2023/10/09 のログ
■グリモア > 少女に道具の知識は無い。
だた、今使った道具が煙を起こすものである事だけはわかった。
そして、彼女が理解出来たのは、それを留める魔力。
彼の思い至らぬところで、こうした使い方もあると学ぶのだ。
緑茶で喉を潤すも、丸薬が美味しくない、その考えは正しかったらしい。
現に彼は丸薬を引っ込め、代わりの物を取り出したのだから。
それが甘い物、それを聞けばすんなりと差し出されたそれを指で摘み取った。
「コンペイトウ?よくわからないけど、甘いなら大丈夫ね。
えーっと…そう、確かそんな名前だった気がするわ。
場所を知ってれば跳べるんだけど、知らないものはしょうがないしね。
それくらいなら問題ないわね、別に急いでる訳じゃないし、合ってるなら良いのよ」
1粒目の金平糖をモグモグと食べながら、出してくれた地図を見遣る。
彼の説明と、向かう先が合っている事を聞けば頷いた。
どれだけ掛かろうとも、彼女にとっては時間は大した問題にはならない。
それを知らない彼は心配している様だが。
「ふーん、面倒が少なく済むならそれに越した事はないわ。
でも、そうね、まだ知らない事が多いし、そこを突かれちゃうとやっぱり弱いかもしれないか。
わかったわ、それが良いっていうなら、そうしてあげる」
ここでは無知だ、それは自分自身でも理解している。
だから、彼の言葉には素直に従う、それ自体もあんまりよろしくない訳なのだが。
と、続く彼の言葉に首を傾げる。
「一緒に?…別に良いけど、変な事は考えない方が良いからね?」
そして、そう答えた。
気にしてないだけで、彼の視線には気付いていた。
だから、そんな忠告をしておくのだ。
■九音物 > (糖分多め、舌の上でかろかろと転がすとちょっとだけ香料の代わりに練られた果皮のエキスが甘すぎないように口の中の味覚を調整してくれる。
子供をあやす向けのおやつ、だが。少女には受けは良かったようだ。
丸薬がまた金平糖に負けたので内心で涙を流しているのだが。
会話の流れで一先ず、案内はさせてくれるようで。ほっと一安心。
少女は強い、のだろうけれど、純粋なお嬢様然とした脆さというか儚さみたいな物を感じてしまう。
老婆心ながらの動向が認められたのは、自分の精神衛生上とても助かった。)
「……ありがとう、素直ないい子だね。
あぁ、僕は九音物。クオンブツ。ただのエロ爺だよ。
あはは、視線は気付かれちゃうか。
うん、約束する。変な事はしないよ。」
(変な事。押し倒す、覗く、触る。そういったことはしない。
口約束なので、相手がどこまで信用するかだが。少なくとも相手の忠告には素直に頷き、まだ日が高い。少女にはちゃんとした寝床で寝てもらう方が良いだろう。
相手の正体を知らないので、こんな傍にエロ爺がいてはおちおち眠れないだろうと言う判断。
そのため、立ち上がる。まだ先程の高速移動の反動は出ていない。
出力さえ絞れば反動は抑え込めるし、ある程度制御は出来る。
少女がもし、魔力等の流れに敏感なら体の要所要所に、禍々しい方の魔力が固まっているのが見えるかもしれないが。)
「それじゃ、もう少し進めば宿のある村があるから。
日の出ている内にそこに進もう。」
(無口なままだと意思疎通が難しい。
隠密、諜報としての口調の変化、態度の変化。
作り上げるのは冒険者風の軽さのある男の像。性格と言動。
勿論、少女に魅力がないとかではないしむしろ可愛らしい。
それはそれとして手を出したり変な事をしないと約束した以上。
エロ爺は少女を案内する忠犬みたいな物になる事だろう。)
■グリモア > そこは見た目通りの感覚と味覚、彼には悪いがそこに嘘を付いたりはしない。
心で涙するのは気付けないので、それは余所に、美味しそうに金平糖を舐めて味わう。
何においても自覚しておく事は大事だし、情報を得られる相手と行動を出来るのはありがたいのだ。
彼の考えは読み切れないが、そこは利用させて貰う。
「案内をして貰うんだし、礼をいうのは私だと思うんだけど…まぁ、良いわ。
私はグリモアって呼んでくれれば良いかな。
見るのは勝手だけど、下手な感情を抱いて触れようとしたら酷い事になるからね。
さすがに、助けてくれた人をそんな目に合わせるのは忍びないから」
彼の考えていた、押し倒すと触るがそれに引っ掛かるのだが、聞いた内容から覗くのは該当しないらしい。
そこに気付くかは彼次第だが、素直に頷けば満足そうに。
自分の身の安全には自信を持っているが、その理由を彼が今知る術はない。
色々と彼に任せる形になるのだろうが、ふと彼の身体から覗かせる不穏な魔力を感じとれば、そこへと視線が向けられる。
「そう、それなら任せるのだけど…ちょっと待って」
早々に移動をしようとする彼を、軽く言い留める。
立ち上がるだけで待ってくれるなら、胸元に両手で抱えていた分厚い書物を広げようとするかの様に持ち直す。
その書物は独りでにパラパラと捲れ始め、あるページでそれは止まった。
彼に理解出来るものかは別として、それから行われるのは聞いた事のない言語による詠唱。
それは誰が知る訳でもない判別の魔術で、彼から感じた魔力の性質を判断。
更にそこから続けて別のページが捲れ、止まったページを再び読み上げる。
何かしらの阻害をするのか、彼から感じたその魔力を解除出来るなら解除をする。
解除に至らないならば、それを抑える魔術が発動するだろう。
■九音物 > 「グリモア。よろしくね。
御礼については、まぁ。うん。ほったらかしにして、何かあったらどうしようかなとか心配しないで済むから。
お互い様で良いんじゃないかな。僕も目的地は王都だし。
…ん?」
(名前を聞いた少女の言う事を聞くと、どうも何かしらがトリガーとなって相手に痛手を与える様だ。
触れようとしたら、と言う事は覗き放題ではある。その類の言葉遊びは好きなのだが、そこは犬の気質。
一度決めた事を破る事は無いと断言できる。
ただ、ちょっと待ってと言われた時に足を止める。
振り向いた時に、少女の前に分厚い書物。それが風もなくひとりでにページを捲る様に動いている。
それが止まると――理解はできない。長い時間を生きているが聞いたことも無い言語。それが紡がれるとまたページが捲れていく。
少女の魔術により、禍々しい魔力の溜まり。
それがまた元の様に、清廉な魔力と混ざり合う最初に出会った時の様な形に戻る。
水の詰まりにより流れが悪くなったパイプが、綺麗に整えられた。
解除ではなく力そのものを押し流す事で、呪いにも近い効果を近々齎す筈だった魔力は無害になっていった)
「……ん。あれ?グリモアって凄い魔法使いだったりする?」
(自分の力はとかく異質だ。
完全な解除が出来ない加護と呪いを内包している。
その為に反動はこれまで抑え込む、表に出る事は防げなかったのだが。
自分の肉体だけに分かる。今少女が行った何かの行動で、自分の身体に起こる反動が引き起こされなくなった、と。
不思議そうに自分の身体と少女の顔。そして巨大な本を見比べている。
疑いようも無く、それをしてくれた相手には――、改めて振り向いた。)
「ありがとう。グリモア。」
(それは明らかな恩だ。深々と頭を下げて改めての御礼。
自分自身も初の経験だが、少しこの力との向き合い方が判った――様な気がする。
それでも少女の見せた魔術は自分が知らない力の反動を綺麗に消し去った。
ちょっと、尋常ではない魔術だと言う事くらいしか自分では理解が出来なかった)
■グリモア > 「よく居るよね、そんなお節介な性格の人間…嫌じゃないけど。
それなら、お互い様って事で良いよ、そうしよう」
今までの流れだけを見れば、十分に彼はその性格に近いものといえる。
それが偽りのものであろうとも、少なくとも自分を害しようと考えていないのは確かだし、助けられる事となるのも確かだ。
だから、少しだけ力の片鱗を見せてみせた。
さっき言ってたお互い様との考えから出でるもの。
解除出来れば良いと思ったものだが、どうやら解除出来たらしい。
やるだけやってみようと思ってやった事だし、結果が良い方向に傾いたなら良しとしよう。
「ううん、違う。魔法使いじゃなくて、魔導書」
パタンと書物…彼に伝えた魔導書を閉じ、コレ、と魔導書を指してそう答える。
恩を仇で返すような相手ではない、そう判断出来たから明かす真実だ。
普段から隠す事はしないが、それを伝える事はそう多くはない。
「……お互い様」
彼が自分に伝えた言葉、これもそうした事なのだと短く伝え。
閉じた魔導書を、再び両手で胸元に抱えてみせる。
これでもう大丈夫、といわんばかりにフワリと浮かべば彼の隣へとやって来て。
後は任せたと、後は彼に付いて行こうとするのだった。
■九音物 > 「そう言ってくれるのなら。
えぇっと、魔導書?だけど使い手はグリモアなんだよね。
あれ?でも今の言い方だと……。
うん、変わらないか。グリモアのおかげだから。雨に濡れると良くないなら移動日程少し考えようか?」
(少女の行動により自分の未来が少し変わった。
良い方向にとなれば、彼女が、少女が本質を示す言葉を用いたとしても接し方は変わらない。
恩を受けたことに変わりは無く、信を置ける相手だと結論付ければ書物だから、とかの差別や偏見。見下す様な物は存在しない。
寧ろ、雨に濡れたりしたら大丈夫だろうかと言う不安の方が少しあった。
先導しつつ、予定通りに進めば少女が王都に無事に辿り着くのは問題が無い筈。
騙された時の為に、王都に着いた際には小瓶の中に残り数粒になった金平糖を渡すのだった。
……その間、グリモアという少女でも楽しめる食事が出せたかは、当人たちだけが知る話。)
ご案内:「九頭龍山脈 山中」から九音物さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」からグリモアさんが去りました。