2024/12/31 のログ
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影時 > 「お、来た来た」

暫し待てば、頼んでいたものが来る。
腸詰も添えて、スープ皿にたっぷり盛られたシチューに拳位ある黒パン、骰子状にカットされた小さなチーズ。
そして木のジョッキに並々に盛られた麦酒と、小ぢんまりとした小皿に注がれた水と。
水を除けば、夕食には十分だろう。育ち盛りやら食い足りないなら、もっと大盛りか別のものも一緒に頼めばいい。
大味なところはあるが、そうした量を頼みやすいのが冒険者向けの酒場の良いところだ。
頂きます、と片手拝みの上で匙を取る。チーズを前に小躍りする二匹が直ぐにがっつかないのは、親分の所作を待ってから……という心づもりであろう。
ちらと目配せするまでもない。前足を揃えて、こくんと頷くような仕草をした後、我さきにチーズを取ってゆく。
それを眺めつつ、シチューを一口、二口。パンを齧ってもう一口。その上でぐいと麦酒を呷って。

「ぷはぁ。この時期らしいってのかねぇ、こういう塩梅なのは。
 ……偶に米喰いたくなるのは仕方がねぇが、仕入れねェとどうしょうもねえものは、どうしょうもないしなあ」
 
温かい食事は物がどうあれ、この時期はホッとする。
麺麭にも慣れたが、米があればもっと良いというのは、食べようと思えばどうにかできなくもないのが厄介だ。
扱っている店もあり、雇い主の伝手を辿れば、故郷から取り寄せたいものが割とどうにかなるのは良い。
だが、常にそれで満たされる、とも限らない。手に入れ難いからこそ有難みがある。難しいものだ。

影時 > 「明日は……幾つか物仕入れてから、ダイラスの方に向かうとするか」

この時期、雇い主の家で新年の挨拶の会合がある筈だ。
挨拶がてら参列するのも雇われている者としての務めだろう。
厨房が借りられるなら、そこで幾つか拵えて供してみたいものがある。
そのための材料を仕入れておけば、出る幕が無くとも自分で食べる等、始末は如何様にも付く。

そう考えながら、一人と二匹の夕餉を済ませて――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にラヴィニアさんが現れました。
ラヴィニア > 「……ア、りが……と、う……ゴザい…まス?」

王都マグメール平民地区にある広場。
空を見上げれば今夜ばかりは星は眩く輝き、
太陽の代わりに昇った月も凛と冷たく夜空を照らす。

王都の中を行ったり来たり。
富裕地区の冒険者ギルドへ、平民地区の冒険者ギルドへ、
貧民地区にある冒険者ギルドまで、行ったり来たり。

今夜は平民地区にある訪ねた事がない冒険者ギルドを訪ねるべく、
一人歩いていたのだが広場に差し掛かった所で夜間警備の衛兵につかまり、
なぜ一人で歩いていたのか、何が目的でこんな時間に行動しているのか、
等々矢継ぎ早に質問をぶつけられ、今現在に至る。

とりあえず、当方を心配しているのだと判断して、
なるべく人間のように口をあけて、少々海水の香りがする吐息を吐き出しながら、
心配してくれたことへのお礼の言葉を返し、両手で自分の頬をムニとつまんで引っ張り笑顔を作る。

寒さで皮膚が張りだいぶ痛いが、丁寧に礼は尽くさないと面倒なことになると、
王都に来て学んだので成るべく友好的に対応している。