2024/04/05 のログ
ご案内:「九頭龍山脈・洞穴」に天ツ鬼さんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈・洞穴」にチョンウェンさんが現れました。
■天ツ鬼 > 「む…酒が切れたか……また山賊共を締め上げるかの」
九頭龍山中腹、無数にある洞穴の一つに一匹の鬼が巣食っていた
ほんの数十分前に仕留めた野生竜を乱雑に捌き、その肉を生のまま喰らう様子は鬼と呼ぶに相応しい様相。
口元を濡らす血と脂を酒で注ぎ飲み干すのが乙なものなのだが、途中で酒が尽きたためにその腕で拭い。口内に残った骨をぺっと吐き出す。
野生の竜も不味くはないが、やはり家畜の肉には劣る。
皿にいえば人の子、生娘や赤子の肉に比べるべくもないのだが…そちらは調達が面倒に過ぎる。
食後の洞窟、血腥さ漂う中で一服している女鬼。
辺りはすでに薄暗く、鬼の眼がなければ洞穴の中は暗闇で何も見えはしない。
尚、生で喰っていたのは火を炊くのがただただ面倒だったからである。
■チョンウェン >
夢現。伝承とはまことしやか、一時の夢幻也。
さりとて事実は小説よりも奇也。
数多の人材をスカウトし、声をかけて幾星霜。
だからこそ、人間はそういうものに惹かれてしまうのだろう。
事実それは人材マニアとしても、一介の人として追い求めてきた。
故に、その歩は自らの存在を示すように強く、カツン、カツン、と洞穴に響く。
薄暗い空間も、この目にとっては常人より余程よく見えるものだ。
「奈落の底に、鬼一つ。案外、適当な噂話も馬鹿には出来ないねェ。」
そして、暗闇の奥には鬼がいた。
麗しくも同時に、本能が"強者"と告げる傍若無人がそこに一人。
洞穴を下ってきた微笑み面の人物、チョンウェンは静かにその眼を見開く。
紅の双眸は、まさしく憧れを見つけたと言わんばかりに恍惚の色。
手に持つキセルの先を女鬼へとゆるりと向ける。
「やぁ、こんばんは。人探し……"鬼探し"、かな?
突然で悪いんだけどさ、岩の下で暮らすと洞窟とか好きになるタイプ?」
なんて、軽くジョークをひとつまみ。
■天ツ鬼 >
「──ほう、闇更ける山の洞窟に客とは」
己の存在を隠そうともしない、忍ぶつもりを微塵も感じさせない足音。
洞窟の中に深く広がる闇に対しても、中に潜む何者かを恐れることもしない足取り。
強者か、あるいは気狂いか、はたまた変人か。
まぁいずれかであろう、と。その視線を向けながら。
女鬼は地べたに胡座をかき座り、己の周りに鬼火を一つ。また一つ。
翠色に照らしあげられる洞穴、明瞭に照らされるは浅黒い肌に襤褸布姿の雌鬼。
そして、その鬼に向け煙管を向け冗句を飛ばす…人であった。
「呵々。鬼探しとな?…つまらん冗句じゃな。シェンヤンの人間か?」
岩の下。
その物言いは、雌鬼が長らく巨岩に封じられていたことを知る者の弁。
雌鬼は頭こそ悪いが勘は働く。
その軽んじた言葉に含まれる裏をなんとなしに嗅ぎ取り、身をゆったりと起こしながらそう返答を返す。
乱雑に伸びた亜麻色の髪。
厚手の鎧を織り重ねた様な強靭な肢体。
暗闇に爛と輝く双眸の上に伸びる鬼の象徴たる角。
それらの容姿は、果たして鬼探しと称して訪れた者の求める様で或るか否か。
■チョンウェン >
曰く悪鬼、曰く暴れ鬼、曰く夜叉姫。
それはかつて綴られた人々の言葉。
言葉は飽くまで言葉ではなく、今目の前に映る現実とは酷く乖離していた。
やっぱり、文字なんてアテにはならない。なんと、美しい事か────。
女性としての麗しさもあるが、その肉体。
まさしく心ゆくまで暴れろと命じられたかのような肉体美。
それを"開放"する快感がどれほどのものか、嫌と言うほど理解している。
まさに悪魔が、ずっと囁き続けているのだから。
自然と引き締まる肉体は、戦うための"雄"の体を形成していた。
深くにもそう思わせるほどに見惚れていた。
表には出さなくとも、この"呪い"も相まって純粋なその肉体に、視線ばかりの色気は隠し通せなかった。
「結構冗談には自信があるんだけどなァ、キミには受けないか。
……ああ、でも"鬼探し"は本当。とある"鬼"を、探しに来た。」
薄暗い洞穴の宵闇から張り付く冷たい空気。
それよりも冷たく鋭く、一瞬ばかりの殺意を鬼に向けた。
射抜く紅の双眸はより冷ややかに、より"意図"を伝えるための挨拶代わりだ。
たかが鬼が、この程度で怯むはずもない。どちらかと言うと、これは"撒き餌"。
チョンウェンはニコリと、すぐに微笑んだ。
「夜叉姫宿儺。或いは……天ツ鬼、と呼ぶべきなのかな?
うん、そんな鬼を探していた。理由は単純明快。」
くるりと人差し指で空を一なぞり。
此処は"敢えて"言葉を選ぼう。
「────ハンティングっていうの。結構わかりやすくない?」
■天ツ鬼 >
「唖々、心地良い」
向けられる殺意。
底冷えのするような、正しき仕合いの匂い。
血腥いこの場よりもより鮮血じみたその双眼を見据えれば、鬼は薄く嗤う。
「我のことを知っているのだろうとは思っておったが、
数百年となかったぞ、その名を呼ばれるのは。殆ど忘れておったわ」
遠きシェンヤンは八卦山。
暴れに暴れた鬼姫の名は、腕っこきの道士達によって封じられた。
巨岩が落雷によって砕かれたのは偶然か、あるいは何者かの計らいか。
「名などはどちらでも結構!
しかしその名を知る以上は当時を知るか、随分熱心な勉強家か。
どちらにせよ当時の我を知って喧嘩を売ってくるならば、そら面白い」
「丁度良い塒を見つけたところでな。引っ越しは決まっておる。
暴れ崩れたところで問題あるまい」
鬼を狩る、と宣う男に獰猛な笑みを浮かべる。
獣と大差のない、牙を剥き出した本能の笑み。
さあ、どちらが仕掛けるか。
ピリと締まる空気、雌鬼が仕掛けることを我慢できるのも、およそ数秒有るか無いか。
■チョンウェン >
殺意を心地よいと鬼は笑った。
それを愉しいと悦に浸る。人ならば狂人ではあるが、相手は"鬼"。
鬼とは傍若無人で、不条理で、力強い存在と知っている。
であれば、なんともその言動一つっても"鬼らしい"と思ってしまった。
「(イヤだねェ……。)」
何が嫌がって、どれだけ取り繕っても、闘士として、力を持つものとして。
その威風堂々の美しさを好んでしまうところがあるからだ。
胸中ぼやくのも已む無し。口元に浮かべた苦笑いは、自虐の証。
「こう見えても勉強家なんだよねェ。人を束ねる立場だからさ。
少しくらいは学がないと、締りが悪いんだよねェ。上が馬鹿だと、皆が苦労しちゃう。」
群雄割拠、弱肉強食。
弱者が搾取されるような世の中に成りつつあるこの国の情勢などクソ喰らえ。
上に立つ以上、指導者として、先導者として良き領主であると自ら望む。
そのための努力は、出来ることは今でもしてきた。そしてこれも、その一つ。
鬼の浮かべる獰猛な笑みに、思わず口元が引きつった。
空気が肌をひりつかせる。
何度も感じた戰場の空気。
構えるまでもなく、ただそこにいるだけの臨戦態勢。
確かに挑発したのは自分だが、想像以上の、噂以上の戦好き。
気持ちばかりは、わからなくはない。胸中で頷いた。
「……それは助かるよ。一軒家ぐらしだと気を使ってしまうからね。
さ、"レディーファースト"。何処からでも打ち込んでくると良い。」
キセルを懐にしまい、それこそ包容するかの両手を広げる。
まさしく何処等でもどうぞ?とわざとらしく小首をかしげている。
一見ふざけているが、当然挑発する以上、"戦う準備はできている"。
■天ツ鬼 >
「呵々。何百年も前のことだというのに名が残っているものじゃなあ。
と、なれば矢張りシェンヤンの道士どもは未だに警戒しとかねばならんか」
勉強家であることを認める男。
調べようと思えればそんな書物でも残っていたか。と。
となれば現代の道士どもが知っている可能性も高く…また退屈な岩の下に戻されても敵わんからな。と嗤い──。
──そろそろ頃合い。お喋りはもう良かろう。
客に先手を譲るか否か。
疼く肉体を抑えていたが、何処からでもどうぞと来たもの…。
「しからば征くぞ!!易々砕けてくれるなよ──!!」
ミシリ、と音がしそうな程に隆起する鬼の筋骨。
その四肢に力が滾っているのは視覚的にも明らか。
己のウェストを悠に超える強靭な太股がより力みなぎり、一足飛びに渾身の蹴りが放たれる。
狙いは特に定めていない。
当たれば必殺になるだろう鬼の自負である。
ただただ疾く、ただただ重く、当たれば岩盤だろうと粉砕し得る、薙ぎ払うような蹴り込み。
まともに当たれば大木も薙ぎ倒す。そんな破壊の確信をさせる猛然たる一撃である。