2023/10/31 のログ
ティカ > 「ち、違ぇっ! 断じて違ぇかんなっ! っせえ! お前がいきなり変な事ゆーからだろがっ」

勢いこんで否定を繰り返すも『お店の人が…』という言葉に目を向ければ、お上品に口元を抑えてにまにまする店員や他客の姿。
完全に微笑ましい物を見る目で見られてぐぬぬ…っと唇をひん曲げた少女戦士は、それら全てを年下と思しき少女のせいにした。
傍らの下着に手を伸ばしたのは、そんなやり取りから気を逸らせる意味もあったのかも知れない。
頬の炎熱はむしろ強まる事にはなったが、少なくとも声を荒げる様な興奮は収まった。

「―――むわひゃっ!?♥ お、おぉおおおおお前っ、いきなりそういう事すんじゃねぇっ!」

淫靡な下着を着用し、それを見て喜んだ男に尻孔を弄られ身を捩る己を想像した所を狙いすましたかのような囁き。
敏感な耳孔に注ぎ込まれたウィスパーボイスにぞくぞくっと背筋を震わせた少女戦士は、赤面の耳を抑えてぴゃっと振り返って抗言した後

「………………………ま、まあ、高ぇ買いもんだし、確認は必要だよな。うん」

羞恥の色を残したまま、自分自身を納得させるかの様に呟くと、手に持つショーツと揃いのブラも確保して、一人でさっさと歩き出す。
向かうのは壁際。立てた棺桶めいて狭苦しいプライベートスペースを確保する試着室。
どかどかと姦しい足音は粗雑そのもの。
にまにま笑いを浮かべる店員達への牽制もあっての事だろうが、彼女たちは一層微笑ましげな表情を浮かべるばかり。

「―――――おいっ、お前も早くこいよな。お前にはちゃんと見てもらわねぇといけねーんだから」

出会ったばかりの名前すら知らぬ少女に、淫靡な勝負下着姿をチェックしてもらうというおかしな状況にもまるで気付いた様子は無い。

ノイ > 「ぇー…ぇ?でもね、普段と違う事をしたい、なんて。やっぱり、普段とは違う――あなたであるというのを。
誰かに知って欲しい理由が有るのかなって。そんな風に思えるのじゃない?」

唇に指を当て、しぃ、と声にしてみせつつも。その唇が柔く微笑んでいる様は。周囲のご婦人方の反応に近いかもしれない。
但しこの少女の場合、若いって良いわねと見守るだけには留まらず。寧ろ彼女と同様の若い側として、積極的に口を挟む始末の悪さ。

結局、本当に彼女が、勝負する相手が居るからこそ。勝負下着と呼ばれる品々に手を出そうとしているのか…は、聞き出せないかもしれないが。
大いに動転する様子やら、良からぬ妄想を働かせる姿やら、楽しい物は見られたので。良しとしよう。
吐息に声音、そして見えざる淫らな力を噴き込んだ耳元への反応によるものか。
それとも店員や客、周囲から向けられている好奇な目線に耐えかねてか。
どうやら、半ば反射的に手に取った、とも思えた件の品を手に、彼女がその場から歩み出すのなら。
ついつい緩みがちになりそうな口元を一度撫で。少女も、彼女についていく事にした。

「ふふ?勿論、ちゃぁんと見てあげる――あなたみたいなヒトが、素敵な姿を見せてくれるなんて。
誰だって…うん、わたしだってとても、嬉しい。 ……ぁぁ、そうだ――」

彼女と裏腹。足音一つ立てる事のない足取りは、共に狭く小さな試着スペースへと入り込めば。
入口を閉め、一先ず。追い掛けてくる客達の視線をシャットダウン。『彼女を見て喜ぶ』誰かは、この状態だと只一人…少女だけになる。
残る三面を占めた鏡の前、胸元で猟手を重ねつつ、柔らかく瞳を細め。ふと、思い出したと言わんばかりに続けたのは。

「――だいじなこと。…あなたの名前が知りたいな――今から。あなたの事をもっと見たい、識りたいから。
…わたしの方は、そう…ノイって、呼んで?」

ティカ > こんな下着を購入しようとしていても、このチビに《勝負》などするつもりは全く無い。
色々と世話になっている相手がいて、そいつが睦事の最中に下着に対する口出しをしてきて『ふぅん、そういうのが好きなのか』となんとなく興味を抱き、まあ恩返しという程御大層な物では無いが最近の稼ぎの一部を還元してやってもいいかという気まぐれを起こして駆け出し冒険者には似つかわしく無い高級下着店に入店したというのが此度の顛末なのだ。
とはいえ、そんな内容をスマートに説明するだけのスキルも余裕も持ち合わせぬ少女戦士は、ガキの癖して妙に大人びた色っぽい態度を取るチビにぐぬぬぬぬ…っとなるばかり。
そんな、苦手意識さえ覚え始めた少女から逃げ出す様に試着室へと向かいつつも、当初の目的は忘れていない駆け出し冒険者。
自分の目だけでなく他者からの寸評も耳にすべく、妙に優しげな微笑みを浮かべる店員たちにいじられるよりかはマシという理由で出会ったばかりの少女を引き連れ―――――

「―――――うぉぉおおいっ!? なんでてめぇも入って来てんだよっ! ってここで自己紹介かよっ!?」

思わずのツッコミを入れていた。
幸いにしてこの店の試着室は小柄な少女の2人ならば、余裕は無くとも問題なく受け入れられる程度の広さはある。
が、そういう問題ではなかろう。
普通、こういうのはティカが下着の着用を終えた後、彼女に顔だけ中に入れてもらって確認するとかそういう流れになるのではなかろうか。
まぁ、ティカも女友達と服を買いに行くなんて経験は無縁なので、その辺りの作法に詳しい訳ではないのだけれども。

「…………はぁ。ったく、てめぇは本当に妙なガキだな。ガキならガキでもっとガキっぽくしやがれってんだ。 ―――――あたしはティカだ。好きに呼べよ」

それでも溜息一つで全てを流し、ついでに自己紹介にまで律儀に応えたのは、先刻の囁きによる思考の揺らぎが未だ消え残っていたからなのかも知れない。

―――――その後、至近距離での生着替えと勝負下着への品評がどの様な物となったのかについては、個室内に入り込んだ二人の少女のみが知る所。

ノイ > 冒険者たる彼女が如何なる経緯で、この店の暖簾を潜る決意を固めたのか。
最終的に知る事はなかったので、下手をするとこのまま当面、誤解したままになってしまう…かもしれない。
とはいえ実体を知れば知ったで、少なくとも寝物語を交わす相手は居るのか、だの。興味津々で尋ね彼女を困らせたのではないか。
どちらに転んだ方が良かったのかは――彼女次第という所。

ともあれ先ずは、相手が居るにせよ居ないにせよ、見せるべき品物が無ければ始まらない。
それこそ子供らしからぬ口にしていたように、「いっそ着ていない方が良いのに」、とはいかないのが。世の男達なのだから。
するすると彼女にひっつき加減で入り込む試着室。その通り、二人も入ると必然手狭になってしまうのだが。
幸い動けないという程ではないだろうし、何より。

「……?おかしい? …だって、隅々まで見たいもの。選ばせて貰えるんだもの、責任重大…だから、ね?
……うん、うん、ありがとう。それじゃぁティカ。あなたの事、見せてくれると――とても。とっても、うれしいな――」

ツッコミを受け流す、ボケの自覚がない少女。小首を傾げてみせながら手を差し出し、一度、彼女が握った侭の下着を受け取ろうと。
そうしないと彼女の手が空かない、着替えだす事が出来無い、そう踏んで。
触れ合わんばかりの至近距離にて行われるであろう生での着替え、その上評する事となるのは先程の品。
下肢を包む、その役割の成否すらも危うい極小の薄布一枚にて、例え年下の同性相手であろうとも、彼女がどんな表情を見せるのか。
それを思えば実際、少女としても。大変に喜ばしいのである…下手をすれば、世の男性達と同じような意味合いでの嬉しさも込みで。

……という事で。序でに数着少女が持ち込んでいる事もあり。二人の少女が試着室を占有する時間は、思ったよりも長い物となった事だろう。
その間。時折、頓狂に跳ね上がった悲鳴だか、ツッコミだか、もしかすると嬌声だか――漏れ聞こえる声音が。店員や他の客に、大いに首を傾げさせたのかもしれないが。
実際に中で何が行われたのか。最終的に彼女の、初めての挑戦が実を結んだのか否か。
知るのは当事者二人のみ――なのだろう。

ご案内:「平民地区 女性用高級下着店」からティカさんが去りました。
ご案内:「平民地区 女性用高級下着店」からノイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に夏虎さんが現れました。
夏虎 > 平民地区大通り。正午過ぎ、お天気は快晴気温は低め、人の通りも露天の活気もいつも通りに賑わっている。
幾つも幾つも並んだ天幕やら屋台やらの露天商達に交り
夏天的药店(なつさんのおくすりやさん)』は錠剤やら生薬やら果物やらを販売中の通常営業。

「はーい。毎度ありがとうござ、え? 勘弁して下さいって、もう。ありがとうございまーす!」

肩こり腰痛に効く湿布とか、膝の関節痛に効く飲み薬とかより瑞々しい果物のほうが良く売れるのはいつものこと。
涼しくなってきたので果実水はとまれ果実氷はそろそろ販売中止して、
林檎でアップルパイなんか作ってみたらこれがまたよく売れた。
夏天的药店じゃ紛らわしいから果物屋さんにしたら?
とは常連さんに冗談言われて引き攣りかけた笑顔をなんとか保って見送って、ため息ついてる桃髪店主。

「……いやまあそりゃね、ええ。アップルパイは売り切れ寸前ですがね、ええ」

薬はまだまだ残っているが菓子類がもう売り切れ寸前という状況に物悲しい独り言零しつつ
受付の向こう側で椅子を引っ張りだしては腰掛けて開くのは果物使った菓子のレシピブック。
売れ行き好調で種類増加もご希望の声が上がっているので無碍には出来ない。
お客さんがいつ来てもいいように偶に机の向こうに視線をやりながらぱらりぱらりとページを捲る。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアルマースさんが現れました。
アルマース > 晴れても気温があまり上がらなくなってきた秋の日。
露店の集う通りの賑わいに混ざりに来た黒髪の女の視線は定まらず何か探している様子。

「水色――みずいろ……? ピンク――ハート……?」

口にしながら目に留めた水色の屋台。
幟の文字には首を傾げてううんと唸るけれど、丈の長いガウンのような服の裾を靡かせ、そばまで寄ってみることにする。

「ピンク……ハート……?」

キーワードを繰り返しながら、桃色の髪のお兄さんを見つけて足を止めたものの。

「あのお。お薬屋さん――だよねえ?」

やっぱり幟の文字と見比べて、腑に落ちない顔で店主に問いかける。

夏虎 >  
パステルな水色で塗ったくられた屋台とそこに並べられた林檎だの林檎を使った菓子だの……
ぱっと見は『薬屋』の幟が間違って刺さってるんじゃないかといった薬屋さん。
しかも受付の奥に居るのはお菓子のレシピブック開いてるド派手な髪にハートの装飾品着けた若い男。
よく見ても『薬屋』の幟が間違って刺さってんじゃないかって具合の薬屋さん。

「おや、いらっしゃいませぇ~。
 何かお探しで? 大したものぁございやせんが……」

声を掛けられれば本を閉じて椅子から立ち上がり、横に設置してある棚に手を伸ばしてからひょいと紙切れ一枚取り出して広げて見せる。
記されているのは、関節痛や肩こり用の湿布だの生理痛用の鎮痛剤ほか外傷の痛み止め用の塗り薬等の目録と値段表である。

「此方、在庫になっております。ご用向次第じゃあ調合なんかも承っておりますよ」

ピンクのハートなイヤリングとピンクの髪を小さく揺らして首を傾げて笑顔を向ける。

アルマース > 困り顔が釣られて笑顔になった。

「こんにちは。ごめんね、アップルパイが美味しいお店っていうのを探しててー。
 水色でピンクでハート、で分かるって知り合いに言われたんだけど――」

知人の言葉の中には、イケメン、も入っていた。
黒い目がじいっと夏虎の顔を見て、すうっとその耳元に移る。
すべてのヒントが当てはまるんだけどなあ、と、道を尋ねて終わる感じになりそうなので謝りながら反射的に目録を受け取る。
せっかくだし何か買っていこうかな、と並べられている品物に目を落とし――

「お薬屋さんだもんねえ……えっ? あるじゃないアップルパイ……?
 えっ……どういう取り合わせ?」

幟にばかり気を取られていたものの、商品を見れば薬ではないものばかり。

夏虎 > 「ぁー……」

アップルパイが美味しいお店。というだけなら大通りには幾つか候補があるが。アップルパイが美味しい水色でピンクでハートなお店、となると恐らく自分だ。
薬屋ではなく菓子屋として目当てにされるのもそろそろ慣れてきてしまった。
何とも言えない声はそれでも漏れてしまったものの、そちらでしたら……と、
ご案内する前に見付けてもらったので品物へと目を落とし。

「ございますよ、アップルパイ。ホールで? それともお切り分けしましょか?
 いやね副業で始めたらこっちのほうが売れるわ有名になるわでまったくもー」

ガラスケースの中にしっかと入った、パイ生地は艷やかな焼色を見せ仕込まれた林檎も飴色のアップルパイ。
午前中には幾らか余裕もあったが正午過ぎには残り二ホールとなった売れ筋商品を指差しては、
薬屋でなんでこんなん? 何て至極ご尤もな疑念に本業鳴かず飛ばずと肩を揺らして笑気を零す。

アルマース > 「お兄さんが作ってるの? なあんか似合うわねえ。お菓子の国に住んでそう~。
 んー……ホール……ダメダメ、一切れで大丈夫。

 それで薬も作ってるわけでしょ? 謎のひとだねえ……」

切り分けられる前のホールのお菓子というのはそれだけで魅惑的で、唇を嚙みしめて心揺らいでしまう。
自分を制して首を振り、包んでもらうあいだ、気が変わらないように目録に無理やり目を落とす。

「……ねえ、睡眠薬――で良いのかわかんないけど、寝つきと夢見が悪いときに、何か良いのないかしら」

店主の趣味で雑多な商品を取り扱っている露店は多い。
が、仕入れならともかく薬を調合からするのは趣味の範囲ではないし、お菓子にしても少なくとも見た目が完全に菓子店のそれである。
このイケメン一体どこへ向かっているのかしら――と思ったけれど口にはせずに。凝り性なのかなあと思っておく。

夏虎 > 「ええ、手作りで、ふふふ、もしかしたらホントにお菓子の国の出身かも知れませんよ? ほら見てこの美味しそうな髪色~。
 何。薬も菓子も献立通りに作れるちょっとした器用さがありゃあ大したもんでもございませんや」

屋台の陰になっていてなお件のアップルパイぐらい艶やなピンク色を一摘み、
冗談めかした声音と少し悪戯っ気に八重歯を覗かせおどけて見せる。
そんな会話もぽつりぽつりと挟みつつの、ちょっといや大分お悩みの様子だったが一切れのご注文に首肯する。足元にある水入りバケツでさっと手を濯いだあとには手を拭いてからさらに手袋嵌めて、それからケースの中にあるアップルパイを取り出せば包丁を入れると、ざくり、小気味いい音が鳴り、結構大きめに一つ切り分けた。

「ちょっとおっきめにね? 別嬪さんにはサービスしとかにゃ。
 して、睡眠薬とのことですが取り扱いはございますが……
 原因に心当たりとかはあります? いやね。薬屋がこういうのもなんですし。薬売れねぇっつってる俺が言うのもさらに何ですが。薬で解決せずに済むならそれにこしたことないから」

寝る前に、牛乳を温めて飲んでみるとか、凝りや姿勢が原因なら、解してみるとか……。
オブラートで軽くパイを包んでから紙袋へと梱包しつつの、
自分で言ってしまっているが商人にあるまじきアドバイスが幾つか。

アルマース > 「ピンクは自分で着るのは好きな色じゃないと思ってたけど、何か可能性を感じるなあ……。
 男の子のピンクは良いかもしれない……」

頭の中で目の前の夏虎の着せ替えをする。
正装、盛装、民族衣装ならどこのが似合うか、化粧は何系か……
この素材、どう売り出そう――と見極めるような目つきになってくる。

アップルパイの大きな一切れにときめいて、この店を教わった知人同様、布教しよ、と心に決める。

「わあい、ありがと! 食べた分たくさん動かなきゃねえ~……

 え、原因、げんいん……ええと、えええと……あたし最近この辺に移ってきたばっかりで……
 生活基盤が大体出来て、何とか生活していけそうかなーって思った頃に、割と不調にはなりやすいんだけど……
 えーと……えええと…………ッ……待って、男に相談しにくい……ッ」

心当たりはあるけれど、言葉を選ぶのに苦心して、目を両手で覆う。
女友達にならいくらでも愚痴なり弱音を吐けるけれど、男に弱みを見せられぬ、という意地なのか何なのか。
薬屋相手なのだから嘘や誤魔化しをする必要はないし、してはいけないのだろうけれど。

「……っ要するに……環境も変わって、一息ついたところで、気が抜けてちょっと弱ってるとかそういうことかな……」

夏虎 > 「おっと? 思ったより好感触ぅ? 有難う御座いますぅ~」

……品定め? と、ぎらんと光を放ちそうなぐらい真剣な黒瞳に首傾げて。
としている内サービス多め生地も中身も実際多めなアップルパイ梱包完了、
はいどうぞ~と手渡し。ずっしり重めであった。

「ええ、ええ、えー……なるほどー……そうしたら、そうですなあー……。
 こちらとしても半端なもんは出せませんし紹介状でも書きしましょか?」

環境変化による寝不足でかつ男には言い難い原因となれば、と、
心当たりはなくはないが詳しく聞かねば仔細には答えられない。
只、詳しく聞こうにも、すっっっごく言いにくそうに目を覆っちゃっている彼女に、まあまあなんて宥めるように中空で手をひらひらと一振りした後に代案一つ。ツテを使って女医や女性の薬師を紹介、と。

「男にゃ言い難い事もありますわな。薬師とはいえど、ええ。初対面だしね?
 一応身分は確かですがご不安なら商業ギルドに問い合わせ下さりゃ向こうの職員が対応しますから」

身分不詳の薬屋が身分不詳の医師やら薬師やら紹介といっても胡散臭いことこの上ないのは承知している。
紹介状を出すなら自分の名前はもちろん組合の行き方や地図なんかも一緒に添える心算。

アルマース > 「ごめんごめん。色んな服着せてみたいなーって。
 ついね。職業柄、綺麗な子を見るとね。どうやったら売れっ子になるかなーとか考えちゃって。
 ありがとう~。おいくら?」

アップルパイを受け取って、その重みに心癒される。
ポケットからお財布を出して、値札のお値段を確認する。

「紹介状? は、ううん。良い。人は自分で見て決めるから。

 今日、アップルパイ買うつもりで、心の準備してこなかったから。
 ……そうか、説明しなきゃわかんないよねえ、当たり前か」

大体健康すぎるくらい健康体なので、医者や薬屋に自分のことを説明する、という頭が無かった。
考えてみれば、女医さんも他人なわけで、説明しにくさはいずれにしても変わらないなと諦念が湧く。

「大丈夫。原因が分かれば、あとは気の持ちよう。
 あ、お兄さんを疑ってるわけじゃないのよ。
 気まずくさせても申し訳ないし昼日なかにする話じゃないから」

途中でアップルパイを買いに来た客に変な目で見られても、自分は逃げ去れば良いものの、残された夏虎は更に気まずかろう。

夏虎 > 「自慢ですが。何着たってそう不味くはなりませんやね、ほらこのツラ」

手袋を外してから用具入れに押し込みつつ、着せ替え何て言われるとまた肩を揺らして笑ってから顎に手を添えて腰に手を当てて格好付けてみたものの。
お値段こちら、とポーズはすぐに解けば、とびっきり安いという程でないにしろ十分お手頃な価格が値札に張ってあって。

「そうですか? 勿論無理にとは言いません。
 ご改善、微力ながらお祈りしときます」

何を話されたって仕事の内の話。此方への配慮は必要ないにしろ有り難く受け取っておく。
手指を親指だけ畳んで他は立ててと異国式のそれだが感謝の意を示しつつ序に元来の料金も受け取ってから、

「毎度、じゃないか。兎角、ありがとうございました~
 道中お気を付けて」

彼女は自分を綺麗というが彼女こそ綺麗どころだろうからの心配と、紙袋を落としたりして台無しにしてしまわないようにとの心配と、色々含めてお見送りとする。
後にはまた椅子を引っ張り出して本を開いて、偶に来るお客さんにまた薬以外を打って、本日も相変わらずの様子を過ごしたとか――

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から夏虎さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 平民地区・酒場
酒場でもあり、大衆食堂にもなっている2階には宿な大きな酒場だ。
酒をのみ酔っ払ってる客の声や談笑、中には2階の宿を使った客引きをしてるたちんぼのような女もいる

そんな中

「あむあむあむあむ♪ もぐもぐもぎゅもぎゅ――」

カウンター席の端っこ
小さな子供が脚長のスツールにのっかり食事を詰め込んでる
ホビットなどの小人族とは雰囲気の違う、ぷにぷにしたいかにも幼い子供だ
しかし堂々とご飯をかっこんでるせいか、それとも酒に酔いまくった客ばかりなせいか幼い子供が紛れてることにあまり奇異の視線がいかない。
しかし
よくも食べる。 鶏肉のソテー、サンドイッチ、ソーセージとポテト盛り合わせ――大人でも食べきれないような量を夢中でほおばり、もぎゅもぎゅとよく噛んで飲み込んで

「おぢちゃん、おかわりっ♪」

マスターは無口で無愛想な表情のまま、少年が置いた革袋を開いてみせて、銀貨を数枚つまんで見せる
無言のまま怒っているかのような表情だが、少年にちゃんと革袋から何枚とったのかを見えるようにしてる辺り、少年に気を使っているのだろう。
マスターは少年が空にした皿を持って、背を向けて新しい追加注文の準備をする。

「ごーはーん♪ ごーはーん♪」

ごくごく♪ と小さな樽のような木製のジョッキの水を飲み干す。高いスツールのせいで地面につかず宙ぶらりんな足をぶらぶらさせて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシャルティアさんが去りました。