2023/11/20 のログ
クローネ >  
結局その日はカンバンで追い出されるまで飲み続け、
持ち銭も足りずに酒場にたっぷりツケを作った女は当面豪遊が出来る身分ではなくなり…

それすらも勝手に悪客たる貴族のせいにしつつ、謂れなき恨みを募らせて帰るのでした
次あったら片方ぐらい蹴り潰してやる、なんて嘯きながら

ご案内:「王都マグメール 平民地区・場末の酒場」からクローネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルテミィさんが現れました。
アルテミィ > はたはた…、とはためくスカートの裾に落ち着かない様子。
その状態でゆっくりと歩いていき、きょろりきょろりとあたりを見渡す。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルテミィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイェフィムさんが現れました。
イェフィム > コツコツコツ…。
ゆっくりとした足取りが平民地区の通りを歩いていく。
明らかに上質なつくりのドレスを身にまとった少女が一人。

「……ん。」

時折ふわり、と舞い上がりそうになるドレスの裾を抑えながら、
うっすら赤らんだ頬でひたすらに街を歩く。
途中で見止めた店先を覗き込んだり…、足を止めることもあるあd労。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイェフィムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」にクローネさんが現れました。
クローネ >  
「だからさァ、依頼書に『商品を無事で取り返せ』なんて書いてないでしょって言ってんのよ!」

冒険者ギルド
夕暮れ時に冒険者達で賑わう中、ギルドの職員と揉めている女が一人

盗まれた商品の捜索なる商人組合からの依頼
さっくりとこなしたはいいものの、逃げる馬車を魔法で爆破した関係で商品の一部が破損
報酬のゴルドが目減りし、それに大して依頼書に文言がないと喚いているのだ

「あー、もういいわ。コイツのトコの依頼、二度と受けねーからな!」

口汚く吐き捨て、職員の座るカウンターに一発蹴りを入れて踵を返す女
舌打ちしつつ、遠巻きに見ていた冒険者を睨みつけながら、ギルドロビーにある椅子へとどっかりと腰掛ける

クローネ >  
椅子に背をもたれ腕組み足組み
用が済んだならさっさと出ればいいものを、女の目的は別のところへ移っている

気晴らしに適当な男でも喰うか…
一発ヤって気分を晴らそう、なんて考え

ちょうど時間的に今日の仕事を終えて報告、一杯飲って帰るか
そんな日銭を稼ぐ冒険者で賑わう時間帯…
獲物になりそうなヤツはいないかな、と眼を光らせているのだった

ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」にラッツィオさんが現れました。
ラッツィオ > 「ヤリマン冒険者も、ギルド職員の竿をしゃぶって依頼主にとりなしてもらおうとは思わねェわけだ。
 冒険者としての矜持なのか、もしくはあの職員はもうしゃぶるほどのモノでもねえと知ってるからか?」

コートの裾を翻して、女冒険者の隣に腰掛けた男。
直接の面識こそないが、女の風貌や態度はギルドではそれなりに広まっており、好色な男の耳には否が応でも噂が入ってくる。
その噂の女がギルド職員相手に怒鳴り散らしている現場に遭遇して、奇遇とばかりに話しかけたのだった。
どう見ても身体のラインを隠すつもりがないと見える煽情的な格好に、横目で遠慮のない視線を投げかけた。

「クローネ、だったか。アンタの名前。
 この仕事やってると鬱憤溜まるよなァ」

クローネ >  
己のことを知っているらしい大柄な男
横に腰掛けながら歯に衣着せぬ言葉を投げかけてきた男に鋭い視線を向ける

「勘弁してよ。あんな堅物そーなヤツ食ったって腹持ちしそーにもないじゃん」

ひらひらと片手を振って、冗談じゃない、と
誰にでも股を開くヤリマンとして悪名の広まる女ではあるが、意外と相手は選ぶらしい。…状況によるのかもしれないが

「で?誰アンタ。何か用?」

膝の上に頬杖をつき、遠慮なく視線を向けてくる男に大して、こちらはやや値踏みするような視線…
ビジュアルは悪くないしアソコもデカそう、なんか尻尾生えてるけど亜人か…なんて思いながら

「そんなクローネちゃんの鬱憤晴らしに付き合ってくれるヤサシー男、ってワケ?」

くすくすと嘲るような笑み

ラッツィオ > 「ま、違いねェ。悪食だろうと選り好みはするわなァ。
 俺だって同じ女なら、乳も尻もデカいほうがいい」

腹持ちとはまた面白い評価を聞いて、くつくつと喉を震わせて笑う。
彼女がこちらに向けている視線に気づくと、2人の間を隔てている肘置きに腕を預け、身を半ば乗り出すようにして身体を近づけると。

「いいや、俺も目の前で美味しい依頼を掠め取られたせいで鬱憤が溜まっててな。
 しかも相手は下級貴族が若気の至りで冒険者の真似事をしてるだけの坊主ときた。
 だからアンタに付き合うんじゃなく、互いに気晴らししねェかってわけだ」

木製の椅子の隙間から垂らしていた尻尾が、彼女の座っている椅子の背もたれに空いていた隙間から入り込み。
滑らかな尻尾の切っ先が、椅子の座面との間で潰れているヒップを密かに撫で回す。
椅子は壁際に寄せられているため、前を通過する者が尻尾の動きに気づくことはなく。

「アンタが食い過ぎで胃もたれしても構わねェ、と言うなら、な?」

挑発的な笑いで睨めつけかえしながら、尻の谷間を尾先がズリッと擦った。

クローネ >  
「互いに、ねェ」

ま、自分の評判を知っていて声をかけて来るのだから、そういうつもりなのは伺い知れる
互いにそういう気分でいるというのなら、お誂えといえばお誂えrだろう

「──別に、お腹空いてるし喰いすぎるくらいが丁度いいカモだけど?」

笑みを深め、尻に触れる男の尻尾をぺちっと平手打ちして、椅子から立ち上がる
この場で仕掛けてくるあたり、男が好色なのはよく伝わってくる

「憂さ晴らしでしょ?ベッドの上でしないとね♪」

するりと、男…ラッツィオの顎先に触れるように手を伸ばす
煽情的な手付き、男を誘うのに手慣れた仕草を見せつつ、視線をギルドの入口へと向けて
言外に場所を変えましょ、と男に伝える

ギルド近くの安宿か、はたまた男が何かよい場所を知っているならそこへ、女はほいほいと着いていくことだろう

ラッツィオ > 「怖ェ、怖ェ。アンタ、そういう瞳で男を見るのかよ。
 期待させてくれるじゃねえか」

平手で叩かれた尻尾はおとなしく退散したが、頬に指で触れてくる艶めかしい仕草に期待は高まり。
椅子から立ち上がると、ついてこいとばかりに顎を動かして、ギルドを後にする。
向かう先は、このギルドの冒険者ならば多くの者が世話になっている、冒険者御用達の安宿だ。

追い払われた尻尾に凝りてはおらず、短い移動の間にも、女の尻に手を伸ばして衣服の上から揉み捏ね、男好きしそうな尻肉の弾力を楽しんで――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」からラッツィオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・冒険者ギルド」からクローネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場【椋鳥亭】」にコルボさんが現れました。
コルボ > 【待ち合わせ待機中・導入準備中】
ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場【椋鳥亭】」にウロ・ネセサリスさんが現れました。
コルボ > 少し遡ることひと月前。
秋の味覚が市場に出回り、酒場にまでその恵みが届いて様々なメニューが期間を定めて追加される。
いわゆる安くて旨い店にも行き届くほどに実りは巡り、酒の肴に事欠かず。

獣肉、川魚、果物、収穫時の穀物芋類。
普段よりもボリュームが増した通常メニューにも人気が回り、酒場からしても
普段にない搔き入れ時で耐えることなく客が入れ替わり続ける。

その中にあって、順番待ちと座席が入れ替わる関係で、どうしても時折少数が大人数のテーブルを案内される羽目になる。
それは冒険者も、荒事が伴う稼業が利用する店の暗黙の了解。
下手な順番の前後はもめ事の種になるが故の不文律。

店からすればそう言う席に案内して助かるのは相席を是とするか否かの客。
そう言う意味では、そのチンピラ然とした客は

「もうすぐ流していいからな」

と店員に聞かれる前に言う有様。その代わり二品ぐらいおまけしてもらうのだ。

これから訪れる冬に向けて、エールを呷りながらメニューを待ちつつ、さてどんな相手と相席になるのやらと順番待ちを一瞥して

ウロ・ネセサリス > 「今年のこっちは悪くない実りだったみたいだなァ…
こう、旬の香を嗅いでると何か摘みたいもんだが、さて」

王都の平民区を、ふらりふらりと見回る旅装の一人。
秋の旬のものが出回り、俄に活気付いている道々の露店を見て回り、『故郷』との風土の違いを満喫中。

一見隙だらけでスリにでも遭いそうな浅黒肌の中年だが、その実全くもってスリ連中の手が伸びれば、文字通りに『手を捻る』だけで見逃しのたりくたりと散策を続けていて、どこか立ち寄れる酒場でも無いものかと見回している。

「ここにするか。…ああ、ついてこなくていいからなぁ、待機だ」

何も無いように見える空間へ声かけすれば、目についた一つの酒場にふらりと邪魔して。

「お邪魔するよ、空いて……は無さそうだねぇ。相席で良ければ?そんじゃ、それで。相席が大丈夫な席を教えてくれりゃ勝手に向かうから先に頼んでおこうか。まず麦酒と、旬の魚でも炙ってくれ」

掻き入れどきで忙しく駆け回る店員を呼び止め、注文を伝え相席相手の場所を聞き出せば、そちらへと歩み進んで。

「っと、邪魔させてもらうよ。兄さん」

飄々とした空気を纏う、一見平凡な中年が、コルボと相席に至るのだった。

コルボ > 喧騒に紛れて酒を煽るのは気を使わなくていい。風景の一部に溶け込めるから。
だから相席もその風景の一部。忌憚なく駄弁って酒の席に花を咲かせようとも思う。

「……?」

その場で、その気配に気づいたのはどれほどいたか。僅かに生まれた違和感。
首をかしげるが、すぐに消える。そも、敵意も殺意も何もないのだから気にするまでもないだろう。

それからややあって、相席に案内されるは、悪い言い方をすれば覇気のない旅人。
雰囲気だけすれば風来坊、故郷から旅立ったか追い出されたか知らずか。

「構わねえよ。よそから来たのかい旦那。今日は酒の肴に事欠かねえからみんな腹に溜め込む算段でな」

などと言いながら、刀疵を瞬き程度に一瞥しながら笑う。
なんだろう。一言で言えば腑抜けの類。気に留めるまでもない今日限りの話し相手。

その認識は間違いない筈で、疑問も抱いてはいない。なのに、違和感と言うには小さなしこりが生まれる。

「店も矢継ぎ早に動いてるからな、冷めないうちにつまむかい」

そう言って先に頼んでおいた麦酒に合う揚げ物類を中心とした酒のアテを薦めつつ、
しかし酒だけは客を待たせてはならぬと早々に運ばれてくるだろう。

ウロ・ネセサリス > 「ふむ」

楽しげに開いている片目が、軽く瞬いて。
目の前の青年が一瞬『触れた』ことに気づくが、ある種の聡いニンゲンであれ、と願い、その場は流していく。

全体的に覇気もやる気も無さそうな中年だが、その中で異彩を放つのは腰に帯びた異形の剣。真っ直ぐではなく反りが強い鞘は、このあたりでは見ないカタチのものであり、明らかにこの中年が帯剣するには不釣り合いだが、不思議としっくりくる様相。

「ちょいと遠くから旅をねぇ。いやァ、こっちは実り多くていいねぇ。道のどこを見ても佳い香が漂っていて、おじさん驚いちゃったよ」

そう話す様子は、覇気が無いながらも人好きのするどこにでもいるような中年の語り口だ。

「秋の収穫の後ならさもありなんといった様だぁね。ああ、ならありがたくいただこうか。その代わりといっちゃなんだが、俺から一杯奢らせてもらおうか」

開いている片目をゆるりと瞑り、開く。その仕草の威は、一見ぱっとしない風貌に見合わないものであるが、至極似合っている。

コルボ > 刀。覚えはある。シェンヤンに赴いていた時期や、今懇意にしている”お嬢”が好んで”差す”得物。
不思議と馴染んでいる。まるで刀のほうから寄っていくような感覚を覚える。
ドワーフやサイクロプスの鍛冶師とも話をしていてたまに聞く”武器の方から選ぶ”とはこんな様相なのだろうかと。

対して男は見れば腰に二振りのショートソード。マインゴーシュとフセット。
一瞥できる範囲では飾り気のない、男のチンピラ然とした見た目に反した実用性だけを追求した代物。
似合う、とは言い難い。ただ、使い込まれていて。

「秋の実りが出回ってくれば大体こんなもんさ。大森林様様なところもあるだろうしあ。
 肉とかこの時期増えすぎた魔物の肉も混じってるが、大体良く処理して旨い事仕上げてるから、
 見慣れない品揃えも、楽しみに頼んでみるのもありだぜ?」

 ブリッツボアの角焼(かくや)きがうめえんだと、良く血抜きした魔物の肉を角切りにして豪快に焼いた肉を紹介した傍からそれが運ばれてくる。
 他にも焼いたキノコにカットレモンを添えたものなどもどんどん運ばれてくる。

「この時期相席になるのはいつものことだからな。大体駄弁って食うのが通例なんだが、
 ……”旦那”がそういうならお言葉に甘えるかね」

 知らずか知ってか中々に風情のある男。覇気の無さが危機感の無さ。それがまるで強者ゆえに思えて
 自然と、敬う呼び名で相手へ語り掛けて。

「コルボってんだ。冒険者とか学院で臨時講師とかやってる。後情報屋とかもな。
 旦那は物見遊山でこっちに?」

 杯を打ち合わせて酒に口をつけながら、さて、面白い話でも聞けるだろうかと身を乗り出して。

ウロ・ネセサリス > 使い手に寄り添う武器と、使い手が馴染ませる武器。
目の前の青年の扱う獲物は、明確に後者であると伺えて、口の端を緩ませて。
ヒトにも色々といるが、目の前の青年のような修練を重ねる者は好ましく感じるのだ。

「森の恵みの賜りよ、ってヤツかい。あれだけ巨きい森であれば狩りも採取も事欠かないってもんだろねぇ。
見慣れない肉や魚を愉しむのも旅の醍醐味ってヤツさね。そんじゃいっちょお任せで頼んでみるとするかねぇ。…地方によっちゃ毒肉や毒魚すら捌ききって極上の肴と成すもんだから、ヒトの食欲ってのは見上げたもんだね。」

人によってはゲテモノ扱いされる魔物料理に対して全く忌避感を抱いてないようで、むしろ楽しみにして注文しつつ秋の味覚が列する様子をほくほく顔で見ている。中年が頼んだ麦酒も席に回ってきて。

「なァに、これはおっさんがやりたいからやってるだけのことだ。
ああ、是非に一献受けてくれ。」

一見した覇気の無さは言い換えれば余裕の顕。それに気づき始めている様子の青年に、軽く笑いエールのおかわりを頼んで。

「ウロだ、故郷から方々を旅している…ま、風来坊だァな。ついでに冒険者もしている。
コルボか、よろしくなァ…と、えらく多芸なんだな。なんでも屋といって差し支え無いんじゃないかね?
ああ、色々背負うモノ無く諸所を渡り歩いている…ちょいとだけ腕に自信のあるおっさんだよ」

深く聞けば、色々と面白い話が聞けるかもしれない。杯を打ち合わせながらコルボの第六感が少々危うい気配を感じているが、匙加減によってはそれも『面白い』と感じるかもしれない。

コルボ > 修練を重ねる。それは凡庸であるが故に。
だからこそこちらのほうから武器にしがみつき、馴染ませ、己の一部とする。
好ましく感じる。そんな視線を感じる。いつも受ける視線だ。

……圧倒的な強者、それも埒外からの。

「でかすぎてたまに淀みが生まれると人の手に負えないからな。だからこまめに狩ってご相伴にあずかるって寸法だよ。
 フグは、痺れるのがたまらないって馬鹿が多すぎてここじゃ食えねえけどなあ」

余所の地域にも明るいのは情報屋故だろうか、貴方の話題にも呼応して頷きつつ、
俺はオートミールみたいに米で煮るのが好きだねと。

すぐに運ばれてくるこの時期の、冬を前に活発になった魔物を食材として頂く期間限定の肴が並んでいく。
……ある意味では、魔族の街でもよく見る料理がいくつかあることを伺えば、
人も魔族も美食を求め、そして味覚が似ていることも伺えるだろうか。

「人が良いし人たらしって呼ばれないか?」

などと、受ける代わりにそう言葉を返して杯が空く前に次を頼み、呑み切ることに届く感覚を心得て、
貴方の喉が渇かぬように気づかいもするだろう。
他にも色々酒あるけどなんか飲むか? などと気分転換をする頃合いも見計らって。

「なんだ、同業か。腕利きになると他所からも声かかるもんな。
 多芸ってか、気が多いのさ。学院も情報屋も冒険者の延長だよ。野伏やっててね。

 ま、一人が気楽だから群れるこた少ないがね。
 ちょっとねえ。それちょっとじゃない人がいう奴だって知ってる?」

 などとゲラゲラ笑いつつ。
 実際危ういのだ。笑いながらも刃の上を歩いてるような感覚、だが悪い気はしない。
 貴方からしても、そういう貴方の気配に呑まれず笑って楽しんでいる。

 要は、そういう飲み方を知っているのだと。

ウロ・ネセサリス > 「コイツの例をあげりゃ、時折生まれ出る範疇に収まらないバケモノ猪とかかね。秋の実りは歓迎すべきことではあるが、数が多けりゃそういった淀みも出てくるってぇもんだから早め早めに狩っていかんとなぁ。
ああ、こっちでもその手の笑える莫迦がいるのかい。僧侶の随伴をしてくれりゃいいもんだが、命綱も無しにてつはうに中っては笑ってもいられないねぇ…」

ブリッツボアの肉をフォークで刺しながら特異種とでもいうべき存在をほのめかす。口ぶりから、遭遇したことがあるような物言いだ。
愛すべき、しかし店にとっては笑い事でない命知らずの大莫迦の話題に苦笑いしながら。
雑炊は腹に溜まるしおっさんも好むところだねぇと返し。

「…この時期にしか食えない肴は堪らんねぇ。
冬の厳しさに備えて滋養を蓄えたものでしか味わえん滋味がある」

そう言って、ただ煮っ転がしただけだがそれ故に素材の味を楽しめる芋を、ゆっくり咀嚼して。
コルボが頼んだものにも遠慮なく手を伸ばすが、ただ一方的に摘むだけでなくウロも先刻からどんどんと注文を続けているのでコルボも遠慮なく摘めという意思表示だろう。

「おいおい、コルボくんは褒め上手だねぇ。
意外とおっさんは追い回される大悪人かもしれんよぉ?」

かんらかんらと冗談めかして笑い、麦酒を煽り、香魚をひとくち。
気の回る青年へ穏やかに笑い、ここは清酒の類はあるかね?と問い、頼む。

「おっさんがこの時期王都に来るのは、気軽に秋の味覚を楽しみたいだけなんだがねぇ。
色々一人で出来るに越したこたぁ無いさ。少なくとも一切出来んよりも遥かに、なァ。

いやァ、それがだな。コルボ。色々続けてると、自分が重ねてきた技が『ちょっと』でしかなかったことに気づくわけさ。
山を登る前や森に分けいる前は、茫洋とした全貌しか見えんだろう?だが、いざ分け入ってみると是、はたから観るだけでは気づかなかったモノが見えてくる。気づいてくる。
故に…『ちょっと』にしか至れてないわけだ。自身は、まだまだ、もっと、更に……高みに至れる、と。」


「…なぁんてな、おっさんの説教くさい戯言だ。聞き流してくれ」

一般的には酒飲みオヤジの説教めいたモノを、最後の一言で茶化して笑い飛ばす。

コルボ > 「山喰いの類か? 普通の猪も存外機敏だし聡いから、どうしても出てくるもんだしな……。
 だから事前に調査して、足跡を追って報告もわりとしてるなあ。
 山喰いまで見つけりゃいい金になるしな。

 ま、そんだけ儲けても命がけのグルメはごめんだがね。それでも多いんだよ。
適切な処置さえしたら食べても大丈夫って噂が広まってなあ……。」

 その特異種を山喰いと呼ぶ。それはたかが狩猟の獲物の延長とも思わず、流言飛語に囚われず、
 確かにそれを見た者の出す例え。
 強いとか大きいとかそんなことが些末に思える程、喰らう。
 だから特異種の肉は旨くないが、それでも食べたいと求める好事家はいる。

 それほど、平和なのだろう。だから延命措置を用意して喰らう、山喰い以上の貪食が。

 それはそれとして程よく脂が乗った奴は旨い。通常種はこれでドングリしか食べないから脂に甘みがあるのだ。

 そして互いに互いの頼んだものを適度に摘まむ。
 頼む方向性、その角度が微妙に違うが故に新鮮で、しかしどこか感性が似てるのかはずれがないのが今日は僥倖と言えるだろうか。

「追い回されてたらもっとのそっと歩くよ。ウロの旦那のは余裕がすぎら。なんも気負ってねえ感じだ」

 ライスリカーなら種類は少ないけど、とこの辺どうよとシェンヤン流れのものをいくつかメニュー表で指さして、
 辛い? とかはこっち、と情報屋の耳の良さを生かして軽く説明して、良いものがあれば頼むだろう。
あわせて、フグはないけどフレッシュでシンプルなの一応あるよ、と、清酒に合う魚のあても
店員に直接言えばあるのだと。保存魔術の発展に感謝だ。

「今客が多いのも普段は余所行ってる奴が腰落ち着けてるのもあるんだよなあ。
 ……ま、野伏なんざパーティのその他を請け負うもんだからね。長く続けてるとそつなくこなせるようになるもんさ。」

話の合間に、何を以て一寸か、と語られる。それを揶揄するでも酒飲みの戯言と笑うでもなく、
その間は、貴方をただ静かに見つめて。

「……ウロの旦那も、だいぶ色々な山を登ったんだな。
 でもさぁ、山登り過ぎたら植生変わって旨いキノコも旨い肉もいなくなっちまうんだよな。

 眺めは良いがまばらな岩っころ。隣には誰もいやしない。
 なら、大勢と酒が飲める『ちょっと』のところでもいいんじゃあないかい?」

 未だ高みに至らず。しかしその一寸は実りの中というのであれば、そこで酒盛りをするは僥倖であろうと。
 顔突合せた相手がちょっとと言うなら、ちょっとなのだ。
 だから自分も高い山の仙境に至らずしてこうして互いに呑めるのなら、一寸なのだろうと。

 登り詰めたとして、同じ山には登らぬのだろうと、理解の外で確信を得て。

ウロ・ネセサリス > 「そうとも呼ばれているな、場所によっちゃ山のヌシとも呼び慣らされている代物だ。正直、先んじてそういった報を集めてきてくれるコルボのような斥候の面々にはたいそう助かっている。
大まかにでも出た場所を伝えてくれりゃ、対策も心構えも出来るってもんだ。ありがとな。

はっはァ、そりゃ至極当然の一理。ただ、時折理外の莫迦が出てくるんだよなァ。
ただ、適切な処置をすりゃあ食えるってのは真実だ。毒に詳しい身内がいてな、ありゃあ旨いぞ……まぁ、それを知らんで喰えば一発でコロリだが」

正に山を喰らい尽くさんとするかのような巨体の種は、その巨体に見合った危険性も兼ねている。若年の冒険者はもちろん、徒党を組み熟練した冒険者ですら。
そんな危険な相手だからこそ報酬も相当なものであるから狙う冒険者が後を絶たないのだが。

そんな『特別』を語りながらも、普通を堪能して卓の焼き立て肉に舌鼓を打つ。
こういうので、いいのだ。
どこか異質の気配を漂わせる剣士だが、それはそれとして食は存外素朴にして実直のようだ。

「そりゃあそうさ、気負い陰気のある歩みは怪しまれる…惑わず、畏れず、躊躇わず。まこと怪しい輩は、逆に怪しくないもんだぞ?」

顎をさすり笑いながら、冗談話に花を咲かせる中年。
その笑みと声色は野を渡る風のように悠々としている。だからこそ、なにものにも縛られていない風来坊なのだろう。

ああ、それなら熱で貰うかとか、アテに合わせるお薦めはあるかね?とか。コルボの好意をとんとんと受け、それに返礼するように自らの財布で青年の分もどんどんと追加注文する。酒場にとっても上客だろう。

「旨い飯に引き寄せられるのは万国共通というわけだ。野営も日に日に厳しくなってくる時期だからなァ」

麦酒の残りをぐい、と煽り。
ちまちまと獣肉を口に運ぶ。

「そうだなァ、山に登り過ぎたかもしれん。
草木も生えてないし、ケモノも見えるものは飛ぶ鳥だけ…あとは、ずぅっと広がる蒼だぁな。
ただ、そこまで登っちまうと意固地な莫迦は何処まで登れるか試してみたいって想うもんでな。難儀なもんだ。

なぁに、そんな心配せんでも時折山から降りてこうやって旨い肴と酒を楽しみに来る。
…ふふ、初見の相席の、こんな冴えないおっさんの心配なんぞしてくれるたぁ。
お前さんも人に言えぬお人よしだねぇ。コルボ」

熱の清酒をゆるり傾け、楽しそうに、ふわりと笑う。
青年が直感的に埒外と感じた剣士が、このような身近に感じる笑みを浮かべることが『人たらし』と感じる所以なのだろう。

コルボ > 「その為の野伏だからな。駆け出しのひよっこ共の使い走り呼ばわりは慣れたもんだよ。
 だがま、旦那みたいにこういう場で同業に礼を言う手合いは信用するし頼るようにはしてるよ」

 火力主義の、英雄思想の青二才共を助ける義理もないから見限りはすれど、
 そうでない後輩や同業には恩も売るし仕事もする。
 故にこそ、この目の前の旦那は、そちら側なのだろうと。
 たとえ脛に傷を持とうがそれが糾弾する理由にならぬのが冒険者の面白いところで。

 しかして毒は別だ。使いどころというものがある。だから今は目の前の毒より脂より
 肉汁が詰まった肉を喰らうのだ。

「ん……。それはまあそうだけどさ。それ言われると、なんか、旦那が知り合いに見えてくる」

 こちらとて情報屋より更に裏の顔がある。だからチンピラ然と妖しい風体で歩き回っていて。
 だからこそ、同類にそう言われると、なんだ全部知ってるのかと思いたくもなる。それはそれで怖いが。

 酒のアテは魚の煮つけも東に近い感じだと薦めつつ。なんだかんだと二人とも細い体にどんどん入っていく。
 二人の席が料理だらけの空き皿だらけにもなれば周囲も視線を巡らせてくるだろうか。

「旦那の登った山は、良い風景みたいだなぁ。登った果てに、足元じゃなくて空を仰げたなら、
 俺はそれだけでも僥倖だと思うよ? 話の種にもなる、人に話して酒のあてにも出来る。

 足元の石ころばかり見ながら気づかぬ登り詰めるよりは、だいぶいいんじゃないかい?

 合縁奇縁の一期一会は大事にするが、心配はしてねえさ。ただ、ちょっといいなって思ったから。

 そんだけだよ」

 やがて熱燗も来てちびりと互いに杯を酌み交わし、しかして大いに喰らって。
 人がまばらになる頃までも、会話は尽きず、笑顔は途切れず、やがてようやく良い頃合いだと思えば、
 共に連れ立って店を後にし、何歩か進んで、互いに別の道に帰るのだと、二人は去っていくのだろう。

 いずれ、また会うか否かは、酒を酌み交わせるかは別の話。

ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場【椋鳥亭】」からウロ・ネセサリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・酒場【椋鳥亭】」からコルボさんが去りました。