2023/09/15 のログ
ご案内:「魔族の国・湖畔(過激描写注意)」にアクラさんが現れました。
■アクラ > 魔族の国には変わった魚が居る
性格は凶暴そのもの、しかしその身は普通の魚と比べるまでもない
そんな噂を聞いて珍しく魔族の国までやってきたアクラは今まさに水中から獲物と共に陸地へと這い上がってきた
「べっ!…ぺっ、魚の癖に手古摺らせてくれたなぁ」
喉の鰓を人間らしいそれに戻し仕留めた巨大魚を水中から引き上げる
2mと少しの立派な牙が並ぶ魚、目玉から頭の中を潰したそれはまだ少し痙攣している
でっぷりとした身は食べ応えが有りそうで今ここでかぶりついてしまいたい
「むぅ…こんなに立派だと焼いたほうがうまいのか?」
生のまま全部行くか…悩む
ふと視線を傾ければ少し離れた所に珍しい種族を見かける
魔族ではなく確か鬼とか言う種族、彼女も魚狙いかと思うと先に大物を仕留めたのは何となく嬉しく感じてしまう
■天ツ鬼 >
ざぷ、という水音
それに続き、さらに大きな音
「む…?」
月明かりに照らされる下、視線を巡らせると…
白髪の少女、そして引き上げられた巨大な魚の姿が視界に入る
かなりの大物、なんだでかい魚、おるではないか、と
丁度、視線を傾けた少女…アクラと隻眼の鬼の視線が交差する
「ほほう見事な。この湖畔にそのような大物がおったとは」
何、魔族の国ゆえどんな魚がいようとおかしくはないのだが
然程腹が減っているわけではないとはいえ、そのサイズの魚を見るとほう、と感嘆の吐息が漏れる
どれどれどんなモノか、そしてそれを仕留めたのはどのような者かと
ざぷざぷ、水音を立て歩み寄っていく隻腕の鬼
裸身であるが、さしてそれを気にする様子もなく
■アクラ > 「ふふん、そうだろう。深い所を似た奴等が泳いでたがこいつは一際大きかったぞ。」
見事と言われれば勿論悪い気はしない
自慢げに見つけた時の様子を話す姿は子供のそれ
「む、お前腕が片方無いのか。不便そうだな、誰かに切られたか何かに食われたか?」
鬼がこちらへ近づいてくる
よくよく見れば有るべき場所のパーツが足りていない
つい最近切られた様子でもないのは分かる
近付かれる事に警戒した様子はないが魚に手を伸ばせば思わずグルルと喉が鳴るかもしれない
■天ツ鬼 >
「ほうほう、なるほど足の立つ範囲にはおらんかったか。
まぁ、そのナリで浅瀬にはおるまいな」
その魚の巨体を眺め、合点がいくといった様子の語り口
そして、他人の獲物を横取りしようなどという腹などはなく、湖からざぷりと身を乗り上げれば立ち止まり
隻腕について尋ねられれば自らの、二の腕から先がなくなっている右腕に視線を流す
「──ああ、もう随分前に失くしたな。
不便は不便だが最早慣れた。そうじゃな、これは──うむ、とある強敵に喰われた」
涼しい顔でそう答える
派手にぶった切られた程度ならば鬼の回復力ならばくっつけておけば治るというもの
完全に消失してしまったとなれば、相応の出来事があり──
「して、これから晩餐か。こいつは喰いでがありそうじゃな。……で」
少女の姿をした…さて魔族か魔物か
鋭い眼光を宿した、隻眼の視線を少女に向けて
「魔族か、はたまた魔物か。この巨体を仕留めたとあらば相応の力を持っているな?」
強者とみれば見境のない、鬼の悪癖が現れはじめる
■アクラ > 「深く潜らないと殆ど居なかったぞ。
これ位のでかいのだと殆ど底辺りだったしな。」
強敵に喰われたという右腕
そうか鬼もやはり食われるのかと改めて自然の摂理を学ぶ
鬼の腕とはどんな味なのか…とも
「そうだぞ。
美味い魚が魔族の国に居ると聞いてな、態々ここまで来たんだ。
魚は分けないし邪魔するなら残った腕も食ってやるぞ?」
ガルル…と口を開く
殺気には敏感なアクラはこちらを見据える視線に反応する
人間と違い魔族に近いかそれを超える強さの種族と好んで戦う気はない
ただ威圧され、襲われれば鳴いて逃げ出す程大人しくもない
■天ツ鬼 >
「わざわざ来た?魔族ではないのか」
そうなると人か…
しかし人ならば、その匂いがする
天ツ鬼もまた人喰いの鬼であるゆえ、それが理解る
…人間の、趣向を凝らした肉料理に比べれば味が落ちるため、最近は好んで喰ったりもしないが
「呵呵、他人の獲物を横取りしたりするものか」
牙を剥く様子に嗤い、しかし視線は…思わずその様子に釘付けとなる
「──しかし儂の身体に貴様のその牙が通るか…ということには興味津々じゃ」
残った腕を喰らってやると牙をを見せる少女に、再び一歩
一糸纏わぬ姿に武器を帯びている様子はない
しかし鬼の膂力を存分に宿した肉体はそれそのものが武器──その武器を果たして喰らうことが出来るのかと
「故に…邪魔させてもらおう!」
戦ってみたくて性がない
鬼もまた牙を見せ、嗤いながら左腕を振り上げ、その五指の鋭い爪を鈍く光らせる
そのまま、掻き裂くように、振り下ろす───直線軌道、単純な攻撃
力と速度はあれど真っ直ぐな───まぁ、この鬼は常々そうなのだが、そんな一撃で、楔を切るか
■アクラ > 「私は自分の種族なんて知らん。」
気になる事もあったが今ではどうでもいい事
自分が何なのかよりも今日の美味しい食事の方が気になる
ただ、これだけは言える
人や魔族何に近いのかと言われれば…
「横取りしないのになんで邪魔する!」
振り下ろされる鬼の爪
その一撃を防ぐ様に腕を振り上げる
鍛え抜かれ種族的優位性もないただの人の肉なら腕ごと切り裂かれて終わるだろう
鬼の爪とアクラの腕がぶつかった時、周囲には武器同士を打ち合わせた様な音が響く
例えるなら岩で出来た蜥蜴の腕
肩から異形に変わったアクラの腕は爪の一撃を鱗への傷までで受け止めた
「魔法も使ってないのに痛い…鬼は皆こうなのか!」
横凪ぎに腕を振るう、幻影の類ではない物質的な質量を持った反撃
ご案内:「魔族の国・湖畔(過激描写注意)」からアクラさんが去りました。
■天ツ鬼 >
自らの種を知らぬと言う
成程、それはそれで良い
自身の出自を知らず、それに興味をなくす者もいるだろうと
さて、しかしその問答については今は鬼の眼中には最早在らず
振り下ろした荒ぶる鬼の爪
それが少女の腕を捉えた瞬間、返ってきた感触、そして音たるや
「───ほう」
嬉しげに鬼が嗤う
やはりただの少女には非ず
自身の一撃を受けるだけでなく、さしたる損傷を見せることもない…強者たりえる証左だ
「なぜ邪魔をするか?呵呵、そうすれば貴様が儂と戦わざるを得ぬからじゃな!」
逃げるなら追うつもりもなかったが、眼前の少女は反撃を行おうとしている
その様子をしっかりと見たにも関わらず、鬼は攻撃を避けようともしない、更に腕を振り上げ…
ゴッッ───
鈍い音と共に、先に届いたアクラの横薙ぎをその横腹に受け、少々の距離を鬼は土煙を上げ、その体がズレる
打ち据えたアクラの腕には、何か重い丸太でも殴って動かしたかのような感覚を返し、鬼の目方が常人ならざるものであることを伝えて
「うむっ…その腕、なかなかに強固な…!」
びりびりと体幹に来る痺れ、あの巨大魚を仕留めたことを考えればその程度でもなさそうだと
わざと受けてその力を確かめた…ようにも見える鬼ではあるが…元より防御をしない性分なだけであった
ご案内:「魔族の国・湖畔(過激描写注意)」にアクラさんが現れました。
■アクラ > 「戦わざる…さてはお前戦闘狂と言う奴か!」
振り払った腕の感触は最悪と言える
今殴ったのは人型の生物である筈
なのにその感触は金属の塊に近い、生き物というより岩や鉱石の魔物だ
「素の体全体が生き物らしくないお前が言うか。
これは私の知る形でも一番の硬さのものなんだぞ…」
剣や鈍器、魔法ですらこの形の腕を傷つける相手は少ない
それを素手の爪で傷つけられればどれだけ相手の体も異常かよくわかる
「だが、まぁなんとかしよう。」
両方の腕を異形の剛腕に揃え、掴みかかる
相手は隻腕だからと容赦する気は毛頭ない
狙うは右腕と顔面、あわよくばその指で目玉でも貫いてしまおうと
■天ツ鬼 >
肉体の頑強さと脅威のタフネスで以て攻撃を受け、反撃する
それが鬼の戦闘方法である───今回はやや位置を飛ばされた故に反撃まではできなかったが
「呵呵、儂をそう言う輩もおるな、それで結構!」
無論ダメージはあるものの、今は戦いへの意欲がそれを上回っている
戦闘狂…鬼としては当然の気性である、と本人は思っているのだが
そういえば此処で出会った同族は皆温厚だったなとも思ったりして
さてこの鬼、肉と骨で出来た生物には違いない
筋密度が高すぎる故に背丈は然程伸びず、目方も随分と重い
鋼の肉体は文字通り、少女の感じたそのものの感触をもった肉が相手というわけである
「ふふ、なんとかする手法があると?愉しみじゃな!!」
さて、この高揚を満たすことが出来るか、あるいは痛い目を見るか
どう転んでもまぁ構わぬと鬼は嗤うが、迫りくる剛腕の狙いには敏感に反応する
「はっ…残った眼まで差し出すのは儂とて惜しいな…!!」
掴みかかるその手、二の腕から先を亡くし隻腕となった右腕は、まぁ好きにさせてやろうと
左腕でもう片方、顔面を狙う剛腕に差し向け、捉える
抑え込めるか否か、力が籠もり、膂力の要となる腹と脚に力が漲る
並の巨獣と張れる程度の力は鬼にもある───このまま力勝負となるか否か
■アクラ > 「面倒臭い!」
戦い自体は嫌いではないがアクラのそれは食欲を満たすための狩りに近い
どうしても勝てない様な相手には挑むよりも逃げるを好む
ただ今回は楽しみにしていた大事な獲物がかかっているためそう簡単に逃げるわけにはいかない
「目玉まで硬い生き物なんて私は知らんからなぁ!」
異形の腕と鬼の腕がぶつかる
力が強化されているアクラとはいえ正面から力の化身である鬼と張り合う等そう長くできる筈もない
実際、つかみ合えば拮抗から劣勢に移るまでそう時間はかからない
だが…
「お前と力勝負は無理だ、けど私は真面に勝負しない!
べぁ…っ!!」
口を開き舌を見せる
ピンク色の柔らかな舌はそこから蜂の棘の様な見た目に代わり鬼の目に向けて突き出される
■天ツ鬼 >
「ククッ…!まぁそう言うな、強敵と出会えずして久しいのじゃ…っ!!」
ぐぐぐ…ッと更に力を増した鬼がこのまま異形の腕ごと圧し潰してやろうという気勢
ただの怪力、馬鹿力ではあるものの組み合ってしまえば分が悪い者が流石に多いか
しかし──
「無理と言わず本気を見せるがいいぞ…!それが全てではなかろう───うむ?」
べ、と舌を出す少女
劣勢ゆえの強がり、嘲りにも見える表情だった、が
瞬間、その舌の見た目が変化し、鋭い針へと姿を変える
無論、長く生きている鬼であってもそんなモノをお目にかかったことはない、故に
「っ、グ───!?」
残った隻眼を捉えられる
潰れてしまう程の損傷ではないだろうが、鬼の肉体の回復力を以てしてもすぐに視力が回復はしない
更に鍛えられぬ部位への一撃は確実に鬼に効果的な苦痛を与えたか、掴んだ手が緩み、大きな隙を晒す───
■アクラ > 「遊び以外で手を抜くなんてしない、お前みたいなのが相手なら尚更だ!」
必死に持ちこたえていた腕に込められた力が緩む
目が潰れなくても隙は生まれた
勝機が有るとすれば初見殺しが決まったここしかない
「ぬおおおおあああああぁぁ!!」」
鬼の左腕を両の手で掴み振り回し、そのまま思い切り水面や地面に何度も叩き付ける
幼い子供が癇癪で人形を振り回す様に
元より打撃がそこまでの有効打にはならない事は分かっている
振り回しや叩き付けによる衝撃で狙うわ臓物や脳
目玉と同じ、体の中身が鍛えて硬くなる生き物等アクラの知る限りでは存在しない
■天ツ鬼 >
「ぬ、ぅっ!?」
自身が振り回される感覚もまた、久しい
大人数人分はあろうかという鬼を振り回し、あちこちに叩きつける力…
そんな力との出会いに数瞬、悦んでは見たものの…
ドゴッッ ゴッ ベキッッ ゴシャッッ──
頑強な肉体なれど、何度もそんな力で叩きつけられれば流石に効く
そして何より、少女の狙い通り、柔らかな臓腑や脳が撹拌され、直接的な衝突以上のダメージを負ってしまう
「が、はッ……、ごほッッ」
ついには、打ち身と痣だらけとなった姿で、アクラの掴む鬼の左腕から抵抗の力が失せる、だろうか
油断したつもりもないが、なかなかの容赦のなさ。これは完敗か…と
■アクラ > 「むっ…!
や、やっと大人しくなった…」
何度叩き付けたのか、人や魔族相手なら肉塊になるか肩から先はどこかへ千切れ飛んでいる筈
未だ人の形を保っているのが恐怖でしかない
けれどそんな相手の手に籠もる力が弱まれば振り回す動きを止める
ぜぇ…はぁ…と呼吸は荒い、こんなにも激しい動きは久し振りだった
「おい鬼、どうせ生きてるだろうがここまでやれば十分だろ!
もう襲い掛かってこないか?こないよな!?」
威嚇の際は腕を食い千切ると脅したが、元々美味しい魚を食べに来ただけ
突発的な戦いにはなったが殺す気なんてものはない
地面に転がした鬼の腹辺りを近くにあった棒きれでつついてみる
■天ツ鬼 >
「ぐはーっ………さ、流石に効く……立てんぞ…」
隻腕では一片が足りぬ大の字となって地に背中を預け、
ぜーぜーと息を切らす鬼の姿。裸身である故、あまりにもあられもない姿ではあるが
「う、うむ…完敗じゃ……今宵はこれまで。
だがまた戦るぞ…ええと…名は? つ、つんつんするな…!」
鬼をある意味では力で打ち負かした少女に、その名を問う
圧縮ゴムのような固さの腹は肉の感触でこそあれど、つつかれるとやや響く…肉体が頑丈であっても別に痛くないわけではない
よい喧嘩相手になってくれそうな少女に名を問うも、果たして答えが帰ってくるのかどうか
■アクラ > 「普通は死んでる、と言うか殺す気でやったのだ。」
立ててたまるかとまでは言わない
問いかけておいてあれだが普通に話せているのがまた恐ろしさを助長する
「今宵はじゃない。
お前みたいなのに不意打ちなしでどうやって戦えというんだ。
名前はアクラ、普段は人間の王国近くに居るぞ。」
そう、今回勝てたのは完全な初見殺し
あぁいう形で奇襲ができると分かられてはその威力も半減以下
実際あのまま力勝負なんてしたら勝てる見込みはなかった
こんなつんつん効かないだろうと思いつつぺしぺしと棒で叩いてみる事にした
■天ツ鬼 >
少女の言葉通り、並の人間や魔族、魔物程度の耐久性、頑丈さであればもっと酷い有様、光景になっていただろう
さすがに掴まれていた左腕に強い気怠さは遺るし、それこそ肉体に残るモノも相当で…
同族の巨躯の雄鬼と正面から延々殴り合った後よりも正直ダメージが深かった
不意を打たれた不覚をとったが、さて…そもそもこの少女が最初から本気でこちらを殺す気であったなら、と思わぬでもない
「呵呵、我を殺せたらそれこそ褒章モノ…ぐむ、っ…まだ起きれんか」
頭の中がぐわぐわと揺れている
身体に力を込める先から霧散していく感覚に、やれやれと起きかけた身を再び寝そべて
「アクラか。それだけ小綺麗な人の形を為せれば人の街でも生きれるか、成程のう…」
自分はどうしても角が目立ち、住むとまではいかない
なんとか隠し、たまに酒を買いに行ったりする程度である
一方で異形の腕を見せた少女…その少女の姿も仮初めのものだろうことは推察がついた
「名乗り返せる名があれば良かったのだが、うむ、だが覚えた。新たなる強者の名…っぐ!?ええい、叩くな…っ!」
腹には叩きつけられた時の打ち身がわりとまだ回復せずそのままである、さすがに叩かれれば響くのか呻いていた
「も、もう邪魔はせぬから魚を喰ったらよかろう…! 傷んでしまうのだぞ…」
■アクラ > 「褒章…は別に要らんな、寧ろ鬼を殺したなんて言われたら狙われたり襲われたり大変そうだ。」
名誉なんて腹の足しにもならない
そもそも鬼を殺して持て囃されるのは人間の国の筈
人間を襲って食べているアクラにとっては目立つ方が困ってしまう
「うむ、可愛かったり奇麗な女になれば皆優しいからな。
男も試したがやっぱり女だと扱いが違うぞ。あとだいたいの相手が油断する。
そうか、お前名前が無いのか。
呼び辛いしなにか考えておくんだぞ、これは勝者の特権?だ!!」
目の前の鬼が人間の街に…は変装なりなんなりしないと入るのすら無理だろう
名前がないと言われればそんな事を言いきった
魚を指摘されれば慌てて駆け寄り状態を見る、流石にまだ腐りはしないか
「ふぅむ…なんかお前は良い奴みたいだしちょっとだけ分けてやる。
その体で何も食べないとつらいだろうしな。」
鋭くなった爪で魚の腹部分の身を裂く
両の手で持つ位の量をまた腹の上に乗せる、冷やすのにちょっとは役立つのかもしれない
内臓に関してはその場で魚の腹を割き貪り始める
魚もやはり内臓はいろんな味がして楽しいと笑顔を浮かべた
■天ツ鬼 >
「じゃろうな、そういったモノに興味がありそうな輩には見えぬ。
…くく、成程の。世渡りは儂よりも余程に上手そうじゃ」
「名は…うむ。考えろと言われてものう…。
人のつけた名はあるが、我が考えた名ではなし、むむ…しかし敗北した以上は…」
ある意味真面目な性格なのかだろうか、横たわったまま、むむと眉間に皺を寄せる鬼
「とりあえず、天ツ鬼、と名乗っておこうか…。
北の帝国の者がかつて儂につけた名よ。新たな名は…うむ、そのうち考えておこう…」
とりあえず不便であるだろうとそう名乗り、魚へと掛けてゆく少女を見送る
まだそう時間は経っておらず、腐敗もはじまってはいないだろう
しかしでかい魚である…
「──呵呵、鬼に良い奴などと、アクラもおかしな奴じゃな。
人の間では鬼と言えば人喰い、鬼といえば悪鬼であるというのに…むっ、おぉっ!? れ、礼を言おう…」
どす、と腹の上に載せられる魚の肉
なかなかの量であるが、少しだけというには十分過ぎる量感。肉を喰えば鬼の傷の治りも早くなる、有り難し
元がでかい故であろうか、と視線を戻すと…一心不乱に魚の内腑を貪る少女の姿が目に入る
「…あのような姿でも人ならざる者…か」
あながち、腕を喰らうと口にしたのも脅しではなかったのだろうか、と
■アクラ > 「派手に暴れて狙われてなんて嫌だしな。」
そうは言うものの砦を襲ったりはしている
この姿で襲ったことは無いので多分大丈夫ではあるはずだが
「天ツ鬼か、なんかかっこいいな。
とりあえず新しい名前が決まるまではそう呼ぶことにするぞ。
そうなのか?嘘もつかないし潔いし良い奴だと思うぞ。」
「身も美味い、でもやっぱりハラワタの方が色んな味がするな。
こんなに美味しいならもう少しここで過ごすかな。」
内臓をつまみ身を齧る、そして偶に骨もガリゴリと関係なく噛み砕く
そんなことを繰り返せば魚はだんだんとその姿を消していく
体を起こせるまで回復する頃には明らかに今の体積以上の量を食べつくしたアクラが地面に寝転がる
お腹は立派にポッコリ膨らんでいた
■天ツ鬼 >
「…ッ、やれやれ」
しばしの時が流れた後、ようやっと身を起こす
まだまだあちこちが痛むが、辺りの破壊痕を見ればこれほどの相手に敗れて無事であっただけ僥倖か
「名は追々考えておくとして…いやはや、見事な喰いっぷり。
腹が減っておったとで儂でもこうはいかんぞ」
分け与えられた切り身をあんぐりと大口を開けてかぶりつく
あれだけの巨大魚を骨すら残さぬとは…
「食欲では勝てる気がせんな…」
冗談めかしてそう言葉を吐き
「ほう、しばしこの地に身を置くならばそれも良い。喧嘩相手に困窮しておってな」
隻眼をキラキラしながら、寝転がるアクラに話しかける鬼の姿
これは良い相手を見つけたと、大変悦ばしそうな顔をしているが、少女──アクラにとっては迷惑でしかないだろう
迷惑であっても、鬼は仕掛けて来るのだろうが
食欲をその眼で見た以上、狩った魔物の肉だなんだとチラつかせればイケるか…などと浅ましい考えまでその胸中に在り…
■アクラ > 「肉もいいけど魚もいいなぁ…」
満足そうに膨らんだ腹をなでる
毎度このサイズが食べられればいいのに
「今はこれ位の量が限界だぁ…
身体を大きくすればいくらでも入るんだけどな…」
食欲に関しては負ける気はしない
何せ食欲を第一に生きているのだから
「喧嘩……まぁ殺し合いじゃないならいいか…」
満腹で緩んだ頭はそう答える
生死を掛けた生存競争でないなら遊びの範疇と言えなくもない
重傷な怪我、それこそ四肢欠損だろうとアクラにとっては痛い事、ただこれだけで済むのだから
珍しいか多めの食糧でならアクラは簡単に釣れるだろう
激しく遊んでお腹を空かせて美味しいものを食べる、それはとても魅力的なわけで
■天ツ鬼 >
身体を大きくすれば…という言葉は、やはり少女の姿が常在でないことを示す
さて、その姿を完全に捨て去った時、アクラと名乗ったこの少女はどのような存在になるのか
闘争を求め続ける鬼にとって当然それに興味はあった、が───
「くく。ではまた相手をしてもらうとしようか」
魚の切り身を平らげ、指と唇を行儀悪く舐れば、鬼もまたその場に再び寝転がる
鬼としては殺し合いでもまるで構わないのだが、遊びであっても悪くはない
むしろそれで遊び相手が増えるのならば大歓迎であるのだ
「今日は随分とやられたわ。休むとするか…今日は負けたが次は儂の勝ち。良いなー?」
潔いのか負け惜しんでいるのか、どちらとも取れる言葉を残し、
そのまま月を仰いで鬼は微睡みに落ちてゆく
その後少女がその場を後にしたのか、少女もまた寝に入るのか、見下ろす月のみが知ることで───
ご案内:「魔族の国・湖畔(過激描写注意)」からアクラさんが去りました。
ご案内:「魔族の国・湖畔(過激描写注意)」から天ツ鬼さんが去りました。