2024/01/02 のログ
■タマモ > さて、そんな感じに、少女は歩き続ける訳だが…
少女は、目的を達成出来たのか。
何事もなく、来た道を戻って行ったのか。
気紛れを起こし、また違った行動を行ったのか。
その辺りの事は、少女のみぞ知る、と言ったところだろう。
ご案内:「魔族の国」からタマモさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」にシェティさんが現れました。
■シェティ > 魔族の国の一区画に在る、名前を持たない魔王の住まう城。
その城門を潜り抜けた先、エントランスホールへと続く廊下の片隅に魔族の侍女が一人佇んで居た。
人間の国では新年の祝祭が催される最中、魔族である彼等にもそういった概念が有るのか如何かは侍女には判りかねたが、
その日は立て続けに城を訪れる賓客達の応対に追われ、慌ただしかった城内は漸く落ち着きを取り戻しつつあった。
「――――……本当に、主様の気紛れには困ったもので御座います。」
誰も聞いて居ない中――或いは何処かで見聞きしている主へのささやかな抗議を兼ねてか、嘆息混じりに独白を零す。
顔見知りや友好関係にある他領の魔族を賓客として持て成すのは良い。
されど自らの首や地位を狙う関係にある者や、見ず知らずの人間さえも嬉々として迎え入れてしまうのは主の悪い癖だ。
城主が客人として受け入れた以上、侍女である己としては出来得る限りの持て成しをするより他に無いのだが、
城内で面倒毎を起こそうとする相手に対してはその限りでは無く、そうした手合いには相応の持て成しを受けて貰う他無い。
ご案内:「魔族の国」にミタマさんが現れました。
■ミタマ > そう。どんな存在でも出迎えてくれるからこそ、魔族でも人間でもない――仙狐と呼ばれる少女も此処に居た。
来た切っ掛けは些細なもの。お正月のお仕事を終え、北方にある自分の実家(?)に術を利用して戻った後の話。
魔族の区画にある薬や色々なものの買い出しをしていた所、とある魔王様が賓客を招いていたので、顧客探しも兼ねてお邪魔した。なんてお話。
流石は魔族の城。
其処にいるのは高名な魔族。それこそ、領地を持つような存在が多く、自分の怪しげな術を疑う存在も居る。
然し、その中には見ず知らずの人間……それこそ、魔族に興味を持つ冒険者等もおり、そういった方には王都で自営業中な事を説明したり。
普段会えない対象への宣伝効果は上々というところ。
そんな中で……。
「ふふー。色々な人とお話出来たのは僥倖ですねぇ~。
これも、"無貌の君"様の懐の大きさと言いますか……。おや?」
其処で見かけたのは、城の一角で溜息を零す侍女服を身に纏う魔族の女性。
如何にもというように、溜息を零している。――普通なら、誰にも聞こえなかったかもしれない。
ただ、此処に居るのは聴覚に優れた天狐。それをしっかりと聞き取ってしまったので……。
ついつい、彼女の元へ近寄って行ってしまったり。
「やはー。お疲れ様です、侍女様。
あれだけの賓客ですからね。色々と大変そうです……。お疲れならば、少しお休みになられては?」
勿論、敵意なんてものはまったくないし、面倒事も起こしてない。
そんな一般客(?)が馴れ馴れしく声を掛けてきたらどうなるか……?
■シェティ > 城主の気紛れによって催された宴の客人の多くはこの国に住まう魔族ではあったが、
その中には時に人間やそれに類する亜人種、ミレー族の姿なども認める事が出来た。
そうした中、何やら嬉々とした様子で他の客人と話し込む少女の姿が侍女の目に留まる。
白い狐を思わせる三角耳に毛量の多い尻尾、加えて異国のものと思われる装束が自然と目に付いて―――。
果たして主がどの様な経緯で彼女を客人として招いたのかは侍女には知るべくも無いが、
敵意や騒動を起こす気配が無いのであれば出来得る限りに持て成すばかり。
そろそろテーブルに乗せられた料理の追加を出すべきかなどと考えていた処、不意に掛けられた声に視線を投げ掛ける。
「――――……今晩は、お客様。……いいえ、疲れたなどという訳では。
それよりも、何か御入用でしょうか?ご所望のお飲み物があれば、お持ち致しましょう。」
己の独白を聞かれたか如何かなどは気に留めず、声の主である少女へと挨拶と共に頭を垂れて会釈を差し向けた後、
特段疲れた様子などは見せず、されど何処か抑揚の淡い声で問い掛ける。
賓客達に振舞われている飲み物の大半は酒精が中心で。
もし目の前の少女がそれ以外の飲み物を所望するのであれば、侍女はすぐさま其れに応じようとするだろう。
■ミタマ > 何故、彼が自分を招いたか。
それは妙に饒舌な営業トークか。はたまた、魔族の国まで自分のお店の噂が広がっていたか。
どっちにしても、招かれたということは興味を持ってくれたということなのだろう。
謁見を終え、他の賓客との歓談を過ごす中での、ちょっとした時間。
言葉を投げかけて、上目遣いでその少女を見詰める一人の天狐。
如何にも真面目!という風な相手は、この魔族の従者らしく見目麗しい。
わー、きれいだなぁ。なんて思ったのはこれまた別のお話。
「――はぁい、お邪魔しています!とても美味しい料理とお酒を有難う御座います!
"無貌の君"の懐の深さには驚かされるばかりでして。やはは……。
ああ、いえ。入用という訳ではないのですけどね? ただ、少しだけ気になったといいますか。
……ああ、そですね~。飲み物はあるのなら……シェンヤンの烏龍茶を。後、よろしければお話相手になって頂いても?……賓客の皆さんとはお話したのですけど、このお城の人とはまだお話をしていなかったので!」
其れ以外の飲み物を求めつつ、更にお話相手を所望してみたり。
疲れどうこうは気の所為だったかなー?と思いつつも、彼女に興味を持っているのか、少しだけ距離を狭めて、小首を傾げて……。
■シェティ > 少なくとも狐耳の少女が客人としてこの城に招かれている以上、城主が彼女に何かしらの興味を抱いたであろう事は確かだろう。
それが彼女の営業に対してなのか、それとも彼女自身に対してなのかは、矢張り侍女には知るべくも無いが。
「それは――お気に召していただいた様で何よりで御座います。
此度は我が主の気紛れにお付き合いいただきまずは感謝を。」
目の前の少女の心中とは他所に、侍女風貌の女は感情の色彩の薄い表情の侭、蒼銀色の瞳が自然と相手を見下ろす格好となって。
それでも、料理と酒精による歓待に満足しているらしい相手の様子を見遣れば悪い気はせず、小さく頭を垂れて謝辞を述べる。
「………かしこまりました。すぐにお持ち致しましょう。
話相手――に御座いますか。私などに務まるか如何かは判りませんが、それでも宜しければ。」
それから、少女の注文を聞けば奥の方へと去って行こうとするのだけれども、次の言葉に意外そうに小首を傾げてその足を止める。
最終的に傍らに居た別の侍従に注文を伝えてから、改めて少女の方へと向き直り、
ほんの僅かばかり戸惑う様な色を垣間見せながらも、彼女の要求に応じるべくその場に留まるのだった。
■ミタマ > 「ふふ、確かに気まぐれかもしれません。
けど、こうやって他の皆さんが楽しそうにしてるのは、無貌の君の気まぐれあってこそですから。そういう意味でも、来賓した立場として、感謝の言葉を向けたかったのですよ~。」
人懐こそうな笑顔。そして、色薄い唇から紡がれるのは主への絶賛の言葉。
それと歓待への満足の言葉は、更に彼女の気持ちを良い方向に向けるかもしれないですけれど……。
「やはー、有難う御座いますっ! こう、美味しいものを食べていると、ついつい祖国近くの苦いお茶ですっきりしたいと言いますか……。
……ええ、お話相手ですっ! 何せ、こうやって魔族の人。そして、侍女の御方とお話するなんて、滅多にないコトですからっ♪
……私はシェンヤン近くからやってきました、ミタマと申しますっ。ミレーではなく、天狐でしてー。
宜しければ、従者のあなたさまのお名前もお伺いしても? あ、お酒飲みます?」
オーダーを別の従者に向けた彼女が戻ってくるのを見れば、まずは自己紹介。
さり気なく自分はミレーではなく、天狐。詰り妖術を嗜む長寿の狐だということを主張しつつ!
ついでに、此処に残っている少し度数高めなお酒の小瓶を持ったりして。ちゃぷんっ……その雫を器の中で小さく揺らしたり。
■シェティ > 「―――有難う御座います。その様に仰っていただけると、きっと我が主もお喜びになるかと。」
侍女からすれば、城主の気紛れに付き合わせてばかりの客人達には迷惑を掛けていないかと冷や冷やしていたものだったが、
目の前の少女の人懐っこい笑顔と、単なる社交辞令とも思えぬ賛辞を受け取っては少しばかり胸を撫で下ろした様子で。
「天狐のミタマ様……私の事はどうぞシェティ、とお呼びくださいませ。
……この通り、些か愛想に欠けるので楽しんでいただけるか如何かは判りませぬが。」
名乗りと共に、侍女服のスカートの裾を軽く持ち上げながら腰を折って会釈をひとつ。
その最中、視界の片隅に映ったのはその片手に携えられた酒精の強い酒の小瓶。
中身が大分減っているにも拘らず、酔った様子ひとつ見せぬ目の前の少女の様相に認識をひとつ改めてから、
ちょうどその折、先の侍従が注文された茶色い液体の入ったグラスを持ち寄るのを受け取ってから彼女へと差し出して。
「―――どうぞ、お待たせ致しました。
シェンヤンの妖術……マグメールの魔法などとは全く異なる体系のものと聞き及んではおりますが。」
■ミタマ > 「ええ、是非!感謝の言葉を伝えてくださいましっ!
……流石に、既に御顔を合わせ、お話した後に改めて感謝の言葉を告げにいくのもなんですし……やはー。」
視線をゆるりと遠くに向ければ、その先。
今も来賓した魔族や人間、その他様々な賓客と言葉を交わす彼女の主の姿が其処にある。
少しは落ち着いてきた。とはいえ、矢張り城の主。まだまだ時間が空くのは遠そうだからこそ、そんな言葉を遺しまして……。
「シェティさん、ですね? ええ、是非呼ばせてもらいますよっ!
……んー、そうでしょうか? 愛想が欠けてるという感じはしませんが。
寧ろ私としては、あれ、ですね! クールな感じがしてとても綺麗だとっ!思ってしまうわけですけどっ!」
お相手様の会釈に合わせ、此方も頭を軽く下げ、ゆるりと一礼。
その存在は長寿だからこそ、強い酒数杯程度では崩れたりはしない。
とはいえ、既に何杯か飲んだからこそ……もし、少しでも顔を寄せれば、その唇から溢れる強めの酒気。魔族であるシェティさんには分かってしまうかも。
とはいえ、お酒は程々に。
差し出されたのは故郷近くで飲み慣れた苦く、それでいて健康にもいい濃い茶色のお茶が入ったグラス。
片手に酒瓶を持ったまま、もう片方にてそれを受け取り……。
「やー、有難う御座います!まさか有るとは。言っているものですね!
……はいはい、そうなのですよー? 魔力ではなく、妖力、妖術。という別系統。
そして、私は王都でそれを使い、ちょっとしたお店を開いておりまして――――。
妖術によって、お相手様の精神を安定に誘い、夢見を良くしたり。睡眠の際の魔力や体力の回復効率を高めたり。
……そういうお店を開いているからこそ、無貌の君に誘われたのかもしれないですね~。」
自分の能力のいち部分の開示。そして、此処に招かれた理由の推測。
結局其れは推測であるけれど、従者である彼女にはもしかしたら、主が興味を持つ程のものなのか。と、少しばかり強めの興味を抱かせるかもしれない――?
■シェティ > 「ええ。主には、その様に伝えておきましょう。」
少女の言葉に応えてから、蒼銀の瞳はホールの中をゆるりと軽く一瞥する。
落ち着いてきたとは言え未だ食事や歓談を楽しむ客人達が多く居る最中、
『無貌の君』の名が関する通り顔も姿も定まらない城主が今どの様な姿で誰と話しているのかは、侍女の目にも一目では判らない。
「………敬称も不要では御座いますが、はい。ミタマ様の御気の召す侭にお呼びいただいて構いません。
そう、でしょうか……。余り、その様に評された事が無いもので、よく判りませぬが………。」
少女の言葉には何処か慣れぬ様な落ち着かない様な、何とも奇妙な感覚にほんの少しだけ蒼銀の視線を泳がせて。
その言葉に混じって零れる少女の吐息には思いの外強い酒精の香りが含まれているのに気付いてか否か、
お茶のグラスを勧める様に差し出してから、少女が其れに口を付けるのを見届けて。
「一通りのものはご用意しておりますが、シェンヤンの茶の淹れ方は余り明るくは無いので、御口に合えば良いのですが。
―――夢見、ですか。王都にはその様なお店も存在するのですね。」
続く少女の説明に対しては、初めて知りました、と蒼銀の瞳を不思議そうに瞠って見せる。
件の主が夢見や睡眠の類を欲している様には余り思えなかったが、或いは純粋な興味本位なのか。
何れにしても彼の耳目として王都の情報収集も務める侍女風貌の女は、その詳細を確かめようとするべく少女の話に耳を傾けてゆく。
■ミタマ > よろしくお願いしますねーっ!と、満面の笑顔。
視線を彷徨わせるけれど、元々彼という存在が稀薄なことと、自身が低身長なこともあって、彼の姿は愚か、他の客の顔立ちも確認できなかったりする。
途中で諦めた。と言わんばかりに首を揺らせば、ぷるるっ!と、その動きと共に頭上の狐耳が揺れて。
「やはー。此処はちょっと自分の癖でして。……お気に召すままにと言われると、此処でシェティちゃんと呼ぶのも吝かではないのですがっ!
……いえいえ、事実ですともっ!寧ろ称さない人達は目の付け所が甘いかとっ!」
此処で、ぐっ!と背伸びをしてみせる! ただでさえ有る身長差。其れを埋めるかのように。
そうすれば当然のように、蒼銀の瞳を彷徨わせていたシェティさんの御顔に近付くのは、整った子供の真面目な顔。
ふわぁ。と漂う酒気から、目の前の天狐が酔っているんじゃ?と思うかもしれないけれど、残念ながら素面。
だからこそ、吐息の熱すら伝わるような距離で。
「ええ、やっぱり! 夜空のような蒼銀の瞳も、落ち着いた言葉を紡ぐ口元も。とても魅力的ですよーっ!
……とと、頂きますね?」
その整った顔立ちへの褒め言葉。笑顔と共に刻んでから、とんとん、と後ろへ数歩下がり、距離を取り。
そのまま、勧められた通りに濃茶色の液体を一口……。口の中に広がる独特の苦味。それが残った酒気や、会食の残滓を洗い流すようで……。
「ぷはっ! いえいえ、美味しいですよー! スッキリ爽快です!
……ふふん、そうなのですよ! 私が平民地区で経営してまして。お客様の要望に沿って、夢見を良くしたり、夢の内容を少しだけ操ったりと。
……もし、興味があるのでしたら、シェティさん。今宵も良い時間ですし……本日、受けてみませんか~? 私の夢見! あ、勿論、お仕事終わった後にですけど!」
もしかしたら、かの主は――この能力の真の力。
夢に干渉することで、現実を改変させるその能力などに目を付けたのかもしれない。はたまた、彼女の想像通り、ただの興味本位かもしれない。
然し、どっちにしても……言葉だけでは伝わらないと思ってか、零すのは彼女に施術をさせようとする、そんな提案。
■シェティ > 満面の笑みを浮かべながら、頭上の三角耳を揺らす少女。
これまでの会話から目の前の少女が見た目相応の年齢では無い事は明白だったが、それでもその仕草は侍女風貌の女から見ても愛らしく。
それ故に、背伸びをして僅かに距離が縮むと同時により一層強さを増す酒精の香りはその少女の姿には酷く不似合いにすら思えた。
「………その呼称は少々慣れませんが、ミタマ様がそう呼びたいのでしたらば、私としては構いません。
そう、でしょうか?貴女様ほどの方からその様に評されるのであれば、光栄ではありますが………。」
そんな認識を胸の内に留めながら、真面目な表情で妙な力説を論じる少女の言葉に、ふ、とほんの少しだけ息を漏らして。
差し出したシェンヤンの茶に満足した風の相手の様子を見て取ったならば、安堵した風な素振りを垣間見せながら。
「ふむ―――興味、とは少々異なるやも知れませんが、ミタマ様がそう仰るのでしたらば。
……勿論、お代はきちんとお支払いさせていただきます故。」
少女の提案に対しては、暫しの間思案する素振り。
女自身が興味を惹かれた――と云うよりは、主が興味を示したであろう少女に対する見極めの色合いが強く。
かの主が彼女の有したその能力を何処まで知っていて、何に目を付けたのかは、矢張り侍女には与り知る事は叶わぬものの、
暫しの思案の素振りの後に、魔族の侍女は少女の提案にゆるりと頷いて見せるのだった。