2025/02/19 のログ
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レグルス・ダンタリオ > 「理想、ですか。……そうですね」

納得したようにうなずく。その皮肉を、理解できるのか理解できないのか。
首を傾げる彼女へとまっすぐに、少年の二色の瞳が向く。

「はい。……より正確に言うと、期待をかけてくれる人々に答えたい。
 ……と、いう目標を口にするだけなら簡単なんですが」

情けない自分を恥じて、自嘲しながら頬をかく。
まだまだ若輩者である自分を理解しているのであろう。
だからこそ、大層な言葉を吐いてしまうのを避けているようで。
自分も”主役”になりたいという気持ちはあるが、どうやら周囲がそれを期待しているが故のようであり。

「ただ、夢かと言われたら、少しわかりません。
 私はまだ自分の夢を見つけられていないのだと思いますし……。
 だから、今は目標に走って、その中で夢を見つけるのが夢ですかね。
 ……出来れば、他人に胸を張ってこれも言えたらいいんですが……はは。
 情けないですよね」

思わず漏らす弱音。初対面故に、そしてこの場限りだと思う意が故に。
つい、自分の不安をそのまま口に出してしまう。
自分をまっすぐに見る彼女の視線に、噓を吐きたくはないと、そう感じたからだった。

ノア = セシル > 少年の話に、静かに耳を傾ける。ほんの僅かに眉を下げ、相槌を ぽつりと零し。微かな眉の動きまでは、マスクに覆われ気付かれはしないだろう。

「 期待に応えたい、 か… 」

其の瞳が綺麗だと感じたのは、鮮やかなオッドアイだったから… だけではなく。曇りのない少年の内面が、女の目には やけに煌めいて映ったからかもしれない。若さ故の熱も、時折感じる儚さも、会話を重ねる程に伝わる真面目さも、其れこそ “折れてしまわぬように” と… そっと、心の奥で願う。そして、続く話も真っ直ぐに少年を見詰めたまま、弱音にも聞こえる言葉を 最後まで聞き終えると

「 それの どこが情けないの ? 」

半歩、少年との距離を詰める。ヒールを履いても女より長身な少年を、下から じとりと見上げ

「 立派な目標もあって、今はそれに向かって頑張ってるんでしょ ? それに、これから夢が見つけられるなんて最高じゃない。 」

そう言って女はマスク越し、穏やかに目を細める。今度は作り物の笑みではなく、心からの微笑みを少年に向けた。かと思えば、ふふ と今度は女の方が、自嘲しながら視線を逸らし

「 遅すぎるとね、叶わない夢だってあるの。だから、これから見つかる夢があるなんて素敵なことよ。 」

レグルス・ダンタリオ > 最後まで言い終わった彼女が、何を言うか。
別に、何を言われても構わなかった。しかし、近づかれるのは少し驚いた。
こちらを見上げる、琥珀色の瞳を見下ろして。

「……最高……ですか?」

キョトン、とその言葉に思わずオウム返しに呟いて。
彼女が浮かべる、マスク越しの笑みに、胸の奥から疼きを感じた。
激励の言葉。それは、噓偽りのない本物の言葉であると思えたから。
だから、彼女が視線を逸らせば、それを追って。

「…………あっ」

気が付けば、どこか寂しそうな言葉を言う彼女の頬に手を伸ばしていた。
彼女が受け入れるなら、そのまま逸らした顔をこちらへと向けさせて。
避けるなら申し訳なさそうに手を引いて、しかし。
口に出す言葉と気持ちは、変わりなく。

「……夢を見つけられるように、僕を応援してくれますか?麗しき人。
 転んでも、傷ついても、弱音を吐いても。泣いても。……それでも、
 夢を見つけられれば、あなたは最高だと、言ってくれますか?」

何度も言葉を途切れさせる。気恥ずかしさなどはない。
ただ、自分の中で浮かんだ言葉が組み立てられなかった。
自分の心の中の言葉をそのまま、口に出すようにして。

「僕は、レグルス……。麗しき人。あなたに覚えていて欲しい男の名前です」

ノア = セシル > 「 そ、 最高。 」

生まれも育ちも、生き様も、正しかったとは言えない。そんな女には、騎士としての気高き誇り等 到底理解出来るものではなかったけれど。其れでも今 目の前に居るこの少年だけは、こんな世界で潰れてほしくない と… そう感じたのは、本心で。

「 ………………… 、 ? 」

不意に伸びた手が頬に触れようと、特に払い除けようとはしない。きょとん と琥珀色が少年を見詰めたまま、女は動きを止める。少年の口が途切れ途切れ、まるで其の心中を零れ落とすかのように言葉を紡ぎ。次いで真っ直ぐ此方を見据え、名を名乗ると

「 ノア、 ── あなたを応援する女の名前。 」

くすり と小さく肩を揺らし、貴方の言葉を真似て名乗った。

レグルス・ダンタリオ > 「……ノア、さん……」

嚙み締めるように彼女の名前を呟いて。
笑う彼女に、自分も笑いを返して、彼女が抵抗しないのならば。
その頬を、伸ばした片手で軽く撫でて。

「今度は、素顔で会いたいですね。……仮面のままじゃ、あなたの瞳しか見えない。
 ――――それだけでお釣りはきますけど」

くすり 彼女と同じように肩を揺らして笑って。
そっと彼女の頬から手を離す。……ごつごつとした、剣を握り慣れた手だった。

「……また、会えますか?」

パーティーのほうを見れば、いつの間にやらもうお開きが近くなっているようで。
”主役”の最後の挨拶が始まろうとしていた。

ノア = セシル > 身分も、年齢も、此処へ来た理由も、何もかもが違う二人。マスクで本性を隠す人々の喧騒の中で、互いの名を明かし合った。

「 そうね…… あたし、街で便利屋をやってるの。 だから、あたしが必要になったら いつでも訪ねてきて。 」

頬を撫でる指は 存外しっかりとしたもので、少年の言葉に嘘がないと感じながら。撫でられる心地好さに、そっと長い睫毛を伏せて微笑む。再会への手がかりを、少年にだけ聞こえるよう囁くように伝えると。そろそろ宴も終わろうとしていた、其の時

『 やぁ お嬢さん、もう帰るのか ? 』

会話の最中とわかっていながら、一人の男が 女に声を掛ける。酒気を帯びていたとて あまりに無礼な振る舞いに、女は鋭い視線を向けて

「 今、この御方とお話しているのだけれど……… 見えないのかしら、 」

少年を “この御方” と呼び、隣に立てば腕を絡ませ。其の呼び方によって、女の隣に並ぶ少年を有力者だと判断した男は、焦りの色を へらへらと媚びるような笑みでもって誤魔化し始める。そんな男に追撃とばかり

「 その振る舞い、後悔する事になってよ。 」

なんて付け加えたら、あっという間に男は そそくさと退散して行った。凛と澄ました顔は、男が立ち去ると 途端に悪戯な笑みへと変わり

「 …………後悔、させないと ね。 」

くすりと笑みを零しながら、やや強引に組んだ腕を解いて。少年に対し 二度と無礼を働く輩が現れぬよう、女は一層目標の達成を応援することとなる。

「 さて、と…… “また” ね、レグルス。 」

出口へと向かおうとする脚を、一度止め。少年の方へ振り返り “また” と再会を望みながら、主役が挨拶を終える前に会場を後にした。

レグルス・ダンタリオ > こくりと、告げられたその手がかりに微かに頷く。
このような主役がいるパーティーで、主役をそっちのけで語り合う男女。
少々、申し訳なさもなくはないが、しかしそういう目的の者もいなくはないだろう。

ただ、この二人は最初からそう言うつもりなど一切なかったのが珍しいところか。

「…………っ」

途端、声をかけて来た男の姿に目を向ける。
なにか、自分が言う前に彼女が自分の腕に絡ませてきたことにドキリと胸が高鳴った。
あっという間に彼女が男を退散させたのを見て、あっけに取られて少年は彼女を見る。が……

「……そうですね。それぐらい、いや……」

腕を解いた彼女をまっすぐに見て。

「それ以上に、なります。……では、”また”。ノアさん」

軽く手を振り、出ていく彼女をを見つめ続けて。
振り返る頃には、もう最初のような羨望の眼差しを主役には向けていなかった。
代わりに。自分への決意を拳を作ることで自分へと誓う。

次に会えた時、彼女に少しでも応えられるように、と。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からレグルス・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からノア = セシルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にロイナさんが現れました。
ロイナ > 「ふぁ~……」

陽も落ちて人気が薄くなった道で、大っぴらに欠伸を零す少女が一人。
きょろきょろと辺りを見渡し、誰もいないのを確認すればまた一つ欠伸。

「…久々に国へ帰ろうかなぁ。帰ってもなんもないけど~…」

魔王やあちらの貴族と異なり、領地のようなものを持っていないだけにロイナにとっては帰るメリットがあまり無い。
王都に居ついて日々をゆるゆると過ごしているだけの淫魔は、最近どうも暇で仕方がなかった。

「こっちに棲み処見つけられれば、少しは楽なんだけどねぇ…」

要は獲物。
まぁ食事をしなければ死んでしまうというわけではないので、友人のところに居候…という形でも問題はないのだが。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアンネマリー・エミリア・シュルツさんが現れました。
アンネマリー・エミリア・シュルツ > 貴族になったからか、元々か。
アンネマリーは目も耳も優れていた。
その双眸は魅力的な女性の憂いた顔を捉え、ついでに漏れ出た言葉も拾っていた。

「そこのレディ、住むところに困っているのかな。」

努めて笑みを浮かべる。
護衛役は少し離れた所にいるので、傍目には一人に見えるだろう。
とはいえ、ここはマグメール。
突然声を掛けられれば、警戒されるかもしれないが。

ロイナ > 「ん?」

凛とした口調。声をかけられ振り返れば、
夜の闇に溶け込むかのような黒のパンツスーツに身を包む小柄な女性の姿が目に付いた。

「いやまぁ……困ってるといえばそうかな?似たような感じ」

呟きが聞かれていたことに気恥ずかしさを覚えつつ、へへ…と苦笑い浮かべる。
くるっと相手の方に向き直り、改めてじっと眺め回す。

「そんなレディに声をかけてきた君は、あたしに何か用事?」

アンネマリー・エミリア・シュルツ > 「なるほど、なるほど…。」

女性をじっと眺めては、頷く。
可愛らしい顔立ち、豊かな胸…思わず目を奪われる。
あちらもこちらを見ている。
視線が胸や顔に向いていることに気づかれたか。

「私はこの辺りで商売をしているアンネマリー・エミリア・シュルツと言ってな。
 綺麗なレディに、我が家で空いている部屋に住んで貰おうと思うのだが、いかがかな?」

アンネマリーは繕っているが、表情や雰囲気に好色なのが見て取れるだろう。
住む代わりに対価を求めてくるのは明らかだ。

ロイナ > 己が彼女を見つめれば、彼女もまた己を眺め見つめてくるのがわかる。
視線の行く先は同じ。胸元、そして顔…スタイルの良さにも興味を惹かれて。

「アンネマリー、か。よろしくね。あたしはロイナ。
……それは願ってもない提案だけど……」

繕っていることは一目でわかった。
その対価として──にんまりと笑えば、ロイナはご機嫌な足取りで彼女の方に近寄っていく。

「折角だから、そのお部屋…家かな? 今から案内してほしいんだけど、如何?」

ね、と視線を落とし、美しいオッドアイの瞳を覗き込む微笑。

アンネマリー・エミリア・シュルツ > 「ロイナか、素敵な名前だな。」

ロイナの視線もまた、自らと同じような動き。
見られていると気づいたアンネマリーは、口元に笑みを浮かべる。
自らの顔にも身体にも多少自信があったから。

「なら、この近くにある別邸で構わないかな。
 本宅でもいいのだが、騒がしくなってしまうからな。
 無論、ロイナが望むのなら本宅でもいいのだが。
 私が思うに、あまり干渉されるのは嫌いだろう。」

覗かれた瞳はすっかり欲情し始めていた。
許可を得るより先に、ロイナの腰に腕を回し、抱き寄せるだろう。
良ければ、そのままカップル然とした格好で富裕地区内の別邸に向かうか。
富裕地区内ではこじんまりとした建物で、どちらかと言うと平民地区の一軒家に近いか。
但し、掃除は行き届いており、常駐の使用人居たりと、平民地区のソレとは多少違う。

「どうかな、お気に召すだろうか。」

ロイナ > 「ふふ、名前を褒められるのは中々無いからうれしいねぇ」

くすくすと笑いつつ、それでも若干の照れ臭さはある。
欲情を隠し切れない瞳を覗き込み、気を良くしたロイナは抱き寄せられれば早速とアンネマリーの腰に腕を回す。

2人して向かった先──富裕地区内のささやかな一軒家。
他の邸宅に比べれば規模としては然程でもないが、手入れは丁寧にされているようだ。

「へぇ、素敵じゃん? 住むのは別邸で良いけど、そのうち本宅も見てみたいな~」

等とねだりつつ、特に止められなければ腰を抱き合い密着したまま別邸の中へ足を踏み入れるだろう。

ロイナ > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からロイナさんが去りました。
アンネマリー・エミリア・シュルツ > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアンネマリー・エミリア・シュルツさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアンネマリー・エミリア・シュルツさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアンネマリー・エミリア・シュルツさんが去りました。