2023/11/20 のログ
イーヴィア > 「わかった、なら、あくまで技術次第って所にするぜ。
ま、ある程度は保証出来るさ、元々が強度の高い金属になるからな。
山登りで酷使するって言われても、十分対応出来る様にしてやる。」

(――魔黒石ではない、全くのクズ石が、実は無い訳でも無かった。
だが、其れを指摘するのは野暮だし、問題が無いから良い
本人が、集める事へ掛けた苦労やらを鑑みれば、十分過ぎるで在ろう

一度鉱石を荷物の中へと纏めて戻し、蓋をし直せば
羊皮紙の上に掌を乗せた男の傍に寄り、其の手の大きさに沿って型を取る
――元より体格の良い男だ、長剣を振るって居たと示されれば、納得もする
手首の辺りまで輪郭が取れれば、もう大丈夫だと、手を離すよう促し。)

「……なら、其れが一番手に馴染むだろうさ。
敢えて、其れ以外が良いって言うんなら又考えるが…。
……嗚呼、そうだ。 奇抜にならない型で、実戦向きになるぜ、見た目はよ。」

(――良い手してやがんな、なんて、軽口めいて紡ぐのは
その指が、確かに刃を振るう物の手をして居たからだ
其の来歴や過去にまで興味は無い、が。
もし、これが、剣を振るった事も無い様な奇麗な指で在ったなら、最悪
まだ早い、と突っぱねていた可能性も在ろう

後は――武器を振るう、理由次第だ。

少し男に待つよう言い残して、一旦店内に戻る
発注用の紙をカウンターの棚から一枚引っぺがしては
商談机の上に乗せ、恐らくは工程で必要になる金額と、追加で用意する材料
その内訳を事細かに記入してから、筆を置き。)

「もし、アンタがうちで良いってんなら、名前を寄こしてくれ。
溶鋼から始める分、直ぐに仕上げるとは言えないが…、……無駄にはしないからよ。」

(――此処まで、話を進めた上で。 決めるのはあくまで、相手次第。
もし、何か不安が有るならば今の内に幾らでも聞いてくれて構わないし
納得の上で、サインをするか決めれば良い
これだけの熱の入れようだ、もう少し吟味すると言われても驚きは無い
腰に手を当て、少しだけ己より背の高い相手を、見上げよう

――その顔は、自信に満ち溢れていただろう、が)。

アドラー > 「あぁ、よろしく頼む」

作成は彼に頼み、その後の使い方の工夫は自身でやればいい。
魔力と親和性のあるワイヤーなら魔力を通すことで様々なこともできるだろう。
その可能性を広げる意味でも、強度は確保しておきたかったのだ。

型を取り終え、手を離すよう促されれば言われた通りにする。
これだけで分かるのか。と内心ではそのあっさりとした確認に驚く。
手の輪郭を取るだけで必要な得物のサイズがわかるのは、ひとえに彼の経験からだろう。

「……いや、それで頼む。
 このような特別な武器は奇を衒うより、自分の得手で振るうべきだ。
 見た目も君に任せる。私としては強いこだわりはないからな」

右手をきゅっと握りながら、表情にやや陰が差しつつも、直剣を作成することは揺るがず。
細く奇麗ながらも刃を振るい、戦いを重ねてきた手。
戦場を潜り抜けてきた戦士といえば、ごつごつとした傷だらけの手と考える人もいるだろうが
青い瞳の男はそれとは系統が違いながらも、いくつかの修羅場を潜り抜けている。その経験が手に宿っていることは赤髪の彼も見ただけで分かるだろう。

提示された金額を確認する。
懐が元々豊かではない上に魔黒石そのものを集める資金をいくらか使っており、更に作成の出費。
中々に経済的には痛手だが、これは必要な経費とやや苦い顔をしながらも、相手の自身に満ちた顔を確認すれば、こちらも表情が変わる。

「そうだな。完成はいつになるだろうか?」

変わった後は間を開けずに筆を持ち発注用紙にサインをする。
これまでのやり取りで彼はやり手だということはすでに確信している。
ならば、自分がやることは一つ。一流の鍛冶屋の彼、その双腕で作られた武器が出来上がるのを待つのみだ。

イーヴィア > (――表情の変化には、気付かぬ筈もない。
だが、其れを指摘するのは野暮だ。 己が口を挟む様な事では無い
ただ、己の目から見て、この男が携えるべきと思う刃を示すだけ

当然ながら、特殊な素材を扱う以上、其の工賃は安い訳では無い
素材が持ち込みでなければ、余程の富豪でなければ負担なぞ出来ぬ金額になって居たろう
されど、其処は負けぬ。 鍛冶屋も当然商売人であり、己が腕を安売りする心算は無い
従業員を養わなければならない以上、支払えぬ者に甘くは出来ない
其の上で、其れを良しとするなら、其の期待に応えるのが仕事なのだから。)

「……判った。 もし金額に変更が在れば、次会う時に報告する。
嗚呼、高くなる事は無いから安心しな。 安上がりになったのをハネないって意味だ。」

(此処に記載したのはあくまで推定の金額故に、変動は在り得る
ただ、変動するとはいえ、店の鉄則として、後追いの値上げは掛けない事に為って居る
男がサインし終えるのを見届ければ、羊皮紙を持ち上げ、従業員に手渡そう
受け取った其れを仕舞いに、従業員が離れて行くのを見送ってから

――ふと、男に一つ、これは提案として。)

「……そうだな、少なくとも一週間から、其れ以上。
鉱石をインゴットに変える所でどのくらいかかるかだろうな。
気になるなら、店に顔を出してくれれば、大体の進捗は教えるさ。
――嗚呼、其れと。 ……もし、素材が少しでも余った場合は如何する?」

(――魔黒石は希少な素材だ。 たとえ少量でも、使い道は在る。
男が、他に用途が有るなら返却するが。 もし、必要無いなら。
店側で買い取り、其の分を支払いから削っても良い、と)。

アドラー > 冒険者兼傭兵としての自分。商売人かつ鍛冶屋としての相手。
お互いの立場をよくわかっているからこそ、金額についてはあれこれ言わずに飲み込む。

決して安くない工賃は必要経費と腹を括り、むしろ今は彼の仕事ぶりが如何様なものか楽しみにしつつある。
彼が作った武器と道具で、更に稼ぎを出せばいい話だ。
取らぬ狸の…とはいうが、金欠の今はそういう空想を否が応でもしてしまうものだ。

「王都の商売人としては随分と優しいじゃないか。
 ケチな鍛冶屋なら、鉱石の一部をちょろまかそうとするものだが…
 まぁ、仮にそのような事をするならば、あそこまでいい噂は立たないか」

元々提示された金額から高くなったり、鉱石が不純で足りなくなったと言われた経験は何度かある。
そのようなことは予めしないと宣言する彼に、微笑みを浮かべる。
大きな店に併設した鍛冶施設、多数の従業員を抱え、いい噂が広がるのは正当かつ上等な仕事をしているからだろう。
商人や客とのトラブルの解決も、きっと彼なら上手だろう。話し合いか拳か、どちらで解決するかはわからないが。

「一週間か。わかった。それならこの腕も多少は動くようになるはずだ。
 定期的にここに来よう。そこの壁にある武器も興味深いからな

 …考えていなかったな。……そうだな。全て私に返却してもらおうか」

壁に飾ってある武器を指差しながら、笑顔で答える。
そして、余った材料の所在をいかにするかを聞かれれば、顎に手を添え数秒考える。
その結果、今後のことも考慮して、今は手元に置くこととするようだ。

イーヴィア > 「ンな事してみろ、希少な素材持ってる連中は寄り付かなくなるっつーの。
こっちは好きで鍛冶屋やってんだからよ。」

(趣味ではなく、これは生業だ。 己がこうと定めた道。
なら、真っ当に稼いで真っ当に生きる方が余程心が豊かになろう
第一、評判商売なのだ、この規模の店で出来る事じゃあない。
ひとえに鍛冶屋としての自尊心、と呼べるものだろう

基本的に、そうやって自分の矜持を優先しがちである己が上手くやって行けて居るのは
自らの鍛冶の腕と、運よく集ってくれた従業員のお陰に他ならない
彼らに顔向けできないような、こすい仕事は、出来ないのだから。)

「取りに来るのは、何時になっても構わないさ
都合の良い時に声を掛けてくれりゃあ良い。 ほら、うっかり懐が寂しくなっちまったとかな。」

(最終的に支払って貰うと言っても、多少の都合は聞いてやれる。
受け取り日時については、また改めて、と話を掛けつつ。
鉱石の返却については、了解、と頷いてから。)

「なら、インゴットの状態で渡そう。 何かに使うにしても、都合が良いだろ?
後は…まぁ、他に入用なら何時でも歓迎さ。 日用品でも受け付けてる。
金物なら何でもな、包丁から鍋まで御用さえあれば。」

(己にとって、武器だけが鍛冶と言う訳では無い。
勿論、武器や鎧鍛冶が、鍛冶屋としての花形である事は間違い無いが
――壁面に飾られた装備品以外にも、一般市民が手に取れるような金物棚も存在する
気軽に利用してくれ、と、口元に弧を描いて)。

アドラー > 「ふふ、そうだな。
 鍛冶屋に限らず、仕事というのは信用第一だ。
 冒険者でも不実な人物には依頼は回ってこないし、誰もパーティを組みたがらないさ」

自分も信用が重要な仕事をしている故、相手の気持ちはわかる。
特に商売を長く続ける上では信用というものは必要不可欠だろう。彼を見ていれば、よくわかる。
信用を失墜させれば、それこそ商売相手に影響したり、同じ仕事をする仲間にも影響あるのだから

「ぐっ…そうさせて貰おうか」

自分の懐事情を看破されたようで、苦い顔をする。
やせ我慢しても仕方ない。今日日ここまで融通を聞かせてくれる商売相手も珍しいため
お言葉に甘えて、完成した後は自分の都合で受け取り日時を設定しようかと思案する。

「わざわざすまない。加工と作成が済んだら完成品と一緒に受け取ろう。
 はは、魔黒石で作った鍋か。道楽で作るにしては突飛だな。いつかやろうか」

インゴットとして手元に保管しておけば、ワイヤーや武器が摩耗した際の修復に使えると踏んでいた。
が、包丁や鍋なんて言葉が出れば、笑いながらも存外乗り気な返答をする。

「…と、そろそろ依頼に行かなければならない時間のようだ。
 改めて、完成の目安と余剰分インゴットの取り扱い、金額は把握した。ほかに何かあるか?」

店にある時計に目をやり、コートを伸ばして身なりを整える。
仕事の時間が差し迫っていることを相手に告げると、他に何か追加で確認することはあるか、と問いかける

イーヴィア > 「阿呆な仕事をすれば、其れを良しとする連中しか集まって来ない。
ただでさえ、失敗すりゃあ、それだけで信用を失う世界だからなァ…。
態々自分から下げてやる必要も無い、て事だ。」

(目の前の相手が、余程の富豪、とは少なくとも思わなかったと言う事。
懐事情は如何やら図星らしく、言葉に詰まる姿を見ては、くつくつと喉奥で笑った
此処までの素材をそろえて頼みに来る相手だ、受け取りを諦める、何て事は無いだろう
そういう意味では、例え多少遅れようが、其処まで心配はしていない

魔黒石で作った鍋――火を起こさずして湯が沸かせる鍋なんて物を
うっかり作って良いほど気易い素材では無いとも思うが
想像する分には便利で、発想はいつだって自由だ。)

「おう、御疲れさん。 なんだ、此れから依頼なのか、頑張るなァ。
随分だけどよ、張り切り過ぎて身を崩してくれんなよ?」

(今から、と聞いて、一度窓の外を見る。
大変な事だと、場合によっては荒事も多かろう相手の仕事を慮りつつ
他には、と言う言葉については、緩く首を横に振った
これが、細かな指定の在る鍛冶依頼だったならば、もう少し詰める必要も出て来るが
鋼糸の他は、お任せ、と言う依頼な以上、後は己の頭の中に掛かって居る
相手の望みをかなえ、期待に応えるのは此処から、鍛冶屋の領分だ

代わりに、壁際にふと、置かれて居た小瓶を相手に放って渡そう
中に入って居たのは、幾つかの砂糖菓子
仕事前の甘味くらいには、なるだろうか。)

「甘いのが嫌いじゃなけりゃあ、持って行きな。 摘まんだら、今度感想でも聞かせてくれ。」

アドラー > 「その言葉、世に居る悪徳商人に聞かせてやりたいな。
 ただ、言葉だけで改心するような連中ではなさそうだが」

相手の含蓄の籠った言葉に、口元に手をやって笑いながら答える。
他人を騙し、搾取する輩は大抵説教に耳を傾けず、目の前の金銭を優先するようなのばかりだ。
そういう相手には言葉よりも拳の方が有効そうだが、と付け加えるように述べる。

魔黒石で作った鍋や包丁。そういう道楽は金に余裕が出来てからというもの。
ただ、そのタイミングが10年か20年か。生きている内にあるかわからないが。

「はは、君も朝から炉に火をつけていたんじゃないのか?私から見れば気合が入っているのはそちらの方だ。
 もちろん、一流の職人が作った武器を全力で振るうまでは新たな怪我は出来ない。気を付ける」

窓の外を見れば、日はやや傾き始めた頃合いだろうか。
相手の慮った言葉にむしろ気合が入っているのはそっちとわかりやすく持ち上げて話す。
怪我に関してもこれ以上する負う必要はない。十全な状態で完成品を振るいたいがために体調と危険には細心の注意を払うことにする。

他の確認事項がなければ、会釈をして商談スペースから抜け、出入口へ向かおうとする。
しかし、相手が小瓶を放ったのを視界の端でキャッチすれば、反応よく空中に舞うそれを右手の内に捉える。

「はは、甘いのは大好物でね。糖分は脳に良いと聞くし、貰っておくとしよう。
 感想も次の機会に。

 では、また来る」

小瓶を指先で器用に指先に乗せ、軽く回すとキャッチして懐にしまう。
その後は、手を振りながら店主へ背を向けて出入口へと向かっていった。

一流の鍛冶屋による武器と道具。それを楽しみにしながら、依頼へと向かっていくのであった――――

イーヴィア > 「やめとけやめとけ、別に偉ぶりたくて遣ってる訳じゃねぇんだしなァ。
向こうは向こう、こっちはこっちだ。」

(正義の味方でも何でもない
己の信念が在る様に、向こうにも信念が在るのかも知れぬ――若しかしたら。
幸い金銭的に困って居る訳では無いから、目先のはした金を追わずに済んでいるのも在る

炉にはまだ、火が入ったままだ。 これからまた、己も工房へ籠る事に為るだろう
主戦場こそ異なるが、互いに仕事人、と言う事らしい
ただ、腕を怪我して居るのは決して十全とは言えぬだろうから、其処は気になるが。
本人が、やると言うのならば、人様がとやかく言える事ではない。)

「無茶はしてくれんな。 腕も大事だからな、下手な治し方じゃ、剣も握れなくなるからよ。
……ま、精々気を付けろよ。 命あっての物だねだ、生きる為に死んじまったら元も子もねぇ。」

(片掌を掲げ、見送り。 その背中が店の扉の向こうへと消えて行くまでは、其の場に居よう
からん、と音が鳴り、扉が閉ざされれば。 小さく吐息を零し、足元の鉱石を見下ろして――)

「――――――有難いね、遣り甲斐があるってもんだ。」

(軽く肩を回し、鉱石の詰まった荷を、ひょい、と軽々抱えて、鍛冶場に消える
――まだ、閉店までには遠い。 程無くして、また何時もの様に、かんかんと金槌を振る音が木霊し始める筈だ――)。

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からアドラーさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にアルマースさんが現れました。
イーヴィア > (――本日は半休。 鍛冶屋と言えども、休む時は休む。
かつて一人で店を回していた時と違い、今は店主である己が休まなければ
従業員たちが休むことに気を回してしまう、と言う事情も在る
とは言え、昼前には凡その作業を終わらせて、猶予は作ってあり
もし店で何か問題が起これば、直ぐに連絡が来るだろう

そんな中で――今行われて居るのは、鍛冶とは少し趣が異なる、菓子作りだ
甘味と言っても、そんな大したものではない、ちょっとした砂糖菓子
此処最近店に常備するようになった物が、すっかり減りが早くなった為
この際だからと補充の為に、鍋を取り出した。)

「――――……そうだな…、……とりあえず酒を試すか。」

(――但し、今回は前回と違い、お試しも含まれている
用意されて居るのは砂糖だけではなく、水飴にお酒に、果物の各種絞り汁等等
少ししけって居る砂糖から完全に水気を飛ばす為、弱火で軽く炒りながら

――酒好きなら、先ず酒を試さずには居られない)。

アルマース > 今も営業中の店舗の方から軽い足音。
店の奥の甘い匂いを嗅ぎつける――にはまだ早い。
一度、簡易な調理場を通り過ぎかけ、ちょっと戻って顔を覗かせた女は、単に店主を探していたところ。

「いた。イーヴィア、ベルゼンさんから三本目貰ったからね――あっ。
 甘いの作ってる? あたしの見てるところでやってって言ったのにー」

もうできた? と、鍋の様子を見に近づく。
調理台に、あらかじめ用意された材料。
その中で真っ先に酒の瓶に手を伸ばしたのは、酒好きだからではなく何の酒か気になってラベルを見たかっただけ――である。たぶん。

イーヴィア > (まだ店舗の方では営業が続いている
少なくとも、己が居ずとも大抵の業務に支障は在るまい
こうして鍛冶とは別の作業をして居ても、頭の片隅では常に鍛冶の事を考えてもいるし
何より、昨晩受けた依頼については、焦らずとも腰を据えねばならない
――ふと、背後から声が響く。 通り過ぎる気配で在った其れが踵を返し
此方へと近づいてくるなら、一度振り返って其の姿を確かめ。)

「嗚呼、受け取ったか? なら、無くさないよう気を付けな。
あー、この間言ってた奴さ。 皆食うから備蓄が無くなって来てよ
試しに色々味を付けてみようって感じだなァ。」

(横から伸びた手が酒瓶を手繰るなら、ラベルには太陽を象ったマーク
市場で良く売られて居る葡萄酒であると、"酒好きなら"直ぐに判るだろう
先んじて、別の器に水飴と少量の水を混ぜて置き、水気を飛ばしてダマを消した砂糖を、更に別の器へ移す
空となった鍋には、次の砂糖を入れてまた水気飛ばしさせつつ
炒った砂糖の中に、水で溶かした水飴を少しずつ混ぜ――)

「―――ほれ、酒だ。 あ、あんまり入れるなよ、香り付けくらいでな。」

(酒瓶を持って居るのが女であるから、女へと手伝わせようと。
入れ過ぎては固まらなくなるし、少ない位が丁度良い筈
元々甘味だ、味よりも風味の方が、こう言うのは大事だろう

…女が料理出来るのか、と言う部分に関しては未知数だが
酒を混ぜるくらいは誰だってできる筈だ、多分)。

アルマース > はあい、と大人しく返事をした。
人をいくつだと思ってるの、と言いたくなるような扱いは、女の頭の中では口うるさい親に置き換えられている。

作ってもらったジャグリングナイフは今のところ無くしはしないが、広場で練習していると子どもが寄ってきて取られそうになったりはする。
おひねりが飛んでくることもあるので人が多いところでの練習は一長一短だ。

「美味しくしちゃうとますます減りが早くなりそうねえ。
 んふふ。思い出すなー……計量と下準備はあたしの仕事だったんだ」

生家の経営する宿では、包丁と火は危ないからと厨房に入れてもらえなかった記憶が強いけれど。
裏庭で籠に山盛りになった豆を莢から外したり、明日のパン作りのための粉やらを計っておいたり、の手伝いはしていた。

葡萄酒の種類別で作った砂糖菓子を、利き酒をするみたいにまとめて売ったら売れそうだなあと皮算用をしつつ。
ギャラリーの立ち位置でイーヴィアの手元を眺めていたところへ、指示が飛んでくる。

爪先立ちになって頭上の戸棚を開け、小さな厚手のグラスを取り出した。
ボトルから一口分――掛ける五くらいの量を注ぎ、横から鍋に少しずつ注いではぴたりと止める。

「え、うーん? どのくらい? もうちょい? ストップって言って」

半端に知識があるものだから、料理はともかく菓子類の材料の分量にはシビアになる。
余った葡萄酒は味見するつもりでグラスに多めに注いだが、あとは店主の声掛け次第である。

イーヴィア > 「まぁ、作ってんのは気紛れだからなァ。
砂糖が高くなっちまうと、そう気軽にも作れないし、あくまでお試しさ。
上手く行ったら、踊り子仲間にでも作ってやんな。」

(計量が一番重要だろうお菓子作り。
作り方さえ覚えて仕舞えば、己では無くても、誰にだって気軽に作れる筈だ
今の所、販売に関しては一切考えていないのは、あくまで此処が鍛冶屋だから
ただ、もし従業員からの賛同が置ければ、其の時に漸く考えはするだろう
実行するかどうかは、また別として。)

「――――――……ストップ。 まぁ、溶け過ぎてたら少し砕いて飛ばすか…。
あ、飲んでも良いけど、飲んだら非番だぞ、御前。」

(一応、入れ過ぎても多少なら修正は効く、筈。
砂糖が固まり過ぎないように、入れた酒と共に鍋を回して、飛ばす水気
先刻までとは違い、酒精と葡萄酒の仄かな香りが辺りに漂うだろう

そうして片腕で鍋を回しながら、もう片方の腕では、器に移した先刻の砂糖を混ぜる
水飴と混ざり、湿った砂のようになった砂糖を摘まんで捏ねて、器用に金型の中へと詰めて行く作業
型を抜いて形が崩れて居なければ、其れを固まるまで暫く乾燥させれば出来上がり
既に、横の棚には、乾燥待ちの砂糖菓子が幾つか並んでおり

――それと、恐らくグラスには、一口以上の酒精が残る筈
飲む事自体は止めないが、酔いどれで接客はしてくれるなと、一言釘を刺した。
今日は働く、と言ったその日に働き始めたりする非常勤故に
其の辺りの管理は、店主として)。

アルマース > 「とか言って作るとなると凝り性を発揮しそう~。
 オリジナルの型とか作ってさあ――鍛冶屋印だからー……剣とか斧とか?
 珍しくて受けるかもしんないね」

剣やらを作る傍らに、貝殻のマドレーヌ型のようにミニチュア武器のお菓子型が並んでいるところを想像してくすくす笑ってしまう。

踊り子仲間に、と言うのには、体型維持に厳しい人が多いからな~と曖昧に頷く。
楽屋裏の差し入れのお菓子すら一切手をつけない者も多い――体型以外の色々を警戒してのこともあるが――のだ。

酒を投入する任務を終えて、着々と整然と出来てゆく砂糖菓子。
何味かなあと乾燥具合を見ながら、残った葡萄酒に口をつけようとしていた手が止まる。

「――――んあ。あぶな」

ナイフを受け取りがてら、一応働きに来るつもりで出て来たけれど、今日は人手も足りているしどうしようかなーというところ。
予定はいつだって未定である。とりあえずグラスを調理台の上へ置き、イーヴィアの方へ押しやって。

「ほい、あげる。
 ねえ、エプロン買ってきたら着ける?
 お菓子を作るときと売るときは、可愛いエプロン着なきゃいけないと思うわ」

店舗にいるいかつい面々を、頭の中で少女趣味極まる制服のお菓子屋さんに転向させてとても楽しげ。
夢を見るだけは自由である。

「働くかー。ナイフの支払い終わっても、いっぱい欲しいものあるし」

イーヴィア > 「流石に…、……やるとしても、本職の菓子職人か
俺以外の誰かに作らせて売るって感じだろうなァ
俺が鍛冶に合わせて菓子まで作ってたら、流石に手が足んねぇよ。」

(趣味で、きまぐれで作る分には良いのだが
本当に商売でも始める気か、と、隣の兼売り子に視線配った後で
寄せられた葡萄酒の器は、躊躇なくぐい、と一口煽った非番店主
実際、本当に売り出すとなったら己は作業に手を付けない筈だ
ただ、金型なんかの細かな日用品は、実際作れと言われたら作る

実際女が店で働いていくかに関しては、気分に任せている
他にも非常勤は居るし、元々の従業員に追加でお手伝い、と言う感覚だ
だから、この後誘惑に負けて酒に手を付けても別に咎めはしない、筈。)

「……他の連中が付けたいって言ったらな。
嗚呼、でも女二人が付けたいってなら、其処は導入しても良いな。
ちなみに俺は付けんぞ、常連が来たら、確実に笑われるのが目に見えてる。」

(当人たちが其々で、可愛い物を着たいと言うなら構わないが
己を含め、イイ歳をした野郎連中は、まぁ、却下するだろう
ちょうど、先刻女にナイフを引き渡した初老の男が、休憩がてら顔を覗かせた。
鍛冶屋らしからぬお菓子作りの雰囲気に、直ぐ、可笑しそうに笑いながら去って行ったが。)

「店に出るなら、受付変わってやってくれ。
カールが居るから、備品の確認はあいつにやって貰う様にな。」

(ベルゼンが休憩中と言う事は、恐らく受け付けはカールが代わる筈
だが、女が店に出るなら、カールには別の作業に回って貰えるだろう
まだ、武器や刃物の取り扱いを許可して居る訳では無い故に
基本的には接客と数字が女の担当。 勿論、ずっと椅子に座って居ろ、何て言いはしない
ゆっくりと手を伸ばして、店の事を覚えてもらう分には、歓迎だ)。

アルマース > 「売り出すならそうなるよねえ。本職が忙しくて何よりだわ。
 戦いやらのゴタゴタは早いところ終われば良いけど」

ごつい男が作る砂糖菓子だから良いのよ、と言っても理解されない趣味だろう。
意外性というものを説くのはやめておいた。
本業の品より、お菓子の方が売れていそうな店を思い出して、それはそれで不本意そうだったなー、と思い出したのだ。

葡萄酒のボトルにコルクをぎゅっぎゅと詰め直す。
顔を見れば離れがたくなるし、休みをとる店主も貴重なので、日の落ちぬうちから一緒に飲んで爛れた時間を過ごすのでも良いかなあと、グラスに残った葡萄酒に手を伸ばそうとするものの――

ちょうど背後に人の気配。
視線が合う前に行ってしまったけれど、初老の男だと分かってびくっと手が引っ込んだ。
ぴっと背筋も伸びたので、三つ編みを肩の後ろへ払い、諦めてお仕事の体勢に入るのだった。

「……ん~……男連中が着るから良いのになー。
 笑わせときゃあいいじゃない、あたしと同じ趣味の新規客が増えるし、きっと。
 あたしは着るなら格好いいやつ着るもん……」

およそ菓子屋の店員らしからぬ――黒革やら鋲やらピンヒールやら、露出と殺意が高めの装いを思い浮かべている。
武具屋でも菓子屋でも無い夜のお店のようになって、客が混乱すること請け合いだ。
調理台を押しやるようにして菓子製造の現場から身を離し……

「はあい店長。受付ねー。――あ、そうだ、本読んでも良い? 何かおすすめして」

脈絡が飛ぶのはいつものこと。
武器のやつ、とか本棚にあるやつ、と付け加えればそのうち、部屋にある仕事関連の本のことを指していると知れるだろう。

イーヴィア > 「そればっかりは、鍛冶屋如きで如何にかなる問題じゃないからな。
まだ暫くは続きそうだが…、……先の事は判らないもんだ。」

(争いごとは、無くなる事は在るまい
アスピダの兼も、動きを見せてからまた、小康状態を保っている
一部では、これまでに見なかった新兵器が導入されたり、これからされると言われたり
噂で在れば、いくらでも飛び交っている状態だ、が

――葡萄酒の蓋をする女に気づけば、ふ、と口端を吊り上げる
砂糖が焦げるから、料理の手は止めないけれど。)

「御前みたいな趣味の奴が、どれくらい居るんだっつーの。
……仕事を覚えるんなら、世界の武器種図鑑辺りは流し読みしたら如何だ。
色々と勉強にはなるだろうからな。 後は魔物図鑑か。 素材買取の時に覚えて置くと便利だ。」

(どちらも、己の部屋に置いてある本だ。 一冊だけではなく、いくつも並んでいる
武器屋なら武器の本、と言うのは当然だが、魔物、魔獣の知識は
別に武器屋で無くとも、外を出歩く機会の在る人間にとっては役立つ物の筈
読むなら部屋で読めよ、と言うのは、中には貴重な本も在る為
貸し出しは許可しない代わり、店の中や、部屋の中で読む分には良しとして

――一番最初に固めた菓子を、摘まみ上げる。
まだ、完全に固まって居る訳では無いが、梨の搾り汁を混ぜた物
其れを、離れかけた女を呼び止めて、振り向いた瞬間、其の唇に押し付けようとし。)

「――――……これが終わったら、部屋に戻ってる。
酒が飲みたきゃ、後で来れば良い。 残して置いてやるよ。」

アルマース > 「都会は危険だなー。田舎も田舎で振り回されるけどさ」

戦の影響で塩の供給路が断たれ、薄味の料理ばかり食べ続けた時期。
旅の途中で立ち寄った辺境の村のことを思えば、主要都市がそうなるのは大分局面が怪しくなってきた時だろうから、小康状態で普通の生活を送れる、のは良いのか悪いのか。

本を手に取る許可を貰えば、まかせて、と頷く。

「趣味がおかしいとはよく言われるけど~……。

 図鑑かー。図鑑って頭に入ってこないの何でかなー。
 筋書きが無いから……? 誰かと喋りながら読も」

無くさない自信と汚さない自信が無いので、許可されたとて持ち出しはしない。
頭を切り替えて仕事へ行こうとした矢先、振り向けば、唇に当たる砂糖菓子。
大人しく口を開けて食むけれど……

「……っ……だれか、来るからー…………うーあーもーおお……」

見られたとて、餌付けくらいにしか見えないのかもしれないが。
他人のそーゆーの見たくない人もいるよねー職場でやるなって思う人もいるよねーという一応の配慮をしているところに。
たったそれだけで心乱れるもので。

我慢は体に毒なので、またあとで、先延ばしにするだけ、と自分に言い聞かせ、
うなりながら、男の指の先から付け根までがしがしとしがんで解放する。

「――休みなんだから休みなよね!
 ……、あと、ちょっと焦がしたのも美味しいと思いまーす」

カラメルなら追加の材料も要らぬ一番簡単かつ万人受けする風味である。
新作のお味の余韻を振り払おうとしながら、店頭へ向かう。
味なんかわかんないよもう……とぼやきながら名札をつけるのだった。

イーヴィア > 「物語が良いなら、誰かの伝記でも読めば良いさ。
学者の冒険譚辺りも在るぜ、ちょいと文章がお堅いが。」

(敢えて冒険者の、でなかったのは、多かれ少なかれ誇張が混じるからだ
学者の記録は基本的に見た物に忠実であり、判らない物を判らないと書く故
そちらの方が、情報としては信頼出来るからだろう
まぁ、物語として面白いかどうかは別問題だが

砂糖菓子が、女の唇に沈む
ついでに、其れで終わらず、棒菓子をかじる様に、指の付け根まで齧られる
痛くは無いが、うなりながら齧る様子に、くつくつと笑いつつ
相手が離れれば、また、鍋へと向き合い。)

「判った判った。 ちゃんと休んでるよ。
……なら、失敗作は優先して御前に渡してやるか。」

(焦げた物を失敗作と言うならば、其れを好む女に渡せば良い
また、ある程度の量が出来上がれば、其れが大きな瓶に詰められる事に為る筈
店の至る所に小瓶で小分けにされ、何かの折に摘まみ食いが出来るなら
店員達にとっては、ちょっとした業務環境の改善、に繋がるやも

名札を付けた女が、店先で接客の声を響かせるのを
調理場で、のんびり耳にしながら、今暫し休暇を満喫する事となる筈で――)。

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「喜びヶ原 自然地帯 遺跡と森林」にイオさんが現れました。
イオ >  
 自然地帯 森林と遺跡
 古めかしい煉瓦状に積み上げられた石塊の建築物
 一部は崩れ、欠けた石像なども目立つ 中には保存状態がまだよかったのだろう像が置かれていた台
 もう昔に持ち運ばれたのだろう マニアに売り払ったのか片側だけは上半身は折れ、もう片方は無い。
 まだ雪が降り積もりまででよかっただろう、降り積もれば足場の、凸凹な崩れた石もわからない。
 
 森林の中、青い自身のシルエットはきっとそれなりにわかりやすく映るだろう入口側
 学院で知人に依頼されていた物品を渡した後、酒場で見つけた遺跡内部依頼
 遺跡内部に入る際、生い茂る葉の中の木漏れ日では足りないだろう。


   「待ち伏せ―――はいないかな。」


 かざした手 緩やかな風が遺跡内部の入口へと吹き込むと、その風を辿って感触を確かめているのか
 少なくともゴブリンのような住処にしている者ら 複数勢のものは風が途切れるまで感じなかった。
 下げた左手は腰に備える直剣の鞘 拵えは異国のもの
 透かし鍔の先に少し飛び出ている短杖を抜き、詠唱。


   「зәңгәр шляпа(青い帽子よ)

    компенсация эзләнде(求めに応じてほしい)

    ике көмеш тәңкә(対価は銀を二枚支払おう)


 目の前で三行詠唱
 出てきた鬼火 それとは違う青い松明のような明りが浮かび上がる。
 温度も目に強い光もない夜光色

 懐からゴルドを二枚その青白い火の中に放り込むと、周囲を漂いながら明りの代わりを果たすだろうか
 ふよふよと浮かぶそれに合わせて、侵入しながらも、滞在者の気配は入口から向こうへといなかったものの
 罠 そういった事柄に関してはまた別途対策しなければだろうか。