たちが牽制しあっている。
そうして敵対する魔族を悪として教わり、敵対してきた歴史があるからこそ、
こうした平和と秩序を維持する景色には、根本から思考を更新せざるを得ない。
見て、聞いて、感じて、考える。
この旅はきっと、自身の知識をより深めてくれるだろうと考えているが。)
「……ありがとうございます。
僕も、貴方に協力できることがあれば力になります」
(いろいろと解決したいことは多いが――、一先ずは彼の瞳をまっすぐ見据えて礼を告げた。
同時に、何か知りたいこと、手伝えることがあるのであれば、同じように力になることを伝えて。)
■タルフ > 「いえ。貴殿の祖たるアレグリア殿の在り方に比ぶればこの程度のこと些事でありましょう。
近く”宴”を開かれることに、普通の人間であれば困惑も伴うかと思い、
お迎えに上がった次第です。
……医療街は皆植物魔族、一様に意を同にする者。
連絡なく訪れていただいても貴殿であればどの住民も貴方を労い案内してくれるでしょうが、
聞くに及ぶご同輩についてはその範疇にない為、良ければこちらをお持ちいただければ。」
フードを外して、それに屋台へ邪魔とならぬよう身を外す所作の良さ。
これはこの街にあってもならず者達には伴わぬ者、そして道端で店を開く者にも敬意を見せる仕草に頷きながら。
……極論、彼のような慮る者が人間の水準であれば滅ぼす必要もない。
この街にあって、秘かに、人類の文明そのものさえ駆逐すべきと考える男は、
品行方正足る貴方を見据えて、二袋のポプリを差し出して。
「代わりはありませんよ。この街のルールはただ一つ。
欲望をより見出すかどうかです。
しかし、人間の街と同様に、魔族基準の街でもあります。
……それは、生物の生存本能にまつわる仕方のないことなのでしょう。」
人間の感覚と違う。それは生物として当然のことだろうと、植物は語る。
変温と常温。爬虫類と哺乳類は言葉を交わせるからと言って
共に生活するには数々の障害があるのと同じ。
だから、それはお互い様なのだと思うところを、遠慮深さに配慮を見出して。
「この街は絶対の統治者が12名います。
正確にはそれ以上の、特記戦力たる更に上位の方も存在します。
故に、平和が確約されているのです。
だからこそ、論理的な欲望を紡ぐこともでき、故にこそ、
市場も良く発展し、様々なものの取引が行きかいます。」
人の世よりも、ともすれば統治され、治安が維持されているのだという。
その根源は欲望。暴流が如き強欲を御する者達によって
確かな流れを持った秩序として成立している。
およそ人の理とは違う静寂があるのだと告げて。
「……ここでは、貴殿の求める”解決策”も、ともすれば手に入るかもしれませんね」
と告げる。
助けとなる。そう約束した。だから、魔族の国にまで足を踏み入れた事情も慮るのだと。
■サウロ > 「……!
タルフ殿。お久しぶりです」
(不意に背後から声を掛けられれば振り向いた。
そこにはタナール砦で出会い、先祖の縁故によってナグアルへの滞在許可証をサウロに与えた魔族の一人。
訪れたはいいもののどう連絡を取るべきかも悩んでいたこともあり、
まずは中央エリアで都市の空気になじんで、情報を得てから訪ねようかと思っていた。
フードを下ろせば、さらりとした金糸の髪が夜風に揺れ、碧の双眸が彼を見据える。
屋台の前から少し場所をずらして、改めて向き直り。)
「ええ。この度は貴重な機会を頂けたことに感謝します。
……お招きいただけるのであれば、ありがたいですが」
(今は安息の宿に部屋をとっていることと、今日は相棒と別行動をしていることを伝えてから、顎に手を当てる。
十二区画は『医療街』と呼ばれており、医術や魔術の研究所があると聞いている。
そこの統括者である彼に聞きたいこともあったため、彼の管理・支配する区画に招かれるのであれば否やはない。
なので、移動はおそらく近いうちに、訪ねることになるだろう。
それとは別に、同行したいという申し出には数度目を瞬かせてから、微笑を浮かべて頷く。)
「こちらも、貴方に付き添って頂けるのであれば助かります。
やはり人間の感覚と違う部分も多くて……。
生物、……ええと、僕の嗜好の範囲でいいのであれば」
(彼についても、あの砦で交わした会話がある程度。
改めて、彼に関しても知見を得られればという気持ちはあり、否定はしない。
それに彼が有する知識も、自分にとっては学びになるものだ。
まずは、味に関しても遜色ないというその串焼きを購入してみることにした。)
「この市場は広くて、本当になんでも揃いますね。
人間の国では見かけないものも多くあるので、興味が尽きません」
■タルフ > 「それは、情報によれば、人間が食してもそん色なく、
また、味覚にも適した嗜好品と言えるものです。召し上がっても問題ないかと。」
ふと、背後から声をかける。
振り向けば、いつぞやタナール砦にて邂逅した男、の姿をした魔族。
貴方へ招待状を示した序列の末端が気配も前触れもなく、後ろ手に直立不動の姿勢でそこに佇んで。
「お久しぶりです。聞けば、ご同輩と共に来ていただけたとか。」
露店の主、魔族の前だと言うのに街で最も異質とも言える序列の一角が
人間へ深く頭を下げて礼儀を示す。
元より人の、魔族の礼儀作法を尊重することのない植物系魔族。
必要だから、もしくは、敬意を示す必要がある者にのみその仕草を
相手の作法に倣い示すのみの存在が貴方を仰ぎ見る。
「来て早々にネクロマリア様とご邂逅なさったとか。
……よろしければ、ここより先は十二区画の客人として、
貴方とご同輩を迎えたく思うのです、が」
頭を上げて、それから街並みを見渡し、
「貴殿が物見遊山の最中である、というのならば、同席を許していただきたくも思います。
生物の、趣味嗜好と言うものがいまいちわからないもので、
良ければこちらの勉学の一助となっていただければ」
かつて、貴方の先祖が人の世に潜む魔族の隠れ里を単身で守り抜いた、
その在り方が紡いだ縁の元に、そんなことを告げて。
ご案内:「魔族の国・欲望の街『ナグアル』◆中央エリア」にタルフさんが現れました。
■サウロ > (魔族の国ナグアルに踏み入って数日――。
欲望を解放するナグアル祭とやらにはまだ遭遇していないが、拠点にしている安息の宿の従業員曰くそろそろだという。
共にやってきたミレー族の相棒は興味津々な様子ではあるが、一先ずは共に行動しつつ、
今日は別行動をとって各々の目的を果たす為に動き出した。
――夜。大きな月が空にかかり、総合市場でも魔族の国ならではの変わった形状の街灯に灯がつき、明るく夜道を照らしている。
折りたたんだ手書きの地図を持ち歩きながらマッピングを進めつつ、今日は総合市場を中心に見て回っている。
物品食品嗜好品、あらゆるものが流通する場。探し物をするならここにだいたい集まると聞いた。
目的としては、人間の国からの流通品の中に、マグメールでは禁書になるような内容の手記や書物。
あるいは魔族の国ならではの珍しい品があれば、興味を惹かれたかもしれない。)
「…………」
(フードを目深に被って、なるべく目立たぬように行動はしているが。
匂いや気配、魔力の質などを視れる魔族が多い中では、人間だと知られているだろう。
人間の旅人なんて珍しいなあ、と歓迎する友好的な魔族もいれば、旅人と知らず奴隷が脱走したと難癖をつけて来る魔族もいた。
そこは人間社会とそう変わらないから、言葉を交わし、通じなければ出来るだけ逃げに徹するようにしている。
ともあれ、そんな風に市場を歩きながら、一つの屋台の前で腕を組んでいた。
難しい顔をして、じゅうじゅう、と音を立てて焼かれている得体のしれない焼き串を見ている。
明らかに、こう、四つ足の爬虫類めいた黒い物体……何を焼いているのか、それは美味しいのか、
ちょっと目的とずれた魔族の国の屋台飯に、買うかどうかを悩んでいる顔だった。
これを食べて大丈夫か?という顔である。)
ご案内:「魔族の国・欲望の街『ナグアル』◆中央エリア」にサウロさんが現れました。