2024/08/12 のログ
■羅獄 > 「其れで勝ったとて、面白みも無かろうに。
強がるのなら、先ずは万全でわしに勝ててからじゃの。」
森の中、先刻の返事だとばかりに雌鬼へと言葉を投げる
蹴り飛ばした機械人形は、流石にもう稼働停止したのであろう
此処まで追いかけてくる様子は、如何やら無さそうであった
暫しして、小さいが澄んだ泉を見つけ、其のほとりに歩み寄る
平たい岩の上に雌鬼を寝かせれば、大瓢箪の蓋を開ける
熱毒で死ぬ事は無くとも、毒を受けた状態で散々に動き回ったのだ
完全に解毒が進む迄は、本調子とはならぬであろうし
傷が癒えても、失った血は、また別だ
「今更かも知れんが、ほれ、腹を出せ。」
細かい傷は置いておいて、腹の傷は多少なりと深かろう
其の上に、瓢箪の酒精を浴びせれば、傷を洗い流さんと
固まった血が洗い流された下、もし、既に傷が固まって居るならば、それで良し
適当に泉で洗い流せば良いのだ
■宿儺姫 >
万全で勝ててから。
ご尤もだ。次は殴り倒す。
助けられたのは釈然をしないが。
そんなこんなでたどり着いたのは済んだ泉。
平らな岩肌に見を寝倒し、深く深く、息を吐いた。
鬼の肉体を蝕んだ熱毒も、人に比べれば圧倒的に強い自浄作用により解毒されつつある。
が、今しばらくその影響は残るか。鬼とて飲み過ぎれば酔い潰れることにもよく似る。
一方で、肋を断ち腹の深くまで刃を潜り込ませた筈の傷は、血を拭えば既に傷は塞がり血も止まっている。
人間から見れば驚異的な回復力を言わざるを得ない。
「この程度の傷、なんてこともないわ。
火竜の萼に食いちぎられそうになったことに比べれば浅いも良いところ、よ……」
気を入れ、上半身を起こす。
傷は問題ない…とはいえ、自身のものも含めあちこちが血で汚れている。
泉が近くにあったのは行幸だった。
■羅獄 > 「ぬしじゃって、そんな状態よりも力一杯ぶん殴りたいであろ。
傍から見ておったら、思い切りふらふらして居るからのう。」
傷を洗った後で、大瓢箪を雌鬼へと放った
気付けじゃ、と、酒精を煽る様に促してから、その辺の岩の上へと腰を下ろした
助け出した、が、別に甲斐甲斐しく世話をする心算は無い
第一、其れこそ雌鬼にとっては腹立たしいであろう
己の方はと言えば、別段観客として眺めて居ただけで、何ともない
飽き飽きしていた見世物の中で、雌鬼の喧嘩を見れたのは幸いで
「火竜に迄喧嘩を売ったのか、そこいらの雄鬼も真っ青だのう。
ちぎられ掛けた、と言う事は、逆に縊り殺せたのかの?」
雌鬼の経験を、愉快そうに問いながら、地面に落ちていた石を拾う
其れを、頭上見上げ、木の枝めがけてぶん投げれば
――少し間をおいて、ぶち折られた枝ごと落ちて来た何かの果実
其れをもいで、がりがりと齧りついてみる。
桃に似た味で、己は割合好みで在るもの。 何と言う名の実なのかは、生憎知らぬのだが
■宿儺姫 >
「さて、不十分とて挑まれれば迎え撃つがのう。
お主にその気がないのであれば、その通りでもあるな」
投げ渡された酒瓶をがぶがぶと呷る。
げふ、と豪快に飲み漁れば、酒瓶を投げ返す。
ようやく地に足がつくか、と立ち上がれば、ごきりと首を鳴らす。
「九頭龍の山にはちらほら竜の巣があってな。良い退屈しのぎになる。
呵々、逆に顎を引き裂いてやったわ」
ドラゴンの口、牙からも生還するどころか顎を砕き引き裂いたとのたまう。
竜殺し程度茶飯事。むしろよき相手だと言わんばかりに。
赤黒く血に染まった襤褸を脱ぎ捨て、泉へ向かう。
雄の前に裸身を晒すことに抵抗も羞恥もないのは鬼の倫理か、色香には欠けるが。
■羅獄 > 「わしとて、生肉だろうと旨く喰らうがの
料理して美味いなら、その方が良いからのう。」
味わい方が選べるのなら、より美味く喰らいたい、と言う単純思考
投げ返された大瓢箪を受け取れば、己も景気づけにまた酒精を流し込み
美味そうに一息零した
泉へと身を沈めて行く雌鬼を、其の裸身を堂々と眺め見ながら
ある意味で極まった、其の肉体美に帯びる笑み
肉の柔らかい、女らしい女とは異なる、鋼の如き仕上がった肉体
其の上で、雌である事から逃れられぬ丸みを残して居るのは
雌鬼にとっては、もしかすれば、如何にも不満が残る所なのだろうか
「くはは! 其の調子で駆られる竜もたまった物では無かろうなぁ。
なんだ、わしもやるべきか。 ぬしに次いで喧嘩を売りに行ったら、絶滅しかねんかのう。」
自らも、羽織を肩から外して、岩に掛ける
先刻から好き放題に飲んでいる大瓢箪の中身が一向に無くならぬのは
以前、最後に飲み交わした時、既に気付かれて居るだろうか
泉は澄んでおり、森の奥地であるからか、季節にしては冷えている
熱毒に苛まれる身体を冷やすには、丁度良かろう
奥に進めば思うよりも深く、雌鬼であれば、肩までは浸かれるだろう
――其の、後で。 ざばり、水を掻き分ける音が、雌鬼の後ろで響く。
其れが、雄鬼もまた、泉へと入り込んで来た物だとは、直ぐに知れる筈か。
■宿儺姫 >
「絶えるのであれば摂理。弱肉強食の結果じゃろう。
我とて縊り殺すだけではない。余すことなく肉も喰らい、糧とする」
言葉を返しながら、血に汚れた身を流す。
傷も塞がり薄く皮膜が張る、損傷跡。
数日もすれば傷跡すら解らなくなるだろう。
苦戦はしたが己が肉体に傷痕を残す程の強敵でもなかったと言える。
冷たい水が熱をもった肉体を冷ましてゆく。それは心地よくもあり。
腰の下までを泉に沈め、概ね汚れは落ちたかと振り向けば、
そこには同じく泉に入り込んだ雄の鬼の姿が在るか。
■羅獄 > 「それはそうだの、嫌なら住処を変えて隠れ住めば良い。
……竜にも、意地と矜持が在るやも知れんが。」
其れもせず、ただ死を待つのみで在れば絶えて然るべき
或いは、矜持と共に滅するのか、其の辺りは向こうの都合で在ろうが
既に傷だけならば癒えて居る辺り、頑健な鬼らしい所
大きく動けばまた開くやも知れぬが、其れももう少し経てば、問題にならぬ
此方に気付いた雌鬼が、此方を振り返ったなら、その前に佇む
顔色を覗き込み、熱毒の影響も大分薄れて来たと判れば
良き、とひとつ、呟いて
「なら、襲うには十分かのう?」
(言う。 戯言めいて。
そうして、不意に雌鬼の前で、両掌を向け、掲げて見せるのだ
殴り合いで暴れるのではない、単純なる力比べ。
手を組み、腕っぷしのみで張り合い、組み伏せられた方が負け
――泉の中であれば、まだ僅かに残る熱毒も冷やされ、些細な問題であろう
問題は――まるで、腕試しだとでも言う様に、雌鬼を子ども扱いして居る様に聞こえる所、か)。
■宿儺姫 >
「ほう」
襲うには十分か、などというのたまい。
良くぞ言うたもの、と笑みを浮かべる女鬼。
掲げられる両手に手四つで張り合う力比べ──なぞ、温い。
水の跳ねる音が響く。
跳ね上げられたのは、その彫り深く引き締まった剛脚。
靭やかな肢体から繰り出される蹴りが雄鬼の顎先目掛けて放たれる。
力比べに興じようという遊び心がないわけでもない。
しかし眼の前の雄は完敗を喫した相手でもある。
挑まれるのならば猛り応えるのがこの戦鬼の気性であった。
■羅獄 > 「―――おっと?」
生憎ながら、振られて仕舞った――代わりに、襲い来るのは剛脚
至近距離での蹴りの精度は、雌鬼が得意とする所なのだろう
腕よりも余程馬力を生む脚での一撃は、幾ら己とは言え、無防備に直撃すれば頭も揺れよう
――無防備に蹴られてやる理由も、無いのだが
片腕で、蹴りを受け止め、勢いを殺す
踏ん張って居る体制では無いため、僅かにぐらりと体躯が傾いだ、が
鮮烈な宣戦布告、其れに笑みを深くしては、返す刀で雌鬼の顔面に拳を振るう
女は殴らぬなどと言う、生易しさがある筈もない
此処まで自らを鍛え上げ、挑もうと言う雌鬼に対して、其れは失礼極まりなかろう
「仕掛けたのがぬしなら、遠慮は要らんのう…!」
同時に、蹴り脚の足首を掴むのを、卑怯、等とは言われぬ筈だ
■宿儺姫 >
オーク戦士の堅牢な胸骨を砕き、魔導人形の胴を一撃で破断させた蹴り──ではあったが。
この雄鬼は悠然とそれを受け止める。
片腕一つ叩き折ることも叶わぬかと、その剛腕ぶりにぞくりと沸き立つものを感じる。
「──ぐ、はッ」
振り下ろされた拳が女鬼の顔面を捉え、切れた唇から鮮血が舞う。
一撃の威力を物語る様に捩じ切れんばかりとなった頸をなんとか留めれば、
由来だ身体を繋ぎ止めるものがあり──。
細く引き締まった己の蹴り足の足頚を掴まれたことに気づく───。
■羅獄 > 「折角の泉じゃ、水浴びも楽しむが良し…!」
にぃ、と、告げて、蹴り脚を掴んだ儘、雌鬼の身体を、水面へと向けてぶん投げる
叩き付ける様に振り回せば、盛大に水飛沫も上がる事になろう
水が衝撃を和らげる故に、別段痛い訳では無かろうが――
「そうれ、逃れて見よ。 逃れなくば、息も継げぬぞ?」
――其の儘、連続して女を水に叩き付けて行かんとする
水の中に沈み、引き上げられ、再び沈みを繰り返せば
何を言わんとも、呼吸がままならぬであろうか
肉体を苛め抜かずとも、そうやって責め立てる事は出来る
其れよりも――目方の重い雌鬼の身体を、児戯の如くに振り回す
其の剛力さの方は、矢張り、尋常で無いと感じられようが
■宿儺姫 >
「───!!」
文字通りに、軽々と枯れ枝を振り回すが如く。
盛大に泉へと叩きつけられ、引き上げられるを繰り返す。
頑丈な鬼の足頚でなければ簡単にへし折れていただろう。
───蹴り足を捕まれていてはさしもの女鬼もそれに抗うのは難しい。
文字通り、手も足も出る。
で、あれば。
「ッ、調子に…!!!」
ギリ、と牙をを喰い締め、怒りの形相。
女鬼の堅牢なる腹筋がぎちりと締まり、次の瞬間。
「■■■■■■───!!!!!」
体内に在る僅かな空気を圧縮し吐き出す、鬼の咆哮。
辺りに野生の魔物でもあれば一目散逃げ去るだろう吠え声。
音の圧は震動すら感じさせ、泉を波立たせる───。
雄鬼が僅かにでも怯む様子を見せればその隙逃さず、その手より逃れ、即座に握り込んだ拳にて返礼とばかりに顔面に拳を見舞う──!!
■羅獄 > 「くはは、さて、どうする宿儺の姫よ…!」
其の遠心力だけで、膂力無き者は抜け出す事も適わぬ罠
水に叩き付けられる事で、屈辱と共に、精神的にも追い詰める責め方は
かつて、己に襲い掛かった暗殺者を返り討ちにした際の拷問だ
ただ、今は其の意図が無い故に、只の児戯に等しい物
雌鬼が、どう打開して見せるかを愉しんですら居るのだろう
――刹那、様子が変わる。 蹴りや拳での反撃は想定して居たが、成程
音、雌鬼自身の肺腑から放たれる裂帛の声が、直撃する
身体に痛みを与える物でも、己が気圧される物でも無い
だが、其の一瞬、強烈な音で聴覚を持って行かれ、感覚が狂う
三半規管が一時的に揺れ、ぐら、と僅かにたたらを踏んだその合間に
――叩き込まれる、鋼の拳。 竜をも屠る、剛拳の一撃。
雌鬼の拳には、マトモに入った手応えが伝う筈だ
首から頭が生き別れとなり、何処かへ飛んで行きかねぬ鬼の膂力
だが、一度泉に沈んだ其の後で。 再び、身体を起こせば。
僅かに、血を滲ませる口端に弧を描き
「……やはり、ぬしは極上の馳走じゃよ。」
右拳が握り込まれた。 先刻と同じ、拳による一撃の御返し。
だが、先刻と違うのは、其の矛先。 顔面では無く、腹。
傷がようやく癒えたばかり、他に比べ、僅かでは在ろうが、筋の薄い其の場所を狙い
拳を、抉り込ませようと振るわん
■宿儺姫 >
手応えアリ。
籠めた力も十二分。
万全かと云われれば万全ではないにしろ、それでも岩盤を砕く程の威力はあろう。
「さしもの貴様も鼓膜までは筋肉で出来てはおらぬか──」
巨躯の雄が泉に倒れ沈む様子を見やれば、一息。
確かに残る拳骨の感触に、ある種勝ち誇った笑みを浮かべていた──が。
悠然と身を起こす雄鬼。
なるほど、この程度では殴られ足りぬ。
再び拳を見舞ってやろうと右の拳を握り込み。
先の一撃以上の力が籠められていることを、その肩と二の腕の筋の隆起具合が物語る。
しかし渾身の一撃を見舞う以上は力を込める、そこに時差が生じ──…。
「───ぐ……!!?」
それよりも疾く。雄鬼の拳が、女鬼の腹へと深々と突き刺さる。
その剛腕の手首までが埋まり込む程に捩じ込まれた拳は臓腑を圧し潰し──。
めきっ、ごき、ぼきんっ
貫通する程の衝撃が、その背に在る支柱で在る強固な背骨にまで亀裂を走らせて。
「…ッご…! お゛ぇ…ッッ」
さしもの女鬼もそれ程の一撃に貫かれた経験はない。
大方、鋼の如き腹筋が跳ね返し、時に貫かれたとしても靭やかな筋繊維は大幅にその衝撃を吸収する。
背から抜ける程の一撃…流石に耐えかね、吐瀉を泉に履き零しながら、己が腹を穿った雄鬼の巨腕に身を預けるかのように、崩折れた。
■羅獄 > 剛力に対する剛力、如何に鍛えられようとも
雄と雌の、骨格、体格、その差には如実に違いが生まれる
雌鬼の拳が叩き込まれても、意識を飛ばさぬ雄鬼が、その差の例であろう
だが、雌鬼にとって得られた物は、その差だけでは在るまい
其の瞬間確かに、其の右拳に込められて居た物は
この鬼が、鬼である事を示す――暴力、其の物
力任せに振るうだけではない、真っ直ぐに突き出した一撃が、骨をも砕く
闘技場で負った傷よりも、遥かに深い傷を、破壊を齎せば
――立って居る事など、出来はしないであろう
「……胴体が生き別れするかと思うたが、思うより頑丈だのう、ぬし。
良い一撃を貰って、つい、力を込め過ぎてしもたわ。」
雌鬼の体躯を抱き支えながら、先刻喰らった頬をさする
顎の噛み合わせを確かめつつ、口端に伝う血を拭い落とせば
折角言えたと言うのに、一層重傷となって仕舞った雌を抱き上げ
泉の傍、先刻の岩上へと運ぶだろう
其の後は、さしもの雄鬼も大人しくして居る
動寝ぬ雌鬼の傍へと座り込み、勝手にしゃべり、勝手に酒を飲み
相手が起き上がれるようになるまでは、暇をあかさぬように
そうして、其の後は。 また、酒を飲みながら、喧嘩について言葉を交わす筈だ――
ご案内:「奴隷闘技場(過激描写注意」から宿儺姫さんが去りました。
ご案内:「奴隷闘技場(過激描写注意」から羅獄さんが去りました。