2024/10/14 のログ
ご案内:「無名遺跡」に影時さんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」にラファルさんが現れました。
影時 > 迷宮で広間や玄室に篭っている敵を倒すと――宝箱含め、何らかのものを見つけることが出来る。
そもそも、迷宮で屯する魔物たちが如何にして集められているのかについて、諸説ある。
その中で頷ける説は、いずこから召喚されているという説だが、これもこれで議論が途絶えぬ事項でもある。
総じて、迷宮で見つける宝物というのは、大別して三種にカテゴライズできる。
魔物たちが後生大事に守っている宝箱か、手にしているものか、放棄されているか、ということになるだろう。
場合によっては、倒した魔物から素材になるものがあれば剥ぎ取る、採取する場合もあるが。

(……ふむ)

さて、巨大蟷螂が置かれていた玄室の壁の窪みに置かれていた長持めいた宝箱を確かめる。
いくらなんでも化物蟷螂が宝箱を開け閉めできる、とは思えない。思い難い。他の何かが置いたものと考えるのが妥当だろう。
そして、宝箱は罠を仕掛けられている場合も多い。薄い刃状の金具で蓋と箱の境目を確かめ、引っ掛かりの有無を確かめる。
引っ掛かりが無ければ鍵穴も確かめる処だが、金具越しに異常を先に感じ取れる。
鍵を開けて開くと、ドカン、と行く類の仕掛けと見立てる。薄刃状の金具を差し込みつつ、今後は探針状の金具も併用して、仕掛けを慎重に無効化してゆく。
事が済めば、そのまま開錠も行う。程なくしてがちゃり、と。異常なく開錠して蓋を開けば

【形状判定(1d6+0)⇒1:剣/刀 2:短剣/短刀 3:槍/斧 4:打撃 5:射撃 6:棒/杖】
[1d6+0→5+(+0)=5]
影時 > 「……弓と、矢か。そこまで悪い奴じゃあないが……」

箱の中には、隅の辺りに年代と由来も知れない金銀の古銭と宝石が積もり、箱の容積を斜めに横切るものが置かれていた。
弓、という奴だ。一番馴染みのある上下非対称の形状ではなく、Cの字を逆に描いたように大きく反り返ったものだ。
弦は張られてないが素性は直ぐに見て取れる。ロングボウではなく、動物の腱や骨も積層して拵えた複合弓という類だろう。
長さを押さえた造りと、添えられた矢筒の細工を見るに、騎士というよりは遊牧民の類が持ちそうな印象が見える。
決して粗悪な類ではない。寧ろ、その逆。練習すれば使える自信はあるが、普段使いしないものでもある。

苦笑を滲ませ、見つけたものはそれぞれ小分けして雑嚢の中に突っ込んでゆこう。
古銭と宝石は布袋に納め、弓矢はそのまま雑嚢の向こうの倉庫に送る。
持ち帰って、相談の上で使わぬなら換金すればよい。換金して得た金銭は弟子と山分けだ。

ラファル > 役割(ロール)と言う物がある。
 出来る事、ヤれる事、得意な事、苦手な事、出来ない事、それぞれを加味して、自分たちの立場を決めるものだ。
 師匠である影時と、弟子のラファル。
 同じことが出来るかと云えばできるが、出来ない。
 師匠にしかできないことがあれば、ラファルにしかできない事もある。
 同じ技術を噛んでいたとして、生まれの能力的な適性などもある。

 例えば。
 ラファルの方が小さいから狭い所に入る事が出来る。
 師匠の方が大きいから、一撃が重い物になる。
 なと、大きな事、細かい事、様々に違うはずだ。

 そして、師匠が今、宝箱の罠を解除している間。
 ラファルの役割と言うのは。

「もぐもぐ。」

 ぼりぼりと、斃した蟷螂を貪る事―――ーではない。
 食べながら周囲の警戒を行っていた。
 ラファルは、風の力を持つ竜だからこそ、その探知能力探査能力、そう言ったものに関しては、師匠をはるかに超える。
 その気にならなくても、同じ階層の何処に何が居るかは感じ取れる。
 その気になれば、三階層下迄のマッピングは出来る。

 そのぐらいには、感覚がとがっているのだ。
 だから、それを駆使しながら、魔獣や何かの不意打ち等、外的要因の脅威に対しての警戒を、今行っていた。

 そんな折箱が空いた気配がする。
 トラップの解除に成功したのだろう。
 師匠の声がした。

「んー。使おうにも、矢弾の数が足りないよねー。」

 ツインテールを揺らしながら、振り向いて弓矢を確認する。
 使う事は出来るだろう、プロに及ぶべくもないだろうけれど。
 ただ、使い慣れない物を使ってもしょうがないし、何より、あらかじめ準備しているわけではないので、矢の数が心許なそうに思える。
 それなら、石ころ投げた方がまだいいよね、と。
 そう言いながら、まだ探索があるのかな、と周囲を確認する様に警戒する。

影時 > 迷宮で単独(ソロ)で潜る際、今は厳密に独りではない。毛玉たちがだいたい漏れなく付いている。
巡回している魔物は適宜やり過ごすが、今回のように部屋に居る敵を掃討した後の宝箱を確かめる際、彼らが見張る。
今回の場合、弟子が付いていれば、仮に難度の高い宝箱と向かう際でも集中出来る。
開かない、ないし、解除しようもない罠が仕掛けられている箱だったら? その際、笑って分身を介して事を進めるだけだが。

「おぅい、済んだぞラファルー」

一人と二匹で宝箱の中身を確かめ、おやつ代わりとばかりに巨大蟷螂の残骸を食べている弟子を呼ぶ。
魔物の骸を食べていることを咎めはしない。
もともとの生態やら気質やら承知済みであり、食欲が衰えないのは大変結構ではないか。
その上で、神経を尖らせている。その感知と探査のチカラは、己が肉体機能を容易く超えうる。此れも適材適所だ。

「矢も安物じゃねぇな。……使うなら持ち帰って、合う奴を見立ててってとこだろう。
 お互いに趣味じゃねぇなら売って、小遣いにでもしちまうかね」
 
雑嚢に納める前、見つけた矢筒から一本矢を抜きだす。
鋭利な鏃が見える。矢柄や矢羽根は白眉と言えるものは無いが、造りに荒さはなく、真逆の丁寧さが見える。
よく狙って使えるなら、と言ったところだろう。ただ、趣味ではないが故に売る方向で考えよう。
広げたままの鍵開け道具を纏めて片付け、取り出す水袋で喉を潤す。
その姿にあっしらもー、と水を求めて二匹が騒ぐのを見れば、窪ませた手に水を注いで毛玉たちに呑ませる。

「一つか二つ部屋を見て、戻るか。首尾よく下の階段でも見つけられたりしたら良いンだが」

毛玉達も緊張が続いたおかげで、喉が渇いたのだろう。
手首まで走りより、水を舐めてゆく姿を眺め遣りつつ水袋を元々入れていた雑嚢まで戻る。
満足したらしい二匹が肩上に戻ってゆくのを見つつ、傍に置いていた黒い刃の苦無を拾い上げ、立ち上がる。
腰の雑嚢の裏に設えた鞘には現在、世界樹の苦無が入っている。
その先達でもある黒い刃の苦無――無銘黒刃を拾い上げ、弄びつつ弟子の方を見る。

“まだ持っておくか?”と。

此れが無ければできない、という忍術は教えていないが、刃としては癖が無い。練習教材には十分だろう。

ラファル > 宝箱と格闘していた師匠が手を止めて呼んでくれる。終わったという認識と同時だから、矢張り感覚は正しかった。
 魔物を餌として食べるのは、意味がある事だ。
 ラファル自体人竜であり、人間では無い存在で、孕もちとか燃費は悪い方だ。
 修行と称して我慢する事は可能だが―――飢餓の状態は生きるという意味で良くはない。
 そして、ダンジョンアタックに持って行ける荷物に限度があり、食料にも限度はあるなら。
 食べられるものは食べて置く、それが正解なのだ。食べられる物を食べずに飢えて……と言うのは愚の骨頂。
 だから、魔物だろうが何だろうが、食べられるものは食べられる時に食べておくのだ。

 食べた残骸を片隅にペット吐いて、するする、と師匠の隣に。
 改めて、まじまじと弓矢を見やる。
 竜の目からしても、業物―――と言うのは判るが魔力などもない、これが欲しい!と惹かれるほどの物ではない。
 良い物だけど、使って壊れたらはいさようなら、程度の感覚。
 水分補給する様を眺めて、荷物を片付ける所を確認して。

「階段の場所は判るよー。
 二・三個見て帰るなら、届かないけど。」

 先程も言ったが。
 ラファルは風のドラゴンであり、空気が流れる所は全て感知できる。
 先程もぐもぐしたりしている間に、この階層のマッピングは済んでいる。
 階段の所に直で行くならいける。
 二・三個と限定し見て回るなら、それで戻る。
 進むか戻るかは、師匠の判断。
 余力はあるが、食料、水の観点もある。
 だからの確認。

「あい。」

 まだ持つか。
 必要かどうかで言えば、必要はない。
 ただ、封護を普段で抜けないなら、刃は有った方がいい。
 他を言えば自身の爪や、自身の鱗。
 後は風の刃くらいか、それを考えるなら、鉄の刃も選択肢として持っていたほうが良いと判断する。

影時 > 種族が違うなら、良し悪しも当然ながらある。良いことづくめとは限らない。
燃費、というのか。エネルギー消費の速さ、ともいうのか。
何日、何週間等、長時間の探索はまだ試したことは無いが、事前に用意していない限りそれがネックとなる恐れがある。
もちろん、自分たちは形態は違うとはいえ、相当量入る魔法の鞄を有している。
此れがあるから安心、というわけでもないのだ。
万一に鞄を奪われた、魔法効果を阻害するフィールドのせいで中身にアクセスできないような事が起こるとしたら?
想定できるということは、起こり得る可能性が同時に世の中並び立ってしまうわけだ。
故に、食える時に食っておくことは、何ら悪いものではない。
文字通りの現地調達がし易いのは、師たる己より弟子の方であるのだから。

骨付き肉を食べた際、骨を吐くのと同じような仕草で残骸を吐き出す姿が、隣による。
忍びのものの習いとして、弓矢の使い方は指南していたつもりだが、此れもまた合う合わないがある。
同郷で使い手が居なかった、とは云わないが、射かけるとすれば火縄を矢に括り付けての焼き討ちくらいだろうか。

「もう察し付けられたのかよ、早ぇなあ。
 んじゃァ……行けたら行く位で考えておくかね。答え合わせを早々にしなきゃならンでもないしな」
 
下層から上層へと行き交う大気の流れから、恐らくは察しえたのだろう。
当たりを付けられるなら、少しでも早く深層を目指したい勢にとって、弟子の技能は喉から出ること疑いない。
だが、己のスタンスとしてはそうではない。深層の究明ではなく、自分たちの鍛えの方を優先する。
どの辺りだ?と聞けば、おおよその方角を示してくれるだろう。
その上で取り敢えずの進行方向、ルートを考える。鍛えの機会はあればあるだけ良いが、無理はしない。
事前に買っておいた食料の消費と、取れ得る休憩の頻度を思えば、滞在可能な時間も見えてくる。

「じゃぁ、ほれ。――……今度は、返したくなったら返してくれ」

名らしい名は持たず、ただ無銘なる黒刃たる苦無は、元々は魔族の将が持つ魔剣の先端部分であった。
だが昔相対した際、砕けた己の刀と引き換えに、叩き折った敵の魔剣の先端を鍛え直したのがその苦無である。
故に分厚い楔めいた鉄具ではなく、名残のように刃物としての印象の方が強い。
残った片割れを魔将が持ち、再び相対したなら共鳴などしたかもしれないが、そんなことが起きないのは何故か。
柄側の折れた魔剣は鋳潰される等、破棄されたか。失態を咎められて本来の使い手は死んだのだろうか。

元々の縁起、由来を語るべき機会がないなら、弟子の教材代わりに貸与しても問題ないだろう。

龍の災いを封じ護る小太刀よりは仰々しくなく、氣や魔力の乗りも決して悪くはない――その筈だ。
ほら、と刃側を持ちつつ弟子に差しだし、その小さな手に渡れば玄室の向こうの扉を開くべく歩き出そう。
扉を開けば見えてくるのは、もとの左右に水路に挟まれた通路。その向こうにまた、無機質な石造の建物がある。

ラファル > この辺りは、体質の違いもまた、あるのだ。
 人間には毒であっても、ドラゴンであれば、人竜であれば、問題の無い事も多い。
 だからこそ、食べられるものは、確りと食べて栄養にしておく。
 だからこそ、ラファルはしっかりと魔物を食べて腹を膨らませて置く。
 いざと言う時は、人間用の保存食を誰かに渡すという事も出来る、それを考えれば……と。

 弓矢は使えるし、使う技術は覚えている。
 ただ、趣味ではないし、自分で投げた方が早く遠く届くのだ。
 その辺りは、相性と言う所でもある。
 音もなく遠くを攻撃できるのが弓矢の利点だが、ラファルは石ころ投げて同じようにできる。
 射程だって弓矢よりもあるのだ。
 なので、ラファルとしては、誰か欲しい人にあげる、若しくは、売るが良いのではないかと思うのだったりする。

「だって、狭いし。」

 そもそも、外で空を飛んでいる時なんて、10キロ先を把握して音速で飛ぶ化け物(ドラゴン)だ。
 なので、こう言った密室のダンジョンは、狭い事この上ない、エコーロケーションだって、すぐ終わる。
 本気で風の精霊など使って精査するなら、三階程度の空間なら罠だってある程度は見つけられる。
 そうしなくても、今現在いる回送なら、直ぐに判る。
 ただ、目的はダンジョン攻略でもないし、師匠も其れを指示しないのなら、把握しておく、程度で良いのだろう。
 何かあった時の緊急避難用の用心と考える。
 だから、いけたら行くわ、で頷いて、付いて行くことにする。

「あいっ。」

 改めて、預かって、ぺったん胸の筈の胸元へ。
 服の中に入れば、何故か形も盛り上がりもなく隠れてしまう、何処かに収納したのだろう。
 それは聞いても教えない秘密の場所だった。
 両手を開けておくのは何かあった際の用心。
 武器を持たなくても良いという人竜だからこそ、だ。
 そして、先程の場所に戻る。

 水路と共に、広く大きな場所だ。
 何処に階段があるかはわかるが、先ずは何処をどう探るのだろう。
 水の中に視線を向けて。
 目を瞬いて。
 ゆるり、と水路を見回しながら、師匠の後を進む。

影時 > 何せ、一番最初に遭った時は森を食べていなかっただろうか。文字通りの意味で。
人間のように見えて、ヒトではない。だが一方で人間のように思えるものも多い。
どちら側に偏れ、とは云わないし教えてもいない。
体質的に留意すべき点が多いのなら、その点をよくよく弁えておく。ただ、それだけだ。
ゴーレムの類やら、いつぞやの“あんげろす”なる魔導機兵の類が出ないなら、食える相手には事欠くまい。

「そう言ってしまえンのも、俺が知る限りお前さん位なもんだぞ。
 通路を考えずに走り回るだけなら、俺にとっても狭いかもしれんが、下手に水路に踏み出すのもまずい気がすンだよなぁ」
 
空を飛べる生き物からすれば、広大と思えるダンジョンの階層も狭隘の部類になってしまうのだろう。
狭い空に狭い部屋が幾つもあり、さらに水路には魔物が漕ぐ船が巡回しているとも思われる。
水上歩行の術が出来ないわけではないが、その手の術を打ち消す働きがあるとしたら、少々面倒が過ぎる。
ガツガツと攻略したいわけではない。奥を目指すにしても、一通り巡って地図の空きを埋めきってからが気分が良い。

「……――どこに隠したよ、お前さん」

あれ、苦無は、それなりに大きい筈だが。ぺたん胸の谷間に隠れた――にしては、不思議すぎる。
肩上の毛玉二匹と共に、おもわずまじまじと見つめて、首を横に振る。
突っ込んでも答えは帰るまい。乙女には秘密が多い、という奴だ。詰まりは深く考えるな、ともいう。
さて、と。進行方向に見える建物を見るが、同時に水音の響きがおかしい事にも気づく。
瞼を伏せて耳を研ぎ澄ませれば、聞こえてくる。それよりも先んじて、弟子の方が早く気付くだろう。

(手漕ぎ船、か)

水路を行くものが、近づいてくる。ゴブリンが数体乗り込んだ手漕ぎ船。
漕ぎ手のゴブリンを鞭うつ、親玉っぽいゴブリンの鳴き声が向こうから近づいてくる。
それを聴けば、弟子の方を向いて手信号。「飛び移って」「向こう側に行ってみる」と示せば、飛び出そう。

「一つ二つ、三つの四つ、五つは任せるぞ!」

羽織の袖を振れば、左右の手元に二本ずつの棒手裏剣が滑り出す。
それを手に水路を行く手漕ぎ船を見れば、四体のゴブリンの漕ぎ手目掛けて手裏剣を擲つ。
片手で同時に二体ずつ、合計四体をほぼ瞬時に仕留め、飛び出した勢いのままに水路に飛ぶ。
手漕ぎ船を足場代わりにして、水路を挟んだ向こう側の通路に跳ぶ。
残り一体の始末を弟子に任せつつ、飛び移った側の通路の向こう、黒い御影石造りの建物の扉を景気よく蹴破ろう。

【敵脅威度判定(1d6+0)⇒1・2:普通 3・4:そこそこ 5・6:とても強い】
[1d6+0→2+(+0)=2]
ラファル > 「えー……?そんなもの、かなぁ?」

 この国は、存外ラファルのような人外が多い。
 だから、師匠が言う、自分位なもの、と言うのは本当にそうなのかな、と思ってしまう。
 ただ、まあ、逆に能力を隠し、セーブして居る物も多いのだろうと思えば、それも間違いでは無いのかもしれない。
 師匠は、昔からの師匠であるし、家庭教師だ、だから、教えて貰うのは間違いは無いし、自分の事を詳しく知っている。
 だから、隠すことなく能力を使えるのだ、それはそれで貴重なんだね、と再認識を。

 更に、ラファルは、水路を走る場合は、文字通りに走る。
 水面を踏みしめ、物理的な加速して進むから、氣や魔力など必要がないので問題はない。
 とはいえ、パーティを組んで進むなら、此処は其れを自重する。
 それをちゃんと学んでいるのだ、ラファルは。

「―――❤にひ❤」

 自分の胸元へと視線が集まる。
 ちゃんと術理は有るのだ、魔力も有るのだ。
 ただ、全て何もかもを明かさないのは忍者で、師匠の質問に対しては、悪戯っ子のような小悪魔な笑みを一つだけ。
 返答しない所から、言う積りは一切ない。
 毛玉君たちが探りに来るなら、迎え入れよう。神隠しに合わせるけど。
 そんな冗談の時間もすぐ終わる。

「船使えるんだ。」

 感想はそっちの方が先だった。
 余りにもきれいな水だった、そして機械か何かで綺麗にしているらしい。
 魔物が居るかもだから中に入らなかった、ボートは見かけたかどうかは覚えてない。
 ただ、水の上をぎーこぎーこしてくるのを聞けば、ああ、使えるんだ、と言う感想。
 師匠の方に視線を向ければ、ハンドサイン。

 船を使って、遊覧ではなく。
 船を足場に対岸へ。

 了解の意思を頷いて見せて。

 師匠が棒手裏剣でゴブリンを退治していく。
 それと同時に跳躍して船に飛び乗り、それを足蹴に対岸へと進む。
 任された五体目は、鞭を持ちでふんぞり返っていた奴。
 一瞬の早業、急襲に唖然としているようだ。
 だからラファルも、跳躍し。
 態と場所の少ない、ゴブリンの親玉の背後に音もなくおりたつ。

「ゴブリンは、ミナゴロシ❤」

 にへ、と笑いながら、両手でゴブリンの頭をつかんで。
 こきゃり、と言う音。
 ゴブリンの頭が半回転する勢いで回した。
 そして、即死を確認しつつ、くちゃーい、と言いながら水の中に放り込み。
 ぴょいーんと、対岸へ。師匠の側へと追いかける。