2018/07/13 のログ
天姫 >  
簡素とはいえ食事のさなか、ざわりとその背にヒリつくものを感じ、振り返る

「──ふむ、血の匂いに釣られてきたか。
 丁度よい、こいつは筋張りちいとも美味くないなと、辟易しておったところじゃ」

ゆっくりと重い腰をあげるように立ち上がり、傍の地べたへと突き立ててあった大鉈を引き抜く
手にしていた魔物の肉は骨にまだ僅かに肉が残っていたものの、焚いた火の中へと放り込む

「うむ、妾を目前にして怯まぬその様子は喰うに値する、が、
 尻尾を巻いて逃げたほうが良い、とまではその落花生程の脳では流石にわからぬか」

ならば遠慮なく、喰らわせてもらおう
暗闇に光る赤い二つの光は地を這うような動きで鬼へと迫り──、一太刀によって木っ端の如く分断される

夜更けの魔族の国、その荒野に二度目の魔物の断末魔が響き渡った

天姫 >  
文字通りの瞬斬は魔物の血を全て後方へと吹き飛ばす
返り血の一つも浴びず、ふわぁと小さく欠伸を噛み殺し、無残な姿となった魔物へとその手を翳した

指先から炎を塊を放ち、逆巻く炎の中へと獲物の肉を閉じ込める
術の類は得意とは言えぬまでも、鬼火の一つくらいは起こせるのだ

そして懐から取り出した小袋を開けると、乳白色の粉が入っておりそれをぱっぱと振りかけた

鬼も悪食、とはいえど生の血肉を美味とは感じない
塩の一つも振らずにによく昔の鬼は丸かじりなどしていたものだと常々思うのであった

天姫 >  
「しかし魔族の国といっても、獣のような魔物ばかりではな」

焼けた肉を食い散らかしながら、少なからず落胆する
飢えは満たせど強力な者との闘争欲求が満たされない

シェンヤンから此方へ足を伸ばしてからというもの、
闘争はどれもこれも小細工を弄する者ばかり
真正面から戦い切る、そんな相手に恵まれていない

手も足も出ぬままに完膚なき敗北も味わいはしたが…あれはあれで戦ったという気がしない

「(あれとも、あれとももう一度ヤらねばな)」

勝てば当然良いが負けは負けでそれで良い
どんなに負けようと最後に勝てばそれで好い

珍しく物思いに耽りつつ肉に食いついていたが気づけば骨ばかりが辺りに散らばっている
小柄なりに大喰らいなのは鬼である故だろうか

ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」にラボラスさんが現れました。
ラボラス > (――風が吹く。
魔族の治める地、其処に混ざる微かな血の気配は
けれど、この地では決して珍しい事とは言えぬだろう。
少なくとも――己達のような輩にとっては、だが。
引き連れている二人の側近が、血の気配へ意識を傾けているのは
決して警戒では無く、単純なる興味以外の何物でもない。)

―――――……気になるか?

(――はい、と、響いた声は素直な物だった。
如何しようも無く争いの気配に惹かれる――此処に居るのは、そんな者ばかり。
ならばと、然したる要件も無い故に、城塞へ戻る途上の歩みを其方へと向ければ

――程無くして、気配が近付く事だろう。
三人の、少なくとも見目は人の形を成した者達が
鬼が獣を食らい尽くした場へ、姿を見せる筈か)。

天姫 >  
「!」

風向きが変わった、ように感じた
そしてすぐにピリリとした、空気の変化に気づく

「ふぅむ」

にんまりと口角をあげ、最後に手元に残っていた骨を放り投げて、酒を一口引っ掛ける

口の端から僅かに酒を零しながら立ち上がると、大鉈を引き抜き左肩へと担いで、視線を巡らせる

その者達はすぐに視界におさまった
夜の中といえど鬼の爛々と輝く赤い瞳ははっきりとその姿を捉え、獰猛な視線を送る

ラボラス > (魔物同士の喰らい合いか、或いは同胞が戯れた可能性も在る。
何れにしても、其処に闘争の気配が在るならば、余興には為るだろう
我が故郷たるこの地が、決して嫌いな訳ではない、が
――此処に居る間は、如何しても平和が付き纏うのだ。)

―――……感想は如何だ?

(そんな中で、己が眼前へと姿を見せた物は。
――いや、者、は。 或いは人間側の何某かが攻め込んで来たのかと思える程の、気配を孕む。
隣に佇む側近へと、気配の正体を前にした感想を問えば
普段は己と似て、理知的な気配を感じさせる其の口元が、弧を描く。

言葉など、其の反応だけで容易に知れると言う物だ。)

――――……ふん…獣よりも、血に飢えた眼だ。
稀人、随分と貪り食った様だが…腹は満ちたか?

(声を掛ける、其の声に応えが返るかは知らぬ。
少なくとも、其の眼だけで『理解る』のだ――ソレが、同類で在る、と)。

天姫 >  
「腹こそ満ちれど──」

爛とした、射抜くような視線の先には漆黒の鎧に身を包んだ大男…と他2名
食い荒らした雑多な魔物などとは格の違う、理性を持った魔の住人
こちらの国へと足を運んでからも出会いはしたものの、希少
こうやってこの地へ踏み入って尚、堂々と姿を現した者は少なかった

「──気は満ちぬ。単なる獣狩りではなあ。
 獣よりも血に飢えた、か…。貴様は違うのかの、デカいの」

尖ったその牙を惜しげもなく晒し、嗤う

ラボラス > ―――だが、貴様が狩ったソレは矮小な身では倒せん。

(まぁ…生憎ながら既に骨ばかりしか残って居ない訳だが。
その骨格と、特徴的な頭蓋骨の形状から察するには
時折人の地に紛れ込んでは、甚大な被害を齎す類のモノだ。
此方の言葉を解し、嗤う其の姿に口端を吊り上げる
己へと向けられた言葉へと応える様に、其の朱色の瞳を真直ぐに見下ろせば。)

――安心しろ、この場には貴様の同類しか居ない。
だが…残念ながら、餓えた部下を愉しませるのも俺の役目でな。

(――此れは、戦争ではない。
数の暴力で押し潰すのも、戦場で在るならば当然の策だ
だが――其れでは、愉しみが薄れて仕舞うだろう、と。
故に、己よりも先に、気配へと逸早く気付いた側近が一人、前へ進む。
一見無手に見えるだろう、だが、其の両腕に装備されるは鋲の付いた手甲。

――拳闘士、と思しき其の姿が、鬼との距離を詰めて行く)。

天姫 >  
「は…貴様自身がどうこうというわけではないのか?」

部下が、という言葉に僅かに拍子抜けしたように小さく肩を竦める
白い髪が揺れ、その合間で赤い瞳が光る

「3人纏めてでも妾はまったく構わぬというのに…な!!」

笑い、此方から一足飛びに間合いを詰め、大鉈を向かってくる拳闘士に向け振り下ろす
大地も砕かんとする一撃は全くの躊躇なく、その頭を目掛け繰り出された

ラボラス > クク…ならば言い方を変える。
――俺を引き摺り出して見ろ、異邦の鬼。

(己自身の望み等、判り易い事この上ない。
だが、其れとは又別に、己にも愉しみ方と言う物が在る。
放って置けば、命じずとも勝手に襲い掛かりそうな側近二人も又
戦術や策謀などを度外視した、純粋な闘争に餓えているのだから。

鬼が跳躍すれば、相対する部下は振り下ろしの一撃を横へと往なして回避する。
その瞬間、其の口元が嫌に吊り上ったのは――間違い無い
直後、地面を砕いた其の剛力を、一瞬早く感じ取ったからだろう。
武器を持たぬ分身軽な動きで、くるりと身体を回転させれば
鬼の側頭部目掛けて繰り出されるは、回し蹴りの一閃。
――訓練などでは無い、本気で、頭蓋を砕きに掛かる其の蹴りは
人間程度の骨格ならば、形も残らず粉砕出来る、が――)。

天姫 >  
己の一撃は空振り、しかし大地を砕き、その剣閃は更に先の大地までを割り進む
文字通りの怪力、剛力一閃
しかし相手は俊敏、かつ、既に反撃を繰り出している

側頭部へと襲いかかった蹴りは鈍い音と共に鬼の頭を蹴り抜く
──が、その体幹は揺らがず、両脚が地を離れることすらもない
その小さな体躯には見合わぬ質量…まるで巨岩を蹴ったかのような手応えを返すだろう

「行儀の悪い脚じゃな」

赤黒い血が頬を伝うことも気に掛けず、振り下ろしていた大鉈をそのままに横へと薙ぎ払いを放つ

「高みの見物とは好い身分じゃな。役不足であると言っておるのがわからぬか?」

ラボラス > (――踵に、其れは間違い無く入った。
其れまで其の脚は、頭蓋を砕き粉砕する感触ばかりを覚えて居た筈だ。
だからこそ、今宵感じた其の感触は、驚愕と感動に値する物だったのだろう。
――硬い、そして、重い。 僅かも揺るがぬ其の身体が、羽虫を払うかに再び獲物を横薙げば
其の一撃を、如何にかして両腕の鉄鋼で受け止めた身体は
両断される危機だけは回避しながらも弾き飛ばされ、地面へと叩き付けられた。)

―――……クク、如何やら貴様の言う通りらしい。
奴では露払いには荷が重いか、アレでも其れなりに腕は立つが…。

(恐らく、死んでは居ないだろう。 流石に腕は逝っただろうが。
其れを見て、荒野の中、小さく喉奥に嗤いをくぐもらせれば。
ゆっくりと、一歩を踏み出し、未だ傍に使える側近へ向けて
向こう側へ、転がるもう一人を指で示し。)

――回収して戻れ、割を食った分、次の戦場は好きにしろ。

(――側近の少々不満げな顔は、何となく状況を予感して居たのやも知れぬ。
大抵面倒を背負い込む星の元に生まれて――否、此方の事情など無為か。
己が傍から一瞬にして消え、気付けば、転がる同胞の元へ現れ
一瞬にしてまた、其の体躯を背負い、其の姿を消した後に。
荒野にて、己と、相対する鬼のみが居合わせる画と為り果てれば。)

―――……人以外を相手にするのは、久方ぶりだ。
精々俺を愉しませろ、異邦の鬼。

(嗤う。 ただ、獰猛に、嗤う。
刹那、己が周囲の闇が、影が、集い、形を帯びて行く。
一振りの剣、其の形を片腕で掴めば――鬼へと向け、真直ぐに、奔る)。

天姫 >  
「呵呵。だから3人でも良いと言ったであろ」

大鉈を突き立て、その手の甲で赤黒い血を拭い、舐め取る
そうやって赤い瞳を蘭と輝かせ、笑みを浮かべる様子は月光の下で狂気にも似た雰囲気を醸し出していた

「貴様も一人で来るのか。余程の自信か、はたまた──蛮勇かのう!!」

突き立てた大鉈を引き抜くや否や、再び大地を砕く勢いで踏み込み、真正面から漆黒の巨躯へとぶつかりにゆく
その軌道に変化はない、間合いに入った瞬間、再び大鉈は真っ直ぐに振り下ろされる──

ラボラス > ―――……其れは出来ん。
言った筈だ、其れでは「愉しみが減る」とな。

(――己が元に集いし兵に、弱者など居ない。
其れを一蹴して見せた此の鬼でも、だ。
大地を砕く巨大な獲物が、先刻の様に、其の剛力を以て振り下ろされる
其の光景に、ふと――先の戦で、己に向けて振り下ろされた娘の一撃を重ねては。

片足を地面との支えとし、己が纏う鎧の手甲部分を剣先へ押し当て
振り下ろされる剣の軌跡へ、真正面より相対しては。)

―――――………オォォォォ!

(――一瞬、地面を叩き割るにも似た衝撃が伝う。
足先が土に減り込む程の剣圧、けれど其れを、力に対し、力で以て押し留めれば
剣をかち上げ、御返しめいて、同じ様に今度は己が、大上段から剣を振り降ろす)。

天姫 >  
「──!?」

己の振るった大鉈が、完全に相手との力の衝突により停止し──跳ね上げられる
ぞくりと鳥肌めいたものを感じ、息を呑む
未だかつて自身の力を真っ向から小細工なしに上回った者など、シェンヤンですら皆無であったからだ

咆哮をあげる漆黒の巨躯、それに対し、身震いするほどの高揚を笑いへと変えて、
御返しにと振り上げられ、振り下ろされる剣

隻腕故に、その片腕は大鉈と共に跳ね上げられている
剛刃の振り下ろしは鬼の身体を袈裟懸けに斬り下ろす───ことは、なかった

皮と肉を斬れどもその頑強な骨格を断つにはいたらず、その鎖骨を砕ききったところでその刃は停止していた

「……が、ふッ」

──それでも痛手とするには十分な一撃
鬼は大鉈を取り落とし……ギラついたその眼を向け、空となったその手の爪を鋭く硬質化させ、切り裂こうと振るった

ラボラス > (鬼の、其の瞳が一瞬驚きに彩られ。
そして、其れが直ぐに其れ以上の歓喜に代わるのを見る。
大抵の人間ならば、この一瞬にて絶望的な、圧倒的な恐怖を覚えるだろう。
だが、鬼は此の一瞬ですらも笑うのだ。 其れが何よりも――己と、此の鬼が同類で在る証。

容赦なく振り下ろした剣先は、其の一撃で以て胴を左右に両断する為の一閃。
けれど、矢張り硬いのだろう、確かに骨を一つ砕き折った感触は残っても、其れ以上は叶わぬ。
純粋な、種としての強さを其処に垣間見れば――其れは今度、己の歓喜に繋がる。)

――――……ッ…ぬぅ…!

(取り落とした獲物、けれど次の刹那、振るわれるは片腕。
至近距離にて正確に急所を狙う一撃へと、反射的に自らの片腕をぶつければ
手甲を引っ掻き耳障りな音を響かせる爪が、表面を滑り、鎧の隙間へと差し込まれ
内側にて、己が前腕を貫いては――奔る痛みに、僅か眉根を寄せて。)

―――……獲物だけでは無い、か。
まるで獣だな、異邦の鬼。

(まるで相手を揶揄る様な言葉だが、其の実、殆ど賛辞の様な物だ。
但し、同時に振るわれるのは――鬼の腹へと向けた、渾身の膝蹴り、だが)。

天姫 >  
漆黒の巨躯、その膝蹴りが放たれる

「ぉごッ──」

くぐもった声が盛れるが、その膝先には、強靭な樹脂の塊に蹴り込んだかのような感覚が返っている
僅かに浮いた、鬼の体位置が後方にズレるも吹き飛びすらもしない──

「──っくく…、臓腑に響かせられるなぞ久方ぶりじゃ。
 …さて、得物がどうかしたか。荒ぶる爪牙こそ鬼の真の得物であろう。
 獣というのは…まぁ否定はせんがのう、小難しい攻防なぞ趣味ではないわ」

隻腕、そして両脚が先端から鈍い輝きを放つ、鋼がのような色に変色してゆく
おそらくはこれがこの鬼の力なのだろう

「守りを鎧に頼っているようでは、見るも無残に膾じゃぞ!!」

確かに貫かれた蹴りのダメージなどよりも、目の前の巨漢への攻撃欲求が勝る
再び、蹴りも交えた猛襲──
真っ直ぐ真正面であった大鉈とは違い、荒々しい風のような爪撃が襲う

ラボラス > ―――……クク、ハハハ…!
突けば息絶え、斬れば息絶え、殴れば息絶える脆弱な身体と一緒には出来んか。

(――下手をすれば、腰骨ごと粉砕せんとする蹴りだ。
其れでも尚、僅か胎奥へ突き抜けた程度の衝撃しか与えられぬと為れば
込み上げるのは感嘆と賛辞と笑い声。 ――最早暇潰し扱いでは礼を失する。

鬼の手足が鋼の如くに変色を始めれば、自ら腕を引き、貫いた爪を抜く。
一度、女の体躯に減り込んだ漆黒の剣を消失させては、再び具現化させ
間髪入れずに襲い来る、凶悪なる爪の連撃を剣で払いながら往なして行く。
爪は必ず剣で払い、間に合わぬ一撃は紙一重で回避する
僅か、髪先を幾度か削られながら、受けに回らざるを得ぬ猛烈な圧力
――其れでも、先刻の傷を糧にして、鎧で受けるのは最低限に留め
飽く迄純粋なる力と、剣技のみで対抗せしめては。)

其の忠告、大いに糧とさせて貰う。
―――だが…頑丈な身体に自惚れて居るのは、貴様もだ。

(――僅かな、攻撃と攻撃の合間の、僅かな間。
隙、等とは言えぬ其の刹那に、強引に深く踏み込んだなら。
振るわれた片腕を、其の手首を掴んで捉え、地面へ投げ落とそう、と

勿論、其れだけで鬼の戦意を折る事は出来ぬ。
故に、もし投げる事が叶えば――間髪入れず、其の腹部へと
今度は全体重すらも載せた拳の一撃を、叩き込もうとする、筈で)。

天姫 >  
「──何?」

心の底から愉しげに嗤い、狂笑のままに剛爪を振り回す鬼
一方の相手はその技を見せ、巧みな入身からその見を地へと投げ落とす

「グッ、貴様…」

無論、背中を打ち付けた程度では何ということはない
即座に起き上がろうと身を起こす、その矢先──
鬼の凝縮された樹脂のような腹筋を容易く貫き臓腑を圧し潰す

「ごあ゛ッ──…」

そんな一撃が放たれ、その身をくの字に折り曲げ悶絶する
人智を超えた筋密度を誇る鬼の肉体も言い換えれば所詮は肉でしかない
深々と拳を捩じ込まれ、その手足を震わせ──やがて力突きたように鋼のような色がその身から消え失せて
その四肢──隻腕だが──から力が霧散するように、ぐったりと投げ出していた

ラボラス > (――異常な硬度を誇る両手足。
鈍な刀以上の其の硬質化は、然し其の見目の変化だけで見れば
四肢までで留まり、其の胴体には及んで居なかった。
そうでなくとも、十分に過ぎる程の強靭さが在るからだろう
実際に己が剣先すらも押し留めた肉体の頑強さは目を見張る物が在った

――だが、其れは女が、自らの肉体を貫く程の純粋な「力」を知らぬが故の驕りだ。
腹へと、拳が沈み込む程の一撃が、女に苦悶の表情を浮かばせる
拉げた臓腑に、拳の形を覚え込ませるかの如くに力を抜かず
もがく鬼の四肢から、完全に力が失せるのを見届けてから、ゆっくりと拳を引いて――)

―――――………純粋な力勝負など久しぶりだ。
思い出させてくれた貴様に、感謝するとしよう。

(――再び、受け取れ、と言う一言と共に、女の下腹へと拳が放たれる。
腹筋を貫き、衝撃を再び浸透させ――女へと、敗北を示すかの如くに。
そうして減り込ませた拳を、今度は引かぬ儘

ぐり、ぐり、と拳の感触を、胎へ擦り込んで)。

天姫 >  
「かはッ──…」

はたわたが潰される音が自らの腹の奥から聞こえる
咽び苦しむ、苦悶の表情のままに、押し出されてしまった肺の中の空気を求めるように顎を突き出す

そして二度目の拳は、一度目とはまるで違う、弛緩していた腹の筋肉を容易く貫いてしまう

「──ゴぼォッ」

筋繊維の捻じれ千切れる音、そして下胎を潰される、全身が痺れる程の感覚
見るも無残、とは言葉通りに、血と吐瀉物の混ざったモノを口から履き零し、
太腿の間からはじわじわと尿を漏らし零す──そんな姿を晒していた

ラボラス > (――鬼が、吐瀉物を吐き散らす。
其れを見て漸く拳を引き、ふ、と嗤う。
感謝こそすれ、敗者には、敗者たる扱いが必要だ。
其れが己達の流儀で在り、己が定めて来た物。
此の一撃に込められたのは、そう言う物だ。)

―――……臓腑を潰された経験は在るか?
…其れだけ頑丈な身体だ、早々無いとは思うがな。

(少しだけ、脅すような台詞回しになったかも知れない、が。
三度目の拳が、鬼の臓腑を本当に潰す様な事は無いだろう。
拳が引き抜かれ、痛めたろう腹筋を一度撫ぜたなら
鬼の顔を見下ろし、汚れた其の口元を拭ってやろう。

――そして、其の頃には、纏って居た鎧は何時の間にか霧散している。
鬼へと触れるのは素肌で在り、指先。)

――…鬼、貴様は俺に負けた。
なら、貴様を如何するも俺の勝手だ…違うか?

(問う、言葉に対して、鬼が言葉を返せるかは知らぬが。
言うが早いが、己よりも大分小柄な其の身体を
其の腕を掴んで、己が肩へと担ぐようにして抱え上げ――浚おうとするだろう。
少なくとも、此の儘捨て置く、と言う選択肢は取らぬらしい)。

天姫 >  
「ぐぶ、こふ──」

苦痛に歪んだその顔は、完全に気が抜けてはいなかった
眼光は未だその赤い瞳に宿り、息も絶え絶えながら、
その虚勢だけは未だ健在とも言えたかもしれない

「かは、は──…ッ…負け、など、幾らも知っておるわ…。
 しかし、此度だけ、じゃ、ぞ…。…次は、貴様の首を頂く……」

絞り切るような声でそれだけを吐き出し、ぐったりと天を仰ぐ
負けは負け、しかし負けたままではいない、というのがこの鬼の在り方のようだった

「──は…それを、拒も、う、にも身体の、勝手が効かぬわ……負けは負け──好きにせい」

言葉を言い終わらぬまま、常人よりは遥かに重いその身体を担ぎ上げらて

ラボラス > ―――構わん、貴様がその気ならな。
俺の首を掻っ切る時を、愉しみに待って居てやる。

(――負けを認め、けれど、其れでは終わらないと言うのなら。
敗北に折れず、尚も闘争を求めると言うのなら――己もまた、望む所。
今宵は己が叩き伏せたと言う事実が残っただけ、次もそうとは限らぬ
己を脅かす者が居れば居る程に、己が本懐へと近付くのだから。

其の頑丈さ故なのか、見目とは比較にならぬ鬼の重み。
けれど其れを、崩れる事無く肩へと担ぎ上げては、歩き出し。)

―――……ならば、貴様は俺の棲家へ連れて行く。
傷を癒せ、治療をさせる。 そして、敗北者として…俺の部下に付き合え。

(其れは、この鬼が、戦場と言う場で相対した敵では無いが故の。
鬼自身の再生力は知らぬが、少なくとも拠点へ戻れば治療師は居る
そうして、暫し傷を癒した後は――己が兵達相手に、暴れれば良い、と)。

天姫 >  
強がってはみたものの、ダメージは深く意識は薄れてゆく

──次に目を覚ました時には見知らぬ場所で、
恐るべき回復力を発揮した後は彼の部下相手に思う存分暴れまわることとなったのだろう

そして借りを返した、と本人が勝手に思った頃に、はたと鬼は消えていなくなっていた──かもしれない

ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」から天姫さんが去りました。
ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」からラボラスさんが去りました。
ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」にラボラスさんが現れました。
ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」からラボラスさんが去りました。
ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」にキュリオさんが現れました。
キュリオ > 人の通りも多く賑やかな日中の大通り。
権力を誇示するかのような下品な程に豪奢な馬車が一角に停まり、その周囲には距離を広げて人だかりが出来ていた。

ほんの数十分前の事だ。
とある青年が切り盛りする商店に税収官が訪れた。
脱税の疑いがあると碌な証拠も提示せずに、税を正しく納めよと強欲に押し入ったのが事の発端。
その店には、店主の若者の恋人が遊びに来ている所だった。
謂れの無い脱税の罪に対し、どうかお目こぼしを、と願い出たのが間違いだったのだろう。

一目でその関係性を察したその男が取った行動は、その恋人の体を差し出させる事だった。
健気にも、恋人は青年に対し『大丈夫だから』と笑顔を見せて馬車の中へとその姿を消し。
その出来事を見ていた周囲の民衆が遠巻きに事の推移を見守って今に至る

キュリオ > 最初は抵抗する様な声も聞こえていたものの、何時からかその色は艶やかさを交えた物となる。

――ひぃっ♥ あっ♥ あっ♥♥

馬車の揺れと共に、甲高い、雌犬の如き鳴き声が鳴り響く。
素朴で純粋そうな女が出したとは思えぬ様な嬌声は、一瞬、皆がその声の出所を探した程だ。

如何な手管――或いは薬を使ったものか、引き続き響く声は確かに馬車から聞こえるもの。

―――それらめっ♥♥ あ、あぁあ゛っっ♥♥♥

否定の声なれども、甘さをたっぷりと孕んだ声が響く。
見えぬ馬車の中の光景がありありと想像出来る状況に、恋人の青年は耳を塞ぎ店の中へと逃げる様に引っ込んだ。

ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」にルチル・ラ・ティタニアさんが現れました。
ルチル・ラ・ティタニア > 通りを歩いていると風に乗って聞こえてきた声。
しばらくその声を頼りに歩いていくと目の前に現れる人だかり、そしてその中心に止まっている豪奢な馬車。
一体何が起こっているのだろうと人だかりを掻き分け、馬車へと近づいていく。

失礼ですが、馬車の主はおられるでしょうか?

馬車の揺れと中から響く甘く甲高い雌の鳴き声、自分の事ではないにしろ羞恥で頬を染めて静かに訊ねる。
返ってくる答えは如何なるものだろうかと悩み、何事もなければ良いのだがと暫し待つ。
それでもなかなか返らぬ答え、声の主がもしや馬車の主で、ならず者の手にかかっているのではと妄想じみた考えまでもが浮かび、真っ赤になっていて。

ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」からルチル・ラ・ティタニアさんが去りました。
ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」にルチル・ラ・ティタニアさんが現れました。
キュリオ > 馬車の揺れと、漏れ聞こえる嬌声は増すばかり。
その最中、人だかりを掻き分けてやってきた騎士の声かけにも、反応することは無く。
寧ろ、その行為を嘲る様に益々行為が激しくなっていた。

『なんっ、でもっ、ありませっ♥ からぁっ♥ だい、だいじょうぶれすっ♥♥』

しかして一拍置いてから、命じられでもしたのか、明らかに誤魔化しきれぬ情事の光景が滲み出た返答。
肉を打つ音が鳴り響き、ひいぃっ♥ と更に甲高い声が響くけれど、幾ら声をかけても『大丈夫』という返事しか戻ってこない。
そして馬車は、中身を改めさせる事無く動き出す。嬌声を漏れ聞かせながら、往来を闊歩するのだった―――

ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」からキュリオさんが去りました。
ルチル・ラ・ティタニア > 声掛けに返ったのは誤魔化しきれない情事の光景が滲み出る甘い声。
その後何度も声をかけても同じ答えしか返らず、中から命じられて馬車が進みだすと追えるはずもない。
中を検めるを改める事も出来ないままその場に取り残され、溜息を一つ吐いて周囲の人だかりを散らせ姿を消す。

ご案内:「◆平民地区(過激描写注意)」からルチル・ラ・ティタニアさんが去りました。