2018/12/16 のログ
■アデラ > 「……あなた、人間じゃないのかしら。全く……節操がない呼び込みね。
大事な商品が食い殺されでもしたら、どう穴埋めするつもりだったのかしら……」
繋がれたままに、ほう、と溜息を一つ。
人外の存在には割と縁深い立場でもある。眼前の〝生物〟と人間の差異を見いだすのは、そう難しいことではあるまい。
だがそれで怯えるかと言うと、そうでもなく。
どちらかと言えば物珍しさに目を細めて、薄暗がりの中で対象を観察しようとしている、という方が正しいか。
だが――その態度も幾分か変わる時が来る。
自分は金を払って此処へ来た客だと、桃色の少女が告げた時だ。
「そ、お客様なの。……って、いや、ちょっと待って。
身構えてたけど流石に予想の外だわ……ちょっと待って」
二度言った。
少女とて色々と夢想はしていたのだ。苛烈なサディストに肌を切り裂かれる様を、狂気を孕んだ足で踏みつけられる様を。
まさかこんな朗らかな客が来ようなどとは予想もしておらず面食らっている、それが少女の現状だった。
「……分かったわ。私もここを使わせて貰ってる身だし……お客様だもの、ね。
いいわよ、なんでもご自由に、好きなように。だってここはね――」
それでも、この少女もまた、些かタガが外れている。
「〝殺さなければいい〟の。それ以外ならなんだっていい、酷ければ酷いほどいい。
だいたいの無茶なら治せるもの……腕を落としても、脚を落としても。
色んな道具が有るわよ? 鞭、針、縄、焼きごて、ナイフ、杭、木馬――あなたのお好みはなあに?」
性具も責め具も様々に取りそろえた室内ながら、少女が歌うのは、苦痛にて人を苛むものばかり。
だのに、その名を告げる時の少女は頬を紅潮させ、夢見心地の顔をするのだ。
■トルル > 「………ふふっ。そう、わかるのね。うん。トルルはニンゲンじゃないよ。ママに作られたバケモノ。
でも大丈夫。トルルは『ニンゲンを殺さない』ようにできているから。たぶんね、うん、きっと殺さない」
アデラの背後で責め具の棚や机を物色しつつ、桃色の少女はやや語気を落として語る。
「……でもぉ♪ ふふっ、死なす寸前まで遊んだことはちょっとあるよー。何回かは、この部屋で。
おねーさんは……へぇ、腕や脚を千切ったくらいなら治っちゃうんだ。
トルル、そういう道具使ったことないから、あとで試してみようかなー? 勉強を兼ねて、ね」
ガシャリ。棚から何か重く金属質の物体を取り出す、甲高さと鈍さの入り混じった音が聞こえる。
それを片手に持ち、トルルは再び素足を進めてアデラの眼前に現れる。
……この部屋に来たときに纏っていた薄手のワンピースは、いつの間にか脱げている。
雪のように白い裸体が、牢獄の薄暗闇に光るように浮かび上がる。
「でもぉ、まずはコレを試してみようかな。ねぇ、おねーさん、コレ何かわかる?」
手に持った鉄製の鞄……否、携帯用の金庫とでもいうべきか……を、アデラの膝のすぐ側に落とす。
頑丈な石牢の床がわずかに揺れ、その内容物の重みを物語る。
そしてトルルがその鞄の蓋をあけると、中には十数個の鉄球が無造作に転がっていた。
大きさはさまざまだが、小さい物でも直径3cm、大きいものではリンゴ程もある。よく磨かれ、鈍く艶めいている。
「これをおねーさんのお尻に入れてあげる♪ ふふっ、重いよー、堅いよー? 何個入るかな?
さ、床に這いつくばって、お尻を高く上げてこっちに向けて。ワンちゃんみたいに♪」
重たげな鉄球を適当に2個両手に持ち、軽々と握ると、なおも子供めいた無邪気な笑みとともに罪人に命じる。
■アデラ > 「自然に治るほど、人間は頑丈に出来てないわよ。
でもね……治せるの。だから愉しめる。それこそ、死ぬ手前まではね……」
少し身を捩り、石床に触れ続けて冷えた身体を動かしながら、少女は呟く。
他に人の気配も無い牢だ。その、誰に聞かすともない言葉でも、十分相手には届くだろう。
繋がれた部位は首のみ。手も足も、まだ自由を奪われていない部位が、手持ち無沙汰に動いていて――
「…………!」
が、その手足がぴたりと動きを止めたのは、脚の直ぐ傍に落とされた金庫の衝撃が故。
その中に収まっているものが何なのかは、事前に店の者から知らされている。
頭部へと投げつけられれば死ぬだろう、と冗談めかした会話の記憶もある。
鉄球。あまりにシンプルな遊び道具。
繋がれた犬が、にいっと唇を歪めた。
「へぇ……面白いことを考えるじゃない、あなた。……でも、だ・あ・め」
這いつくばれ――と命じられた。娼婦なら唯々諾々と、その命に従うべきなのだろう。
だがこの少女は、厳密には娼婦ではない。遊興の為に此処にいる、狂気と紙一重の娘だ。
「お願いごとをするなら、やりかたがあるでしょう?
どうかお願いします、お慈悲をくださいって伏し拝むくらいじゃなきゃ、気乗りしないの。
……それに、そんなの入る訳ないじゃない……っふ、ふふ……まともな人間じゃ、ね……」
挑発的な言葉を投げかけ、自ら身体を翻すこともなく。
床にぺたりと腰を下ろした、そのままの姿で少女は、この夜の主人を煽るのだ。
そんな優しくしてはいけないと。
罪人を罰するならば、その意思を問うようでは駄目だと。
「犬呼ばわりするなら――飼い主らしく、躾けてご覧なさい?」
苦痛の予感に頬を歪めながらも、少女は尊大に言い放つ。
■トルル > 「だ・あ・め………? えー、ダメなのぉ?」
地に尻をつけながらもこちらを挑発してくるアデラ。その口調を真似てみて、しばし困惑したような表情を浮かべるトルル。
しかしトルルは数秒思案する仕草をすると、覗き込む体勢から背を伸ばし、1歩身を引いて高所からアデラを見下ろす。
……その顔に冷たい残酷の気が走ると同時に、すさまじい速さでトルルの右腕が背に回り、振り上げられる。
ズパァンッ!!
……狭く冷たい牢獄、内部の空気を2つに両断するかのような炸裂音が響いた。
同時に、アデラの肩口から背にかけて一直線に這うように、鋭い痛みが走る。
トルルがぐるりと回し振り下ろした腕、二の腕よりも先が、全長10mはあろうかという桃色の鞭に変貌していたのだ。
それがよどみない動きでしなり、アデラの裸身を打ち据えたのだ。皮膚裂傷に至るギリギリの力で、狙い違わず制裁を加える。
「違うの。おねーさん。違うの。お願いをするのは、トルルじゃなくて、おねーさんの方。
どうかお願いします、お慈悲をください、と伏し拝んでアナルを見せてくるのはおねーさんの方。
おねーさんが自分から犬になって、トルルによって犬未満の生き物になるの。ここは、そういう部屋。そうでしょ?」
腕の形を失い、一本の鞭と化した右腕を振り上げる。鞭全体が力を持ったように、アデラの肩や背から離れる。
トルルの鞭は全体が粘性を帯びており、痛みにひりつく皮膚から産毛をむしり取りながら離れていく。
そして、アデラの視界に入った鞭の先端には、いつの間にか、よく研磨された曲刀が握られていた。
「別にぃ、それでも這いつくばりたくないっていうなら。試しにその腕や脚を切り取ってみてもいいけど?
そしたらおねーさん、犬じゃなくてイモムシになっちゃうけど、それでもいいのぉ?」
アデラの目の前で、トルルの左腕までもが不気味に輪郭を失い、長大な鞭の形を取る。
コブラめいて鎌首をもたげ、次に打ち据える皮膚の部位を見定める仕草をみせる。
■アデラ > この少女は――根底から〝こう〟なのだ。
何が有ろうと屈することは良しとしない。苦痛を望みながら屈従を良しとしない。
ある種の貴族気質、自分が上に立つ事を当然と考える、身勝手で傲慢なあり方だ。
乞えと命じても、這いつくばれと命じても、少女はただせせら笑って、床の上に座したままだろう。
その言葉だけでは――苦痛も快楽も訪れないと知っているから。
〝もう少し腹を立たせたら変わってくれるか〟と、期待してもいるから。
「っ、ぁ……!」
破裂音。粘液の鞭。
猛獣に対して振るう鞭の切っ先は、人の目で見極めるのは難しい。ましてその長さが10mともなれば。
自分が鞭打たれたと気付くのは、痛みが訪れ、その後で、皮膚から剥がれて引き戻される鞭を見た後だ。
赤く、或いは内出血で紫色に変じた皮膚と肉から、焼けるような痛みがじんじんと湧き上がり――
「……ふふっ、ふ、ふふふっ……どうしたのよ、あんな威勢が良かったのに!
どうしても私にお願いして欲しいの? 犬に懇願して前足を乗せてもらって、調教完了ってわけ?
違うわよねえ、それじゃあ無邪気なお子様だわ。誕生日プレゼントに子犬を買ってもらって大喜びしてるみたい!」
嬉しい、と思う。そして同時に思う――もう少しだったのに、と。
あと少し強く打たれていれば、皮膚が裂け、血の華が裂いて、突き刺すような快楽に浸れたのに。
けれども、次がある。次はもっと、強く打たれるのかも知れない。
その願望があるから、痛みに身を焼かれながらも舌を止めない。
「……〝どうか従ってください〟って、言ってごらんなさいな。
それとも、その面白い形のお手々で、ぺちぺち叩いて懲らしめてみる?
あはっ、それならもっと愉しいかも知れないわね。ええ、もっと、もっと、もっと!」
――その望むものは、苦痛。そして、惜しみなくそれを与えてくれるのが良き飼い主と言うのなら。
この雌犬は未だ、腹を見せて良いとは思っていないのだ。
■トルル > 「――へぇー。おもしろーい。ニンゲンって、あなたみたいなヒトもいるのね」
鞭の懲罰を受けながら、なおもこちらを挑発してくるアデラに、トルルは憮然とも呆気ともとれる表情を浮かべる。
アデラが『おかしい』ように、トルルもまた元から『おかしい』。
造られし怪物、不定形の人ならざるモノであるトルルは腹を立てることはない。『喜』に似せられた人工の感情があるのみだ。
「ここに繋がれたヒトはみんな、おかしな声で何かトルルに頼みながら、トルルの言うことを聞いたのに。
おねーさんはぜんぜん言うことを聞かない。悪いことをした、悪い人なのにね。
しょーがないなー。トルル、どう遊んだらいいか分かんないやー」
半ば棒読み気味になりながら、なおも癇に障る少女の声で言葉を並べるトルル。
やり方が分からない、という旨のセリフを吐きながらも、その体は次の行動によどみなく移り始める。
両腕をそうしたように、今度は両脚の輪郭までもがグニャリと崩れていく。
しかしその形状は鞭にはならない。まるで少女の体内から湧き出るように桃色の粘体が体積を増していく。
すぐに、トルルの下半身は巨大な半透明の球体へと変貌してしまう。
アデラの全身をすっぽり包み込んであまりあるほどの巨体が、ふわり、と音もなく宙に跳び上がると。
そのおぞましくも生暖かい質量が、地にへたるアデラの頭から容赦なく襲いかかってしまう。
100kgを超える質量と粘つく質感がアデラの四肢を圧迫し、鼻の先から髪の先までもまんべんなく包み込んで一時呼吸すら奪う。
この拘束から逃れるには相当の筋力か、魔法的な力が必要だろう。容赦のない丸呑みだ。
「ま、いいや。別にトルルはおねーさんに言うこと聞いてもらってももらわなくてもいいし。
めんどくさくなったから無理やりしちゃうね。
それと、うん。やっぱり言うこと聞かなかったから、腕、切っちゃおう。そうしよう」
異形の粘体と化したトルルの全身から声がこだまし、アデラの鼓膜にねじ込まれる。
そして、先程腕に捉えて拝借してきた曲刀が、ずぶり、と己の粘体の中に差し込まれ、ひとりでにアデラの身へと迫ってくる。
「でも、剣振るのそんな得意じゃないから、少し身体を固定させてもらうねー。
お魚屋さんが包丁使うみたいにやってみるね。うまく行ったらほめてねー、ふふっ♪」
鈍色の刀身が桃色のジェルの中を泳ぐように走り、アデラの右肩の肩口まで迫る。
そして刃が皮膚に触れると、今度は前後にすばやく身をスライドさせ、まるでノコギリのごとく皮膚組織を裂いていく。
抵抗なくば、重厚な曲刀は皮膚を割り、筋繊維をちぎり、骨すらも削り折ってしまうだろう。
断面には即座にトルルの体組織が伸びて覆い、止血を施す。とはいえ、苦痛は軽減されないだろう。
「あーあ、トルル血はキライなのになー。金属くさくてそんなに美味しくないし。
でも、おねーさんが罪人なのに素直にしないんだから、しょーがないよね♪」
酸素を犠牲にして声を発すれば、トルルに呑まれた状態でも言葉は通じるだろう。もっとも、絶叫以外の言葉を紡げるかは知らないが。
■アデラ > 鞭がまず一度。後は言葉での脅迫ばかり。
倒錯に耽る少女が、僅かばかり飽きを見せ始めた頃合い――加虐者もまた、焦れて来たのだろうか。
その変異した形状は、それこそ迷宮に出没する軟体生物のよう。
人外であることを如実に示す変形に、焦れた瞳がまた幾分か光を増す。
そして、その大質量が宙に舞い、少女の身体を飲み込んだのならば――
「――――――っ! っ、ぁ、かっ――――」
呼吸を奪うというのは即ち、言葉を奪い、やがて意識を奪う責め苦に他ならない。
粘性液体の拘束により、少女は言葉を奪われ、粘液の中で手足をばたつかせて藻掻いた。
息が吸えない。酸素が無い。
胸の中心から頭蓋の内側へと這い上り、全身へと広がって行く痺れ。白肌はチアノーゼの反応を示し、僅かに変色する。
脳髄を締め付けるような苦しみの中、少女は下肢を蜜に濡らし始める。
だが、まだ意識はある。
かろうじて残る意識の中、少女は〝それ〟を見た。
刃物だ。快楽を与える為の機能など備わっていない。効率良く生物を殺害する為の道具が、身体へと近付いて来る。
ナイフで切りつけられたことはある。疼きと熱が収まらなかった。その数十倍の体積の刃がそこにある。
彫像の如き身体の奥で、酸素不足の心臓が激しく脈打つ。今にも意識を失いそうな少女が、期待に涙しながら笑っている。
刃が、届く。
「ぎっ――ぎゃっ、あああ、ぁあああぁああぁぁああぁぁあああぁっ!!!」
艶めかしさなど微塵も無い、苦痛が呼び起こした純粋な絶叫。
それも液体の中で発せられたのでは、地下牢の中ではさしたる音量にもならなかったのだろう。
「がっ、い、だっ、ああ、あ、が、ぎゃう、うぐ、うぅううぅぅぅっ!?」
麻酔など無い。皮膚という薄い層が断ち切られた後は、筋肉と骨、大量の神経が通う部位に刃が通る。
素人が扱う曲刀など、鋸よりも更に切れ味は劣る。中々その腕は落ちてこない。
ごりごりと壮絶な音を立てて腱が潰され、骨が削られる。人間から腕を一本切り落とすのに、こんなにも手間が掛かるものかと呆れる程に。
刃は血と人の脂に塗れながら、然しスライムの身体組織の中で拭い清められ――或いは毒されて、か。
そうしてようやく、腕と胴体を繋ぐ最後の部品を破壊した時、
「ぁ、ひぁっ……ぁ、あ……っ――――」
少女は粘体の中、ガクガクと身体を痙攣させていた。
或いは死の兆候かとさえ思わせる震えとは裏腹、その秘所からは失禁と紛う程の愛液を吐き零して。
酸欠と激痛、その間に交ざった快楽で身も心も蹂躙され、少女は意識を奪われていた。
……〝殺さなければいい〟だ。窒息責めは、些かそのルールに適さない。
程なく、何らかの手段で監視をしていたのだろう店の者が、血相を変えて飛び込んで来ることとなるだろう。
人間の腕一本、躊躇無く切り落とした人外。
腕一本切り落とされて、絶頂に至る人間。
その両方が酷く悍ましく感じられてだろう――嘔吐を堪えるように、手を口に当てながらだが。
■トルル > トルルに課された『生き物を殺さない』制約は絶対だ。少なくとも自分の意思で他の生物を死に至らしめることはない。
致命的に酸素が欠乏してきたとみれば、トルルは身をよじってアデラの顔のみが体外に出るようにする。
最初に完全に丸呑みしてしまったのは、まぁ、一種の八つ当たりだ。
「あははー♪ すごいすごーい、いっぱい叫んでるぅ♪ ニンゲンってこうされると『イタイ』んだよねー。
トルルには『イタイ』がわかんないから、おねーさんがなんで叫んでるかもわかんないんだけどさー。
でも血がいっぱい出て、ほっとくと死んじゃうのは良くないよねー。不便ったらありゃしない」
己の体内で不必要に時間をかけながら刃を動かし、丸太を断つかのごとく無慈悲に腕を切り落としていくトルル。
体内を、そして体表を駆け巡るおぞましい絶叫を感じて、恍惚にも似た厭らしい笑みを浮かべる。
「はぁい、いっちょうあがり! おねーさんの右腕、きれーに切れたよぉ♪
……ふふっ、おねーさん、おしっこ漏らしながらイッちゃったんだぁ。イタイとイッちゃうなんて、変なニンゲン♪
こんな変なヒトなら、普段どんな悪いことしてるか、想像ついちゃうねー。あー、困った困った……ん?」
とうとう最後の皮一枚までちぎれ、肩から外れたアデラの腕。
トルルはそれを触腕に掴んで粘体塊から取り出し、アデラの眼前に突きつける。断面はやはり粘体に覆われ、止血されている。
……そして、トルルも気づく。この部屋のオーナーが、アデラのバイタル異常に勘付いて踏み込んできたことに。
「……あ、なーに、オーナーさん。どうかした?
だいじょーぶ、だいじょーぶだよ♪ トルルはこのおねーさんを殺してないよ。ちょっと腕を切っただけ♪
ね、ほらほら。右腕さんもまだまだ元気だよ♪ おねーさんも平気だって言って?」
そんな状況にもやはりトルルは飄々とした態度を崩さない。
そして、今しがた切り落とした新鮮な右腕を店の者に向けて差し出し、動かしてみる。
切断面から血管に粘体を染み込ませ、神経すらも操って、まるで生きてるかのごとくに肘を曲げたり、指をうごめかしたり。
そんな仕草の何が大丈夫なのかはさておき、トルルは相変わらずふざけっぱなしだ。
「このおねーさん、なかなかトルルの言うこと聞かないんだよー。腕切ったらすごく嬉しそうにおしっこ漏らしたけどさ。
こんなヘンタイで悪いおねーさん、もう少しお仕置きすべきだと思うんだけど、どうー?」
ぐねぐねと腕を冒涜しながら、トルルは問う。アデラと店の者、両方に問うてるようにも聞こえるか。
ご案内:「◆富裕地区 娼館地下(過激描写注意)」からアデラさんが去りました。
■トルル > 「……え、ダメ? あ。ほんとだ。このおねーさん、生きてるのに死んでるみたいになってる。
おっかしいなー、心臓はまだ動いてるのに、身体は動かないし喋らないや。ふしぎー」
店の者に『彼女は気絶してる、その辺にしておけ』と窘められると、トルルはしばしその様子に困惑を見せたのち。
「うん、いいよ。今日はおしまい! 面白いことできたから、トルルは満足!
おねーさん、腕くっつけといてねー。今度会ったときは両方とも斬らせてね~♪」
失神したアデラの肉体を牢の中に放り出し、己の粘体を接着剤にして無造作に元の場所にくっつける。
そして、狼狽する店の者に半ば引っ張られるようにして、牢を去っていくのであった。
ご案内:「◆富裕地区 娼館地下(過激描写注意)」からトルルさんが去りました。
ご案内:「◆設定自由部屋(過激描写注意)」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 今宵もまた少女は、地下の牢獄に身を置いていた。
人を責め苛む為の器具を集めた部屋の中、首輪を鎖に繋がれ、石床に座す少女。
その有様は罪人か、或いは奴隷か――だがその実情は〝商品〟だ。
〝後片付け〟の手間賃がかさむが故、些か高値を付けられたこの品を、買い求めるのは果たして――
「……うー、まだちょっと肩に違和感……やっぱり切り離すと駄目ねー、本調子になるのに二日はかかるわ……」
――その〝商品〟であるが。薄暗がりの牢にも慣れてしまったようで、酷くリラックスしているのだった。
ご案内:「◆設定自由部屋(過激描写注意)」にリズリーさんが現れました。
■リズリー > 案内人に通されて、血と排泄物と、性の匂いが混ざり合う地下牢へ足を踏み入れた魔女。
良質の奴隷を買い求めにやって来て、何番目にかに紹介されたのがこの女。
「ふーん…商品と言う割には随分と余裕あるわね…」
商人と話しながら、使用感を試しても構わないと言われると牢越しにリラックスしている少女を見やる。
■アデラ > 「……ん?」
この夜初めての客が、ようやっと通されて来たのを見る。
「あら、いらっしゃい。済めば都よ、案外に。あなたも繋がれてみる?
それとも獄卒がご希望かしら。ならどうぞ、立ってるだけじゃつまらないわ」
この様な場所へ訪れる物好きならば期待できるか――と。
身体を隠すこともなく、その言葉に応じた。
■リズリー > 「なるほど、噂に違わぬ気丈さね。いいわ、少し遊んであげる」
牢を開けて中に入り、髪をかきあげてアデラの前に近寄ると、手のひらに魔力を込めて詠唱を行う。
すると影から黒い触手めいたものが出現し、アデラの身体にまとわりついて行く。
普通の女性なら恐怖を覚えるものだろうが、きっと彼女はこの程度で動じたりはしないだろう。
だから、触手はゆっくりと服の中に入り込み全身を愛撫しながら、まだ濡れてもいない秘部と縦割れのアナルへ侵入を開始した。
太さは成人男性の男性器程度だが、無遠慮に抉るように頭を捻りながら奥へと入り込んで行く。
■アデラ > 「それはどうも。……お金を払って女を買って、遊んであげるも無いものだわ。
遊びに来たのは貴女でしょう、どうかたっぷり遊んで行きなさいな。
ここは密室だもの。どんなみっともない欲望を曝け出しても、恥ずかしくないわよ?」
もはや性根に染みついている、挑発的な言葉。
影から触手が這い出した時も、余裕に満ちた表情は揺らぎもせず。
「ん……ふ、ふっ……自分の手じゃないのね……ちょっと残念。
だけど、ん、割といいかも、これ……マッサージみたいで――」
衣服の下で蠢く触手に肌をもみほぐされ、それには心地良さそうに目を細める。
触手に伝わる身体の感触は、戦う為ではなく愛玩される為に整えられた雌のもの。
しなやかで柔らかい筋肉と、ほんの薄くだけ乗った脂肪の層。胸の膨らみは少女自身の手に収まる程。
そして――下着は身につけていない。だから二本の触手は、容易くそこへ辿り着くだろう。
「――ぉ、ぐっ……!? ……ちょっと、せっかちよ、もう」
軽く背を仰け反らせた後、少女は頬を膨らませて不平を言う。
まだ受け入れの体勢が整っていない其処だが、少なくとも裂けるような事もなければ、痛みを生んでもいないようで――。
■リズリー > 「貴女に直接触るのは、貴女にその価値があるとわかってからで充分よ」
女はクスッと笑みを浮かべると口元に手を添えてアデラの様子を観察する。
劣悪な環境にいるにも関わらず綺麗な肌。瘦せぎすでもない体躯、触手の不意打ちも平然とする両穴。
「ふふ、貴女こそ慌てないの…お楽しみはこれからよ」
触手達はそのまま遠慮なく進むと、膣内で口を開き子宮口をバクッと飲み込んで、内側にあるヤツメのようなびっしり生えた歯で深く噛み付く。
そしてアナルへ攻め込む触手はそのまま奥へと進み、子宮を裏から押し上げながら、結腸直腸を逆走して行く。
「痛いというより気持ちいいかしら? ゆっくり貴女を壊してみましょうね」
触手はそれぞれ口の中と表面から酸性の体液を滲ませ、腸内と膣内、子宮を焼くように焦がして行く。粘膜が溶け、神経がむき出しになり、それを体と歯で擦り上げていく。
■アデラ > 「気取るなら、っく、ん……ね、相応に腕を見せて?
普通は飽きたの。おままごとみたいなセックスはもう十分。
折角こんな国に生まれたんだもの、滅茶苦茶に生きないと損よね――ふふ、ふ」
観察されていると気付けば、艶めかしげな吐息を抑えながら、平然と微笑を作ってみせる。
肉体は屈従を望みながら、その精神は誰かへ傅くことを良しとしない。
尤も、それが故の商品価値でもあるのだ。簡単にへし折れる娼婦なら、何処にでも、幾らでも売っているのだから。
胎の中を這い上がる触手が二つ。その感触に時折、眉をぴくりと動かして耐える。
慎ましげな見た目の秘所も、調教の経験が見て取れる後孔も、いずれもが触手を柔らかく包む。
締め付けが弱いのは、少女が力を抜いているからか。
……だがその状況も、触手が動きを変えた時に終わる。
「ぐ、ぎっ!? ぁ、あああぁあぁぁ……ぁ、ぉお、おくっ、来、たぁ……っ」
胎内に突如鋭い痛みが走り、座したまま、少女はぴんと背を伸ばした。
腸を遡る触手が押し上げるのは、口を噛み付かれた子宮。
尖った物体が内臓に直接食い込む痛みで身体は震えながら、二穴の触手を締め付け――そして二穴ともが分泌液に濡れていく。
このまま噛み付いていれば、じきに少女の身体は完全に受け入れの体勢を整えただろう。
が――続く責め苦は全く、過去に類型さえ知らぬものだった。
「ひ、ぎゃっ、ぁあ!? あ、な、何っ、熱、あづっ、あっ、が――っ!」
粘膜を焼き溶かす酸――流石の少女とて、交わりの為の穴に酸を注がれたことはない。
並の女ならばそれだけで廃人へと貶められるだろう激痛が、少女の身体をガクガクと震わせる。
まして直接神経を抉られれば、電流を流される罪人のように、歯の根を打ち鳴らし、唇の端からは泡を噴く。
触手を濡らすのは愛液や腸液ばかりでなく、寧ろそれより多量の血となるだろう。
■リズリー > 「あらあら…思ったより脆いのね…殺しちゃダメって言われてるし、少し濃度を下げてあげようかしら?」
分泌する酸の濃度を少し下げ、代わりに麻薬成分の体液を混ぜる。
粘膜を焼かれながら神経を麻薬に漬け込み、痛みと快楽をブレンドさせていく。
「ふふ、あまり動かないでね…手元が狂うと大変だから」
人差し指を立てながら無邪気な笑みを向けて、アデラに一歩近づくと爪が針のように伸びる。
そしてアデラの乳首と陰核に爪を押し当てると、注射するように爪を一本ずつ突き立てた。
「普通は快楽拷問に使う呪毒なんだけど…特別貴女にプレゼント。
あんまり気持ちよくなりすぎると、クリトリスも乳首もおちんぽみたくなっちゃうわよ」
玩具で遊ぶように微笑を浮かべ、そして子宮を咥えた触手はそのまま子宮を弱酸で粘膜を溶かしながら飲み込んで丸呑みに。腸内を抉る触手はそのまま腸内を通り抜けて胃へと到達する。
■アデラ > いかに被虐を望む少女とて、身体は人間だ。あるラインを超えた破壊は、殺傷行為と変わりが無い。
焼き溶かされた胎内が生み出すものは、痛みを通り越して、熱。
身体の中で火が燃えているような激痛に、少女は倒れ伏したまま、鎖をがちゃがちゃと鳴らして痙攣している。
酸の濃度は多少落ちたようだが、その分泌は止まらない。
或いは間の肉壁を焼き切って孔を一つに繋げるつもりか――と、思考する余力さえが無い。
「ぎ、ぐっ――ぃ、ぎぎっ、い……っ、あ……」
断末魔の呻きを発しながら、少女の瞳が裏返る。
或いはその意識を手放す寸前、最大の喜悦に突き上げられたのか、膣口から血混じりの愛液を間歇泉のように吹き零して。
苦痛に叫び呻き続けて不規則だった呼吸が、意識を失ってようやく規則的な物へと戻った。
が――その間にも陵辱と、破壊行為は続けられている。
両胸の先端と陰核、三つの突起にそれぞれ突き刺された爪から注がれるのは――呪毒。
それがいかなる効果を産むのかは定かではないが、少なくとも癒やしの力などではあるまい。
そして子宮口に噛み付いた触手は――子宮を膣内へと引きずり下ろして、それをまるごと飲み込んでしまう。
子宮脱、酸による溶解。治療せぬままならば、もう子を身籠もる事はできぬだろう。
少女の身体は意識の無いままに壊される。
だが、その眠りを妨げたのは、長い腸の中を潜り抜けて胃へと届いた触手の圧迫感だった。
「ぅぐ、ぉ――っ、っげぇ、ぇええぇっ……」
胃液を口から吐き零し――腸から胃まで、内容物は何も無い。吐き出せるのは本当に胃液だけだ。
それで少女は目を覚まし、目覚めた瞬間に激痛で顔を青ざめさせ、脂汗を流し――。
「っぐ、ぅ……く、っ、くくっ……く……ふふ……。イキっぱなしになってる、私……。
このままじゃ、死ぬかも知れないけど……それがね、すっごく、すっごく――」
それでも、少女は言う。鉄格子を掴んで身体を引き起こし、陵辱者の目を見て、だ。
その肉体は、拷問を受けた少女のもの。傷つき、弱り、力無く痙攣している。
だがその一方で――彼女は確かに達しているのだ。
焼け爛れた粘膜が触手を締め付け、脳髄はまるで、頭蓋から取り出されて麻薬に沈められたように、狂った信号を撒き散らす。
苦しいのが快感なのか、快感が苦痛なのか、もはや当人にも分からぬのだろうが。
「――すっごく、気持ちいいの」
少女は幸せそうに微笑んで、口付けを乞うように目を瞑った。