2025/03/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフォンティーンさんが現れました。
■フォンティーン > 流石に人通りの減った門を潜った直後、既視感がある――そう感じたのも無理はない。
重々しく堅苦しい沈鬱な門の風体から一転開ける眠らぬ街の気配は早々と忘れ去れる物ではない。
夜分応対してくれた衛兵に申し訳なさげに首を垂れた後で、その違和感に暫しの黙考。
口許に添える軽く握った拳を浮かせると「嗚呼」と一言吐息混じりに呟いた。
「此処だったのか、――あれ、と、すると…?
……あれ、……いや、……ええ?」
今度は自身の記憶ではなく懐から取り出して開く地図
――他の街のギルドで扱っている程度の縮尺で、この街の事は点程度にしか描かれていない其れに視線を遣る。
暫く目視で辿った心算の路と実際の位置を照らし合わせて一通り、状況把握を済ませた所で地図を仕舞った。
決まり切ったものを幾度も確認し、飲み込む様に目を瞑り、認め難いともう一度確認する…
――まぁ、明らかに、やらかしました、という風情だったのだ詰まり。
一人芝居になっている態は割と不審者に近い物の、時間故に目撃する人が少ないのは幸い。
■フォンティーン > 結論としては大分前の段階で方角を間違っていた、と――飲み込む迄にたっぷりと時間を取った結果、
通り過ぎてきたばかりの門から怪訝な視線を向けられもしつつ。
やっと斜めに傾いていた顔を上げると、程近い路傍で片付けをしていた露店の女店主と視線合い、羞じるように苦笑した。
「ご主人、迷惑でなければ一杯融通頂けるだろうか。」
片付けの邪魔にならぬ範囲と線を引き乍らも居た堪れずに慈悲を強請る。
主人としても様子の可笑しな冒険者であるより都合が良かったのだろう。
余り物だけどと枕詞にしつつもホットワインのカップを手渡してくれた。
引き換えに対価に丁度の硬貨を手渡し、早速春冷えに悴んだ指に染み入る熱を柔い両手で握り込み。
満足げに笑みを浮かべると一口その場で口に含む。
「…さて、まずは一旦の在所を決める所から始めんとなぁ…」
なけなしの金銭を叩いた分の効果はあった――筈。
少なくとも、見っとも無く憮然とした面持ちでいる事はなくなった訳で、
女店主の笑顔を写し取ったような温度のある顔で辺りを見渡すとゆっくりと歩きだし。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフォンティーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 「では、この内容で頼む」
ギルドの応接室、顔見知りの役員と顔を見合わせ頷き合う。
テーブルの上には依頼書が置かれ、内容を今しがた確認し終えたところ。
控えていた職員によって清書されたそれはすぐにも依頼を掲示する場所にと張り出される。
新開発の回復薬の被検者募集と銘打ったそれは、平民地区のギルドには珍しい高額報酬の依頼。
ただし依頼者が貴族であること、被験後のことについては責任を持たれる旨はあれど、
被験中のことには言及がないから効能を保証されたものでないことは察しがつくもので。
回復薬と書かれているからにはそう酷い効能はないと信じるか、高額ゆえに内容を疑うかは見る者次第だろう。
貴族から、というのも、伝手ができると取るか、使い捨てられると取るかはそれぞれ。
―…依頼自体は終わった。あとは今いる者が受けるならそのまま面通しまでしてもよいし、帰路についてもいい。
どうするかと思案しながら、かつて魔族と対峙する折に色々と縁を結んだ役員と言葉を交わし、最近の冒険者事情なども聞き取る。
王の不在で国は乱れ、貴族崩れとでもいうべき者や異国の者も増えているとのこと。
これも時代というものかと思いながら供された果実水へ口を付けた。
■ルーベル > 暫しの歓談のあと、その場を後にする。
依頼を請ける者が出るかどうかはまた別の話…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にレトさんが現れました。
■レト > 「マジかよ……新人でもそんなに稼いでんのかよ……やってられねぇ~……」
平民地区の大通りから少し離れた人気の少ない酒場にて。
任務である巡回を終えて自宅に帰る途中で足を運んだ男はどうしても発散せずにはいられなかった。
カウンター席で突っ伏しながら悲しすぎる現実に酒を流し込まずにはいられない。
ピンキリの世界だが冒険者の中でも最近は待遇を見直そうとする動きがあり、新米冒険者向けの依頼も多くが報酬を上方修正されたとか。
だが男は具体的な金額を聞いた訳でもないので実際のところがどうなのかは定かではない。
「オレらなんてクソ上司がやらかせば巻き添えで減給とかザラなのに……あり得ねぇ」
付近のテーブル席でも似たような話題が聞こえてくる。
曰く、俺達の頃はどうだの最近の新入りは甘やかされてるだの……
反論するように年若い冒険者が、焼け石に水だよと声を荒げているが、酒でハイになってるだけなのか真実かはもちろん知らない。
とにかく、目をそむけたくなる経済事情に男は発泡酒を普段よりも勢いよく喉に流し込んで。
■レト > 衛兵の募集要項は一応公職なだけあって初任給や各種手当などはほとんどが自己責任の冒険者に比べ充実している。
自身のような平民地区の巡回兵なら素人あがりでもすぐに採れることと危険度が抑えめなので給与も落ち着いている訳だが。
富裕地区に務める衛兵は恐らくもっと稼いでいる。装備の質から何まで全然違うのだから。
「……うぇ……頭いっで……」
ヤケを起こして勢いよく酒を繰り返し飲んでいた男はカウンター席で突っ伏したまま愚痴を繰り返す。
先ほどまで盛り上がってた冒険者集団も引き返せば、店内はぽつぽつと一人客が数名だけという静けさへ。
ミックスナッツを時折バリバリ噛み砕きながら、完全に酒が回り切った男は店主から帰れるのかと聞かれても、要領を得ない曖昧な返事のみを返す。
(やば……起き上がれねぇ……)
寝るなら宿代とるよ と念押しされるが、真っ赤な顔で大丈夫っす と。
果たしてその返答にどれだけ信憑性があっただろうか。
■レト > すっかり酒が加わった男はそれからも居座り続ける。
店主はこの男が自力で帰れるのか心配になりながらも、嘔吐したり騒ぐよりはマシだと思いながら時に水を薦めてはやんわり、その辺にしてはと諭す。
「いや……まだいける……。発泡酒お代わり……ひっく……」
真っ赤な顔で銭を出せば、もうやめた方が という制止も振り切って空のグラスをコンコンとテーブルに叩きつけ催促。
やれやれ と呆れた様子でグラスを回収する店主を見届ければ、あくびをしながらつまみを口にする。
グループの客が上階の貸部屋へ上って行くのを見れば、泊まれるじゃないかという思い上がりもあってますますだらしなくなる。
もちろん有料である。一人で独占となれば割増料金もかかるだろう。
「ふぁ……ねっむ……やっべ」
ごしごしと目を擦り、眠気に抗う素振りを見せる。
泊まれば割高だ、せめて自宅には帰らなければ と言い聞かせるも、既に立つのはおろか起きていられるかも怪しい。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」からレトさんが去りました。