2023/10/01 のログ
ご案内:「無名遺跡」にミケリアさんが現れました。
■ミケリア > 「誰か~、いませんか~?」
薄暗い石の迷宮を、一人の女性が裸足でぺたぺたと歩いている。
冒険者パーティに臨時のヒーラーとして同行し、落とし穴トラップで分断されてから早半日程。
しばらくは大人しく助けを待っていたが、待てど暮らせど人が来る気配はない。
ヒーラーなしで道中の敵に手間取っているのか、それとも救援を呼びに一度街へ戻ってしまったのか……。
いずれにせよ、待っているだけで状況が好転しそうにはなかった。
なんとか隔離部屋を脱出し、当て所なく迷宮を徘徊することさらに数時間。
「…………完全に迷ってしまいました……」
元より人工物の内部は苦手な樹木精霊。
幸い魔力にはまだ余裕はあるが、自然がなく、空も見えない屋内で途方に暮れていた。
ご案内:「無名遺跡」にミューアさんが現れました。
■ミューア > 大きなリュックを背負った少女が石造りの遺跡の中を歩いていた。
手にはカンテラ。リュックにはマトックがぶら下がっている。
使い込まれたそれらを持つ恰好だけを見れば一端の探検家といったところ。
「ん……ここから石の積み方が違うみたい。
……この積み方は、暗黒時代以前のものと見ていいのかな?」
冒険者と違うのは、遺跡の踏破を目的としてはいないことだろうか。
壁の様子をつぶさに観察していたかと思えば、今度は道端のキノコを採取しだし。
遅々としか進まない足取りは、恐らくパーティなど組もうものなら、すぐさま置いてけぼりにされるのは目に見えており。
「今……何か、聞こえたような……?」
通路の奥から、風が抜ける音に交じって何かが聞こえた気がする。
こんな場所で聞こえるとすれば、魔物の咆哮か、亡霊の嘆きといったところだろうか。
観察中のキノコをとりあえず袋の中に放り込んで、カンテラの灯りを通路の奥へと向け。
■ミケリア > 「おや?」
ふらふらと歩きまわっていたところ、前方から差す光。
太陽光ではないけれど、暗闇ばかりのこの迷宮では植物にとっては心惹かれる存在だ。
「こんにちは~……あれ、こんばんはかな……?
……まあどっちでもいいですね。そこに誰かいるんですかー……?」
ぺたぺたと光の方へと足を進める。
やがて暗い通路の奥から、薄手のワンピースを一枚纏った女が現れた。
鮮やかな緑髪の横には一対の尖った耳がぴょこぴょこ揺れており、一見すればエルフのようだ。
冒険者とは思えない軽装だが、その手には申し訳程度に節くれた古い木の杖が一本。
■ミューア > 「はい、まだこんにちはの時間でいいと思います。……たぶん。
あと、居ますけれど……その、どちらさまでしょうか?」
何となく、のんびりとした警戒感のない口調に、こちらの警戒も削がれてしまう。
そんなわけだから、どう返していいものかと悩んだ挙句に、そんな返答を口にして。
カンテラの灯りに照らし出されたのは、鮮やかな緑の髪の女性。
動きやすさ重視の自分よりも、さらに軽装の姿は、遺跡の中には似つかわしくないほどで。
「……こんな場所で、裸足だと怪我しちゃいませんか?」
手にした木の杖から、魔術師かその類なのだろうと想像は付くものの、
こんな場所で、靴を履き忘れたとか、盗られたとか、そんな事態を想像できず。
だからなおさらに、素足の理由が分からずに、訝し気に声を掛け。
■ミケリア > 「はぁ……良かった。ようやく人に会えました~……。
私はミケリアと申します。一緒に来た仲間と罠で離れ離れになってしまって……」
その姿を目にすれば、ぱっと顔を輝かせて小走りに駆け寄って来る。
通路も瓦礫が多くそれなりに荒れているが、女の歩みは裸足とは思えない程しっかりしていた。
「ふふ、心配してくれるんですか? ありがとうございます。
でも大丈夫ですよ。私たちは元から自然的な生活を営む種ですから。
むしろ靴を履いた方が動きにくいくらいなんです。
優しい人の子、あなたの名前も教えてもらえますか?」
人懐っこい笑顔を浮かべ、女はあなたに問い返す。