2020/09/19 のログ
■ジーゴ > 「そ、だよ。早くよこせばよかったんだ」
自分よりも栄養状態も健康状態も悪そうな子どもから、なけなしの小銭をむしり取ると、にかりと笑った。
「おかねかせがなきゃだめなんだ」
呟く小さな声はいつもよりもどこか幼く、呂律も回りきってはいない。
自分に小銭を渡した少年には既に興味は向けず、直ぐに距離を取って違う方向へ、何かに取り憑かれたかのようにふらふらと歩き始める。
裏路地のどこに浮浪児が潜んでいるかは何となくわかるから、次のターゲットを見つけることも造作ない。
「おきろよ、クソガキ」
いつも自分が言われていたような言葉をはくと、道の片隅で眠っている浮浪児を蹴飛ばして起こそうとして。
ご案内:「王都 平民街の裏路地」にアリエルさんが現れました。
■アリエル > 「んー、人が気持ちよくお散歩してるところに、何してるんだか」
そういって裏路地に表れて声をかけたのは年端もいかない少女に見える何かであった。
月の光が反射して、銀髪が輝く。
腰に剣は差しているが、身長はジーゴよりも低く少女が騎士にあこがれてまねごとをしているようにしか見えないだろう。
「さて、そこのキミ、そういう悪いことはやめときなよ」
■ジーゴ > 「あ、なんだてめぇ?」
戯れに摂取したクスリがずいぶん回っている少年は、目の前に現れた相手の力量を慮ることができない。
それでも、地面で寝ていた浮浪児が起き上がって震えているのを蹴るのは止めて、相手の方に顔を上げた。
「てめぇは金もってねぇのか?」
自分よりも小さな相手に慢心して
手に持ったままのナイフを手遊びのようにちらつかせて相手の方に近寄る。
■アリエル > 「お金、今はたいして持ってないかな」
といいながら取り出したのは金貨1枚。100ゴルド金貨だ。
「さて、どうしたものかなぁ」
訓練もされてなさそうだし、そう手ごわくはなさそうだが……
■ジーゴ > 「それ、よこせよ」
ミレー族は例えば肉体労働の賃金一つとっても、他の種族と比べると差別されている。100ゴルドなんて大金に見えた。
硬貨の方に手をのばして、尚も相手の方に近寄る。
訓練されていないばかりか、クスリの影響で体を動かす感覚さえ普段と違う状態になっている少年だ。
相手が少しでもその気になれば瞬殺で制圧されてしまうだろうが。
■アリエル > 「だーめ♡」
金貨を下げて様子をうかがう。
明らかに様子がおかしい。
ひとまず制圧するかと身をかわしながら足を突き出す。
そのままの勢いで突っ込んでくれば転ぶだろう。
■ジーゴ > 「痛ッ」
硬貨がもう少しで手の中に収まりそうだったのに。
いきなり天と地がひっくり返る。
緩慢な動きしかできない体は見事に相手の脚に引っかかって転んでしまう。
「ごめんなさい…ごめんなさい。謝るから痛くしないで」
自分の形勢が不利であることに気がついた少年は、慌てて謝罪の言葉を並べて。
■アリエル > 「はいはい、ひとまず水を飲んで」
中から水を生成し、そのままポイッと渡す。
水の玉は宙に浮きっぱなしになり、顔にくっついて飲まないとかなり息苦しそうだ。
変な薬でもやっていたのではないかと疑うほどの情緒不安定だ。
頭を冷やす意味でも、変な薬を抜く意味でも、水を飲ませることにした。
■ジーゴ > 「え…なに…?」
何かがいきなり飛んでくる。
顔にへばりつくそれは恐らく相手の言葉通り水のようだけれど。
息を止めて、苦しくなるギリギリまで耐えようとするも、しばらくして、仕方なく口を開いてそれを飲み込んだ。
「お前、なにした?」
水を飲んで少しだけ目つきが穏やかになった少年。
地面に倒れ込んだそのまま、相手を見上げた。
なぜ自分が相手に水を飲まされたのか、状況が飲み込めずにいて。
■アリエル > 「何って、君がおかしくなってから水のませただけだよ」
目が正気に戻ったミレーの少年の頭をわしわしして。
「水を飲ませて体を浄化させたんだよ。なんか変なもの食べたり飲んだりしなかった?」
そう確認するだろう。
■ジーゴ > 「おかしくなってねーし」
まだ体の平衡感覚はおかしいし、心臓の鼓動も早いままだ。何より、うまく立ち上がれない。
頭をわしゃわしゃと触られるのもなされるがままだ。相手を止めようとしたり、避けたりがそもそもできない。
「クスリのんだ。気分よくなるやつ」
相手の問いかけには素直に答えた。
結果的に、気分は最悪になって暴力行為を働いていた訳だけれども。
うまくキマればほんとうに気分がよくなるはずのクスリだ。
■アリエル > 「全く、ミレーってことはご主人は?」
困ったもんだと思いながら、反省させる意味を込めて水の玉を頭から落とす。
ばしゃあと濡れて、あとは適当に風魔法で乾かせば少しはきれいになるか。
「薬なんかに頼ったって楽しくなんてなれるわけないじゃない。楽しくなりたきゃ男か女でも抱かないと」
こっちはこっちで壊れていた
■ジーゴ > 「ご主人様?いるけど今は多分宿かな」
かなりの自由が与えられているミレーだ。
ご主人様も彼が深夜に徘徊していることまでは把握していない。
「ん!なにすんの」
頭から水に濡れるとふるふると頭をふるった。
獣の毛は水を弾いてしまって、濡れたのはシャツだけだったけれど。
「別に男を抱いても、女を抱いてもそんなに楽しくない。抱かれてもおんなじ」
ゆるゆると首を振った。
彼にとっては体を交わらせる行為は、金のためにやらされる奉仕でしかなくて。
壊れた者同士の会話もいまいち噛み合わなくて。
なんとかぐらつく体に力を入れて立ちあがろうとする。しばらくふらついてようやく立ちあがれるだろうか。
■アリエル > 「全く、ご主人様にもちゃんと躾けるように言わないとだめかもねぇ。何なら拾ってあげてもいいよ」
やれやれ、困ったちゃんだと肩をすくめる。
「で、帰れるわけ?」
ぼんやりした彼を見て。
■ジーゴ > 「ご主人様はわるくない」
怒ったように言った。
彼にとってご主人様はとても大切なものだ。
「んー……ここどこ?」
適当に歩いてきたからだろう。ようやく周囲を見渡しても、ここがどこかよくわからなかった。
「大通りどっち?」
とろんとした目のままで相手を頼った。
■アリエル > 「ひとまず連れて行ってあげる」
そうして大通りにでて、ご主人様のところに連れていく。
なぜ好きなご主人様なのに脱走するのだろうと不思議に思いながら、ご主人様に彼を渡すのだった。
■ジーゴ > 「まってよー」
先に歩く相手の手に手をのばそうとして、追いかける。
大通りの先、宿屋のご主人様と少年の部屋まで送り届けてもらうと、にこにこした少年を困り顔の主人に手渡すことになるだろう。
ご案内:「王都 平民街の裏路地」からアリエルさんが去りました。
ご案内:「王都 平民街の裏路地」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「図書館」に獣魔目録さんが現れました。
■獣魔目録 > 今宵もまた小さな図書館で司書を務める人影が一つ。
――…彼の名は白紙の魔導書。
魔導書として魔力を籠められた1冊の白紙の書。
製作者はその魔導書に一片の文字を綴る事無く命を絶ったか、それとも魔導書を破棄したか理由はわからない、ただ結果として白紙の魔導書として此処にいる。
一切の記述がなければ魔導書としても価値はなく、こうして受肉することも出来ない、筈であったが読み手を誑かす魔導書や淫らな悪夢を見せる魔導書達から僅かな魔力を得てる事で受肉している――…全ては魔導書たちの願いを叶える為に。
特に中心核となっているのは魔獣の皮で装丁された1冊の魔導書である。
名は『獣魔目録(じゅうまもくろく)』
大陸に住まい魔獣で一目でも人間の目に止まった魔獣であれば全て記載されているというその名のとおり魔獣に特化された魔導書。
手にしたモノは獣魔目録に記述された魔獣であれば必ず一度は魔獣と交渉することが出来る、手にしたモノが必要としている魔獣の情報を得ることが出来るという希少な魔導書の中でも特にレアなモノで、その分魔導書に籠められた魔力は膨大であり、1冊の魔導書に意志と肉体を与えることは非常に容易い。
結果、その魔導書を必要とする人間を見つけるために白紙の魔導書はこうして本に携わる仕事をしながら、知識と力を求める人間を捜し歩いている――…今夜は解読依頼を受けた本を司書が座るべき図書館のカウンターに座り、司書の真似事をしながら、解読中である。
特に今解読している本は貴族から持ち込まれた本なのだが、どうも通常の本と勝手が違うというべきか、使われている文字が歪んでいると表現したら良いか、ともかく酷く解読し辛い。
そのため単独で翻訳を続けるのは困難と判断した。
出来れば協力者など居るといいが、残念ながらこの身は魔導書、他の魔導書の力を借りないと身体を維持することすら難しい身――…故に縁のある本の中でも一番縁の深い獣魔目録を同時に開きながらの翻訳・解読作業を試している。
■獣魔目録 > 素顔が見えぬように深く被るフードの奥底で眼を細め眉間に皺寄せ睨みつけるはそんな魔導書。
文字、紋様、言葉として読み取れそうなものは全て魔導書の知識としてほぼ理解出来るはずが、どうにも読めぬ箇所がある。
それに獣魔目録の力も借りているから、もし魔獣絡みであれば理解出来る筈なのだが――…頭の上に?が沢山浮かぶ。
タイトル、まずこれからして読めない。
挿絵、動物が描かれている、なので動物絡みであるのは判った。
内容、半分くらいが?と理解認識できぬそれ、ただ挿絵に稀に多少卑猥な表現?が混ざっていることから普通ではないことは判る。
それにこの書も魔導書である。
それだけは魔導書として波長がわかるが、語りかけても返答なし。
「何だろうなこれ……。」
発した声は老若男女判別難しく抑揚すらない平坦で決められた単語を言葉として発しているような不可思議な声色。
言葉に感情がない事から困っている様にも諦めているようにも聞えなくもない自覚もある。
片肘をカウンターにつき、頬杖をつきながら頭の中では魔力と魔導書としての力と謎の魔導書に対する様々なアプローチを試みている、もし魔法に精通している者がこれを見れば希少な場面だとわかるだろう。