2024/11/12 のログ
■ゼロ > 「はい。」
静かに、一口酒精を口に運ぶ。
瞬時にそれが分解されて、無毒化されているが、酒精の味を、匂いを楽しむことはできる。
本当にいい酒なのだ、と分かるから、少しずつ、味わい、口に運ぶことにする。
「それに。
―――同じ人間で殺し合うよりも、魔族を殺すほうが、マシですからね。
こんな自分でも、人の為に成ってるって、感じられます。」
これは、本当に個人的な感想だ。
兵士として作られて、人殺しをするよりもと。
人を殺せないという訳ではないし、必要なら、殺す。
それでも、魔族を殺したほうが、人の為になるのだと、自分の中で考えている。
戦う事しかできないなりに、心の平穏を持てているのだろう。
「はい、今後ともよろしくお願いします。」
椅子に身を持たれる師団長。
ふと、思い出したように。
「後、生き延びることは得意ですし、御存じだと思いますが。
年単位で、魔族の国へ侵入しておりましたので。
そう言う技術も役立てていただけると幸いです。」
年単位で、魔族の国の中で、地図を作り続けていた。
今ではもう、何処かに無くなっているけれども、ずっと、魔族の国の中で生き延びる技術がある。
殺すのも得意だが、生き延びるのも得意。
ゼロは、目を細めて口角をあげる。
命令一つで、何処までも狩りに行く猟犬の風貌。
■サロメ >
「──魔族の国への侵略には、上は及び腰だ」
己の戦力、生存能力を誇る少年兵にそう言葉をかける
彼の能力を筆頭に、かつての師団長がそうしたように、打って出る機会を伺ってはいる
しかし一度大敗を喫しているために、二度目の遠征は如何程にも敷居が高い
「君の力を最も活かせるのは此方が攻勢に出た時。
我らの敵の根城を崩すに至る時、ではあるが──」
「王城内に潜伏し暗躍している魔族をまず炙り出さないことには話も進まない。
この砦でやり合っているだけでは埒が明かないのも困ったものだ」
逆に言えば、魔族達がより狡猾な動きをしているとも言える
「第七師団も現状は盤石の態勢だ。
歩を進めるためにも、私はしばしそちらに注力しようかとも思っているが」
そうなれば、必然、王城での行動が多くなる
──眼の前の少年兵を含め、十分に魔族の軍を叩き潰すことは出来るだろうと信頼しているが
「───…時間をとらせたな。私にとっては有意義な話が聞けた」
■ゼロ > 「―――あれだけ、魔族排斥を謳って置きながら。」
上層部は、魔族排斥を謳い、此処を戦場としている。
確かに、過去の失敗は有るのだろう、しかし、だ、ならば、なぜ戦争を辞めないという話になる。
護っているだけではだめなのは、それこそ、軍人でなくても判る通り。
唯、その準備をいま。目の前の師団長が行っている。
彼女は、前師団長の意思を受け継ぎ、それを行使する。
ならば、師団長の剣となり、矢となるのが、ゼロの役割。
「では。
許可を頂けるなら、王城にも、足を運びますが。」
以前は、魔族の国侵入役割を貰うでは、王城で魔族を探していた時もある。
砦の守りに使うもいいだろうし、王城に足を向けて探索するもよし。
やる事があるなら、やるべきことがあるなら、愚直なのが、この兵士だ。
ただ、今の話の流れでは、それを行うのは、師団長らしい。
「いいえ。
此方こそ、ご相伴に与りました。
一応男性なので、女性と酒を酌み交わすのは、楽しい時間でもありました。」
珍しく軽口。
それも直ぐに収まり、ゼロは兵士へと戻る。
仮面をかぶり、サロメへと敬礼を。
「それでは、師団長、御前を辞させて頂きます。
兵士ゼロ、任務に戻ります。」
そろそろ哨戒に出た仲間も戻るだろう。
その情報を聞きつつ、魔族の国の方面の門を、今しばらく警備し。
その時が来れば撤収する。
その為に、ゼロは退室をする――――。
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。
■サロメ > その背を見送り、静寂の戻った部屋の机には二人分のグラスが残る
久々に使ったな…などと、小さく呟く
「あんな言葉も使えるのだな」
軽口を残し部屋を去った少年兵に、小さく唇の端を歪めて
その後も訪れる報告の兵とのやり取りを繰り返し、
後続の王国軍に後を任せれば、対魔族を掲げる師団は戦場を後にする──
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。