2024/11/04 のログ
ご案内:「王都マグメール:平民地区広場 小さな公園のような場所」にイオリさんが現れました。
イオリ > 「んぅ……」

平民地区の小さな空き地、であった場所
いつしか草が生い茂り、誰かが木製のベンチを置いた。
散歩の途中で小休止をするもよし
夜半に酒を抜く為に腰掛けるもよし。
若しくは盛った者たちがこっそり交わうもよし……その手の趣味にはもってこい。
そんな場所。

それでもその朝は穏やかで、過ごしやすい気候はもう少しだけ続くのかもしれない。
ぽつんと置かれたベンチの上、少女は目を覚ました。

「初めて」この場所で目を覚ましたのか、それとも何度目か。
少女の記憶はあやふやで、けれど怯えのようなものも感じられず。
まだ寝ぼけていただけなのかもしれないが。

そもそも、何時からこの少女が寝ていたかなんて、当の本人にも分からぬことだが。

イオリ > 昨日はどこで目覚めたか……
少女の記憶は曖昧。
ここだったかもしれないし、どこか別の場所だったかもしれない。

何故か少女は怯えない。
自室で目覚めなかったことに。
家族も友人も、傍にいないことに。
まるでそれが当たり前化のように。
まるでそれが日常かのように。
まるで「ここが元居た世界と違う」ことに気付かぬように。

ご案内:「王都マグメール:平民地区広場 小さな公園のような場所」にイオリさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール:平民地区広場 小さな公園のような場所」にイオリさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール:平民地区広場 小さな公園のような場所」にイオリさんが現れました。
イオリ > 勘の良い、若しくはそういった類の者ならば
少女が本来この世界に居なかったことに気付くのだろうが。

何も持たぬごく普通の者達は、少女を見ても
気を配らないだろう。

平民地区にだって物乞いの子らはいるし
そういった類の者を狙う存在も珍しくない。

けれど少女は無防備に、ただそこにいる。
少女にとってもここが「異世界」だなんて思ってもいないから。

イオリ > 「……」

何時しかベンチの上で、少女はまた眠ってしまったようだ。
穏やかな日差しの降り注ぐ場所。

果たして次に少女が目覚めた時には、この場所なのだろうか―――

ご案内:「王都マグメール:平民地区広場 小さな公園のような場所」からイオリさんが去りました。
ご案内:「喜びヶ原-Alter memory-」に”徒花”ジョーさんが現れました。
ご案内:「喜びヶ原-Alter memory-」にモルガナさんが現れました。
”徒花”ジョー >  
そこは、なんてこともない村だった。
王都より外れ、王都に入れぬ逸れ者達。
今もなおこの土地には珍しくもない。
誰も彼もがひっそりと、その日その日を生き抜き、
そしてある日、人が消え、村も消える。よくある話だ。
此処もそんな場所の一つに過ぎない。
ただ、廃墟と言うには綺麗すぎる程に整っていた。
全体的に住居の古めかしさは否めないが、
整備はされているらしく生活感がある。
道も整備され、木漏れ日に小鳥の囁きが通り抜ける。
畑を耕し、自然とともに暮らすのは岩石の使徒(ゴーレム)
人の影は見えないのに、そこには営みがあるように見える。
さながら、時の止まった村の跡。

「────────……」

唯一人。畑の傍の住居により掛かる住民がいた。
ローブ姿の男。余りにも無防備な姿のまま、
微動だにせず目も閉じたまま。
眠っているのか、死んでいる事もわからない。
唯太陽の光に照らされ、止まった世界に一人きり。
隠蔽も何もされていない。ごくごく小さな村跡の中で、
止まった時のまま、時間だけが動いている昼下がりだった。

モルガナ > かつてそこに民はあれど、今は既にそこになく。
ましてや領外の土地。そこに村があるなどと思うはずもなかった。

それこそ、そこがはぐれ者達の街だったのであれば。

それは偶然だった。行方不明者の捜索。他の貴族への点数稼ぎ。
貴族であろうと民を守る、という口実の元に日銭を稼ぐ冒険者に憧れて
行方を眩ましたどこかの三男坊を救出した帰り。
確保した遺跡から町へ戻る獣道を抜けた先だった。

そこに不意に現れた整備された町。
普通なら罠、何かの異変とするだろう。

疲弊した部下を休憩させ、数名の近衛を連れて足を踏み入れる。

「……ジョー?」

不意に、声が出る。見知った顔。見知った気配。
しかしサーベルには手をかけたまま。
まだ幻術の類であるとも思えるが、しかし、その手も降ろされる。

幻術であれば、多分親しい家族を見せるのだろうし、彼だけを特定して見せるのも不思議な話。
なにより、近衛達もその顔を知っていた。

「こんなところで何をしていますの?」

警戒態勢を解きながら近づいていく。近衛達も貴方と視線が絡めば深く頭を下げるだろう。
なにせ相手はあの『屋敷に突如飾られた肖像画の人物』なのだから。

”徒花”ジョー >  
畑を見守り、村を護る使徒(ゴーレム)は訪れる者を認識はする。
但し、危害を加えない限り彼等は何もしない。
そのように命令(プログラム)はされていないのだ。ここはもう、終わった場所だ。
唯一人の人間が思い出のために、悔いとして残されている。
姿だけの廃村。ある意味不自然な自然の姿。

「…………」

微睡みの涅槃の中、足音が聞こえる。
泥土のように深く重い意識の中、
複数の気配が近づいてくるのがわかった。
ああ、覚えがある。覚えがあるはず。
焼け焦げた(モノクロ)記憶(ページ)がハラハラとめくれて行く。
捲る指先もなんだか重い。このままずっと寝ていたいと思う。
だが、起きなければいけない。生きるとは、そういう事。

「──────……"大勢"で他人の敷地に土足で入るのがお前の礼儀か?」

ため息混じりの、うんざりした声。
ゆるりと開く翠の双眸は気だるそうで、
人間の感覚で言うのであれば"寝起き"という風体だ。
掌で額を抑え、軽く頭を振るう。染み付いた(ノイズがかった)記憶(景色)に色がつく。
見覚えのある、山藍摺とピンクの人影。と、その他大勢。
相変わらず無愛想な顔が、数名をなぞり、モルガナを見据える。

「……見ての通りだ。この村は……いや、廃村だな。
 ああは言ったが、正確には俺の領地(モノ)ですらない。
 もう地図にも無いような場所だ。そう、あえて言うなら……」

よくあるような場所だ

歴史が、時間が人の住む場所を風化させる。
何もおかしいことはない。ジョー以外、
人と呼ぶべきものはそこには存在しないのだから。

モルガナ > 「礼儀も大事ですが地図にない良く整備された村を調査するのは
 貴族の務めですもの。嫌われ役は慣れてますわ。」

 片手を挙げて、近衛にも戻り休息するように命じて下がらせる。
 言葉ではそう言いつつ、ジョーの言葉に踏み込んではならない範囲を感じ取りながら、
 まして事情を知らぬものを同席させるのは不躾である。

 貴族の令嬢という身が護衛もなしに外を出歩くリスクを差し引いての
 礼儀というにはいささか己の価値をないがしろにしてでも敬意を示す作法で応えて。

「街道とも街とも離れたこんな場所に……。
 整備はされていますが、様式は古いですわね。」

人の歴史が巡ると共に人の文化も変わる。そうなれば技術も発達し、
自然と人が住む住居も人を守るに適したものに変わっていく。

平和ではある。
だがその平和を感じさせるのはそういった”守る”用途がどこか欠けていると、今の時代の人間が感じる儚さ故だろうか。

「ここまで整備されて”残り続けている”場所がよくあるような場所であるものですか。
 ましてやこんな”未開拓”の地にぽつんと存在する村など……。」

時代が流れ、人の手が加わらなくなれば、加わったとして昔の技術で、今でいえば些末に整備された程度は
今ではもはや未開拓となってしまって。

その中に佇む貴方が、過去に埋もれて生きそうな印象を感じて。

「……昔からここにいるんですの?」

”徒花”ジョー >  
「……、……いや、何でもない。
 好きに使え。何時でも使えるように整備している」

彼女の言うことが理である。
自らの土地も無くば、此処は時代で言えば本来何も無い場所だ。
自分のわがままで、気持ちだけで作っている。
そも、村とは、人並みとは使われて意味がある。
休憩に下がる近衛たちには、それだけは伝えておこう。

「結界は張っていない。とうに数年、数十年。
 いや、もっと前か。住む人間は皆いなくなった。
 ……俺の、いや、俺の妻だった女が住んでいた村だ。
 特筆すべきものは何も無い。何処にでもよくあるような場所だ」

何か特別なものがあった訳じゃない。
誰もが生きるための営み、育み、時が流れる。
あるものは王都に、あるものは老衰、死に、
時の流れによって誰にも残らなくなった。そんな村。
名物があるわけでもなく、ただただ平凡であり、平穏だった。
それが何時だったかも、もう記憶はハッキリとしない。
ゆるりと立ち上がれば、軽く衣服の埃を払って一息。

「残り続けているのは、俺の勝手だ。
 ……彼女がいた思い出を残していたいだけ。
 俺が勝手に整備し、勝手に残しているだけだ。
 風化させておくのが、本来あるべき姿なんだろうが……」

「彼女との"思い出"は、残しておきたかった。それだけだ」

歩く岩石使徒(ゴーレム)も何もかも、自身の魔術によって組み立てられた。
たった一人の男の我儘だけで、景色だけがそこに残った。
何処となく憂鬱そうな声音は、人間的に言えば弱音
無意識に、モルガナを信用(甘えて)いる証左でもあった。

「……彼女がいたころからな。
 一時期離れた時期も在ったが、知っての通りだ」

モルガナ > 言葉を投げかけられた顔を見合わせて、貴方に向けて片手を向ける。
それは背を向けたままの主たる令嬢へ。

それを決めるのは彼女なのだと。

ここには何もない。だが、それを不法に住むという空気も、蔑みも感じられない。
ただ、単純に驚いている気配は感じられて。

なまなかに悪意や害意を持つ手合を仕えさせてはいないことが伺えた。

「……奥様の……。」

ただ、それだけを呟く。朽ちることも、変わることもなく、ただゴーレムが与えられた命令だけで修復が繰り返される。
時が止まった場所。否、時に置き去りにされた者に寄り添うにはそれしかないのだと、
なまじ聡いが故に理解してしまう。

やはり、まだ、ずっと妻のことが残ったままなのだと。
先日に屋敷であった時に叫んだ、恥も外聞も矜持も捨てて、憤って叫んでしまった。
それで届かなかったことが口惜しい訳ではない、
長い時を、貴族の嗜みとして歴史を学んだ身でさえ知らぬ建築様式。
それだけでも、長い間妻への思いを感じ取れて。

「随分と豪快な保存ですのね。物語に出て来る悠久の時を生きる者は、
 屋敷であれ”住居一つ”だと思ってましたけれど……。」

その言葉に、彼女の目を見ればそれが本当に理解していないが故の言葉でないとは伝わるだろうか。
人間を理解していないような、人から離れているかのような振舞いをしておいて、
その実、人とは個で生きるものではないと理解している証。

誰かと繋がって、共に営んで、思い出の中に多くの顔がある。
あるいは、人とはそうなのだと、過去の彼が未来の己へ遺すように村を残すことを、
妻との思い出が残る”全て”を保存したのだろうかと。

「王都から離れていて、でも遠くない……。けれど人の流れからは離れている。
 悠久の時を生きる方を探すには絶妙に”外れている”場所ですわね。

 だからこそ維持し続けられてるんでしょうけれど。」

隣に、同じ建物の壁に、少し離れて寄りかかる。
そのまま村の風景を眺めて、空を見上げて。

「貴方が本当に超越者なのか分からなくなりますわね。
 ここは貴方の村ですわ。それを今を生きてるだけで勝手に好きに使うのは無作法でしょう?」

調査と言ったでしょう、と。
調べたからとして制圧も徴収も破壊もしないのだと。

その信用(甘え)へ応えたわけでなく、未開拓の地を拓いた者の土地なのだと。

”徒花”ジョー >  
「……彼女の愛したものも、俺は好きだった。
 彼女が愛した村。彼女が愛した人々。彼女が愛した、景色を」

自然の営みの中に存在し、不自然に朽ちない悠久の廃村。
推察通り。その全てが思い出であり、焼けていく(モノクロ)の記憶に、残り続けている。
ある種の執着。悔恨。懺悔。様々な気持ちの綯い交ぜが、
この廃村の景色として残されているのだ、と。
徐ろに伸ばした人差し指に、小鳥が止まり羽休め。
自分自身もまたその景色(思い出)にしか過ぎない。
世捨て人であれば、当然の事。

「かつては王都とも交流はあった。大きなものではないが……。
 国として正常だったのは覚えている。そう、腐敗し切る(こうなる)前だ」

目を閉じれば、昨日のように思い出せる。
腐敗が蔓延し、斜陽と陰る前の輝かしさ。
不死者として成った後でも、良い国だと思い出せる。
(ノイズ)がかかるような記憶だが、まだ覚えている。
軽く指を揺らしてやれば、木漏れ日の隙間に小鳥は飛び立った。
それを追うこともなく、翠の双眸が彼女を見やる。

「……好きでなった訳じゃない。
 俺は探求者だ。知識欲を満たし続けた上で、なるようになっただけに過ぎん」

ある種の狂人、知識欲の獣。
この世の真理を、知識を貪り喰らう過程で人を辞めた。
それ自体に感慨を持たないのは、男の本質を表している。
カンカン、と軽く杖で石畳を叩けば、何処からともなく
モルガナの前に立ち並ぶ木製の丸テーブルに椅子。
ゆるりと漂うティーポットが、添えられたカップに茶を注いだ。
魔力の流れも感じさせないほどに高度な操作術を、さも当然のように扱っている。

「遠征帰りか?まぁ、何にせよ休憩していくといい。
 ……長閑以外は何も無いが、身を休めるにはいい場所だ」

そう自負するだけの場所にはしてきたつもりだ。

モルガナ > 言葉に耳を傾けながら風景を眺める。
擦り切れた印象を、超越者だというのに儚い印象を帯びる彼が口にする愛。

ともすれば倒れて動かなくなる、それほどの無情さを帯びながらそれでも歩いているのは、
この風景の変化の無さに心が擦り切れぬのは、それだけの思いがあることは伺えて。

「正常? 今でも正常、という風には見えてませんのね。
 ……貴方から見て、興味ないかもしれませんけれど、この国は腐敗が横行してるように見えまして?」

飛び立つ鳥を見送りながら、木漏れ日に目を細めて言葉を紡ぐ。
時代が違うこと、そこに距離を感じることはない。
そこに距離を感じるとして、それは相手への甘えだし、距離を自ら詰めることはできる。
対話。
生きている限り、言葉を交わせる限り、共に在れる。

まして古代の、彼の目線を知りたいと思ったから。

「その結果、貴方が求める方を、貴方を求める方を置いていってしまったのでしょう?
 まさに欲ですわよ。それは貴方が好きでなったものですわ。」

確かに妻を置いていったことへの悔やみはあるのだろう。
だが、それでもその知識を満たすことを選んだ。
その声色に、しかし非難するような色はなく、むしろ自分の欲をきちんと認めろと言わんばかりに視線を返して。

「欲を満たした背景があるのなら、きちんと自分の欲をお持ちなさいな。
 それとも、不死者様は長い時を生きてもまだお盛んでして?」

それでもいいですわよ、などと微笑んでさえ来る。
欲を禁忌と、恥ずべきものとしない、それを原動力の呼び方の一つだとでも言うように。
知識欲を持つ者に問答を投げかけるように。

テーブルに椅子を出されれば、先に主の着席を待って。

「いつもの”人探し”ですわ。誰も助けに行きませんもの。
 そう言う意味ではこの国はやはり人として傾いてるのかもしれませんわね。

 貴族なんて三人目以降は、いないのと同じなのでしょうけれど」

 長女として、三姉妹として領地をよく治める身からすれば、表向きは信じられないという振舞いを取る。
 絆はあるが、偽りの姉妹。道具。看板に過ぎないからこそ、良く働く背景は表に出さず。

「今日は天気も良いですし部下達もたまにはゆっくりと野原で体を休めることも必要ですわ。
 結界を張らないにしても、本当に良い土地ですわね」

……ある意味、こんな好立地を見落としている時点で、やはり国の上の者達は大半が
視野狭窄となっているのであろうと、不死者の感じる傾きを別の視点から悟りながら

”徒花”ジョー >  
ジョーは無愛想な男だ。
あいも変わらず無愛想な仏頂面だが、
一瞬だけより深く、否、酷く"冷めた"表情になった。
何の感慨もなく、只々つまらないものをみたいような顔だった。
現在(いま)を生きる人々に向けるものではない。
無知を罪と言うが、知らぬ事を責める事など出来やしない。

「……総てとは言わん。だが腐ったのは違いない。
 神に見放された国などと、誰かが言うが、見限られたと言うべきだな。
 俺は神になる気はないが、奴等も大層気の毒な連中だ。
 ナルラートなどという者の思想も見抜けぬような連中だぞ?まさか……」

「恩知らずの馬鹿共に、信仰さえ奪われた。
 ……上が腐れば、徐々に下々のものも腐っていく。
 『ノーシス主教』にだったか?アイツ(アイオーン)は一体どんな気持ちだったのやら」

神代の時代にも男は当たり前のように知っていた。
この国の腐敗していく様を見ていたのだ。
死という概念から切り離され、敢えて人の中に生きる超越者。
俯瞰的に見てしまえば、此れほどまでに愚かで、
見限られて当然だという国も中々無い。当然の結果だ。
都合の良い歴史の改竄。無知のは罪という成らば、まさに目の前にある
だがそれを責めたりはしない。悪王が上手だっただけの事。
現に、変わり果てたとは言え『国』として残っている。
それはまだ、善良なものがいる証だ。それだけは理解している。
だが、全貌を知るものから見れば、かつての輝きがないのも事実だった。

「……、……"知識欲"はある。
 今でも未だに、知識を貪る。性分だ。
 ……何度も言うな。理解している」

弱い所だ。彼女は弱みを知っている。
流石に"拗ねた"ように唇を尖らせた。

「お前は大概、男の趣味が悪いのだな。
 ないワケじゃない。妻に操を立てているだけだ。
 欲を捨てるなら、とうに(この姿)をやめている」

超越者でありながら、男は未だ人の中に生きる。
そのためには人の器に合わせ、人に合わせなければいけない。
必然だ。だからこそジョーは、苦しみを背負い、自罰に喘ぐのだ。
そこに悔恨も、思い出もなければ、恐らくこの出会いも成立していなかった。

「そうか。……、……いや、何でもない。
 相変わらずお前も善良(お人好し)なんだな、と思っただけだ」

何かをいいかけて、やめた。
静かに対面へと座ればじ、と彼女を見やった。
瞬きすることもなく、翠の双眸に女を映したまま、ただじっと。