2025/02/17 のログ
■シロナ > 馬車もなく、人通りも少ない。
この時間を歩くのは、警邏の兵士か、冒険者か、家路につくものだけだろう。
ああ。そういえば、貴族も少数はいる。
まったく何もない、誰もいないという事はない。
そんな中、静かに少女は道を歩き、行き交う人々を眺めやる。
疲れている顔、眠そうな顔、様々な顔がある。
まあ、今の時間を考えればそんなものかぁ、と夜の散歩の最中に考えるのだ。
「なんというか……暇だなぁ。」
何もないことはよい事とは思えども、子供としては、暇という感覚になる。
ある程度歩いたら、帰ろうと思っているのも多い。
まあ、手に持つハルバートを使うことがないことを祈りながらも、どこか期待しながらも。
少女は公園の方へ。
公園はきっと――――だろう。
実際に見て、判断する積りだけれども。
■シロナ > 公園を見てみれば。
やっぱりというか、なんというか、そこかしこで甘い声と、濃厚なにおい。
うん、だよねぇ、と思うのは、貴族の性質から、だと思う。
とはいえ、相手が居ない中、相手が居るところに来てもなぁ、と。
声をかけてきそうなのも、居なさそうだし、帰ることにする。
かえってお風呂入るか、そう考えながら、去っていく―――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシロナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にコンゴクさんが現れました。
■コンゴク > 「ぷはー…」
建物の中にはオリエンタルな雰囲気の毛織の絨毯が敷かれ。
その上にはクッションが山ほど積み上げてある。
そして中空からその天井に及ぶ辺りまで煙が蔓延していた。
しかし火事場であるという訳では勿論無い、細長いグラス容器がこの場には沢山床に付設されている。
水煙草(シーシャ)という奴だ。細長くも膨らみを持った内空部分に貯められている水がこぽこぽと音を立てる。
水をフィルター代わりにして焼き皿で燃ゆる刻み葉からも溢れ出る煙を誰もが吸っていた。
皆々石ころが置いているかのように落ち着き払い、店全体にはダウナーな空気が漂っている。
「ふむ……時間潰しには具合も良い」
その絨毯とクッションの一部を枕と寝床代わりにして横側臥位、涅槃のポーズでごろりとなっていた。
長い獣の消化器官を干して作った柔軟性のあるホースに繋がる煙管を噛む。
水に冷やされた煙の香を肺で食べ、吐き出す。
ふうっと窄んだ口先から漏れる煙が周囲の客の煙に合流する。
観劇の公演が今よりも大分先なので、此処で暇潰しをしているのだ。
ごろ寝しながら店から提供される生姜の効いたチャイ(ミルクティー)と素朴なナッツのケーキを齧り、自堕落に過ごすのみ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からコンゴクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 富裕地区で行われている、とある貴族主催の夜会。
この貴族は近年の戦争でいくらか功績を上げた新興の成り上がりで、家の興りを祝うもの。貴族同士の社交の場としてのパーティーというだけでなく、その貴族の今後の付き合いなども見込んだものとなっているようで。
高位の貴族は一部だけ、どちらかといえば戦争経験者であったり同じような新興貴族であったり、貴族だけでなく平民たちもドレスコードはあれど広く招かれているよう。
参加者の中にはあまり良い顔をしないものが、貴族側にも平民側にもいるが、それぞれお互い様というところだろう。この家の者は、そういった垣根へのこだわり薄い者と付き合いをしようとしているのだろうか、とも、同じように戦争功労者としての立場で参加を乞われた初老の男はローブの裾を揺らしながらにぼんやり考えていた。
見れば学院で見た顔、聞こえてくる話題から冒険者らしい者なども居て、開催主はせわしなく駆け回っている。
ルーベルの所にはもうとっくに挨拶に来ており、顔合わせも済んでいるから、この場を去ってもいいのだけれど。
普段の夜会とも違う雰囲気は意外と興味深く、ついつい長居してしまっていた。
とはいえ、随分宴も進み、人もそれぞれ帰宅したり、別室でもっと色々な話をと散っていたりもし始めている。
開催主から男も部屋を用意されてはいて、平民相手、あるいはどうとでもなる相手ならこの場の事は……などと含みある言葉も聞かされていた。
程よく酒精を摂ってはうっすら赤くなる顔を人の減った会場に巡らせて、昏い色の金を細めて面白い手合いでもいないかと探していく。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にユーリアティスアさんが現れました。
■ユーリアティスア > 会場の一角に一人の少女がいた。
まだ幼さを残す顔つきをしていながらも、ドレス越しに見える体のラインは何とも艶めかしく成熟しているように見える。
その顔を知っている者はさほど多くはないだろうが、学院に関わる者の内何人かは見覚えがあるかもしれないし、王族に取り入ろうとする者や利用しようと思っている者も見覚えがあるかもしれない。
ユーリアティスア。
末端ではあるが王族に席を置いている王女だ。
しかし母親の血筋は歴史あるものではなく、彼女自身特別秀でたものがあるわけではないこともあり彼女の王位継承権は低い。
彼女を神輿に担ぐ貴族も特に聞いたことがある高位貴族はいないだろう。
しかし、彼女は生まれ持った美貌から幼い頃からそちら方面での期待はされていた。
成長期を迎え始めてからは特に。
そんな彼女は普段滅多に人前に出ることはなく、通っている学院でも特に交友を深めている個人はいなさそうである。
滅多に見られない人物が、珍しい場所にいるとチラチラと視線を向ける者はいるが、俯きがちで壁の花になっているユーリアティスアに話しかける人物はいなさそうだ。
いや、もしかすると人目を避けて接触し、そのままどこかへエスコートしようと考えている者はいるかもしれないが……。
■ルーベル > 杯を口元に運ぶおり。偶さか人の波の合間に見える、一人の少女。
あまり夜会でも見ない姿ながらに、偶さかルーベルは記憶の隅に彼女の姿があった。
学院に通うも、王族であることからにわかに平民たちとも友誼を持てず。
王位継承権が低く、後ろ盾としては力が弱いことから、貴族たちともつながりが薄い。
本人は、小柄ながらに魅惑的な肢体をしているも―…なにか才でも隠しているのか、相応に運が良いのか。
王族貴族などだとよく聞こえるような、あまり良くない噂の類も、全く聞こえないような少女。
ルーベル自身も、彼女のような蠱惑的な体躯の少女であれば、才以前に容姿に興味を持つ、はずなのに。
その年に見合わず熟れた身体をどうこうしよう…というような思考に至ったことがなく、妙な話だが、違和感も感じて。
なにより、これまではそうだったのに。今は、逆に誘われるように。視線を惹かれるものだから。
「ご機嫌いかがですかな、ユーリアティスア姫。あまり楽しめてはおりませんかのぅ?」
壁の傍で俯く王女にと声をかける。その機嫌を探り、様子を窺うようにしながらも、人当たりよさげな笑みを浮かべて見せながら。
ちらりと、その肢体を視界の端で捉える暗金の瞳。たっぷりとドレスを押し上げる体つきに、僅かにその瞳が細まって。
■ユーリアティスア > 「ぁ……」
俯いていたユーリアティスアは声をかけられてようやく気付いたと言わんばかりに小さく声を零しながら顔を上げる。
澄んだ海のような水色の瞳がルーベルを見上げ、戸惑うように揺れる。
王族にしては装飾の少ない、しかし王族らしく高級感のある生地で作られたドレス。
あまり露出がないデザインのそれは、しかし下半身はふわりと膨らんだラインで隠されていても、上半身はぴったりと体のラインに沿っている為に彼女の豊かな双丘がはっきりとわかる。
レースの生地で構成された袖にはそのほっそらとした深窓の令嬢に相応しい細腕のか弱さを主張しているが、その細さがより一層双丘の豊かさを目立たせていた。
「えっと……いえ、楽しませてもらっています」
戸惑いながらも必死に笑みを浮かべようとしているのがバレバレな、拙い笑み。
低い王位継承権や、彼女を生んだ親すらも大した期待を抱いていないからか、王族の教育も学問はしっかり受けていても対人における教育はおざなりにしか受けれていないユーリアティスアは本心を誤魔化す技術を身に着けてなかった。
そんな彼女がこの場にいるのは、流石にこのままではいけないと思った彼女に関係する大人によって、少しでも貴族との繋がりを得るためだ。といっても、それに必要なことも特に教えてはいない様子だが。
ユーリアティスアとしても、今まで大して関わろうとしてこなかった親族にいきなりこの場に行けと、なんとしても貴族と交流を持てと言われて連れてこられた場所で何をすべきか戸惑い、壁際で眺めるしかできていなかった。
■ルーベル > 小さく零れる戸惑いの声。
男のほうに向けられるのは透き通るような水色の瞳。
飾り気は最低限で、質の高さで纏う者の品位を高めるような装いは、男としても好ましいもの。
けれどもそういったところよりも、年の頃に見合う少女らしい体の―…一部、見合わぬほどに実ったたわわな箇所へと視線を誘われるのは、致し方ないところだろうか。
その視線を、彼女の装いを眺めるようにと、膨らむスカートのラインへと流すことでごまかしつつ。
「それは良かった。学院では度々お姿を拝見しておりましたが、ご挨拶はできておりませんで」
失礼いたしました、と、ゆっくりと一礼を向けながら。ルーベル・アルカヌムという己の名と、伯爵であることを伝える。
そうしながらに密やかに解析の魔術を奔らせては、彼女から感じる違和感の元がなにかと、探るようにする。
この国で、彼女のような存在はすぐに手折られてしまうような立場にしか思えず。
誰かの意図なりで、まるで隠されるかのようにいたなら、軽々に手を出すのは火傷の元かと警戒してのこと。
彼女に害成すような術式ではないものの、男の、その力の源とも言える魔核からの魔力は酷く淫猥な力を持つ。
何か秘めたるものがあるのなら、それがどのように作用するかは男も想像だにしないこと。
少女の身になにか、が潜むなら。その熟れた肢体を巡る魔力が、いかようなふうに影響するものだろうか。
■ユーリアティスア > 「そう、ですか」
どうやら相手がちゃんとした地位を持つ貴族だとあっさりと信じて頷きながら挨拶を受ける。
そう言えば学院で見かけた気がするとようやく気付き、慣れない笑みを浮かべながら障りないように言葉に悩みながら会話を心がける。
自分に解析の魔術が使われているとも気づかず、自分に向けられている視線が下卑たものが含まれていることなど気づかず、初めて話す相手との会話に必死だ。それは何の成果も得られなければ親族に叱咤されるから。
そうして、解析の魔術を根深く行えば、ユーリアティスアの体にいくつかの魔術が施されていることに気付くだろう。
そして、その魔術に帯びた魔力から、その魔術を行使したものはおそらく魔に属するものだろうという事も。
全てではないが、解析しきれた魔術は以下の通り。
彼女が視界に入ればその体に欲望を掻き立てられるもの。
しかし、彼女が視界から外れれば彼女の事を意識しなくなるもの。
彼女の傍に近づけば彼女に対する性欲を始めとした欲望が消え失せてしまうもの。
彼女は現在何があっても妊娠することはないもの。
これらが正確に読み取れた、ユーリアティスアに施された魔術だ。
これらから読み取るに、ユーリアティスアは男の欲望の視線を自然と受けるようになっているが、近くにいればその欲望が消えてしまうために実際に何かをされることは防がれていることがわかる。さらには彼女を見なければ彼女自身を思い出すこともないため、策略などで被害にあう事も防がれるようだ。
これらや妊娠防止の魔術を考えれば、視線が集中するのはともかく、一応は危険から彼女を守っているようだと思うだろう。
しかし、今現在二つ目と三つ目の魔術が随分と薄くなっていることも解析でわかるだろう。
他の二つは強固だというのに、彼女を守る作用をしているはずの魔術が弱まっているのだ。このままではユーリアティスアは男の毒牙をその身で受けてしまう事は想像に容易い。
■ルーベル > 少女と会話を続ける合間。社交に慣れない王女の必死さを和らげるように、好々爺といった様相で相槌を返す。
その裏では魔術でもって彼女自身に纏わされた魔術をと読み取ってゆきながら。
そこに忌むべき魔の気配を感じれば、また少し、暗金の瞳は細まった。
少女を危険に晒すようでいて、一線は越えさせぬようにするような。
なんとも不可思議な趣味の悪い呪いめいた魔術。
小柄ながらに男の視線惹きつけるような、そんな体ながらにここまで無垢で居られたのがそのおかげ、ともいえるが。
不必要なほどに男たちの欲望に晒されてきたのも、確かだろう。
王族という特殊な立場であるからか、今は己を奮い立たせているようではあるが。
どことなく、男性を忌避するような気配も見て取れてしまうから。それもまた、魔の狙いでもあるのかとも、想像して。
「おや…楽しく過ごしていると、時間も立つのが早い。どうですかな、場所を変えてもう少しお話など…♥」
そうこうするうちに、人が捌け始め。夜会も終幕といったところ。
彼女に掛けられた魔術が都合よく緩んでいるのなら、彼女を狙った魔から、攫ってしまうのも面白いかと。
あるいはそうなることも魔の狙いなのかもしれないが、それならそれで、正面から食い破ってしまえばよいと。
そんなふうに建前も挙げながらも…単に。魅力的な王女を目の前に、その弱まった術では男の欲は霧散させられなかったというだけ。
だから、その世間知らずな少女を攫い。最初に牙を突き立てる栄華を頂戴しようと。
その、豊かに実る胸元と対比してほっそり縊れた腰元にと手を伸ばし、別室にとエスコートしてしまおうと、誘って。
■ユーリアティスア > 「えっと……はい、では、よろしくお願いします……」
人見知りの自覚があるユーリアティスアは相手が気遣っているとわかりながらも話を続ける。
あまり会話を続けてこれた経験のないユーリアティスアは相手が聞き上手だなと思っている。
そうして、相手が何を考えているのか、その眼に宿るナニカに気付くことなく、誘いを受けてあっさりと頷いてしまう。
理由としてはもう少し話しておいた方が親族に対してちゃんと報告ができるというものなのだが、自分が女として無防備すぎるという自覚がないゆえの愚行だ。
まぁ、親族ももしかしたらこういう面で貴族との繋がりを手に入れろと思っているのかもしれないが……。
腰元に手を伸ばされてもただのエスコートだとしか思わず、あっさりとルーベルの誘導に従って別室へと連れて行かれる。
その時、数名の男性から何か考えるような視線を向けられているなど気づきもせず。
今後、自分がどのように見られるかなどもわからず。
そもそも、自分がこれまでこの国で、王城で女として無事でいられたかすらも理解せずに。
ユーリアティスアはあっさりと男の手を取ってしまうのだった。
■ルーベル > (お部屋移動)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からユーリアティスアさんが去りました。