2024/10/10 のログ
ヴァーゲスト > 当然口濡らしで止めるつもりはない。
空になった杯が美人の酌で満たされていく光景を隻眼に収めながら、12年物の蒸留酒と同じくらい魅力的な女の情熱を秘めた唇にチラとだけ視線を移し、満たされた杯を持ち上げて美女の唇を肴にチビりと酒を呷り飲む。

「………ならいいか。」口の中に再び広がる蒸留酒の熱い香りを楽しみながら小さく呟く、何せ都合のいい奴という触れ込みの紹介なんで、過大な期待をされて実際に現地に行ったら、実はその手の技術もちの人員不足なんて笑えない話は結構ある。

「……損があっても受けるしか選択肢がねぇんだなこれが。
 まあそれを愚痴ったところで始まらねぇし、さて、はて、どれどれ。」

手にした杯の中で揺れる蒸留酒の透明な色合い越しに見据える美人を堪能するのも悪くはないが、言葉の終わりに視線をそんな美人の手元へと落とすと、楽しそうな地図の御開帳と。

羊皮紙の束、特有の匂い。
嫌いじゃないその香りにまた杯の中の蒸留酒をチビっと口に含みながら、ふーっと鼻から息を抜き、香りを鼻孔でも楽しむ、楽しんでからさて何ともかんとも確かに『面白そうな地図』とやらに、先ほどから浮かべている笑みを深めた。

希少な魔石の鉱床や開かずの宝物庫を示す記号や文字も大いに結構であるが、己が気になるのは幾つか刻まれている魔物を示す印と文字だ。

地図に印があるということは、少なくともこの地図を描いた者が倒せず引き返したレベルの魔物である事は想像に容易く、で、あればそれは存分に楽しめそうな予感もするし、更に言えば賞金首に出会える可能性でもある。

「……あー…こりゃ腕利きが必要になるわけだ。
 少なくとも回避してやり過ごせる場所にいねぇし、もっと言えば適当な腕の奴がぶつかって無事でいられるレベルでもねぇわな……。」

独り言に近しい一言。
言葉と言葉の合間に杯の中の蒸留酒で唇を濡らしながら、最後にコトンと杯をテーブルにおいて、さて商談……ではなく、返答をするか。

「……美人と過ごす刺激的な時間はベッドの上で、と決めちゃいるんだが。
 OKOK、この仕事受けようか、アンタとだったらダンジョンの中でも思いのほか楽しめそうだ。」

一つ頷く。

ドリィ > 請けるしかない役回りとやらに、女は思わずに口角を笑みに崩し。
少しばかりに困った相手を見るよに眉を下げてみせた。

「そぉう? …クふっ。余程彼を怒らせたのね。

 とはいえー…… 報酬ってモチベーションでしょう?そこはケチる気はないの。 
 損な仕事させて窮地に見捨てられたら堪らないもの。」

茶化すよに肩を竦めれば女の豊満な白餅肉も、弛んで揺れる。
杯を再び傾けながらに彼より向く視線を指先一本で誘導すれば、今度は女が男の表情を窺う番。
尤も──その精悍さを堪能する意図じゃない。凶悪な魔物の羅列に浮かべる表情を探るためだ。

「でしょ?逃げ足には自信があるんだけどー…… コレは流石に単独で向かうのは無謀ってコト」

そう、距離にすれば踏破に1週間も掛からない筈。
けれどそれには理由があり、地図に印された有益情報──隠蔽されたテレポーターを首尾良く利用するが故。
テレポーターで端折られた階層分だけ、到達地の魔物は強力なものである訳で。
にも拘わらず、──男の表情には豪胆な余裕すら感じられる。女の双眸が猫めいて細まり。

「ダンジョンでのお楽しみはぁー…高い酒持ち込むくらいしかシてあげられないけど…」

勿論、魔物に見守られながらしっぽりまぐわう趣味も無いが故。
とはいえ、──其処で女がふと、その酒濡れ艶めく己が唇に人差し指を宛がって。

「もし、惚れ惚れしちゃうほどの充分な働きをしてくれたらー……
 ボーナスに、朝焼けを見ながらの濃い珈琲、くらいはぁー…… あるかも♡」

そんな思いつきのリップサービス。密やかに囁くのである。

ヴァーゲスト > ――…一つだけ訂正をしておこうか。
しぐさ一つで柔らかに弾む真っ白い双丘に興味はある。
むしろ興味しかない、同じだけ酒に濡れ艶めく唇にもだ。
だとしても『仕事』は仕事、手を抜く真似は絶対にしない。
特に自分で面白そうだと思った仕事は絶対にだ。

隻眼に捉えているのは柔肌…ではなく『宝』の地図。
ご丁寧に好物の名前と場所が記された地図から、視線をあげて女を隻眼で見据えれば、ちょっと…いや結構色っぽい仕草で、甘い甘い餌をぶらさげる女に対して、まっ本気半分、冗談半分と、理解したうえで。

「そりゃボーナス目当てに気合入れなおさねぇとな。
 ……とは言っとくけどよ。
 まあ、アレだわ、少なくとも仕事として受けるからには、
 ボーナスがあろうがなかろうが手を抜かねぇよ。」

窮地に見捨てることもな!と言葉を付け加えてから、軽く肩を竦めてケラケラと笑うと、杯をまた持ち上げて口をつけるとぐっと杯の中の蒸留酒を喉へと流し込み、コンッとテーブルへ杯をおろす。

「アンタが裏切らない限り、雇い主は裏切らない。
 ヴァーゲスト・ラグランジュ・ヴィハーユの名にかけて誓ってやる。」

誓うように滅多に口にしないフルネームを酒気混じりの息を吐きながら名乗って見せれば、またニィっとどこか不敵に笑ってみせて。

あ、でもあれだ。
ボーナスは嫌いじゃない、寧ろ大好きである。
大好きだし、こんな美人と朝焼けを見ながらの珈琲は大歓迎まである。

つまり、仕事は仕事として全うするし。
遊びは遊びとしてぜひ珈琲をだな………。

ドリィ > 男の言葉に、女が僅かに双眸を丸め。感心したよに少し笑った。
口笛でも吹きたい気になって、衝動を宥めるよに杯を傾け、酒精を飲みくだす。
成る程。あのギルド員は中々に良い人選をしてくれたらしい。

「───それはプロフェッショナルに失礼を。報酬分の働き、大いに期待できそうね。」

少なくとも女が忌避する、時に魔物よりも或る意味厄介な、
慾に駆られて後腐れる同行者では無い模様。それは大きな信用材料だ。
名乗りを聞けば、女はまた――笑った。

「あら頼もしい、ヴァーゲスト。ならあたしも雇い主…
 ………いいえ、パートナーとして、帰還の杯迄、貴方の報酬までの道のりをしっかり護るわ。
 あたしの名前はドリィよ。特技はお宝への道案内。罠や開錠も、ね。」

そう、守られるだけの雇用主になるつもりはないのだから。
帰還の朝焼け珈琲はちゃっかり祝杯へとすり替わり。
そして女は手を挙げ、店員を呼び止めた。

「作戦会議にはまだまだ酒が足りないしー……
 はぁい! こっちにエール持ってきて!」

勿論地図を肴に一時の相棒と、建設的で旨い酒を飲むがためだ。

ヴァーゲスト > 作戦会議はいつまで続くか。
運ばれてくるエールの瓶は何本で止まるか。
上等な酒とそこそこのツマミ、唇は乾かず言葉は尽きぬ。

冒険者ギルド併設の酒場の片隅のテーブル席。
その熱意と情熱と酒は夜が更けても続くのだった。

ご案内:「冒険者ギルド 酒場」からヴァーゲストさんが去りました。
ご案内:「冒険者ギルド 酒場」からドリィさんが去りました。
ご案内:「王城 訓練場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 王城内訓練場
 普段の装いとは違い、黒い秋服の一張羅姿ではない。
 色身は同じであれど、胸当てとロングパンツ姿の一般的な稽古着姿。
 袖を七分折りで捲り上げ、しかし長い黒髪はそのままに王城や街中など、戦場以外で所持している剣を二刀。

 周囲からは様々な意味合いを持つ視線が飛ぶ。
 アスピダから一度戻った姿は相変わらずの霞み仕上げのような赤い瞳と白いギザ歯がずらりと並ぶ口元。
 目立った損傷のない体は、切先を浮かべたまま逆手で持ち運ぶ巨大な木剣。
 木材だけでは足りないように思えながら、それを片手振りで稽古に入り始めて時間が少し経過している。

 汗で滲む稽古着、その場で口で回数を小さく刻みながら振う速度、威力がなかなか落ちないまま
 両腕の筋肉が疲労と使用歴でやや凹凸の盛り上がりを見せている。


   「―――ッッッ…、…!!
    ―――150っ…、…っっ!!」


 何もない空間 稽古場のやや冷えた温度
 雨で塗り替えられたはずのその場所は、汗と熱運動で少しだけ冷気を奪われていると言ってもよかった。

 

ご案内:「王城 訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。