2025/03/04 のログ
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ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」に幻燈の亡霊さんが現れました。
幻燈の亡霊 > 季節外れの冷たい雨。
雪交じりの雫が降り注ぐ中、森林に霧が立ち込めていく。

不明瞭な白い闇の中から這い出すように緩慢に踏みしめる影がいくつか。

体をゆっくりと左右に揺らしながら裸足で森林の中を歩んでいく。
その姿が掻き消え、数瞬の後に数歩離れた場所に姿を現す。

冷気を和らげる生暖かい空気の中、霧の中から響く呻き声がいくつか。
気配は一つだけではなく、至る所から足音が響く。

亡者の如く枯れていてもおらず、肉も乗って、生者にもみえるそれ。
物質化するほどに濃密な霊力を宿したそれは己を維持する魔力の供給源、獲物を求めて彷徨う。

首を揺らし、絞り出す呻き声にはどこか色がある。
歩む度に白い衣服が霧に体で張り付き、肢体の隆起を浮かび上がらせ、胸が上下に弾む。

獲物を、魔力を、精気を求めて彷徨い続けて。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にリヒトさんが現れました。
リヒト > 「しくじったっすかねぇ」

冬にしか実らない、薬用の木の実を回収する依頼の中途、立ち込め始めた霧に、少年は独りごちる。
人より夜目が効くため、森に遅くまでとどまり過ぎた。
このまま強行軍で街に戻るには、いささか天候が悪化しすぎており……

少年は、なるべく背が高い樹木が密集した場所を探す。
そこで雨宿りしながら、天候がどうなるか推移を見守るつもりだった。
寒さに強いからといって、完全に寒さに対して無敵というわけでもなく、できることなら早く宿に戻りたい。

しかし、そうもいかなそうだな、という心中が独り言になって現れたわけである。
丁度、その独り言とほとんど同時──

「──?」

文字通り、ふ、と気づいた時には、前方、そこに人影があった。
思わずびくっと、肩を震わせる少年。
視界はさまざまな要因で悪く、その人影の仔細は見て取れなかったが、それ以前に何か、眼を離したら消えてしまいそうな不思議な存在感があり……
思わず、瞬きをして、目元を手でこする。

幻燈の亡霊 > 奥まで分け入ってから悪天候に引き返そうとして、高い樹木のある場所……、獣道からも逸れた場所に至れば、
幾ばくか冷気が和らいだのは雨を凌げたからと誤認するだろうか。

雨脚が遠ざかっていく代わりに霧がより深くなっていく。
だが、嗅覚が効くなら雨のにおいは未だ残ったまま、凌ぐのであればまだ時間はかかりそうで。

その時に、霧の中に浮かぶ人の影。
目を凝らさなければ、形を変えていく霧の間隙を見間違えたとも思うだろうか。

だが、足音がする。気配がする。
呻き声が響き、見間違えと思えぬほどに、人の影が横切っていく。

その影が、姿を消して、現れる度に、徐々に近づいてきて。

「……ァッァアアア……」

背後から、大樹をすり抜けて、声が響く。
振り返れば、既にそこに女性が、否、声ははっきりと聞こえ、気配はあるが、生気を感じさせない。
明らかに異質な、そもこんな冷えた夜の森林奥深くに肌着一枚の女性。

異常であると本能が警鐘を鳴らすのと、女性と視線が重なった時に異変が起きるのはほぼ同時。

強制的な発情。人狼に繁殖期があるのであればそれに類したものが湧き上がってくる。
思考よりも欲望が脳髄から溢れて来る。

亡霊は貴方を獲物として見定めていた。
そして霧を、高濃度の霊気を介して干渉して”理想像”を想起させてくる。

理屈よりも先に貪りたい、注ぎ込みたいと思ってしまう女性像を。

それが思い至らなければ、そのまま襲い掛かってくるだろうが。

リヒト > [部屋移動]
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からリヒトさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」から幻燈の亡霊さんが去りました。