2024/04/17 のログ
■メアリ > 「ヨウカイ?……もう、驚かす楽しさに気付くのは良いですけど
私に仕掛けてくるのはやめてくださいね……
うっかり枢様を蹴り飛ばしてしまうかもしれませんよ。」
初めて聞く言葉に不思議そうに首を傾げつつも、人を驚かす楽しさに気付いた様子の相手には
自分には気軽にそのようなことをしない様にと釘を刺す。
己は特に反射的に足が出やすいし、平民地区ならばまだしも場所によっては襲われていると勘違いしない保証もないのだ。
「あらまぁ。お金の稼ぎ方を知る前にお酒の楽しさを知ってしまうなんて……
枢様、それは褒められたことではございませんよ」
饒舌に語る様子から相手がどれほどお酒を好きなのかはしっかりと伝わってくるもので。
褒められたことではない、と褒められたような人間ではない己が語る。
「霊体ならば人の様にお金がどうしても必要という事もないのでしょうけれどねぇ……
その仕事はどうやって行うかはご存じですか?」
■枢樹雨 > 「この身で痛みを感じるのはやぶさかではないが、驚き怯える顔を眺める楽しみを阻害されるのは嬉しくないね。
メアリを驚かすときは、脚の届かない範囲から試みるとしよう。」
痛みもまたひとつの刺激。
己の胸元に掌を置き、受け入れ体勢を示して見せるが、それはもちろん貴方の蹴りが持つ威力を知らないからこそ。
ひとまず別件にて回避の方向へ意識を向けること叶えば、尚もちょうだいと強請るよう、貴方の持つ酒瓶を白い指でつつき。
「褒められなくてもお酒は美味しい。
幸い、メアリの様に気前の良い者がご馳走してくれることもある。」
先日お酒だけでなく食事もご馳走してもらったからと、今日もまたご馳走してもらえる気でいる妖怪。
今度は酒瓶を爪先でかりかりと擦れば、少し頭を傾け、前髪の隙間から花紺青の瞳を覗き込む。
しかし仕事について聞かれると、ぱちぱちと数度瞬き。
「仕事は…、何かをして…、ゴルドを貰う、……何かをして。」
答えてみようとはしたけれど、妖怪の口からは確信的な何かは出てこない。
心なしか、声のトーンも落ちており。
■メアリ > 「貴方の様な淡々とした口調でそんな風に仰っているのを聞くと少し恐ろしくもありますが……
そうですね、もしやるのならば脚の届かないところからにしてください。」
というかそもそも足が出そうになるほどまで驚かす様な事は控えて欲しいのだけど、などと思いながら
酒瓶を突いて強請る女を見つめる。
「毎度そうも運よく気前の良い人に巡り合えるとは限りませんのよ?
――そう、何かをして。私は今その"何か"を聞いているのですが……
その様子だとご存じないようですね。」
声のトーンを落とす女の瞳を、その前髪の隙間から見つめながらにそう告げては、すっかり
ご馳走される気でいる様子の女にまた一つ呆れたようなため息を零す。
さっきからため息ばかり零している様な気がするのは気のせいではないだろう。
「良いですか、まずはですね……――」
女の方へと僅かに身を寄せつつ、手の中にある酒瓶をその色白の手へと渡した。
中身は己の飲みかけ、三分の一があるかないか程度のぬるい安酒だが、酒には違いなく。
まるで何も知らない子供か、泥だらけの仔犬でも世話している様な気分にもなりつつ、この国で
女でも出来そうな仕事を簡単に教えてあげる事にした。
お金を手に入れる手段、その中にはちょっとした悪知恵も含まれているかもしれないが、それを
実践するのは女次第であって―――
■枢樹雨 > 高い所から雫を一滴垂らしてみようか。そんないつかの悪戯を想像して楽しんでいた筈が、
仕事という単語を覚えて仕事の意味を欠片も理解していなかった事実にしょんぼりとしてしまう妖怪。
今日はゴルドを払わないとお酒を貰えないのだろうか。
即ち仕事を理解しないと今後貴方からはご馳走してもらえないのだろうか。
酒瓶を擦る指を引っ込めると、陰鬱さに磨きをかけた空気で、抱えた両膝に額を擦りつけて。
「人の子の、どの行いが仕事だったのだろう……」
畑を耕すことか。食事を作ることか。戦をすることか。魚を売ることか。
あらゆる人の行いを思い出しては見るものの、どれがお金を貰うに足ることかイマイチわからない。
――と、其処へ差し出される酒瓶。
驚きに少し目を瞠るも、両手でしっかりとその酒瓶を受け取る妖怪。
「飲んでも良い?」と聞くくらいのしおらしさは持ち合わせていた様で、許可を貰えばちびちびと美味しそうに酒瓶を傾けただろう。
その傍ら、貴方が仕事について教えてくれるならば、じぃ…と視線を送り耳を傾けたはず。
実際にそれを行うかどうかは、恐らく妖怪のその日の気分次第―――。
ご案内:「王都のどこか」から枢樹雨さんが去りました。
ご案内:「王都のどこか」からメアリさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 地下闘技場」にエレン・ローズマリーさんが現れました。
■エレン・ローズマリー >
港湾都市ダイラス
春先の開花が内陸で目立ち、海沿いの街も活気が出やすい。
暖かくなりながらも昼と夜で区切られ、夜風はラムで火照った体を冷やすのが心地よい。
海沿いの街故海鮮も色味が明るいものが増え、レストランも賑わうだろう。
そう、普段なら。
今では賑わいとスリルを味わえるだけ味わう者が多い。
何時此処が来られなくなるかわからないから。
あの忌々しい山の麓に存在するようなこの街は、いつ鉄火場になっても可笑しくない。
気楽に酒を傾けられる時間はもう何時頃だっただろう。
そんな世界のせいか、地下もより一層だ。
潮風と花の甘い香りが漂いそうな表の世界
夜風か心地よい夜も暖かい昼も感じられない。
塩辛い空気と生暖かい熱気 血潮がツンと鼻にくる。
それが地下の闘技場空間。
古式ゆかしいコロシアムの場。
「金廻りが良くても、いつ途切れてもおかしくないと思うと維持も大変ね。」
殺し合いを眺める場所 すり鉢型にすることで見下ろし、全周囲の人間が見れる空間の一角。
金網状の囲いの中で逃げられず、紫電すら奔っている中で殺し合いを広げ、床の綺麗な白
其処に赤が増える度に怪我と出血を知らせることで、周囲は声を上げる。
その空間を見ながら、小柄な少女 エレン は周囲にそんな愚痴をこぼす。
山脈の不気味な今を想うと、なんとも気だるげにしながら白桃ワインを杯の中で啜った。
周囲の肥えた人相と首飾り、宝石の指輪
傍で酒を注がせる美女など、ありきたりな人物らとの一幕だった。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 地下闘技場」からエレン・ローズマリーさんが去りました。
ご案内:「平民地区・冒険者ギルド内訓練場」に影時さんが現れました。
■影時 > 平民地区の某所に位置する冒険者ギルド。
そこに併設されている訓練場は屋根壁がある作りであるお陰で、天候に関係なく訓練に勤しむことが出来る。
しかも、ギルド自体が冒険者向けの酒場と簡易宿泊所も兼ねているため、ギルド内を移動するだけで一日中を過ごせることだろう。
勿論、やろうと思えばという但し書きは付く。
飲み食いできるもののボリュームはあっても、壁が薄い簡易宿泊所は密やかな喘ぎ声が漏れるお陰で常時快適とは言い難い。
稼ぎが増えるにつれて、利用者が減る宿泊所とは違い、酒場と訓練所は熟練者であっても利用の機会が尽きることは恐らくない。
例えば、重傷を負って回復した後の冒険者が、調子を戻すために訓練する場合だろうか。
強力な回復魔法で重傷から復帰が叶ったとしても、感覚に違和感を覚える者は少なくない。そうでなくとも。
「……――まだちぃと、感覚が鈍いかねェこりゃ」
数日寝ているだけで、調子が狂うというものも多い。ただ寝るのではなく、回復のための眠りとは特にそうらしい。
夜を迎え、酒場の喧騒が遠く聞こえてくる訓練場。踏み固められた土が一面に広がる一角で、ぼやく姿がある。
上半身を脱いだ袴姿の男だ。上体に巻きつけられた包帯に血の色が赤黒く滲むが、意に介する様子はない。
ただ、包帯の有無よりも体内の感覚にどこか違和感があるらしい。右手に抜き身の刀を提げ、左手に目を下ろしながら五指を開閉させる。
薄っすらと汗が滲むのは、先刻より何度も何度も素振りを繰り返し、具合を確かめた結果からだろう。
千近くを数える動きの反復を続けても、息の乱れもないのは培った鍛錬の賜物か。
■影時 > そんな光景を近くの壁際、荷物置き代わりに置かれた木箱の上から見遣る小さな姿がある。
几帳面に畳まれた羽織と襟巻に寝床よろしく潜り込む、小さな獣たちだ。
派手に負傷を得た飼い主または親分の惨状にはあたふたしたが、早い回復を得たのは彼らの尽力の賜物だろう。
魔法さまさま、と言ってもいい。そして、体力回復のためのポーション類もストックしておいて正解だった。
(ここ二日くらい、水っ腹になった心地だったのはいただけねェがー……)
そこは仕方がない。内臓まで鍛えているような忍者のタフネスでも、限度はある。
身体をひたすら休め、眠り続けて回復に専念したからこそ、完調手前とは言え復旧は早かった。
「とは云え、だ」
眠たげなのか、それとも退屈なのか。
上着と襟巻の見張り番のような子分の二匹が尻尾を振り、欠伸するのを一瞥して肩を竦め、刀を構え直す。
正眼に構えた刃が天井や壁に架けられた、熱のない魔法の光を受けて冷たく輝く。
硬軟含め、様々なものに叩きつけられた刃金に毀れはない。切れ味は今も昔も変わりはなく、鋭利そのもの。
「斬れねぇワケじゃなかったンだよなあ。遊びが過ぎた――って、言われちまうとそれまでなんだが」
零しながら振り上げる刃は、微かな踏み込みとと共に振り下ろすだけで、静かに虚空を切り裂く。
生じる刃音は密やかに。一分のぶれもなく、筋骨のうねりと律動を以て駆動する。
前に一振り。後ろに戻るに一振り。持ち手の武骨さとは裏腹に、太刀筋は乱れなく精緻だ。