2018/07/12 のログ
ツァナ > 「そっか。
それなら…多分。大丈夫、関係ない。
怒るのは、多分、偉い人、かな。」

正規の軍人達には困り事かもしれないが。お手伝いさんくらいなら、武器産業の恩恵も、あまり関係ないだろう。
実際、直ぐ近くの床に転がっている彼の武器は。
どう見ても、正式な官給品などではなかったから。
更に差し出された食べ物。取り敢えず、先程言われた通り、湿らせてから食べるべきなのだろう。
ふやかすように、ちびちびと口の中で囓りだす。

「そ、だね、偉い奴ほど、困り物。
人を喰い物にする――例えじゃなくって、ホントに。
私達。どれだけ、喰われて、奪われて、それから…」

どれだけの同族が。泣いたのか。死んだのか。
考えるだけで気が滅入る。同じ種族なら、相手も同じだろうから。
首を振り、この話題は止めておこうと。
…ついでに、この話を続けると。
つい最近まで、食べ物くらいなら他人から掻っ攫っていた事が。バレそうなので。

「ん?……ん?
ああ、あぁ…そう、いう。
どっちも。役割、果たす、的な意味では。…仕事なのかな。大事な事、なの、かな。
いやまぁ。本当の意味で、食べ物に、されちゃうのは。…嫌だけど。」

ちょっぴり、首を傾げた。
世の中娼婦も立派な仕事だし、肉体労働もまた同じだ。
自分のスキルや持ち得る何かで、自分を養う、其処に貴賤はないだろうと。
それに…生物としては。産めよ増えよ地に満ちよは、間違いなく真理。
…街の中だと。そういうのは、当て嵌まらないのかしらん、と。
言われて、初めて考えたような。
ともあれ、続いて問われれば。

「怪我は…だい、じょぶ。
ブレイドの、おかげ、かな。」

あのまま路地裏で迷っていれば。
誰に、どんな目に遭わされていたか。
今更だが、その危険性を鑑みてしまうと。
改めて…というか、ようやくそれだけの余裕が出て来たのか。
頭を下げる素振り。

ブレイド > 食事を始めた彼女に少し安堵の表情。
食べられるなら大丈夫だろう。自分もようやく落ち着いた。
相手も警戒は完全に解いてくれたようでよかった。

「このままじゃ終わらねーよ。
オレたちだって生きてんだ、食われてばっかでいられるか。
今はただの冒険者だけどよ…認めさせてやる。
それができねーなら、目にもの見せてやる」

彼女の声の調子が沈むとそれを上書きするような
意思を込めた声で。そのために来たのだこの王都に。
なお、彼女が食べ物を窃盗していたのはなんとなく予想がついている。
さっき自分で、お金がないと言っていた。
金が無い状況で食事ができるような、甘い国でもない。

「いや、まぁ…カラダを好きにされても大丈夫だってならいいかもしんねーが…
少なくともオレは、カラダ目当てで助けたわけじゃねーし
金やお礼がほしいわけでもねーんだ。なんか苦しそうにしてたから助けた
それだけでいいじゃねーか」

貴賤だとかそういう問題ではなく
ゴロツキやエロ貴族共と同じようなラインに立ちたくない。
嫌がる相手や、相手にその意志がないのにそうするのが嫌だというだけだ。
少しこの街ではずれた考えかもしれないが。

「おかげって…あの時点で怪我してねーならオレは何もしてねーだろ。
まぁいいや、ともかく…立てるならベッドにでも座れよ。
椅子に座ったままだとケツがいてーだろ」

頭を下げようとする彼女を手で制しつつ
立ち上がって手を差し出す。

ツァナ > 「…うん。そうだね、うん、生き延びたから……
生き延び、ちゃったから。生きてる限りは、最期まで、やれる事…
やるべき事、やりたい事、やらなくちゃ。
その結果……うー…ん。うん、出来るだけ。終わらない、ように。
ブレイドは、出来たら、途中で、終わっちゃわないで。」

冒険者と、謂わば暗殺者と。やり方はともあれ。目指す所は、似ているのかもしれない。
…本当にやり方は違い過ぎる。
自分にこうやって、相手の為、誰かの為になるやり方は、出来るだろうか。
そんな事を考えながら。
今は貰った食べ物で、少しずつ餓えを、渇きを癒しつつ。

「大丈夫というか…えぇっと。
悪いコトだとは、思ってない、かな。
でもこう、それ以外でも、何でも。…役に立てたら、良いかな、って。
…助けられたから、助け返したい、とか?
そうじゃないと、その、何て言うか、ね。
借りっぱなしで、いたくない、のは。私の気紛れだし…
助けられたら、お礼をしたり、言ったりは。…当たり前?」

かくんと首を傾げてみせた。
借りっぱなし、奪いっぱなし、では。
それこそ…自分達が嫌った、捕食者達と同じだと思う。
…食べ物云々は、何というか、出来るだけ。そういう偉そうな手合いを狙っていたツモリではあるが。

「新しい、怪我、未然に防いだ…みたいな。
後は。そうか、建物の…中。入って、隠れて、良いんだって。勉強になったし。
ん…ん?おぉ。おぉー…何コレ。思ったより、ふか、ふか。」

何はともあれ、促されたベッドの上に、腰掛けてみれば。
決して新しい代物ではないのだろうが。スプリングが軋み、クッションが撓む感触に。
思わず声をあげてしまう…すくなくとも、床や地面とは比べ物にならなかった。

ブレイド > 「生き延びちゃったとか言うなよ。
生きれたんだ、死んだら終わっちまう。
終わったほうがいいって状況もあるけど…てめーはそうじゃねーだろ。
ま、オレもさっさと終わらねーようにはする」

彼女がどのような人生を送ってきたかはしらない。
生き残ってしまったことを後悔するような人生だったかもしれない。
でも、彼女は生きる意志を持っている。ならば…。

「悪いことじゃなくてもっつーか…
べつにその…あー、うん…なんだ…
そんなら、礼なら言葉でいい。そういうもんは相手が好きだって思うやつにやるもんだ。
貸し借りってんならそれでチャラだ」

妙に頬が熱い。こういう話をするときはやはり少し照れてしまう。
だから未だに童貞臭いとか言われたりするのだが…。
彼女の礼を貰えればそれで満足とばかりに床に座り直す。

「何だよ、ベッドははじめてか?
んじゃ、暫くここにいりゃいい。どうせだれもいねーんだ。
メシはほとぼりが冷めるまでは差し入れでもするか?」

ツァナ > 「…………そうかな。そう、なのかも、ね。」

はっきりと。言い切る、答える事が出来無かった。
自分一人生き残った。その負い目と悔しさは、それこそ死ぬまで。終わるまで付き纏う。
ベッドの上で顔を伏せつつ。せめて、相手が約束してくれるなら。
其処に対してだけは頷いてみせて。

「………う…ー…ん?
嫌な奴が、相手じゃなかったら、良いよ?私、前から、やってきたよ?
生きてく、生かしてく…ミレーっていう種が、ずっと、消えずに生きていく為には。
とっても、大事な事、だから。
でも、まぁ。…ブレイドの、言う事も、解る。
私達は、言葉も、大事にしないとで。
………敵じゃないなら。解り合えると、思わなくちゃ、だから。」

そういう納得の仕方が出来たのは。
この街に来てから、必ずしも敵ではない、そんな出会いが幾つか有ったから。
この人との出会いも、そういった大切な物の一つになる。確信。
…いや、同じミレー族であるという事も加えれば。また異なる何かにも成り得るかもしれず。
……と。難しくなりそうな。頭の痛くなりそうな思考を。今日の所は放棄した。
ぽすんと。軽い体重を、すっかりベッドに預けきる。

「うん。木の上とかとは、違う、カンジで。…良いかも。
えぇと。…其処、まで?
うわ、あ。…ありがとう。を。いっぱい、言うね?
それでも、足りない時は……いいや。また。考えて、おく。」

ブレイド > 「そーだよ。わりーことばかりで死ぬより
生きてりゃ悪いこと、もっとあるかもしんねーけどいいことだってあるかもしんねーんだ」

立ち上がって、ベッドの縁に座る。
彼女にとってこの距離が不快ならばまた床に座り直すだろうが。
自分は簡単には終わらないと、約束しつつも
彼女が生きていることに何かを見出してほしくて。

「ま、そうだけどな…そう、だけどな…
今ここでオレがツァナを犯したら、そのために助けたみてーでかっこわりーだろ?
種を残すっつっても…その、やっぱ、気持ちよくなるためって側面つえーし…。
でもまー…そうだな…そう思えるなら、ツァナはいいやつだ。
嫌いじゃないぜ?」

自分は目付きが悪いが、精一杯に微笑んで
彼女の頭に手を伸ばす。
まだ年若く、口調はやや子供らしさを残す彼女。
疲労が蓄積されたであろう身体を労いたくて。

「そうじゃねぇと、腹が減ったときに捕まっちまったら助けたかいもねぇ。
たりねーとき…たりねーときは……はは、そうだな。
適当にかんがえといてくれ」

ツァナ > 「…有ったら、良いね。
ブレイドに、良いコト。たくさん、有ります、ように。」

自分はどうだろう。どうしよう。
ベッドに腰掛けた相手に手を伸ばす。頭を撫でる…のは、腕の長さが足りないだろうから。
取り敢えず、近場にある膝頭を。ぽんぽんと触れるように。

「…………っふ、ふふ。…うふ、は、あはは…ッ。
そういう、心配、しちゃう?…格好悪いとか、思わない、てば。
でも、何だか…何だか、それらしい、なァ。オトコノコって、カンジ、する。
うん。そういう、風なブレイドって。絶対、悪い奴じゃぁ、ない。
…ますます。安心した。」

恥も外聞も有るのは。律する事を知っているのは。…自分自身に芯を持っているのは。
それこそ、先程迄論った、悪い連中には有り得ない事だと思う。
だから自分も。相手は良い奴だと考えた。安心した。
…安心出来たから、目を閉じよう。
まるで、生きていた頃の誰かのように。頭を撫でてくれる掌と。
その温かさに安堵しながら。

「…ごはん、食べて。ちゃんと寝て。元気になったら。
そう、だね、改めて、考えとくから……」

出来る事が増えてからでも良いだろう。兎に角今は、好みを癒す事。
その好意に、温もりに。…同族という存在に。
少しばかり甘えながら。久方ぶりに、ぐっすりと深い眠りに落ちていく。

ブレイド > 「ばーか、おめーにだよ」

こんな時だというのに自分の方にそれを願う彼女に苦笑する。
触れ合う手は頭と膝と、場所は違っても意識は繋がってるようで
なんだか嬉しくなった。

「するっての。男だって意地があんだ。
女の前ではかっこつけてーんだよ。
ったく、今日は一緒にいてやるから…安心して眠りやがれ」

真っ直ぐにそう言われるとやはり照れくさく。
彼女の頭を撫で、耳を撫で、髪をとかしながら
寝付くまで撫で続ける。

「おう、そうしとけ。
今は休んでろ。メシはまたもってきてやるから…」

水も含めてしばらくは通うことになるだろう。
彼女が寝付いても、今日一日は傍にいよう。
まだ外は騒がしいのだから…眠る彼女を撫でながら、あくびを噛み殺し。

ご案内:「路地裏(過激描写注意)」からツァナさんが去りました。
ご案内:「路地裏(過激描写注意)」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「魔族の国(過激描写注意)」に天姫さんが現れました。
天姫 >  
「──魔物も飽いたのう」

暗雲立ち込める魔族の領土
荒野のただ中に黒煙があがり、その傍で檜皮の肌の鬼女が胡座をかき焼けた肉を豪快に貪っていた

「やはり飯はかの温泉宿のほうが上じゃなー」

こんな場所で贅沢は言えんが、と独り言ち、脇においた酒瓶を煽る
暗雲の隙間からは月の光が漏れ、妖しくも美しい、魔族の国独特の雰囲気を醸し出していた