2025/01/27 のログ
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ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエーディトさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にヴィクトリアさんが現れました。
エーディト > 面倒臭いことに独りで望む程、非常に馬鹿らしいコトはない。
面倒臭さの質による? それは御尤も。
報酬は総取りしたい? 出来るならそうしたいが、仕損じる方がもっと大損と思わないかね。
一人で片づけて格好つけたい? 寝言は寝てから言おう。独り寝で好きなだけどうぞ。

――というわけで、丁度おりよく手持ち無沙汰とも仕事に悩んでいた様子の子を見つけていざ目的地へ。
意気揚々と出かけ、四苦八苦あくせくして、報告の後は軽く身綺麗にしてどうするか。

「――かぁーん、ぱぁーい!!」

そう歓声が響くのは平民地区の一角、冒険者ギルドに近い或る大き目の酒場の一席からだ。
何処か奮発したように焼き物、汁物、パンやら野菜やらを並べるのは、さながら祝いの席のよう。
間違いではない。何人かで集まって協働して仕事を終え、成功を祝して呑むのもそうでないのも、冒険者のあるあるだ。
それがパーティの最小単位ともいえる、二人であっても代わりはない。
赤いジャケットを素肌が多く見える装束の上から羽織った女が、大振りのジョッキを掲げて歓声を挙げて。

そして、吞む。勢いよく飲む。数口で中身を空にして、ぷはぁ。

「今日はあたしの奢りだから、遠慮なく喰ってくれていいぜ。何か頼みてぇのある?」

片手を挙げ、エールのおかわりを頼みつつ対面に座す姿に笑って問おう。
背丈の差だけを言えば、さながら姉妹か親子のよう。だが、血のつながりはないのは明白。角も尾もあるモノはそうはいない。

ヴィクトリア > 「はい、乾杯♪」

掛け声とともに、ごつりと音がするのは仕方がない。だって、ジョッキは樽のようなそれだから。
なみなみと注がれているエール酒がジョッキの中で揺れ動く、少しこぼれてしまっただろうか、そこは気にしても仕方がない。
それぐらいに高揚している、酒を飲んだから、というわけではない。
冒険が終わったから、成功したから、いい具合に報酬をもらえたから。
テンションの上がり具合は、差があるように見えるけれど、相手と同じように、こちらもテンションは最高潮なのだ。

「そういうわけにはいきませんわ?
 なにせ、私もチームを組んでの成功なのですから。
 お祝いというなら私も出しませんと、私だって、お祝いしたいものですよ?」

歓声を上げて、おごりを伝える今日の相方。
飲み方にも性格の差が出るのだろう、両手でジョッキをもってくぴくぴ飲む姿は小動物だろうが。
ただ、酒には強いのか、ほほが赤くなるような様子もなく、にこやかに飲んでいるのだ。
ちゃんと、つまみのジャーキーを手に取って、あーん、と小さな口に運んで、パクリ、と齧る。

小娘に見える冒険者は一部はドカンと出ていてテーブルの上にゆっさぁ、と乗っかっていたりも、する。

エーディト > エールはどばどば呑むものだ。水代わりに出来る位になんぼでも呑める。
この女もまた然り。安酒だからにしても、景気よくおかわりできるか否かが実入りの良さの指標とも言える。
今回請け、解決した仕事というのもまさにそういう類のものだ。
毎朝貼りだされる依頼の中、手っ取り早く稼ぎたい時にうってつけの魔獣討伐の類の中で、残っていたものである。
報酬はそれなり以上。だが当然ながら、報酬の高額さにも理由がある。
数人がかりでも、考えを巡らせ、手間をかけて仕留めなければ片付けられないような類の厄介さ。

「――あー、それもそっか。ンじゃ……んー。折半で良いか? 追加で頼むモン次第だけどさ」

呑み方はクセが、個性が出るだろう。
向こうもどうやらお嬢様、それなりの出のようではあるが、育ち方の系統、経緯やらが違う。
程なくして運ばれてくるジョッキを受け取り、また勢いよく呷っては、ぷはぁ、と。
おっさん臭いと言われても仕方がない。だが、そうしたくなるのもなるもの。
快を椅子の上より垂れた尻尾を揺らし、示しつつまさぐるように手を伸ばし、フォークを摘まむ。
まだまだ焼き立てらしく湯気が立つ、厚切りステーキを一切れ、予めカット済みのものをぺろりと一口。
それをジョッキの中身で飲み込み、心地良さそうに息を吐く贅沢。

「チーム、チームねぇ。……そっちが良かったら、暫く組んでみるか? ヴィクトリアおじょーさま」

ぼっちともソロとも言える生活は長いが、即席で組んだ同業者からチームという句が出ると、考えるものもある。
テーブルの上にどかんと出て乗っかったものをついつい見つつ、ふるりと首を振る。
肉欲が騒ぎだすとろくなことがない。此処は我慢でもある。口元を隠すついでに、もう一杯ジョッキを傾ける。

ヴィクトリア > 今回の依頼は大当たりと言える。
討伐でも皆が避けていた魔獣というのもあるが、今回の相方はとても強かった。
おかげで、ヴィクトリアの火力が思う存分発揮できたのだ。
それは僥倖と言える、そういう仲間がいてこそ、生きるタイプのclass(アーチャー)だから。

「ええ、折半で。これは、二人で勝ち取っているのですから。」

エーディトが前衛として、魔獣の攻撃を抑え。
ヴィクトリアが後衛として、魔獣を爆散させる。
火力は十分にあるのだけども、それを発揮させるのに時間がかかる。
そんな業だからこそ、エーディトのような強靭な前衛が居てくれると助かるのだ。
そして、もらった報酬は、後、魔獣の素材は良い値段で売れたので、ここを折半すれば、お互いにいい具合に懐に収まる。
だから、ほくほくとする。
彼女のように酒に使うか、自分のように武器防具に使うかは、それぞれの性格だけども。
今日この場で、しっかり飲み食いすること自体は、大歓迎だ。

「そうですわね?おじょーさま、という余計な一言がなければ、ですね?」

にっこり。

微笑みながら、はしたなくもフォークでエーディトを指し示す。
彼女の眼には、フォークに込められていく魔力が見えるだろう、ヴィクトリアのスキル。
チャージ。ためた魔力の総量に乗算した威力がある。石ころでもしっかり魔力をためると中級魔獣を爆散させる火力になる。
ニコニコしながらフォークが一刻、一刻と破壊兵器へと変質しているのだ。

ヴィクトリアはにっこりしている。

エーディト > 弓手、魔術師、僧侶、等々。前衛と後衛の概念のうち、後者を務めがちなのがそれらだ。
今回組んだ相手はそれに該当する。十把一絡げに弓だけとは言わない。
だが、主に使うのが弓ならば弓手といって良い。
優れた使い手なら接近された際の対策位はしているだろうが、そうならないようにするのが最上だろう。
例えば、盾役とも切り込み役ともなる前衛があれば、最低限の役割分担が出来る。女はそのためのものを持っている。

「あーいよ。じゃ、今日はそれで」

盾で防ぐのも。この場には持ってきていないが、騒々しく唸る鎖刃剣で敵の目を引くのも。
そして何よりも。矢面に立ち、鎧で防ぎ、凌ぐのもまた前衛の仕事である。
鎧の補修、または改造に使えそうなものを除き、素材を売り払っても尚、いい具合に懐が膨れるものを今回得た。
故に今日くらいはちょっと羽目を外しても罰が当たるまい。いつもこれ位喰っている?それを言ったらおしまいだ。

「……だってー、さぁ。あたしよりお嬢様らしいからさぁ。ねぇ?」

直ぐに過ぎた小さい頃はまだしも、力任せとも荒々しいとも言える男達にも交じっていれば、影響されるものがある。
体躯も何もかもそう。上着からでも否応なく分かる大きな乳房とかが無ければ、まだ良かったか。
そう思うなら、お嬢様度については自分と相手では比較にならない。
冗談めかしつつ述べれば、向けられるフォークの先に篭る魔力の気配を捉え、右目の竜眼を眇める。
対抗術式(カウンタースペル)でも刻むか。ジョッキを置き、空いた手の指先に意識を篭めかけて、止める。

「じゃ、どう呼ぼうかな。……呼び捨てでもいい?」

少し考えつつ、肉の次は茹で野菜やら芋を皿の上に取り、摘まむ。略称の候補も幾つか脳裏に浮かぶが、しっくりこないような気がして悩ましい。

ヴィクトリア > メインの攻撃手段は弓であるから、弓手(アーチャー)でいいと思う。
弓だけではないが、サブの攻撃は投擲、戦闘技術の全てを遠距離攻撃で占めているので弓手が良いと思っている。
なので、冒険者ギルドの登録は、弓手にしている。

だからこそ、エーディトのような前衛がのどから手が伸びるほど欲しい。
正直一人で冒険を熟せるかどうかでいえば、できなくはない、という程度でしかないのだから。

「ではそれで。」

彼女の、投げやりにも聞こえる許可の言葉に、にっこりと笑いながらうなづく。
折半にできたのなら、それ以上言うことはないので、それでお話は終わらせる。
ただ、次の会話がまだ飛んでくるのだ。

「冒険者にお嬢様(箱入り娘)とは、いい喧嘩売りの文句ですわね?
 口調なんて、仕草なんて、冒険に関係ありまして?」

それこそ、貴族様の覚えがよくなって、お支払いのいい依頼を受けるための技術でしかないのですよ?
彼女も彼女で、それこそ正しく冒険者。
対抗策を考えて、迷っている様子が見て取れる。
きぃん。きぃんと、鉄のフォークが少しずつ輝き始める。
何らかの魔力を込めているのはわかるだろう、さて、何を込めているのだろうか。
付与術師として、その辺りは、すぐに見抜けないように、している。

「ええ、かまいませんわ。私の要望としては、余計な呼称(お嬢様)がなければいいだけなので。」


あだ名をつけるなり、ストレートに呼び捨てるなり。
それは構わない、彼女が理解を示したなら魔力を外し、ステーキの一部を刺して口元へ運んだ。
ミディアムレアの焼き加減は、固さと柔らかさ、たれの味がしっかり乗っておいしかった。

エーディト > お互いに弓やら剣を使うが、もう一手位は何か隠していることだろう――と。
今回組んだ際の立ち回りでふと、そんな印象が過った。
それが何かは問い詰めはするまい。もう一手程隠しているだけを言うなら、自分とてそう。
何より、頭の角や尾が示す血統、生まれは凡その人間が竜を見た際、抱く印象を大きく含んでいる。
ただ、素直に頼りたくはないだけだ。ヒトとしても竜としても自分は半端もの。
せめて、ヒトの技を高めきったら、半端と自重するところも減るのだろうが。

「ん。じゃあー、悪い。もう一杯良いかな?」

今回の支払いのあれこれを定めたところで、空になっていたジョッキを掲げてみせる。
おかわりだ。折半、割り勘とした場合の問題は、どちらが飲み食いし過ぎた際の負担も分け合うことにある。
前衛らしくそして竜の血らしく、いくらでも飲み食い出来るが、向こうはどうだろう。

「――んー、そうかなぁ。あたしより可愛いかなあーとからしいかなーって思っただけだぜ。
 こんなナリしてるとさー、たまにあるんだ。面倒なのがさ」
 
喧嘩売るならもっと手っ取り早くやるぜ?と、まではいうまい。それよりも真っ先に拳を出す。
ヒトらしい青い左目を閉じ、黄金の竜眼たる右目側に意識を篭めれば、見通す眼力めいたチカラが働く。
この身の血の半分は竜であり、もう半分はヒトである。ヒトとして培う技は戦士であり術師の端くれでもある。
張り合うか?と思って、直ぐに止める。
技とチカラのぶつけ合いは、過ぎると今日得た報酬以上の支払いを強い、ついでに信用を損なう。どちらもまずい。
ただ、ちょっとだけ。女の子らしいなあという微かな羨望を声に覗かせつつ、こめかみの辺りから生えた角を弾いて見せよう。

「はいはい。じゃ、こっちも呼び捨てでいいや。
 エディとかイーディとか呼ばれるのも何かくすぐったいし。ぁ、何か頼む?甘いのとか」

芋や野菜は肉汁とソースに絡めて喰うと、付け合わせにも丁度良い。
肉も幾らでも食える類だが、対席の小さな少女がどれだけ食べるか考えると、少し加減は必要だろうか。
そう思いつつ、ちらと横目を遣る。壁に幾つか書き出された品書きを見て、何か頼むかを考える。デザートはまだ早いか。