2023/11/19 のログ
エレイ > やがてカーテンが開き、客が現れれば男は笑顔で迎え入れ──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にアドラーさんが現れました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
アドラー > 平民地区のとある武具店。
掲げる看板には“ヴァルケス武器防具店”の文字が。
鍛冶施設を併設しており、武器と防具の品揃えは一級品。
店主は気難しいながらも彼の鍛冶・練成技術に比肩する者は居ないとされている。

「失礼する」

そのような噂を聞きつけてやってきたのは青い瞳をしたコートの男。
左前腕はギプスで固定されおり、やや異様な見た目をしている。
酒場とは違い、しんと静まり返った店内を見渡していく

「…店主はいるか?」

広めの店内、壁面の多種多様な武器防具。
それを一瞥したのち、店内にもいきわたるような声で店の主を呼ぶ

イーヴィア > (――少し遅れて、いらっしゃい、と声が響く
穏やかな声、野太い声、活発な声――其々の従業員の音色が、重なる様に
従業員の一人が、店の裏へと歩いて行った
もう一人が、"今呼びに行ってますんで"と、少しばかり待つ事を促し

そうして、店の奥から、汗に塗れた赤髪の男が一人、姿を現す
肩周りに下げた手拭いで、軽く顔を拭いた後、店の入り口、佇む男に視線を向けて。)

「―――――……待たせたな、俺が店主のイーヴィアだ。
見ない顔だが、今日はどんな用件だい?」

(腰に手を当て、男へと軽く笑みを向けてから。
明らかに怪我人で在ると判る風体の男へ、椅子を出す様に従業員へと促した
必要ならカウンターの前に、腰掛けが用意される事だろう
店主たる己は、カウンターの内側で、相手に向き合い、用件を待つ姿勢)。

アドラー > 聞き耳を立てると従業員の声が複数。
やや規模の大きい武器防具店だからか、従業員もそれなりに居るようだ。
従業員に待つよう言われれば、焦ることはなくそのまま待機する。

そして現れたのは自身の瞳の色と相反する赤の髪。
隆々とした筋肉、健康的な褐色の肌。人とはやや異なる骨格に身長では自身の方が勝っているはずが
相手の方が大きいような印象を受ける。

「…素材はこれで」

これは期待できそうと思いながら、怪我をしていない手で懐から小さな鉱石を取り出す。
漆黒のそれをカウンターにコトンと置いて、彼の前に差し出す。

名を魔黒石。特定の魔力と親和性のある魔石で主に武器や魔道具に使用される。
王都近郊では産出量が少なく、加工も困難な代物。
用途の幅も狭く、コストパフォーマンス的に活躍する機会の少ない漆黒の鉱石だ。

「製錬・精錬前のものが30㎏。すまないが、店の前に場所をとって置かせてもらった。
 加工の段階で目減りはするだろうが…これを使用し、道具と武器を作ってほしい」

鍛冶施設を併設している店。その店主ならば、鍛冶と冶金技術双方を持っているだろうという前提で話を進める。
鉱石自体も、様々な武器を手掛けてきた彼なら、全く知らないというものでもないはず。

腰掛けを用意しようとする従業員に結構と笑顔でジェスチャーをする。
出来れば彼と同じ目線で依頼をしたい。

イーヴィア > (目の前に現れた人物を、少しばかり観察する様な視線が混ざる
品の良い行いでは在るまい、だが、鍛冶屋としては職業病の様な物だ

己よりも上背は高く、鍛えられた体躯は"動ける"もの
斧や大剣を振り回す様な類では無さそうに見える――とは言え
魔法や種族特性の影響が在れば、見目など当てにならぬ事は多い訳だが。)

「……、…コイツは…、……へぇ、魔黒石!
其れも、質も悪くない。 ――――……30㎏も集めんのは、随分と苦労したんじゃないか?」

(目の前に差し出された鉱石。 相手の許可が得られれば、其れを手に取り、目を凝らす。
見る者が見なければ、其の辺りに転がって居る小石と何ら変わらないだろうが。
その特徴さえ知識に在れば、独特な石であると判る
この鍛冶屋で取り扱った事も有るが、そも、採集量が少ない為に
30㎏もの纏まった量が持ち込まれた事は、余り無い

成程…と、依頼内容に納得したかの声を零しては、改めて男に視線を向ける
椅子がいらぬと言うなら、気遣いは不要と言う事だろう
ならば、必要なのは、鍛冶屋として向き合う事のみ。)

「確かに…、……下手な鍛冶屋じゃあ持て余しそうだ。
其処まで言うんなら、具体的な内容も決まってそうなもんだが。
……一体、俺に何を鍛てって言う心算だい、お客さん。」

(出来ない。 とは言わなかった。
この鉱物を、己が扱えて当然という前提で、男に其の先を促す
希少な素材であり、其の扱いも難しいとされて居る、が
―――だからこそ、鍛ち甲斐も在る)。

アドラー > 自身の振る舞いや容姿を見定められても怪訝な顔はせずに涼しい顔をする。
鍛冶屋という職業柄、武器を扱う相手を見定めるのは当然のことだと理解しているからだ。

「やはり知っているか!ならば話は早い。
 そうだな。商人、御者に炭鉱夫。金も人脈も、かなり費やしたさ」

相手が鉱石を触る様子を止めず、鉱石に関する知見があるとわかれば安堵したように息を吐く。
不純物が混ざっているとはいえ、30㎏という量はさしもの彼でも珍しいようだ。
これを集めきるまでの自身の苦労を笑顔で、短いながらも語る。

鍛冶屋…特にここの店主は気難しい性格と聞いたが、第一印象は問題なかったようだ。
改めて、依頼する物品について話を転換する。

「そうこなくては。
 一つはワイヤーだ。可能な限り頑丈で切れないものを頼みたい。」

自身ならばやれる、という自身に満ちた表情にこちらもニヤリと笑みをこぼす。
リクエスト内容。作成してほしい道具は自分が使っているワイヤー。それを魔黒石で作ってくれというもの。

「もう一つは武器だが…私に合うものを君が作ってくれ」

そして、武器の方は目の前の店主に一任する。

イーヴィア > (産出地は存在する、だが、鍛冶屋の素材としては回って来ない
王都周辺が決して、魔黒石に富んだ大地ではない、と言うのが大きく
また、敢えて採掘に時間を費やさなければ、其の流通が
他国からの交易隊商に依存しがちだと言うのも在る

そんな物を、個人で30㎏も集めるとなれば、確かに男の言う通り
相当な時間や資産を費やしたのは間違い無さそうだ
――逆に言えば、其処までしてこの鉱石で作って欲しいと言う
何らかの拘りがある、と言う事でもあるのだろうが。)

「鉱物ならな、知らなけりゃあ恥ずかしくて、鍛冶なんてやってられねぇよ。
……、……ワイヤーか。 ……一応聞くが、用途は切断か?
其れとも、頑丈でさえあれば、太さにこだわりは無いのか…そこんとこは如何だい?」

(一つ目の注文は、少しばかり片眉を跳ね上げた。
魔黒石と言う素材は、可也取り扱いに難しい性質を持つ
其れを態々と鋼糸に加工してくれと言うのだ。 ――成程、良く"判って居る"。

男の従業員へと声を掛ければ、店の外にある素材を、一度中に運ぶよう頼む
罷り間違って、持ち去られでもしたら面倒だろうし
何より、品質がどの程度均一か、一度鉱石の山に目を通したい。)

「結論から言えば、出来る。 ……後は、お客さんの要望に、どれだけ応えられるかってトコだな。
一度山を見せてくれるか? 炉にぶち込んで、どの位使える様になるか考えて見たいんでね。」

(もう一つの注文で在る、「おまかせ」も、算段が立たねば適当な事は言えまい
棚から筆と羊皮紙を取り出し、男を店の奥に在る商談スペースへと案内しよう
量が量だ、カウンターの前よりも、細かい話をするなら其の方が良い)。

アドラー > この鉱石で作ってほしい理由はある…が、そこは今は語らずに。

「はは、流石だ。噂通り、出来るみたいだな
 …そうだな。基本的には対象の拘束、物体に巻き付けて手元に引き寄せる。自身の移動という用途での使用を考えていたが…
 力の調整次第で切断できる代物は作れそうか?」

多くを語らずとも話が進むのは気分がいい。直接見ずとも相手の発言から手腕が伺え、微笑みがこぼれる。
そして用途に関して説明しながら、普段自分が使っている鋼線を取り出し、カウンターへと置く。
素材の性質が違う故、提示したものと同じものが出来ると限らないが参考程度に。相手が調整してくれることを信じようか。

魔黒石は店の前の小さな荷台に置かれている。
それはそのまま従業員によって店内によって持ち込まれていく。

「好きなだけ見るといい。先に謝っておくが、純度にはばらつきがある、と思う」

様々なルートからかき集めた故か、運び込まれた鉱物の山の純度にはムラがある。
高純度のものもあれば、不純物が多く使い物にならなそうなものも。
鉱石に関する知識不足からか、集めた本人もそこまでは見極めきれなかったようだ。

「頼もしい。ここを選んで正解だった。
 あぁ、あと…念のため言うが、腕のことは気にしないで作ってくれ」

左腕を提示しつつ、自嘲するかのような笑みを浮かべる。
両手で使える武器でも片手で使える武器でも、彼が見定めた武器であれば歓迎といった様子で。
案内のもと商談スペースへと向かう。

イーヴィア > 「そうだなぁ…、……強度に寄せるか、切断に寄せるかって所か。
人間一人二人吊れる程度の強度で良いってんなら、極細にも出来るけどな。」

(――相手がどの程度の物を求めているかは分からない
だが、魔黒石を製錬して出来上がった金属であれば、其れほどの耐久性を出す事は可能だ
相手が取り出した鋼糸は、銅製の物か。 考慮すべきは糸の細さ、そして重さ
重さや強度が違う金属を、同じ様に使う訳にはいかない故に――

……運び込まれた鉱石の山、積み荷の蓋を開け、中に詰められた鉱石を
暫しの間検分しながら、男への細かな確認は続く。)

「仕方ねぇな、それでも近年に比べりゃ大分良いさ。
製錬については、こっちで何とでもしてやる。 ま、其の分ちょいと手間は掛けるが。
……思ったよりは、量になりそうか。」

(――ムラはある、が、総合すれば十分だろう。
不純物を取り除く作業は、鍛冶の前段階で少しばかり時間を貰うだけの事
インゴットから始める鍛冶屋ではない故に、問題は無い

羊皮紙に、予測した製錬済みインゴットの枚数と、鋼糸に使う枚数を記入し
其の後、残ったインゴットで製作可能な武器の選択肢を連ねて行く
魔黒石の特性を考えれば――相手が、やりたい事、と言うのは何となく察せるのだ。)

「―――……参考までに、今まで使った事の在る獲物は?」

(全く使い慣れて居ない獲物を使うよりも、腕に覚えの在る獲物が良いのは間違い無いが
――ふと、新しい羊皮紙を、机の上に置いた後。 其の上に、手を乗せるよう促した。
手形取り――武器の柄を作る際、握りの大きさを、手の大きさに合わせる為の資料として)。

アドラー > 「その二択であれば、強度の方へ比重を置いてくれないか?
 強度が強ければそれだけ様々な事にも使えるはずだ」

切断に比重を置きすぎて、強度が落ちてしまったら困る。
何せ貴重な鉱石を使用しているのだ。長く使えなければ元が取れない。

「ならば安心だ。手間をかけさせてすまない。

 ただの黒塗りした石を魔黒石と偽って販売する商人もいたものだからな。
 少なくとも、武器を作る必要量に達しているならよかったよ」

珍しいものを集めていると、必然的に厄介な輩は集まってくる。
そういう者たちの露払いは得意ではあったし、その努力が報われているようで安堵の表情を浮かべる。

「そうだな、一番長く使用していたのはロングソードだろうか」

過去の経験を振り返る。思い出したくないことも脳裏に過るも、使っていた武器を思い出す。
ナイフよりも本来は一般的な直剣の方に得手がある。
彼に促されるまま、細く長いながらもしっかりとした手指を羊皮紙の上に乗せる。