2024/11/09 のログ
ご案内:「タナール砦(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
戦火の中で鬼は血に酔う
家畜の肉のほうが美味であることは間違いない
しかして、戦場で暴れまわる鬼の本質が"人喰い"であることには変わりがない
己が拳足で、爪で、吹き荒れる血風と降り注ぐ血漿に濡れれば──
「──クク。呵々カカっ…!」
酒に酔うだけが鬼に在らず
魔物とは違う、人の血の温さと匂い、味に鬼は酔う
「フゥゥゥ……ッ……♡ もう居らぬか…? 命が尽きたか」
散々暴れ狂った鬼に襲いかかるものはもはやおらず
魔族の国の軍勢ですら、巻き込まれることを本能的に恐怖してか近寄ることなく、遠巻くのみ
「足りんな。もう少し喰いでのある者は…?」
どろりとした赤黒い血に濡れた手爪を赤い舌が舐り、爛と輝く翠光の瞳が睨め回す──
いっそ、こちら側の者でも良いか
緑肌の豚鬼、赤肌の巨鬼、単眼の巨人──どれも殴り心地は良さそうなものだ
ご案内:「タナール砦(過激描写注意)」にボルフライさんが現れました。
■ボルフライ > 何か興味を引くものが暴れているらしい。
それを感じ取ったのは本能かそれとも単なる直感か、あるいは風に乗ってわずかに漂う血の匂いか。
平素こそ些末なことには興味を示さず、方々で腕が立つと称される者たちですら目を向けることのない蛮族の男は珍しく目的をもって王国の砦があるところへ向かっていた。
「餓鬼が暴れているな」
近づくにつれて漂う血の匂いも、ケダモノの気配も濃くなり、その存在感をはっきりと感じられる。
遠目からでも、姿が見えなくとも、あそこにいるとはっきりとわかるくらいにわかりやすい。
それはこの男も等しく、己から漂う力も魔力も抑えることもせず砦に向かっているのだから、相手からその存在を認知されてもおかしくはないだろう。
なんなら砦の反対側にいるであろう魔族軍の軍勢すら、この蛮族の登場にいち早く気付いては狼狽え、慄き、蜘蛛の子を散らすように撤退をし始めるのだから。
人のモノであったはずの砦は陥落…という言い方は正しくない爪痕を残している。
崩れかけた外壁、落ちた橋、火種はくすぶり黒煙は立ち上り、そして血濡れがそこかしこにあるものの、人の形をしたものはあまり目に着かない有様。
陥落というより崩壊という言葉の方がお似合いであろう。
男はそんな光景の中を上半身半裸の無防備な恰好で練り歩きながら、眉一つ動かさず気配の強くなる方へまっすぐ向かっているだけだ。
もしかしたら少しは暇つぶしになるかもしれないという、ただそれだけの興味のためだけに。
■宿儺姫 >
鬼を討たんとする傑物は今宵は現れる空気を感じ取れない
であれば、暴れ足りぬとギラついた視線を向けるは魔族の軍勢
破壊しがいのあるのは、オークか、オーガか
そんな品定めも僅かの時間
「───ッ」
全身が総毛立つ様な感覚を覚え、視線を砦──反対側の城塞へと向ける
強烈に感じる"圧"が、その場に現れたことを肌で感じていた
「…これはこれは、魔王か何かを引っ掛けたか…?」
にしては、人間の国の方角から現れたことを僅か、疑問に思いながら
辺りの叩きがいのありそうな巨躯の魔物達は本能的に怖け、その場から後退してゆく
牝鬼はと言えば、昂っていることは勿論───相手が強大であれば強大である程に、その闘争心が沸き立つ困り物
荒れた戦地に仁王立ち、辺りの雰囲気すらも一変させたその存在を待ち受ける
牝鬼にとって不幸であったのは……
迫りくるその存在を比肩するものが過去にすらもなく、魔王クラスの何かであると判じたこと、だろう
■ボルフライ > 気配のする方へまっすぐ向かっていく男、
文字通り、まっすぐに。
どごぉぉぉん!!
鬼姫の向けていた視線の先の城壁が、まるで大砲を撃ちこまれたかのように一瞬にして打ち壊される。
傍にいた巨躯の魔物の一体が、紙のように吹き飛ばされて。
大量の砂埃が舞い広がり、その中からゆっくりと向かってくる巨躯のシルエットが浮かぶ。
鬼姫がわざわざ仁王立ちして待ち受けているのは、まるで負けたことがないかのような者の振舞いであり、この大男を待ち受ける態度としては立派なものであっただろう。
それ故に男が近づいてくるごとに肌がヒリつき、不快な汗が滲むことの理由を察することができなかったか。
男にとって、目の前の鬼は興味を持っただけの暇つぶし。
それもこの状況を鑑みるに、己の力を振り回して悦に浸るだけの獣と変わらぬ存在と断じていた。
そう壊れぬ喧嘩の相手ならばよし、雌のようなのでそれ以上の遊びもできればよし、と考える余裕さを感じさせる警戒感の無さ。
ヒュッ…
砂埃がまだ治まらぬ中、鬼姫に向かって外壁の一部が放り投げられる。
だがその投球は弾丸のように空気を裂き、まっすぐ高速で鬼の顔面に向かった。
それはボルフライなりの挨拶だった。
■宿儺姫 >
風を切り、眼前に迫った礫を打ち払ったのは鬼の反射神経の為せる業
目の前に現れた怪物を測る尺こそ持ち得ないものの、昂る牝鬼は既に臨戦態勢に入っている
そのためにわざわざこの場で待ち受けたのだ
「ククッ…此れはまた、随分な挨拶……」
瓦礫を粉々に打ち砕いたその手を己が首元へ
ごきり、と音を鳴らし、その評定を獰猛な笑みへと変える
「では、此方からの挨拶も不要であろうな!!」
眼前に現れた怪物
強者との闘争こそを史上の悦びとする戦狂が一秒とて辛抱できる筈もない
地を砕き蹴り、黒き疾風と化した鬼が砂埃のカーテンへと飛び込んでゆく
己の上背を超える人影、そのシルエットだけでも屈強な肉体であることが理解る、"それ"に
一切の加減は不要であろうと判ずる、全力による豪脚一閃
巨木すら容易く圧し折って見せるだろう怒涛の蹴りを横薙ぎに振り放った
■ボルフライ > 早いな…
心の中でそうつぶやく男は、瓦礫を容易く打ち払い、反撃とばかりに眼前に迫る鬼姫を眺めながら久方ぶりに戦への昂りを感じていた。
元より瓦礫程度で身を躱していれば残念に感じていただろうし、ましてやその程度で動揺していればつまらぬと帰っていたやもしれず。
はっきりと目の前に迫る鬼姫の身体は立派な背丈と、そして筋肉の塊かと思うような体躯。
爆発的な突進も納得の接近と、その勢いのままに繰り出されてくる刃のような蹴り。
数多の敵をこの一撃で屠り、爆ぜ、血紛と化してきたのだろう。
次の瞬間には、肉の千切れる音、骨の砕ける音、そして心地よい悲鳴が響いたのだろう…今までは。
今宵はそのような音は響かず、鋭い怒涛の蹴りが打ち込まれた男の腰に鈍い音を立ててぶつかり…そして足は止まった。
蹴りの勢いは空気すら裂くほどで、瞬く間に周囲の砂埃は打ち払われ、鬼姫の目の前には立派な体躯で筋骨隆々な半裸の男の姿がそこにあった。
蹴りを受けてもなお表情を変えず、鋭く貫く視線を鬼姫に向けたまま、口を開く。
「痛みを感じるのは、久しぶりだ」
一瞬、小さな笑みを浮かべて見せただろうか。
次の瞬間には蹴りを打ち止められて動きを止めた鬼姫の頬に、男の拳がノーモーションで打ち込まれ、顔を歪ませ脳を揺さぶり、その重たいはずの身体を打ち倒してしまうのか。
■宿儺姫 >
「───、…!!」
思わず、その眼を見開く
確かな手応えこそあったものの、それはまるで巨大な火龍に一撃を叩き込んだかの様な
否、龍であれ己の渾身の一撃を胴に受ければ揺らぎもするだろう
強烈な肉を打つ、鈍い音がその場に響く───のみ
その一撃の衝撃で砂塵は吹き飛び、己が蹴り込んだ相手の姿が顕になる
筋骨溢れる巨躯の雄
されど、図体だけでいえば先程まで跋扈していたオークやオーガのほうが大きかろう
「なれば、もう一撃くれてやろう…!!」
たった一撃で揺らがぬとてその戦意が失われることはない
即座、二の撃を繰り出さんとその肩口の筋骨が滾り、鬼の爪が半裸の男の胴体に向け振るわれる──…よりも、疾く
「───が、ッ」
首が捻じ折れるかと思う程の衝撃が牝鬼の横面へと叩き込まれる
圧し折れた鋭い牙が舞うと同時、上からの衝撃に叩き潰される様な格好で地へと捻じ伏せられる
「く…ぉ………っ…」
漏れる苦悶の声、昏倒こそせずとも頑丈な頭蓋の内で脳漿が跳ね、
その頑強な両脚に立ち上がる意思は伝わらず───雄の眼下にて倒れ伏すこととなった
■ボルフライ > 「痛みとはどういうものか、思い出させてくれたことは感謝しておこう」
久しく感じていなかった身体の疼き、骨の響き、そういったものを味わうのはいつぶりぐらいだろうか。
だからといって何度も味わいたいわけがなく。
もう一度…などと調子に乗る鬼姫をただの一撃で地にねじ伏せる。
さて、己の欲望のままにさんざ力を振りまき、屠ってきたであろう鬼姫。
その立場が明確に逆転したときその口から出る言葉はどのようなものか。
命乞いか、はたまた反骨の言葉か。
どっちにしたところで反応が見たいだけのこと、己より遥かに上位の存在と相対したとき、人であれ魔であれその後の身の振り方は大きく変わってくるもの。
この眼下の鬼姫も、この男と会ったことによって己の運命は大きく歪むことになるのだ。
「お前はどうだ? 勝てぬ相手を前にするというのは…」
それだけは男にもわからぬ感覚だった。
負けることを知らぬ男、そも次元の違う力を持つ男。
男は倒れた鬼姫の頭を足裏で踏みつける…不愉快な行為に思うだろう。
だがその頭を踏みつける足がどうやってもどかせないことに、鬼姫の中である種の感情が芽生えてくるだろうか。
男の足を掴んでもびくともせず。
頭を動かそうともびくともせず。
男の足に爪を立てても服は裂けても肌に爪が通らず。
頑強な鬼の頭蓋はそう簡単に砕けぬが、メリメリメリメリと頭に響く不快な音ははっきりと本能に死を連想させてくるものだ。
男は足にじっくりと体重を掛けてくる。
鬼姫の頭が地面に沈む。
頭蓋が軋む。
痛みが増す。
不死のはずの身体が、脳が、死ぬかもしれないという恐怖をイメージさせてくるだろうか。
今まで己が踏みつぶしてきた有象無象たちのように…
■宿儺姫 >
「───グ…ッ」
ごり、と男が鬼の頭を踏みつける
僅かに漏れる呻きは徐々に力の増すそれに、次第に苦しげな声へと移ろいでゆく
「ぐ、がっ…!! か、勝て、ぬ…と…!?
く、くくっ……ならば、より強くなり喰らうまで…ッ……」
何度敗れようとより力を高め、打ち破る──此れまでもそうして来た
首をもいでなお死なず、無限に強くなる戦鬼にシェンヤンの道士達も手を焼きその身を封じることとなったのだ
故に、強者との出会いは鬼にとり僥倖だった
より強い者との出会いは、より己を強くする
──しかし
この者は違う
「っぐ、あ゛ッ……ぁあ゛ッッ、ア…あ…!!」
一息に殺すでもない
じりじりと、蒸し焼く様に力の差を、万力で締めるかの様に
より力を高めたとて、この雄に抗うことが出来るのか──
そして、この怪物ならば
不死身を誇ったこの肉体に、死を与えることが出来るのか、とも──
死を味わってなお、死んだことがない鬼にとって、未知の感覚が生まれる
男の足をギリギリと掴んだ、その手に籠められた力が薄れてゆく
──この雄には、敵わぬと肉体が怖じけたかの様に