2023/10/08 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にグリモアさんが現れました。
■グリモア > 「どこの世界でも、面倒事が起こるのっていきなりなのよね」
小さな溜息を吐いてポツリと呟きを零すのは1人の少女。
お尻の辺りまでの長さを持つ放置気味の白銀の髪を、フワリと微風に靡かせる。
胸元等の何点かにリボンをあしらった緩やかなドレス姿、持ち物は胸元に抱えた分厚い書物のみと明らかに場違いであるのが窺えるだろう。
ただ、その少女を見て不思議に思える事があった。
地に足を付いていない、足元から僅かに浮遊しているのだ。
そして、そんな少女の進路先を阻む様に見えるのが数匹ものオーガ達だ。
一見すれば危機的状況。
しかし、少女には恐れる様子も怯えた様子も全く感じられていない。
どうしたものかと考える様な仕草は取るのだが、その場で棒立ちをしているだけだった。
なにやら唸り声等を上げるオーガ達。
我先にといった感じで少女との距離を詰める。
ご案内:「九頭龍山脈 山中」に九音物さんが現れました。
■九音物 > 「………あー。」
(そんな一見すると危機的状況から少し離れた所。少女から数十メートル離れた場所を音も無しに歩くエロ爺がいた。
諜報ついでに短縮ルートを取って、危険だとも言われたこの道を通っていたのだが。
自分自身への加護と呪いで強化されている視力は、少女が浮遊している様子までしっかり捉えていた。
数匹のオーガに無防備にも見える少女と言う構図だけなら迷いなくオーガに斬りかかるなりするのだが。)
「………この場合、どっちが危険?」
(山歩きするには適さない格好。装備品無しで浮遊している様に見える少女。
腰を抜かすでもなく棒立ちしている様子は、この状況さえも楽に捌ける実力者にも見える。
……なのだが、違った場合が面倒だ。攫われてきたどこかの少女と言う線も勿論ある。
山賊も出ると言うし逃げ出してきた――にしては綺麗な服装だが――線もある。
となれば。)
「参天」
(手にしたのは殺傷力が低い棒手裏剣。右の手に2本と左の手に1本。
風の流れを経験則で捉え、狙うは唸り声を上げたオーガの眉間部分。
避けるなり防ぐなりは出来るだろう速度に加減させた上で投擲を行う。――少女の頭上を通過するような軌道に乗せて。
それと共に少女の方に届くのは押し殺したような少年の物と思われる声1つ。)
「少しだけ、しゃがんで。」
(不殺の五戒を破る訳にも行かず、なんとなくオーガの方が酷い目に遭いそうな予感もある。
投擲した棒手裏剣を追いかける様にして、風で黒装束の裾をたなびかせながら一足目で跳躍。
――殺さない目的なら自分が目立つ方が良い。黒頭巾を外して右の拳に巻き付けながら、少女暴行現場に乱入しようとしていた。)
■グリモア > 自分には気配等を感じ取る能力が備わっている訳ではない。
出来ない事はないが、それには準備が必要だ。
だから、距離を置いた彼の存在には気付いてない。
とりあえず、今頭にあるのは目の前の障害をどうしようか、との考えだけで。
しかも、その内容は倒せる事を前提にした、どのような手法を用いて排除しようかというものだった。
「……?」
それに気付いたのは、離れた場所から聞こえた声。
オーガの唸り声に紛れているが、それは確かに聞こえていた。
目の前の障害よりも、そちらを気にしたのだろう。
不思議そうな表情を浮かべて、声の聞こえる方へと顔が向けられる。
指示を仰ぐ言葉だったのだが、それを認識していないのか、人の言葉に従う性格ではないのか、突っ立ったまま動かない。
自分を狙った訳ではない投擲は、そんな少女の頭上をギリギリに通過してオーガの眉間を捉えた様だ。
通過する投擲物の起こす風に、白銀の髪が僅かに揺れる。
不意の攻撃、眉間に手裏剣を受けたオーガが怯む。
そして、それに気付いた他のオーガ達も何事かと足を止めた様だ。
■九音物 > (オーガの眉間を貫くのではなく、痛打するような棒手裏剣の一撃。
人間でいう脳震盪を起こさせ、怯ませるのが狙い。
徒党を組んでいるならまずは一人、目に見える形で危害を与えた方が意識を此方に向けやすい。
振り向いた少女には無表情そうな少年の顔が迫って来る。
通常の人間とは異なった高速の移動術。筋力の強化にほんの少しだけ自分の移動したという事実を誇張して、歴史に上書きする。
それが高速移動の本質。
足を止めたオーガに、続けざまに目と喉を狙う棒手裏剣を投擲すると。
振り向いた白銀の髪の少女へ意識を向けた。白銀の髪の少女が突っ立った儘なので――相手の正体を知らないが故に。
膝の裏に腕を回し、背中へ腕を回そうとする。攻撃ではないので阻害されなければいいのだが。)
「………やっぱり君の方が、強い?
いいや、ともあれ一旦離脱したいから。君を担いで、少し離れた場所まで運んでいい?」
(黒い瞳に少女の不思議そうな表情を映し出す。
――世間知らずの御嬢様と言う訳でもなさそうだけれど。
オーガも一応ナマモノで、殺す訳にもいかない。
妥協策として、誘拐犯みたいな形になるが少女を担ぐ形で戦線を離脱しようと試みる。
反論や、障壁が邪魔をしなければの話。そしてこの構図、人さらいが少女を誘拐しようとするようにも見える、かもしれない。)
■グリモア > 頭に浮かんだのは、この変化にどうしようか、との考えだった。
最初の算段では、オーガの攻撃はどうせ届かないのだから放置しておこう、というもの。
彼女には、敵意や害意を抱いた攻撃は通用しない。
だが、それを知らないだろう彼にとってはこの状況はどうにかすべきものと映ったのだろうという判断まで考えが到ったなら。
動きの止まったオーガを余所に、自分を抱き上げようとする彼の動きには何もしないでいる事に決めた。
触れようとする彼の行動に敵意も害意も無い。
何ら阻害もなくこの身体は抱えられる事だろう。
「多分、そうじゃないかしら?
でも、面倒事が去ってくれるなら任せてあげる。
私に触れられたって事は、そういう事だから」
見詰める黒い瞳に藍色の瞳が、そして言葉が向けられる。
今の攻撃が加減されたものなのか、そもそも倒せる程の力がないのか、それはわからない。
ただ、逃げの一手を選ぶには何かしらの理由があるのだろうし、今の自分は彼の腕の中なのだから。
それが第三者にはどう映るのかはわからないが。
■九音物 > 「ん。任せてくれて、ありがとう。」
(少女の方が強いと言うのには一安心をしたような吐息。
無駄な事をしたという徒労ではなく、心の底からほっとした様な。
黒頭巾を巻いた右腕からころころと転がり落ちるのは煙幕珠。
ぼふん、とオーガの周辺に黒い煙と白い煙が混ざり合うような形で彼らを包み込む。
そのまま少女を抱きかかえるようにして数メートル、数十メートルと現場を離れる。
独特な跳躍方法のため、少女に揺れはそこまで与えないだろうが。
時折ちらりと視線を少女に向けたのは気分を悪くしていないか、酔っていないかの確認。
兎も角足を飛ばせば何事も無く離脱出来た。
清廉な湧き水が小さな池を作り、池から伸びた水路がさらに先にある川へと続く場所。
周りには樹齢3桁を超える大樹が数本、森と言うには木の分布が薄く、林に近い。
道からはそこまで離れてないので、少女が自分を不快だと感じたなら直ぐにそちらへ逃げ出せる場所。
その池の傍、切株の上に御姫様を降ろす様に少女を降ろす。)
「……怪我は無さそう?酔ったりしてない。よね?
喉は乾いていない?……ご飯、いる?」
(自分の腰にある竹筒。少し冷えている緑茶が入るそれを少女に差し出した。
緑茶は飲める部類だが、ご飯の方で差し出されるのは兵糧丸というとっても苦い丸薬。
強い少女だとしても、水やお腹が空いていればそれは放置も出来ない。
浮遊していた事からあまり怪我もしていないだろうと言う判断で、切株に座らせた少女から1,2メートルだけ距離を話して自分は叢に座り込んだ。)
「んー。この辺りに住んでる、とか。
迷子とか。そういう、話?」
(状況が状況なので聞いてみた。迷子なら然るべき場所に送るべきだし、この辺りに住んでいるならオーガ達が危ない。
先程少女は自分の方が強いのだと言い切っていた事からもそれは明らかであり。
……もしそうだと答えるなら、オーガとか魔物避けの工夫をしておくべきかと悩んでいた。
一応、エッチなお爺さんなので顔を見つつほんのり全身を見遣るのは礼儀として忘れない。)
■グリモア > 「別に、これって一応、助けられた…に入るのよね?
だったら任せた方が楽だもの」
助けるつもりで助けたのか、どちらを助けたのかは置いておいて。
彼の言葉にサラリとそう答えながらも、背後に見える煙幕の立ち込める様子をチラリと彼の背中越しに覗き見る。
その様子は彼から見れば、背後の様子が気になっているかの様に見えるのだろうが。
自分としては、彼の使った物が魔術的な効果を含めているかどうかの確認をしているだけだった。
ちなみに抱えてみて感じるのは、その見た目以上の少女の軽さか。
それをどう思うのかは彼次第であろうが。
兎も角、そう経たずしてオーガは振り切られ、辿り着いたのは大樹に囲われた湧き水を湛える小池。
傍にある切り株の上に下ろされれば、素直にその上に腰を下ろす。
「まだ何も起こってなかったしね、あっちが頭を痛めた程度じゃないかしら?
あんまり心配される程に何かあった訳でもないし、今のところは何も問題ないのだけど…
美味しいものだったら欲しいけど、そうじゃないなら遠慮したいかもね」
彼の質問には特に問題ない事だからと答えるし、飲食物に対しては逆に彼へと問う形か。
飲食不要ではあるのだが、味覚は感じられるのだから美味しいならば頂きたい。
勿論、その逆であれば遠慮願いたいのだから、そこも素直に伝えておく。
とりあえず、まず差し出された竹筒は受け取って、緑茶を一口。
これは美味しく頂けるものだが、次に差し出される丸薬には何ともいえない表情を浮かべてみせた。
この手の食べ物は美味しくない、それは経験済みだからだ。
美味しいのならば当然の様に平らげる訳だがそうでもないだろう。
「そんなんじゃないわ?
一応、今は王都を目指しているの。
あっちだって聞いてはいるから進んでるけど、なかなか着かないのよね。
どれくらい先なのか、知ってたら教えてくれると助かるかも」
細かい説明は面倒だから、目的だけを伝えておいて。
目的地の情報が手に入ればラッキーと、念の為に彼に聞いてみる。
顔から全身を見遣っているのは気付いているが気にしない様だ。
■九音物 > (使った煙幕はほんの僅かに魔力が込められている。
山道であり、山風や突風で直ぐに煙が晴れては効果が望めないからだ。
と言って毒等の物騒な物ではなく、掛けられている魔力は【停滞】
風が吹こうが、竜巻が起ころうが煙幕はその場に一定時間鎮座し続けるだけの物。
魔術的な効果と言う点で言えば、自身の肉体の方が余程奇妙。
禍々しい魔力と反発する様な清廉な魔力が混在している状況。
少女の身体が予想以上に軽かったが、体の調子が良かったのか。
そもそも女性に体重を聞くのはタブーなのだと言われた事から触れる事は無い。
緑茶で喉を潤す相手に、丸薬は矢張り不評の様だ。
それは懐に戻して、代わりに金平糖を3粒差し出した。)
「……金平糖、甘いから。
こっちなら大丈夫だと思う。
王都……王都、マグメール?徒歩だけなら十数日、馬車を使えば短縮できるし、お金があるなら一旦海路を使えるダイラスに出ちゃう方が早いし、安心だと思う。」
(手早く地図を取り出す。懐ではなく、腰包みから取り出した地図に現在地と思われる山賊海道の位置に小石を置き、ダイラスと言う街から海路を使う方が早いという点を説明。
徒歩なら十数日は男の脚での話なので、少女だともう少し掛かってしまうかもしれない。
……可愛い様に見える少女を、流石にバフートやゾス村の付近を通らせるのは気が引ける。
少女の強さは何となく程度でしか判らないが、それ以上に化物がいないとも限らない。
悩んでいるのか少し眉間にしわを浮かべてから少女に向き直る。)
「……君がどれくらい強いのかはわからないから、素直にダイラスから王都に向かう方が、多分良い。
なんとなくだけど、君、純粋そうで騙されやすそうだし。
僕はエロ爺だけど。押し倒したりとか、普通にされるのがその2か所だから。」
(ダイラスはダイラスで違う意味の危険がある。
それでも海路を使うならば安全性は高い。
王都に一度戻るつもりだったが、流石に少女に海路を勧めて自分だけ歩くのも、そこは筋が違う気がする。
船代は持つつもりで、もう一声つづけた。)
「もしよければ、一緒にマグメールに行かない?」