2025/02/19 のログ
■レト > 裏通りを抜ければ、閑散とした住宅街へと抜け出す。
植え込みの脇に設置されたベンチは腐食しはじめ、街灯は点かなくなって放置されたものも見受けられる。
買い手のつかない空き家もそれなりにあり、ドアには未施錠だが”勝手に使うな”と警告文が張られている。
(風俗店近いし、家賃減るなら住み替えもアリか……?いやでもなー……)
貧民地区に近しい事と、生活用品をそろえる店から遠く立地が悪いことでこの辺りは土地の価値が低い。
おまけに風俗店の近くであり治安の悪さからますます敬遠されてるのだろう。
ちょっとボロいが全然住める家は、流石に貧民地区との違いを感じさせる。
とはいえ無賃で雨風をしのげる家屋なんて、その日暮らしの冒険者やワケありの娼婦などが挙って勝手に使うだろう。
コンコン とノックをして空き家に立ち入れば不審者がいないか、一軒ずつ見て回る。
下心満載とはいえ、れっきとした職務である。
■レト > ノックの音や声にも応答がないが、寝ていて起きない場合は叩き起こす必要がある。
やや建付が悪くなっているドアを軋ませながら開き、カンテラで目の前を照らして家屋内へ。
「こえーな……事故物件みたいじゃねーか」
カンテラで周りを照らしても闇が広がる空き家はお化けでも出てきそうな陰鬱さ。
貧民地区と違ってそのような物々しい噂は耳にしないが、生活感がなくなればこうも不気味なものか。
(ひとまず、この家はヨシ……と。流石にそろそろもういいだろ)
何もなくてほっとした反面、今何時なんだよというウンザリした感情とマンネリ意識が男の表情を曇らせる。
空き家を後にして、兵舎のある持ち場までの長い帰り道が始まる。
ほとんどの店も家屋も完全に消灯し、まだ明るい方の平民地区にも闇夜が少しずつ広がっていく。
衛兵も少人数で限られたエリアの巡回に留まるため、真の治安の悪さと物騒さが牙を剥く魔の時間帯と言えよう。
ご案内:「王都マグメール 夜の平民地区」からレトさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にノア = セシルさんが現れました。
■ノア = セシル > 比較的 貧民地区寄りにあたる、平民地区の住宅地。この日は昼過ぎから、釘を打ち付ける音が鳴り響いている。不規則に鳴り響いたかと思えば、ぴたりと止み… また、不規則に鳴り響く。何をやっているのか と、遠目に様子を見に来る近隣住民も居た。やがて日も沈み始め悪くなる視界に、騒音の元凶は溜息をついて
「 ……………この釘、不良品なんじゃないの ? 」
作業が全く捗らない事を、道具のせいにする。外壁に掛けた梯子から降り、幾度も失敗し穴が開いてしまった箇所を げんなりと見詰めた。こんなに時間をかけ苦労をして、一体何をしようとしていたかというと… ただ家の外壁に “表札 兼 便利屋の看板” として、袖看板を取り付けたかっただけ。手慣れた者なら数分で終わるであろう作業に、数時間も手こずっている。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にキールさんが現れました。
■キール > 平民地区からの帰り道。
酒やら夕食代わりのツマミやら果物の入った袋を片手に貧民地区への帰り道。
この辺りに根を下ろす女の顔を思い出してふらりと足をそちらに向ければなにやら、はしごを降りてげんなりしながら壁を見詰めている女の姿。
「どうした? 寒い中壁なんぞ見詰めて。」
等と、女の背後から響く低い男の声。
■ノア = セシル > また明日にしようか、なんて諦めモードの中 聞こえた声 ── 聞き馴染みのある其の声は、まさに救世主の登場。
「 ─── キール ! 」
きらっきらに目を輝かせ、長い髪を ふわりと広げながら振り返り。看板と呼ぶには小さな “Noa” と書かれたプレートを見せ、もう片方の手で壁を指差すと
「 コレ、ここに付けたいのっ 」
調子よく上目遣い。
■キール > 男の声に振り返り現金なもので女が手に持つプレートを見せられ、次に指差された壁へと男の視線は移動して。
「構わんが、俺がやると高くつくぞ?」
等と揶揄う様に笑いながら女の方へと歩み寄り、空いている片手で女の細い腰に回し引くように力を込めれば、片手に抱えていた酒やら果物を二人の間で挟む様に抱き寄せて。
その状態で一度、互いの持ち物を交換しようとした。
■ノア = セシル > 対価を求めるような言葉も、揶揄うような笑みにも、相手が貴方であればこそ 躊躇する素振りも見せず。ぐい、と腰を引き寄せられれば
「 おねがい♡ 」
と、貴方を見上げ にっこり。看板や 釘やハンマーを手渡すと、代わりに大きな袋を受け取って。落とさないよう両手で抱えながら、きっと不要であろう梯子も退かした。視線と声でもって設置する位置を伝え、あとは全て貴方にお任せ。
「 その辺……… もうちょっと右、あー もうちょっと左… ストップ ! そう、そこっ 」
■キール > 現金な相手の反応に小さく笑いながら男は引き寄せて。
見上げてお願いをされれば頷き応えてから、額に口付け一つ。
「手付金をもらっておくぞ。」
そう答えてから渡された看板と釘、ハンマーのセット。
視線と声の誘導にママに看板の位置を調整して、仮に固定してから、ここんっと男が軽く叩けばそれだけで釘はがっちりと壁に刺さり、あとは同じように繰り返すだけで看板はその場所に固定された。
「そら、これでいいか?」
相手が納得をすれば、ハンマーやら残った釘の袋を相手に持たせた袋に載せてその荷物を片腕で回収。
ちゃっかりもう片腕は相手の腰に回して中へと促した。
■ノア = セシル > 額へ落とされた “手付金” には、擽ったくも心地好い感触に薄らと目を細め。女の指定した位置へ、女の想像していた通りに、貴方が いとも容易く作業を済ませると
「 あり……… が、と… 」
嬉しいけれど、勿論嬉しいのだけれど、今日一日の苦労は何だったのかと複雑な気持ちになる。そんな感情が丸出しの顔をして、何故自分の打った釘は曲がったり 斜めに刺さったのかと… 不服そうに唇を尖らせながら、貴方と共に家へ入っていった。
■キール > 何やらすんなり終わったことに納得いっていない様子の相手。
尖る唇を楽し気に眺めてから、相手の腰に回した腕を僅かに押し、相手と共に家の中へと共に姿を消していった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノア = セシルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からキールさんが去りました。