2023/11/18 のログ
ノーマ >  
「はははー、まあまあ気にしないー気にしないー」

から笑いをしつつ、答える。
どうせ金なんて使う場所もそうないから、懐が痛むということもさほどない。

「ああ、やっぱりねー。
 護衛に失敗してたら、怪我の話どころじゃないもんねー。」

依頼失敗などしていたら、初心者どころの騒ぎではない。
笑い話ではすまないことぐらいは流石に想像がつく。

「んー……それさー、状況が見えないけどー。
 囲まれてたんでしょー? 油断? 敵多すぎ? 連携不足? 運が悪かった?
 それでだいぶ違うと思うんだけど……それも駄目な感じ? 初心者ってどういう基準なんだろうねえ」

いまいち、そのへんの価値観、というようなものがわからない。
自然の中では、状況次第で小さな虫に大きな動物が狩られることだってあるというのに。

「と、そうだった。うちはノーマ。
 最近このへんにきたばっかりなんだ。よろしくねー」

そういえば、名乗り合うというのは交流の手始めだっけか、と思う。
名乗っておいても悪くはないだろう。

アドラー > 「それは君が言う言葉ではないと思うが…」

空笑いをする様子に、やはり普通の女性とは違う雰囲気を感じる。
感じる違和感や相手の雰囲気の正体も掴めぬまま、発言に指摘を入れて

「請け負った仕事はこなすさ。
 ふふ、そうだな。護衛に失敗して生きて帰りでもしたら、それについてなじられそうだ」

生き残ることは重要だが、冒険者としての仕事をこなすことも求められる。
想像していたよりも自由な仕事じゃないな、と再確認しながら、自嘲するかのように笑みをこぼす。

「わざわざ当時の状況を振り返ってまで、野次を回避する必要はないさ。
 この手の揶揄は冒険者にとっては『あるある』だ。気にしてはいない」

といいつつ先ほどは小さな声で反論していたのだが。
初心者だの、弱いだのと野次を飛ばされるのはそれこそ多少は良好な仲があってのこそ。
それに冒険者は忙しい職業だ。今回の話題も数日すれば別の話題に切り替わるだろう

「よろしくノーマ。この酒場に来た、ということは君も冒険者か?」

握手のために右手を差し出しながら、相手の名前を記憶するように復唱する。
最近ここに来たのならば、彼女の素性を知るはずもない。納得しつつ、相手の職業について尋ねる。

ノーマ >  
「そうねえ、仕事はしないとねー。
 なら、それでバンザイだと思うんだけどねー」

必要な仕事さえ。使命さえ果たせばそれで良い。
あとはどうとでもなる。
そういう価値観ではないらしい。そして

「ふーん、そんなものなんだねー。
 『あるある』かあ……」

どうやら冒険者とはそういうものらしい。
……どういうものだろう?
とりあえず、弱みっぽいものは揶揄される。
一々否定するほどでもない。

……本気ではない?


「うんうん、よろしくアドラー。
 ああ、そうそう。冒険者、冒険者。」

差し出された手に、一瞬怪訝そうな顔をして……
ああ、そうか、とこちらも手を差し出す。
すこしゆったりとした服の奥から覗いた手はどこか異様に白かった。

アドラー > 「あぁ…しかし、これでは日銭を稼ぐのでも精一杯だ」

仕事はしないといけないという言葉をかみしめながら、負傷した左腕を一瞥する。
戦闘系の依頼を今までこなしていたが、今回の負傷は経済的にも痛手だ。
回復術師でも友人に居れば、もっと楽だったのだろうが…

「確かに健全な風習とは言えないが、冒険者とはそういうものだ。
 君も揚げ足を取られないよう気を付けろよ」

なぜだか嚙み締めるように言う彼女に疑問符を浮かべながらも
最近このへんに来たということもあってか助言をしておく。
彼女にとって必要なアドバイスかは不明だが。

「相手のことをあれこれ詮索するのは不躾だということは理解しているが…
 失礼。この肌の白さは自前か?」

握手をしながら、相手の異様に白い肌が気になる。
それに先ほどから言葉の端々から感じる違和感。何かを思い出しながら、あるいは覚えているような言動。
普通は踏み込んだ質問はあまりしないのだが、どうも好奇心が勝るのは酒のせいだろうか。

ノーマ >  
「あー……そっか、簡単に治らないんだっけ。
 それはそうだ。片手使いづらいのは大変か。」

さっくりとりかえるとか、すぐに治る、とかではないんだった。
それなのに働く必要はあるという。
たしかにそれは大変なものだ

「揚げ足、か……」

なるほど、そうか。
そうなると、弱みっぽいものは見せないほうが良いのだろうか。
これは考えものかもしれない。

「ん? んー……自前、ではあるけれどー。
 なんか、変? いや、アドラーとは確かに違うけど」

相手の肌の色を見ながら、考える。
そういえば、色は違うかもしれない。
選びようがなかったけれど、問題があるならちょっと検討が必要だろうか。

「まさか、色もナニカの基準とか?」

なんだかとぼけた質問が飛んだ

アドラー > 「普通はな。誰かが都合よく回復魔術でも唱えてくれない限りは、時間の経過を待つしかない」

もちろんそんな相手はいるはずもない。
今話している女性も恰好から見て魔術を使うタイプでもないし。
都合よくそういう知り合いは出来ないものか。そんなことはないだろうと、内心で運がない自分を嘆く

「…隙を見せないほうが上手く行くだろう。こと、この街での生活においては」

依頼以外でも、王都内ではスリや誘拐が相次ぐ地区もある。
自分のアドバイスをそこまで真摯に受け取るとは思わず、やや驚きながらも
経験を踏まえながら、自身の考えを述べてみて。

「いや、何でもない
 白くて美しい肌だと思っただけだ」

素性を明かさないのか、それとも自分の言葉の真意が通じていないのか。
少なくともこれ以上初対面の相手を詮索するのは失礼だ。たとえ相手が気付いていないとはいえ。
自身の質問の意図を安直な口説き文句に変換する。

「き、基準?…な、なにを言っているんだ」

と肌についての話は終わりにしようと思ったのだが、ついついとぼけた質問に困惑が隠せず、普段ではしないような困った表情を見せる

ノーマ >  
「回復魔術、かー。カミサマとかそういう領分だっけー?」

ヒトが作り出したような魔術体系はあまりよくわかっていない。
多少間違いはあるかもしれないが、まあそれは仕方がない。

癒やしの力……はなくはないが、相手に通じるかはよくわからない。

「なるほどねー。参考になるなあ」

割と素直に話を受け取る。
少なくとも、悪意は感じないしおそらくは嘘もないだろう、と判断している。
それゆえ、の行為。

「うん? ああ……えーっと……ありがとう?」

意図をつかみきれず、とりあえず褒められたらしいのでお礼は言う。
結局、白い肌を問われた意味はいまいち理解できなかったが……
まあ、褒められたということはそれ以上の意味はないのだろう、多分。
そう思うことにする。

「ん? うん? ああ、うん。なんでもない。
 気にしない気にしない」

自分の記憶にない話かと思い、つい基準に外れたかと聞いてしまった。
しかし、肌の色を褒められたことを考えれば別に特別なことではなかったのだろう。
相手も慌ててるし、変に気にしたほうがアヤシイだろうか、と誤魔化してみる。

「ああ、そうだ。それより、うん。アドラーもそれなりの冒険者なんじゃない?
 それが、その様子じゃ大変でしょー?
 色々お世話になったし、ちょっとしたオマジナイくらいさせてもらおっか?」

そういって、返事も待たずに男の怪我をしている方の腕に手を伸ばした。

アドラー > 「確かに、回復魔術は神聖に属するものと聞く。
 神の領分と言っても差し支えないな」

相手のやや的の外れた言葉も、その意味をくみ取って修正する。
恐らく相手は知識はあるが特殊な環境で育ったのだろうか。
何やら引っかかる物言いは先ほどからだが、うまく合わせておこう。

「そ、そうだな。気にしないでおこうか」

やはり、会話がかみ合わない。
肌が白くて綺麗と言ってもあまり相手がピンと来ていないみたいようだ。
それに基準だとか…相手の素性などについてモヤモヤと疑問が膨れ上がっていくが、詮索は我慢。

「冒険者としてのランクでいえば、大したことはない、が…そうだな。
 可能であれば、すぐに治したいものだが…?」

負傷している腕に手を伸ばされ、その様子を眺める。
何をするのだろうか。避けるようなことをせずに行動を見守って。

ノーマ >  
「ん、うんうん。よしよし、やっぱりなー」

うまく補正されたことには気づかず我が意を得たりとばかりに満足気に頷く。
記憶は補正されていく……

そして、噛み合わない会話は……
コレは気にしないでおこう。むしろ傷が広がらないうちに忘れたほうがよい。
無用なトラブルはごめんこうむる。


「ああ、うん。オマジナイだし、気休めね。
 きやすめー」

そういって、伸ばされた腕はゆったりした服の下に隠れたまま
折れた腕に触れる。何やら硬い感触をわずかに感じたかもしれない。

そして

「んー……えーっと、はにゃらほんにゃらーむむむーん、と」

口から漏れたのはなんとも気の抜ける呪い?のことば。
ただし、そこからは確かにナニカが腕に流れ込んでくるのを感じた。

「よし、と。まあ、オマジナイだから役に立つかはわかんないけど、ね?」

そういって軽く首を傾げて見せる。
それもほんのわずか

「ままま、そういうことで。のみましょーか。
 ここ、おいしい食べ物とかあるの?」

そういって話を変えていった。

アドラー > 相手の言葉が徐々に気にならなくなってきた。
慣れというのはなんとも恐ろしい。

「オマジナイ?な、んだ…?」

負傷した腕に触れたのは相手の…腕、にしては硬い。
違和感。その後、気の抜けるような呪文の後に『何か』が腕に流れ込んでくる。

「!?」

痛みはない。しかし、慣れない不確かな感覚に驚いたように表情を変えて
座りながらだが、左腕を引っ込めて目を細める。

「待て。話を切り替えるな。私に何をした」

首を傾げる相手を警戒するかのように、アルコールでの酔いも吹き飛び声色が一気に変わる。
外套の懐に手を入れ、ナイフの柄を握る。
ここで始めるのは店主に気が引けるが、場合によっては、と。

ノーマ >  
「おちついて、おちついてー。
 オマジナイだってばー」

選んだのは、自分が使える範囲での癒やしの力。
といっても、他人にどこまで効くのかはよくわからない。
そもそも、十全に機能したとして骨が折れたとかに効くのかも実はよく知らない。
それゆえの、オマジナイ

まあ……害はない、はず。あったらどうしよう。
そこの思考は抜けていた

「んー、困ったなー。
 こういうとき、どうするんだっけー。」

状況は緊迫し、周りもやや反応しつつあるが。
それでも女はどこか他人事のように言葉を紡ぐ。

「別に、喧嘩はしたくないの。ほんとほんと。
 ほらほら、こうだっけ?」

降参、とでもいうように両手を上げて見せる。

アドラー > 「…」

痛みがない。そう、腕の痛みがなくなった
慢性的な痛みがなくなる程度にオマジナイが作用しているようだ。
まだ完全には治っていない様子で自由自在ではないが、吊るさずとも動かせるレベルには回復したか。

即効性のあるような害はなく、柄を握っていた手の力を緩める。

「…こういうのは、事前にどういうオマジナイなのか教えてからやってくれ
 時と場合によっては、君を斬っていたかもしれない」

他人ごとのように手を挙げる彼女に、ため息交じりに告げる。
騙すか騙されるか、という場面に居続けた性か。相手に異様なことをされれば警戒をし、殺気を放つようになってしまった。
反応したほかの客に「なんでもない」と言い、肩の力を抜いて息を吐く。

「…しかし、疑ってすまなかった。礼を言おう。
 このような力があったのだな。ノーマ」

そして、落ち着いたのなら、オマジナイの力を使ってくれた女性に感謝の言葉を述べる。

ノーマ >  
「んー、間違ったかな?」

男の様子を見ながら、あれー?と一瞬首を傾げるが。
男から出たため息混じりの言葉に

「あ、そっか。中身を先にいう、か。
 うん、そうか。そっかー。」

と、やっと理解した、とばかりにしきりにうなずいた。
斬っていた、という物騒な部分はまるで気にもしていないかのように無反応だった。

「いやいや、えーっと……うん。ごめんごめん。
 ヒトには使い慣れてなくてさー。」

まるでヒトに使ってないから言いそびれた、とでもいいたげにいう。
問題はそこではないはずだが……

「そうねー。まあ、一応使える感じ。
 オマケみたいなものだけどさ。」

たまたまあっただけのある種の余分。
女自身はそう思っているが、今回は役に立った……のだろうか。

「で、これ。手、おろしていいのかな?」

腕をあげたまま、とぼけたように問う。
いや、きっと本気なのだろう。

アドラー > 「…次からは気を付けてくれ
 あと、テストもなしに私にオマジナイとやらを使うのも控えてほしい」

マイペースに理解している彼女に呆れ顔で注意をする。
ヒトには使い慣れていないという言葉についても、目頭を抑えながら述べる

「おまけ、か。しかし、面白い力だな。魔術ではないのか?」

魔術の鍛錬を最近しているせいか、魔力の流れや魔術の発動を察知できるようにはなってきているが
彼女からそのような魔力の動きを感じることができなかった。
魔術以外の特殊能力だろうか?ますます彼女の素性がわからなくなってきた。

「あぁ、降ろしていい。
 それで美味しそうな食べ物か…例えばああいう肉とか?」

手を挙げたままの彼女に降ろすよう促せば、食べ物について話題を戻す。
美味いものと言われれば、少し離れた席に座っている男性冒険者が食べているステーキがこの店の名物だろうか。
それがお勧めだろうと指をさしながら教える。

ノーマ >  
「いやいや、まあまあ、そんなこともあるよねー」

のんびりと女は笑う。

「んー、あー……まあ、うん。
 魔術―……とは、違う、と思う。
 じゃあなんだって言われると困るけどさー。」

なんだろう。
超能力、とか?

「ああ、肉。悪くないね」

促されて素直に手をおろしつつ、言われた先のステーキを見る。
実に、わかりやすくていい品物だ。

「じゃあまあ、あれ、たのもっか。
 ごめん、二人分よろしく~」

今までのことはなんでもなかったかのように、しれっと注文を出すのであった・

アドラー > 「面白い力だな。自分でも正体がわかっていないのか」

あるいは思い出せないのか。
魔術ではない力というのは中々興味深い。
自分も似たようなものを持っているが、それとは種別が違う力は惹かれるものがある

「…」

おすすめの料理を教えていると、相手が間髪入れずに店主に注文をする。
『あいよー!』と大声で返事する店主に、ぽかーんと呆然とする。

「…食べれる気がしないのだが…」

勝手に注文されて、あまり時間を空けずに出てきたのは熱い鉄板に乗ったこれまた分厚いステーキ。
腕の怪我もあり栄養が必要なのはわかっているが、ある程度酒を飲んだ後の脂はきつい。
とはいえ、残すのも忍びないし手は付けるだろう。

その後も彼女の掴み処のないマイペースな言動に振り回されつつ、飽きない時間を過ごした―――

ご案内:「平民地区 酒場」からアドラーさんが去りました。
ご案内:「平民地区 酒場」からノーマさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──さーて、今日もブブイーンと張り切ってやりますか、ねぇッ……と」

その中の一室に腕をグリングリンと回しながらやってきたのは作務衣姿の金髪の男。
知り合いからの依頼という形で臨時のマッサージ師としてやってきている冒険者、という立場は今も変わらないのだが、
もうすっかりここの一員として馴染んでしまっていた。
そんな自分に時折疑問を持たないでもないが、男自身としてもなんやかんやこの仕事は
気に入っているのでまあいいか、とあまり深く考えないことにしたのだった。

「今日はどんなお客が来るかねぇ……」

ともかく、男は施術台の傍のスツールに腰掛け、腕組みしながら客待ちを始める。
出入り口のカーテンが開かれ客が現れるか、あるいは魔導機械の通信機を通して客室への
出張依頼が来るか。
いずれかの訪れが、今日の男の仕事の開始の合図となるのだろう。
もしかしたら、受付を経ずに紛れ込んで来てしまうような珍客が現れる、なんてこともあるかもしれないが。