2024/10/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 高級酒場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 王都マグメール 富裕地区 酒場

 平民地区に様な場所とは違い、小奇麗な空間と汗や垢の匂いが残る人間がいない空気
 カウンターやソファ席の中、秋風で冷え切った空気の外とは違い中は適度に温められている。
 自身の邸宅ではなく、夜にこういった場所でくつろいでいるメイラの行動力は、ただの気まぐれなのか
 それとも戦場以外での自由を満たすようにしているのか。

 とうにこの店内にいたメイラは、カウンターではなく一人用で腰が下ろせるソファとテーブルの席
 足を組んで背もたれに身を預けるようにし、長い黒髪は尻で敷くことがないようにまとめて胸の前に垂れ下がっている。
 手元は珍しく肉類ではなく、度数が高く飲みやすさ重視な赤い蒸留酒。
 目の前で口に放り込むのはチョコレート類か、型で固められたそれらで
 開けたギザ歯の中でミルクを多量に含んでいるのか、音は激しくはなく咀嚼であっという間に消費
 口の中に残った存在感を消すように、酒で洗うような勢いでグビリと飲み込むと臓腑が焼ける感触
 その吐息すら熱が含まれ、力を抜いてソファでくつろぐ姿はいつもの圧はない。
 今日は強い酒でくつろぐ気分ということか、ひじ掛けで頬杖している姿。


   「――――(ふぅ)。」
 

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2 高級酒場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「無名の迷宮」にヴァーゲストさんが現れました。
ご案内:「無名の迷宮」にドリィさんが現れました。
ヴァーゲスト > 今回の装備のコンセプトは狭い場所での近接戦闘。
武器は手斧が腰裏に一振り、腰脇に鞘に収まった鉈二振り。
サブウェポンに通常は掌サイズだが刺激を加えると伸びるス金属の棒。
防具はチェーンメイルだが、頭部を包むタイプの方ではなく
鎧の内側に着込むシャツタイプを普段着の上に。

自分の動きを阻害せず打撃と斬撃を兼ね備えた鉈をメインに、
斧は最終手段で棒の方は武器以外の用途でも使えるように。

チョイスは完璧である。
自画自賛したい程に完ぺきのハズである装備選び。
賞金首を狙うのとは違って、今回は無名の迷宮探索。
この軽装は様々な物を詰め込んだ革のバックを背負って、
動ける最低限の装備、いざ戦闘となったらバックを落として
戦闘に入れるように、外しやすくもなっている。

さてそんな装備に加えて頼もしく美人な相棒が一人。
地図を読むのは苦手であるので、彼女に道案内を任せつつ、自分の隻眼は都合よく
薄暗中を意識すれば見通せる力があるので(魔族なので)、明かりは
特に自分では用意せず、なるべく直ぐに鉈を抜けるように両手は常に空の状態で
迷宮の通路を歩く。

「でよ、まだ入ったばかりで言うのもアレだが。
 迷宮入ってからどれくらいで目的地に着く算段なんだ?
 一応それなりの食料に水にスパイスに諸々は用意してあるし、
 火薬も渡した分以外に予備もあるけどもよ。」

足取りは罠を警戒するように、よりも相棒を置いていかないように。
成るべく早歩きになるのを抑えながら、隻眼をすぐ隣か半歩くらい後ろを
歩いているハズの相棒に声をかけ、少しだけ暇そうに欠伸をかみしめる。
何せいまだ敵と遭遇せず、……敵といえば、ここはどんな魔物が出てくるんだろうか。

ドリィ > 男の半歩程後方だろうか。
女は地図を片手に陰気な艶めきを孕む、湿った石畳を歩む。
漆黒に足元照らす魔術結晶を入れたカンテラの寂光が及ぶたび、地を這う小虫が暗がりへ逃げ。
それを道標とするかに、進んでいく。
未だ迷宮へと潜って数刻も経っていない─…即ち、“引き返すなら今“というあたり。

「あら、気が早い質問ね。
 まだまぁだー… おやつタイムにも程遠くてよ?」

向けられる問いに、女は笑い含みに返す。

「このまま通路をまぁっすぐ進むとぉ… 半刻程で三叉路に出て、
 そこから崩石の回廊、地底湖を抜けてー…その先の広間が今日のホテル、かしら」

過日の買い物の折、男は明かりを欲しなかった。
成る程、夜目が利くらしい。便利なものだ。
女の装備は腰元のベルトに束ねた鞭と魔法銃。太腿にナイフが数本ずつ。
豊満な肢体を覆う魔獣の艶革で誂えたボディスーツを着込んでいる。

「このあたりはまだ、ワームにウェアラットくらい?
 もぉ暫くしたらー…、お待ちかね、魔物のテリトリーに突入よ。
 空気が変わるから分かる筈、ってハナシ。」

ヴァーゲスト > 『引き返す』ならいい所まで歩いた感はある。
だけどもハイソウシマスって言葉が出てくるくらいなら、
そもそも此処に足を踏み込んじゃいない。
だからそれは口にせず、きっと今回限りの相棒も似たような
事を考えているのだろうな、と一人クククッと喉奥で笑う。

それからおやつタイムという洒落た言い方に喉奥で笑う笑い方が、
思わずクハハハっと声に出して笑ってしまうのだった。

「干した果物はおやつに含まれますか?って奴だな。
 でぇーまっすぐにだいぶ進んで、回廊で、地底湖。
 更にその先の広間を掃除してホテルなー………。
 ふかふかのベッドと枕があると最高だな!」

あるわけがないんだがな。
運よく宝箱があって、宝箱からふかふかのベッド……は
無いな絶対にない、あったらそりゃ間違いなく罠だ。

「……っとオヤツはそっちか。
 ワームにウェアラットはオヤツにもなりゃしねぇし、
 実際喰っても旨くねぇから、早くそっちを喰いたいわ。」

タイミングドンピシャのこっちの思考を読んだような答え
もまた今回限りの相棒の口から聞けると、うんうんと頷く。
まあ先ほどから小物に遭遇すらしないってのは、それか。
あまりにも敵が弱すぎて近づいても来やしないって事か。

威嚇するような気配はなるべく潜めているのだが、
それともこの先の魔物がそれ以上に危険で雑魚は怯えているか、
理由は何にせよ、無駄な体力を使わずに済むのは重畳。
こうして美人との会話を楽しむことができるので、報酬を
あげたいくらいだ。

こうして歩く、半歩後方の女を伴って。
歩いていると更に矮小な魔物の気配は薄まって、
歩けば歩くほどにだんだんと空気が冷えてくる。

冷えてくる空気の先を通路の奥の闇を隻眼で睨めば、
当然足元はお留守になる、お留守になった結果……。

カチッ

小さいだが確実に何か嫌な音。
同時に何か固いものをブーツの底で踏んだ感触に、
本能的に反射的にピタっと足を止めた。

ドリィ > 男の笑い雑じりの快闊な声に、女が応える。
おそらく──片眉を愛嬌も豊かに跳ね上げながら。

「あぁら?乾果なんて最高に素敵なおやつじゃない。
 どんな酒にも合うし、どんな酒に漬けても合うわ。
 酒が進んで進んで──ふかふかのベッドと枕で眠る夢だって見れちゃうかも。」

勿論、深酒厳禁である。夢見る暇だってあるかは怪しい。
たしか、地底湖はゼラチナスキューブやスライムの巣であるとか。
其処から程近い比較的安全と印された広間近辺だって、何れだけ快適な場であるか知れない。

「でも、この階層でよくいるスティッキーワームは煎ると燻製チーズの味がするって話、
 この間ギルドで聞いて、ちょぉっと興味湧いたのだけどー…」

オヤツにはならぬも肴にはなるなんて聞いたら囓ってみたくもなるものだ。
なんて与太話をしている余裕があるのは今のうちなのかも知れない。
空気はだんだんとひんやりと膚を這う涼温へと変じゆく。
時折ひたりぽたりと響く滴の音は地下水の漏出か。

そんな最中。

「───… 」

男に伝えちゃいないが、女は兎ミレーの混血である。
従って耳はすこぶる良い。
男のブーツの底が鳴らした違和感を瞬時に察知し、歩を止めた。

「…ちょっと待ってヴァーゲスト君?
 今、物凄い厭な音聞いたんですけど???」

小石を踏んだ。或いは甲虫を潰した。
そんなものであったらどんなにいいか。
だが、女の聴覚が捉えたのは、硬質な突起を踏み押して、
何らかの機構が──符丁が嵌まり、合致する音だ。

ヴァーゲスト > 乾いた果物は水分が抜けたせいで甘みが凝縮され、
尚且つ水分が抜けた分だけ重さも軽くなり持ち運びに便利。
今回限りの美相棒が口にしたように、お酒に合うし、何なら酒の瓶に入れて、
その時が来たら果実の風味のある酒を飲んで、酒を吸った果実を食うのも悪くない、最高に素敵には同意である。

あとスティッキーワームは燻ると燻製チーズの味がする、
それは間違いないが匂いは燻製チーズというよりも、もっと濃厚なチーズを超えた何かの香りがする。

――…現実逃避ここまで。

「踏んだ、今思いっきり踏んだ、踏み抜いたくらい。
 これはアレだよな?ダンジョンで有りがちなアレ。」

言葉をここで一度切ろう。
静かに静かに外気入らぬ事で一定の温度を保っている冷たい空気を吸い込んで、肺に満たして、
また静かにふぅーっと吐き出してから、ぎぎぎ、と首を捻り、半歩後ろの相棒へ己の肩越しに顔を向けてから、
ふっと緩く軽薄な笑みを浮かべる。

「……踏んだらアウトなトラップって奴だな!」

アハハー笑うしかねぇわ。
これは素人のおのれでもわかる。
踏んだらスイッチが入り、足をどかすとか重心をずらすと発動する奴、
で発動するとどうなるかは何処かに何かある奴。

天井が下りてくるとか、針が左右から飛んでくるとか、爆発するやつとか、毒ガスがプシュってくる奴。

うん、わからん。
出来るのは動かないこと、あるいは入って魔物と対峙する前に切り札を切ること。

ドリィ > で、今なんの話してたっけ?

突然に響いたあえかな、されど確かな異音にて、
暢気な酒肴談義も一気に、そりゃあもう見事に頭から吹き飛んだ。

だって絶対に今、厭な音がした。
半歩先を征く男の、爪先に程近い靴底にて。
背筋をぞわと粟立たせ、全身の感覚が聳つよな。なんかそういう──不吉なやつ。

「…待って、待ってね。いや、だって
 ──踏み抜くにしても早すぎるんですけど???」

此方を振り向いた男の、悟り諦めた笑顔が実に腹立たしい。
つまりはそれほどにしっかりと踏みしめてくれちゃってるって話なのだろうが、

「もぉ~~っ! 動いたらアウトじゃない?コレ。
 ちょっと待って、動かないでね──…」

足、動かさない、ゼッタイ。
ギ、と男を一度ねめつけた後、女は石壁にひたと耳を寄せ、眉を顰め。
次いで、床に這い蹲るよに片耳を寄せた。
こんな状況で無ければ女の豊かなヒップが男の目を愉しませただろうが、
今それを告げたらおそらく容赦ない蹴りが飛ぶだろう。

「上でも、壁でもなさそう───… 床? 床かも。
 下からなんか、ヤな音してる気する。ぁぁぁ…… 厭過ぎるんですけどぉー…」

石床から幽か。ほんの微か。茫洋とした歪が響く、気がした。
多分、天井じゃない。針が左右からは飛ばない、気がする。
下、な気がする。床が崩れるとか、針が下から飛んでくるとか爆発するとか。
立ち上がっては肩を竦め。

「───貴方の片足、置いていくしかなくない?」

それか、───腹を括るかだ。

ヴァーゲスト > 早いか遅いかといわれると間違いなく早い。
まだこの無名の迷宮に入り込んでそう時間は経過していない。
当然好きで踏み抜いたわけでもなく、ただ足元がお留守だっただけ。
この辺りも迷宮を踏破する冒険者とあまり迷宮に足を踏み入れる事がない賞金稼ぎの差だろう。

等と冷静にあまり関係ない事を考えている場合ではない。
言い訳をするにしても言い訳できぬほどに踏み抜いてしまったし。

発動したらアウトな予感はヒシヒシと。
背筋に冷たい汗が一筋垂れるほどに嫌な予感がする。
魔族である己でも一発アウトな、殺意マシマシの罠の予感。
結晶化、テレポーター、間接的に即死を招くタイプだろう。
運が良ければ鎧や服が解けるスライムが落ちてくるもある。

「これはアレだぞ。
 相棒の罠を解除する技能を試す為の……嘘です。
 完璧に罠は意識外でした。」

緊張でカサカサになった唇で言い訳を半分だけ口にし、
残り半分で嘘だと謝罪の言葉を口にしてから、
はい、動きません、と言わんばかりに縦に首を振る。

ねめつける夕暮れを想像させる彼女の瞳は美しい。
と、再び現実より逃避しながら、相棒による罠の品定めを
豊かで噛り付きたくなる美尻を隻眼で眺めつつ、待つ。
着ている装備を加味すると、素晴らしい眺めであった。

そして結果が出る。
相棒の口から語られた調査結果は片足置いてけ。
……まあ仕方ないか、仕方ないか、ってなるわけがない。
肩をすくめる相棒に対して出来るのはうへぇといった表情。

「よし!置いていこう!にはならんだろー?
 大事な足だぞ?ヴァーゲスト様の足はミスリルよりも
 価値があるんだぞ?もっとこう!やれることはないのか?」

早口で捲し立てるように抗議の言葉を連ね並べるが、
――…仕方なし、切り札を切ることにしようと。
でも出来れば温存したいそれなので少し悪あがきもしよう。
そう何度も使えるものではなく、出来れば最奥近くの魔物に切りたいものであるし。


「こう、取って置きの……アイデアとか、閃きとかない?」