王都の北西は諸外国との戦争の場となっている。
ハテグという丘陵地帯であり、ここに王国群が陣を構えている。
以前のような大規模な戦闘はめったに起こることはなく、互いに勝ち負けを延々と繰り返している。
中には敵に捕らわれてしまい、辱めを受ける兵士や騎士も少なくない。
女性であれば、同軍の兵士にすら狙われることもあるだろう。
また、兵士向けの娼館などもいくつか存在する。
※戦場やその周辺が舞台になります。
戦闘ロールや敗北ロールなど、ご自由にどうぞ。
戦闘は頻繁に起こっているような設定です。
必ずしも王国軍側の兵士である必要はありません。
参加者(0):ROM(1)
Time:13:52:58 更新
ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。
■グァイ・シァ > 不測の事態があるとき、案外と傭兵の方が手際が良いときがある。
今回はその類であったようで、思いのほか傭兵用の休息所は整っていた。近づくと、ありあわせのロープや杭などで補強した箇所があるのに気づく。
テント自体は快適とは言えないが、もぐりこむ場所に労することはなさそうだ。
ずぶ濡れの女は女は風雨に叩かれるテントの天幕の一つをくぐって、今宵はヒトに紛れて過ごすことになるのだろう。
■グァイ・シァ > 大粒の雨を落とす空に雲の切れ目は見えず、陽の光が差し込む様子はない。
あまり長続きするような天候ではないと経験で知ってはいるが、しばらく戦場は泥に塗れることだろう。
只足を取られる厄介さを思って顔をしかめて、女は黒雲を見上げていた視線を下ろす。すでに一面水たまりができ始めたテントの合間を歩いて、傭兵用にしつらえられた一角へと向かって歩き始める。強風と雨で髪が乱れ身体が重くなっていく。この様子では、そもそもがあまり丈夫に設営されていない傭兵用のテントはいくつか潰されてしまっているかもしれない。
■グァイ・シァ > 夜明けとともに始まった戦闘は、昼頃に振り始めた雨が酷い嵐になったことで中断となった。
続々と陣地に引き返してくる兵士たちは濡れそぼり、各々の汚れは血か泥かもわからない有様だ。負傷者を引き連れた一団が陣地に吸い込まれると、丸太作りの仮門が閉めらる。それで本日の戦闘は終了ということになりそうだった。
最後の集団で殿についていた女は、成り行きで手を貸すことになった負傷者(おそらくは王国の正規兵)を文字通り引きずるようにして救護班のいるテントへと向かう。
肩を貸した相手はぶつぶつとうわごとのような事を言っている。家族とか、恋人とか、何か執着する相手があるのだろう。しきりに謝っているように聞こえる。失われた彼の片手は粗っぽく止血している。命を失うことは無さそうだが、元通りの生活とはいかなさそうだ。
「… いや」
救護部隊のいるテントへ運ぶと当然のようにごった返している。誘導されるまま空いている担架のひとつに『連れ』を降ろすと、女はさっさと踵を返してその場を後にしようとした。呼び止められたように思って振り返ると、降ろした連れが失われていないほうの片手をあげていた。女は曖昧に声を漏らして手を振り返すと、改めて風雨に打たれる天幕を押し上げて嵐の中へと出ていく。
ご案内:「ハテグの主戦場」にグァイ・シァさんが現れました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からエズラさんが去りました。
■エズラ > 程なく、拠点への行軍開始を告げる号令がかかる。
ムクリと身を起こした男は、隊列に加わって――
■エズラ > 夕暮れ時。
合戦直後の戦場――
昼前に偶発的に発生した小競り合いは、互いが戦力の逐次投入を続けたばかりに、大規模な会戦に発展してしまった。
そこからは泥沼の激戦が繰り広げられ、双方にそれなりの被害を出したところで漸く到着した両軍の指揮官によって痛み分けに終わった。
「フーッ……――」
土煙と血によって汚れた顔面を拭って男が一息つく。
友軍は数個の大体規模に再編成され、撤退しつつある。
間もなく自分の属する傭兵団も、適当に一括りにされて撤退命令が出る筈。
それまでしばらく、血の臭いの濃いこの場所で待機――
到着した糧食を貪る者。
治癒師の列に並ぶ者。
命を拾った者達が、束の間の弛緩した時間を過ごしている――
「あ~……――」
今度も生き残った――
近くの切り株に腰かけつつ、ようやく生を感じ――
ふと脳裏をよぎるのは。
「女、抱きてェー……――」
ある意味で、生命の根本原理であった。
ご案内:「ハテグの主戦場」にエズラさんが現れました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からムメイさんが去りました。
■ムメイ > (現在は、ただ強いがそれ止まりだ。
壁にぶつかっている、と言う感覚がある。
しかも一度超えたであろう壁、これも直感的に判る事だ。
さて、何が壁なのだろう?
首を今度は逆側に傾げる。
一度は超えたと言う事は、忘れているだけだ。
力を振るい、武器を振るい、拳を振るう。
それでは辿り着けていない、忘れてしまったもの。
さて、何だったであろうか?
朝焼けの空を見上げながら、唸って見せる。)
「……んー……こう、喉まで出かかってる感じはするんだがなぁ」
(ふとしたきっかけで思い出すのだろうが、どうにも思い出せない。
言ってしまえばど忘れみたいなものだ。
それが酷く座りが悪くて、再度首を捻る。
さて、こういう時にすべき事はなんだろうか?
こういう時は、まず一つ一つ戻るしかない。
辿ってきた道行を戻る事こそが、一番の近道だ。
近道、なのだが……ちょっと長すぎる。
これ数日要るんじゃね、位に長すぎる。
いや長く生きて長く死んでるので仕方ないのだけれど。
んー、と唸りながら切り株より立ち上がって)
「参ったなぁ、どうにも昔より欠けちまってる気がするぞ?」
(死ぬ前ですら完全等とは程遠いと自覚している。
だが、死んで長く生きてより欠けたのでは笑い話にもならない。
本体に戻れば思い出すのかも知れないが。
元よりアレに戻った場合、闘争本能の塊とも言うべき状態だ。
結果として、自分は敵味方見境無しに基本暴れ回る。
そして、どちらかと言えば人間の社会で暮らす方が良い。
元が人間だからと言うより、酷く眩しく見えるのだ。
さて、そうなれば、その案は廃案だ。
ではどうすればいいか、と考えて)
「……時間まだあるし、ちょっと色々歩いてみっか」
(ふとした拍子に思い出すだろ、なんて付け加えた。
どうせ悩んでも思い出せないなら、考えるだけ無駄だ。
じゃあ、いつも通りやるか。
そんな風に考えながら、主戦場を後にした。
いつも通りの自然体で、実にのんびりとした歩調で)
■ムメイ > (正直な事を言えば、雇われても良かった。
或いは砦の方に行っても面白かったかもしれない。
少なくとも暫く前までの自分ならば、そうだっただろう。
――ただ、同時に思うのだ。
そこに心躍る強者、戦を楽しめる猛者はいるのだろうか、と。
空振りならまだいい、雑魚相手が最悪だ。
連携を以てかかってくるなら楽しめるが、欲のみで死地に来る。
自らの力量を弁えずに、死地へ来る。
そう言った手合いと戦うのは、酷く退屈なのだ。
心が渇いてしまう、面白味が無さ過ぎる。
まるで読み飽きた本を読む様なものだ。
故に、そう言った相手に対して、戦いとは見做さない。
ただの作業だ、御馳走に在り付くまでの食いつなぎ。
ああ、そういった話では酷く自分は贅沢なのだろう。
そういった贅沢な相手を心待ちにしているのだから。)
「……死んで、生きて、また死んで、か。
こうなって尚、武の果ては、未だ見えねえなあ」
(在りもしない幻想と笑わば笑え。
人間だった頃から追い続け、果てない夢だけを追いかけている。
窮めた、等烏滸がましい事は言えはしまいが――
――ああ、それでも。
人間でなくなっても、見果てぬ夢を見続けられる事。
終わりはここではないと思える事は、きっと幸せだ。
それはそうなのだが)
「……しかし、どうにも話をしていて気づかされたが。
『身体に引っ張られている』感じがするな」
(そうして思い出すのは、そんな事だった。
今の己は、『肉体』で言えば、文句の余地無く最盛期だ。
本体はアレなので、この影法師の様な器が象ったのは若かりし頃。
自分の死んだ時は、これより最低三十年は先の姿だ。
話すような相手は――と言うより、話しながら思い出したわけだが。
その頃の記憶は朧気ながらあるが、実感は無い。
そのまま首を傾げている。
思い出せていないと言うより、実感が沸かないのだ。
まるで、他人の記録を見せられて自分だと思わされているような。
そんな部分の記憶があるのだ、どうしても)
■ムメイ > (名高い主戦場、その外れの一角。
そこは別に守らずとも良い場所であり、攻めずとも良い場所だ。
そこには切り株が一つあるだけ。
言ってしまえば戦術的な価値は全く無い。
無いのだが、迷い込んだ人間や魔族は戻って来ない。
不気味、と形容される場所に切り株に腰を落ち着けて)
「まぁ、こうなっちまうと大規模戦闘は難しいやなぁ……」
(胡坐を掻く様にして座っている人影が、そこに一つ。
亡くなった兵士の無念を見ているのか、それとも別の思惑があるか。
肘をついて主戦場がよく見えるその場所を、悠然と眺めている。
実際のところ、今回は戦いに来たのではない。
故に雇われた訳では無いが――思わず鮫の様な笑みを零した。
やはり、戦場は良いものだ。
死ねば一緒で、ここに安全は何処にも無いのだから。)
ご案内:「ハテグの主戦場」にムメイさんが現れました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からグァイ・シァさんが去りました。