2024/05/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にキュリアスさんが現れました。
■キュリアス > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にプシュケさんが現れました。
■キュリアス > 富裕地区のとある一画。
そこはとても普通の貴族では住むことどころか、立ち入る事すら許されない。
このマグメール王国では、貴族の中でも暗黙の階級がある。
様々な美しき草木が生え、新鮮な果物すら成っているそこで。
奇怪な生き物が木の上で寝ていた。
「んにゃ~ん」
それは形だけ見れば普通の猫のような姿をしている。
体長は大体50cm程度、中型のネコぐらいの大きさであり、毛並みは鮮やかな色合いをしている。
……のだが、その色合いがあまりにも不可思議だ。この世界で奇妙な生物は数あるのはそうだが。
全身の毛は蛍光する紫と白の斑模様。その髭は長く、同様に光を帯びている。
まるで絵画や物語から飛び出て来たような姿をしていた。
「んごろごろ……んに”ゃ”っ!!?」
喉を鳴らしながら、降り注ぐ日の光に気持ちよさそうに転がっていけば……。
そのまま、木の上から落ちてしまい、溜められた落ち葉に着地する。
がさがさと落ち葉をかき分けながらその猫は起き上がり、ペロペロと前足を舐め始めた。
■プシュケ > そんな庭の中を歩く一人の人影。
いつも散策をしているわけではないのだが、外歩きが嫌いな性質でもないため時折こうして散歩する一人の少女。
十分に仕立ての良い服装からも、だいぶ裕福な貴族等であることは知れるほどに。
そんな散策の場所は、イフレーア・カルネテル家の庭の一角。
そして、歩いている少女はこの家の末娘。
時折足を止め、草木を愛でながらのゆっくりとした散歩。
その中で、ふと何かが落ちたような音が聞こえる。
「……何かしら?」
鳥や動物であれば可能性はあるものの、猛禽や猛獣の類が入ってこれるような場所ではないことと、庭師たちの仕事を信頼しているからこそ、どうということはなかろうと気安い調子で。
そして、程なく目にするのは
「…………猫?」
語尾が疑問形になるのは、毛並みの色がどう見ても猫をあらわしているものではないから。
猛獣ではなくても幻獣の類の可能性は否定できないために、少女は自分の『瞳』でしっかりと見やった。
「……レインボー。猫、ではないかしら。」
見えた『色』から少なくとも、猫と呼んでよいシロモノではないことはわかった。
猫の形をとった何か、というのが妥当だろう、と。
■キュリアス > 「にゃにゃ?」
少女が目にした猫は、確かに普通の猫ではないとすぐにわかるのはそうだが。
少女の瞳がそれ以上に、この猫の異様さを際立たせるだろうか。
それらの色はすべてキラキラと輝き、宝石のような美しさを持っている。
だが、同時に美しさとは程遠い暗い色も時折見せていた。
「にゃ~ん」
猫が少女に気が付くと、ペロペロと舐めていた前足を地面に戻して。
興味を持ったのか、ゆっくりと尻尾を揺らしながら近づいていく。
枯葉を踏んだ際には音が響き、ゆっくりその少女の瞳を覗き込む。
すると、本来白目となっているべき目は輝くような青色で、瞳は金色に光っていた。
その目も、その体も、全てが宝石のようにすら思える。
「僕ちゃんは猫だにゃ?」
そんな風に、猫の口から人間の言葉が飛び出した。
少女が逃げないのなら、そのまま足元へ歩いていき、足首に首を擦り付け始める。
■プシュケ > そんな言葉を向けたら、その言葉をまるで理解したようにこちらを向く猫。
そして、近づいてくる様子にこちらもしゃがみ込んで待ってみる。
すると、自分の瞳を覗き込むように向けてくる視線。
その瞳も美しいながらも、古今東西どんな猫にも該当することはない。
挙句、しゃべり始めるその猫のような何か。
くすっ、と小さく笑いをこぼせば
「そっか、君は猫なんだね?……でも、私の知っている猫はしゃべらないんだ。
だから、君は私の知っている猫とは違う猫、じゃないのかな?」
少なくとも言葉を紡ぐなら、こちらの言葉も理解できるだろうという安易な推測に基づいて話しかけ始める少女。
ある種、異常な状況でも動じている様子はなく、どちらかというと興味を示していることは間違いない。
足首に首をこすりつけてくるならば、猫も懐こいと判断して、こちらからも手を伸ばしてみる。
まずは、あまり嫌がることの少ない背中のあたりを指先で触れる程度に。
■キュリアス > 指先で背中を触れれば、ふわふわとした感触が走る。
綺麗な羽毛に包まれたような、そんな心地良い感触だ。
日向ぼっこによって体温も高く、ほどほどに温かい。
小さく笑ったあなたに、不思議そうに猫は小首を傾げる。
「そうなのかにゃ?でも、みんな喋ろうと思ってないだけなんじゃないかにゃ?」
背中を撫でる手に向けて、足首から今度はその掌に首を擦り付け始める。
そこからさらに、ざらついた舌を伸ばして指先をペロペロと舐め始めて。
くすぐったさと生ぬるさを感じて、人によっては気持ち悪いと感じるかもしれないが。
若干不衛生ではあれど、猫なりのスキンシップなのはわかっていいだろう。
「猫の名前はキュリアスにゃ。だから猫と違うと言ってもそうかもしれないにゃあ。
あむ、ペロペロ。お嬢ちゃん甘い味がするにゃ。
もしかしてこの中庭ってお嬢ちゃんの家のなのかにゃ?」
■プシュケ > 触り心地からして、野良猫とは思えないそれ。
しっかりブラッシングされている飼い猫のような。
とはいえ、触り心地が良いことに違いはないのだから、
あまり気にせずに触れていて。
「そうなのかな?……ふふっ、そうなのかもしれないね。」
猫の言葉に一度疑問を向けつつも、それだったら面白いなと感じたからそれとなく同意をして見せた。
撫でる手に首をこすりつけてくる猫。
とても懐かれているような気がしなくもないけれど、
それはどちらかというと嬉しいこと。
なにせ、猫は気まぐれな生き物だし、まったく懐かない子の方が多い。
指先を舐めてくるならば、なでる手を止めてさせるがままに。
懐く猫ならする行動だから特に疑問を持つこともなく。
「そっか。キュリアス、っていうんだね。私はプシュケ。よろしくね。
甘い味?……午後の紅茶で出たお茶菓子の砂糖が指先についてるのかな。
うん、そうだよ。ここは私の家。たくさんの家族と住んでいるよ。」
少女は間違いなく沢山の家族がいる。
ただ、同時に沢山の使用人もいて、それを含めて家族と評しているから、相当数の人数が対象になるのだが、そこまで細かく説明はしなかった。
■キュリアス > 「プシュケちゃんにゃ~。ここで会えたのがいい縁になるといいにゃ」
そう楽しげに言うと、舐めるのをやめて少女の手に飛び掛かる。
そのままするすると駆け上って、彼女の首に巻き付くように寝転がってしまう。
決して重さは感じない。まるで羽のような軽さで、首に負担などいっさいかからなかった。
本当に目の前にいる生き物なのかと疑問にすら思いかねない程だ。
「プシュケちゃんは家族がいっぱいいるんだにゃあ。すごいにゃあ。
僕ちゃん、たくさんの猫は見たことあるけど、家族は見たことないにゃあ。
独りぼっちだから家族がたくさんいる子は羨ましいにゃ~」
耳元で話せば、まるで耳かきをされているような心地良い声が響く。
触れている毛並みの心地良さと、温かさもあってマフラーを巻いているかのよう。
「ふわあ」と、猫はあくびをして少女の首に包まる。
「どんな家族と一緒なのにゃ?よかったら家族と過ごすのがどんなものか、教えて欲しいにゃ」
■プシュケ > お互いの自己紹介が終わればとびかかってくる、というか、まとわりついてくるキュリアス。
特にひどい重みを感じるでもないので、気にせずに受け入れていれば
「うん、そうだよ。……あはは、すごいのは私よりもお父様、お母様だとおもうなぁ。
二人がたくさん子供を産んだから大家族になったんだし。」
親類縁者という意味で考えればもっといるが、少女にとっての家族は血のつながりのある人間ということ。
もうすこし広げたとしても、常に一緒に暮らしている人位まで。
「あれ、そうなの?キュリアスのお父さんやお母さんは?」
家族はないと告げるキュリアスに親はどうしたのか向ける問い。
幸せな家族に生まれているから、不幸が起こることについては意識が向かない。
首周りに猫マフラー。
これはこれで悪くないな、などと考えていればそのままに。
「どんな家族、かぁ……まずね……」
最初に家族について話していく。
両親が健在であること、きょうだいが7人いること。
自分は双子で双子の姉がいること。
などなど、家族の話は尽きることはなく。
「家族と過ごすがどんなもの、かぁ……
ホッとするっていうか、安心するっていうか……
とっても楽しい、って訳ではないけれど、とても落ち着ける時間、なのかなぁ。」
■キュリアス > すんすん、と少女の首裏で鼻を鳴らす音が聞こえる。
それが少女のにおいをかいでいるのはすぐにわかるだろう。
動物の習性故に仕方ないが、香る少女のにおいに満足げに喉を鳴らす。
「へぇ、子沢山ってことなんだにゃ。プシュケちゃんは今いくつにゃ?
こんな豪華なところに住んでるのなら、許嫁とか婚約者とかいそうだにゃあ」
ブロンドの髪の中に顔を入れたりして、さらにそのにおいを感じようと。
そのまま、ぺろりと一瞬うなじ辺りを舐めて微かに日光によって浮かんだ汗を舐めとる。
無防備な少女に対していささかやりすぎだと使用人なら咎めるだろうが。
あいにくと猫には自制心がなければ、止めるものもいなかった。
「いないにゃあ。僕ちゃん生まれた時から独りぼっちにゃ。
家族なんていないにゃ。だから家族がどんなものか知らないから知りたかったにゃあ。
幸せな家族も、不幸な家族も。両方とも僕ちゃんは知らないにゃあ。
だから気になっちゃうのにゃ。プシュケちゃんは幸せな家族かにゃ?」
そう話しかけていけば、少女の口から聞こえる。家族のあり方。
尽きないその話を聞くことに、猫はふんふんと何度も頷く。
少女の顔がだんだんと安らぎのようなものが浮かんでいくことに満足げな笑みを浮かべて。
細まった青色の目は、非常に嬉しそうであった。
「落ち着ける時間かにゃ~。それなら僕ちゃんも家族になれそうだにゃ。
プシュケちゃん、今安心してるにゃ?においと味でわかったにゃ。
ま、猫と人間じゃ家族になれないっていうなら、やっぱりダメなのかにゃ~」
力を抜いて少女の首に包まったまま、またペロペロと前足を舐め始めて。
「いつかプシュケちゃんもお母さんになった時、すごくなれるといいにゃあ」
■プシュケ > 鼻を鳴らす音が聞こえるものの、嗅がれて困るような暮らしはしていないのでそこまで気にすることもなく。
喉のなる音が耳に届けば、どうやら気に入ってもらえたようだとそっちに安堵する。
「うん。子だくさんだよ。お父様、お母様はね。
私?私は今13歳だよ。まだまだ子供。
あはは、もう2年くらいしたらできるかもしれないね。
でも今の所は特にいない、かな。」
髪の中は気にするでもないが、首筋を舐められると、くすぐったさに小さな笑いがこぼれるか。
くすぐったいよ~、と口にしながらも、じゃれあうこと自体に忌避感はないようすで。
そうしていれば、キュリアスの身の上話のようなそれ。一通り耳にして
「そっか。知らないことは知りたくなるよね。
私は幸せな家族と一緒に暮らしている方かな。
だから、私も不幸な家族のことは良く知らない。」
そして、自分の家族語りのあとで返ってくるキュリアスからの言葉。
ちょっとだけ考えてから開かれる口は
「家族になれるかどうかは、わからない、かなぁ。
家族って、家の仲間になるかどうかだから、他の家族にも聞いてみないとわからないっていう意味で。
でも、私とキュリアスが友達になることはできると思うよ。
他の家族とも話をしてみて、OKって言ってもらえれば家族にもなれると思う。」
自分一人で家族になれると言ってしまって、うちでは飼えませんと言われたらキュリアスがかわいそうだから、事実と現実を交えた回答をした。
多分そこまで狭量な家族ではないからきっと大丈夫な気もするけれど。
それでももしダメだったらを考えて、こんな返事になったのだった。
■キュリアス > その返事を聞いて、落胆したように首でうなだれる。
「家族にはなれない、かにゃあ。まぁ仕方ないにゃあ~。
でも、友達になれるのなら友達になりたいにゃ。プシュケちゃん可愛いし。
こうして首に乗っかっても嫌がらないし、僕ちゃんプシュケちゃんの事大好きになっちゃったにゃ」
落胆していたような姿から一転してそう告げると首が上がり、今度は少女の頬をぺろりと一度舐める。
小さな笑みをこぼしていた少女の表情を少し見たあと、もう一度体を彼女に預ける。
変わらず、猫は一切の重さを感じさせなかった。
「まぁ、幸せな家族と一緒にいられるのならきっと最高なんだろうにゃあ。
僕ちゃん、不幸でも幸せでもないけど、プシュケちゃんとかが幸せなら嬉しくなっちゃうにゃ。
満たされてる人で僕ちゃんも満たされてハッピーにゃ」
朗らかにそう言いながら、少女の頬へと頬ずりをする。
忌避感がない少女に対して、遠慮など一切する様子はなかった。
むしろ、その距離感を少しでも近づけようとしているようで。
「僕ちゃんと友達になってるくれるにゃら、たくさん遊びたいにゃあ。
なにかあったらいつでも呼んでにゃ。僕ちゃんはどこでもいっしょになってあげられるにゃ」
そう笑顔を浮かべたまま告げる猫。その首に、よく見れば黒い首輪があるのがわかるだろう。
誰かのペットなのか。その割には飼い主らしき姿を見ることはない。
この猫自身も、人懐っこさや人馴れこそしているが、主人がいる風にも見えないだろう。
■プシュケ > 「家族に聞いてみて、飼ってもいいよ、って言われたら家族だけれど、
そもそもキュリアスってどこかの飼い猫じゃないの?首輪ついているし。」
落胆した様子のキュリアスに、まったく目がないわけではないことを伝えつつも、気になった首輪についての問いを向けて。
そして、家族ではなくても友達になりたいと告げてくる言葉に笑顔で頷いて。
「うん、友達にはなれるよ。友達は、私が作るかどうかの話しだから。
あはは、ちょっとくすぐったくはあるけど、キュリアスが懐いてくれてるのが分かるから、嫌がる理由はないかなぁ。」
そんな返事を返していれば、頬を舐められてまたくすぐったそうに笑うものの、更に身を預けてくることもまたそのまま受け入れていて。
そして、朗らかに続く言葉にはこちらも笑みが深まって。
「キュリアスみたいに周囲の幸せを自分の幸せって思えるのは素敵だと思うよ。」
人間同士でもそう思える人は多くはない。
だから、その心持は素敵だと口にする。
そのまま距離感を近づけようとしているキュリアスの動きは、特に忌避感を感じていないプシュケにとってはむしろうれしいことばかり。
「あはは、そうだね。友達になるんだから、たくさん遊んであげるよ。
いつでも呼んでっていうけれど、どうやって呼べばいいのかな?
キュリアスのおうちはどこなんだろう。」
虚空に呼びかければ出てくるわけでもないだろうし、と考えて口を突いた言葉。
やはり猫ではないのではなかろうかと思っているものの、それがあまり印象にマイナスをつけることはなかった。