2023/07/31 のログ
キルシュナ > ――――と、御大層に引っ張ってはみたものの、こういう時に限って出会いに恵まれないのもまた世の常。

数時間に渡って淫気を滾らせながら、灼熱の日差しに炙られる大通りを行ったり来たりしていた淫乱猫は

「だぁぁぁあああっ、やってられるかいっ!! そもそも暑すぎやるぉぉおっ!!? もう帰る! ウチ、もう帰るっ!!」

熱中症寸前の汗だくふらふらで、蒼穹に燦然と輝く太陽に向けて呪詛を放つ。
結局この日は何の成果も上げられぬまま、黒猫はかき氷屋さんに寄って涼を取った後で家に帰ったのだとか―――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からキルシュナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエイリさんが現れました。
エイリ > 女は冒険者ギルドの掲示板に、他よりも大きく目立つように掲載されている依頼を眺めていた。

「ふぅん、セレネル海岸で警備の仕事――簡単な仕事のわりに、報酬はなかなかね……」

待遇がいいのは、期間が短く限られているからだろうか。
先程から、この依頼を見て窓口に請負を告げに行っている冒険者が何人もいるだけに、美味しい依頼に見せかけた非道な依頼という可能性も薄そうだ。
豊満に前方へ突き出た、しかし隠匿のニンジツのお陰で勘の鈍い者には野暮ったいローブにしか見えない胸の下で腕を組み、悩ましい吐息を漏らす。

「海というからには、この術をかけたままだと逆に目立つわよねぇ」

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にガリアさんが現れました。
ガリア > (ギルドの依頼と言う物は、基本的には早い者勝ちだ
募集人数が少なく、かつ報酬的にもおいしい依頼で在れば
早々に人が殺到するであろうし、気付かぬうちに埋まっても居るだろう
だが、偶々上手いタイミングで発見が重なり、かつ、枠を争う状態で在った時
そう言うのが、恐らく一番面倒になるのでは無かろうか

先刻から、ギルドの奥の方で、続いて居た小競り合いの声が大きくなる
其れ自体は別段、荒くれ者やら腕っぷし自慢の多いギルド内では日常事だが
時々、収まりが付かなくなる事もある訳であり。)

「――――――………うぉーい、やめんかーい。」

(一触即発、と言った所で、傍から声が掛かった。
180を超える様な背丈の冒険者達が向かい合う中、声を発したのは少々小柄
されど、何処か呆れた様に騒ぎの元凶を見上げては、眉を跳ね上げながら腕組みし。)

「中でやんなって、外でやれ外で。 そして騎士団か憲兵にしょっ引かれろ。」

(それとも――非番の奴に働かせる気か、なんて
少々脅しめいた台詞を最後に――頭を、冷やさせた
一度周囲を見る位の余裕が戻れば、如何に自分達が注目を浴びて居るかも理解出来よう
ギルド内でのもめごとはご法度、と言う当たり前のルールも抑止力

故に、渋々ながら二人して、ギルドの外に未だ揉めながらも出て行くのを見届ければ
――はぁ、と、盛大に溜息を零した。)

「―――――……何やってんだか…。」

エイリ > 冒険者ギルドというのは日頃から賑やかなものだが、血の気が多い人種が多いだけに、喧嘩そのものはご法度になっている。
それでも揉め事は尽きないものであり、とばっちりを受けぬよう、大きな騒ぎが聞こえると音のほうに顔を向けた。
騒ぎが大きくなるなら早々にギルドから離れようと、遠目から眺めていたが、事が大きくなる前に誰かが仲裁に入った様子。
いかにも気の荒そうな冒険者が止めに入ったのかと思えば、出ていった男たちに比較すると随分と小柄な青年がその場に残っていて興味を惹かれ。
騒ぎが収まったところで、彼に近づいていって声をかける。

「――キミ、若そうだけど、実は相当のやり手とか?
 冒険者なんて、余程オツムの足りない腕っぷし自慢でなければ面倒事は避けると思ってたけど、
 あっさり諌めちゃうなんて、なかなかね」

そばに立てば、自分よりも彼の背丈が低いことが分かる。
なので胸の下で腕組みをしたまま、上から見下ろすことになった。

ガリア > 「どーにも、頭に血が上ると回りが見えなくなるんだよなァ…。」

(血の気が多いと言えば其れまでだが
この手の騒ぎが無くならないのは、もう致し方無いのかも知れず
また、元居た席に戻ろうとし――かけた所で、掛けられた声に其方を振り向いた

途端、丁度眼前に在るのは、角度的に顔では無く。)

「………っお…。 ……あー、まぁ、とばっちりの怪我人が出ても困ンだろ?
ま、性分つーか、仕事みたいなもんだよ。」

(一回後退ってから、視線を相手の顔へと切り替えた。
問われた言葉に、後頭部を掻きながら答えた所で、傍のカウンターに居る受付から
『其の人騎士さんですよ、一応』なぞと言う声が掛かり。)

「おーい、一応ってなんだ一応って。」

(若干のジト目を向けた後
受付が知らんぷりで接客に戻ったのを見て、また溜息を零しつつ。
まぁ、そんな感じだ、と肯定して名乗るだろう。)

「ガリアだ。 今日は非番でなァ。
だから、見た目はこんなんだが、普段はちゃんとしてる。 一応、な。」

エイリ > 「――へェ、騎士サマだったのねぇ。なるほど。
 そりゃ知っていたら下手に逆らえないわけね」」

横から解説を入れてくれた受付の声が聞こえて、なるほどと頷く。
後ろ盾に誰がいるか分からない騎士と、正面切って喧嘩をしたい冒険者はそう多くないはずだ。
それにしても、と改めて彼の姿をつま先から頭まで眺めて、思案顔で頬に指を置き。

「キミ――…ガリア君はだいぶ若く見えるけど、やっぱりかなりいいところの出なの?」

若くして騎士を名乗っているということは、生まれがいいのではという推測。
といっても生まれは遠い東の国であり、この国に居着いてから長いとはいえ、文化を完全に理解したわけではない。
まだ成長中の若者に見える騎士の出自が気になった、という感じ。

ガリア > (君、と聞いて、少しだけ眉が跳ね上がった。
――が、正直聞き慣れた言葉でも在るし、客観的にそう見られがちな自覚も在る
首を横に振りつつ、いいところの出、と言う部分には否定を向けながら。)

「んにゃ、お上りさんって言うか、よそから来た移民でな。
別に家柄とかが在った訳じゃない、いち平民の出だよ。」

(貧民、と云う程では無かったが、決して裕福とは言えぬであろう
ただ、幸いながら、己には純粋な腕っぷしが在った
其れさえあれば、立場や権力が無くとも、一兵卒として仕官する事は出来る

――無論、冒険者と違って其れなりの立ち振る舞いは必要になるが
今は非番なので除外だ。)

「アンタは…何と無く、この国の生まれじゃあ無さそうだな。
ギルドの冒険者? ……アンマリ、男連中食い荒らし過ぎんなよ。」

(先刻の騒ぎが収まり、平常の騒がしさを取り戻した室内
逆に、女の事を問いかけながら、後半、少しばかり声音は抑えた上で
――普通であれば女にとって、アンマリにも失礼に過ぎる台詞を向けるだろう

けれど、匂うのだ。 女からは、そう言う匂いが感じ取れる。
幻術に寄って見目こそ隠されて居たとしても、漂う其の匂いを
人では気付かぬであろう其れを、己が嗅覚では感じ取れる

其れを否定したりする訳では無いし、基本的に好きにすれば良いとは思う、が
――何事においても、やり過ぎは騒動を産む物。 あくまで、忠告程度の言葉だ)。

エイリ > 「他所から来たんだ、なら妾《アタシ》と同じね。
 ……って言っても、他所から来た人もかなり多いけど、ここ」

この近くの生まれでもなく、貴族でもないと分かれば立場は似たようなもので親近感が湧く。
わずかに不服そうな顔をされたのは見逃さなかったが、若者は得てして若者扱いされることを嫌うものだから、と今はさして気に留めず。

「生まれはわりと遠くよ、たぶん知らない人のほうが多いんじゃないかってくらい。
 冒険者は言ってみれば副業で、本業は別にあるのよね。
 ――――へェ」

故郷の話に興じるのもいいだろうとしたところで、聞き捨てならない一言が聞こえて目を細める。
術で隠匿しているのは衣服だけで、顔は素のままだ。
元々険のある顔つきがすっと鋭くなり、反して眉はきゅっと愉しそうに釣り上がる。
彼の耳の横まで音をほとんど立てずに顔を近づければ。

「当てずっぽう、ってわけでもなさそうね。
 妾が男を食い荒らしてそうな女に見えてる、ってこと?」

ガリア > 「国が受け入れを奨励してるってのも在るからなァ。
立地的にも、人が集まって来易いってのは在るだろうさ
周りも周りで戦争ばっかりだから、行き場がなくなって、とか。」

(理由は人様々だ、単純に都市生活を夢見て、と言う者も居るだろうし
必要に迫られて流れ着いて来ただけの者も居るだろう
其の辺りを受け入れて仕舞う事で、この国は種族の坩堝となって居る
一度そうなれば、噂を聞き付け、一層人は集まって来易くなる物だ

騎士である以上、国の状況や内情については、俯瞰して物が見れる
人が集まれば当然、良い事も在れば、悪い事も在る
其れでも、上手く遣って行く事が出来れば、それに越した事は無かろう
自分も、そう言う立場であったのだから。)

「………本業、ね。 ま、何であろうと、騒ぎを起こさないなら別に良い。
一応、此れでも目鼻は聞くのさ。 そう言うのには人一倍敏感なんだよ。
アンタからは、そう言う匂いがする。 ……熟れ切った、女の匂いがな。」

(表情が変わった事を、此方もまた見逃しはしない。
耳元に寄せらえた唇から、顰める様に声が触れるなら
己もまた女の耳元へ、勘では無い、確信めいた色味の言葉を返した

――イイ女だとは思うけどよ。 なんて、戯言めいて付け足せば
口元に弧を描き、少々ギザ付いた歯を垣間見せて)。

エイリ > 「――ふゥん、そう。
 この国には見かけ通りじゃない人も多いけど、キミもそうなのね、ガリア。
 だからさっき、ちょっと変な顔をしたってわけね」

きっと彼には見えているのだろう、豊満すぎる乳房も熟れきった尻肉も、今にも溢れてしまいそうになっている露出過多で奇妙なクノイチ衣装だ。
先程の表情の変化は、彼が見かけ通りでないことを示唆していたのだろう、と。
もっとも鬼が出るか蛇が出るか、真相はまだ分からずだが。

「イイ女だってお世辞じゃなくて本気で思ってるなら――。
 味見、してみる?
 食べごたえには自信あるんだけど……って、ガリアは妾が食べ散らかすのを警戒してるんだっけ」

ギルドのなかは人でごった返しているのをいいことに、彼の空いている手を素早く取ると、片方の胸へと押し付けた。
彼の手では広げたところで到底掴み切れず、押し付ければ柔肉全体で弾き返してくるような瑞々しい乳肉の量感を伝え。

ガリア > 「―――まぁ、な。
それと、あれは純粋に、そう揶揄ってくる奴が多いのさ。
だから、あんたの場合はどっちだろーなとね。」

(初めて見る顔であるからこそ、最初の言葉は先ず見極める所から
幸い、何かしら悪意が在る訳では無いからこそ、其処を変に突っかかったりはしなかった
――まぁ、其れ以上に気になる事が、相手に多過ぎた、と言うのも在るが。

女が不意に己が手を取り、乳房へと押し付ける
見た目に見えている其れと剥離の在る、明らかに、重い質量と弾力
僅かに肩を落として見せたのは、先刻の忠告直後と言う事も在ったろう
そう言う所だ、と、思わず耳元でぼやいて見せたが。)

「……また、随分とまァ、大胆っつーか…。
俺で終われば、食い散らかすって音には為らないだろ。
……其れで、少しは満腹になってくれりゃあなァ。」

(さて、其れは如何だろう。 けれど、其の誘いには乗る様に。
自ら、乳房へと指を沈め、其の芯を捕らえて捏ねる様に、柔く弄び始めながら。)

「……アンタの事だ、宿は確保してあるんだろ?」

(なら、連れて行きなと。
其の耳元に、わざと、鼓膜を震わせる様に声を、流し込んだ)。

エイリ > 「んうぅっ♥ 澄ました顔しちゃって、意外と乗り気じゃない。
 満腹になるかどうかは、本気のキミがどれぐらいか次第、ねぇ……あぁんっ♥」

最初は拒絶の姿勢を見せられるだろうと無警戒だっただけに、胸に押し付けさせた彼の指がいきなり乳腺を揺さぶるように揉み捏ね始めると、思わず蕩けた声が上がってしまった。
冒険者ギルドが依然として賑やかだったのが救いで、周囲に気づかれた様子はなく。
衣装の上には乳暈がふっくらと膨らみを帯びてきた様子が分かってしまい、女の双眸も熱を孕んで湿り始めていた。

「ええ、もちろんあるわよ。
 女に飢えた冒険者を引っ掛けて、一晩中たっぷり野獣みたいな交尾セックスをしても外に音が漏れない素敵な宿がね」

そう言って胸に触らせていない方の彼の腕を掴むと、冒険者ギルドを後にして、宿屋の立ち並ぶ方角へと消えていき――。

エイリ > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエイリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からガリアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」にエリステラさんが現れました。
エリステラ > 夏の盛りは夜になっても蒸し暑く、酒場通りは涼を求める人に溢れていた。
それに合わせて、出店も魔法具などで創意工夫をした冷たいものを売りに出している。
例えば、木串を刺してしっかり冷やし、塩味に鷹の爪をアクセントにした胡瓜の一本漬け。
或いは、柑橘の果汁を混ぜ込んだ水を氷結魔法で冷やした金属の器に注いだだけのもの。
それらをちょいちょいと摘むように買って、楽しむだけでも中々の享楽となる。
丁度、白と紫を基調とした雰囲気の少女もまた、キンと冷えた果実水を片手にベンチに腰掛けている。
視線の先に在るのは往来、雑踏の類。ある種の人間観察や品定め。有り体に言えば暇つぶしだ。
時折、ちびりちびりと貧乏性な雰囲気で果実水を啜るが、手元のそれはなぜか一向に温まる気配がない。

「――はふ、退屈凌ぎに人の居る場所に来たけれど、何が起きる訳でもねーですなー」

暇なくせに受動的、アグレッシブという単語には縁のない陰キャ的生命体な魔女はポツリとぼやく。
くわぁ、と退屈そうに欠伸をしたり、或いは足をブラブラさせたり、果実水で唇を湿らせたり。
今日の少女はのんびり開店休業中。何かを引っ掻き回すつもりはないらしい。今のところは。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場通り」にヨハンさんが現れました。
ヨハン > 酒場というのだから、やはりこの喧噪や賑わっている理由は酒が関係するのだろう。
とはいえ、夏だというのもあって体を温めてしまう酒は逆に不適切な気もするが。
そんな中で今はどこの屋台も冷たいものを”ウリ”として、今まで並べたことがないものまで置いてある。
変わったものでは、氷を細かく砕いて果実も砕いたスムージーなども売られている。
これがなかなか人気らしく、この暑さの中でそれを欲しがって行列も出来たりしている。

「こんなところでお一人様なのかな?おじょーさん」

なんて、後ろから、いかにもな人を寄せ付けないような雰囲気をしている女性へと話しかける軟派な男もここにはいたりする。
彼女が腰かけているベンチの後ろに、片手をかけて軽く中腰になりながら声をかける青年の姿。
黒髪で蒼い瞳。整った方の顔立ちだが、目立つほどの整った顔ではない。
人懐っこい笑みを浮かべて、こんな夜に暇そうにしている少女へと声をかけながら。
両手には、今現在その行列が出来ている果実スムージーが入った容器があり。

「よかったらおひとつどう?なーんてね」

そう、透明な容器にストローが差してあるのを差し出して。

エリステラ > 小銭をほんの数枚渡せば金属の杯に目一杯注いで貰える果実水は、一息に飲んでも構わぬものだ。
しかしそれでも、ちびりちびりと啜ってしまうのは幼い頃からの癖――三つ子の魂百までとやら。
外見の割に年を食った少女にとって、それはどれ程前の事か。少なくとも数えるのは億劫になる。
ともあれ、どれ程時間をかけようが、杯の中身は有限だ。最後の一口を呷り飲んでしまうと――。

「……おや、そうですけれど、この見た目、年嵩の娘に声をかけるのは中々物好きさんなのでは?」

後ろから掛かる声に、そのまま体をだらりと後背に倒して、上下逆に彼を見る。何故か帽子は落ちない。
じぃ、と見る先には中々整った顔の青年が居る。柔らかな笑顔に、上下逆さのまま首を傾げて。
中々人好きしそうな笑顔である。これは所謂ナンパというやつかしら、等と呑気に構えつつ。
何やら美味そうな物を差し出されたならば、一度体を起こしてから振り向いて。

「貢物を用意して声を掛けるとは、良い心がけなのよ。そのご厚意に甘えましょー。
 何なら、お隣に座って一緒に飲む栄誉くらいは授けても良くてよ、なぁんて、如何?」

それから、あーんと小さな口を開けて、雛鳥のように彼を待つ。飲ませてくれということらしい。
なお、外見の通りにこの魔女は甘い物に目がなかったりする。ずばり、効果は抜群である。

ヨハン > 互いに顔が逆さま、それでも問題なく会話を続ける辺り、袖にはされていないようだ。
青年は会話を返してくれたことに嬉しそうな笑みに変わりつつ、彼女の言葉に頷く。
実際、見た目だけで言えばこんな少女に声をかける自分はなかなかの事案だろうが。

「物好きでも一人きりの綺麗なお嬢さんがいたら声をかけるのは礼儀じゃないかな?
それに実際、暇そうだったしね。待ち人とかいるわけじゃあなさそうだったし」

ちょっとだけひどいことを言っているような気がするが、まぁそこは置いておこう。
見た目からして魔女っぽいうえに、合わせた彼女の顔はやはり可愛らしい。
陶器のような白い肌はシミ一つなく、彼女の瞳と目が合う。
じっくりと観察されている様な気分だが、悪くない。彼女がどう評価を下すか気になるところだが。

「じゃあ、お言葉に甘えて栄誉を頂きに上がりますかね?お嬢様」

と、隣に座れば。彼女が口を開いてこちらへと向けている。
その意図するものはすぐにわかって、微笑みをそのままに、彼女の口にストローを入れて。

「はい、あーん」

そう飲ませれば、豊かな甘みのある苺や南国の果実に、砕いた氷と僅かに入っているミルクとで爽やかな味が突き抜けるだろう。
この暑い中ではその冷たさと爽やかさは非常によく体に効いて、程よい酸味もまたいいアクセントとなっている。
なかなか、行列ができるのも納得は出来るかもしれない。

エリステラ > どうせ暇をしていたのだ。現れてくれた話し相手を無碍にするようなこともあるまい。
寧ろこの格好の少女然とした娘に声をかけるのは中々勇気がいったのではとすら思える。
魔術で年齢も容姿も自在に出来る少女が、敢えてこの容姿を選んでいるのは気に入っているから。
そんな容姿に惹かれて、声をかけてくれたのならばある種同好の士である。上機嫌で歓待だ。

「ほほぅ、それなら君はとても礼儀正しい青年ということですなぁ?
 ――お察しの通り、お友達の居ない暇人が黄昏れていただけなのよ」

肯定しながら隣にやってくる彼を見る。逆さに見た時よりもまじまじと、遠慮なく。
されて困る容姿でもないでしょう?と言わんばかりに、観察する様子を隠そうとしない。
そもそも少女の生きる意義は、この世の楽しい事の観察なのだ。今こそ本懐を果たしている。
その結果だが、隣を勧めている時点で問題なしである。気に入らなければ近寄らせない。
ストローを差し出されれば、パクッと咥えてそのままちうちう。ミルクのコクと果実の酸味が良い。

「んぐ――ん、ぷふぁ。良い感じですなぁ、これ。甘酸っぱくて、くどくない程度のコクがある。
 君も味わって見るならば是非どうぞ。間接キスで騒ぐ様な乙女じゃないので、悪しからず」

一つしか無いならそれをそのまま、或いは二つ持っていても自分が飲んだやつを勧めてみる。
からかってる訳でもなく、したければしても良いよという安穏とした許可を出しただけである。
なお、ほんの少し経ったならばまた雛鳥のように口を開けて、当然のようにまたせがむ。

「ふむ、ちなみに君の目的は、私の様な少女の保護ですかね?立派なジェントルさんです?
 或いは、まぁもう少し大人っぽい何かをー、なんて感じで下心さんもありありで?」

どっちなのかしらぁ、とにんまり。今度は多少からかい気味の笑みを彼に向けることになる。

ヨハン > なんだかロリコン認定されたような気がする。まぁ否定はしないが。
声をかけたくなった相手はとにかくどんな理由であれ声をかけてしまう悲しい男の性というもの。
今回もそれで動いているが、それはそれとして礼儀はある程度あるのはさっきの貢物からして間違いないので。

「お、そう言ってくれちゃう?嬉しいねぇ、礼儀正しい青年としては歓迎の至りだよ。
 そっかそっか。じゃあ暇ならいい話し相手になれているようで本当に嬉しいよ」

じろじろ見られるのは別に嫌いではない。まぁ、相手と視線の種類にも寄るが。
少なくとも、好奇や好意の視線なら気にするほどのことではない。
悪意もないようだし、単純にこちらに興味を持ってくれていることに気をよくして。
ストローからスムージーを飲む彼女の姿を見ながら、口を開いて。

「じゃあいただくよ。せっかくのお勧めなわけだし、無碍にするのはそれこそ礼儀がなってないしね?
 ―――ん、うん。行列が並ぶのも納得、これはしばらく爆売れしそうだ。
 それとも、こんなにおいしいのはお嬢さんの間接キスなのもあってかな?」

遠慮なく彼女が飲んだストローに口を付けて、青年もまた飲み込む。
瑞々しい彼女の唇と、僅かに付着した唾液に味などあるはずもないが。
勧められるまま、そうしてお互いに果実スムージーを味わい続けていれば。

「そうだなぁ。暇ならこのまま夜もまだまだ長いだろうし。
よかったら一緒に夜を過ごしたいなぁ。こんな暑い中、一人で終わるのを待つのも嫌だし。
どうせ熱くなるなら、綺麗な人と一緒の方がずっと心地いいってもんだ。
まぁ立派なジェントルがいいなら、これからデートに行くのも僕は構わないよ。
下心はもちろんあるけど、綺麗な女の子と一緒にいられるっていう栄誉だけでももらえて儲けものさ」

その少女の笑みに、青年が浮かべたのは下心もあるだろうが。
素直な自分の考えと心をそのまま浮かべたような純真な笑み。
いっそ爽やかさすら感じるぐらいの心を内を曝け出して、彼女へと手を差し出して。

「でも、そうやって下心もあるか聞くって事は……”ソッチ”を期待してもいいってことだよね?」

ニコリ、と。そう締めくくる。

エリステラ > 彼が少女趣味なのか、それとも女性の守備範囲が広いだけなのかは分からない。
とはいえ、手慣れた雰囲気的になんとなく後者かな、という推測くらいは出来るもの。
仮にその推測が外れていようとも、相手をしてくれるならばそれで十分。不足はなしだ。

今宵の少女は悪意とは縁の遠いのんびり主義。捧げ物を貰った相手に悪戯するのもばつが悪い。
実際、口に合わないものを勧められたならば不興を買うかも知れないが、今回は大正解を射抜いている。
故に、彼に対する心象は初対面にしてはすこぶる良いものだ。魔女は餌付けに弱いのかも知れない。

「――ふふ、私のお陰でより美味しく飲めたのであれば、今夜この場に居た意味があるというもの。
 何かしら得るものがなければ、なんとも虚しく寂しいものですからねぇ。良かった良かった。
 そうですねぇ、気に入りましたし、ぜひ繁盛して貰わないと。また食べたいですからねぇ」

などと由無し事を交わしながら、お互いにちうちうと同じストローからスムージーを啜る。
唾液に味など無いかも知れないが、存外雰囲気から甘く感じるものなのかも知れない。
であれば、スムージーの影に隠れてしまうのが残念な気がしなくもないが、はてさて。

「ふむ、つまりは私の選択次第で、送り狼にもなりうると、そういうことですか。
 そうですねぇ、お互いまだ名前も知りませんし、今夜は互いを知る機会としましょうか。
 緩やかにデートして、名前以外も少しばかり知り合って――その方が、楽しいでしょう?」

ただ行きずりの関係を結ぶよりもね、と外見にしては大人びた言葉を紡ぎながら。
彼の真っ直ぐな笑顔を差し出される手を見たならば、気負いなくその手を取ることになる。
にぎにぎ。態度は柔らかいが、その手は靭やかに鍛えられている気がする。自分にはない雄々しさだ。

「――勿論、次会う時は期待してくれてもいいですよ?だから、どんな事がしたいか教えてくださいな。
 この私、エリステラの体をどの様に扱いたいか、どの様に犯したいか――なぁんて、焦らしちゃいますけど」

締めくくる彼に、穏やかに答える。何ならその手を、ゆるやかに下腹部の上に誘うくらいはするだろう。
だがその先、もう少し深い関係に踏み込ませるのは、また今度。今夜は柔らかさをその掌に教えるまでとしておこう。